PET SOUNDS RECORD
今日のこの1曲 アーカイヴス


  今日のこの1曲 “Achives”

<2012月1月>

当店ペット・サウンズ・レコード店にて、
その日に店内でかけていた曲の中から、
店員の独断と偏見で選んだ“今日のこの1曲”コーナー

2012年1月に更新した“今日のこの1曲”コーナー。
廃盤・生産中止、規格番号の変更など、
情報が古くなっている商品もございますが、ご了承くださいませ。

<最新の“今日のこの1曲”はこちらのページをご覧ください>


2012年1月1日(日) 杉 真理 「Nobody」

 2012年! 新しい年を迎えました。
本年もよろしくお願いいたします。

 今年はサンデー・ソングブックでの大滝詠一&山下達郎による新春放談がなくて残念です。

 しかしNHK FMでの佐野元春<Motoharu Radio Show>にて、ナイアガラ・トライアングルVol.2の30周年に向けて新春対談があるというので、それを楽しみにしています。

 <Motoharu Radio Show〜ナイアガラDJトライアングル>は1月10日(火)21時10分から放送予定。皆さんもチェックしてみてください。

 ということで、1982年に発表された佐野元春、杉真理、大滝詠一による名作『ナイアガラ・トライアングルVol.2』からこの曲を。

 作詞・作曲杉真理による「Nobody」。

 杉真理らしいビートルズ初期を感じさせてくれる躍動感ある1曲で、サビのコーラスには佐野元春が参加しています。森 勉

2012年1月2日(月) 小野リサ 「切手のないおくりもの」

 ついこの前21世紀になったと思ったら、もう2012年。

 早いものですね。
今年もよろしくお願い致します。

 東京は青空が広がり、気持ちの良い年始です。

穏やかに過ごせるシアワセに感謝しながら、この1枚を聴いています。

 小野リサ最新作『ジャポン』。(MUCD-1254 3,000円)

 彼女にとっては初となる全曲日本語によるアルバム。

 最初は違和感があるかな、と思ってましたが、選曲とアレンジの良さで、彼女のゆったりとした歌声が活かされた好作に仕上がっています。

 「黄昏のビギン」、「遠くへ行きたい」、「見上げてごらん夜の星を」等の名歌謡から、「あの日にかえりたい」、「オリビアを聴きながら」、「異邦人」等、日本人ならば馴染み深い人気曲中心に全12曲。

「切手のないおくりもの」は財津和夫作詞・作曲。(歌詞がいいですね)

後半、子どものコーラスが入り、ピアノと笛のアレンジがほんわかムードを高めてます。森 陽馬

2012年1月3日(月) 45 「Expansions」

 “2012年流行する音/ジャンル”、何でしょうかね。

 昨年は震災の影響もあり、耳に優しいサウンド、穏やかなジャンルの音楽が全体的に多かったように思います。

 今年はもっとグルーヴ感溢れる音、リズミカルな楽曲をリスナーが求めているのでは?と予想してます。

 メイヤー・ホーソーン(2011年11月7日のこのコーナーで紹介)もロングセラーですし、“ク−ルでかっこいいソウルフルな音”を出すニューカマーに期待!

 さて、昨年末リリースされたソウルフルな作品といえばこの1枚。

 沖野修也絡みの作品やJ-POP/CLUB系のライヴ/アルバムで活躍中の日本人名キーボード奏者、SWING-O(スウィンゴ)による3rdアルバム『Stop! Look! Listen!』。(OPAE-1003 2,300円)

 2ndに続き、良質な日本CLUB/SOUL/JAZZをリリースしているorigamiプロダクションからの発売で、今回もグルーヴィー!

