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 今日のこの1曲コーナー

ペット・サウンズ・レコード店にて、その日に店内でかけていた曲の中から
店員の独断と偏見で選んだ“今日のこの1曲”をご紹介いたします。

以前こちらで掲載した“今日のこの1曲”は“今日のこの1曲 アーカイヴス”コーナーにてご覧になれます。

◆こちらでご紹介している商品もご注文いただけます◆

くわしくは通販コーナー、もしくは直接こちらまでご連絡くださいませ。
(廃盤・生産中止になっている商品もございますので、その際はご了承くださいませ)



2025年12月7日(日) クリス・モンテス 「ホエア・アー・ユー・ナウ」

クリス・モンテスのA&Mレーベル時代のアルバム4枚が、2枚組CDに全曲収録された形で再発されました。

CHRIS MONTEZ『The More I See You/Time After Time/Foolin' Around/Watch What Happens』
(輸入2CD 全46曲収録 BGO BGOCD1558)

4枚のアルバムがタイトルになっていますが、1966~68年にかけて発売されたものです。
どのアルバムもA&Mレーベルらしいソフト・サウンディング。
クリス・モンテスの力の抜けたヴォーカルと、バックのさりげないながらも細やかなアレンジが冴えています。

「コール・ミー」、「ザ・モア・アイ・シー・ユー」、「あなただけを (There Will Never Be Another You)」、「タイム・アフター・タイム」、「ビコーズ・オブ・ユー」、「愛の聖書 (Nothing To Hide)」など、ヒット曲満載。

ハーブ・アルパート、トミー・リピューマ、ニック・デカロなどにサポートされたA&M時代のクリス・モンテス。
僕は大好きです。

今日の1曲は、トニー・ハッチ&ジャッキー・トレント作品「ホエア・アー・ユー・ナウ」。森勉



2025年12月6日(土) 生活の設計 「タイニー・シャイニー」

レコードのプレス会社:東洋化成が、「アナログ盤の魅力を多くの人に知ってもらおう」とのコンセプトで2015年から主催してきたイベント、<レコードの日>。
2025年はDAY1(11月1日)とDAY2(12月6日)に分かれて、様々なレコードが発売されました。

当店に本日入荷したのは、江利チエミ7種、3776(
当店のみのアクスタ特典付!)、浦沢直樹、ブルー・ハーツトリビュート12inch&7inch、冨田ラボ、サテライト・ラヴァーズ、Bonnie Pink、クリィミーマミ(太田貴子)、ラ・ムー、岡崎友紀、福原希己江、きのこ帝国、『猫の恩返し』サントラ、笹生実久、登川誠仁&大城美佐子、生活の設計、コーレッツ、かもめ児童合唱団、TIDELAND、Swinging Popsicle、etc...。

今日のこの1曲は、生活の設計「タイニー・シャイニー」をピックアップ♪

生活の設計『タイニー・シャイニー/君に起こりますように』
(国内7inch 完全限定盤 SKSK-003 2,200円税込)

生活の設計(これがバンド名)は、大塚真太朗と大塚薫平の兄弟による音楽ユニット。
喫茶ロック/フォーキーなイメージでしたが、マーサ&ヴァンデラスやThe Whoで有名な「Heat Wave」的イントロから始まる「タイニー・シャイニー」は、弾けまくったポップ・ロック・ナンバー! ノリがよくて繰り返し聴きたくなる超ゴキゲンな曲でした。

大塚真太朗さんのコメントによると、ザ・リボンズ『君に届かない歌を大いに歌う』を雑誌記事きっかけで聴き、その時のトキメキをこの曲「タイニー・シャイニー」に込めたそうです。

なお、2025年10月15日に配信リリースされた生活の設計の2ndアルバム『長いカーブを曲がるために』が、アナログLPで2026年2月11日発売決定いたしました。(国内LP SKSK-004 3,800円)
GREAT3の片寄明人が2曲参加し、ブックレットには大塚兄弟と片寄さんの対談も掲載とのこと。楽しみですね。森陽馬


2025年12月5日(金) Khruangbin 「People Everywhere Ⅱ」

<クルアンビン的>という表現が近年増えてきました。

クルアンビンが2015年にデビュー・アルバム『The Universe Smiles Upon You』を発表して早10年。
この間世界各国をツアーし、色々な作品を発表して人気を確立/影響力を持った証拠でしょう。

その10年前のデビュー作と同じ日付、同じ録音場所で新たにレコーディングしたアルバムが本日発売されました。

Khruangbin『The Universe Smiles Upon You Ⅱ』
(国内CD 日本盤のみボーナス・トラック追加収録 日本語解説付 DOC383JCD 2,750円/輸入LPもあり)

アメリカ/テキサス州ヒューストン、地元の教会でゴスペルを一緒に演奏していたMark Speer(G)とDonald DJ Johnson(Dr)に、女性ベーシストLaura Lee Ochoaが加わった3人バンド、クルアンビン。
彼らの地元、ヒューストンとオースティンの間くらいの農場にある通称「The Barn」こと納屋で、「10年前に戻れるならば、自分たちに何を伝えるか?」をコンセプトに、その10年前に録った楽曲を今の彼らが新たに録音した1枚です。

麻薬のような中毒性ある浮遊感に満ちたグルーヴはそのままに、<陰>だけでなく<陽>のオーラが加わった雰囲気で、原点回帰ながら窓を開け放った2024年作『A LA SALA』(
2024年4月5日今日のこの1曲で紹介)の流れを感じさせます。

今日のこの1曲は、よりライヴ・アレンジに近づいた感があるキラー・チューン「People Everywhere Ⅱ」。森陽馬


2025年12月4日(木) 田中ヤコブ 「いつか終わる恋のために」 feat.榊原香保里

4人組ロック・バンド、家主(やぬし)のヴォーカル/ギターとしても活躍する田中ヤコブ。
家主と平行して、1年に1枚のペースでソロ作を発表している彼の5作目となる新作『にほひがそこに』がリリースされました。

田中ヤコブ『にほひがそこに』
(国内CD 歌詞付 NFD-024 2,750円税込)

歌、演奏、録音、ミックスすべて自身で手掛けるソロ最新作は、彼らしいポップなメロディもありながら、これまでのソロ作ともまた違ったメランコリックな雰囲気を持った作品に。
家主で聴けるような爆発力のあるギターは抑えめに、自身で重ねたコーラスと、柔らかく淡々と弾く鍵盤の音色が印象的に響きます。

穏やかなアコースティック・ギターに重なる、深いため息...。
Lamp榊原香保里が参加した、甘く切ないデュエット曲「いつか終わる恋のために」が気に入っています。
2人の素のやりとり、歌詞にも出てくる「蛍の光」が曲中に挟み込まれたり、独特なリズムも含め、不思議な余韻を残す1曲です。

続く「Something In The Air」でも彼女のハミングがフィーチャーされています。
ふわふわとした鍵盤の音色が耳に残るこのインストで今作は締めくくられます。東尾沙紀


2025年12月3日(水) 細野晴臣 (ギター:徳武弘文)「ラヴ・ミー」

12月に入りました。
今年を振り返る時期になりました。

2025年の今年、残念ながら多くのミュージシャンがお亡くなりになってしまいました。

5月には、僕の大好きな日本のギタリストがお二人、天に召されました。

エディ藩さんと徳武弘文さん。
違うタイプのギター・プレイを得意にするお二人。
エディ藩さんはブルース・ロック、徳武さんはカントリー・スタイルを基本にされていました。

今日は<ドクターK>こと徳武さんの独特なギタープレイが聴ける1曲を。

細野晴臣さんが2011年に発表した『HOSONOVA』に収録されているエルヴィス・プレスリーのカヴァー「ラヴ・ミー」。
この曲で徳武弘文さんはなんとも印象深いギターの音色を聴かせてくれます。

なお、このアルバム『HOSONOVA』は、2025年10月に重量盤アナログLPで再発されています。森勉

★細野晴臣『HOSONOVA』
(国内LP 生産限定重量盤 VIJL-60377 4,730円税込)


2025年12月2日(火) Chris Rea 「Driving Home For Christmas」

12月に入り、ラジオや街中からクリスマスの曲が聴こえてくるようになりました。

店で最近よくかけているクリスマス・アルバムは、先月末発売されたこの1枚です。

Chris Rea『The Christmas Album』
(輸入CD Warner 5021732863638)

渋い歌声が魅力の英国出身男性シンガー、クリス・レア。
人気曲「Driving Home For Christmas」含む、クリスマス関連曲を集めた全8トラック入りの作品集です。

クリスマスの日に大切な人が待つ家へ車を走らせて帰る時の、なんとも言えない気持ちが伝わってくる「Driving Home For Christmas」。とても華やかな多幸感に包まれますね。

本作には1988年にシングル発売され皆に親しまれているヴァージョンに加え、1986年にシングル「Hello Friend」のB面として最初に世に出たオリジナル・ヴァージョンもアルバム最後に収録されています。森陽馬


2025年12月1日(月) 大滝詠一 「FUSSA STRUT part.1」 (『NIAGARA TRIANGLE Vol.1』より)

大滝詠一・伊藤銀次・山下達郎による1976年発表作『ナイアガラ・トライアングルVol.1』の50周年記念盤が、2026年3月21日に3形態発売決定いたしました。

・『NIAGARA TRIANGLE Vol.1 VOX』
(3CD+Blu-ray 完全生産限定盤 SRCL-13550 19,000円税込)

・『NIAGARA TRIANGLE Vol.1 50th Anniversary Edition LP』
(LP 重量盤アナログ・レコード 完全生産限定盤 SRJL-1178 4,400円税込)

・『NIAGARA TRIANGLE Vol.1 50th Anniversary Editipn CD』
(CD+DVD SRCL-13554 4,200円税込)

完全生産限定盤VOXのブルーレイと通常盤付属のDVDには、オリジナル発売当時に制作されたプロモーション用スタジオライヴ映像『Fussa 45 Studio Live 1976』が収録されるそうです。収録曲の詳細は後日告知予定とのこと。楽しみですね。

本作オリジナルの11曲は、大滝詠一作3曲、伊藤銀次作4曲、山下達郎作3曲で構成されていました。
大滝詠一作は「FUSSA STRUT part.1」、「夜明け前の浜辺」、「ナイアガラ音頭」の3曲。

この中で、「FUSSA STRUT part.1」には坂本龍一が参加しており、細野晴臣との初遭遇だったそうです。
映像『FUSSA 45 Studio Live 1976』にも、YMO前夜・坂本龍一の貴重な動画が映っていますし、”トライアングル”の3人だけではなく、色々なミュージシャンや音楽ジャンルの交差点として、この機会に本作を改めて聴き込みたいと思っています。

ちなみに、1975年作『ナイアガラ・ムーン』に「FUSSA STRUT part.2」が入っていますが、「2があるなら1も」ということで、「part.1」の方が後に作られた楽曲でした。いかにもナイアガラ的なエピソードですよね。森陽馬


2025年11月30日(日) Lou Courtney 「I Don't Need Nobody Else」

ソニー・ミュージックから出た<発掘!洋楽隠れ名盤>再発CDシリーズがオススメです。

60~70年代の洋楽隠れ名盤が、日本語解説付で1,300円+税。
第1弾が2025年3月12日、第2弾が11月5日に国内CDで全79タイトル発売されました。

「ジャケットは見たことがあるけれど聴いたことがない1枚」
「有名ミュージシャンの知らなかったアルバム」
「レコードは持っているけれどリマスターCDで聴き直したい作品」
等々を、安心の国内盤、日本語解説付、お買得な価格で手にできるのはうれしいですね。

シリーズ中、11月6日に紹介したザ・グループと同様に、当店で好評なのがルー・コートニーです。

ルー・コートニー『I'm In Need Of Love』
(国内CD 林剛氏による日本語解説付 SICP-6750 1,430円)

2008年1月に限定紙ジャケでCD化された時にも人気が高かった1枚。(2008年1月25日今日のこの1曲で紹介)
程なく生産中止になり、入手困難な状態が続いていましたが、ボーナス・トラックはそのままで、値段が安くなりました。

ルー・コートニーは、後にフィフス・ディメンションにも加入したというニューヨーク出身黒人男性シンガー。
本作は1974年発表、ジェリー・ラゴヴォイとの共同プロデュースによる2ndアルバムです。

今日のこの1曲は、70'sメロウ・グルーヴ・ソウルで心地良くもかっこいい「I Don't Need Nobody Else」。
<マーヴィン・ゲイ+フィリー・ソウル>的なセクシーかつメロウ・グルーヴな歌とサウンドが最高! 森陽馬


2025年11月29日(土) The Style Council 「Take It To The Top」(Demo)

ポール・ウェラーとミック・タルボットによるユニット、スタイル・カウンシルが1984年に発表した1stフル・アルバム『カフェ・ブリュ』。

『カフェ・ブリュ』といえば、ウェラーが現在もライヴで演奏する「My Ever Changing Moods」、「Headstart For Happiness」や、トレイシー・ソーンをフィーチャーした「The Paris Match」などを収録した名作♪

2026年1月30日に、今作のスペシャル・エディション(CD6枚組ボックス!)が発売されます。
(国内CD6枚組 英文ライナー翻訳・歌詞・対訳付 ハードカバーブック仕様 UICY-80708 19,800円税込)

CD6枚に収められているのは、『カフェ・ブリュ』をはじめ、1983年のミニ・アルバム『スピーク・ライク・ア・チャイルド(Introducing The Style Council)』の拡張版、シングル(7インチ/12インチ・バージョンなど)、Bサイド、リミックス、デモ、BBCライヴ・セッションなどなど、てんこもりの全91曲入り。未発表音源も多数収録されているようです。

デモ音源が収録されたディスク4には、見慣れない曲名がチラホラ...。
先頃、動画サイト等で先行公開された「Take It To The Top」(デモ)も、完全未発表曲!
デモなのでラフな音ではありますが、こんな貴重な音源がほかにも色々聴けるのかと思うと、とても楽しみであります。
ご予約はお早めにどうぞ。東尾沙紀


