PET SOUNDS RECORD
今日のこの1曲 アーカイヴス


  今日のこの1曲 “Achives”

<2007月3月>

当店ペット・サウンズ・レコード店にて、
その日に店内でかけていた曲の中から、
店員の独断と偏見で選んだ“今日のこの1曲”コーナー

2007年3月に更新した“今日のこの1曲”コーナー。

廃盤・生産中止、規格番号の変更など、
情報が古くなっている商品もございますが、ご了承くださいませ。


<最新の“今日のこの1曲”はこちらのページをご覧ください>


2007年3月1日(木) パーシー・フェイス・オーケストラ 「そよ風と私」

 パーシー・フェイス・オーケストラのオリジナル・アルバムが日本盤でうれしいCD化。ベスト盤で聴けるヒット曲や有名曲も良いのですが、発売時の雰囲気が感じられるアルバム全体の流れや隠れた名曲も実に味わい深いものがあります。

 このアルバムは1959年発表されたラテンの名曲を収めたもの。
 管楽器が効果的に使われ、素晴らしいオーケストレーションのストリングスが彩りを添えています。

 こういう曲を聴くとなぜか子供の頃の街が目の前に現れてくるような感覚になります。映画『三丁目の夕日〜オールウェイズ』のセットのようなのんびりした街並が・・・。森 勉

“ペット・サウンズ写真館” 更新いたしました。

2007年3月2日(金) 寺尾 紗穂 「猫まちがい」

 昨年当店が大推薦していた新世代女性シンガー・ソングライター、寺尾紗穂さん。待望の新作『御身 ONMI』(MDCL-1478 \3,150)の発売が4月4日に決定いたしました。

 私的な表現かもしれませんが、おそらくこのアルバムは一生忘れない1枚になりそうです。
 なぜなら、音楽というのは、レコード店員の私に限らず誰しもが自らの境遇と相まって、思い出と共に心に刻まれるからです。(私の場合で挙げると旧店舗が閉店する前に発売されたブライアン・ウィルソン『SMiLE』、仮店舗がオープンしてすぐ発売されたシュガーベイブ30周年記念盤etc...。節目に発売され店内で聴いていた作品はやはり思い入れもありますね。)

 この寺尾紗穂さんの新作、実は音だけ先に拝聴させていただいたのですが、もうとにかく良いです! 期待を裏切らない、というか期待以上の出来!ですので、昨年発売された1stアルバム『愛し日々』が気に入った方は是非チェックしておいてくださいね。

 ちなみに今日のこの「猫まちがい」は2曲目に収録されているシンプルな1曲ですが、飾らない歌詞がスーと入ってくる感じ。“猫”好きの方には必聴のナンバーです。森 陽馬

2007年3月3日(土) Van Morrison 「Take Me Back」

 先日母から僕が幼稚園の時に書いた日記帳を見せてもらった。写真などを整理していて出てきたらしい。薄汚れてしまったノートを手に取りページを手繰ると、ほとんど読めないような拙い字で「きょうはゆうえんちにいきました」と書かれている日の日記が開かれた。

 よく「学生時代に戻りたい」という会話を耳にするが、僕自身は過去を振り返るのがあまり好きではないので滅多にそういうふうには思わない。でもその古い日記帳を見せられたとき、期せずしてヴァン・モリソンのこの「Take Me Back」が頭の中で鳴り出してしまった。

 ヴァン・モリソンが1991年に発表した入魂の2枚組大作『Hymns To The Silence』。そのDisc.1ラストに収録されているのがこの隠れた名曲「Take Me Back」。

 9分を越すこの曲でヴァンは、“歌う”というより“嘆く”ように“呟き”、そして“叫ん”でいる。懇願するように
♪ 僕をあの頃に連れ戻してくれ。ずっと昔のあの頃に ♪と。

 ヴァンの全てが詰まっているともいえる(と僕は思っている)この1曲。
おそらく彼自身も単なる郷愁でこの曲を書いたわけではないのだろう。
 彼が「Take Me Back」と思ったのは、淡い思い出やモノ・場所ではなく、彼自身の“純粋であった心”だったのではないだろうか。森 陽馬

2007年3月4日(日) The Jayhawks 「Waiting For The Sun」

 一般的にはあまり知られていないが、ジェイホークスというバンドは本当にいいロック・バンドだ。

 キャッチーな楽曲に見事なコーラス・ハーモニー、アメリカン・ルーツに根ざした演奏はおそらくアメリカン・ロック好きの人なら絶対に気に入るはず。ニール・ヤングやイーグルス好きの僕はもう一発でノックアウトされ、それ以後彼等のほとんど全てのアルバムを長年愛聴しているくらいだ。

