PET SOUNDS RECORD
今日のこの1曲 アーカイヴス


  今日のこの1曲 “Achives”

<2009月6月>

当店ペット・サウンズ・レコード店にて、
その日に店内でかけていた曲の中から、
店員の独断と偏見で選んだ“今日のこの1曲”コーナー

2009年6月に更新した“今日のこの1曲”コーナー。
廃盤・生産中止、規格番号の変更など、
情報が古くなっている商品もございますが、ご了承くださいませ。


<最新の“今日のこの1曲”はこちらのページをご覧ください>


2009年6月1日(月) The Six Teens 「A Casual Look」

 本日もビーチ・ボーイズ・ネタです。
 彼らは数多くのカヴァーを手掛けていますが、その中ではちょっと地味なものを。
 <ブライアン・イズ・バック>のスローガンとともに1976年に発表された『15ビック・ワンズ』に収録されていた「カジュアル・ルック」です。

 このアルバムは一般的には評価が低いものですが、僕は大好きな1枚です。
 カヴァーが8曲入っていますが、この曲が一番気に止まらない曲かもしれませんので、少しでも存在を知ってもらうために取り上げたいと思います。

 オリジナルは男女各3人の6人組、シックス・ティーンズ。
 1856年全米25位というミドル・ヒットですが、彼らはL.A出身なので、西海岸地区ではもっとヒットしていた感じなのでしょうね。キュートな声をもった女性リード・ヴォーカルに、キャッチーなコーラス・リフが絡み、途中男性リード・ヴォーカルも出てくる1950年代ドゥーワップ・スタイルの曲です。曲を作ったのは、メンバーの一人、エド・ウェルス。

 このCD『A Casual Look』(ACE CDCHD-842)は彼らがFLIPレーベルに残した1956〜60年の楽曲を25曲収録したありがたいもの。森 勉

2009年6月2日(火) Matthews Southern Comfort 「Tell Me Why」

 長年待望とされていたニール・ヤングのアーカイヴBOX。
 遂に本日発売となりました!

 ブルーレイ10枚組、DVDオーディオ10枚組、CD8枚組の計3種発売ですが、とりあえずCD8枚組BOXが入荷。ブルーレイ10枚組だと店頭売価が50,000円前後になりそうなので、高い!と悪評ですが、CDのBOXならば8CDで12,600円(当店の店頭売価)ですから、それなりに安いと思うんですよね。
 聴き込んで、今週中にはこのページでも紹介したいと思っています。

 さて、今日のこの1曲はマシューズ・サザン・コンフォートの1970年発表名盤3rdアルバムから、ニール・ヤングの名曲「テル・ミー・ホワイ」。

 マシューズ・サザン・コンフォートはイギリスのブリティッシュ・トラッド/フォーク・ロックの代表的バンドであるフェアポート・コンヴェンションに在籍していた、イアン・マシューズが中心となって活動していたバンド。
 英国のグループながら、アメリカのフォーク/カントリーがサウンドの基調になっていて、ジェイムス・テイラーの隠れた名曲「Something In The Way She Moves」をカヴァーしている2nd『Second Spring』(ボーナス・トラックとして当時シングルとして発売され全英1位となったジョニ・ミッチェルカヴァー「ウッドストック」収録)もなかなか良いのですが、全体的な雰囲気では、1970年発表3rd『サード・アルバム』(限定紙ジャケ UICY-94120 \2,800)がオススメです。

 特に「テル・ミー・ホワイ」のカヴァーは、奇をてらわずアレンジもあまり変えずにやっていますが、ニール・カヴァーの中でも10指に入るほど良いカヴァーだと思います。
 あと5曲目「My Lady」は2分に満たない短い曲ながら、ガロ(GARO)が日本語詞でカヴァーしている名曲。どちらも沁みるイイ曲です。森 陽馬

2009年6月3日(水)Neil Young with The Stray Gators 「Words」

 ニール・ヤングの『アーカイヴBOX』。まだ全部は聴ききれていないのですがイイですねー。

 初めて聴くような珍しい収録曲も魅力ですが、ちょっと凝った装丁や珍しい写真を使用したジャケット&ブックレットもNICE! 今年2009年のリイシュー・ベストは、一般的にはビートルズになってしまうのでしょうが、個人的にはこのBOXで決定!という感じです。(といっても、ニール・コア・ファン向けで、ニール初心者にはオススメしにくいのですが・・・)

 で、まずは聴いてグッときたこの1曲。
 ニール・ヤング72年発表の名作『ハーヴェスト』のラストに入っているナンバーですが、今回のこのBOXにはニールが監督した伝説の駄作?映画と言われている『Journey Through The Past』、サントラ盤からのテイク。

 リハーサル・ヴァージョンのように序盤演奏が途切れたりもするのですが、これがかっこいい! 『ハーヴェスト』に収録されたのは約6分40秒ですが、このテイクは約16分! 歌が終わった後のギター・ソロがダラダラと続いていくところは、いかにもこの時代のニールらしいジャム的演奏ですね。
 ちなみに“ストレイ・ゲイターズ”は、当時ニールのバックをやっていたメンツのバンド名で、ジャック・ニッチェ(P)、ベン・キース(Steel G)、ティム・ドラモンド(B)、ケニー・バトリー(Dr)という編成。“クレイジー・ホース”と同じくらいニールに合っていたバンドだと個人的には思っています。

 他にも「Birds」を1968年にバンドでやっている未発表スタジオ・ヴァージョンなど、ブートでも聴いたことがなかったテイクがたくさんあって、まだまだこれからジックリ楽しめそうです。森 陽馬

2009年6月4日(木) The Sound Stylistics 「The Crisis Generator」

 店内にお客さんがいなくなると、出たばかりのニール・ヤング『アーカイヴBOX』ばっかり個人的趣味でかけてしまって、うっかりこのコーナーもニール・ヤング・ネタを連発してしまいそうな勢いなので、自粛の念も込め、久々にイキのいいJAZZ FUNKアルバムを取り上げることにしましょう。