2025年11月28日(金) Neil Young with Santa Monica Flyers 「Walk On」(Original Recording)

ニール・ヤング・ファンにとって、避けては通れない踏み絵的なアルバム。
といえば、1975年発表作『Tonight's The Night』(邦題:今宵その夜)でしょう。

ドラッグ中毒で亡くなった盟友ダニー・ウィッテンとローディのブルース・ペリーへ捧げる形で、1973年8月夜中に酔っ払いながら録音しましたがレーベル側の判断でお蔵入り。しかし、リック・ダンコの進言で1975年に陽の目を見た1枚です。
この『今宵その夜』が、50周年記念盤としてCDと2LPで発売されました。

Neil Young『Tonight's The Night 50th Anniversary Edition』
(輸入CD Reprise 093624835103/輸入2LP Indie Store Exclusive限定クリア・カラー盤と黒盤の2種あり)

50周年盤はジャケットが新調。
更に、2025年最新リマスタリングが施され、オリジナル12曲に6曲が追加、計18曲入になっています。

追加された6曲の中で、ラスト18曲目「Tonight's The Night」(Take3)はおそらく初出。
アーカイヴBOX2に入って話題となったジョニ・ミッチェルが参加した「Raised On Robbery」も注目ですね。

13曲目「Walk On」は珍しいヴァージョンで、ニール公式サイトでは、<Neil Young with Santa Monica Flyers「Walk On」(Original Recording) 1973年8月26日録音>と記載されています。
『On The Beach』のヴァージョンと違い、ベン・キースがスライド・ギターではなくペダル・スティールを弾いているのが印象的!森陽馬


2025年11月27日(木) ハンバートハンバート 「夜明け」

NHK朝ドラ『ばけばけ』の主題歌、ハンバートハンバート「笑ったり転んだり」が好評です。

第76回紅白歌合戦に初出演も決定!<祝>
ハンバート佐野遊穂さんの歌声や曲のテンポが、朝の雰囲気にピッタリですよね。

その「笑ったり転んだり」が収録されたハンバートハンバートのベスト盤CDが発売されました。

ハンバートハンバート『入門編』
(初回限定Blu-ray付 DDCB-94037 5,500円/通常CD DDCB-14083 3,300円)

1曲目に新曲「笑ったり転んだり」を収録。
2曲目以降には人気曲・代表曲をリリース順に収めた全19曲入CDです。

今日のこの1曲は、その新曲ではなくて、2曲目「夜明け」を。

2001年発表デビュー・アルバム『For Hundreds Of Children』の1曲目を飾る「夜明け」。
佐野遊穂さんの透き通った声で歌われる決意表明のようなナンバーです。
現在の高評価が朝ドラによる突発的なものではなく、凛とした美しさと力強さをデビュー時から兼ね備えていたのだと、改めて実感しました。森陽馬


2025年11月26日(水) 山下達郎 「Happy Holiday」

<山下達郎でなければ決して成し得ないウインター・タイムの決定版!!>

本日11月26日発売になった山下達郎『Season's Greetings』のアナログ・レコードの帯に書かれている言葉です。

山下達郎ならではの一人多重録音によるアカペラ、そして服部克久アレンジによるフル・オーケストラをバックに、ポピュラーなクリスマス・ソング、讃美歌、アメリカン・スタンダード、ドゥワップなどを見事に1枚のアルバムにしてくれました。

40才になったばかりの山下達郎のヴォーカルが、パワーとテクニックで聴く者を圧倒し感動を与えてくれます。
アナログ盤で聴くと、その奥行きも感じられますね。

山下達郎『Season's Greetings』
(国内アナログLP 2025最新リマスター&カッティング 180g重量盤 山下達郎自身による解説付 WPJL-10263 4,400円)

今日の1曲は、B面2曲目に収められている「Happy Holiday」を。
スピード感のある一人アカペラ・コーラスが最高。森勉



2025年11月25日(火) The Bookmarcs 「花びら」

2025年3月発表のソロ作『Strange Village』(2025年3月9日今日のこの1曲で紹介)も好評だった近藤健太郎と、青野りえ『TOKYO magic』(2023年11月20日今日のこの1曲で紹介)のプロデュースを手掛けた洞澤徹によるポップ・ユニット、The Bookmarcs(ブックマークス)。
2021年作『BOOKMARC SEASON』以来、約4年ぶりの新作アルバム『BLOOM』が本日入荷しました。

The Bookmarcs『BLOOM』
(国内CD 先着特典CDR付 VSCF-1781 3,000円税込)

マスタリング・エンジニアは佐藤清喜(マイクロスター)が担当。
Swinging Popsicleの美音子 Fujishima、足立浩(Dr)、北村規夫(B)、佐藤真也(P)、Aloha Ichimuraが参加。
タイトル『BLOOM』とある通り、花がテーマになった歌が多い本作は、華やかなポップ・ナンバーだけでなく、花のように儚い恋心を描いたシンガー・ソングライター的楽曲が印象深い1枚でした。

今日のこの1曲は、その中から3曲目「花びら」を。
「夜が明けて、歩き始めたけど、時々ほら、振り向いてしまうよ」(「花びら」歌詞より)
花びら舞う場所の思い出は、必ずしも美しいだけでなく、切ないものなのかもしれません。

なお、当店にてお買い上げの方には、「Follow The Rainbow」と「街のレヴュー」の未発表別ヴァージョン(Acoustic Mix Version)を収録したCDRを先着で差し上げてます。森陽馬


2025年11月24日(月) Cheap Trick 「The Best Thing」

最後(?)の来日公演と銘打って7年ぶりの日本ツアーを大成功させたチープ・トリック。
17年ぶりとなった日本武道館公演(10月1日)は2階の後ろの方までお客さんがギッシリ!
『at武道館』を意識した流れ、初期作を中心とした選曲も楽しく、老若男女盛り上がっている光景にとても感激しました。

リリースに先駆け、来日公演でも披露された新曲「Twleve Gates」を含む、約4年半ぶりの新作『All Washed Up』が先日発表になりました。

チープ・トリック『オール・ウォッシュド・アップ』
(国内CD 解説・歌詞・対訳付 ボーナス・トラック2曲 UICB-15007 3,300円税込)

『All Washed Up』は、「廃れた」「落ち目」「疲れた」などの意味があるそうで、いかにも彼ららしい自虐&シャレのきいたタイトルが付けられていますが、そんなネガティヴな言葉のイメージが吹き飛ぶほど1曲目からエンジン全開です。

ハード・ロッキンなリード・トラック「The Riff That Want Quit」のような押せ押せな曲もあれば、「The Best Thing」のような美しいバラードもあり、アコースティックな小品「Wham Boom Bang」で本編を締め括るのも意外で面白い...聴きどころいろいろです。

今作の中で特にお気に入りは、「君との出会いは人生で一番の出来事だ」とストレートな言葉で綴られたラヴ・ソング「The Best Thing」。
ロビンの柔らかく、伸びやかな歌声と美しいメロディ、エモーショナルな演奏は聴くたびにグッときます。

日本盤ボーナス・トラックとして、「The Best Thing」、「Bad Blood」のオルタナティヴ・バージョンを追加収録。
「The Best Thing」は、このパターンもすごく良いなぁと思いました。サビの部分が違うので、ぜひ聴き比べてみてください。東尾沙紀


2025年11月23日(日) Nicolette Larson 「Lotta Love」(Jim Burgess Disco Mix)

1977年、ニール・ヤングはリンダ・ロンシュタットへ電話して、制作中だった次作のコーラスを頼み、更に「もう一人、コーラスに参加してくれる良いシンガーはいないかな?」と尋ねました。

ちょうどその時、リンダの家に来ていたのが、友人のニコレット・ラーソン。
電話口の近くにいたニコレットのことを話して、二人はニールの作品にコーラスで参加することになります。

その縁で親しくなったニールとニコレットが車で移動中、置いてあるデモテープを彼女が聴き「素晴らしい曲!」と伝えたところ、ニールは「欲しいならあげるよ!これは君の曲だ!」と話し、ニコレットがその曲を歌うことになりました。
それが「Lotta Love」(邦題:溢れる愛)です。

テッド・テンプルマンのプロデュースによりポップな味付けがされた彼女のこのデビュー曲は、1978年11月に全米シングルチャート最高8位を記録し、多くの人にニコレットの可憐な魅力が伝わりました。

ニコレット・ラーソンのワーナー・ブラザーズ時代の音源を集めたこの4CD編集盤には、彼女のオリジナル・アルバム4作に加え、ライヴ&貴重音源が入っており、「Lotta Love」も違うヴァージョンがボーナス・トラックとして収録されています。

今日のこの1曲は、「Lotta Love」(Jim Burgess Disco Mix)を。
1978年発売当時、プロモーション用12インチに収録されていた約4分20秒のロング・ヴァージョン。
グルーヴ感を増したイントロが長くて、ドラマチックなミックスです。

1997年に45歳の若さで急逝した彼女ですが、この歌に込められた"愛"は永遠に錆びつくことはないでしょう。森陽馬

★Nicolette Larson『Look In My Direction - The Warner Bros. Recordings』
(輸入4枚組CD Lemon/Cherry Red QCDLEM4BX263)


2025年11月22日(土) 渡辺満里奈 「うれしい予感」

ナイアガラファン要注目!
2026年の321リリース商品第1弾が発表されました。

デビュー40周年を迎える渡辺満里奈が、大瀧詠一プロデュースで1996年に発表した『Ring-a-Bell』の30周年盤!

<2026年3月21日発売>
渡辺満里奈『Ring-a-Bell 30th Anniversary Deluxe Edition』
(2枚組CD SRCL-13588 3,960円/国内LP 限定クリアヴァイナル仕様 SRJL-1189 4,950円)

ナイアガラ・トライアングルVol.1(1976)の50周年を予想していたので、1996年の30周年盤は意外でした。
でも、近年のナイアガラ関連イベントに出演していた“ナイアガラ・ガール”渡辺満里奈さんのリリースはうれしいですね。

本作『Ring-a-Bell』は、1996年3月21日に発表されたミニ・アルバムで元々は6トラック入り。
『ちびまる子ちゃん』オープニング曲で、さくらももこ作詞・大瀧詠一作曲の「うれしい予感」(アルバム・バージョン)に加え、佐野元春作「ダンスが終わる前に」、金延幸子作「あなたから遠くへ」カヴァー等が収録されていました。

今回の30周年盤には、大貫妙子書き下ろし曲「高い空遠い街」、大滝詠一とのデュエットで歌われる「冬の星座」(Duet with 大滝詠一)という2曲の未発表音源が追加収録されるそうです。
LPは初アナログ化、更にCDにはボーナス・ディスクが追加予定で楽しみですね。森陽馬


2025年11月21日(金) ビートルズ 「リアル・ラヴ」(2025ミックス)

出ました!
ビートルズ『アンソロジー・コレクション』(BOX)と『アンソロジー4』!

2025年のビートルズは『ラバー・ソウル』の60周年エディションと言われていましたが、8月下旬になんと今年は『アンソロジー』との発表が・・・。
まぁ、そちらも30周年という節目だったかぁ、とその時気づいたわけですが・・・。

さて、『アンソロジー』。
BOXの『アンソロジー・コレクション』については、CDは8枚組、LPは12枚組。
以前出ていた『1』、『2』、『3』をリマスターし、今日初めて世に出るヴァージョンを多く含んでいる初登場の『4』が目玉。『アンソロジー4』は、CD2枚組、またはLP3枚組の単体で発売されています。

今日はその『4』から。
注目曲満載ですが、やはり「リアル・ラヴ」(2025ミックス)。

30年ほど前、初めて聴いて驚き、プロモーション・ビデオを見て涙し、そして今回、音の良さも含めて感激・感涙でした。
16秒ほどフェイドアウトが早くなったのは残念ですが・・・。

ありがとう、ジェフ・リン、ジャイルス・マーティン。
ネット上に氾濫しているオフィシャルではない類似ヴァージョンに御注意ください。森勉

★ビートルズ『アンソロジー4』
(国内2枚組CD UICY-16350 4,400円/国内仕様3枚組LP UIJY-75360 14,300円)


2025年11月20日(木) Sarah McLachlan 「If This Is The End...」

「今この世界で、状況をどう乗り越えていけばいいのか?
すべてが崩れ落ちていくように感じる時、どうしたら沈まずにいられるか?
本作の歌詞は、このような問いから生まれました。」(サラ・マクラクランのコメントより)

カナダ出身の女性シンガー、サラ・マクラクランの新作『Better Broken』が発売されました。
眠れない夜、押しつぶされそうな時に、寄り添ってくれる1枚です。

Sarah McLachlan『Better Broken』
(輸入CD Concord 00888072708556)

2014年発表作『Shine On』から、約11年ぶりの新作オリジナル・アルバム。
プロデュースは、フィービー・ブリジャーズやボーイジーニアスを手掛けたTony BergとWill Maclellanが担当しており、深みのあるサウンド・アレンジが、彼女の美しい歌声をより際立たせています。

今日のこの1曲は、ラスト11曲目「If This Is The End...」。
映画『On The Beach』(1959)の場面からインスパイアされ制作したナンバーとのこと。
娘のIndiaとTaja含む約30名のコーラス&力強い彼女の歌声が、一歩踏み出す勇気と安らぎを与えてくれます。森陽馬


2025年11月19日(水) Yufu 「3rd Dose Of Your Mystic Drug」

ネオ・ヴィンテージ・ソウル from 台湾♪

ユフ『ヒール・ミー・グッド』
(国内CD 解説付 ボーナス・トラック2曲 KMKN-152 3,300円税込 / 限定LP KMKN-153 4,950円)