 特にロニー・リストン・スミスの激キラー・チューン!「Expansions」カヴァーは聴きものです。森 陽馬

2012年1月4日(水) Electric Light Orchestra 「All Over The World」

 三が日お休みを頂いたので、今年一本目の映画『宇宙人ポール』を鑑賞してきました。

 アメリカに旅行でやって来たSFオタクの英国人2人組と、米軍基地から逃亡したエイリアンとの珍道中を描いたコメディ映画です。

 おバカなギャグも満載ですが、SF名作ドラマや映画へのオマージュ的なシーンやセリフも盛り込まれていて、元ネタを知っているとより楽しめる作品になっています。

 劇中で流れるのはELO、トッド・ラングレン、マーヴィン・ゲイほか。

 エンドロールには宇宙のイメージにぴったり!?な、ELO「All Over The World」が使われています。音楽も意外な選曲で楽しめました。

掲載ジャケットは、エレクトリック・ライト・オーケストラのベスト盤です。(MHCP-759 2,520円) 東尾沙紀

2012年1月5日(木) ラキタ 「船出の唄」

 ニューオリンズ・サウンドと日本ロックを融合させた伝説的バンド、ボ・ガンボスのボーカリストだった“どんと”。

 その息子である“ラキタ”は、一昨年の京浜ロック・フェスで見てから、気になっていたミュージシャンでした。

 20歳前後の若さながら、父譲りの個性溢れる存在感。
豪放なギターの腕前は、2世アーティストという色眼鏡以上に強く印象に残っています。

 そのラキタのソロ・デビュー・アルバムが昨年末やっと発売。
(『フライングロック』 UBCA-1025 2,500円)

 インディーズからの発売ですが、最近のメジャー・レーベルから出るような型にはまったサウンドではなく、全体的に武骨な音作りで、とにかくかっこいい!

 1曲目「船出の唄」。
ゴツゴツしたバンド・サウンドは初期のニール・ヤング&クレイジーホースを彷彿とさせますね。

曲後半1分半以上にも及ぶギター・ソロは、まさにニール・ヤング的!

2012年、そしてこれからもずっと追いかけたいニューカマーです。森 陽

2012年1月6日(金) スティーヴ・タイレル 「ベラ・ノッテ」

 昨年ブライアン・ウィルソンがディズニー映画に使われた楽曲のカヴァー・アルバムをリリースしましたが、このアルバムは同じレーベルから2008年に出たスティーヴ・タイレルによるディズニー・カヴァーです。
(『ザ・ディズニー・スタンダード』 AVCW-12707 2,548円)

 ウォルト・ディズニー・レーベルの契約書には、ディズニー・カヴァーが義務づけられていたりして・・・。

 スティーヴ・タイレルは1960年代後半よりプロデューサー/A&Rとして活躍。B.J.トーマスやバリー・マンなど通好みの音楽を手掛けていました。

 自身で歌い始めたのは1990年代になってからですが、ジャズ・スタンダードやバート・バカラックの曲を彼独特のしゃがれた渋い声で聴かせてくれるアルバムを数枚発表しています。

 「星に願いを」(ピノキオ)、「美女と野獣」、「いつか夢で」(眠れる森の美女)等の定番曲もいい仕上がりですし、ドクター・ジョンとの渋声デュエット「君はともだち」(トイ・ストーリー)もグッときますが、今日は「ベラ・ノッテ」を。

 僕らの世代には印象深いディズニー映画『わんわん物語』からの1曲です。

 山下達郎も『シーズンズ・グリーティングス』の中でカヴァーしていましたね。森 勉

2012年1月7日(土) ビーチ・ボーイズ 「Wouldn't It Be Nice」

 当店名の由来となっているお馴染み『ペット・サウンズ』のSACDハイブリット仕様CDが入荷してきました。(輸入CD UDSACD-2065 3,500円)

 今までにも様々な名盤の高音質CD/LPをリリースしているMobile Fidelity社からの限定発売。裏面下に金色刻印ナンバリングが施されています。(当店に入ってきた盤は1700番台)

