PET SOUNDS RECORD
今日のこの1曲 アーカイヴス


  今日のこの1曲 “Achives”

<2005月6月>

立退き閉店のため、店舗を一時休業していた
2005年6月に更新した
“今日のこの1曲”コーナー。

廃盤・生産中止、規格番号の変更など、
情報が古くなっている商品もございますが、ご了承くださいませ。


<最新の“今日のこの1曲”はこちらのページをご覧ください>


2005年6月1日(水)バンド・エイド「ドゥ・ゼイ・ノウ・イッツ・クリスマス?」

 “ライヴ・エイド”ならぬ、“ライヴ・8”の開催が決まりましたね。

 “ライヴ・エイド”は、エチオピア飢餓難民救済のために1985年に行なわれたイベントで、当時の有名アーティストが多数参加。昨年DVDが発売されたことでも話題になりましたが、20年を経た今年7月、欧米5ヶ所にて、“ライヴ・8”が同時開催されるそうです。

 ポール・マッカートニーやエルトン・ジョンなどお馴染み?のメンツに加えて、ブライアン・ウィルソンもちゃっかり参加予定に入ってますね。ただ、何故かロンドンでもアメリカのどこかでもなく、ベルリンで出演するようで・・・。各々のアーティストがどんなセットリストでやるかも注目です。

 ただ、この“ライヴ・8”。もちろん日本でもスカパーやBSとかでやるんだろうけれど、思いきってどっかの民放TV局orNHKでやってほしいなあ〜。数時間ぶち抜きで。
 音楽番組が減っている昨今、音楽への興味が減っている人たちに訴求する意味でも、一般人でも見れるような環境で、それも生放送で見たいですね。森 陽馬

2005年6月2日(木) Major Lance 「The Monkey Time」

 シカゴ・ソウルというと、やはりカーティス・メイフィールドでしょうか。

 そのカーティスの60年代は…、というと、やはり彼が在籍していたコーラス・グループ、インプレッションズが印象深いでしょうが、このメイジャー・ランスとのコラボレートも忘れてはいけません。

 メイジャー・ランスも1941年シカゴ生まれのシカゴ育ち。
 ゴスペル・グループから60年代初期に独立し、62年にはソウル/ブルースの名レーベルとして、現在もG・ラヴやケヴ・モなどのアーティストを輩出しているOkehレーベル(オーケー・レーベル)と契約。カーティス作「Delilah」というシングルを挟み、続けてこの曲「モンキー・タイム」を発表。R&Bチャートだけでなく、全米ポップ・チャートでも8位まで上がるヒットとなり、63年には全曲カーティス・メイフィールド作というアルバム『UM,UM,UM,UM,UM,UM(モンキータイム)』を発表しました。

 モータウン・サウンドにも通じるようなポップよりな楽曲もさることながら、曲中に様々なタイプのゴキゲンなコーラスが入るのが特徴ですね。
 当時カーティスは、自身のグループ、インプレッションズでも活動していましたから、パフォーマーとしてだけではなく、ソング・ライターとしても秀でていたのが窺える1枚です。

 ちなみに白人女性シンガー、ローラ・ニーロが『ゴナ・テイク・ア・ミラクル』というアルバムでカヴァーしているのも有名ですね。森 陽馬

2005年6月3日(金) Laura Nyro 「Nowhere To Run」

 昨日、ご紹介したモンキー・タイムのカヴァーが収録されているローラ・ニーロの名作カヴァー・アルバム71年発表の『ゴナ・テイク・ア・ミラクル』。

 そのローラがカヴァーした「モンキー・タイム」〜「ダンシング・イン・ザ・ストリート」か、ローラの感動の美声響き渡る「ベルズ」を今日は紹介しようと思っていたのですが、アルバムを通して聴いているうちに、9曲目に収録されているこの最高にかっこいいナンバーに完全にノックアウト! やられてしまいました。

 ホランド=ドジャー=ホランド作、マーサ&ヴァンデラスで有名なこの曲をファンキーなかっこいいアレンジの演奏で。
 そして、ラベル(パティ・ラベル在籍の女性3人組コーラスグループ)とローラ・ニーロの強烈な掛け合いが熱い1曲。
 スローな曲を歌わせた時のローラも魅力ですが、こういうアップ・ナンバーの彼女の歌いっぷりもいいですよね。

 ちなみにこの名作アルバム。
 後にフィリー・ソウルの立役者となった名プロデューサー・チーム、ケニー・ギャンブル&レオン・ハフが白人であるローラのこのアルバムをプロデュースしているというのもミソですね。森 陽馬

2005年6月4日(土) Coldplay 「Speed Of Sound」

 ここ最近、ラジオつけてインターFMに合わせると、ほぼ確実にこの曲が1時間に1回はかかっていますね。

 コールドプレイは、99年にイギリスからデビューしたロック・バンド。
 音楽ジャンルが多種多様になったこの時代にしては珍しく?、正統派ロック道を突き進むグループで、ホントどの曲もポップで聴きやすい。

 そんな彼らが今月(日本では先行発売で5月)、新作となる3rdアルバムを発売。この曲はそのアルバムからのシングル・カット曲なのですが、全米ビルボード・シングル・チャートにて初登場8位を記録。
 これって、あんまり大したことなさそうだけれど実は凄いことみたいで、イギリス出身のアーティストの曲が全米ビルボード・チャートにて初登場10位以内を記録したのは、なんとビートルズの「ヘイ・ジュード」以来37年ぶりの快挙ということらしい。
 コールドプレイってスゴーイ・・・っていうよりは、HIP HOP全盛のアメリカで、コールドプレイがなんでこんなに人気あるんだろう?というのが正直な感想でもあるのですが・・・。