 1992年に発表されたこの『Hollywood Town Hall』は特に好きなアルバム。1曲目「Waiting For The Sun」の哀愁あふれるメロディーには聴くたびに毎度心がときめいてしまうのだが、この曲でピアノを弾いているのがなんと!あのニッキー・ホプキンス!
 1994年に亡くなった彼の晩年の貴重なセッション参加曲だが、イントロ及び中間でのソロは、彼らしさを感じさせる見事なピアノ・プレイを聴くことができます。森 陽馬

2007年3月5日(月) カエターノ・ヴェローゾ 「ビリー・ジーン」

 仮店舗から荷物の引越しは大体終わったのですが、新店舗の方の残工事がまだ色々と残っていて、今日はその工事の調整で1日が終わってしまいました。店内の写真もアップしたいなあ、と思っているのですが、商品がまだ棚に入っていない状態でちょっと淋しいので、もう少し準備が進んだらこのHPでも新店舗を紹介したいと思っています。

 さて、今日一日はそんなこんなで午前中から夜まで様々な工事関係者が入り乱れた状況だったので、終始店内はわさわさした雰囲気でしたが、時折小さな音でこっそりこのCDをかけていました。

 ブラジル音楽界No.1アーティスト、カエターノ・ヴェローゾが1985年にニューヨークで録音した傑作アルバム。
 今まで輸入盤でしか発売されていなかったのですが、この度日本初CD化。それも最新リマスター&紙ジャケット&歌詞・対訳付き!といううれしい仕様で先日BOMBA Recordsから発売されました。(『Caetano Veloso』 完全限定 BOM-21003 \2,205)

 マイケル・ジャクソンが来日したらしいので、あえて今日の1曲はマイケル・ジャクソン・カヴァー「ビリー・ジーン」にしましたが、ほぼ全編弾き語りで歌われる彼の自作曲の方がより輝きを放っています。森 陽馬

2007年3月6日(火) Elliott Smith 「Angels」

 今夜はBSで映画『グッド・ウィル・ハンティング』がやっていた。

 仕事の都合で今日は見れなかったが、公開当時映画館で見て印象に深く残った好きな映画の一本だ。この映画全体の“人生の憂いと哀しみ”的な雰囲気を決定づけているのは、劇内で使われているエリオット・スミスの楽曲に拠るところが大きいだろう。

 1969年生まれ、テキサス州ダラス出身のシンガー・ソングライター、エリオット・スミスは、ヒートマイザーというバンドを経てソロとなり、映画監督ガス・ヴァン・サントと知り合いだったことから『グッド・ウィル・ハンティング』に楽曲が使われ大ブレイク。しかしながら、幸か不幸かそれによって彼はエンターテイメントの世界に放り込まれドラッグ依存症に悩み、2003年に自らの心臓を包丁で突き刺して自殺するという悲劇になってしまった。

 映画『グッド・ウィル・ハンティング』の主人公が自らの未来を切り開く決心を予期させるラストとは違い、彼の人生が全く正反対になってしまったのは皮肉だが、それゆえ残された彼の歌声には純粋な心の中に潜む深い闇がどの曲にも表現されていて、何時聴いても凡百の他のシンガーとは違った“無類の哀しさ”を感じさせる。

 ちなみに、映画主題歌としては「Miss Misery」が使われ評判を呼んだが、僕は劇内でひっそりと流れていたこの「Angels」の方が好きな1曲。今年の5月には未発表音源集も出るようです。森 陽馬

2007年3月7日(水) Peggy Lipton 「Let Me Pass By」

 今、一番再発を望みたいアルバムかもしれません。

 ペギー・リプトンが1968年に発表した唯一のアルバムです。
 思わずジャケガイしたくなるポートレート・ジャケ、いいですねえ。

 もちろん音の方も素晴らしい。ペギー自身の作品がこの曲を含めて3曲、そしてローラ・ニーロ作2曲、キャロル・キング作5曲と粒揃いの楽曲。プロデュースはルー・アドラー、アレンジはマーティ・ペイチ、ハル・ブレインがしきるバック・バンド、バック・コーラスはブロッサムズ。文句ありません。

 彼女はどちらかというと女優さんで、日本では1969年頃東京12チャンネル(現テレビ東京)で放送されていた『モッズ特捜隊』が有名です。
 警察の特別特捜隊のような物語だったのですが、ストーリーより彼女のキュートさばかりに目がいっていたような気がします。NHK・BSあたりで再放送してくれないでしょうか? 森 勉