 しっかりとした厚紙による紙ジャケで、かつダブル・ジャケット仕様。
各曲ごとの演奏者クレジットやマーク・リネット&ブライアンによる英文解説(以前と同じもの)が記載されたブックレットも充実していて、ずっしり重量感ある装丁です。

 肝心の音源は、現行モノ・マスターではなく、2006年に40周年盤として出たマスターでもなく、1998年『ペット・サウンズ・セッションズ』BOXがリリースされた時のマーク・リネットによるステレオ・マスターを基に、今回のSACD用としての新たに制作したマスターのようです。

 (ただ、『ペット・サウンズ・セッションズ』の時は、マスターが発見されなかったためブライアンのヴォーカルに差し替えられていた「Wouldn't It Be Nice」内のマイク・ラヴのパートが、今回は現行ステレオと同じマイクのヴォーカルになっています。他にも違いがあるかも。)

 SACDですがハイブリッド仕様なので通常のプレイヤーでも再生可。
早速店内で聴いてみました。

他の一般的なCDに比べて音圧が抑え目で、最初の一音が出た時はアレッ?と思いましたが、音量を上げるとステレオの素晴らしさを実感できます。

 こもりのない粒立ちのいい音質で、演奏と歌声&コーラスが見事に融合。美しい音の拡がりは感動的!

 ヘッドフォンでじっくり聴きたいですね。森 陽馬

2012年1月8日(日)ウエス・モンゴメリー 「ゴーイン・アウト・オブ・マイ・ヘッド」

誰がカヴァーしても注目してしまう好きな曲の中でも、「ゴーイン・アウト・オブ・マイ・ヘッド」は特別に大好きな1曲です

 オリジナルは1964年にヒットしたリトル・アンソニー&インペリアルズ。
作ったのはプロデューサーでもテディ・ランダッツォ。名曲です。

 オリジナル以外でもいいカヴァーが多い曲で、レターメン、セルジオ・メンデス&ブラジル'66、ゾンビーズ、フランク・シナトラ、小川知子などが気に入っています。

 このウエス・モンゴメリーのヴァージョンは、彼のギターとオリヴァー・ネルソンのアレンジによるオーケストラの音が見事にマッチしたものになっています。

 中学生の頃にラジオ(FEN)で聴いて、「いったい、このゴーイン・アウト・オブ・マイ・ヘッドは誰の?」と思ったのが最初でした。

 限定ですが、現在1,100円という低価格で発売されていますので、この機会に紹介しておきます。(国内CD 24bitリマスター使用 UCCU-9760 1,100円) 森 勉

2012年1月9日(月) チャーリー&ザ・スリー・クール・キャッツ 「夢見るバックビート」

当店では大・大好評! 初期ビーチ・ボーイズ・サウンドを日本語オリジナル曲で聴かせてくれたチャーリー&ザ・ホット・ホイールズ。残念ながら現在活動停止中ですが、そのチャーリーさんが別ユニットを結成!

 それがチャーリー&ザ・スリー・クール・キャッツ!
(国内CD 『冷たいマージー・ビート』 PT-1001 2,000円)

<和製サーフィン/ホット・ロッド>だった“ホット・ホイールズ”と違い、“スリー・クール・キャッツ”は<和製マージービート!>

ビートルズ/60'sブリティッシュ・ビートのエッセンスが詰まったサウンドに日本語詞を乗せたオリジナル楽曲がかっこいい!

 ホリーズ「Come On back」カヴァーもNICEですが、ビートルズ・ネタが愛情タップリに練り込まれた4曲目「You Don't Need Me」(夢見るバックビート)、聴きもの!

