PET SOUNDS RECORD
今日のこの1曲 アーカイヴス


  今日のこの1曲 “Achives”

<2006月11月>

当店ペット・サウンズ・レコード店にて、
その日に店内でかけていた曲の中から、
店員の独断と偏見で選んだ“今日のこの1曲”コーナー

2006年11月に更新した“今日のこの1曲”コーナー。

廃盤・生産中止、規格番号の変更など、
情報が古くなっている商品もございますが、ご了承くださいませ。


<最新の“今日のこの1曲”はこちらのページをご覧ください>


2006年11月1日(水) James Taylor 「River」

 名作『オクトーバー・ロード』から約4年、ジェイムス・テイラーの待望の新作が届けれられた。(Columbia 323-2 国内盤発売予定はなし)
 タイトル『At Christmas』の通り、キャリア初となるクリスマス・アルバム。

 これがもう期待通り、いやそれ以上の素晴らしい内容で、今年のNo.1 X'mas アルバムが早くも決定!という1枚になりそうだ。

 名ピアニスト・編曲家のデイヴ・グルーシン・プロデュースにより、全体的にシンプルなアレンジが聴く者を暖かい空気で包むジェイムス・テイラー節を引き立たせており、決してでしゃばらないバックの演奏も秀逸。
 収録曲は「Winter Wonderland」、「Jingle Bells」などのクリスマス定番曲が中心ですが、その中にあって意外な選曲が今日のこの1曲「River」。

 女性シンガー・ソングライター、ジョニ・ミッチェルが71年に発表した名盤『BLUE』にこっそりと収録されている小品的名曲で、彼女のオリジナルではイントロのピアノで「Jingle Bells」のメロディーが使われているように、歌詞もクリスマス時期にリンクする内容なのですが、この曲をX'masアルバムに取り上げたジェイムス・テイラーのセンスはさすが! 派手さはないですが、切なくも心地良い余韻を残すアレンジも聴きもの。

 ちなみに来週11/8には、今年2月にL.Aで豪華ゲストが多数参加し行われた『ジェイムス・テイラー・トリビュート・コンサート』DVDが遂に発売! 本人自身も後半出演しキャロル・キングとの共演も収録されておりますので、こちらもとても楽しみです。森 陽馬

2006年11月2日(木) James Taylor 「Go Tell It On The Mountain」

 まだまだ暖かい日が続いていますが、店頭ではこのジェイムス・テイラーのクリスマス・アルバムばっかりかけています。

 昨日紹介した「River」他、どの曲も素晴らしいのですが、ジェイムス・テイラー・ファンなら反応すると思われるのが、2曲目に収録されているこの曲「Go Tell It On The Mountain」。

 マヘリア・ジャクソンが歌っていることでも知られるクリスマスのトラディショナル・ソングなのですが、この曲のアレンジが、ジェイムス・テイラーが1991年に発表したアルバム『New Moon Shine』に収録されている「Copperline」という曲にとても似ているのです。特にイントロ部分の雰囲気や歌の節回しなどは、JT自身も意識したのではないでしょうか?

 ちなみにこの曲ではマイケル・ランドゥがギター参加。プロデューサーの御大・デイヴ・グルーシンもピアノを弾いています。森 陽馬

2006年11月3日(金) Joni Mitchell 「River」

 ジェイムス・テイラーが新作X'masアルバムで「River」をカヴァーしているので、ジェイムス・テイラーを聴くのに比例して、ここ最近ジョニ・ミッチェルもヘヴィー・ローテーション中です。

 それにしてもジョニ・ミッチェルが1971年に発表した名作アルバム『BLUE』(WPCR-75230 \1,800)は、本当に何度聴き返しても新しい発見があるようで、約35年を経ても今なお新鮮な輝きを放つ素晴らしいアルバムですね。

 初めてこの作品を聴いた学生時代の頃は1曲目「All I Want」、しばらくしてアルバムを聴き込んでいくとアルバム中盤の「Blue」や「California」が好きな曲になり、そして現在は後半の「River」が・・・、というように不思議な縁というか魅力を改めて感じています。(ちなみにジェイムス・テイラーが「All I Want」、「California」などでギター参加しています。)

 さて、この「River」ですが、歌詞を読むと「私って扱いにくいの。わがままで寂しがりやなの。」とあるようにジョニの自叙伝のような内容で、結局は最後に「最愛の人を失ってしまった・・・」で締めくくられる失恋ソング。厳密にはクリスマス・ソングでは決してないのですが、イントロ部分で「ジングル・ベル」のメロディーがピアノで奏でられ、更に歌の冒頭が“It's Coming on Christmas”で始まるので、冬の歌であることを印象付けられます。

 ちなみに「River」サビの歌詞で、「ああ、川があったらいいのに・・・。そうしたらスケートができてあなたの元へ行けるのに。」と歌われているのですが、4年後の76年発表作品『Hejira (邦題:逃避行)』の内ジャケットでは、凍った川の上でスケートをしているジョニ・ミッチェルの写真が使われています。森 陽馬

2006年11月4日(土) Weather Report 「Birdland」

 ジョニ・ミッチェル繋がり、というと無理があるかもしれませんが、彼女の76年発表作『Hejira』に参加し、当時付き合ってもいたという名ベーシスト、ジャコ・パストリアスが1970年代中期からメンバーとして加入していたジャズ・バンド、ウェザー・リポートのBOXセットが先日発売されました。(『Forecast:Tomorrow』 限定盤 SICP-1160〜3 \8,400)

 ウェザー・リポートは、1970年頃マイルス・デイヴィスのバックで演奏していたジョー・ザヴィヌル(key)、ウェイン・ショーター(sax)の二人が中心となって、71年に結成したジャズ・グループ。(メンバーがアルバムごとに入れ替わっているのですが、ジャコ・パストリアスが在籍していた中期(1975年あたりから82年くらいまで)が黄金期と言って過言ではないでしょう。)

 このBOXに収められている3枚のCDには時代順に主要曲が収録されており、その曲ごとに参加メンバーのクレジットも書いてあるので、アンソロジーとして初心者にもオススメな作り。でもこのBOXの一番の肝は、なんといっても付属のDVD!