 サウンド・スタイリスティックスは、ニュー・マスターサウンズのエディー・ロバーツ(G)、インコグニートのジム・ワトソン(key)、ドミニク・グローヴァー(tp)、ジェイムス・テイラー・カルテットのドミニク・グローヴァー、スノウボーイなど、UK新世代ジャズ・ファンク系ミュージシャンの猛者がこぞって参加したスペシャル・ユニット。

 2002年頃に録音されながらも当時はお蔵入りになり、数年前やっとリリースされた1stアルバム『プレイ・ディープ・ファンク』(PCD-17187 \2,415)は、当店でも大ロングセラーとなっている超人気盤で、ガンガン前に出る強烈なFUNKインストが痛快な名作でしたが、昨日発売となった新作『グリージン・ザ・ホイールズ』(PCD-93249 \2,415)も1stに負けず劣らず最高にかっこいい作品でした。

 収録されている全11曲、どの曲も7'EPシングル・カットできそうなFunkyインスト・キラーチューン! 特に2曲目「The Crisis Generator」、この曲は聴いているとつい体が動いてしまいそうなノリの良さがあって、グルーヴィーな演奏もクール!

 UKのJAZZ FUNKバンドなので黒っぽいFUNK色はやや薄めながら、その分ポップな聴きやすさは抜群。全体的にはニュー・マスターサウンズの1st『ケヴ・ダージ・プリゼンツ』に近い印象です。
 1stを気に入っていた方、新世代FUNK好きは買いの1枚ですね。森 陽

2009年6月5日(金) JO MAMA 「Great Balls Of Fire」

 キャロル・キングの『つづれおり』はもちろん大好きなアルバムの1枚ですが、その前の『ライター』も大好きな作品です。1970年の発表で、内容的にもセールス的にも、名盤中の名盤『つづれおり』と同等の評価を受けていいはずなのですが・・・。

 今日はその『ライター』のバックを担当していたジョー・ママ。
 彼らは1970年と1972年にアルバムを2枚出しただけで解散してしまいますが、このCDはその2枚がいっぺんに聴けるありがたいお買い得2枚組CDです。(Wounded Bird 8269)

 この曲はジェリー・リー・ルイスのあの有名なロックンロール・クラシックの「火の玉ロック」のカヴァーですが、なんともいい雰囲気のアレンジで、ファンキーな味付けがたまりません。

 ダニー・クーチのギター、チャールズ・ラーキーのベース、ジョエル・オブライエンのドラムス、ラルフ・シュケットのキーボード、そして紅一点のアビゲイル・ヘイネスのヴォーカル。
 1970年初め、L.A.のライヴハウスによく出演していたというジョー・ママ。その時代、その場所にタイムスリップしたくなりますね。森 勉

2009年6月6日(土) Louis Armstrong 「Atlanta Blues」

 村上春樹『1Q84』、ご覧になられた方いかがでしたでしょうか?
発売から1週間以上経過したので、勝手にネタ解禁、ということで小説内に出てくる音楽について取り上げましょう。

 今回の作品では全般的にクラシック音楽がよく登場しますが、その中にあって印象的に使われているJAZZアルバムがこの1枚。ルイ・アームストロング『プレイズ・W.C.ハンディ』(SRCS-9206 \1,835)。

 W.C.ハンディは本名ウィリアム・クリストファー・ハンディ。1873年生まれのミュージシャン/作曲家で、“ブルースの父”と呼ばれるように、南部黒人の間でしか歌われていなかったような“ブルース”を楽譜におこすことによって、“ブルース”と付くタイトルの楽曲を多数発表。まさにローカルなブルース音楽を一般に広めた立役者だったようです。(ライナーノーツ参照)

 そのW.C.ハンディの楽曲を11曲まとめて録音したのがこの作品。
「セントルイス・ブルース」、「イエロー・ドッグ・ブルース」、「アーント・ヘイガース・ブルース」、「メンフィス・ブルース」、「ビール・ストリート・ブルース」、「ヘジティング・ブルース」など“ブルース”のつく曲名が多く収録されています。(ちなみに、本の中で出てくる「シャンテ・レ・バ」も収録されています)

 1954年録音で、この時まだW.C.ハンディは生きており、このルイのアルバムを聴いて大絶賛したとのこと。“ブルース”というと、とっつきにくい印象がありますが、このアルバムは聴きやすくて、とてもいい雰囲気。ジャズ好きの方でなくても楽しめる1枚だと思います。
(でも、この作品を聴いて、バーニー・ビガードのクラリネットに耳がいく女の子というのが本当にいたら・・・。凄いというか怖いというか・・・)

 以前、村上春樹&和田誠が監修・選曲したジャズ・コンピ『ポートレイト・イン・ジャズ』(SRCS-8680 \2,520)にもルイ・アームストロング「West End Blues」が収録されていましたし、村上春樹はルイ・アームストロングが本当に好きなんでしょうね。ベスト盤は以前から持っていましたが、オリジナル・アルバムも色々と聴いてみたくなってしまいました。森 陽馬

2009年6月7日(月) クラムボン 「Re-Re-サラウンド」

 昨年は各自ソロの活動が目立っていたクラムボンが久々に新作をリリース。新作はセルフカバー第2弾「Re-Clummbon2」(COZP-364 \3675 初回DVD付き)。

 2002年に発売された第1弾「Re-Clummbon」は、バンドが依頼したゲスト・ミュージシャンによるリアレンジ集という事でしたが、今回参加したtoeの美濃隆章(ギター、ウッドベースの他、ミックス&マスタリングも担当)との4人でレコーディングされています。

 こういうセルフカバー集というのは凝ったアレンジがされすぎてるのではないかとか、コアなファン向けなのではないかと思ってしまいますが、聴いてみると、とてもシンプルで聴きやすいアレンジがされているものが多く、あまり元歌を知らなくても充分楽しめる内容です。
 クラムボンといえば、ギターレスのバンドですが、ベースのミトさん、美濃さんが弾くアコースティック・ギターが全面に出ているのが新鮮で良いですね。

 第1弾にも収録された曲で再々録音されているものもありますが、「サラウンド」等は少し前にヤマハから発売され話題となった電子楽器''TENORI-ON''を使用したりして、原曲とはガラっと印象がかわっています。ソロ活動による音の広がりを持ち寄って、またパワーアップしている気がします。