アジア、特に彼の出身地である台湾では珍しいという本格派ソウル/ファンクを鳴らすシンガーソングライター、Yufu(ユフ)。

2025発表1stフル・アルバム『Heal Me Good』の日本盤帯に並ぶマーヴィン・ゲイ、カーティス・メイフィールド、ティミー・トーマス、ベティ・ライトなど主に70年代ソウルに影響を受けたアナログ感のあるサウンド、スモーキーでほどよく甘い歌声は、ここ日本でもじわじわと注目を集めています。

ファンキーなオープニング曲「Are You Elevated?」、キレのあるインスト「Serchin' For Some Lovin'」などクールなテイストも良いですが、メロウな曲も抜群です。
本日は揺らめくようなシタールとワウギター、官能的な世界に連れて行ってくれるミディアム・バラード「3rd Dose Of Your Mistic Drug」を今日の1曲に。

9月下旬から10月初旬にフリーイベント出演のため来日していましたが、2026年2月22日には日本初公演となる沖縄でのライヴが発表されています。バンドを従えた本格的な日本ツアーにも期待したいですね。東尾沙紀

2025年11月18日(火) 松任谷由実 「ひとちがい」

「淋しさだけが支えなの」(松任谷由実「ひとちがい」歌詞より)

ユーミンらしい歌詞のフレーズが出てくる「ひとちがい」は、今から約40年前の1985年に、松任谷正隆がプロデュースした女性シンガー、麗美への提供曲として、松任谷由実が書き下ろした楽曲です。

1989年に西村知美がカヴァーしましたが、ユーミン自身が歌ったヴァージョンは世に出ていませんでした。
その松任谷由実が歌う「ひとちがい」が、本日発売された新作『Wormhole』に収録されています。

松任谷由実『Wormhole/Yumi Arai』
(初回限定盤2CD+Blu-ray UPCH-29499 7,700円/通常CD 初回仕様あり UPCH20710 3,600円)

40作目となる今回の作品は、<AIと人間の共生>をテーマに制作された1枚。
荒井由実時代からの過去の歌声と現代の声をAIにラーニングさせ、第三の歌声Yumi Araiを生成。
それを今の生の歌声とコラージュさせてヴォーカルトラックを録音した楽曲が全12曲収められています。

発売前は?でしたが、実際に聴くと今まで通りのユーミンらしい楽曲揃いで、歌も違和感なく聴けました。
昨日11月17日から始まったツアーのテーマは<私が私に逢いに行く夢」だそう。
CDに購入者対象チケット先行予約抽選受付コードが入っています。応募してライヴも体感してください。

今日のこの1曲は、冒頭に挙げた「ひとちがい」を。
1980年代に自身の歌で録音したがお蔵入りになった、という話もあり、今回はAIで生成した第三の歌声で表現することにより再録音できたのでしょう。80年代的なサウンド・アレンジもかっこよくて、本作中一番気に入っているナンバーです。

なお、11曲目「ひとちがい」の後、「人影に会いたい。自分以外の誰かに。ただ、抱きしめ、永遠のさよならが言いたい」と歌われる12曲目「そして誰もいなくなった」へ繋がり、『Wormhole』は幕を閉じます。森陽馬


2025年11月17日(月) ポール・マッカートニー 「ワンダフル・クリスマスタイム」

11月10日にジョン・レノンのクリスマス・ソングを紹介しましたが、ポール・マッカートニーのクリスマス・ソングも同様に7インチ・アナログ・シングル(カナリー・イエロー・カラー盤)で再発になっています。

ポール・マッカートニー『ワンダフル・クリスマスタイム』
(国内仕様盤7inchレコード カナリー・イエロー・カラー 歌詞・対訳付 UIKY-75124 2,750円)

ポールはウイングスとしてアルバム『バック・トゥ・ジ・エッグ』を発表したのが1979年6月。
その年の11月中旬に、このクリスマス・シングルは発表されています。

ポップなメロディー、口ずさめるサビ。
ポールらしい楽曲です。

サウンドは次のシングル「カミング・アップ」、次のアルバム『マッカートニーⅡ』に繋がるようなシンセ・ポップ。
80'sに向けて新しいサウンドを模索していたんでしょうね。森勉


2025年11月16日(日) Brian Wilson 「Let It Shine」(Live)

時は1999年7月9日、場所は大阪フェスティヴァル・ホール。
開演後、ライヴではなく、舞台にはショート・フィルムが映し出されます。
しばらく上映が続き、後半に「The Little Girl I Once Knew」が奏でられました。それに呼応して幕が上がり、実際のブライアン・ウィルソン・バンドが演奏を始めた瞬間の感動は、今でも心に深く刻まれています。

観客のほとんどは、僕と同じように感動で胸が詰まり、固まっていたのではないでしょうか。
「The Little Girl~」と次の「This Whole World」は、皆が夢を見ているように聴いていた印象があります。

そう、あれはまさに夢だった、と約26年経って改めて思うのです。
ブライアンが元気に歌っている。それもライヴ(目の前)で。

そんな、胸が熱くなるような想いを呼び起こしてくれるライヴ盤が発売になりました。

Brian Wilson『Live At The Roxy Theatre』
(輸入2枚組CD OGLIO OGL82100-2)

ブライアン・ウィルソンが2000年4月7&8日にカリフォルニアのロキシー・シアターで行ったライヴ音源。
輸入CDで2001年6月に発売、国内CDもボーナス・トラックを5曲追加し2002年2月に出て好評だったライヴ盤に、今回は更に6曲を追加した仕様で再発売されました。

当時何度も聴いたライヴ音源ながら、約26年の時を越えて懐かしい気持ちになりますね。
「Be My Baby」カヴァーの多幸感はこの上ないものです。

今日のこの1曲は、今回新たに追加された「Let It Shine」のライヴを。
これが素晴らしい! クレジットによると、2002年11月19日ニューヨークでのライヴ音源だそう。

なお、ブックレットには、デヴィッド・リーフがブライアン逝去の2週間後(2025年7月)に書いた文が掲載されています。
最後にその寄稿文の一部を記しましょう。

「ブライアンはたくさんの夢を叶えてくれました。<中略> God bless you、ブライアン。私たちがあなたの世界の一部であったことはとても幸運なことでした。」(デヴィッド・リーフによる寄稿文より) 森陽馬


2025年11月15日(土) Little Feat 「Long Distance Love」

昨日に続いて、リトル・フィート。
今日は1975年発表の5thアルバム『ラスト・レコード・アルバム』を取り上げましょう。

リトル・フィート『ラスト・レコード・アルバム』デラックス・エディション
(国内仕様4枚組CD 解説・歌詞・対訳付 WPCR-18786 6,050円税込)

ポール・バレア&ビル・ペイン&ケニー・グラッドニーによる共作「Romance Dance」で始まり、同じく3人による「One Love Stand」、ポール・バレア作「All That You Dream」、ビル・ペイン作「Day Or Night」など、ローウェル・ジョージ以外のメンバーも存在感を増して、リトル・フィートというバンドらしさが成熟した1枚。

でも、この傑作から1曲挙げるなら、やっぱりローウェル作の名曲「Long Distance Love」でしょう。
彼らしい黄昏の叙情感溢れるメロディー&歌、そして、ヴァレリー・カーターのコーラスが泣けますね。

今回のデラックス盤ディスク2には、「Long Distance Love」のAlternate Version、更に未発表Rough Mixも入っていましたが、ヴァレリー・カーターのコーラスも入っている本編のヴァージョンが結局は一番かな。

ちなみに、昨日の『アメイジング!』もそうですが、本編の最新リマスターが凄くきれいな音質になっていて、好き嫌いあるかもですが、音圧も上がってすっきりしたとても良い音質だと僕は思います。(ディスク3と4の1975年10月31日ボストン未発表ライヴ音源も超良質!)

なお、本作タイトルの"ラスト"は最後ではなく、ピーター・ボグダノヴィッチ監督の名映画『ラスト・ショー』をモチーフにしたもの。ネオンパークによるジャケットもそのイメージで描かれています。森陽馬


2025年11月14日(金) Little Feat 「Cold Cold Cold/Dixie Chicken/Tripe Face Boogie」(Live)

リトル・フィートといえば2nd『セイリン・シューズ』(1972)、3rd『ディキシー・チキン』(1973)が名盤として多く紹介されるのですが、4th『アメイジング!』(1974)、5th『ラスト・レコード・アルバム』(1975)も素晴らしいアルバムです。

そのデラックス・エディションが国内盤CDで各々発売されました。

ニューオリンズ/ルーツに根ざしていたローウェル・ジョージと、クロスオーバー志向になっていく他メンバーとの間で不和が生じ始めたのもこの頃でしょうか。稲妻轟く山道を走る車が描かれた『アメイジング!』のジャケットは、その危険なバンド内を暗示していたのかもしれません。

さて、『アメイジング!』(原題:Feats Don't Fail Me Now)は、ヴァン・ダイク・パークスが関わった「スパニッシュ・ムーン」、ローウェルによるアラン・トゥーサン讃歌「ロックン・ロール・ドクター」等を収録した1974年発表作品。
今回のデラックス盤には、ディスク2にアウトテイク&レア音源。ディスク3には、1975年2月1日にパリで行ったライヴ音源が入っています。

パリのライヴは全て未発表で、音質の良いブート的な感じではありますが、観客の声援も大きくてイイですね。
ワーナー・ブラザーズのミュージック・ショウとして、ドゥービー・ブラザーズ、タワー・オブ・パワー、モントローズ等と一緒にツアーを廻っていたようですが、フィートのライヴ・パフォーマンスがダントツに評判良かった、という逸話も納得の演奏です。

今日のこの1曲は、そのパリでのライヴ音源から「Cold Cold Cold/Dixie Chicken/Tripe Face Boogie」。
後半のビル・ペインによるフランス風アドリブ・ソロが入った後、爆発するTripe Face Boogieの盛り上がりが最高!森陽馬

★リトル・フィート『アメイジング!』デラックス・エディション
(国内仕様3枚組CD 解説・歌詞・対訳付 WPCR-18783 3,740円税込)


2025年11月13日(木) Chrissie Hynde with Brandon Flowers 「I'm Not In Love」

プリテンダーズのクリッシー・ハインド最新作は、敬愛する友人たち(Pals)とのデュエット・カヴァー・アルバム。

Chrissie Hynde&Pals『Duets Special』
(輸入CD Parophone 5021732961716)

「親密で、夜のムードのある、スモーキーな作品にしたかった。」
ゲストとの静かな重なりを楽しむようなクリッシーの抑えたヴォーカルと、最小限のバンド・アレンジで聴かせる本作は、深い夜のゆったりとした時間が似合います。

ルーファス・ウェインライトのパートナーとの会話を発端にスタートとした本作には、ルーファスをはじめ、k.d.ラング、ジュリアン・レノン、ルシンダ・ウィリアムス、ダン・オーバック(ブラック・キーズ)、デビー・ハリー(ブロンディ)、2022年に亡くなったマーク・ラネガン、カーリーン・アンダーソン、キャット・パワーらが参加。

「Me & Mrs.Jones」、「Can't Help Falling Love」(エルヴィス・プレスリー)、「It's Only Love」(ビートルズ)、「(You're My)Soul & Inspiration」(ライチャス・ブラザーズ)に、ローリング・ストーンズ、ブレンダ・ハロウェイ、10cc、ザ・スミス、フレッド・ニールなど、しっとりと聴かせてくれます。

本日は、ブランドン・フラワーズ(ザ・キラーズ)との共演による、10ccの代表曲「I'm Not In Love」を。
夜空に溶けていくようなグレッグ・リーズのペダル・スティール・ギターも印象的な1曲です。東尾沙紀


2025年11月12日(水) Neil Young And The Chrome Hearts 「Let's Roll Again」

11月12日はニール・ヤングの誕生日!
2025年で80歳を迎えました。おめでとう!ニール!

ニール・ヤングにとって、2025年も盛りだくさんな1年でしたね。

・新作アルバム『Talkin' To The Trees』発売
・新バンドThe Chrome HeartsとのLove Earth World Tour 2025
・グラストンベリー・フェス出演
・2023年ソロツアーのドキュメンタリー映画『Coastal』公開
・『Coastal』サントラ盤発売→音源不備あり回収→再発売
・トランプ大統領を批判した新曲「Big Crime」を急遽発表
・90's中期作を集めた『Official Release Series Vol.26、27、28 & 29』発売
・1975年発表作『Tonight's The Night』50周年記念盤が11月下旬発売予定

ツアー終了後も、ファーム・エイド出演や、トランプ政権を批判する動画をアップするなど元気そう。
肉体は錆び付いたとしても、、燃え尽きない尖った精神で生き抜いてほしいですね。

今日のこの1曲は、ニール・ヤング2025年作から「Let's Roll Again」を。
ウディ・ガスリー「This Land Is Your Land」的な楽曲に、「フォードよ、GMよ、クライスラーよ、子供たちを殺さないものを造ってくれ。本当にクリーンな走りを。」という、荒々しさと緩さが同居したニール・ヤングらしいナンバーです。森陽馬



2025年11月11日(火) T字路s 「泪橋」

結成15周年を迎えたT字路s(ティージロス)がメジャー・デビュー!
待望のアルバム『MAGIC TIME』が本日入荷しました。

T字路s『MAGIC TIME』
(CD+Blu-ray 初回限定盤 ESCL-6137 6,930円/通常CD ESCL-6139 3,300円 
先着ステッカー付

T字路sは、聴く者の心を動かす力を持つシンガー伊東妙子とベーシスト篠田智仁によるユニット。
2010年に結成して15年間、全国各地を廻り、集う人々の心に寄り添う曲を歌ってきました。

本作は、EPICソニーとメジャー契約し、全曲オリジナル作で固めた入魂のフル・アルバム!
佐橋佳幸がサウンド・プロデュースを担当し、古田たかし、坂田学、Dr.kyon、山本拓夫ほか、凄腕が参加。
ポップなアレンジも組み込みながら、T字路sらしい力強さはそのままに、ロック・バンド・スタイルで聴かせる1枚です。