 1978年9月ドイツでのライヴ映像で、ジョー・ザヴィヌル(key)、ウェイン・ショーター(sax)、ジャコ・パストリアス(bass)、ピーター・アースキン(drum)という最強メンツ!
 ブックレットにピーター・アースキンの回顧録が掲載されているのですが、そこで“全員絶好調だった”と彼本人も言っているように、まさに絶頂期の映像が高画質で約2時間18曲も収録! こういう映像、どんどん出して欲しいですね。

 ちなみに「Birdland」は77年発表の名盤『Heavy Weather』に収録、ジョー・ザヴィヌル作の代表曲。DVDにも収録されています。森 陽馬

2006年11月5日(日) 金延幸子 「雪が降れば (ようこさんにささげる)」

 11月に入ったとゆうのにまだまだ昼間は暖かい日が続いていますね。

 ポカポカした陽気に包まれながら、このアルバム(『み空』 72年にURCレーベルより発表 IOCD-40012 \1,785)を聴いていると子守唄を聴いているように心地良く、ついつい眠ってしまいます。(勿論仕事中は寝ませんが!)

  初めて聴いたのはごく最近の事です。
 夜、外の人通りも少なくなった頃、店内でかけていた流れるように歌う瑞々しい声と、アコースティック・ギターのごくごくシンプルな演奏がスーッとしみ込むように耳に入ってきて、なんだかとても懐かしい気持ちになりました。

 「雪が降れば...」なんてまだまだ気が早いですが、この曲が特に好きでよく繰り返し聴いています。
 「雪が降る頃にはきっといい事が...」という歌声を聴くたびに上京した日の朝、雪が沢山降っていたのを思い出します。

 ちなみに「ようこさんにささげる」の“ようこさん”とはどなたの事なのでしょうか?ご存知の方がいたら是非教えて下さい。東尾沙紀

★11月6日(月)は店舗休業日となります。ご了承くださいませ。

2006年11月6日(月) エルヴィス・プレスリー 「ラブ・ミー・テンダー」

 映画レイトショーで、『日本以外全部沈没』を鑑賞。

 もうかなり前に前売鑑賞券を購入していたので、もう終わっちゃっているかも、と危惧していたのですが、ちゃんとまだシネセゾン渋谷で公開していて無事見ることができました。
 大味なネタ、はたまた小ネタも含め爆笑・苦笑の連発なのですが、そういう中にも様々な風刺が散りばめられていて非常に面白かったです。

 ですが、更に度肝を抜かれたのがその映画前の予告編。
なんと、12月に『プレスリーVSミイラ男』というアメリカ映画が公開予定!

 もう予告編からして、バカバカしい・・・じゃなかった危険な香りがプンプン漂っていて、速攻で前売鑑賞券を購入!
 何故か特典として“『プレスリーVSミイラ男』トイレットペーパー”というのが付いてきたのですが、これでお尻を拭きながら公開を待つというのもオツなもんですね。(ミイラ男のように体に巻いてもOKらしい。)

 映画のチラシには、“ラフ・ミー・テンダー!”
“プレスリーは生きていた! JFKも生きていた!? そして、ミイラ男まで生き返った!!” ですからねー。もう本当に公開が楽しみ。

 ちなみに実はもう4年前、2002年に制作された映画のようで、本国では続編(!)の製作も決定しているらしい。プレスリー・ファンも要チェック?ですよ。 森 陽馬

2006年11月7日(火) J.J.Cale & Eric Clapton 「Dead End Road」

 エリック・クラプトンとJ.J.ケイルの連名による共作・新作が発売。
 (『The Road To Escondido』 WPCR-12495 \2,580)

 収録曲14曲中、11曲がJ.J.Cale作ということもあり、レイドバックしていて、いい意味でJ.J.ケイル寄りの1枚。
 はっきり言って、ここ最近のクラプトンの作品の中では僕は一番好きな1枚になりそう。

 先に“J.J.ケイル寄り”と書いてしまいましたが、必ずしもそうではなく、参加メンバーも現在のクラプトン・バンドで今度来日予定のデレク・トラックス(G)、ドイル・ブラムホールJr (G)、スティーヴ・ジョーダン(Dr)、等も参加。
 クラプトンに勝るとも劣らない天才ギタリスト:アルバート・リー(G)、今年6月に逝去した故ビリー・プレストン(p)、更には新世代ソングライター、ジョン・メイヤーも曲提供&ギターで参加しています。

 そのジョン・メイヤーが参加した渋いG「Hard To Thrill」、社会派な内容の歌詞を盛り込んでいて、デレク・トラックスのスライドも印象的なC「When This War Is Over」も捨て難かったのですが、今日のこの1曲はE曲目に収録されている「Dead End Road」。