2007年3月8日(木) 亀渕 友香 「ひとりぼっちのトランプ」

 新店舗オープンまで、あと一週間となりました。

 毎日せっせとオープン準備に励んでいるのですが、進んでいるようでなかなか準備が進まず、時間ばっかりが経っていってしまう日々が続いています。
 そんな中、開店後先着で御買い上げの方に差し上げる予定のオープン記念グッズなども出来上がってきて、そろそろオープンなんだな、という実感が湧いてきました。(近日中に詳細を告知いたしますので、よろしくお願い致します。)

 さて、亀渕友香『Touch Me Yuka』(PROA-85 \2,000)は、1970年代日本ポリドールのMR5000番台再発シリーズの中の1枚で本日入荷してきた限定紙ジャケCD。
 1974年発表作なのですが、なんと山下達郎がコーラスで参加。ちょっとソウル/R&Bが入ったシティ・ポップ歌謡という感じの楽曲です。

 ジャケットの鼻を押すと実際に「ブー」となる超特殊ジャケットを再現したPYGのアルバムや葡萄畑の名作も一緒に発売。そちらも是非チェックしておいてください。森 陽馬

2007年3月9日(金) The Section 「Forward Motion」

 ここ最近は新店舗オープン準備にかかりっきりで、なかなか映画やライヴを見に行く時間が取れないでいます。

 「あー、何でもいいからなんか見に行きたいなー」なんて思いながら、先日再発されたセクションの2nd国内盤のライナーノーツ(執筆:金澤寿和さん)を読んでいたら、なんとダニー・コーチマーが昨年末に来日!ライヴもやっていた!との記述を読んで愕然。今更ですが知らなかったです・・・。(スティーヴ・ジョーダン(dr)のユニット、ザ・ヴァーヴスのギタリストとして来日。先月のギター・マガジンにはインタビューも掲載されているようですね。)

 そのダニー・コーチマーが在籍し、キャロル・キングやジェイムス・テイラー、ジャクソン・ブラウンのバック演奏をしていた名グループとして知られるセクションの2ndアルバム『Forward Motion』(VSCD-2146 \2,415)。
 全曲インストですが、ダニー・コーチマーのギター、クレイグ・ダーギーのキーボード・プレイ、リー・スクラーのベース、ラス・カンケルのドラムが縦横無尽に動きまくるジャズ・ロック的な仕上がりのアルバムです。

 当時まだ開発途上だったモーグ・シンセを手にしたばかりのクレイグ・ダーギーが特に大活躍?している作品で、ちょっと前衛的な曲もありますが、セクションのメンバーならではの演奏が楽しめる1枚です。森 陽馬

2007年3月10日(土) 東京ローカルホンク 「お手紙」

 当店の新店舗に関してはさておき、本日は地下B1イベント・ライヴ・カフェ“Again”にて初のミニ・デモライヴ/リハーサルが行われました。

 音出しのこけらおとし(?)は東京ローカルホンク。新店舗準備の合間をぬって僕も数曲鑑賞。はっきりいってそれほど大きくないスペースではありますが、音の感触もすごく良くて、どんなイベントでも一体感が出そうな雰囲気でした。

 うちの店が直接関わっているわけではないのですが、もちろんイベントがないときは通常のカフェ営業も行いますし、ライヴだけでなく落語やトークショー、DJイベントなども開催予定ですので、興味あるイベントございましたら是非御覧になってみてくださいね。森 陽馬

2007年3月11日(日) Clifford Brown 「Stardust」

 僕が正式にペット・サウンズ・レコードで働き始めたのは2000年からですが、学生時代にアルバイトとして数年働いていた時期がありました。

 当時はまだまだ(というか今もですが・・・)音楽&商品知識に欠けていて、特にジャズに関しては全然詳しくなかったのですが、その時期に一緒にお店で働いていた方がとてもジャズに詳しかったので、その方に<ジャズを聴き始めるならこの1枚>というのを何枚か選んでいただき購入。その中にこのクリフォード・ブラウンの名作『ウィズ・ストリングス』(UCCU-9088 \1,500)があったのを覚えています。

 クリフォード・ブラウンは25歳という若さでこの世を去ってしまった名ジャズ・トランペッター。この作品は1955年に録音されたストリングス・ジャズ・アルバムの大名盤。「スターダスト」、「煙が目にしみる」、「ブルー・ムーン」、「ホワッツ・ニュー」などの定番曲がゆったりとしたアレンジで聴きやすく、やはりジャズ入門編としてオススメの1枚ですね。