 まあでも、それぐらいポップでわかりやすいいい曲ですね。
 “21世紀のU2”という例えもまんざらわからんでもない、という印象。(一部の音楽誌広告にあった“21世紀最高のロック・バンド”は明らかに言い過ぎの感)

 でもこのアルバム(TOCP-66370 \2,548)、東芝EMIからの発売なのでCCCD(コピー・コントロールCD)なんですよね〜。
 一気に買う気が失せましたが、フジ・ロックには出演予定なのでライヴは楽しみです。森 陽馬

2005年6月5日(日) HIPNOSIS 「A Mad Angel」

 “ヒプノシス”というと、ロック・ファンにとっては、ピンク・フロイドなど数々の名作アルバムのジャケットを手掛けたデザイナー集団を連想すると思いますが、この“ヒプノシス”は、ドイツはミュンヘン出身の5人組新世代ジャズ・グループ。(綴りも若干違いますね)

 2004年日本でも発売された『HIPNOSIS JAZZ』(SRIP-9016 \2,500)が、発売された当時、当店でも評判で、ジャズ・ファンの方にはもちろん、クラブ・ミュージック好きの若い方にも気に入っていただけた作品でした。

 この先日発売された2ndアルバム『Carrousel』(SRIP-9018 \2,500)は、更にヨーロピアン・ジャズの硬派な部分を押し出して、モダンかつフリーなプレイを聴かせる上品な1枚。
 トロンボーン&アルト・サックス(もしくはクラリネット)の2本のホーンがおしゃれな音の鳴り方で、ファンキーなアメリカ産のジャズとは、また違った趣がありますね。

 ちなみにこの「A Mad Angel」他3曲のライヴ・ボーナス・トラックが日本盤のみに収録されています。森 陽馬

2005年6月6日(月) Seals & Crofts 「Summer Breeze」

 なんか“夏”って感じの陽射しになってきましたね。

 “夏”、“Summer”がつく曲は山ほどありますが、個人的に一番好きな曲は、やっぱりこれ! それもカヴァーとかではなく、シールズ&クロフツが歌うこのオリジナルが断然いいですね。

 シールズ&クロフツは、ジム・シールズとダッシュ・クロフツの二人による1970年代に活躍したフォーク・ポップ・デュオで、この曲は1972年に発表した同名アルバム『Summer Breeze』より。

 名ソウル・グループ、アイズレー・ブラザーズのカヴァーなども有名ですが、アコースティック・ギターの切ない響きと二人の美しいコーラス・ワークが感動的なこのシールズ&クロフツのヴァージョンは、聴いていると郷愁を運ぶそよ風が、熱くなった心と体をやさしく冷ましてくれるようで、毎年この季節になると聴きたくなる1曲です。

 一応、ワーナーからベスト盤などが輸入盤では発売されているのですが、国内盤は現在何にも出ておらず・・・。(この曲が収録されているオムニバスはいくつかありますが。)

 ちなみに今、思い出したのですが、10年くらい前、今は無き日清パワーステーションにグレート3(片寄明人在籍)のライヴを見に行った時、いきなりこの曲のカヴァーから始まってびっくりしたのが印象に残っています。森 陽馬

2005年6月7日(火) ビーチ・ボーイズ 「ココモ」

 昨年アメリカで発売されたビーチ・ボーイズの新しいベスト盤、『サウンズ・オブ・サマー』の国内盤が本日発売。貴重な初期映像収録のDVD付(TOCP-67658 \3,800)と、同内容でCDのみ(TOCP-67657 \2,300)の2種が同時リリース。

 発売予定当初、東芝EMIからの新譜案内書では、CCCD(コピー・コントロールCD)の予定になっており、遂にビーチ・ボーイズもCCCDか・・・、と正直がっかりしていたのですが、なんと今日入荷したのを見てビックリ!

 なんとCCCDが回避されていました!

 初期のお馴染みサーフィン・ナンバーから、名作アルバム『PET SOUNDS』あたりの名曲・シングル曲、そして後期のヒット曲「ココモ」や「ゲッチャ・バック」まで収録された幅広い選曲全30曲。
 一般的認知度の高い「ココモ」が収録されていて、更に初期ヒットもちゃんとしっかり押さえられている手頃のベスト盤って、意外とありそうでなかったので、これホント、ビーチ・ボーイズ入門編としては最適の1枚。

 更に、昨年輸入盤をすでに購入された方ならご存知でしょうが、もうとにかく音がハンパじゃなくいいっ!
 ほんの些細なヴァージョン違い?とかもあって、マニア心もくすぐられる1枚です。

 あと2ヶ月近く先ではありますが、フジ・ロックに向けて、なんか盛り上がってきちゃいましたよー。森 陽馬

2005年6月8日(水) スピッツ「宇宙虫」〜「ハートが帰らない」

 スピッツの最高傑作は98年に発表された『フェイクファー』というアルバムだと僕は思っているのですが、今日はあえてそのアルバムの次に発売されたオリジナル・アルバム『ハヤブサ』(POCH-4001 \3,059)の中の曲を。

 名作『フェイクファー』の後、ベスト盤をはさんでの2000年発表作。
 スクーデリア・エレクトロの石田小吉との共同プロデュース。
 一般的にはロック色が強い、とか雑多な雰囲気、との評価のようですが、僕的には全体的に不思議な流れを感じさせるアルバムで好きな作品です。

 特にアルバムの中間に位置する8曲目「宇宙虫」という、そのタイトル通り浮遊感をおぼえる不思議なインスト・ナンバー(石田小吉プロデュース)から、美しいメロディーと歌声が切なくも心に迫る9曲目「ハートが帰らない」への繋がりが見事の一語。

