PET SOUNDS RECORD          Good Timin'コラム



 VOL.5 “FIRE AND RAIN”
~武蔵小山駅前から移植された桜の物語


◆2◆ 桜をめぐる冒険




  では、あの桜はどこへ移植されたのか?

 まだ当店も営業を続けていた昨年2004年12月、
造園業者が来て、移植先に搬送するため、かなりの枝と根っこを切り落とし、
2本共、千葉にある土気(“とけ”と読みます)という町へ運ばれていきました。
 

 その造園会社(土気造園土木)の連絡先を聞いておいたので、
その桜の木の移植先を確認すると、その土気にある造園会社にほど近い場所へ
移植されたとのこと。

 移植された後、それほど時間が経たないうちに、
移植先へ植えられた桜の木の状況をデジカメ撮影→プリントアウトした画像を
わざわざ送っていただいたりもしていたので、
しばらくは安心というか、閉店準備など多忙な面もあり、
その桜の木自体に気がいっていなかったのですが、
4月に入り、一斉に開花した東京の桜の木を見るにつけ、
「あの桜の木はどうなっているのかな?」
と、気にかかるようになりました。

 目黒川沿いの桜などは、早朝などにジョギングがてら見に行ったりしたのですが、
正直言うと、上野や千鳥が淵などのようなお花見の名所のようなところには、
全く行く気が起こらず、
「今年はちゃんとしたお花見をしてないなあ・・・」
とも思っていたので、時間が空いている1日を利用して、
急遽、その移植された桜の木を見に行ってみよう、と思い立ちました。

 “お花見”といえるような桜はもちろん咲いていないだろうけれど、
毎年ペット・サウンズ・レコード店の前で美しい桜の花を見せてくれて、
長年にわたって自分の生まれ育った武蔵小山を見守ってくれていた桜の木に
あらためて「ありがとう」と声をかけたいな、”

という気持ちもあり、なんとなく思いつきだったこの思いを
行動に移してみることにしたのです。

こうして桜をめぐる冒険は始まりました。

    
(2004年4月、移植される前、当店前に咲いていた桜)


 4月上旬の初夏のような暖かさはどこへやら、
底冷えのするような寒さが戻ってきた日の早朝に家を出発。
 しかしながら、自分で車を運転して土気へ向かう、というのに、
肝心な地図を自宅の机の上に置いてきてしまう、という失態を自ら演じ、
だいたいの道は頭にインプットしていたものの、
なんともお粗末な旅行の出発となってしまいました。

 ということで、ナビもないまま、カンも働かせてのんびり運転。


 お気に入りのジェイムス・テイラーのCDを聴きながら、
特に急いでいるわけではないので、焦らず、
道を多少間違っても辿りつければいいや、ぐらいの気持ちでドライヴを楽しめました。


 幸い、雨も降ったり止んだりながら、どちゃぶりにはならずに
次第に千葉の田舎町へと入っていきます。




 土気駅付近には思ったよりもすんなり到着し、
ほぼ目的地に近付いたものの、
なかなかその目的の桜の木がどこに植えられているか、というのがわからず、
周辺をぐるぐる車で回ったり、その住所があるあたりの道に着いても、
どれがその移植された桜の木なのか、が見つからず・・・。

しばらくは土気近辺で迷ってしまい、
「やっぱり移植に耐えられず、捨てられてしまったのか・・・」
と不安になっていたのですが、やっとのことでその目的地に到着!


 はたして、その“桜の木”はそこにありました。


上記の写真をクリックしてください。




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