 時は経て2007年3月。新店舗準備中の夜中、久々に聴いたこのアルバムは僕をあの学生時代の星空の下へ、一握りの時間ではありますが戻してくれたのでした。森 陽馬

2007年3月12日(月) アソシエイション 「カモン・イン」

 いよいよニュー・【ペット・サウンズ・レコード】のオープンがせまってきました。

 新しい店の誕生を前祝ということで、アソシエイションの名盤『バースデイ』(WPCR-10077 \2,520)から選んでみました。1968年に発表されたこのアルバムは本当に聴き応えのある作品なのですが見過ごされがちなのが残念です。

 全11曲すべてが粒揃いで、よどみなく名曲が続くA面の流れが特に素晴らしい1枚。

 ということで今日のこの1曲は、新しい店に末永くたくさんのお客様がいらっしゃっていただけることを願い、「さあ、どうぞおはいりください」の意を込めて、アルバム1曲目を飾る景気のいいナンバー「Come On In」を。森 勉

2007年3月13日(火) Syreeta 「Spinnin' And Spinnin'」

 いやはや、3月もあっという間に13日が過ぎてしまいました。
 2/21仮店舗閉店から引越し&準備期間として約3週間お休みをいただいたので、多少余裕を持って準備できるかな、なんて最初は高をくくっていたのですが甘かったですね。

 実際新店舗オープンではあるものの、オープンした時にはこの場所でもう10年以上営業しているような店作り(もちろんいい意味で)を目指していたのですが、やはりお店というのは、お客様にご来店いただきながら一緒に作り上げていくものなのだな、と実感しております。ということで、皆様のご来店を心よりお待ちしております(笑)。

 あとお詫びですが、通販コーナーも新店舗オープンの時には一新したい、と思っていたのですが、なかなか更新できず大変申し訳ございません。色々と面白い商品がたくさん入ってきているので、徐々に紹介していきたいと思っております。

 さて、最近入荷してきた珍しいオススメ盤としては、アメリカの通販専門レーベルHIP-Oから発売された限定再発シリーズ。元スティーヴィー・ワンダーの奥さんであったシリータ(2004年逝去)が発表した名作アルバム2タイトルが2in1で収録、ナンバリング入り、5,000枚限定プレスという仕様で発売されました。(HIP-O 25430-2 \3,480)

 スティーヴィー・ワンダーが全面的にバックアップした1974年発表の名盤で全曲最高の1枚。国内盤は長らく廃盤で輸入盤もしばらく出ていなかったと思うのですが、これはホントおすすめの1枚です。(ちなみにジャケットはそのアルバムのジャケットを掲載しましたが、実際のこのCDのジャケットは海辺を歩いているデビュー作のジャケットが使われています。) 森 陽馬

2007年3月14日(水) Hirth Martinez 「Daydream」

♪ 絶好のデイドリーム日和 まどろむには絶好の一日さ ♪

 ここ数日、いや数ヶ月、数年が“デイドリーム”のように感じてなりません。

 1981年、父の勉がオープンした『ペット・サウンズ・レコード』。
 その新たなスタートに立ち会えたことを素直に喜びたいと思います。

 明日から新店舗オープンとなりますが、今までどおり、初心を忘れずに“Smile”な店であり続けたいと思っています。森 陽馬

2007年3月15日(木) Beach Boys 『Pet Sounds』

 本日、新店舗がオープン!

 たくさんの方々にご来店、祝辞をいただき感謝の気持ちでいっぱいです。
 “ペット・サウンズ・レコード”は単なる個の店舗ではなく、たくさんのお客様に支えられているのだ、ということを改めて実感いたしました。本当にありがとうございました。

 ちなみに3月15日は、ビーチ・ボーイズのメンバーであるマイク・ラヴの誕生日でもあるのです。

 この日店内で聴いた『PET SOUNDS』はまたいつもと違った輝きを伴って胸に響きました。森 陽馬

2007年3月16日(金) The Music Company 「ノルウェイの森」

 新しい店舗となり、仮店舗に比べてかなり駅から近くなりました。

 ただ現在まだ駅前広場開発途中のため歩道がちゃんと整備されておらず、駐輪場にあふれかえっている自転車が当店のあるビルへの道を封鎖してしまっている場合もあるかもしれません。
 本格的に駅前広場が整備(駅前にバス停もできるそうです)されるのが2年後とのことなので、しばらくは近いながらもちょっと近寄りがたい状態になっているかもしれませんが、気が向いたときにでも是非お立ち寄りください。

 さて、オープンしたものの新店舗用に注文していた商品でまだ入ってきていないものがたくさんあるのですが、ここに入ってまたちょこちょこと追加オーダーしていた商品が入荷してきました。