 「ハートが帰らない」という曲はこれ1曲でも素晴らしい曲なのですが、この前曲「宇宙虫」というインストの“引き”があってこそ、より映えるナンバーだと聴いていて実感。この2曲、セットとして考えた方がいいかもしれませんね。

 ちなみに、この「ハートが帰らない」。
 一緒にデュエットしている女性シンガーは、草野マサムネが曲提供したこともある隠れた(?)名女性ヴォーカリスト、五島良子さん。
椎名林檎のアルバムとかで草野マサムネは他の女性シンガーともデュエット何曲かしていますが、この曲が一番息が合っている感じでNice! 森 陽馬

2005年6月9日(木) シャーベッツ 「38 special」

 今朝身支度しながら、「今日は69(ロック)の日だから、ロックな曲聴かなきゃ!」と半ば強制的に自分自身に言い聞かせてから、はて何を聴こうか?と考えたのですが、その2秒後にはこの曲のCDシングルをステレオにセットしていました。

 シャーベッツは、元ブランキー・ジェット・シティの浅井健一が中心のグループで、ユダという別ユニットと平行してブランキー後コンスタントに活動を継続。今年のフジ・ロックにも出演予定。

 で、2000年にでたこの3曲入りシングル(VKCS-4 \1,260)の1曲目に収録されている「38スペシャル」という曲。
 ここ数年で最も“ロック”を感じたといっても過言ではないくらい、発売当時個人的に聴き狂っていたナンバー。(といっても万人にオススメできるような歌ではなく、不快に感じる方もいらっしゃると思うのであしからず・・・)

 決して8ビートの速いナンバーとかではなく、ちょっと酷い例えですが、左とん平「ヘイ・ユウ・ブルース」的なテンポに、ノイジーなギター、そしてシャウトなロック・アレンジを施したような曲調。

 ただ浅井健一の鋭く尖った剥き出しのナイフが心に突き刺さるような歌詞が強烈無比!

♪渋谷とかさ 新宿とかさ 原宿とかさ CMとかさ 政治家の脳みそとかよ 音楽とかさ フォーク・ソングとかよ なんか腐ってない?♪

♪テレビのバラエティー番組とかさ 豚の方がよっぽど純粋だぜ 週刊誌とかさ それを読んでる大人とかよ 〜 学校とかさ 警察とかさ 宗教団体とかさ なんかみんな腐ってない♪

 と、世の腐っているものを羅列。そして
♪お前の銃はどんなんだい? お前の涙はどうなんだい?♪
と聴き手はもちろん、自らをも鼓舞するかのように畳掛ける“ロックな精神”にヤラれた1曲。

“ロック”とは名ばかりのありきたりな大衆ソングが蔓延する最近。
メジャー・レーベルから堂々とこういう曲や新しいバンドが出現してくることを無理だとは思いつつ期待していきたいと思います。森 陽馬

2005年6月10日(金) Lizz Wright 「Old Man」

 ジョージア州アトランタ南部出身、ゴスペル育ちのアフリカ系黒人ジャズ・ヴォーカリストであるリズ・ライトを知ったのは、名ジャズ・ピアニスト、ジョー・サンプルが2002年に発表した名作『ピース・トゥリー』(VACM-1186 \2,548)というアルバムに、ゲストヴォーカルとして参加した時でした。
 うまさだけではなく、深みを感じさせるその歌声に注目を集め、その翌年2003年にソロデビュー作『ソルト』(UCCV-1041 \2,548)をリリース。当店でもロング・セラーになりました。

 そんな彼女が25歳になり2ndアルバム『ドリーミング・ワイド・アウェイク』(UCCV-1071 \2,548)を発売。

  とりあえず購入し、曲目なども特に注目せず1曲目からなんとなく聴いていたのですが、6曲目のイントロがなんとなく聴いたことがあるような雰囲気で・・・。
 あれっ、と思っていたら、やっぱりニール・ヤングのカヴァーでした。

 ニール・ヤング72年発表の名作『ハーヴェスト』に収録されているこのナンバーは、
♪じいさんよ私の生き方を見ておくれ あんたが生きてきたのとそっくりだろう じいさんよ私の生き方を見ておくれ 24年でやることはまだまだたくさんある♪
という歌詞があるように、25歳になった彼女がそういう意味合いも込めて取り上げたのかもしれません。

 他にも「ア・テイスト・オブ・ハニー」や、ヤング・ブラッズで有名な「ゲット・トゥゲザー」のカヴァーも収録。

 “ジャズ・ヴォーカル”というカテゴリーではありますが、かえってロック・ソウル好きな人にこそ聴いてもらいたい美しい1枚です。森 陽馬

2005年6月11日(土) Joe Sample 「Rainbow Seeker U」

 今日夕方18時半ごろ、東京の空に美しい虹が架かったのを皆さんはご覧になりましたか?

 恥ずかしながら31年生きてきて、東京の空にあんなにきれいでくっきりとした半円の虹は初めて見ました。ほんの5分〜10分くらいの短い間でしたけれどね。ちょっとした幸せ。
 ということで、その虹を見た後、何か“虹”or“Rainbow”のつく曲を聴きたいなあ、と思い少し棚を探してこのCDをプレイ。

 クルセイダーズに在籍していることでも有名な名ジャズ/フュージョン・ピアニスト、ジョー・サンプルが97年に発売したアルバム『サンプル・ディス』(WPCR-1217 \2,447) 。
 70年代から活躍している彼の人気曲を再演したセルフ・カヴァー・アルバムで、その1曲目にこの「Rainbow Seeker」の新ヴァージョンが収録。

 「Rainbow Seeker」のオリジナルは、1978年に彼が発表した代表作『Rainbow Seeker』(邦題:虹の楽園)の同じく1曲目に収録されているナンバーで、TV番組の天気予報などでも使われたりしたこともあったゴキゲン&クールなフュージョン・インスト。