今日のこの1曲は、T字路sの代表曲である「泪橋」。
今までのインディーズ作品にも収録されてきたこの名曲を新たにバンド・サウンドで録音。
15年分の汗と"涙"が沁み込んだ「泪橋」。何度聴いても胸が熱くなります。森陽馬


2025年11月10日(月) ジョン&ヨーコ、プラスティック・オノ・バンド 「ハッピー・クリスマス(戦争は終った)」

今日は、ジョン&ヨーコのクリスマス・ソング「ハッピー・クリスマス(戦争は終った)」を。

ジョン・レノンが名盤『イマジン』を発表した約2ヶ月後の1971年12月に、シングル・レコードとして発売されたのが最初でした。

今回、オリジナル・ジャケット・スリーヴを復刻して、エヴァー・グリーン・カラーの7インチ・アナログ・レコードとして再発されました。

ジョン&ヨーコ、プラスティック・オノ・バンド『ハッピー・クリスマス(戦争は終った)』
(国内仕様盤7inchレコード 歌詞・対訳付 UIKY-75123 2,750円税込)

ジョンとヨーコが世界の平和を望んで歌ったこの歌は、あれから54年経ちましたが、残念ながらまだまだ歌い継がれないといけない世の中が続いています。森勉


2025年11月9日(日) 婦人倶楽部 「旅とフェリー」

''佐渡ヶ島のピチカート・ファイヴ?!''
新潟・佐渡ヶ島に暮らす主婦らで結成された謎多きユニット、婦人倶楽部。
約9年ぶりとなる新作2ndがリリースされました。

婦人倶楽部『婦人日和』
(国内CD FUJIN-004 3,300円税込)

ほっかむりに割烹着というビジュアルに、顔も名前も明かされていないご婦人方(呼称は婦人A~E)の楽曲制作/プロデュースを手掛けるのは、佐渡での居住経験があるムッシュレモンこと佐藤望(カメラ=万年筆)。

爽やかで躍動感のあるメロディ、シティ・ポップ味もちょい足しされたおしゃれなサウンドに、米どころらしくぺったんお餅つき、エッサエッサと畑仕事、金山、特別天然記念物トキなど、佐渡の日常や風景、四季が感じられる歌詞とのギャップも面白いし、とってもほっこりします。

本日は、パパパ・コーラスが印象的なオープニング・ナンバー「旅とフェリー」を。
旅に出かけたくなる、激キャッチーな1曲です♪

君島大空、沖井礼二、KASHIF、壺阪健登、五味俊也、千ヶ崎学、ゴンドウトモヒコ、張替智広(キンモクセイ)、古川麦、やなぎさわまちこ、徳澤青弦などが参加しています。東尾沙紀


2025年11月8日(土) Sombr 「12 to 12」

音が流れた瞬間、目の前にカラフルな景色が広がり、何処かへ駆け出したくなりました。

sombr(ソンバー)『I Barely Know Her』
(国内CD 解説・歌詞・対訳付 WPCR-18794 3,300円税込)

sombr(ソンバー)こと、Shane Michael Booseは、ニューヨーク出身2005年生まれの男性ミュージシャン。
20歳を迎え、サマーソニック2025で初来日、そして待望の1stアルバム『I Barely Know Her』を発表しました。

これが、センチメンタルな感情を爆発的なポップ・ミュージックに掛け合わせた傑作!
ティアーズ・フォー・フィアーズを彷彿とさせたり、歌い方がU2「Sunday Bloody Sunday」頃のボノっぽかったり、と1980年代の香りをさせながら、今の新しい時代に響くロックなサウンドがかっこいい!
作曲・作詞は全曲本人で、演奏に関しても多くの曲でギター、ベース、ドラムス等を自身で担当しています。

「どうやったら友達に戻れるんだろう。君とベッドを共にしていたのに」(「Back To Friends」)
「夢中だった日々が懐かしい。今や君はただ僕の魂を粉々にするだけ、愛しい人」(「Crushing」)
「また一から新しい誰かのために服を脱ぎたくなんかない」(「undressed」)
「人混みの中で君を探している。教えて、僕らの物語は終わったの?」(「12 to 12」)

失恋の歌ばかりなのに、心が湧き立つのは何故だろう!?

忘れかけていた青春の刹那を呼び覚ましてくれる1枚。森陽馬


2025年11月7日(金) Mavis Staples 「Everybody Needs Love」

メイヴィス・ステイプルズの新作『Sad And Beautiful World』が本日発売されました。

Mavis Staples『Sad And Beautiful World』
(国内CD 天辰保文氏による解説・歌詞・対訳付 STCD-22 3,300円税込)

2025年7月で86歳を迎えたメイヴィスですがバリバリ現役!
ソウル/ロック等のジャンルは関係なく、歌の力が伝わってくる1枚です。

その本作は、ボン・イヴェール、Waxahatcheeなどを手掛けたBrad Cookによるプロデュース作。
ケヴィン・モービー作「Beautiful Stranger」、デレク・トラックスも参加しているトム・ウェイツ作「Chicago」、カーティス・メイフィールド作「We Got To Have Peace」他、スパークルホース(マーク・リンカス作)によるタイトル曲「Sad And Beautiful World」、ギリアン・ウェルチ&デイヴ・ローリングス作「Hard Times」等、様々な楽曲を取り上げながら、メイヴィスが歌えば彼女のオリジナルのように聴こえてくる全10曲入。

今日のこの1曲は、エディ・ヒントン作のラスト10曲目「Everybody Needs Love」を。
ボニー・レイットがスライド・ギター&コーラスで参加しています。
♪誰もが愛を求めている。太陽や月や空に輝く星が必要なように♪

ちなみに、この歌終了後、最後の最後にメイヴィスの笑い声?が入っているのでお聴き逃しなく。森陽馬


2025年11月6日(木) ザ・グループ 「ザ・ジェット・ソング」

11月5日は、ソニー・ミュージックより<発掘!洋楽隠れ名盤>の第2弾目の発売がありました。
(第1弾は2025年3月に発売済。
2025年3月13日今日のこの1曲参照)

今回もなかなか興味深いラインナップです。
ジャニス・ジョプリン、イギー・ポップ、ルー・リード、モット・ザ・フープル、パティ・スミス・グループ、ローラ・ニーロ、ジェリー・ウィリアムス、スウィート・サーズデイ、ニルソン、トーケンズ、アル・スチュワート、ジョン・デンバー、ストーリーズ、エドガー・ウインター・グループ、BS&T、タジ・マハール、アージェント、バディ・マイルス、ルー・コートニー、バーニー・ウォーレル、等々、かなり幅広いジャンルから選ばれています。

その中から、日本初CD化になるザ・グループを。
1969年発表、男女各二人の4人組コーラス・グループです。

ソフト・ロックが注目される中、日本でのCD化がずっと望まれていましたが、遂に出ました。
ボーナス・トラック2曲追加、全14曲入り。

今日の1曲は、「ザ・ジェット・ソング」。
この曲のアレンジは、デイヴ・グルーシン。
ジム・ゴードン、ジョー・オズボーン、ラリー・ネクテル、トミー・テデスコなどが参加しています。

ザ・グループのコーラスはとてもさわやかで、ロジャー・ニコルス&スモール・サークル・オブ・フレンズをお好きな方にも、ゼッタイのオススメです。

余談ですが、竹内まりやさんの<スーヴェニール2025>ライヴ・ツアーの客入れ音楽にも使われていました。
選曲は達郎さんだったとのこと。森勉

★ザ・グループ『The Group』
(国内CD 日本語解説付 SICP-6727 1,430円税込)


2025年11月5日(水) 山田稔明 「最後のお願い」

GOMES THE HITMANのフロントマン山田稔明、ソロ名義のオリジナル・アルバムとしては『pale/みずいろの時代』以来、約9年ぶりとなる<ニャーアルバム>♪

9月中旬からライヴ会場やオフィシャルサイトの通販で先行発売されている最新盤『シャーとニャーのはざまで』の一般販売が先頃開始されました。

山田稔明『シャーとニャーのはざまで』
(国内CD 歌詞・ライナーノーツ付 GTHC-0022 2,750円税込)

愛猫家としても知られる山田さんが10年の間に書いた未発表楽曲の中から、猫にまつわる曲を集めた作品です。

ポチ美ちゃん、ジャケットに写るママン(ポチ美ママ)、先代猫ポチちゃん...山田さんと愛猫たちとのかけがえのない暮らしの中にある何気ない幸せや、心が揺れ動いた瞬間を、あたたかな眼差しで切り取った全7曲が収録されています。

近藤研二共作・歌とギターで参加「猫のふりをして」や、仔猫の愛らしい姿を描いた「きみは三毛の子」でほのぼのとした気持ちになったり、ママンの苦しい時期を綴った「最後のお願い」は大切な人に贈るラヴレターのようで、すこし切なくなったり...。

世界中の猫への愛情が込められた作品であり、誰の心にもそっと寄り添ってくれるやさしい歌と旋律が詰まった1枚です。東尾沙紀


2025年11月4日(火) 山下達郎 「オノマトペISLAND」「MOVE ON」「Sante」オリジナル・カラオケ

山下達郎、ニュー・シングル発売!

2023年7月26日発売だった「シンク・オブ・サマー」以来、約2年3か月の新曲「オノマトペISLAND」が本日入荷しました。

今回は、「オノマトペISLAND」の他、ダイハツ<ムーヴ>のCM曲「ムーヴ・オン」、そして映画『グランメゾン・パリ』のチアリング・ソングとして書かれた「サンテ」と、なんと!新曲が3曲! そしてそのカラオケも。

山下達郎のヴォーカルが入っている通常ヴァージョンがもちろんメインですが、今日は④⑤⑥曲目に入っているカラオケ・ヴァージョンに注目したいと思います。

タツローさんのグルーヴィーで緻密なコーラス・ワークとバック・トラックが、3曲たっぷり味わえます。森勉

★山下達郎『オノマトペISLAND/Move On/Sante』
(国内CD 先着でポストカードプレゼント中 WPCL-13706 1,430円税込)


2025年11月3日(月) WONDERMINTS 「tracy hide」

ブライアン・ウィルソン・バンド/ワンダーミンツのダリアン・サハナジャさんが当店に先月来店しました。
(2025年10月19日今日のこの1曲参照)

 

ダリアンはとても温かみあるお人柄で、一緒に来店したデビーさん含め、初対面ながら優しく接してくれました。
ニール・ヤング主催のブリッジ・スクール・ベネフィット・コンサートにブライアン・ウィルソンが出演した時(1999年)、打ち上げでニール・ヤングの当時の家へ行った話など、色々な興味深いエピソードを聞くことができてうれしかったです。ありがとう、ダリアン!

その際、ダリアンが11月3日発売というワンダーミンツのレコードを持参しました。
それが1995年発表、初アナログ化となる本作です。

・WONDERMINTS『Wondermints』(30th Anniversary Edition Vinyl)
(輸入2枚組LP Coke Bottle Clear Vinyl 1,000枚限定ナンバリング入)

ダリアン、マイク・ダミーコ、ブライアン・カッサン、そして2019年に急逝したニッキー・ワンダーことニック・ワルスコの4人が中心のバンド、ワンダーミンツが、1995年に発表した1stアルバム『Wondermints』。
2025年で30周年を記念し、demo音源などボーナス曲を追加した2枚組LP、綺麗な薄緑色のクリア・カラー盤(Cole Bottle Clear Vinyl=コーラの瓶をイメージしたような色)で、1,000枚限定プレスしたアナログ・レコードです。

その貴重なアナログ盤を、本日11月3日から当店で少量販売させていただけることになりました。
早くも残り僅かとなってますので、ご希望の方は在庫の有無や価格などメール等でお問い合わせくださいませ。
11/6追記:完売しました。

今日のこの1曲は、この名盤からダリアン作の「tracy hide」を。
後にブライアン・ウィルソン・バンドへ加入することを予期している、と言っても過言ではない、ビーチ・ボーイズ/サーフズ・アップ的なエッセンスを感じさせるナンバーです。森陽馬


2025年11月2日(日) ロネッツ 「Be My Baby」

動画サイトでロニー・スペクター(ヴェロニカ)の70年代以降のテレビ出演映像を発見して見たところ・・・。
その後、こんなものもありますよ、という関連オススメ動画がいっぱい提示され出てきました。

日本のテレビでは彼女の映像を見る機会がほとんどなかったので、とても新鮮な気持ちで色々な映像を楽しみました。
キリがないので30分ほどにしましたが、出てくるは出てくるは・・・。

シャナナの番組にゲスト出演したものや、2000年以降だと思いますが、ブライアン・ウィルソンをバック・コーラスに歌うステージ、もちろん60'sのロネッツとしての貴重映像もいっぱい。
あらためて、ロニーの独特な歌いまわしに魅了されっぱなしの時間でした。

ということで、今日はロネッツ「ビー・マイ・ベイビー」を。

ロネッツ『プレゼンティング・ザ・ファビュラス・ロネッツ』
(国内CD モノラル 解説・歌詞・対訳付 SICP-4525 1,100円税込)

「ベイビー・アイ・ラヴ・ユー」、「ウォーキング・イン・ザ・レイン」、「ドゥ・アイ・ラヴ・ユー」も入っています。森勉


2025年11月1日(土) いしだあゆみ&ティン・パン・アレイ・ファミリー 「私自身」

2025年11月1日は<レコードの日>でした。

「アナログ盤の魅力を多くの人に知ってもらおう」、とのコンセプトで東洋化成主催により2015年から行われています。
今年もたくさんのレコードが発売になりました。

いしだあゆみ&ティン・パン・アレイ・ファミリー、RYUSENKEI、一十三十一、さらさ、スカートとPUNPEE、フレネシ、ブルース・クリエイション、THE CHARM PARK、TRADITION、鈴木宏『キャット』、Freedom Suite、bice、TRF、globe、MAX、etc...。