 この1枚はビートルズの名曲をジャズ的なアレンジでインスト・カヴァーしている、というよくありがちなアルバム『Rubber Soul Jazz』(CDBGPM-182 \1,980)。
 しかーし!なんとバックのメンツがオールディーズ・ファンにはビックリなメンバーで、ハル・ブレイン(Dr)、ジェイムス・バートン(G)、フィル・スペクター人脈のトミー・テデスコ(G)等が演奏を担当。あまりフェイクしない形での聴きやすいビートルズ・ジャズ・カヴァー・アルバムに仕上がっています。

 一応、1965年頃に録音されLPで発売されたことがある盤のようで、ブックレット裏にはそのLP発売当時の女性が写っているジャケットも印刷されているのですが、何故にこのジャケットに変わってしまったかは?。元のジャケットの方が雰囲気がいい感じなのですが・・・。森 陽馬

2007年3月17日(土) 長見順 feat 吾妻光良 「ギターおやじ ピアノおばさん」

 新店舗オープンから3日目。

 正直言って初日&2日目は、店員である僕らも久々の店舗営業ということもありまだ新店舗に馴染んでいない感じだったのですが、やっと新しい空間にも慣れてきました。
 初日はあまり余裕がなくて、店内音楽も「ビーチ・ボーイズかけなきゃ、ペット・サウンズかけなきゃ。出たばかりのミスチルの新譜もかけなきゃ」だったのですが(もちろん他にも色々とかけましたよ)、今日はだいぶ好き勝手色々なものを店内でかけちゃいました。

 今日のこの長見順は酔いどれ(?)女性ブルース・ギタリスト&シンガー。
 その独特な感性と歌声が魅力で、くるりの岸田繁やハナレグミの永積タカシも絶賛している注目のシンガーです。今作『クーチークー』(PCD-5867 \2,940)は多少ポップな要素も加味されましたが通称“マダムギター”節が冴え渡る1枚でした。

 特にラスト、御大・吾妻光良とのデュエットによるこの曲はアット・ホームなセッション風景が伝わってくるナイスな1曲。他にも歌詞が面白い曲が多いので、吾妻光良&スウィンギンバッパーズや大西ユカリさんがお好きな方にもオススメの1枚です。森 陽馬

2007年3月18日(日) Neil Young 「A Man Needs A Maid/Heart Of Gold Suite」

 <ペット・サウンズ新店舗オープン時にちょうど発売されて店内で聴いた1枚>、としておそらくこのアルバムは一生忘れないと思います。

 ニール・ヤング、1971年カナダのトロントにあるMassey Hallで行われたアコースティック・ライヴの音源が初CD化。(『Live At Massey Hall 1971』 43327-2)
 輸入盤のみですが、そのライヴ映像が収録されたDVDが付いており、今まで海賊盤でもほとんど見ることができなかった貴重映像がたんまり収録。多少画像が暗すぎたり粗かったりする部分もありますがこれはイイですね! ニール・ファン必聴・必見の内容です。

 特に聴きものは、珍しくメドレーで歌われるF「A Man Needs A Maid/Heart Of Gold Suite」。
 名作『ハーヴェスト』が発売される前のライヴということもあり、後の代表曲となる「Heart Of Gold(邦題:孤独の旅路)」が演奏されても客席が静かなままなのは、やはりこの時期ならでは。

 さらにこのテイクが珍しいのは、この「Heart Of Gold」を“ピアノ”の弾き語りで歌っている点でしょう! アコースティック・ギターの弾き語りは数多いですが、この曲をピアノでやっているというのはほとんど聴いたことがありませんでした。

 一応国内盤も4月25日に発売予定なのですが、国内盤はDVDが付かずCDのみのリリースなのが残念です。森 陽馬

2007年3月19日(月) David T. Walker 「Didn't I Blow Your Mind」 

 デヴィッド・T・ウォーカーが来日! それも単独公演!

 ここ最近アーティストの来日情報にはすごく疎くなっていたのですが、先日お客様から教えていただきました。場所は丸の内(有楽町)のコットン・クラブ。ブルーノートと同じ系列のライヴ・ハウスで、とってもオシャレ(?)な場所のようです。
 デヴィッド・Tは今まで他のアーティストのバック・ミュージシャンとして何回か来日していましたが、ソロ名義での公演は珍しいですよね。5月10、11、12日の3日間ですが、すでに最終日の2ndショウはソールド・アウト。ギター・ファンの方は早めにチェックしてみてください。

 補足ですが、デヴィッド・T・ウォーカーは1960年代後半から活動している黒人名セッション・ギタリスト。よく“歌うギター”という表現を耳にしますが、彼のギターの音色は本当に特徴的でその表現がピッタリ!なのです。