 この新ヴァージョンは基本的なアレンジは変わらないものの、彼のピアノがよりプログレッシヴな雰囲気になった感じで、今こうやって聴いていても全く古さを感じないフレッシュな仕上がり。
 この曲以外にも「カーメル」や「飛翔」などの新ヴァージョンは僕、結構好きです。森 陽馬

2005年6月12日(日) ナック 「マイ・シャローナ」

 今年のフジ・ロック・フェスティヴァル。
もちろんビーチボーイズも楽しみですが、このナックも気になって仕方ないんですよね〜。
 
 The Knackはダグ・フィージャーを中心に78年結成、
79年にアルバム『ゲット・ザ・ナック』でメジャー・デビュー。
 現在でも映画やTVなどでよく使われるこの最高にポップなロックンロール・ナンバー「マイ・シャローナ」が大ヒットし、全米ビルボード・シングル・チャートでも1位を記録。一時期は“ビートルズの再来”なんてことも言われていたそうですが、結局一発ヒット屋に終わってしまいました。
(映画『リアリティ・バイツ』でも使われていましたね。)

 しかーし、90年代後期にドラマーにテリー・ボジオ(!)を迎え再結成。
その後も地道に活動していたとのことですが、いやはやフジ・ロックに来日するとは・・・。

 ダグ・フィージャーはメンバーにいるのか?
 ドラムはそのままテリー・ボジオ?
とやや半信半疑な部分もあるのですが、この21世紀に「マイ・シャローナ」をフジロックで大合唱できることに感謝ですね。ちなみに来月、限定価格\1,500で再発予定。森 陽馬

2005年6月13日(月) Tim Hardin 「Reason To Believe」

 この曲を初めて知ったのは、このオリジナルのティム・ハーディンのヴァージョンではなく、ウィルソン・フィリップスが1990年に発表した1stアルバムの中でカヴァーしたヴァージョンでした。

 美しいコーラスと感動的なアレンジが素晴らしいウィルソン・フィリップスのカヴァー・ヴァージョンに比べて、こちらのオリジナルの方は、ほとんどギターの弾き語りで地味〜な仕上がり。
 当時、やっとの思いでこのアルバムを探し出し購入して、楽しみにしながらこのオリジナルを初めて聴いた時は、なんとも退屈なヴァージョンでガッカリしたのが記憶に残っています。
 しかしながら今聴くとこっちの方が、沁みてくるのはやっぱり歳のせいかな?

 ティム・ハーディンはアメリカ、オレゴン州出身。ボブ・ディラン、フレッド・ニールらと共に60年代グリニッジ・ヴィレッジのフォーク・シーンにて活躍したシンガー・ソングライター。
 この作品は66年に発表された実質的な1stアルバムで、ティム・ハーディンというと、“フォーク”というイメージが強いかもしれませんが、アルバム内にはブルース・R&Bナンバーなども収録。

 ちなみにこの曲はウィルソン・フィリップスの他にも、ピーター・ポール&マリー、ロッド・スチュアートなど多くのアーティストがカヴァー。

 ティム・ハーディンはその後もボビー・ダーリンに曲を提供したり、自身もアルバムを発表し続けたものの、1980年に麻薬過剰摂取で残念ながら死亡しています。森 陽馬

2005年6月14日(火) 『XANADU』サントラより
Olivia Newton-John & Gene Kelly 「Whenever You're Away From Me」

 久しぶりに映画『ザッツ・エンターテイメント』(1974年公開)を見て感激しての“今日のこの1曲”です。

 この映画は一言で言うならMGM社のミュージカルの歴史ということになるでしょうか。
 1920〜1950年代に作られた古き良き時代の映像を見せながら、当時出演していたフランク・シナトラ、フレッド・アステア、ビング・クロスビーなどがコメントを加える、という手法の映画です。

 初めて映画館で見て以来、いつ見ても、オープン・セットの凄さ、技術に裏打ちされた踊りの華麗さ、映画に携わった人々の心意気に圧倒されるというか、感激するというか・・・。

 前ふりが長くなりましたが、その映画の中で「雨に唄えば」の名シーンほか、創造力豊かなステップをたくさん見せてくれたジーン・ケリーにスポット・ライトを。
とは言ってもちょっと変わったところですが・・・。

 1980年制作の『ザナドゥ』に彼がちょっと出演してオリヴィア・ニュートン・ジョンと一緒に歌っている曲です。
 曲を作ったのはジョン・ファーラー。
 この人の名前が出てくると、シャドウズのハンク・マーヴィンとブルース・ウェルチとのトリオの曲が聴きたくなったりしますが、今日はジーン・ケリーのあの踊りと歌を思い出しながら、この「気の合うふたり」を。 森 勉

2005年6月15日(水) The Memphis Horns 「Knock On Wood」
 “Aretha Franklin & King Curtis Live At Fillmore” より

 Rhinoレーベルの再発プロジェクト、ライノ・ハンドメイド・シリーズより、全世界完全限定5000枚で、アレサ・フランクリン&キング・カーティス『ライヴ・アット・フィルモア』が発売。

 なんと4枚組CD、全61曲、その内42トラックが未発表音源!というボリューム。ライノ・ハンドメイドの限定CDということもあり、その分値段も高いので、「アレサのフィルモアのライヴ盤は持っているしなあ・・・」と悩みつつケースを開けて聴いてみたら・・・。

 “!!! これって新録じゃないの?”っていうくらいにクリアな音質、そしてまだアレサも登場していないのに、ありえないくらいファンキーな演奏にすっかりノック・アウト!