 ジャグ・バンド的な曲調の快活なナンバーですが、なんといっても曲の中盤で弾けるギター・ソロが聴きもの。たくさんのギタリストが参加しているわりには、1曲ごとのメンバー・クレジットがブックレットに記載されていないのですが、このギター・ソロは間違いなくアルバート・リーでしょう!(間違えていたらゴメンナサイ) “早弾きギタリスト!”の真骨頂ともいえるソロを聴かせてくれます。

 ちなみに現在御買い上げの方先着で、ジャケットと同じデザインのカレンダー・ポスターをプレゼント中です。森 陽馬

2006年11月8日(水) アストロノウツ 「ホット・ドッギン」

 あっという間に11月になってしまいました。
 まだそんなに寒くないとはいえ、クリスマス・アルバムが発売されるこの時期にサーフィン/ホット・ロッドのインスト・ナンバーが今日のこの1曲とは・・・。

 営業時間の11:00から22:00まで11時間ありますので、毎日、いろいろな曲が店内ではかかっているのです。
 今日はアストロノウツが聴きたい気分になったので、日本編集の全22曲ベスト『太陽の彼方に』(BVCP-7501 \1,835)をひっぱり出してきました。

 このCDが最初に発売されたのは1990年。もう16年前ですが、97年に再発もされ、まだ廃盤にならずにカタログに残っています。
 監修・解説は“厚家羅漢”こと、大瀧詠一。
 久し振りにライナー・ノーツを読み返しましたが、曲を聴く楽しさが倍増しますね。さすが!

 「ホット・ドッギン」は彼らの最高作と多くのファンが思うスピード感あふれる名曲です。森 勉

2006年11月9日(木) Incognito 「Tin Man」

 1990年代前半に“アシッド・ジャズ”ブームというのがあったのですが、学生だったその頃、インコグニートはよく聴いていました。
 スティーヴィー・ワンダーの名曲「Don't You Worry 'Bout A Thing」のカバーが大ヒットし、J-WAVEなどでもパワープレイされていた頃、渋谷公会堂(現:CCレモン・ホール)にコンサートを見に行ったのも懐かしい思い出です。

 ここ最近のインコグニートはCLUB MUSIC寄りになりすぎていて、ちょっと敬遠していた部分もあったのですが、先日発売されたこの新作(『bees&things&flowers』 PCCY-1809 \2,415)は、シンプルなアコースティック的なアレンジが多く、インコグニート本来の良さが戻ってきた感もある仕上がりで、初期作に参加していた女性ヴォーカリスト、メイザ・リーグも復活し数曲でリード・ヴォーカルを取っています。

 EW&F「That's The Way Of The World」、ロイ・エアーズ「Everybody Loves The Sunshine」、ラヴィン・スプーンフル「Summer In The City」のカヴァーから、自らのヒット曲「Still A Friend Of Mine」のセルフ・カヴァーも収録されていますが、白眉は反則的な選曲のこの曲。

 ジェリー・ベックリーが中心のグループ、アメリカの74年ヒット曲で邦題は「魔法のロボット」。
 原曲が素晴らしいので曲がいいのは当然といえば当然なのですが、なんと、カーリーン・アンダーソン(彼女もアシッド・ジャズ・ブームの立役者でしたね)がリード・ヴォーカルを務めており、そのソウルフルなヴォーカルもNiceです。森 陽馬

2006年11月10日(金) noon 「River」

 11月1日のこのコーナーでジェイムス・テイラーによるジョニ・ミッチェル・カバー「River」を取り上げましたが、違うシンガーによる「River」カヴァーも紹介しましょう。

 noon(ヌーン)は大阪出身の女性ジャズ・ヴォーカリスト。
 2003年にゴンザレス鈴木・プロデュースでデビューした後着実にキャリアを重ね、この4作目となるアルバム『Holy Wishes』(VICJ-61394 \2,100)はクリスマス・アルバム。

 aosisレーベルより作品を発表したこともあるピアニスト&ハーモニカ奏者、西脇辰哉がプロデュースを担当し、全体的にシンプルなアレンジで統一。
 この「River」はジェイムス・テイラーのそれとはまた違って、ジョニ・ミッチェルのオリジナルに忠実なカヴァーになっており、ジョニのオリジナルではイントロ部分、ピアノでクリスマスのメロディーが奏でられるのですが、それを西脇辰哉によるハーモニカで表現。郷愁感を深める効果を出しています。

 実は更にもう1人、新録音の作品で「River」のカヴァーをやっているアーティストを見つけたのですが、それはまた10日後あたりにでも紹介いたします。森 陽馬

2006年11月11日(土) America 「Tin Man」

 先日のこのコーナーで、インコグニートの「Tin Man」を紹介しましたが、僕はやっぱりアメリカのオリジナルの方が好きですね。

 “アメリカ”というグループは、ジェリー・ベックリー、デューイ・バネル、ダン・ピークの3人によって、70年代にロンドンで結成されたロック・グループ。
 ロンドンで結成されたのですが、メンバー3人は皆アメリカ空軍・軍人の子供だったということもあり、グループ名が“アメリカ”。そして後に、イギリスよりもアメリカでヒットする、というちょっと複雑な経緯がありますが、そんなことは知らなくても、彼らの音楽を一聴すれば誰しもが好きになるハズの親しみやすい楽曲が魅力です。