 この「Didn't I 〜」(オリジナルはデルフォニックスによるスウィート・ソウルの名曲)は73年発表アルバム『ブレス・オン』(VACM-1298 \2,625)に収録。 ハーヴィー・メイスン(dr)、チャールズ・ラーキー(b)他、あのキャロル・キングがキーボードで参加しています。森 陽馬

2007年3月20日(火) 大滝 詠一 「スパイス・ソング」

 ワォー! 完全未発表のデモ・ヴァージョンです!
 1979年4月、福生での録音だそうです。

 2006年、ラッツ&スターとゴスペラーズが合体して、ゴスペラッツとしてアルバムが出ました。その時に「星空のサーカス〜ナイアガラへ愛を込めて編」の中で、初お披露目されたのが幻の「スパイス・ソング」でした。

 1979年当時にデモとして録音されたシャネルズ(=ラッツ&スター)のヴァージョンもあるそうですが、御大のヴァージョンが聴けるなんて・・・。大滝さんありがとう。ナイアガラ・ファンは幸せ者です。森 勉

(3月21日発売『Niagara CM Special Vol.1 30th盤』<SRCL-5007 \2,100>の70曲目に収録されています。)

2007年3月21日(水) 大貫 妙子 「Shenandoah」

 「Shenandoah」は元々はアメリカ民謡のトラディショナル・ソングで、ヴァージニア州にある川の名前だそうだ。

 この曲名を知らなくても、長谷川京子が浴衣姿で出演していたビールのCMでかかっていた曲、といえばピンとくる方が多いでしょう。

 大貫妙子さんの新作『Boucles d'oreilles』(MHCL-1030 \3,000)に収録されているこの曲。アルバム中一番シンプルな編成(中川俊郎(p)、弦一徹(violin)、岩永知樹(cello))ながら、音と音の空間がこの上なく美しく、その無音でさえも“聴かせる”見事なアレンジだ。

 まさに“ピュア・アコースティック”な1曲。森 陽馬

2007年3月22日(木) ミズノマリ 「エイリアンズ」

 ここ最近、繰り返し聴いているお気に入りの1曲。

 先日発売された『Voice Colors』(VICL-62319 \3,045)は、大貫妙子、矢野顕子、EPO、平松愛理、かの香織、ミズノマリ(paris match)、加藤沙香菜、7人の女性アーティストによる邦楽の名曲カヴァー・アルバム。
 ほとんどがこのアルバムのための新録音で、大貫妙子による小田和正カヴァー「やさしさにさようなら」やEPOの久々ながら変わらない素晴らしい歌声など聴きどころ満載。女性ヴォーカル・ファンにはオススメの1枚です。

 中でも、パリス・マッチのヴォーカリスト、ミズノマリによるこの曲。
 オリジナルはキリンジが2000年に発表した名曲(もう7年も経つんですね)なのですが、アーバンな雰囲気のアレンジが素晴らしく、そのトラックをミズノマリさんが歌うと、オリジナルとはまた違った都会の夜的ナンバーに早がわり♪

 新川博(アレンジ、キーボード)、松原秀樹(B)、松原正樹(G)、濱田尚哉(Dr)によるバッキングもNice。それにしてもミズノマリさんのヴォーカルは色っぽくてイイですね。森 陽馬

2007年3月23日(金) Water Water Camel 「静かに暮らす」

 昔の古き良き音楽もいいけれども、J-POPS(邦楽)の新しい良い音楽を聴きたい、と思うことがこの頃多くなってきました。

 最近の音楽業界というのは、本来の“音楽”・“アーティスト”というものが2次的なものになりつつあり、メディアありき、タイアップありきの傾向がより顕著になってきています。それゆえアーティスト本来の心の中から吐き出された“歌”というものが少なくなってきた(いや少なくなったのではなくむしろ多くなったかもしれないのに)、一般の方々に届きにくくなっているように感じています。

 このウォーター・ウォーター・キャメルという名のバンドもまだあまり知られていませんが、不思議な魅力を感じさせる“歌”と“音楽”を持ち合わせていて、うまく言葉で表せないけれど、「いいな」と思えるグループです。

 山梨出身の彼等が紡ぎだす“音楽”は、カテゴリーとしてはロックになるのかもしれないのですが、どこかやさしくて暖かくて、でも幻想的な一面をチラッと見せたりもする魅力を放っています。
 あまり似てませんがフィッシュマンズがお好きな方にオススメしたい浮遊感もあって、音響的なギターの音色と日本語が奇跡的にマッチしているのです。