12月6日にレコードの日第2弾リリースもございます。
お探しの商品、ご希望などございましたらお問合せください。

今日のこの1曲は、いしだあゆみ&ティン・パン・アレイ・ファミリー「私自身」(作詞:橋本淳、作曲・編曲:細野晴臣)。

2025年3月に急逝した彼女は1948年生まれなので、1977年発表の本作は20代後半で録音したことになります。
しかしながら、都会の女性の凛とした強さと色香は、もっと年上の大人な印象を受けました。
細野晴臣、鈴木茂、林立夫、佐藤博、吉川忠英、岡田徹、矢野顕子、吉田美奈子、山下達郎によるティン・パン・ファミリーも、当時はほぼ皆20代。昭和の哀愁が感じられる歌・演奏・歌詞ですね。

ちなみに、レコードの日2025に合わせて、当店オリジナル・リーフレットを作成・配布開始しました。
PET SOUNDS RECORDスタッフ3名の<想い出のレコード>を紹介しています。
よろしければご覧になり、ご自身の<想い出のレコード>を回想していただければ幸いです。森陽馬

★いしだあゆみ&ティン・パン・アレイ・ファミリー『アワー・コネクション』
(2025年11月1日発売 国内LP COJA-9564 4,950円税込)


2025年10月31日(金) Rolling Stones 「You Can't Always Get What You Want」(無情の世界)

映画『アニタ 反逆の女神』を新宿K's Cinemaにて先日鑑賞。

ローリング・ストーンズのブライアン・ジョーンズと付き合い、キース・リチャーズとの間に3人の子をもうけ、ミック・ジャガーが想いを寄せたこともあった、アニタ・パレンバーグの人生を描いたドキュメンタリー映画。

アニタは2017年に亡くなっていますが、自伝的な手記が見つかり、それをスカーレット・ヨハンソンがアニタの語りのように朗読。キース・リチャーズや息子・娘の証言も含めて制作された映像作品です。

ローリング・ストーンズとの関わりはもちろんのこと、波乱万丈ながらも晩年はドラック&アルコール中毒を乗り越え、俳優・ファッションモデルとして活躍したロックな生きざまは強烈。

「アニタという人は本当に独特な存在で理解を超えるところがあった。」
「ついていくだけで精いっぱいでね。でもそれが楽しかった」
「彼女のおかげで男になれた」
キース・リチャーズにこんなことを言わせるなんて凄いですよね。

アニタとミックが映画で共演して恋仲になっている最中にキースが書いたという「ギミー・シェルター」。
アニタを想いミックが書いた「無情の世界」。
キースとアニタの間に、息子が生まれた時にキースが書いた「ユー・ガット・ザ・シルヴァー」。

♪欲しいものが得られないことがある。手の届かないこともある♪
(ローリング・ストーンズ「無情の世界」(You Can't Always Get What You Want)の歌詞より)

ローリング・ストーンズの歌が、今までとは違って聴こえてくるようになりました。森陽馬

★掲載ジャケットは、「ギミー・シェルター」、「無情の世界」、「ユー・ガット・ザ・シルヴァー」収録のローリング・ストーンズ1969年発表アルバム『レット・イット・ブリード』。


2025年10月30日(木) Jonny Greenwood 「One Battle After Another」

映画『ワン・バトル・アフター・アナザー』をTOHOシネマズ日比谷にて先日鑑賞。

ポール・トーマス・アンダーソン監督、レオナルド・ディカプリオ主演作。
ツッコミどころ満載な展開、下品な言葉遣い多数、等々ありながら、約2時間40分以上の長尺を感じさせないエンターテイメント・ムービーでしたね。

ラストまで緊張感が持続したのは、ジョニー・グリーンウッドが手掛けた音楽の力も大きかったと思います。

レディオヘッド、ザ・スマイルのギタリストである彼のスコアは、場面に合っていないような前衛的サウンドだったりしながら、張り詰めた緊迫感に溢れていて、まさにジェットコースターの乗っているような気分でした。

サントラ盤CD/LPは11月中旬発売予定。
映画館で物語と共に聴いた音楽が、CD/LPではどのように響くでしょうか?

Jonny Greenwood『One Battle After Another』
(2025年11月14日発売予定 輸入CD/LP NONESUCH)

ちなみに、本編終了後のエンドロールでは、僕が大好きなトム・ペティのあの曲や、劇内のセリフに歌詞の一節が出てきたギル・スコット・ヘロンの名曲もかかります。(サントラには未収録) 森陽馬


2025年10月29日(水) The Blow Monkeys 「The Penny Drops」

1980年代のヒット「Digging Your Scene」、「It Doesn't Have To This Way」などで知られるUKのソウル/ポップ・バンド、ザ・ブロウ・モンキーズ。

ソロや他ユニットでも勢力的に活動を続けるDr.ロバートを中心に、ネヴィル・ヘンリー(sax,flute)、ミック・アンカー(b)、クリスピアン・テイラー(drs/ガリアーノetc)のラインナップで、2007年の再結成以降もコンスタントに作品を発表しています。

前作『Together/Alone』発表から約1年。13作目となる最新作『Birdsong』がリリースされました。

The Blow Monkeys『Birdsong』
(輸入CD Creation Youth cycdzcd016)

ストリングスと女性コーラスを配した華やかなオープニング・ナンバー「The Penny Drops」、ファンキーな「Birdsong」を筆頭に、美しいピアノ・バラードもありつつ、ポップなグルーヴを感じる作品となっています。

今作はアラン・マッギーと、キリング・ジョークのベーシスト/プロデューサーのマーティン・ユース・グローヴァーらで設立したレーベルCreation Youthからのリリース。
ポール・ウェラー所有のBlack Barn Studioで録音、チャールズ・リースがエンジニアを担当しています。
ミック・タルボットもピアノ/キーボードでクレジットされています。東尾沙紀


2025年10月28日(火) ザ・クロマニヨンズ 「どんちゃんの歌」

霊長類最強のロック・バンド、ザ・クロマニヨンズの新作『JAMBO JAPAN』が本日入荷しました。

ザ・クロマニヨンズ『JAMBO JAPAN』
(国内CD BVCL-1492 3,204円税込/国内LP 完全限定盤 BVJL-140 3,204円税込)
先着特典ステッカー付

ロックン・ロールのかっこよさ&遊び心が詰まった最高の1枚!

更に、アナログLPは1枚ものでも4,000~5,000円以上当たり前の時代に、3,204円という破格の安さ!
(ちなみに、9月17日に発売されたシングル盤7inchは1,320円!)
どちらも利益は出ていないでしょうが、ヒロト&マーシーの心意気がうれしいですよね。

本作の中で、特にグッときたのが5曲目「どんちゃんの歌」。
ポップで、ロックで、シビれるほどかっこよくて、とっても楽しい歌なのに、何故か涙が出てきそうになる名曲!

ちなみに、この歌の最後の方に出てくる以下の歌詞。
♪みんな違うんだ。名前はおんなじ、どんちゃん。いろんな心のどんちゃんです♪
人種やジェンダーの差別をテーマにしている、というのは考え過ぎでしょうか? 森陽馬


2025年10月27日(月) 高野寛 「夢の中で会えるでしょう」(アルバム・ヴァージョン)

高野寛は1988年10月、23歳の時にシングル「See You Again」でデビューしました。
それからずっといい曲を作り続け、歌い続けて、今年37周年を迎えています。

今日は彼が2018年に発表した3枚組ベスト・アルバムから聴いてみたいと思います。

高野寛『SPECTRA ~30th All Time & Collaboration Best』
(3枚組CD UPCY-7545 4,290円税込)

「虹の都へ」「ベステンダンク」などソロでのヒットに加えて、田島貴男、坂本龍一、高橋幸宏、忌野清志郎などとコラボした楽曲も入っています。全46曲収録。
高野寛自身の言葉で綴られるライナーノーツ・楽曲解説も魅力です。

今日の1曲は「夢の中で会えるでしょう」を。
1994年に坂本龍一プロデュース&アレンジで録音したシングル曲のヴォーカルを、新しく録り直したアルバム・ヴァージョンです。

元々はキングトーンズのために高野寛が書いた曲。
いろいろな事情から高野寛が自ら歌うヴァージョンが出ましたが、キングトーンズも1年後にこの曲を歌っています。
高野寛というメロディーメーカーとしてのセンスがあふれ出た1曲と言えます。森勉


2025年10月26日(日) Neil Young & Crazy Horse 「Train Of Love」

オアシスの東京ドーム来日公演(2025年10月25、26日)は盛り上がったようですね。

そのオアシスがメジャー・デビューした1994年は、グリーン・デイ、ベックも登場した年です。
洋楽はマライア・キャリー、ボン・ジョヴィ、エイス・オブ・ベイスが日本でヒットしていました。
(ちなみに邦楽はミスチル、ドリカム、B'z、ZARD、小室哲哉関連など。) 華やかな時代ですね。

一方で1994年は、ニルヴァーナのカート・コバーンが自殺した年でもあります。
カート・コバーンが遺書に、「It's better to burn out than to fade away」(色褪せるよりも燃え尽きた方がいい)というニール・ヤング「Hey Hey My My (Out Of The Blue)」の歌詞を引用したことが報じられたのも印象に強く残っています。

大きなショックを受けたニールですが、その4か月後(1994年8月)にアルバムを急遽発表しました。
それが『Sleeps With Angels』です。

暗く重いタイトル曲以外は、カートが亡くなる前から既に録音済だったようですが、長尺「Change Your Mind」や切ない「My Heart」他、カートの追悼盤のような雰囲気も感じさせます。

今日のこの1曲は、5曲目「Western Hero」と同じ美しいメロディを持ち、歌詞は異なる⑨「Train Of Love」。森陽馬


★ニール・ヤング90年代のアルバム4作を収めたアーカイヴ・シリーズ『Official Release Series Discs 26, 27, 28 & 29』が、輸入CD4枚組とLP8枚組BOXで発売されました。『Harvest Moon』(1992)、『Unplugged』(1993)、『Sleeps With Angels』(1994)、『Mirror Ball』(1995)の4作を収録。



2025年10月25日(土) SUPER BELL"Z 「MOTER MAN(秋葉原~南浦和)」

「ドア閉まります。駆け込み乗車はおやめ下さい。電車から離れてください。」

電車に乗るとよく聴くフレーズですよね。
今では自動放送が主ですが、昔は車掌さんがクセの強い声&イントネーションでしていたのが懐かしいですね。

このような車内アナウンスをDJスタイルで歌にし、電子音楽に乗せて仕上げた曲が1999年に大ヒットしました。
それが、SUPER BELL"Z(スーパー・ベルズ)「MOTER MAN」です。

SUPER BELL"Zは、鉄道好きでDJの野月貴弘が中心のユニット。
当時、シングルCDが25万枚以上も売れました。
アイドルではない謎のグループの1stシングルCDがそんなに売れるなんて、今では信じられないですよね。

その「MOTER MAN」が初アナログ化! 7インチ・レコードで発売されました。

SUPER BELL"Z『MOTER MAN(秋葉原~南浦和)』
(国内7インチ・レコード 完全限定盤 PROT-7368 2,420円税込)

久々に聴きましたが、鉄道愛と遊び心が溢れていて最高ですねー。
1999年にはまだ生まれていなかったという世代にも是非聴いてもらいたい1曲。

ちなみに、B面は最強の埼京線ナンバー「MOTER MANⅡ"TRAFFIC JAM"(恵比寿~新宿)」です。森陽馬


2025年10月24日(金) 無果汁団 「ナサリー」

新しくて、懐かしい。
テクノ・ポップ、シティ・ポップ、AOR、ブリティッシュ・ポップなど、様々なジャンルが掛け合わされたテクノロジー・ポップス・ユニット、無果汁団。約2年ぶりとなる新作がリリースされました。

無果汁団『ナサリー』
(国内CD MKJR-004 3,080円税込)

元blue marbleのショック太郎(作詞/アレンジ、ミックス)、とんCHAN(作曲/キーボード、コーラス)、1st『マドロム』、2nd『うみねこゲイザー』でヴォーカルを務め、この最新作4thで復帰したみさきによる男女3人組。

シンセ×生音の緻密なアレンジ、詩の近未来的な世界観は今作でも全開♪
<これが本当の意味でのファーストアルバム>とメンバーの自信がうかがえるコメントも大納得の充実作です。

切ない気持ちを抱えながら夜の街を走る...都会的なアレンジがクール「TOKIOモノクローム」、日常のすべてが無機質に動くさまを描いた「全自動」も面白い曲。
本編ラスト「モノローグ」の、大貫妙子「都会」を想起させる歌い出しにもニヤリとさせられてしまいました。

今日の1曲は、アルバム名にもなっている「ナサリー」。
イノセントな歌声と美しいメロディの感動的なラヴ・ソングです。

これまでのアルバムと同じく、佐藤清喜(microstar)によるマスタリング!