 なお初回限定のDVDには、CDとは別音源のスタジオライブが70分収録されています。東尾沙紀

2009年6月8日(月) 薄花葉っぱ 「願い」

 東京ローカル・ホンクの木下弦ニさんやスタッフの石塚さんが大絶賛されていたので、この“薄花葉っぱ”というグループの最新CD『朝ぼらけ』(hakka-1 \2,625)を聴いてみました。

 ちょっとクセのある女性ヴォーカルと、ロックともポップスともジャズとも歌謡曲ともいえない独特なサウンドに最初は戸惑いましたが、聴いているうちにどんどん気に入ってきて、ここ最近は超ヘビー・ローテーション。なんともいえない魅力を放つ“薄花ワールド”にすっかりハマってしまいました。

 “薄花葉っぱ”(はっかはっぱ、と読みます)は京都を拠点に活動している女性3人男性1人という編成のユニット。
 下村よう子の歌声は、エゴラッピンの中納良恵が民謡調に歌った雰囲気で、好き嫌いが分かれるかもしれませんが、深みがあって人を惹きつけるオーラを持った波動を感じます。
 その彼女の求心力ある歌声を引き立たせているアコースティックな演奏、特にコントラバスの奥深い音色が絶妙ですね。ふちがみとふなとがお好きな方にもオススメ。

 ちなみに今月下旬に東京ツアーがあり、6/24に東小金井にあるザ・チャンプルー海風という店で<薄花とホンクの夕べ>というイベント、更に6/25には下北沢ラカーニャでワンマンもあるそうです。ライヴも素晴らしいそうなので、気になった方は是非チェックしてみてください。森 陽馬

2009年6月9日(火) くるり 「夜汽車」

 昨日の薄花葉っぱに続き、同じく“京都発のバンド”といえば、“くるり”。
 今や京都を代表するバンド、と言っても過言ではなくなった彼らの2年ぶりの新作アルバム『魂のゆくえ』(VICL-63340 \3,045 初回のみ「三日月」収録)が本日入荷しました。

 前作『ワルツを踊れ』は、ウィーン録音で岸田繁がかねてから念願だったクラシックとの融合をコンセプトに敷いた入魂作だったこともあり、その力作後の新しい作品はどんなコンセプトでいくのかな、と危惧していたのですが、今作は親しみやすいメロディーを持った楽曲が並び、サウンド的に今までの作品の中でも一番聴きやすいアルバムに仕上がっていました。

 雑誌のインタビューでは、「今回のアルバムはぱっとできた曲をそのまま録音していった」と語っているように、特にコンセプトがないものの、良い意味で全体的に統一感がある印象。
 「今までで一番音数が少ないアルバム」とも語っているように、程よいロック・サウンドとアレンジが各曲の良さを引き立たせていて、ニューヨーク録音ながら日本的な味わいも感じさせる1枚です。

 4曲目「夜汽車」は今までのくるりにはなかったような雰囲気の1曲で、どことなく「上を向いて歩こう」をイメージさせるナンバー。今作にピアノ&コーラスで全面的に参加している世武裕子の転がるようなピアノが印象的です。森 陽馬

2009年6月10日(水) Jay & The Techniques 「Strawberry Shortcake」

 みなさんは甘いものはお好きでしょうか?
 近年は“スウィーツ”なんて呼ばれて和菓子も洋菓子も大変もてはやされていますね。特にケーキ屋さんは“パティスリー”っていうのですか・・・。そしてケーキを作る人は“パティシエ”ですか・・・。難しいですね。

 ケーキもいろいろとありますが、僕の場合は子供の頃からいちごのショートケーキが一番好きで、それは今も変わっていません。
 <不二家>のショートケーキが我が家では最もポピュラーな存在でしたが、20年ほど前からは<マッターホーン>のショートケーキがその座についております。
 学芸大学の駅のすぐ横にある有名なお店の人気ケーキですが、僕にとっても生クリームの味加減といい、スポンジのやわらかさといい、最高のショートケーキとなっています。ワンカットではなくて、ホールで買ってがっつり食べたい気持ちになってしまいます。

 さて今日のこの1曲は、その名もズバリ!「ストロベリー・ショートケーキ」。
 ジェイ&テクニクスの1968年スマッシュ・ヒットです。

 彼らは1967年にこれも甘そうな「アップル・ピーチズ・パンプキン・パイ」という曲で有名になったヴォーカル2人が黒人、バック演奏5人が白人というグループ。
 ジェリー・ロスがプロデュースしたサウンドは、フィラデルフィア・ソウルにモータウン・ビートをまぶして、ポップなテイストを加えたなんとも口当たりの良いものになっています。

 このCDは全28曲収録の彼らのベスト盤。(RPM RETRO-847)
 シングル・ヒット及びアルバムの中の隠れた名曲も収録されています。(アンダース&ポンシアがジェリー・ロスと共作した「You Gave Me Something To Love」、イイ曲です。) 森 勉

2009年6月11日(木) 森 広隆 「desperado」

 2002年にメジャー・レーベルのワーナーから発表したアルバム『並立概念』(現在は残念ながら廃盤)は、一聴して衝撃を受けるほどかっこいい作品で、当店(2002年の時は駅前の旧店舗でした)でもかなり売れましたが、あれから早7年。
 なかなか2ndアルバムが出ず、どうしているのかな?と思っていたら、インディーズから遂に出ました! 森広隆、待望の2ndフル・アルバム『Planetblue』(DDCZ-1603 \3,000)。

 スガシカオ、山下達郎がお好きな方に激押し!の超ファンキーな演奏、疾走感あるサウンド、説得力ある歌力! 新作もとにかくかっこいいですね。
 演奏自体はソウルフルだったり、ファンキーな魅力もあるのですが、それがポップ/ロックなJ-POPに昇華されていて、親しみやすくもあり、なおかつ聴き応えもある作品に仕上がっています。

 しっとりとしたナンバーもありますが、彼の魅力はやはり疾走感あるファンキー・ナンバー。特に冒頭1曲目の痛烈インスト「Desperado」(イーグルスのカヴァーではありません。彼のオリジナル・インストです)と、7曲目「英雄の誕生」は聴きものですね。
 なんといっても村石雅行氏によるドラムが痛快の一語! 紺野光広(B)、河内肇(Key)のプレイも冴え渡っています。森広隆のギター・プレイもなかなかすごいですよ。森 陽馬