 「Tin Man」は1974年発表アルバム『Holiday』から最初にシングル・カットされ全米4位のヒットを記録。
 「魔法のロボット」という邦題が付いていますが、デューイ・バネルによる歌詞は“オズの魔法使い”にインスパイアされたもので、思いのほか難解な内容。

 アコースティックなポップ・サウンドに、サビのコーラス・ワークが耳に残ります。森 陽馬

2006年11月12日(日)Spanky Wilson & The Quantic Soul Orchestra 「Waiting For Your Touch」

 “アレサ・フランクリン、マーヴァ・ウィットニーのようなシャウト系の女性ソウル・シンガーで他にいいのないですか?”
と聞かれることが時々あるのですが、意外と返答に窮してしまいます。
 今春発売された、ニコル・ウィリスのアルバム(『Keep Reaching Up』 PCD-23750 \2,415)はそういう意味では久々のヒット!という感じでしたが、やはりヴォーカルはもちろん、サウンドや曲の内容もいいものというとそうそうたくさんあるわけではありません。

 ですが、先日発売されたSpanky Wilson & The Quantic Soul Orchestraによるこのアルバム(『I'm Thankful』 UK盤 TRUCD-109) は、そういう方にも推薦できる内容の作品でした。

 Spanky Wilsonはフィラデルフィア出身の黒人女性シンガーで、あまり表立った活動はしていないものの60年代後期に、デューク・エリントン、マーヴィン・ゲイ、ウィリー・ボボなどとコラボレートしていた知る人ぞ知るヴォーカリスト。
 80年代からイギリスに渡って活動していたようですが、この度、UKでも指折りのソウル・コレクターであり、人気CLUB DJでもあるQuantic(クオンテック)のプロデュースにより、アルバムを発売。これが最高にファンキー!

 若干ビートが安っぽい音作りではありますが、そのマイナス点を補って余りあるほど彼女の歌声はソウルフルでかっこいいです! 60〜70'sソウル・ファンの方にはもちろん、Club Music好きの方にもオススメできる1枚。森 陽馬

★11月13日(月)は店舗休業日になります。ご了承くださいませ。

2006年11月13日(月) The Neatbeats 「Christmas Day」(ビーチ・ボーイズ・カヴァー)

 夜はだいぶ冷え込みが厳しくなってきましたが、さすがにもう11月中旬ですからね。寒くなってくるのは当然といえば当然。やはりクリスマス・ソングも先月あたりはまだピンと来なかったのですが、ここ最近寒くなってきてからは沁みてくるようになりました。

 ということで、店内コーナーはもちろん、WEB上でも今週末あたりには“当店オススメのクリスマスCD特集”を開設する予定です。それに先立って、今年のX'masアルバム新譜をご紹介。

 ニートビーツは60年代UKビートをルーツにもった日本人男性4人によるロック・グループ。97年結成なのでキャリアはもうすぐ10年ですが、一貫して“ロックン・ロール道”を突き進んでいる気風のいいバンドです。

 その彼らのX'masアルバム(『Rock'N'Roll Christmas』 BVCR-17046 \2,400)でなんと、ビーチ・ボーイズ(ブライアン・ウィルソン作)のクリスマス名曲をカヴァー! さすがにビーチ・ボーイズと同じようなヴォーカル&コーラス、というわけにはいきませんが、意外にも(?)オリジナルに忠実なカヴァーで、彼らの音楽に対する愛情を感じる1曲です。

 この曲以外ではエルヴィス・カヴァーなども収録されていて、彼らの“ロックン・ロール!”したオリジナル・クリスマス・ソングもNice! まだ彼らの音楽を聴いたことがない方も、是非このX'masアルバム、チェックしてみてください。森 陽馬

2006年11月14日(火) Karen Dalton 「In A Station」

 カレン・ダルトンは一般的な知名度はないのですが、女性シンガー・ソングライター・マニアの間ではちょっとした存在で、この彼女の2ndアルバムは本当に待望の世界初CD化!

 約10年前某レコード店D社に勤めていた頃に、中古LPの買取で入ってきて、店頭に高値で出す前に聴かせてもらって以来、本当に久々に彼女のこのアルバムを聴くことができましたが、僕の記憶の中にあった音よりも数段良くて、正直ビックリしてしまいました。

 1stアルバムはアシッド・フォーク的な内容なのですが、この2ndアルバム『In My Own Town』(OTLCD-1079 \2,625)はバック・ミュージシャンも凄腕揃いで聴きやすく、エイモス・ギャレット(G)やジョン・ホール(G)も参加。
 特にこのザ・バンドの隠れた名曲「In A Station」(リチャード・マニュエル作)カヴァーはかっこいいですね。

 ですが、やはりこの盤の一番の魅力はなんといってもその美麗なルックスとは対照的な低音のダルな歌声!
 “グリニッジ・ヴィレッジのビリー・ホリデイ”!なんていう形容詞もあるように、マリア・マルダーやニーナ・シモンがお好きな方には大推薦の1枚です。(ブックレットも充実&丁寧な作りでした) 森 陽馬