先着特典でリード・トラック「アトモスフィア」のリミックス音源「Atmosphere (Lovers&Dub)」を収録したCD-Rが付きます。
新作CD・サブスクでは聴くことが出来ない7分に及ぶかっこいいトラック!こちらも是非ゲットしてください。東尾沙紀


2025年10月23日(木) 東京ローカル・ホンク 「お手紙」

祝♪放送開始から30周年!テレビ番組『出没!アド街ック天国』。
それを記念して、雑誌『アド街百景』が発売されました。
(当店でも好評発売中! 交通新聞社 1,650円税込)

アド街の30周年メモリアル・ブックとして、今までの名場面・名所が100か所紹介されています。
とても光栄なことに、PET SOUNDS RECORDも掲載していただきました!(No.34、56ページ目)
読み応えのある1冊、よろしければ手に取ってご覧くださいね。

その取材・撮影の時に、イノッチ部長が購入してくれたのがこのレコードです。

東京ローカル・ホンク『東京ローカル・ホンク』
(国内LP2枚組 完全限定盤 TBV-0067 6,600円税込)

当店が応援し続けているバンド、東京ローカル・ホンクの2005年発表作にボーナス曲を追加した2LP。
プロデューサー久保田麻琴さんによる新ミックス&リマスタリングで、内容も音質も素晴らしい作品です。

特にA面1曲目「お手紙」は繰り返し聴きたくなる名曲!
イノッチも気に入って、ラジオ『S.I.N NEXT GENERATION』でオンエアしてくれました。

♪きれいな月を眺めたよ。おいしいラーメン食べたよ。
口笛が上手く吹けたよ。土手に菜の花咲いてたよ。おーい、君は元気かい♪
(東京ローカル・ホンク「お手紙」歌詞より)

ホンク・メンバーのコーラスが重なる瞬間、胸が締め付けられるような気持ちになるのは僕だけでしょうか。森陽馬


2025年10月22日(水) 大滝詠一 「雨のウェンズデイ」

書籍『ALONG A LONG VACATION 大滝詠一、1981年の名盤を探る』が好評発売中です。
(著:湯浅学 レコード・コレクターズ増刊 2,200円税込)

大滝詠一が1981年3月21日に発表した名盤『ロング・バケイション』に関わった人物の証言を集めた1冊。
レコード・コレクターズ誌に連載された項に加え、吉田保と松本隆への新たなインタビューが追加されています。

特にラスト、松本隆の証言は感動的でもありましたね。

「大滝さんの声は悲恋の声で、悲恋の曲だとすごくいい感じに響く声質だ」、ということで、「FUN×4」以外は悲しい歌詞が多いという話や、「雨は好きで、これは外せない、みたいなヒット曲が来ると必ず雨」、等々興味深い話が多くありました。
改めてロンバケの歌詞を読んで聴き直したくなりましたね。

今日のこの1曲は、歌詞のモチーフに小説『微熱少年』の流れも感じさせる「雨のウェンズデイ」を。

ちなみに、松本隆の印税は、大滝詠一に書いた曲が今でも一番売れていて、収入の半分を占めているそうです。森陽馬


2025年10月21日(火) 山下達郎 「Tokyo's A Lonely Town」

山下達郎『ARTISAN』のアナログ盤が本日入荷しました。
2025年最新リマスター&カッティング、180グラム重量盤です。

山下達郎『ARTISAN』
(国内盤レコード WPJL-10262 4,400円税込/カセットテープも発売 WPTL-10011 3,410円税込)
先着特典ポストカード付。更に当店のみのオマケも先着で差し上げています♪

1991年発表。ソロになって第10作目。(ライヴ、企画盤は除いてのカウントです)
2021年の『ARTISAN』30周年の時に、当時のアナログ事情もあり音質重視ということで2枚組アナログ盤が出ましたが、1枚もので本作のアナログ盤が出るのは今回が初めてになります。
A面1曲目は「アトムの子」。B面1曲目は「スプレンダー」です。

今日の1曲は、A面5曲目「Tokyo's A Lonely Town」。
トレイドウインズの「New York's A Lonely Town」を東京に置き換えた歌詞にしてカヴァーした山下達郎ならではのこだわりと、この曲への愛を感じるヴァージョンです。
フェイドアウト寸前の打ち込みドラムスなのに、3連のドンドンドン、お聴き逃しのないように。

いつかシングル・レコード化して欲しい曲です。森勉


2025年10月20日(月) Gavin James 「Afterlife」 「Afterlife(Reprise)」

2010年代から活躍するアイルランド・ダブリン出身、1991年生まれの男性シンガーソングライター、Gavin James。

本国ではアルバム・チャート1位を何度も獲得している人気シンガーながら、日本ではあまり知られていない存在かと思います。
(2024年10月に初来日公演を行っています。)

シングアロング系から穏やかなフォーク・ソングまで、エモーショナルな歌声とメロディ、ドラマチックな曲展開が彼の魅力。
制作に4年を費やしたという2025年発表4作目が好評発売中です。

Gavin James『Goldrush』
(輸入CD SONY 19802872792)

本作は初めて本格的にセルフ・プロデュースを手掛けている作品。
歌とギターだけでなく、ピアノ、ドラム、ベース、コーラス、アコーディオン他自身もさまざまな楽器をこなしています。

ポップでエネルギッシュなAサイド、内省的かつ温かみのあるBサイドといった、前/後半趣きの違う二部構成的なつくりになっています。
本日はBサイドから、世界が終わりゆく夢を見た時に感じた、愛する人たちと過ごした時間の尊さ・感謝を歌ったフォーキーな「Afterlife」を今日の1曲に。

もし世界が終わっても、どんな形になってもまたどこかで会えるという希望を歌った「Afterlife(Reprise)」で今作は幕を閉じます。
アイリッシュ・トラッドの雰囲気を感じられる歌い出し、穏やかなピアノが深い余韻を残します。東尾沙紀


2025年10月19日(日) ブライアン・ウィルソン 「素敵じゃないか」

昨日10月18日、プライヴェートで来日中のダリアン・サハナジャさんがペット・サウンズ・レコードに来てくれました。
 

・2013年1月ヴァン・ダイク・パークス
・2015年12月ジェフリー・フォスケット
・2016年4月プロビン・グレゴリー
に続く、ビーチ・ボーイズ人脈の方の来店。うれしいですね。

ダリアンは店内をいろいろ見てくれて、レモン・ツイッグスや2025年日本企画として発売された『ロジャー・ニコルス・ソングブック』、大滝詠一の楽曲だけを集めた松田聖子のCDなども、興味深く眺めていました。

店内でかかっていたルラルやマイクロスターにも反応してくれたり、ビーチ・ボーイズ/ブライアン・ウィルソンの音楽を愛する者同志の共通嗜好を感じられ、本当に有意義な時間を過ごせました。
ダリアンありがとう!

ということで、今日の1曲は、ミュージカル・ディレクター&プロデューサーとしてもクレジットされ、ブライアン・ウィルソンを最大限にサポートしたこのアルバムから、「素敵じゃないか」を。
ブライアンの優しいピアノの音色が心に沁みます。森勉

★ブライアン・ウィルソン『アット・マイ・ピアノ』
(国内CD 日本語解説付 UCCM-1267 2,860円税込)


2025年10月18日(土) Boz Scaggs 「It's Raining」

2025年で81歳を迎えたボズ・スキャッグスが新作『Detour』を発表しました。
今回は、ジャズ・アルバムです。

ボズ・スキャッグス『Detour』
(国内CD ボーナス・トラック追加収録 解説・歌詞・対訳付 UCCO-1247 3,300円税込)

ジャズといっても、ブルージーなアレンジかな?、と思いきや、全体を通して予想以上に静謐な作品でした。
テンポはゆったり目。穏やかなピアノと、ボズの味わい深い歌声が中心で、ドラムはほぼブラシのみ。
夜中に静かな空間でひっそりと聴きたい1枚です。

今日のこの1曲は、アラン・トゥーサン作(Naomi Neville名義)の1曲目「It's Raining」。
オリジナルはニューオリンズの歌姫アーマ・トーマスが1962年に歌った名曲ですが、その元曲とは違った落ち着いたアレンジで歌われており、カヴァーだとは最初全く気付きませんでした。

以前にも、アラン・トゥーサン作「What Do You Want The Girl To Do?」をカヴァーしたことがあったボズ。
南部育ちの彼らしいセレクトですね。森陽馬


2025年10月17日(金) James Taylor 「Deck The Halls」

武蔵小山駅前の樹木に、クリスマス・イルミネーションのライトが設置されました。

朝晩はだいぶ涼しくなってきましたね。
寒さが苦手な僕は、くつ下用カイロを早くも使い出しています。

さて、そんな冬の到来が近いことを告げるように、クリスマス・アルバムが本日入荷しました。

James Taylor『At Christmas』
(輸入CD Columbia/Legacy 19802973262/輸入LP 19802841971)

ジェイムス・テイラーが2006年に発表したクリスマス・アルバム『At Christmas』の再発盤です。
国内盤は廃盤。近年は輸入盤も入手困難になっていました。

デイヴ・グルーシンによるプロデュース作、ジョニ・ミッチェル「River」のカヴァーも素晴らしい傑作
「一番大好きなクリスマス・アルバム」と言える名盤なので、再発はうれしいですね。

2012年に出た本作のExpanded Editionは、オリジナル12曲に「Here Comes The Sun」(ジョージ・ハリスンのカヴァー)と「Mon Beau Sapin」が追加された14曲入りでしたが、今回の再発は更に1曲多い全15曲入りになっています。

今日のこの1曲は、アルバムラストに収録されている追加曲「Deck The Halls」。
本作の元となった2004年Hallmarkストアからの限定発売CD(ジェイムス・テイラーのクリスマス・アルバム『A Christmas Album』)に収録されていたクリスマス・スタンダード曲。約20年の時を経てめでたく収録されました。

なお、アナログLPは黒盤で、オリジナル12曲のみ収録の仕様です。森陽馬


2025年10月16日(木) RCサクセション 「甲州街道はもう秋なのさ」-Another Mix-

「こんな素晴らしいレコードを廃盤にしていて申しわけありません」

この文面は、RCサクセションの1976年2月発表アルバム『シングル・マン』が発売数か月後早々に廃盤となった後、吉見佑子氏を中心に<シングル・マン再発売実行委員会>が立ち上がったことを起因として、1980年に正式に再発された際、LP帯に記載された言葉です。

その『シングル・マン』が、RCサクセションのデビュー55周年を記念して新たに再発売されました。

RCサクセション『シングル・マン』(デラックス・エディション)
(2CD UPCY-8060 4,840円税込/2LP限定クリア・ヴァイナル UPJY-9520 6,820円税込)

オリジナル・マスター・テープからzAk氏による最新デジタル・リマスタリングが施され、更にTVK『ヤングインパルス』スタジオ・ライヴなど貴重音源を追加したボーナス・ディスクが追加。約58Pに及ぶブックレットには、今井智子氏、坂井洋輝氏による解説、ジャケットの元になった南大路一氏による図版17点、当時のマルチテープや資料写真が掲載され、手元に置いておきたい仕様になっています。

今日のこの1曲は、「甲州街道はもう秋なのさ」-Another Mix-を。
オリジナル・ヴァージョンには全く入っていない星勝氏が手掛けたストリングスが全面に入っており、本編とは全く違った印象を受けました。マルチテープからzAk氏が本作用にミックスダウンを行ったそうです。森陽馬


2025年10月15日(水) Don Was & The Pan-Detroit Ensemble 「Nubian Lady」

現ブルーノート・レコード社長/アメリカのミュージシャン/プロデューサー、ドン・ウォズ。
自身の故郷デトロイトを拠点に活躍する音楽家と制作したソウル&ジャズ・アルバムを発表しました。

ドン・ウォズ&パン・デトロイト・アンサンブル『グルーヴ・イン・ザ・フェイス・オブ・アドヴァーシティ』
(国内仕様CD 解説付 BSMF-5140 3,190円税込)

ドン・ウォズ&パン・デトロイト・アンサンブルは、ブラス・セクション、パーカッション、キーボード、女性ヴォーカリストら9人編成によるバンド。
本アルバムを引っ提げ、9月下旬に来日。9月27日・28日に有明アリーナで行われたブルーノート・ジャズ・フェスティバルにも出演、素晴らしい演奏を聴かせてくれました。

今作にはライヴでも披露されたインプレッションズ「This Is My Country」、ハンク・ウィリアムス「I Ain't Got Nothin' But Time」、カメオ「Insane」などSteffanie Christi'anのパワフルなvoをフィーチャーした歌もの、9分を越える「Nubian Lady」(ユセフ・ラティーフ)などのインストもの...カヴァーを主体にジャズあり、レゲエあり、ファンクありのスタジオ/ライヴ録音による全6曲が収録されています。

初めて生で観ることが出来たドン・ウォズ(ベース)はもちろん、特に存在感を放っていたのが、サックス/フルート奏者デイヴ・マクマレイ。(赤の水玉シャツも素敵でした) 力強いプレイに圧倒されました!
近年自身の名義でグレイトフル・デッドの楽曲を再解釈する作品を発表しており、今回の来日では「Loser」も演奏されました。東尾沙紀


2025年10月14日(火) 松田聖子 「風立ちぬ」

♪風立ちぬ 今は秋 今日から私は心の旅人♪
(松田聖子「風立ちぬ」歌詞より 作詞:松本隆)

店内でCDをかけた瞬間、お花畑を歩いているような華やかな雰囲気に包まれました。

松田聖子『Seiko feelings -Eiichi Ohtaki Works-』
(国内SACDハイブリッド仕様 最新リマスタリング 栗本斉による解説付 MHCL-10191 3,520円税込)

本作は、大瀧詠一が松田聖子に作曲提供した楽曲を集めた全11曲の作品集。
当時出たのは、アルバム『風立ちぬ』(1981)A面5曲と、アルバム『Candy』(1982)の2曲。
それに加え、「いちご畑でつかまえて」と「FUN×4」を組み合わせた「いちご畑でFUN×4」と、大瀧詠一自身が歌ったテイクを編集した「風立ちぬ (duet version)」を収録。
更に、初出の「冬の妖精」(カラオケ)と「四月のラブレター」(カラオケ)が追加で入っています。

松田聖子のキラキラとした歌声。
大瀧詠一が手掛けた光と影の両面を内包した楽曲&サウンド。
約44年の時を越えても、輝きを放ち続けていることに感動を覚えました。森陽馬

★細野晴臣編、呉田軽穂(ユーミン)編、財津和夫編も発売中。


2025年10月13日(月) 大滝詠一 「夢で逢えたら」

大滝詠一/ナイアガラのポスターを当店にて発売中です。
 
・ナイアガラ・レーベル・デザイン B2サイズ 3,000円税込
・All Anout Niagara表紙デザイン A2サイズ 2,000円税込

書籍『All About Niagara 1973-2024』に合わせてリットーミュージックで作成された限定ポスター。
一般店舗で販売しているのは現時点で当店のみ!
店頭及び通販でもお買い上げいただけます。

ナイアガラ関連レコード・CD・カセットのレーベル面が並んでいる『レーベル・デザインB2ポスター』の方は、じっくり眺めると通常作品のレーベルだけでなく、実際には見たことがないプロモ盤のレーベル面が色々載っています。
(例えば、「夢で逢えたら」を集めた『大瀧詠一作品集3』のレーベルは、4CD全86トラック中から9曲を厳選して収めたナンバリング入りサンプラー盤が掲載)

手に入れられた方は、ポスターパネルに入れて是非飾ってくださいね。森陽馬

★掲載ジャケットは、『EIICHI OHTAKI Song BookⅢ 大瀧詠一作品集3 「夢で逢えたら」』。
(国内4枚組CD 「夢で逢えたら」86トラック収録 SRCL-9693 4,378円税込)


2025年10月12日(日) マイケル・フランクス 「ナイトムーヴス」

50年ほど前、都内の輸入盤専門店で、このモノクロ写真のジャケットが気になりました。

マイケル・フランクス。
聞いたことのない名前でした。

裏ジャケットを見ると、歌詞と演奏に参加しているミュージシャン名がいろいろと書いてありました。
その中に、ジョー・サンプル、ウィルトン・フェルダー、ラリー・カールトンと、当時大好きだったクルセイダーズのメンバーだった人も写真付で載っていました。
知らない人でもバックが魅力的であれば「買い!」という方針だったので、買ってみたところこれが大当たり!