2009年6月12日(金) ビリー・コブハム 「マジック」

 国内DVD『09 WORLD BASEBALL CLASSIC 日本代表 V2への軌跡』が遂に発売。(GNBW-1269 \3,990)
 決勝の韓国戦は録画しておらず、あの場面を見たいな、と思っても見れなかったため待望のDVD発売。これでイチローのセンター前ヒットを見たいときに見れますね。(個人的には、イチローが打つ前、川崎が打席に向かうシーンが一番痺れましたね。凡退しちゃったのは残念だったけど)

 野球でまた盛り上がろう、と思っていたら、今日発売の東スポ! 表紙につられてついつい買ってしまいました。
<イチローとタッグ、 ハンセン息子 マリナーズ入り>

 あの名プロレスラー、スタン・ハンセンの息子が大リーグ・ドラフトでマリナーズ入りがほぼ決定した、というニュースですが、それを1面に持ってきて“イチローとタッグ”と銘打つのが東スポらしくてイイですねー。
 更にプロレス面では、<記者会見でハプニング 初代虎 お腹のボタン 外れちゃった・・・>なんて記事もあって、プロレス・ファンにとっては筆舌に尽くしがたい今日の東スポでした。

 プロレス熱にまた火がついてしまったので今日はこの1曲。ダイナマイト・キッドが新日本プロレス在籍時に入場曲として使っていた曲です。
 ビリー・コブハムはフュージョン界の名ドラマーで、ソロ・アルバムも数枚出していますが、これは1977年にCBS移籍後発表した1枚。(『マジック』 SICP-2117 \1,890) 最新デジタル・リマスターされ、ボーナス・トラック追加&限定盤で昨年国内再発されました。 美人パーカッショニスト、シーラ・Eがシーラ・エスコヴェド名義(当時20歳)で参加しています。森 陽

2009年6月13日(土)Glenn Tilbrook & The Fluffers 「Relentless Pursuit」

 緑に黄色のジャケット、まさに“ペット・サウンズ”カラーのこちらのアルバムは、UKのポップ・メイカー、グレン・ティルブルック(スクイーズ)のソロ3作目となる最新作。
 
 作曲やバックでグレンを支えるザ・フラッファーズ(キーボードのステファン、ドラムスのサイモンは07年再結成のスクイーズにも参加。ベースは紅一点のルーシー)との名義でリリース。
 打ち込みなどが割と多く使用されていた前2作に比べ、久々にシンプルなバンド・サウンドに戻った今作は、ソロ3枚の中でも一番良い! ちなみにミックスを担当しているのは有名なエンジニア、ボブ・クリアマウンテン。
 
 ロニー・レインにインスパイアされたというカントリー調の「Best Of Times」、デズリーと15年前の共作曲に歌詞を付けた「Still」、ヴァネッサ・パラディがバック・ヴォーカルで参加したスローな「Interset & Love」(最後に収録の、チープなインスト曲にはジョニー・デップが声で参加。)、ワウワウ・ギター炸裂のロックな曲から、グレン印のポップな楽曲も色々良い曲が詰まったアルバムです。
 
 こういうジャケットにしたのは、彼がブライアン・ウィルソンに影響を受けているからだそうで、新作の中にもブライアンへのオマージュともいえる、コーラスが美しい曲が含まれています。きっとグレンやスクイーズを知らない方でもポップがお好きな方ならとても聴きやすい作品だと思います。
 
 今年1月の来日で素晴らしいライブを見せてくれたグレン。7月26日にフジロックに出演するスティーヴ・ナイーヴ・バンドに参加。27日には吉祥寺スターパインズ・カフェにて一日限りの単独ライブが決定しています。東尾沙紀

2009年6月14日(日) ナンシー梅木 「サヨナラ」

 1957年の映画『サヨナラ』に出演し、日本人として初めて"アカデミー助演女優賞”を受賞したミヨシ梅木ことナンシー梅木。
 その映画に出演する前年、1956年にアメリカ・デビュー作として録音・発表したアルバム『シングス・アメリカン・ソングス・イン・ジャパニーズ』がこの度ボーナス・トラックを追加し、高音質SHM-CD仕様で再CD化されました。(UCCJ-4063 \2,500)

 スタンダード定番「Over The Rainbow」や、ガーシュイン作「S'Wonderful」などの名曲を、英語詞に日本語も混ぜて歌っており、彼女のハスキーな低音ヴォイスがなんとも沁みる作品に仕上がっています。

 なお今日のこの1曲「サヨナラ」は、彼女がアカデミーを獲った映画『サヨナラ』の主題歌ではなくて、このアルバムのために作られた同名異曲。
 ボーナス・トラックに収録されている映画主題歌の「サヨナラ」(アーヴィング・バーリン作)ももちろん良いのですが、こちらの「サヨナラ」には日本語詞が途中に出てきて、それが
♪ 永久に変わらぬ我が心  君が微笑みを悲しい ♪
と歌われるのがなんとも切なくていいですね。

 日本昭和歌謡、ジャズ好きの方にもオススメの1枚です。森 陽馬

2009年6月15日(月) 中村 まり 「A Brand New Day」

 “日本のマリア・マルダー!”
 1977年生まれの女性シンガー・ソングライター、中村まりが久々の新作『Beneath The Buttermilk Sky』(ANTX-1017 \2,500)を発売。

 ハイドパーク・ミュージック・フェス2006やフジ・ロックに出演するなど以前から注目されていた彼女。今年はエイモス・ギャレットの来日公演にゲスト参加して、エイモスが当時ギター参加していたマリア・マルダーの名曲「Midnight At The Oasis (邦題:真夜中のオアシス)」を歌い、更に評価が高まっていましたが、今回の新作はその彼女の実力を再認識できる充実の出来。

 スモーキーな歌声はまさに若い頃のマリア・マルダーそっくり!
 アーシーなアコースティック・ギターの音色も素晴らしく、アメリカン・ルーツ・ミュージック好きの方は必聴の1枚でしょう。

 今作は全曲英語詞で、その英語のイントネーションも彼女の声質に合っている印象ですが、説得力ある歌声なので是非次回作は日本語詞の曲も歌って欲しいですね。森 陽馬

2009年6月16日(火) Steve Ferguson 「Lonesome Lover」

 70'sアメリカン・ルーツ/シンガー・ソングライター系の再発は、ワーナーが“名盤探検隊シリーズ”として色々と出していた頃に比べると近年収穫が少なかったように思うのですが、久々に目玉商品が出ました!