2006年11月15日(水) the fascinations 「Lovin' You」

 ミニー・リパートンの名曲「ラヴィン・ユー」は、本当にたくさんのアーティストがカヴァーしていますが、このカヴァーは久々にビビッ!と来た1曲でした。

 “ファシネイションズ”は、日本人ヴィブラフォン(鉄琴)奏者:渡辺雅美を中心としたジャズ・グループ。
 モダンなジャズだけでなく、現代のCLUB世代にもアピールできるクールな新世代ジャズ・サウンドが魅力で、この「Lovin' You」は、本日発売の3rdアルバム『color code』(HCCD-9516 \2,625)に収録。

 オリジナルのメロディーをヴィブラフォンで奏でながら最初ユッタリと始まりますが、次第に転調&テンポアップして、後半は最高にかっこいいクールかつ熱い“Lovin' You”となる素晴らしいアレンジ! ヴォーカルは入っていませんが出色のカヴァーと言っていいでしょう。

 この曲以外にも、名シャンソン歌手・戸川昌子をfeatした「Moonlight Serenade」など、モンドな雰囲気を漂わせる好トラックが満載! ジャズ・ファンはモチロン、CLUB JAZZ好きの方にも大推薦の1枚です。森 陽馬

2006年11月16日(木) The Beach Boys 『PET SOUNDS』

 本日通販ページにも掲載しましたが、12月8日に書籍『無人島レコード2』(レコード・コレクターズ増刊 \1,500)が発売決定!

 2000年に発売された『無人島レコード』の方は当店店長の森 勉も寄稿させていただいたのですが、今回の『2』は執筆陣が超・超・超豪華!!!

 大滝詠一(!)、加藤和彦、友部正人、曽我部恵一、杉真理、スガシカオ、サエキけんぞう、吾妻光良、向井秀徳、片寄明人、などのミュージシャンから、松尾潔、冨田恵一、コモエスタ八重樫、他プロデューサー陣、海外からロビン・ヒッチコック、グレン・ティルブルック、音楽関係者以外では、中川翔子、蒼井そら、内田樹などなど、他にも興味深い“無人島訪問者”が続々!

 本秀康さんによる書き下ろし『レコスケの無人島レコード』全5話も掲載されるようですので、これは楽しみな書籍ですね!

 ちなみに蛇足ではありますが、僕の無人島レコードはやはりこの1枚。ひねりが全くなくてスミマセン。森 陽馬

2006年11月17日(金) Brian Setzer Orchestra feat Ann-Margret 「Baby It's Cold Outside」

 本日、今冬初めて店内の暖房をつけました。東京の昼間はまだ暖かいのですが、夕方になると途端に冷たい風が吹くようになり寒くなってきましたね。

 ということで、レイ・チャールズをはじめたくさんのアーティストがカヴァーしているこの冬の定番デュエット曲を、ブライアン・セッツァー・オーケストラのクリスマス・アルバムよりご紹介。(『ブギ・ウギ・クリスマス+ラック・ビー・ア・レイディEP』 VICP-63612 \2,205)

 定番曲ではありますが、ただこのデュエットの相手がまた渋いっ! なんと名女優・そして歌手としても知られるアン・マーグレット!

 おそらくこれはブライアン・セッツァーによる粋な計らいというかコンセプトだと思うのです。
 それというのも全体的にこのアルバムはエルヴィス・プレスリー色が強く、プレスリーが当時発売していたクリスマス・アルバムに収録されている曲を何曲か取り上げているのですが、まず3曲目「Winter Wonderland」(1971年『Elvis Sings The Wonderful World Of Christmas』にも収録)、4曲目「Blue Christmas」&5曲目「Santa Claus Is Back In Town」(共に1957年『Elvis Christmas Album』に収録)、そして6曲目がこの曲なのです。

 そう! アン・マーグレットと言えば、エルヴィス・プレスリーと共演し、主演のエルヴィスをも食った存在感で大ヒットした1964年名作映画『ラスベガス万才』で有名な大女優。この“エルヴィス関連数珠繋がり”は、セッツァーのエルヴィスへの愛情すら感じさせますね。

 全然関係ないのですが、明日18日(土)の東京競馬場メイン・レース11Rに、“エルヴィス”という馬が出走します。森 陽馬

2006年11月18日(土) Sam Moore 「You Are So Beautiful」

 喉頭癌と診断され療養中であった忌野清志郎が、昨日17日青山BLUE NOTEで行われたサム・ムーアの来日公演に飛び入りでゲスト出演し、「I Thank You」を熱唱したそうです!

 音楽評論家・吉岡正晴氏のブログにライヴ・レポートが掲載されているのですが、サプライズ・ゲストとしてステージに上がった彼は声も歌い方も今まで通りの清志郎節!だったそうです。本当にうれしいニュースですね。
 サム・ムーア自身の公演も素晴らしかったようですしその場で見たかったなあ〜。とにかくも無理せず、両者とも末永く活動していって欲しいものです。

 ちなみにサム・ムーアは1960年代に「Hold On I'm Coming」等多数のヒット曲を出したR&Bソウル・デュオ、“サム&デイヴ”の黒人ヴォーカリスト。

 今日のこの1曲は、そのサム・ムーアが今年発表したソロ・アルバム『Overnight Sensational』(WPCR-12433 \2,580)の最後12曲目に収録されているビリー・プレストン作の名曲カヴァー。
 今年急逝したそのビリー・プレストン、黒人ペダル・スティール奏者・ロバート・ランドルフ、featヴォーカルにズッケロも参加。更に、エリック・クラプトンが渋いギターを弾いています。他の曲にもスティーヴ・ウィンウッドやポール・ロジャーズ、B・スプリングスティーンなど豪華ゲストが多数参加していてオススメの1枚です。森 陽馬