マイケル・フランクスは次の『スリーピング・ジプシー』で、日本では人気が出るのですが、やはり初めて聴いたこの『アート・オブ・ティー』が忘れられません。

裏ジャケには、プロデューサーのトミー・リピューマの写真も載っていて、ここで初めてお顔を拝見したような気がします。

ということで、今日は1曲目「ナイトムーヴス」を。
マイケル・フランクスのソフィスティケートされたヴォーカルのとりこになったきっかけの1曲です。森勉

★マイケル・フランクス『アート・オブ・ティー』
(国内CD 解説・歌詞・対訳付 WPCR-85137 1,980円税込)


2025年10月11日(土) Tift Merritt 「Time And Patience」(Cabin Recording)

「27歳の自分が歌っているのを今聴くと、夢が聴こえる。自分の意図が聴こえる。
<中略> 曲を書き歌うことは、私が自由になるために行っていたことなのだ。」
(『Time and Patience』の内ジャケットに記載されているティフト・メリット自身の解説より)

大好きな女性シンガー、ティフト・メリットの新アイテムとなるアルバムCDが発売されました。

Teft Merritt『Time And Patience』
(輸入CD One Riot Records/Virgin ORR-1010-CD)

2004年発表名盤3rdアルバム『Tambourine』のリリース20周年を記念して制作された1枚。
2002~2003年に台所やキャビン等で録音していた貴重なデモ音源を中心に全10曲収録されています。

可憐ながらも芯の通った歌声には、魂が込められているのを感じました。
デモ音源はシンプルなアレンジながら、若き志が眩しいほどに輝いています。

今日のこの1曲は、アルバムタイトルにもなっている「Time And Patience」(Cabin Recording)を。
見えそうで見えない夢の光を追う情熱が、歌声に内包されています。森陽馬


2025年10月10日(金) Jeff Tweedy 「Lou Reed Was My Babysitter」

・ジョージ・ハリスン『All Things Must Pass』
・ニール・ヤング『Decade』
・グラッシュ『Sandinista!』
この3作の共通点は何でしょうか?

答えは・・・、<3枚組のアルバム>です。
(CDは2枚になっているものもありますが)

ジェフ・トゥイーディは、この中の1枚クラッシュ『Sandinista!』を聴いて、新作を3枚組に、と思ったそうです。
そして、CD3枚組全30曲のオリジナル・アルバム『Twilight Override』が完成しました。

Jeff Tweedy『Twilight Override』
(輸入3枚組CD dBpm Records/Legacy 0514974925-4)

弾き語り中心かと思いきや、息子二人(スペンサー&サミー)含むバンドで録音された楽曲も収録。
「Lou Reed Was My Babysitter」という曲は、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドっぽい雰囲気がありますね。

彼らしいルーツも感じられて聴き応えある3CD。ウィルコファンならずとも是非聴いてみてください。森陽馬


2025年10月9日(木) 六角精児バンド 「ディーゼル」

NHKの人気テレビ番組『呑み鉄本線・日本旅』でおなじみの六角精児さん。

2014年にCD発売されベストセラー続行中のアルバム『石ころ人生』が、アナログLPとして10月8日発売されました。

六角精児バンド『石ころ人生』
(国内アナログ・レコード TBV0094 5,280円税込)

インパクトのあるジャケットがさらに存在感を増したレコード・ジャケット!
圧巻です。

番組中で使用されている人気曲が「ディーゼル」、「愛のさざなみ」(島倉千代子のカヴァー)、「お父さんが嘘をついた」(♪若い頃からの偏食がたたり、乳酸値が高い~♪という歌詞が話題)と、3曲も収録されています。

今日は、A面1曲目の番組主題歌のような感じになっている「ディーゼル」を。森勉


2025年10月8日(水) The Dare 「Days」

インドネシアのインディー・ポップ・シーンで活躍中の4人組ガールズ・ポップ・バンド♪

ザ・デアー『369日』
(国内CD 歌詞・対訳付 FCRD-090 2,750円税込 / 限定LP FCRD-090LP 3,960円)

「第二のバリ」とも呼ばれるインドネシア中部に位置するロンボク島にて2017年から活動している女性4人組バンド、ザ・デアー。
(ロンボク島で使用されている言語・ササク語で''女の子''を意味するDedareがバンド名の由来だそうです。)

アーティスト写真でメンバーの1人がティーンエイジ・ファンクラブのTシャツを着ていて、それだけでもどんな音楽が好きなのか伝わってくるのですが、実際彼女たちはサラ・レコードほかUKのインディー・ポップや、タイガー・トラップら1980~1990年代のトゥイー・ポップなどに影響を受けているそうで、その時代のサウンドや精神が引き継がれています。

エモーショナルなインスト「White Sand」、死生観をにじませる「Days」、ママとの攻防を歌ったキャッチーな「Hello Mama」、嫉妬深すぎる彼の仕打ちをやさしいメロディにのせて歌う「Jealous Sky」など、ポップでセンチメンタルな全8曲を収録。全編英語詞で歌われています。

今作を引っ提げての日本ツアーも要チェック♪
11月7日(金)大阪、8日(土)京都、9日(日)東京・下北沢、10日(月)新代田の計4公演が予定されています。東尾沙紀


2025年10月7日(火) 古内東子 「満月のせいにして」

古内東子の新作『Long Story Short』が好評発売中です。

1993年メジャー・デビューから、通算21枚目のオリジナル・アルバム。
その中でもベスト5に入る傑作だと感じているくらい、僕は気に入っています。

古内東子『Long Story Short』
(国内CD MHCL-3143 3,850円税込)

プロデュースは、彼女の代表曲「誰より好きなのに」他、90年代の名曲を多く手掛けた小松秀行が担当。
バックメンバーも、石成正人、佐野康夫、中西康晴、斉藤ノブ他、素晴らしいミュージシャンが結集。
スタイリッシュでラグジュアリー、なおかつ琴線を震わせる旋律が織り込まれています。

今日のこの1曲は、日常を過ごす中で募る孤独感や焦燥感を唄にした「満月のせいにして」。
恋愛に関する歌だけでなく、人生の<Long Story>を<Short>に表現した歌が心に響きました。森陽馬


2025年10月6日(月) 鈴木博文 「くれない埠頭」 with Bright Young & Old Wan-Gan Workers

ムーンライダーズ鈴木博文の新作ライヴ4CD盤『Fou FEVER』が入荷しました。
当店では、通常の発売日よりも早く、特別に先行販売しております。

鈴木博文『Fou FEVER』
(国内4枚組CD 24ページフォトブック封入 noteron-1014 8,800円税込)

2017年にカーネーションと共演した貴重ライヴと、2024年古希記念ライヴを収めた4枚組CD。
どちらも新代田にあるライヴハウス、FEVERで行われたライヴ音源です。

今日のこの1曲は、ayU tokiO(猪爪東風)が発案・企画し、鈴木博文本人には直前までサプライズで行われた2024年古希記念ライヴから、大団円のラスト「くれない埠頭」を。

猪爪東風とやなぎさわまちこ、鳥羽修、大田譲、夏秋文尚による”鈴木博文&ムーンライダーズ愛”に溢れた入魂のバック演奏が素晴らしい! 青山陽一、3776、XOXO EXTREME、加藤千晶、emma mizuno、直枝政広、あがた森魚がゲスト参加。

ブックレットにはayU tokiO&鈴木博文のミニ・インタビューも掲載されています。森陽馬


2025年10月5日(日) triosence 「Dear Rainer」

トリオセンス『stories of life』のジャケットは、Rainer Hoffmannという人が描いた絵が使われています。

Rainer Hoffman(ライナー・ホフマン)は、トリオセンスのリーダーでありピアニストBernhard Schuler(ベルンハルト・シューラー)の叔父にあたる人物で、一般的な知名度はないものの、世界中を旅してたくさんの絵を残したそうです。

そのライナー・ホフマンが2023年に亡くなったことをきっかけに、彼を敬愛していたベルンハルト・シューラーが絵画に合わせて作曲し纏めたアルバムが『stories of life』として発表されました。

Triosence『stories of life』
(輸入CD Masterworks/SONY 19802931542/輸入LPもあり)

トリオセンスは、ドイツ人ピアニストのベルンハルト・シューラーを中心としたジャズ・バンド。
通算10作目となる本作のCDブックレットには、収録曲のテーマに沿ったライナーの絵画が10点掲載されています。
ベルンハルト・シューラーが彼のことを想い書き下ろした「Dear Rainer」の流麗な美しいピアノの奏を聴きながら、この絵画を眺めていると、長いようで短い人生の一場面へタイムスリップするような不思議な感覚になります。

最後に、ブックレットに記載されているベルンハルト自身の解説、最後の一文を記します。
「私たちの人生の物語は、無限の広大な時間と空間の中で、風のように過ぎ去っていく束の間の瞬間ではないだろうか?」
森陽馬


2025年10月4日(土) ミシェル・ルグラン 「風のささやき」

映画『ミシェル・ルグラン 世界を変えた映画音楽家』を新宿武蔵野館で先日鑑賞しました。

『シェルブールの雨傘』、『ロシュフォールの恋人たち』等、数多くの名作映画の音楽を手掛けたことで知られる、フランスを代表する音楽家ミシェル・ルグランのドキュメンタリー映画。

彼の足跡を描いた映像作品は今までにもありましたが、本作は、2019年1月に亡くなった彼が最後に行ったコンサート(2018年12月1日パリ)の模様も描いているところが最大の見どころでしょう。
コンサート当日、リハーサル時から明らかに具合が悪かった彼が、奇跡的に舞台へ上がり完遂したコンサート。その裏側と関係者の証言には臨場感があって、とても感動しました。

あと、ミシェル・ルグランがライヴのリハーサル時に、担当者へ激怒したり、演奏者へ厳しい要求をする場面も描かれていて、面白かったですね。(実際の当事者は大変だったでしょうが...)

ミシェル・ルグランに関してよく知らなくても、本作内のほぼ全編で彼が手掛けた音楽が流れ続けているので、流麗な美しい旋律に身を委ねることができて、心地良い気持ちになることができる1本だと思います。

特に印象に残った1曲は、ラストのエンドロールで流れた、ミシェル・ルグラン自身が歌う「風のささやき」。
映画『華麗なる賭け』でのノエル・ハリソンの唄が有名ですが、ミシェルの美声にもグッときました。

なお、映画パンフレットの濱田髙志さんによる寄稿文『素顔のミシェル・ルグラン』には、来日時の興味深いエピソードが色々と書かれています。是非ご覧になってみてください。森陽馬

★掲載ジャケットは、映画『ミシェル・ルグラン 世界を変えた映画音楽家』サウンドトラック盤。
(国内CD フランス語ライナーノーツ対訳付 UCCM-1279 3,300円税込)


2025年10月3日(金) ボー・ブラメルズ 「グッド・タイム・ミュージック」

10月に入りました。
東京もやっと秋らしい気候になってきました。

ということで、【オータム】にこじつけた今日の1曲です。

今回は、曲を発売したレコード会社の名前が【オータム】という所から引っ張ってきました。

1964年にサンフランシスコで結成されたボー・ブラメルズは、オータム・レコードからデビュー。
1965年には「ラーフ・ラーフ」、「ジャスト・ア・リトル」の大ヒットが生まれました。
彼らのバンド・サウンドを一言で表現するなら、「素朴」という言葉が当てはまるかもしれません。

なお、ドラムスのジョン・ピーターセンは、1966年に脱退し、ハーパース・ビザールに参加。
新しいサウンドを模索することになります。

今日の1曲は、オリジナル・メンバーでは最後のヒットとなった「グッド・タイム・ミュージック」を。
イントロとコーダのコーラスには、ハーパース・ビザールに通じるものを感じます。

ボー・ブラメルズ『イントロデューシング・ブラメルズ +10』
(国内CD 日本語解説付 CDSOL-3163 2,420円税込)

2021年に8枚組CDとして発売されたBOXセットBEAU BRUMMELS『Turn Around:The Complete Recordings 1964-1970』も店頭にあります。森勉


2025年10月2日(木) Say She She 「Disco Life」

レトロな雰囲気だけれど新しい。
ヴィンテージ感がありながら、今の時代を震わすグルーヴ。

Say She Sheの3rdアルバム『Cut & Rewind』は、懐かしさと斬新さが同居したかっこいい快作でした。

Say She She『Cut & Rewind』
(国内仕様CD AMIP-382 2,750円税込)