 スティーヴ・ファーガソンはライ・クーダーのバック・バンドにいた経歴を持つ黒人シンガー・シングライター。
 その彼が70'sソングライターを象徴するレーベルと言っても過言ではない“アサイラム・レーベル”(トム・ウェイツ、ジャクソン・ブラウンなどで有名)から1973年に発表したアルバムが、限定紙ジャケット仕様で世界初CD化されました。(国内CD RATCD-4289 \2,730)

 僕もシンガー・ソングライター関連書籍などでジャケットは何度も見たことがあったのですが、聴くのは今回が初めて。(中古LPは結構高かったのです)
 黒人らしくないアーシーなサウンドで、スワンプ色ある演奏や渋いソングライター作、更にはラグタイム風なスタイルの楽曲もあって、味わい深い70'sシンガー・ソングライター作品として楽しめる1枚です。

 歌声はエリック・カズとティム・ハーディン、更にランディ・ニューマンを足して3で割ったようなヴォーカルで、ソウルフル・黒人音楽的というよりは、アメリカ南部を連想させるレイジーな雰囲気。
 4曲目「Lonesome Lover」にはデヴィッド・T・ウォーカー(G)が参加。ゆったり&じわじわと盛り上がっていく楽曲のバックで、♪ピロピロ♪と彼らしいエレキ・ギターの音色を聴くことができます。森 陽馬

2009年6月17日(水) ビートルズ 「ベイビーズ・イン・ブラック」 

 今度の土曜日、6月20日に当店地下<アゲイン>にて、ビートルズ特集のDJ&トーク・イヴェントを行ないます。
 ゲストにはビートルズが大好きなCDジャーナル編集長、藤本国彦さんをお迎えして、藤本さんが昨年訪れたリヴァプールやロンドンのお話を伺おうかと思っています。

 それともうすぐビートルズ来日43周年(ちょっとハンパですが)になりますので、僕が中学三年生の時に実際に武道館で見た1966年頃のビートルズの話などもプラスして、ポール・マッカートニー67歳の誕生日2日後の6月20日(ブライアン・ウィルソンの67歳の誕生日の日でもあります)を祝いたいですね。

 ということで、1966年日本武道館で歌われた「ベイビーズ・イン・ブラック」。1本マイクでジョンとポールが体を寄せ合ってハモって、間奏ではジョージがワルツのステップを踏んだ想い出の1曲です。

 日本では1965年3月15日、ビートルズ4枚目のLPとして発売された『ビートルズ '65』(『ビートルズ フォーセール』)に収録。木崎義二さんのライナーノーツが付いた見開きジャケットでしたね。
 では6月20日13時30分スタートのイヴェント、よろしくお願い致します。森 勉

2009年6月18日(木) エルヴィス・コステロ 「I Dreamed of My Old Lover」

 今年のサマーソニックに出演が決まっているエルヴィス・コステロ。
 若い観客が多い中、どんな曲をやるのだろうと興味が湧きますが、先日リリースされた新作からの曲も演奏されるのでしょうか。

 前作『百福』から約1年という短いスパンで届けられた新作『Secret, Profane & Sugarcane』(UCCO-3012 \2500 SHM-CD仕様)はヒア・ミュージックからのリリース。今回はドラムレス、ナッシュビル録音の全編ブルーグラス、カントリー・テイストの作品です。

 ブルーグラス自体あまり聴かないので、最初に聴いた時は地味だな〜と思いましたが、フィドルやマンドリンの音が心地よく、聴いているうちにじわじわと耳に馴染んできました。
 プロデュースは過去の作品にも携わった事があるTボーン・バーネット(キーボードでも参加)。カントリー界で名うてのミュージシャンが、"シュガーケインズ"としてバックを担当しています。

 殆どがオリジナル曲で、ジョニー・キャッシュへの提供曲「ヒドゥン・シェイム」のセルフ・カバーや、国内盤ボーナストラックにはルー・リードの「宿命の女(原題Femme Fatale)」のカバー等を収録。(この曲は海外だとアナログ盤にしか入っていない曲だそうです。) 「ザ・クルックド・ライン」にはエミルー・ハリスがコーラスが参加しています。

 歌詞は訳を読んでもよくわからないものもありますが、今日の一曲は「アイ・ドリームド・オブ・マイ・オールド・ラヴァー」という曲。タイトルの通り、昔の恋人の夢を見た...という内容の詞なのですが、"夫に何か(寝言)聴かれていないかしら"とか、"もう一度彼の夢を見たいから早く眠りにつきたいわ"など女性目線で書かれているもので、なかなか面白いなと思いました。

 ちなみにCDのレーベル・デザインは黄色に黒の“specialty records”カラー。“specialty”というとブルース系を多く出しているレーベルだそうですが、どうしてこのデザインになったのでしょう。東尾沙紀

2009年6月19日(金) シーナアキコ 「ビューティフルネーム」 

 先日取り上げた中村まりが“日本のマリア・マルダー”なら、今日紹介するシーナアキコは、まさに“新世代の矢野顕子”!