 熱い演奏の中にも研ぎ澄まされたリズム隊、特にバーナード・パーディのドラミングは奇跡的! 誇張過多に感じるかもしれませんが、とにかく一気にアドレナリンが上がりましたね。こんなの久々。

 続いてキング・カーティスがコールされてからのレッド・ツェッペリン作「Whole Lotta Love」、ビリー・プレストンのキーボード・ソロも聴きもの! ああこの場にいたかった〜。(といってもこのライヴは1971年3月、僕まだ生まれてませんでした・・・)森 陽馬

2005年6月16日(木) Aretha Franklin 「Respect」(未発表version)
 “Aretha Franklin & King Curtis Live At Fillmore” より

 昨日に続き、アレサのフィルモア・ウエスト・ライヴより。

 この4CDには、1971年3月5、6、7日の3夜がほぼ完全版で収録されているので、アレサ登場曲のこの「リスペクト」も3日分各3ヴァージョン収録されているのですが、実際に当時発売されたアレサ『ライヴ・アット・フィルモア・ウエスト』では、3日目の「リスペクト」が使われたようで。

 もちろん今までのその既発ヴァージョンも、オリジナルとまた違ったハイテンション&ハイテンポな演奏・歌唱が気に入っていたのですが、今回の未発表ヴァージョンを聴いてビックリ!
 特にディスク1に収録されている1日目の「リスペクト」はその3日目のオフィシャル・ヴァージョンを遥かに凌駕するハイテンションぶり!

 というか、この1日目の「リスペクト」はとにかくドラムが走りまくり!
やたらハイテンポで、中間のサックス・ソロもコーラス隊もそのテンポについていけないような勢いの演奏。

 冷静に聴くと実際の演奏の質としてはやはりオフィシャル音源化された3日目のヴァージョンの方が、まとまりがあって構成も見事ではあるのですが、でもこの荒々しくてワイルドな演奏に、生々しいアレサのシャウトが最高かっこいい未発表ヴァージョン、僕は好きですね〜。森 陽馬

2005年6月17日(金) Solu Music 「Sweet Thing」

 “CLUB MUSIC”、“ハウス”というと偏見がある人が多いとは思いますが、この作品は本当に良質で暖かいCLUBサウンドでオススメの1枚。

 まあ正直言って、かくいう僕も雑誌などで激押しされているCLUB MUSICのCDを購入してみて、ハズしたことは数多いのですが、今年発売されたこのSolu Musicの1stアルバム『Affirmation』(KCCD-172 \2,520)は、聴きやすいので最近ヘヴィー・ローテーションです。

 Solu Musicは、ニューヨークを拠点に活動している、Howie CapseとDano Nathansonの2人によるユニット。
 2001年頃に発売された12インチ「Fade」が当時クラブ・ヒットし、EMMAなどのMIX CDにも収録。

 その「Fade」(国内盤のみボーナス・トラックとして収録)を中心にアシッド・ジャズ的なアプローチや、心地良いラテン・ハウス風味なトラックなど、生音とエレクトロニカの融合がいい意味で絶妙なナンバーが中心。(インスト半分、女性ヴォーカル入りが半分という感じ)

 今日のこの1曲もそういう曲にしようと思ったのですが、あえてそのような雰囲気とはまた違ったアンビエントかつアコースティックな魅力を持ったこの「Sweet Thing」を。
 
 最初曲目を見て、まさかなー、なんて思ったら本当にヴァン・モリソンの名曲カヴァーでビックリ。基本的にはオリジナルに忠実にカヴァー。くどくない透明感ある女性ヴォーカルお好きな方にも推薦できる作品です。森 陽馬

2005年6月18日(土) The Beatles 「Here There And Everywhere」

 1942年6月18日、リヴァプールに生まれたポール・マッカートニーは、今年で63歳。
 それを祝って“今日のこの1曲”はこの曲。

 アルバム『リヴォルヴァー』は英米では1966年8月(日本では10月)に発売されました。
 ジャケットを見ただけで期待は高まり、A面1曲目がジョージ・ハリスンの曲となれば、もう早く聴きたいということで、発売日にレコードを買いに行った記憶があります。

 1,750円也。
 当時の中学生にとっては結構な出費だったけど、大満足の1枚でした。

 最初に一番好きになったのがこの曲。
 ポールの優しさあふれる歌声とシンプルなコーラスが見事に溶け合っている。

 後年、リード・ヴォーカルはテープ速度を遅く録音し、それを速めたものが使われたことを知り、普通に聴こえるのに、普通じゃない手のかけ方に、妙な感動を覚えたりもしました。森 勉

2005年6月19日(日) 東京ローカル・ホンク 「カミナリ」

 タワー・レコード新宿店にて15時より、東京ローカル・ホンクのレコ発インストア・ライヴ。

 店内でのライヴなのでアコースティック・セットだろう、と勝手に予想していたら、ほぼ普通のセットと変わりない大きな音でビックリ。
 タワレコ店内に、ガツン!と響いた「カミナリ」は快感でしたね。

 うずまき時代のアルバムにも「カミナリ」は収録されていましたが、この東京ローカル・ホンクのアルバムにも「カミナリ」は収録。
 基本的な歌詞や曲は同じではありますが、アレンジが別ヴァージョン。
 好みは人それぞれかもしれませんが、“進化”した「カミナリ」を楽しむことができます。

 ちなみに今日のインストア・ライヴでのヴァージョンは、またその新ヴァージョンともほんの少し違うエディット(?)・ヴァージョン。
 中盤、木下さんのギター・パフォーマンスがやや短い間奏ではありましたが、田中さんのドラミング、新健さんのベース、井上さんのスライドも店内とは思えないほど迫力充分!
 25日(土)には恵比寿タワーカフェでもインストア・ライヴ開催予定です。森 陽馬