 僕はまだ彼等のライヴを見たことがないのですが御覧になった方の話によると、CDよりもロック的なアプローチのライヴがとてもいいそうなので、是非いつか見に行きたいと思っています。森 陽馬

2007年3月24日(土) The Beach Boys 「I Can Hear Music」

♪ こうなることをずっと夢見ていたんだ 〜 音楽が、僕には音楽が聞こえる ♪ (「I Can Hear Music」より歌詞抜粋)

 オリジナルはロネッツが1966年に発表したヴァージョン。1960年代にたくさんのいい曲を書いているソングライター・コンビ、ジェフ・バリー&エリー・グリニッチ作の隠れた名曲なのですが、僕はやはりビーチ・ボーイズのヴァージョンが好きです。

 ビーチ・ボーイズとしては1969年発表のアルバム『20/20』に収録、シングル・カットもされ全米24位になった楽曲で、ビーチ・ボーイズらしい美しいコーラスが耳に残るいいカヴァーです。

 ブライアン・ウィルソンの弟である今は亡きカール・ウィルソンがプロデュース、リード・ヴォーカルを担当。
 1966年『ペット・サウンズ』発表後、バンドを支えたカールの素晴らしい歌声が何時聴いても心に響きます。森 陽馬

★掲載ジャケットは2005年に出た入門編としても最適のベスト盤『サウンズ・オブ・サマー』(TOCP-67657 \2,300)。

2007年3月25日(日) The Allman Brothers Band 「The Night They Drove Old Dixie Down」

 ここ数年における様々なトリビュート・アルバムの乱発で、以前に比べよっぽどのトラックがないかぎりトリビュート盤には魅力を感じなくなってしまっていたのですが、このアルバムはイイですね!
 1960〜70年代ボブ・ディランとの活動や名作『ミュージック・フロム・ビック・ピンク』で知られるアメリカン・ルーツ・ロックの重鎮、ザ・バンドのトリビュート・アルバム『Endless Highway』(COCB-53981 \2,500)

 一般的なトリビュート盤と違いタイアップなど関係なく、真の意味でザ・バンドをリスペクトしているグループが集ったラインナップで、どのグループの楽曲も基本的に原曲のアレンジを崩さず好感の持てるカヴァーをやっています。

 ジャッキー・グリーンやジェイコブ・ディランなどのディラン第2世代(?)や、人気者ジャック・ジョンソン、マイ・モーニング・ジャケットなどの活きのいいナンバーも良かったですが、やはり目も耳も惹かれたのがオールマン・ブラザーズ・バンドによる「オールド・ディキシー・ダウン」。

 あのオールマンがザ・バンドのカヴァーをやる、ということ自体が凄いのですが、更にデレク・トラックスのギターソロが泣ける音色で、オリジナルに忠実ながらも味のある仕上がりになっています。(ちなみにこのトラックはライヴで2005年7月Warnerシアターでの録音のようです)

 英文ライナー・ノーツはアーティ・トラウムが担当。日本盤には4曲入りのボーナス・ディスクも付いていて2,500円とお得です。森 陽馬

2007年3月26日(月) Pecombo 「Sparkle」

 “ペコンボ”は日本人5人(女性3人・男性2人)によるブラジリアン・ソフト・コーラス・ユニット。

 1960〜70年代ボサノヴァ黄金時代に活躍したブラジル女性4人による名コーラス・グループ、クァルテート・エン・シーをルーツに、現代的なポップの魅力も加味したサウンドとコーラスがゴキゲンなグループです。

 先日発売されたこのアルバム『セレンディピティ』(HCCD-9520 \2,625)は2ndアルバムとなりますが、どの曲もスキャット・コーラスの完成度が高くて、聴きやすくもありなおかつ楽しめる1枚。

 特に1曲目、山下達郎の名曲「スパークル」のカヴァーは、今までにもあったこの曲のカヴァーとはまた違ったアプローチで、オリジナルのギターのカッティング部分を見事なスキャット・コーラスでアレンジしているなど、カヴァーながらオリジナリティも感じさせる素晴らしい1曲に仕上がっています。森 陽馬

2007年3月27日(火) クレイジーキャッツ 「これが男の生きる道」

 クレイジーキャッツの植木等さんが逝去。享年80歳。

 無責任男シリーズなどで知られる植木さんの“無責任”ぶり、素敵な笑顔とは裏腹に、インタビューなどを拝見すると当時の撮影&スケジュールは本当にタイトなものだったようですね。