 “下北沢の冨田ラボ”こと松木俊郎率いるMakkin & the new music stuffなどで活躍中のピアニスト/女性シンガー・ソングライター、シーナアキコ待望の1stアルバム『TANGRAM』が先日発売されました。(HRAD-38 \2,100)

 表情豊かに転がるピアノの音色と、矢野顕子&原田郁子に似た独特な歌声は、アコースティックかつ必要最低限の楽器を使ったバック・サウンドながら、どの曲も非常に色彩感があり、聴いていて微笑みが浮かんでくるようなGood Music♪ 女性シンガー好きの方に是非ともオススメしたい1枚ですね。

 シンプルなピアノ弾き語り楽曲が中心のなかで、G「ビューティフルネーム」が一番テンポが速く、松木俊郎氏のベースも入っていて元気なアレンジの1曲。

 この曲は、もともとゴダイゴが1979年にリリースしたシングルで、NHKみんなのうたにも使われ大ヒット曲したナンバー。溢れ出るようなフレーズが連発するシーナさんのピアノが印象的です。森 陽馬

2009年6月20日(土) Hugo Montenegro 「Good Vibrations」

 ハッピー・バースデイ♪ ブライアン!
 今日20日はブライアン・ウィルソンの誕生日でした。

 なんと今年で67歳!ながら、“Brian Wilson : Greatest Hits Live Tour”と銘打たれたコンサート・ツアーが7月にヨーロッパから始まる予定で、9月から全米ツアー、そして年末までそのツアーは続くようです。日本公演はまだ決まっていませんが、是非久々に来日して欲しいですね。

 さて、今日のこの1曲はブライアン67歳を祝して名曲カヴァーを。
 作曲家・編曲家・指揮者として映画音楽を多く手掛けた名ミュージシャン、ウーゴ・モンテネグロが1969年に発表した作品『Good Vibrations』が日本初CD化。(BVCM-35618 \1,890)

 ピチカート・ファイヴ時代から“レコード発掘人”として知られている小西康陽氏による私的ディスクガイド本、『マーシャル・マクルーハン広告代理店。ディスクガイド200枚 小西康陽。』が先日発売。その書籍に掲載されていた1枚です。

 全体的に男性ヴォーカル/コーラス/スキャット、上品なストリングスを配した超ゴキゲンなソフト・ロック・サウンドで、「グッド・ヴァイブレーション」以外にも、ポール・モーリア作「恋はみずいろ」、バカラック作「去りし時を知って」などをウキウキするような爽やかポップ・コーラス・アレンジでカヴァー。
 ロジャー・ニコルス&スモール・サークル・オブ・フレンズのアルバムお好きな方ならば絶対気に入ること間違いなし!のおすすめ盤です。森 陽馬

2009年6月21日(日) サヴァイヴァーズ 「パメラ・ジーン」

 昨日6/20でブライアン・ウィルソンも67歳を迎えました。
 ファンとしては、のんびりでもいいので元気に活動を続けてもらいたいと思うばかりです。

 それにしても1998年に快心作『イマジネーション』を出してからというもの、ブライアンの活動は凄いものがありますね。CDもDVDもいろいろと出ましたし、来日も3回してくれましたし・・・。

 このCDはブライアンが最も忙しかった時期と言われている1962年から1964年あたりに、ビーチ・ボーイズ名義以外で発表されたブライアン・ウィルソン作品を集めたコンピです。(V.A 『ブライアン・ウィルソンのペット・プロジェクト』 MSIG-15 \2,835)
 当時は発売される時にあまり宣伝されなかったため、売れなかった作品ばかりで、数が少なくレア・アイテムのシングル盤が多く含まれています。

 今日はその中から、サヴァイヴァーズというグループ名で出た「パメラ・シーン」(シングル盤<Capitol 5102>はメガ・レア・アイテム!)。この曲を録音した後に、ビーチ・ボーイズとしても歌詞を変え、「カー・クレイジー・キューティ」として発表しています。
 更にこのCDには、B面の麗しいインスト曲「アフター・ザ・ゲイム」も入っています。森 勉

2009年6月22日(月) ASA-CHANG & 巡礼 「家へかえりたい」

 夏フェスのラインナップも出揃ってきましたが、みなさんは何か見に行く予定ありますか? 僕は今のところ未定ですが、今年はどのフェスも結構そそられるメンツで、出演アーティストをチェックしているとやっぱり行きたくなってしまいますねー。特にフジロックは昨年に比べて、個人的に興味深いミュージシャンが多いです。(特に初日! パティ・スミス、ロバート・ランドルフ、クラムボン、ゴング、ネヴィル・ブラザーズ、ハナレグミ、他見たいアーティスト多数。一般的にもオアシスがトリで、更に大物ミュージシャンが追加決定、という噂も)

 その初日24日に出演予定のASA-CHANG & 巡礼。久々4年ぶりのアルバム『影の無いヒト』(RZCM-46217 \2,940)が先日発売になりました。
 ASA-CHANGは元スカパラのメンバーで、現在は多方面で活躍中のパーカッショニスト。今作は坂本龍一のレーベルcommmons(AVEX)からのリリースで、坂本龍一、宮藤官九郎、モデルの太田莉菜、更にサケロックの星野源などゲストは多彩ながら、普通の一般人には理解不能と思われるややアヴァンギャルドなサウンドと朗読的歌詞、そしてパーカッションが渾然一体となった作品。ポップな楽曲はほとんどなくちょっと難解な1枚ですね。(その分、深みがあって聴き込んでいくと面白そうですが)
 
 意外だったのは、なんと、バートン・クレーン「家へかえりたい」をカヴァーしていること。ASA-CHANG本人が歌っています。
 異色なカヴァーでありながら、他の楽曲が言葉で表現できないような音楽のため、バートン・クレーン・カヴァーが一番普通に聴こえる、という不思議なアルバムです。森 陽馬

2009年6月23日(火) ダイナソーJr 「Pieces」

 本日は24日新譜が入荷。木村カエラ、椎名林檎、パリスマッチ、マーヴィン・ゲイのデュエット作6W、サイモン&ガーファンクルのライヴ盤、など色々と注目アイテムが出てどれも充実の内容でしたが、店内でかけていて特に痛快&最高だったのがこの1枚。(ダイナソーJr 『Farm』 HSE-30129 \2,490)

 2年前に出たアルバム『Beyond』も、オリジナル・メンバーとして復活してから久々の作品ながら、ダイナソーらしい楽曲がズラリ並んでいましたが、今作『Farm』はそこから更に進化した印象。

 音楽誌のレビューでは「洗練された」/「聴きやすすぎる」という声もあるのですが、そう言われる所以は、それだけ新作の曲が良すぎる、ということでしょう。
 1曲目「Pieces」の第一音、Jのギターの音色が聴こえてきた瞬間に、「これはダイナソーだ!」とわかるそのサウンド。とにかく曲がポップでかっこいい! J・マスキスのギターも全開で、どの曲もギター・ソロてんこ盛りです。雰囲気としては、『Where You Been』あたりに近い感じ。