 ビートルズ好きな方はもちろん、キャロルやマックショウなど和製ロックンローラー・ファンにも是非聴いてもらいたいアルバムです。森 陽馬

★当店にてお買い上げの方には先着で、モノラル・ミックスCDRを特典で差し上げています。

2012年1月10日(火) The Hollies 「Carrie Anne」

佐野元春、杉真理、大滝詠一による『ナイアガラ・トライアングルVol.2』。
30周年記念盤が、3月21日発売決定いたしました。

 ロンバケ30周年盤と同じく2枚組CD。
Disc.1にはオリジナルLPと同じ13曲を最新リマスター。
Disc.2には初となる全曲分の純カラオケを収録。(「A面で恋をして」はコーラス有りヴァージョンと無いヴァージョンの2トラック入り、14曲分のカラオケが収録予定)

 ブリティッシュ・ビートとアメリカン・ポップスをブレンドさせた楽曲群は活き活きとしていて、30年経った今でも(今だからこそ)、“ポップスの良心”を感じさせてくれます。

(昨年末ラジオデイズ対談で、大滝さんがビートルズ前後のブリティッシュ・ポップス研究をされているとおっしゃっていましたが、このトライアングルVol.2リリースに繋がる研究なのでしょうね)

 ということで、本日もブリティッシュな1曲。
昨日のこのコーナーでも名前が挙がったホリーズから、サンデーソングブックでもかかった未発表ライヴ音源を。

 ちなみにこの曲が入っている盤は1963年〜1968年の全音源がコンプリートで6枚組CDに入っていて超お買得! (輸入CD EMI 5099909624221 タップリ158曲収録)

ブリティッシュ・ビート初心者からマニアの方にもオススメです。森 陽馬

2012年1月11日(水) リトル・ウィリーズ 「ジョリーン」

 今年でデビュー10周年のノラ・ジョーンズ、ソロシンガーとしても活動しているリチャード・ジュリアンを中心に結成された5人組バンド、リトル・ウィリーズ。

 06年以来2作目となる新作『フォー・ザ・グッド・タイムス』をリリースしました。(国内CD ボーナス・トラック1曲追加 宇田和弘氏による詳細な楽曲解説付 TOCP-71220 2,300円)

 ブルーグラス・ナンバーに始まり、ウィリー・ネルソン、ジョニー・キャッシュ等、前作同様メンバーの好きなカントリー・ロック/フォーク楽曲を取り上げています。

 唯一のオリジナル楽曲はバンドのギタリスト、ジム・カンピロンゴ作「TOMMY ROCKWOOD」。グワワンと響くテレキャスターの音色が印象的なカントリー・ギター・インストです。

 昨年のグラミー賞のステージで、ノラ、ジョン・メイヤー、キース・アーバンの3人で歌った、ドリー・パートン作/オリビア・ニュートン・ジョンで有名な「ジョリーン」カバーが本作に収録。
 ウィリーズverは彼女の歌声がより際立つゆったりとしたアレンジが施されています。

なおノラ・ジョーンズは今年中に新作をリリースする予定だそうです。東尾沙紀

2012年1月12日(木) 遠藤賢司 「俺が死んだ時」

 明日1月13日に65歳を迎える遠藤賢司、2年ぶり新作『ちゃんとやれ!えんけん!』が発売。(MDCL-1523 3,150円)

 2002年『幾つになっても甘かあネェ!』、2006年『にゃあ!』、2009年『君にふにゃふにゃ』、そして今作。
 リリースを重ねるごとに、若返っているかのようだ。

 轟音ギターと静かなピアノが同居した入魂作。
 年を取るにつれて渋味を増し枯れた味わいを出すアーティストが多い中、エンケンは身を削るような歌と演奏で大暴走し続けている。

 最近の日本ロックには何かが物足りないと感じていたが、それはエンケンのようなロックに対する真剣な眼差し&情念なのかもしれない。

 ♪俺は臆病で怠け者だ でも音楽だけは逃げたことが無い
〜中略〜
 俺が死んだからって トンチンカンな 御世辞をふりまくな
お前になんぞ 俺の音楽が語れるものか!♪
(A「俺が死んだ時」歌詞より)