2006年11月19日(日) 高中正義 「塀までひとっとび」

 “タカナカ・マサヨシ”がひさしぶりに弾きまくったアルバムが出ました。ジャケットは彼が昔出したアルバムに似ているものがありますが、新作です。

 タイトルは『サディスティック・タカナカ』(LAG-9 \3,000)。
 ミカ・バンドの曲をカヴァーしています。

 ライヴ録音ですが、曲間の拍手などはカットしてあって、スタジオ録音と同じように曲がスムーズに聴け、またライヴの迫力が伝わってくる作りになっています。

 『黒船』のB面に収録されていた小原礼の作詞・作曲による「塀までひとっとび」は、ヴォーカルが入っていた曲ですが、ここではインスト。高中のギターがファンキーに疾走しています。伊藤広規、小島良喜、重実徹、斉藤ノブ、そして野呂一生が好サポート。

 バラードの「ナルキッソス」、井上陽水のカヴァー「帰れない二人」、名盤『黒船』のメドレーも素晴らしい出来栄えです。森 勉

★11月20日(月)はビートルズ発売日ですので営業いたします。

2006年11月20日(月) The Beatles 「Because 〜 Get Back」

 ビートルズのニュー・アルバム(彼らの新しいアルバムが出ることはもうありえないので、個人的にはこう呼びたくないのですが・・・)『ラヴ』が発売になりました。

 さすが話題になっていますね。細かい点ではいろいろありますが、結構気に入りました。
 この1曲目、2曲目、本当にうまい編集で、つかみもバッチリ。

 「ビコーズ」は演奏を省いたアカペラ・ヴァージョン。
 最初にアカペラを持ってくるなんて、ジョージ・マーティンがブライアン・ウィルソンの『スマイル』1曲目「Our Prayer」にインスピレーションを受けたのかな、と思ってしまいましたがいい出だしです。

 それに続く「ゲット・バック」はなんと、「ア・ハード・デイズ・ナイト」のあのイントロで始まります。
 これから聴こうと思っている方もいると思うので、あまり多くは語らず今日はこのへんで。音質が素晴らしいことを付け加えておきます。

 やっぱり、ビートルズはいいな。森 勉

2006年11月21日(火) Neil Young 「Cowgirl In The Sand」

 ニール・ヤングが1970年にフィルモアで行ったライヴがCD化されました。(『ライヴ・アット・ザ・フィルモア・イースト』 WPCR-12527 \2,580)

 1970年というとちょうどCSN&Yによる名作『デジャヴ』が発売された年で、後に名盤と称される『After The Gold Rush』や『Harvest』が出る前。ニール・ヤングのバック・バンドを務めることが多くなるクレイジー・ホースに故ダニー・ウィットン(1972年にヘロイン中毒で死亡)がまだ在籍していた時代のライヴ音源、ということで、ニール・ファンなら必聴の1枚でしょう。

 当時のライヴはアコースティック・セットもあったのですが、このCDに収録されているのは全編エレクトリック・セット。特に15分に及ぶラスト「Cowgirl In The Sand」の熱演は聴きもの!なのですが、僕がこのCDを聴いてうれしかったのはこの曲終了後に収録されているある“音”なのです。

 演奏が終わって拍手が鳴り続き・・・、と普通ならここでフェイド・アウトするのですが、そのままカウントが続き最後の最後に、終演後“客出し”音楽として使っていた曲が小さい音でちょろっとですが収録されているのです!
 ジェイムス・テイラーのあの曲が使われているのですが、CD御買い上げの方、是非「Cowgirl In The Sand」終了後もCDのストップ・ボタンを押さずに耳を澄ませて聴いてみてください。森 陽馬

2006年11月22日(水) Madeleine Peyroux feat K.D.Lang 「River」

 今月中旬にこのコーナーで予告してしたジョニ・ミッチェルの隠れた名曲「River」の最近のカヴァーですが、マデリン・ペルーという女性シンガーの新作『Half The Perfect World』(UCCM-9141 \2,100)に収録されています。

 このマデリン・ペルーという人はジョージア州出身のアメリカ人なのですが、父親がフランス領だったニューオリンズ出身、そしてその後両親が離婚しパリに移住していたこともあるそうなので、名前だけでなく歌声にもフランス的な雰囲気を持ち合わせているのかもしれません。

 この「River」は比較的オリジナルに忠実にカヴァーされていますが、カナダ人女性シンガー、K.D.ラングとデュエットするかたちで歌われており、バックの演奏もシンプルなので、彼女達の清い歌声が生かされた好アレンジ。

 もちろん彼女自身の歌声にも求心力はありますが、僕はやはりプロデューサーのラリー・クラインによるところが大きいように感じました。
 ちなみにそのラリー・クラインはジョニ・ミッチェルの元夫であり、彼女の1980年代以降の作品の多くをプロデュースしている名ベーシスト&プロデューサーでもある人です。この曲をカヴァーしたのはそういう経緯からかもしれませんね。森 陽馬

2006年11月23日(木) cutman-booche 「six dollars」

 先日のこのコーナーでサム・ムーアの来日公演に忌野清志郎が飛び入りで出演した件を書きましたが、彼の公式サイトで写真もアップされましたね。
 当初は観覧のみの予定だったのが、当日サム・ムーアに直々に依頼されて急遽の出演だったとのこと。チャボ(仲井戸麗市さん)を誘って観に行った、というのがいいなあ。とにかくも元気そうでなによりです。