 オリジナル・メンバーに戻ってから2作目、ということもあって、リズム隊もいい意味でライヴ感ある、前につんのめるような勢いを感じさせる演奏で、ニール・ヤング&クレイジー・ホースを彷彿とさせる曲もあったりして、ガツンとしたロック聴きたい方には本当にオススメの1枚。今年2009年のベスト・ロック・アルバムNo.1候補ですね。

 ちなみに国内盤はボーナス・トラック4曲追加。フジ・ロックへの出演も決定してますが単独公演はないのでしょうか。ライヴが見たい! 森 陽馬

2009年6月24日(水) ハナレグミ feat マダムギター 「・・・がしかしの女」

 永積崇の一人ユニット“ハナレグミ”、4年ぶりとなる久々の新作『あいのわ』が発売。(初回のみ紙ジャケット仕様 VICL-63350 \3,045)

 この4年の間に、原田郁子&オオヤユウスケと組んだ“ohana”名義のアルバムリリース、スーパー・バタードッグの再結成&解散もありましたが、やはり“ハナレグミ”としての作品を心待ちにしていたファンも多いはず。
 4年前の前作3rdアルバム『帰ってから、歌いたくなってもいいようにと思ったのだ。』は、自宅レコーディングだったため地味すぎる、というか正直言ってあまりピンとこない1枚でしたが、この新作『あいのわ』はイイですね! 9曲しか入っていませんが、その1曲1曲がとても充実していて聴き応えがあります。

 シングル曲B「光と影」、@「あいのわ」、原田郁子が作詞を担当したG「あいまいにあまい愛のまにまに」、沁みるH「あいのこども」、更には、カーティス・メイフィールド作名曲を日本語も交えてカヴァーしたD「People Get Ready」(小坂忠さんも日本語でカヴァーしていますね)など、何度聴いても飽きがこなそうな入魂の全9曲。永積くんの“あい”が伝わってくる1枚です。

 その中で異色というか面白いNiceトラックがF「・・・がしかしの女」。
 女性ブルース・ギタリスト&シンガー、長見順ことマダムギターと漫談のような掛け合いで聴かせる1曲で、ボ・ディドリー調→ブルース・ナンバーに言葉遊び的歌詞をのっけいるのですが、その歌詞が本当に面白い!楽しい! ライヴでも見てみたいですね。

 ちなみにハナレグミもフジロック初日7/24(金)に出演予定。ポール・ウェラーも7/24(金)に急遽出演決定したらしく、今年のフジロック初日は本当に凄いメンツ。クラムボンも初日に出るけれど共演はあるかな? 森 陽馬

2009年6月25日(木) Rascals 「Rainy Day」

 この曲が収録されている4枚目のアルバム『Once Upon A Dream』(1968年1月発表)から、“ヤング・ラスカルズ”は“ヤング”が取れて、“ラスカルズ”にグループ名が変わりました。
 アルバムの作りも<夢>をテーマにしたコンセプト・アルバム仕立てで、前作『グルーヴィン』を上回る質の高さを感じます。

 しかし、変に難解になったわけではなく、1曲1曲がきちんとポップ・ミュージックとして聴ける、以前のラスカルズの良さを残しながら、アルバム全体の流れが楽しめる作品なのです。

 リーダーであるフェリックス・キャヴァリエがLPのブックレットに寄せた文の抜粋を書いておきます。
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「夢は天から我々に送られてくるメッセージ。人類の夢は、地球の平和と人への善意。その夢にこのアルバムを捧げる」
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 この曲はエディ・ブリガティがリード・ヴォーカルをとる美しいバラード。
 春の雨の日を歌っていますが、雨や雪の効果音も入り、このところ不安定な東京の天気を感じる1曲です。

 なお、この再発CD(『Once Upon A Dream』 Collector's Choice CCM-803 \2,200)はステレオ&モノ・ヴァージョン両方が1枚のCDで聴けます。森 勉

2009年6月26日(金) 木村カエラ 「バタフライ」

 忌野清志郎、三沢光晴、ケニー・ランキン、ボブ・ボーグル(ベンチャーズ)、そして本日のマイケル・ジャクソン、ファラ・フォーセット、と20世紀を彩った方々の訃報が続いていますね。
 「ひとつの時代が終わった」とも言われてますが、10代の人にはピンとこない方も多いようですし、ただ単に「自分が歳をとった」ということかな、と感じています。

 ここ最近は音楽業界も世間的にも暗い話題が多いのですが、素晴らしい作品やいい曲もたくさん出てきていて、今日はその中でも<今年のNo.1ソング>と評したい1曲をピックアップ。

 木村カエラの新作アルバム『HOCUS POCUS』(初回盤DVD付 COZP-373 \3,465)、5曲目に収録されている「バタフライ」。
 ゼクシィのCMソングに使われた曲で、シングル・カットはされていないのですが、これがホント!イイ曲!

 木村カエラが親友の結婚式のために書き下ろした1曲だそうで、プロデュース&作曲&キーボードはのだめカンタービレのテーマ曲などを手掛けたことでも知られる末光篤(SUEMITSU & THE SUEMITH)が担当。(ちなみにバック演奏はクラムボンのミト(B)、toeやHIATUSで活動中の柏倉隆史(Dr)などが参加。)

 途中カスタネット&タンバリンが入る展開はまさに“ナイアガラ的ポップス”ですが、とにかく曲&歌詞がいいですね。何度聴いてもHAPPYな気分にさせてくれる絶品の“幸せソング”です。森 陽馬

2009年6月27日(土) エリック・クラプトン&スティーヴ・ウィンウッド 「Voodoo Chile」

 まだまだ先ですが、11月にライ・クーダー&ニック・ロウの来日が決まりましたね。地味なライブになりそうですが、ニック・ロウも6年ぶりの来日という事なので、これが最後かもしれないと考えると、やはり見逃せません!
 