2005年6月20日(月) ビーチ・ボーイズ「ファン・ファン・ファン」

 ♪ ハッピー・バースデイ! ブライアン! ♪

 今日は、ブライアン・ウィルソンの63歳の誕生日。
ということで、あえて今日のこの1曲は、このアルバムから。

 ビーチ・ボーイズ『ライヴ・アット・ネブワース1980』(CD \2,520もDVD \3,990も国内盤で発売中)は、1980年6月21日に、イギリスはロンドンのやや北に位置するネブワースで行われたコンサートを収録したライヴ盤。

 今は亡きデニス、カールと、ブライアンの3兄弟が揃い踏み!
 しかしながら、この当時のブライアンはまだまだ精神的な病が深刻な時期、ということもあり、「スループ・ジョン・B」の出だしの部分や「サーファー・ガール」の中間部の一部を歌うだけで、キーボードの前で置物状態・・・。
 
 でもこのライヴからちょうど25年が経ったわけですね。

 そういう面から考えると、明日入荷予定のブライアン・ウィルソン『スマイル』(WPBR-90482 \6,900)(当店でも発売中!)で見られるブライアンの“スマイル(笑顔)”は、ファンにとっては感激もひとしおですよね。

 ちなみにこのアルバムでの、マイク・ラヴの素晴らしさについても言及したいのですが、それはまたいつか、ということで。森 陽馬

2005年6月21日(火) Bonnie Pink 「Your Eyes」

 ボニー・ピンクが山下達郎の名曲をカヴァー。

 73年生まれの彼女は1995年にメジャー・デビュー、日本人離れしたそのセクシーな歌声と名プロデューサー、トーレ・ヨハンソンとのコラボレートで注目を浴び、その後も着実に良質な作品を発売。

 今作は、デビュー10周年記念盤ともいえる全曲カヴァー・アルバム(WPCL-10193 \2,400)で、この曲以外にもフェアーグラウンド・アトラクション、エイミー・マン、プリテンダーズや、プリンス作のバングルスのヒット曲「Manic Monday」、更には、サザンの「真夏の果実」なども収録。

 で、この「Your Eyes」。
 オリジナルは山下達郎が1982年に発表した名作『For You』に収録されている大名曲で、現在でも彼のコンサートでは、アンコール後の最後に必ず歌われる曲として、ファンの間でも思い入れの大きいナンバー。(この曲を選んだということは、彼女は達郎マニア?)

 その「Your Eyes」をここでは全く違うアレンジで、なんとSKA調にしてカヴァー。
 川上つよしと彼のムードメイカーズ(東京スカパラの川上つよしのオーセンティック・SKAユニット)をバックに、オリジナルとはまた違ったゴキゲンかつほどよい郷愁も感じさせるSKAナンバーに仕上がってます。

 賛否両論あるかもしれませんが、僕的には、これはこれで演奏も含めかなり満足の仕上がり。でもポップ・センスあふれる彼女ですから、次はオリジナル・アルバムを期待。森 陽馬

2005年6月22日(水)Annie Ross 「I Feel Pretty」

 ジャズ・ヴォーカルというと、スローなバラード、というイメージが強く、実際話題に上ることも多いのですが、アップ・テンポのナンバーも演奏の面含め魅力のひとつ。

 特にアニー・ロスは、アップ・ナンバーを歌わせたら彼女の右に出るものはいない、と僕は思っているほど、魅力的な女性ジャズ・シンガー。
 
 そのアニー・ロスは50年代末にランバート・ヘンドリックス&ロス(LH&R)というヴォーカル・トリオの中で、紅一点で活躍。LH&Rのアルバムが名盤として人気も高いのですが、57年に発表したこのソロ・アルバム『sings a song with mulligan! (邦題:アニー・ロスは歌う)』も負けず劣らず素晴らしい出来の作品です。

 アルバムの1曲目に収録されているこの「アイ・フィール・プリティ」は、名ミュージカル『ウエスト・サイド物語』でお馴染みのナンバー。
 
 ジェリー・マリガン(バリトン・サックス)、アート・ファーマー(トランペット)、チェット・ベイカー(トランペット)という超豪華バック陣を従え、キュートかつハスキーな歌声で堂々とテンポ良く歌うアニー・ロス。素敵です。

 でもなぜか現在CDは廃盤状態。
 ブルーノート廉価盤もよいけど、東芝さん、
こういう名盤もカタログ化してほしいところです。森 陽馬

2005年6月23日(木)The Happenings 「I Got Rhythm」

 ハプニングスは、アメリカ、ニュージャージーで結成された4人組コーラス・グループ。

 1966年からの2年間、独特のハーモニーで、とても印象的なヒットを放ちました。
 そのヒット曲はすべて昔の曲をアレンジし、彼らのスタイルにしたものでした。

 当時の若いファンに古き良き時代の楽曲を聴くことで、知らせてくれた貴重な存在と言えるでしょう。

 「シー・ユー・イン・セプテンバー」、「ゴー・アウェイ・リトル・ガール」、「グッド・ナイト・マイ・ラヴ」、「マイ・マミー」など、どの曲を取り上げるか迷いましたが、「アイ・ガット・リズム」にしました。

 1930年のジョージ&アイラ・ガーシュイン作品で、ミュージカル『ガール・クレイジー』のために書かれた曲ですが、その後、様々なアーティストによって歌い継がれ、1951年MGM映画『パリのアメリカ人』の中で、ジーン・ケリーが子供達と一緒に歌ったものもあります。

 僕らの世代は、ハプニングスの
♪トゥットゥットゥッ・・・リズム♪という斬新な解釈で知ることになりました。
 1967年全米第3位。 森 勉

2005年6月24日(金) John Hiatt 「Mater Of Disaster」

 ジョン・ハイアット、快心の新作!(BUF-128 \2,500)