Say She Sheは、インド系ルーツを持つロンドン生まれの女性シンガーPiya Malik、ニューヨーク出身Sabrina Mileo Cunningham、黒人シンガーNya Gazelle Brownの女性3人を中心に結成され、ブルックリンを拠点に活動しているグループ。

ナイル・ロジャース率いるChicの代表曲「Le Freak」に出てくる歌詞♪C'est Chic♪が、グループ名の由来になっているように、80'sソウル/ディスコのグルーヴと、NY発のNEW WAVEを現代に蘇らせたようなサウンドが新鮮に響きます。

今日のこの1曲は、身体も心も揺らすファンキー・チューン!「Disco Life」。森陽馬


2025年10月1日(水) Kingfishr 「Man On The Moon」

アイルランドの大自然に建つ小さな家。
その家の前で佇む青年たち。

Kingfishr(キングフィッシャー)のデビュー・アルバム『Halcyon』は、ジャケット写真の飾らない美しさと力強さが、演奏と歌から伝わってくる1枚でした。

Kingfishr『Halcyon』
(輸入CD Atlantic/Warner 075678598487)

Kingfishrは、アイルランドの南部にある街リメリックで2022年に結成された男性3人組バンド。
ヴォーカル&ギターのEddie Keogh、バンジョーのEoghan 'McGoo' McGrath、そしてEoin 'Fitz' Fitzgibbonの3人による楽曲は、伝統的なアイリッシュ・フォークに、キャッチーなロック・アレンジが加わって、聴く者の心をおおらかに、そして熱くさせます。

今日のこの1曲は、1曲目「Man On The Moon」を。
U2とマムフォード&サンズの魅力を合わせたようなかっこいいナンバーですね。森陽馬


2025年9月30日(火) Fairground Attraction 「A Smile In A Whisper」(Live)

「人生とは、出会いと縁と別れです。」(瀬戸内寂聴さんの言葉より)

年を重ねると共に、この言葉を実感するようになりました。
若い頃に出会った人たち、当たり前のように交わしていた言葉が、実は大切なひと時であったのだ、と。

フェアーグラウンド・アトラクションが34年ぶりの再結成を果たし、2024年に行った日本公演の音源を聴きながら、そのような想いを改めて感じました。

フェアーグラウンド・アトラクション『Beautiful Happening Live In Japan』
(国内2枚組CD+ブルーレイ 完全限定盤 SICX-30227 8,000円税込/通常2CD盤 SICX-30230 3,800円税込)

フェアーグラウンド・アトラクションは、エディ・リーダーとマーク・ネヴィンを中心に、ロイ・ドッズ、サイモン・エドワーズが加わり1987年に結成したグループ。1stアルバム『The First Of A Million Kisses』(1988)を発表し1989年に来日公演を行った後、1990年に解散していました。

本作は、オリジナル・メンバーに加え、グラハム・ヘンダーソン(アコーディオン)、1989年の来日公演にも帯同していたロジャー・ボジョレー(ヴィブラフォン)も入り、35年ぶりに行った2024日本公演(最終日2024年7月3日、有楽町ヒューリックホール東京での公演)を完全収録した音源&映像作品。

♪愛を語るには多くの言葉はいらない。ささやきかける微笑みがあればいい。♪
(「A Smile In A Whisper」邦題:愛の微笑み 歌詞より)

エディ・リーダーの歌声、バックの演奏、そして観客の歓声には愛が溢れています。

なお、日本盤ブックレットには、メンバーが日本に到着した2024年6月25日から、帰国の途についた7月4日までの10日間を、担当ディレクターがレポートした手記が掲載されています。森陽馬



2025年9月29日(月) Dylan Mondegreen 「To Change Your Heart」

海で佇んでいる女性の後ろ姿。
アルバム名、及びアーティスト名も記載がないジャケット写真を見るだけでもいろんな物語が想像できます。

これまでの作品でもドキッとするような瞬間を切り取った素敵なジャケットが多いノルウェーの男性シンガーソングライター、ボルゲ・シルーネスのプロジェクト<ディラン・モンドグリーン>。
約7年ぶり、6枚目となる新作『A Sound Rings True』がリリースされました。

Dylan Mondegreen『A Sound Rings True』
(国内LP 歌詞付 FCRD098LP 3,960円税込)

今作の中の「君」と「僕」はかつてのパートナーだったのか、想いを伝えられない相手なのか、越えられない心の距離を綴った切ない曲が多いのですが、彼の歌声やサウンドはとても柔らかい雰囲気。
フレンチホルン、フルート、ヴィブラフォン、シンセ、女性ヴォーカル...ギターポップなイメージや前作とはまたひと味違ったメロウな作品に仕上がっています。

暑さも少し落ち着いた今の時期、心落ち着かせてくれる1枚です。

なお、今作はアナログLP(Fastcut Recordsと自身のレーベルSaikoとの共同リリース)と配信のみで、CDは発売されていません。東尾沙紀


2025年9月28日(日) Julia Fordham 「Home (If This Is What Love Is)」

ジュリア・フォーダムの最新アルバム『earth mate』が国内盤CDで発売されました。

ジュリア・フォーダム『earth mate』
(国内CD 日本語解説・歌詞・対訳付 HYCA-8092 2,860円税込)

イギリス/ポーツマス出身で、現在はL.A.を拠点に活動している女性シンガー、ジュリア・フォーダム。
1988年に邦題『ときめきの光の中で』でデビューし、「Happy Ever After」がTVドラマ『ハートに火をつけて!』(浅野ゆう子主演)の主題歌となって、日本でもヒットしましたね。

本作『earth mate』は、愛と喪失を歌った彼女の2024年発表オリジナル・アルバム。
深遠な歌声とサウンドが心に残る①「Home (If This Is What Love Is)」を特に気に入って、真夜中によく聴いています。

ちなみに、彼女は現在来日中!
2025年9月29日(月)ビルボードライヴ東京、9月30日(火)ビルボードライヴ横浜で公演を予定しています。森陽馬



2025年9月27日(土) デイヴ・メイスン 「流れるままに」(Let It Flow)

今月、新譜として発売されたテデスキ・トラックス・バンドの2015年のライヴ盤『マッド・ドッグス&イングリッシュメン・リヴィジテッド』は、ジョー・コッカーとレオン・ラッセルが中心になって行った1970年のライヴをトリビュートしたもので、とてもエキサイティングな作品でした。(2025年9月12日今日のこの1曲で紹介)

その中に、「フィーリン・オーライト」が入っています。
作者であるデイヴ・メイスンがリード・ヴォーカルで参加し、後半にはデレク・トラックスとのギターバトルが聴けました。

ということで、今日はデイヴ・メイスンを。

1970年代に発売された彼の作品は、以前に低価格で色々発売されていました。
残念ながら、それらの大半は生産中止になってしまっています。
が、しかし、このCDは先日注文したら、運良く入荷してきました。

デイヴ・メイスン『流れるままに』(LET IT FLOW)
(国内CD 日本語解説付 SICP-5494 1,100円税込)

1977年発表。
「ウィ・ジャスト・ディスアグリー」が彼のシングルとしては、最大のヒットを記録しました。(全米第12位)
続いてシングル・カットされた「流れるままに」もスマッシュ・ヒット。
アルバム全体でキーボードのマイク・フィニガンがいい仕事をしています。森勉



2025年9月26日(金) 鈴木実貴子ズ 「夕やけ」

「明日も要らない 未来も要らない 安心も要らない 今だけが欲しい
<中略> 来世も要らない 今だけ 今だけ 今だけが欲しい
<中略> 目の前の今をこの今を 抱きしめてみるよ」(鈴木実貴子ズ「夕やけ」歌詞より)

名古屋を拠点に活動している男女二人ロック・バンド、鈴木実貴子ズ。
傑作&大好評だったメジャー1stフルアルバム『あばら』(
2025年1月30日今日のこの1曲で紹介)から、約半年ぶりとなる作品『瞬間的備忘録』をリリースしました。

鈴木実貴子ズ『瞬間的備忘録』
(国内CD+DVD CRCP-20616 5,000円税込)

CDには、インディーズ時代に作られた楽曲を新録音した入魂の5曲。
DVDには、2025年6月28日下北沢SHELTERでのライヴ映像15曲が収録。

心の内から湧き出た真っ直ぐすぎる言葉とメロディーが、音楽なしでは生きられない僕らの心を撃ちぬきます。

今日のこの1曲は、今という瞬間を生きる力を与えてくれる「夕やけ」。森陽馬

★当店にてお買い上げの方、直筆サイン入りポスターを先着でプレゼント中!


2025年9月25日(木) 家主 「YOU」(NO FADE ver)

現代ミュージシャンの中で信頼できる指折りのロック・バンドが、家主だ。

田中ヤコブが鳴らすギターと吐き出す言葉には、一本芯が通っており裏切らない。
ロックという音楽に、夢と力が今もあることを教えてくれる。

その家主が新曲5曲を収めた新作ミニ・アルバムを発表した。

家主『NORM』
(初回CD+Blu-ray付 NFBD-002 4,000円税込/通常CD NFD-21 1,800円税込)

CDには未配信のインストを追加した全10トラック入り。
初回限定盤のBlu-rayには2024年CLUB CITTA'川崎のライヴ映像が収録されている。

中でも5曲目「YOU」は名曲だ。
シングルと違い、フェイドアウトせず約20秒長いアウトロが凄まじい。
ニール・ヤング、J・マスキスを彷彿とさせるギターソロに、魂を込めているのが伝わってきた。森陽馬



2025年9月24日(水) ℃-want you!「ラストナイトは踊らせて」

本秀康氏主宰、雷音レコード10周年記念7インチ・シングル♪
雷音レコード最多リリースを誇るアーティスト、今夏ママになられた℃-want you!(シー・ウォンチュ!)の新曲がリリースされました。

℃-want you!「ラストナイトは踊らせて/モコゾウ・ブギ (Swingy MIX)」
(国内7inch クリア・レッド・カラー盤 RHION-41 1,760円税込)

新曲「ラストナイトは踊らせて」は、℃-want you!作詞・作曲によるビートルズ感満載の超ゴキゲンなロックンロール・ナンバー。

「1、2、3、4!」のカウントから、「I Saw Her Standing There」、「涙の乗車券」、「Day Tripper」、「Slow Down」、「It Won't Be Long」等々、いろんなフレーズが細かく散りばめられて、とにかく楽しい♪武藤星児さんがアレンジを手掛けられています。

さらに、ジャケット・イラストにも登場している杉真理さん&松尾清憲さんがコーラス(&コーラス・アレンジ)で参加!
ウーララ~♪パッシュワ~♪お二人のコーラスもふんだんに入っており、彼女のキュートな歌声と曲の世界観をよりいっそう引き立てています。

7インチと配信ではそれぞれミックスが異なるとのこと、こだわりの''赤盤''(クリア・レッド・カラー)仕様となっています。東尾沙紀

カップリングには、2018年発表の7インチ・シングル「君だけさ」B面曲だった「モコゾウ・ブギ」の武藤星児リミックスを収録。東尾沙紀


2025年9月23日(火) Joni Mitchell 「A Bird that Whistles」

ジョニ・ミッチェルの『ブルー』は好きだけれど、ジャズ色が強くなる『逃避行』以降は・・・。
恥ずかしながら、そのような印象を僕は以前持っていました。

でも最近は、ジャズ・ミュージシャンと一緒に録音している作品の方をよく聴いています。
ジョニのジャズは、視界が広がるような解放感を与えてくれるのです。

そんな不思議な魅力を放つジョニ・ミッチェルの"JAZZ"に特化した4CD編集盤が発売になりました。

ジョニ・ミッチェル『Joni's Jazz』
(国内仕様4枚組CD 完全限定盤 英文解説翻訳・歌詞・対訳付 WPCR-18765 11,000円税込)

ジョニの全作品中からジャズ色が濃い楽曲を未発表含め61トラック集めた4CD盤。
ディスク1の1曲目は「Blue」から始まるように、初期から『Shine』(2007)まで幅広く選曲されています。

今日のこの1曲は、鳥の歌声のように響くウェイン・ショーターによるサックス演奏と、本物の鳥の鳴き声をミックスしたという「A Bird That Whistles」。

最後に、ジョニ・ミッチェルのコメントを。
<ウェイン・ショーターはわたしのお気に入りの共同制作者だった。(中略) 彼がいなくなって寂しくなるけど、彼はこれからも私のこの音楽の中に生き続ける。このアルバムは彼の想い出に捧げます。>(ジョニ・ミッチェル) 森陽馬



2025年9月22日(月) Evie Sands 「I Can't Let Go」

イーヴィ・サンズは現在も活動を続けている女性シンガーであり、ソングライターです。

そんな彼女のレコード・デビューから7年間に出たシングル・コレクションが、ACEレーベルからCDとして発売されました。

Evie Sands『I Can't Let Go』
(輸入CD ACE CDTOP-1658)

1963年から1970年にかけて、ABC-Paramount、Hold、Blue Cat、Cameo、A&Mの各レーベルから出たシングル曲を26曲収録しています。
この時代は自作曲が1曲だけですが、アル・ゴーゴニ、チップ・テイラー、トレイド・マーティンなどの作品をちょっと低めハスキー・ヴォイスで表情豊かに歌っています。

ホリーズでヒットした「アイ・キャント・レット・ゴー」、メリリー・ラッシュでヒットした「エンジェル・オブ・ザ・モーニング」、共に最初に歌ったのは、イーヴィ・サンズでした。
イーヴィのレコードは残念ながらヒットしませんでしたが、時の運ということなのでしょう。

今日の1曲は、Blue Catレーベルから出た「アイ・キャント・レット・ゴー」を。森勉




これより以前に掲載した“今日のこの1曲”は、
 “今日のこの1曲 アーカイヴス” コーナーにてご覧になれます。■

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