 昨年2月、ロック・ファンの間で話題となったエリック・クラプトン&スティーヴ・ウィンウッドのジョイント・ライブ『ライブ・フロム・マディソン・スクエア・ガーデン』が、2週間ほど前になりますが、共に2枚組のCD(WPCR-13545 \3,480)、DVD(WPBR-90690 \5,900)でリリース。
 この2人で来日公演が実現すればいいのになぁと、このライブ盤を聴いてると期待も膨らんできます。
 
 ライブ本編だけの曲目を見るだけだと、DVDが20曲、CDの方が21曲で、あれDVDの方が少ない?と思ったのですが、DVDの方では2曲目の「Low Down」(J.J.ケイルのカバー)がディスク2のボーナス映像として収録されています。
 DVDの方には他にもインタビューやサウンドチェックの様子や、CDに収録されていない「クロスロード」などが入っているのでどちらか迷ったらDVDの方を買うのがいいかもしれませんね。

 選曲はブラインド・フェイス、トラフィック、J.J.ケイル、ブルース・クラシックなど、クリームや、誰でも知ってるような2人のヒット曲などは敢えて省かれた内容。
 ウィンウッドのハモンド弾き語りによる「Georgia On My Mind」も渋くてかっこいいのですが、やはり聴き所は後半に続けて演奏されるジミ・ヘンドリックスの、デレク&ザ・ドミノス時にもカバーされた「Little Wing」と、「Voodoo Chile」の2曲でしょうか。「Voodoo〜」は16分を越える熱演!CDでも十分すぎるほど熱気が伝わってきます。
 いつか来日しますように!(切望) 東尾沙紀

2009年6月28日(日)マイク・マイニエリ&スティーヴ・ガッド 「Love Play/Coming Home」

 27日(土)深夜、武蔵小山で火事がありました。
 場所は最近新しく建った19階だてマンションの1階にあるイタリア料理/ピザ屋の有名チェーン店。その時、現場には行きませんでしたが、煙が凄かったそうで、マンションの住民も避難し消防車もたくさん出動。不幸中の幸いでその店以外には燃え移らず、死人も出なかったようですが、やはり火事は怖いですね。みなさんも火の元には十分お気をつけください。

 さて、消防車のけたたましい音とは対照的に、美しいフュージョン/インストの新作をご紹介。

 1970年代前半、当時はまだそこまで有名ではなかったマイク・マイニエリ(key)、スティーヴ・ガッド(ds)、デヴィッド・スピノザ(G)等が集まって一時的に活動していたユニットがこの度再結成。
 強力メンツが再び集い、30年以上の時を経て記念すべきアルバム『リマージュ』を発表いたしました。(VACM-1387 \2,625)

 ヴィヴラションの音色が美しく、心地良くリラックスできるフュージョン/インスト・アルバムに仕上がっており、トニー・レヴィン(b)、ウォーレン・バーンハート(p)の渋い仕事ぶりもNice! マイク・マイニエリの人気曲「Love Play」もセルフ・カヴァーしており、10分以上にわたってメンバー各々の見せ場を楽しむことができます。森 陽馬

2009年6月29日(月) パリス・マッチ 「タイムシェイド」

 本日東京は“梅雨晴れ間”な1日で、心地良い陽気でしたが夜になったら雨が降ってきてしまいましたね。
 予報では今週中は再び梅雨らしい天気となってしまうようですが、冬よりも夏が好きな僕にとっては、一雨毎に夏が近づいているのが実感できて、憂鬱な気分には不思議となりません。梅雨明け&真夏のドライヴにはこのCDを持っていこう♪、とか考えているのが楽しいですね。

 ということで、今夏のドライヴ・ミュージック・私的マスト・アイテム、となりそうなのがこの1枚。パリス・マッチの新作で8枚目となるオリジナル・アルバム『Passion8 (パッショネイト)』。(ASCM-6053 \3,000)

 今作は夏がコンセプトとなっていることもあり、ダンサブルなアップ・ナンバー中心。ちょっとラテン的なピアノのリズムが入っていたりもしますが、そこはやっぱり“パリス・マッチ・マジック”。洗練された都会的&スタイリッシュな音使いで、センス良くパリス・マッチ的サウンドに仕上がっています。

 横浜の名所が歌詞に出てくるナイス・トラックB「ヨコハマ・シティ」、ピアノ使いが印象的なI「サマー・オブ・エレクトリック・シティ」など、パリス・マッチらしい早いテンポの楽曲ももちろん良いですが、唯一のスロー・ナンバーE「タイムシェイド」、そしてグルーヴィー&クールでかっこいい英語詞の@「Passion8 Groove」で聴ける松原正樹のギターがとにかく絶品!
 切なくメロウなギターの音色が、セクシーなミズノマリの歌声をより引き立たせています。森 陽馬

2009年6月30日(火) Lais 「Patinho Feio」

 ブラジル音楽ガイド本が数多く出版され、ボサノヴァ名作もほとんどCD化がなされたこともあって、ブラジル音楽ファンは着実に増えてきていると思いますが、このアルバムを聴いたことがある方は少ないのではないでしょうか。

 ボサノヴァ初期の1960年に発表された幻の1枚『BOSSA NOVA MESMO』。
 以前、中古アナログ盤を見たことがあったのですが、超高値だったため手が出ず・・・。聴いてみたいな、と長年思っていたこの盤が、海外マスターを基に最新リマスターも施され世界初CD化されました。(限定紙ジャケット仕様 UICY-94160 \2,800)

 収録曲は12曲で約24分。演奏も歌も編成もシンプルではありますが、予想以上に心地良い好盤でした。
 シルヴィア・テリスやカルロス・リラのこれでしか聴けない音源や、アルバム作品は残っていない謎のグループ“ライス (Lais)”の貴重音源、「イパネマの娘」を作詞したことで有名なヴィニシウス・ヂ・モライスの初ボーカル楽曲。どれも丸みを帯びた音色が印象的で、ラウンジ感覚で聴けるオススメの1枚です。

 ちなみに当時ボサノヴァ界では、カルロス・リラ派(フィリップス社)とロナルド・ボスコリ派(オデオン・レコード)に分かれており、このアルバムはカルロス・リラ派による作品。ボサノヴァ黎明期/穏やかな雰囲気のサウンドながら、そういう分派があったのですね。今も昔もどの世の中も派閥というのは付き物のようです。森 陽馬





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