 日本での一般的なネームヴァリューはそれほどではないものの、アメリカン・ロック・ファンならば末永く追っかけている方も多いはずのジョン・ハイアット。そんな彼の22作目となる新作は、タイトルがなんと『マスター・オブ・デザスター』。(“disaster”は、災害とか天災、もしくは負け犬の意もある)

 更にジャケットは、そのタイトルにちなんでか、メジャーレーベルとインディーレーベルを行ったりきたりしている自らの音楽人生を皮肉るかのように“Master Of Disaster”という名のベテラン覆面レスラーを配すという徹底ぶり。(内ジャケットにはこの覆面レスラーがロープを跨いでリングインしている写真もあり!)
 このセンス、素敵です。

 彼の長年の盟友でもあるジム・ディッキンソンがプロデュース。
 しわがれた彼独特の歌声に、武骨なロックがなんともゴキゲン!

 ピーター・バラカンさんが、
“この作品は将来、ハイアットの過去を振り返る時、『ブリング・ザ・ファミリー』(1987年発表作)と並ぶ名盤として語られることになるでしょう。”
 と、絶賛しているように、アメリカン・ロック・ファンならば満足すること間違いなし!の傑作ですね。森 陽馬

2005年6月25日(土)The Allman Brothers Band 「In Memory Of Elizabeth Reed」

 いや〜。くそ暑くなってきましたが、こんな暑い時にこそ、くそ熱いサザン・ロックをガツンと聴きたくなるのです。

 ということで、サザン・ロックの雄、オールマン!
 1970年アトランタ・ポップ・フェスティヴァルでの未発表ライヴを収録した2枚組CD(MHCP-139 \3,780)より、邦題「エリザベス・リードの追憶」を。

 オールマンというとやはり、71年に急逝したデュアン・オールマンのギター・プレイばかりが取りざたされますが、この曲「エリザベス・リードの追憶」は、同じくオリジナル・メンバーでギタリストのディッキー・ベッツの作品。

 この二人によるアグレッシヴながらも叙情性あふれるツイン・リードが印象的なインスト・ナンバーで、オリジナルは、70年発表の2ndアルバム『Idlewild South』に収録。他にも71年発表ロック・ライヴ名盤『Live At Fillmore East』などにも収録され、オールマンの初期を代表する名曲。

 このライヴ盤の音源は、オリジナル・ヴァージョンが発売される前のライヴなので、多少のミス・トーンなどがあるものの、それを物ともせずテンポ・アップする瞬間がまさに鳥肌もの! 13分が全く長く感じませんね。

 現在も活動しているオールマンですが、すでにデュアンは天国、ディッキー・ベッツは近年脱退してしまい、オールマンの公式サイトを見てみても、最近はたまにしかやらないナンバーのようです。

 でも現在のオールマンを支える若き天才ギタリスト、デレク・トラックス(叔父がオリジナル・メンバーのブッチ・トラックス(ds)にあたる)がこの曲を弾き倒すのを、生でいつか聴いてみたいなあ、と思っております。森 陽

2005年6月26日(日) Derek Trucks Band 「Joyful Noise」

 早朝6時から友人とテニス。
 テニスコートに向かうまでさすがに寝ぼけ眼で車の運転・・・でしたが、この曲をカーステレオで聴いてたら、一気に目が覚めてきましたね。

 デレク・トラックスは若干26歳! 昨日の“今日のこの1曲”でも紹介したオールマン・ブラザーズ・バンドの現在のリード・ギタリスト。オールマンには1999年頃から正式に加入したようですが、もはやファンの間では、すでにデュアン・オールマンを超えたとの声もあるほどの実力を持ち、オリジナル・ソロ・アルバムもすでに何枚か発売。

 この作品『Joyful Noise』(SICP-271 \2,520)は2002年発表、ソニー/米コロンビアに移籍後第1弾アルバム(3rd?)。
 現在の奥さんでもあるスーザン・テデスキ(この女性、僕的には新世代のボニー・レイットって感じで大好き)がヴォーカル参加したブルース曲や、ゲスト参加したソロモン・バークの迫力満点なヴォーカルが楽しめるR&Bナンバーなども魅力ですが、全体的にもインド音楽、ワールド・ミュージック、ジャズなどの影響も感じられる奥深い名作です。

 昨年5月に渋谷クワトロで行われたライヴは、正直言ってそこまで客入りはよくなかったのですが、見に行かれた方なら皆、“伝説をこの目で見た!”という感動と興奮があったはず! そのぐらい彼のギター・プレイは圧巻でした。

 特にアンコール前のラストにやったこの「ジョイフル・ノイズ」。
 静から動へスイッチ・オンされた際のギター・ソロはホント、ヤバかったですね〜。オールマンでもソロでもいいので再来日を切に望む!

 ちなみにその時のアンコール曲は、カーティス・メイフィールドの「フレディーズ・デッド」でした。森 陽馬

2005年6月27日(月) ビーチ・ボーイズ 「Wouldn't It Be Nice」〜
『ペット・サウンズ・セッションズ』より、ファースト・ステレオ・ミックスVersion

 レコード業界には廃盤というものがある。

 毎月、おびただしい数の商品が出るのだから、以前出たものを廃盤にしていかないと大変なことになるというのはわかる。
 しかし、それは残しておいて欲しい、というのが、ファンの気持ちにはあって・・・。

 今回、東芝EMIの廃盤商品通知の中に、この『ペット・サウンズ・セッションズ』が含まれていたのは、誠に残念。

 1997年11月27日 日本発売。
 名盤『ペット・サウンズ』を様々な角度から楽しめる4枚組。
 貴重なデータ、インタビューなどの120ページを越える解説ブックレットは、やはり日本語訳がないと・・・。