 真の昭和の“芸人”がまた逝ってしまいました。合掌。森 陽馬

★今日のこの1曲は、映画『ニッポン無責任野郎』より。(掲載ジャケットは『クレイジームービーズ Vol.1』 TOCT-25591〜2 \3,200)

2007年3月28日(水) アレサ・フランクリン 「ユー・センド・ミー」

 映画『ホリデイ』はひさしぶりにほんわかムードの心もちにしてくれるものでした。

 CGは使ってないし、ピストルも出てこないし、人殺しも起こらない。
 昔はこういう映画が多かったのに、最近は本当に少なくなりました。話はラブコメ的なものですが、キャメロン・ディアス、ケイト・ウインスレット、ジュード・ロウ、ジャック・ブラック(今回はおさえ気味ながらいつものようにいい味出してます)の4人の演技が良かったです。

 そして音楽も! ラストに流れるのがこの曲。
 オリジナルはサム・クックですが、アレサの“くずし「ユー・センド・ミー」”は映像にもピッタリで絶品。 アレサ自身のピアノ、そして後半出てくるスプーナー・オールダムのオルガン、スウィート・インスピレーションズのコーラスもこれまた絶品。森 勉

★1968年発表名作『アレサ・ナウ』(WPCR-25205 \1,500)に収録されています。

2007年3月29日(木) The Rhinestones 「Get It Up For Love」 

 3/15の新店舗オープンから今日でちょうど2週間。
 オープン直後は店内も少々混雑し、店員の僕らも不慣れな部分が多々あったためご迷惑をお掛けいたしましたが、ここにきてだいぶ落ち着いてきました。

 気分的にもゆったりとした心持ちになり、本日のような暖かい陽射しが心地良い昼間は、店内でこんな曲をかけて聴いているとホッとした気分になります。

 ラインストーンズは1970年代初〜中期に活動していた白人グループ。基本的にはロックになるのかもしれませんが、演奏や歌声に黒っぽい部分も持ち合わせており、雰囲気としては、“アヴェレージ・ホワイト・バンドとタワー・オブ・パワーを足して、ネッド・ドヒニーで割った”という感じでしょうか? (変な例えでスミマセン)

 この「Get it Up For Love」は実際にネッド・ドヒニー作のカヴァーなのですが、彼のそのヴァージョンよりもグルーヴィーかつファンキーな仕上がりで演奏もかっこいい1曲。この75年発表アルバム『The Rhinestones』(VSCD-726 \2,625)は一般的にはあまり知られていませんが、他の曲もとてもいいのでオススメの1枚です。森 陽馬

2007年3月30日(金) Sue Foley,Deborah Coleman,Roxanne Potvin 「Time Bomb」

 今作は女性ブルース・ギタリスト、スー・フォーリー、デボラ・コールマン、ロクサーヌ・ポトヴィン、3人による競演アルバム。
 
 この曲は一曲目でアルバム・タイトルにもなっているスー・フォーリー作のインスト。激渋です。
 聴いた瞬間に完全ノックアウトされてしまいました。とにかくかっこいいのです。3人が交互に弾くギターソロ、詳細はわからずとも聴いているとそれぞれの個性が出ていて面白い!
 
 特徴のある声で王道を歌うスー、黒人ならではといったファンキーで存在感のあるデボラ、24歳の若手ながらもソウルフルで堂々とした歌いっぷりが素敵なロクサーヌ、歌にも三者三様の魅力が溢れています。
 
 今年この3人でツアーを回っているようですが、是非日本にも来て熱いギターバトルを繰り広げてほしいものです。東尾 沙紀

2007年3月31日(土) EPO 「夢のふるさと」

 3月22日にもこのコーナーで取り上げた女性ヴォーカル・コンピ『Voice Color』(VICL-62319 \3,045)より、もう1曲お気に入りの曲をご紹介。

 シュガーベイブの名曲カヴァー「ダウンタウン」やオレたちひょうきん族のエンディング・テーマ「土曜の夜はパラダイス」などで知られる女性シンガー・ソングライター、EPOが久々に素晴らしい歌声を聴かせてくれてます。

 今日のこの1曲「夢のふるさと」は、作詞:伊藤アキラ、作曲:杉真理による伊豆田洋之の隠れた名曲カヴァー。
 バックの演奏が絶妙で、林立夫(Dr)、吉川忠英(G)、鈴木茂(G)の3人と新川博によるアレンジがEPOの美声をより引き立たせています。

 ちなみにEPOの初期名作が7タイトル、4/25に限定紙ジャケ&最新デジタル・リマスターでCD化。山下達郎が手掛けた作品もありますので、是非気になった方はチェックしてみてください。森 陽馬



トップへ
戻る