 そんな明るい話題とは反比例して、日本の音楽界は停滞気味というかオリコン・チャートなど見てもどうもパッとしない感じではありますが、でもいいアーティスト、バンドというのは一般的には知られていなくても確実に出てきていて、この今日紹介するこのグループも是非皆さんに聴いてもらいたいバンドです。

 カットマン・ブーチェは大阪出身の3人組バンド。
 ジャック・ジョンソン的、というかG.LOVE的な音に更にロック/ブルース的な要素も散りばめた渋かっこいい”サウンド。個性的なヴォーカルもNice!。今年フジ・ロックにも初出演し、僕は1日目の夜中の2時くらいに苗場食堂でやった彼らのライヴを見ましたが、ステージすぐ脇で見ていたこともあってとても印象深かったです。

 この3rdミニ・アルバム『spinach del sol』(RDR-1050 \2,000)も後々名盤と語られるような雰囲気を持った1枚ですので、渋い日本ロック好きな方はチェックしてみてください。(来月にはライヴも結構やるようです。)森 陽馬

2006年11月24日(金) Eric Clapton 「Motherless Children」

 私事ながら、本日は夕方で店を抜け出して、エリック・クラプトン@日本武道館公演へ行ってまいりました。

 今回のツアーは今までのトリプル・ギターの編成のうちの1人、アンディー・フェザーロウが抜け、その代わりに、現オールマン・ブラザーズ・バンドの若き名スライド・ギタリスト、デレク・トラックスが加入。ドラマーもスティーヴ・ガッドからスティーヴ・ジョーダンにチェンジされ、よりROCK的な面を押し出した構成。

 まず率直な感想から言うと、今まで観たクラプトンのライヴの中で一番良かったです! 席は2階席のやや上の方と決して良い席ではなかったにも関わらず、音も良かったし、とにかくバンド全体が素晴らしかったです。 最小限の決め事以外は各メンバーが自由にプレイしている雰囲気で、その中にも緊張感があって本当に飽きさせない2時間でした。

 やはり見所・聴き所はデレク・トラックスのスライド・ギターで、デュアン・オールマンの魂が乗り移ったかの如く縦横無尽に動き回るそのスライドを聴いていると、もうデレク無しではクラプトンのバンドは成り立たないのではないか?と思えてくるほどでした。

 「クラプトンは毎回来ているから・・・」という方多いかもしれませんが、この編成でのクラプトン・バンドはもう見れない可能性が高いのでお見逃しなく。森 陽馬

(ジャケットは1974年発表の名盤『461オーシャン・・ブールヴァード』 UICY-6186 \1,680)

2006年11月25日(土) Spencer Davis Group 「Somebody Help Me」 (USヴァージョン)

 “待望!”というのはこういうことを言うのでしょうね。スペンサー・デイヴィス・グループ初期のオリジナル・アルバム3枚が世界初CD化です。うれしいことにアルバム未収録だった曲や別ヴァージョンもプラスされています。

 別ヴァージョンというのは、USヴァージョンと言われるものです。ビートルズでも最近CD化されたりしましたが、当時アメリカ盤のみで聴けたヴァージョンだったり、ミックスだったりするものです。

 彼らのこのヴァージョンが本当にシビレるようなかっこよさなんです。大ヒット「ギミ・サム・ラヴィン」もいいのですが、今日は「サムバディ・ヘルピ・ミー」を。【3rdアルバム『Autumn'66 (+8)』(UICY-93175)に収録。 \2,141】

 普通のヴァージョンはファズをかけたギターが印象的なのですが、このUSヴァージョンはなんとオルガン入りです!
 
 この曲がヒットしていた1967年頃、FENで時々流れていたのがこのオルガン入りヴァージョンで、その音が頭の中に残っていたため、彼らのレコードやCDをかなり買い込むことになってしまいました。が、なかなかめぐり逢えず、1980年代後半にアメリカEMIから発売されたベストCDでやっと再会を果たした次第であります。

 そんな想い出も含めて、いい形のCD化を喜びたいと思います。森 勉

2006年11月26日(日) Frank Zappa 「Ask Dr.Stupid」

 ビートルズ新作『LOVE』の評判は上々のようですが、このフランク・ザッパの新作(!)もザッパ・マニアの間でかなり評判になっているようです。

 「えっ? ザッパってもう死んでなかったっけ?」というあなた、それは正しい。すでに1993年に亡くなっているのですが、このアルバムは単なる未発表音源を集めたという代物ではなくて、ザッパが死ぬ前に既に作成していたというギター・インスト・アルバム。

 基本的には88年頃のライヴ音源が根本となっていて、その楽曲群が繋がっている全16曲&約61分。ドラム、ベース、キーボード、ホーン系など他の楽器も入っていますが、やはり狂ったように縦横無尽に突き進みまくるザッパのギターの音色とリフが圧巻!