 それにディスク1に収められたこの曲のステレオ・ミックスは貴重なヴァージョン。1分06秒あたりに(“May If WeThink ・・・”の歌詞の所)、オリジナル・モノ・ヴァージョンでは、マイク・ラヴのヴァーカルだが、ここではブライアン・ウィルソンが歌っているものが収録されている。
 
 その時、初お目見えだったステレオ・ミックスのほか、別テイク、カラオケ、ヴォーカルのみなど、いいボックスだったのになぁ・・・。森 勉


★ちなみに今日は、ブルース・ジョンストンの誕生日でした♪

2005年6月28日(火) Shack 「Byrds Turn To Stone」

 昨日に引き続き、今月で国内盤が廃盤になってしまう名作を。

 “シャック”は、リヴァプール出身のマイケル・ヘッド&ジョン・ヘッドの兄弟による正統派ロック・グループ。
 マイケル・ヘッドが在籍していたネオアコ/ギター・ポップ・ファンにはお馴染みのグループ、“ペイル・ファウンテンズ”が85年に解散後、88年にシャックとして1stアルバムを発売。その後も寡作ながら地道に活動を続け、2003年に発売されたのがこの4thアルバム『...here's tom with the weather』(TFCK-87369 \2,415)。

 発売当時、ストレンジデイズ誌のディスク・レビューにて、岩本晃市郎氏が絶賛していたものの、国内盤はなかなか発売にならず、やっと昨年9月に発売になったと思ったら、すぐに廃盤になってしまいました。

 で、この曲は3曲目に収録されていて、タイトルからもしや・・・と思っていたら、出だしから12弦ギターのいかにも“バーズ”っぽいフォーク・ロック的なメロディック・ナンバーで思わずニヤリ。

 更には、
♪何千マイルもの道を僕と一緒に
 「Wild Mountain Thyme」を聴きながら・・・♪
なんていう歌詞まで出てくるのですから、マイケル・ヘッドのソング・ライティングのセンスには改めて脱帽!
(“The Byrds”は60〜70年代に活躍したロック・グループで、「Wild Mountain Thyme」は彼らが66年に発表したアルバム『Fifth Dimension』に収録。ちなみにこのアルバムには「Eight Miles High」というナンバーも収録。)

 他にもいい曲がたくさん収録されているこのアルバム。
 それだけに、いつか発売になるであろう次のアルバムも国内盤が発売になればいいのですが・・・。森 陽馬

2005年6月29日(水) arcoiris 「Agora Tento」

 アートと音楽の融合を目指し、Club Musicに限らず先鋭的な音楽・アーティストを輩出しているイタリアの名レーベル、IRMA(イルマ)。その中の更に音楽ジャンルのこだわらない新世代のアーティストを世に送り出すことにコンセプトを敷く“sunaphone”という小さいレーベルから、2004年に発売されたのがこのグループ、arcoiris。

 北イタリアに位置する都市、ボローニャを中心に活動しているブラジリアン・ジャズ・グループで、僕もくわしいことはよくわからないのですが、どうやらこれが1stアルバム。

 ブラジリアン・ジャズというと、洗練された爽やかなイメージがありますが、このグループは、かなり土着的なブラジルのリズムを多用したスピリチャルなジャズといった感じ。
 女性ヴォーカルが入っている曲もありますが、ヴォーカル主体というよりは、即興的な演奏で聴かせる生ジャズといった雰囲気で、ある意味ワールド・ミュージック的な感覚で聴ける1枚。Club Musicお好きな方にもオススメかも。
 

 昨年店舗があった時にも店内で時々かけていたのですが、ちょっと変わった?音楽なので、問い合わせも結構あった1枚。
 この曲もトランペットとパーカッション、女性ヴォーカルのアンサンブルが不思議な感じで、ブラジル/ジャズ・ファンに限らず、ラウンジ感覚でも楽しめる作品です。
 
 ちなみに“arcoiris”とはポルトガル語で“虹”の意。森 陽馬

2005年6月30日(木) 山下達郎 「Groovin'」

 本日の報知新聞・芸能欄に載っていたのですが、山下達郎の久々となる新作オリジナル・アルバム『SONORITE』の発売日が9月21日に決まったようで。

 公式HPには、まだ情報がアップされてないですし、数年前には“達郎 ユニヴァーサルへ移籍”なんていうガセネタ?を掲載した前科のある報知新聞ですから、完全に確定かどうかは定かではないのですが、今年中に発売になるのはほぼ決定と言っていいでしょう。(本人も、近々ラジオでも発表します、とおっしゃっていましたし・・・)

 前作のオリジナル・アルバム『COZY』が98年発売でしたから、もう7年が経つのですね。

 この間、「忘れないで」、「太陽のえくぼ」、「Forever Mine」、「Midas Touch」、「フェニックス」などのシングル曲がありましたし、他人に提供したセルフ・カヴァーなどの話題曲なども収録されることを考慮にいれると、アルバムに収録される純粋な新曲は5〜6曲くらいかもしれませんが、僕個人の希望としては、何か1曲くらいは、山下達郎氏自身が好きな曲のカヴァーを歌って欲しいところ。

 例えば、この91年に発表された作品『アルチザン』。
 
 「ターナーの汽罐車」や「さよなら夏の日」などのシングル曲ももちろん収録されていましたが、ラストにこっそり収録されていた「グルーヴィン」。
 彼が敬愛するフェリックス・キャバリエ率いるヤング・ラスカルズ、67年発表作『グルーヴィン』からのカヴァー曲。

 セールス面も重要かもしれませんが、こういう趣味的な部分でも楽しませてくれる作品であって欲しいですね。(いちファンの我儘な物言いでスミマセン)森 陽馬




トップへ
戻る