 ザッパ好きの方なら必聴の1枚でしょう。(『Trance- Fusion』 ZAPPA Records ZR-20002  現在のところ国内盤は発売予定ありません。)森 陽馬

★11月27日(月)は店舗休業日となります。ご了承くださいませ。

2006年11月27日(月) エルヴィス・プレスリー 「引越しだ」

 急遽今月中に倉庫を引き払うことになり、急ピッチで整理&荷物のお引越し。

 旧店舗が閉店した後、現在の仮店舗をオープンさせる約10ヶ月の間、倉庫契約のため店舗としては利用できませんでしたが、ご注文商品の受け渡しに使っていたりしていた時期もあった倉庫です。(ちなみにこの倉庫は、“スマイル”という名前の不動産屋さんから借りた物件でした。)

 本当は捨てたくないものやまだまだ利用できそうな棚なんかもあったりするのですが、こればっかりはしょうがないですね。引越しによる宿命と思わなければ・・・。

 ということで、エルヴィスの名曲から引越しソング。
 原題は「We're Gonna Move」。
 1956年に全米公開されたエルヴィスの初の主演映画『Love Me Tender (やさしく愛して)』の挿入歌として使われたナンバーです。森 陽

2006年11月28日(火) George Benson & Al Jarreau 「Summer Breeze」

 名ジャズ・ギタリスト&シンガーであるジョージ・ベンソンと、唯一無二のスキャット・シンギングが魅力的なシンガー、アル・ジャロウが組んだ夢の共作が遂に発売。(『Givin' It Up』 UCCM-2002 \2,548)

 ジョージ・ベンソンの76年発表フュージョン・インストの名曲「ブリージン」に、アル・ジャロウが歌詞を付け新たに生まれ変わった「ブリージン」新ヴァージョンからアルバムは幕を開けるのですが、これがなかなかにゴキゲンなヴァージョン。この曲に限らず全体的にお互いの長所を引き出しつつ、もちろん自らの持ち味をも生かした素晴らしい内容の1枚に仕上がっています。

 その中でも特に僕が好きなこの曲をカヴァーしていたので、冬の寒さと逆行して紹介してしまいましょう。
 「サマー・ブリーズ」のオリジナルは、シールズ&クロフツという1970年代に活躍したソングライター・デュオによる1972年発表の代表曲で、哀愁をいざなうメロディーが印象的な人気ナンバー。アイズレー・ブラザーズや片寄明人さんによるグループGreat 3などのカヴァーも有名ですね。

 オリジナルに忠実なカヴァーですが、ジョージ・ベンソンによるギターの響きが最高にクールで、切なくもかっこいい仕上がり。アル・ジャロウのヴォーカルもNice!

 ちなみにアルバムの最後には、ポール・マッカトニーが参加していて、「Bring It On Home To Me」(サム・クック作)を唄っています。森 陽馬

2006年11月29日(水) スキマスイッチ 「空創トリップ」〜「ボクノート」

 今週発売になった主な強力新譜アルバムは、浜崎あゆみ、リップ・スライム、森山直太朗、一青窈のベスト、玉置成実のベストなど。年末ということでJ-POPの新譜ラッシュが続いていますが、その中でも特に良かったのが、スキマスイッチの新作『夕風ブレンド』(AUCK-18012 \3,360)。

 まだジックリ聴きこんだわけではないのですが、僕的には前作『空創クリップ』より断然良かったです。

 3枚目となる今作は各曲ごとに様々なバック・メンバー&ゲストを迎えられて制作されていて、小田和正がコーラス参加している曲(D「月見ヶ丘」)や林立夫さんがドラムを叩いている曲、そして、レミオロメンのベーシストの人が参加している曲などもありましたが、不思議とアルバム全体としては一体感があって聴きやすい仕上がり。

 その中でも特に、プロローグ的な切ないストリングスのインスト「空創トリップ」から、「ボクノート」へ繋がる流れは見事で、彼らの才能を感じさせる素晴らしい構成&アレンジでした。
 ちなみに全13曲中4曲で、佐橋佳幸さんの見事なギターを聴くことができます。森 陽馬

2006年11月30日(木) David Crosby 「Almost Cut My Hair」 (Demo)

 今年も残すところあと1ヶ月となりましたが、唯一の心残りは全米で行われていたCSN&Y(クロスビー・スティスル・ナッシュ&ヤング)のコンサートを見れなかったこと。
 “CSN&Yとしては最後のツアー”という噂だったので、アメリカまで見に行こうかな?とも画策していましたが、ちょっと日程が合わず断念・・・。いつか来日して武道館とかでやってくれないかな。

 さて、その無念を晴らしてくれるかの如く、素晴らしいBOXセットがRhino編集で発売になりました。(デヴィッド・クロスビー『Voyage』 R2 77628) ソロ名義作はもちろん、The Byrds、CSN&Y、グラハム・ナッシュとのデュオ名義、そして、彼の息子と結成した“CPR”の代表曲をも収録した全52トラック収録3枚組CDのBOXセット。

 さすが!ライノ編集!と絶賛したくなるブックレットは彼のファンなら必見! 1968年にジョニ・ミッチェル、エリック・クラプトンとの珍しい3ショットなど見たことがない写真タップリ! 更にデヴィッド・クロスビーによる各曲の詳細な解説(もちろん英語)が付いて超充実の約130ページ。

 そして音の方も特にディスク3が凄くて、名曲の未発表デモや別ミックス、ライヴ・ヴァージョンなど貴重音源が全16曲。今までにオフィシャルで出ていた音源は全曲最新デジタル・リマスタリング。パッケージも収納しにくい縦長ケースとかではなく、CD棚に収まるサイズなのがウレシイですね。

 是非、こういう丁寧な作りでグラハム・ナッシュ、スティーヴン・スティルス、そしてニール・ヤングのBOXも希望! 森 陽馬


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