 ニール・ヤングの詞を借りるなら、まさに“錆び付くよりより燃え尽きたい”という不屈のロック精神。
 「ちゃんとやれ!」というエンケンの言葉が心臓にグサッと刺さる快作だ。森 陽馬

2012年1月13日(金) ニール・ヤング 「カウガール・イン・ザ・サンド」

 今日はニール・ヤングが聴きたい気分。
それもエレキでぐいぐい押してくるような曲が。いろいろ好きな曲がありますが、初期の曲いってみましょう。

1969年2ndアルバムに入っていた「カウガール・イン・ザ・サンド」。

 ニールのギター・ソロはワンパターンだと言われますが、これが意外と飽きがこないんですねぇ。この曲もギター・ソロで存分に楽しませてくれます。

 今日ジャケットを紹介しているのは2004年発表『グレイテスト・ヒッツ』です。

 16曲入り、約77分収録。2曲目にこの10分5秒の曲、1曲目「ダウン・バイ・ザ・リヴァー」も9分16秒!

 ベスト盤でこの1曲目、2曲目。
ニール・ヤング、攻めてますね。

 現在このベスト国内盤は限定価格1,500円で出ています。
(国内CD 解説・歌詞・対訳付 1,500円)

初心者からマニアまで、ニールのおいしいところタップリです。森 勉

2012年1月14日(土) Heaven & Earth 「Jenny」

 美女2人のジャケットが目をひきます。

 シカゴの女性デュオ、“Heaven&Earth”唯一の作品。
73年発表アルバム『Refuge』です。(輸入CD LION652)

 昨年国内盤でも限定紙ジャケで再発されていますが、今回は更にシングル曲や未発表曲などボーナストラック15曲を追加し、Lion Productionsというレーベルから1000枚限定で発売されました。ミニ写真集も付いてます。

 2人の美しいハーモニーを活かしたオリジナル曲を中心に、スティーヴン・スティルス「To A Flame」他、ボブ・ディラン、エルトン・ジョンのカバーも収録。

 フォーク/ソフトロックものが多い中、フィル・アップチャーチほかシカゴのミュージシャン達による演奏がかっこいいロックな曲も耳に残ります。

 追加されたシングル曲はアルバムよりも割とキャッチー。
(時期外れですが「Home For Christmas」良い曲です)
 未発表曲の中にもギターと2人の歌だけのものなど親しみやすい雰囲気があります。後半にはアルバム未発表テイクも収録。

 そのテイクを含め、3バージョン収録されているのが「Jenny」という曲。
ニール・ヤングの「Down By The River」を意識したのかなと感じさせるアレンジがされています。東尾沙紀

2012年1月15日(日) Radiohead 「High And Dry」

 日比谷シャンテで映画『50/50』(フィフティ・フィフティ)を鑑賞。

 <27歳でガンを宣告された青年の闘病記>という重いテーマですが、随所にユーモアが散りばめられ、主人公や友人&家族に感情移入しながらも、恋愛映画のようにスッキリと見ることができました。

 それというのも、ガン患者を演じたジョセフ・ゴードン=レヴィット(『(500)日のサマー』、『インセプション』)、そしてその友人役であり製作にも関わっているセス・ローゲンに拠るところが大きいでしょう。(前半のセスはどうしようもない奴!と思わせますが、後半株が一気にUP!)

 「実際のガン闘病はもっともっと苦しい」という意見もあるでしょうが、この映画の脚本を手掛けたウィル・レイサーは、実際にガン闘病を経験しており、その悲喜交々、友情と家族の大切さをPOPな感覚でエピソードに盛り込んでいます。

 映画内の音楽は、パール・ジャム隠れた初期名曲「Yellow Ledbetter」、ロイ・オービソン「Crying」、ビージーズ「Love Somebody」など。

 特に印象に残ったのは、ガンを宣告された時にかかっていたレディオヘッド「High And Dry」。

 1995年2ndアルバム『ベンズ』収録の名曲。

♪Don't leave me high, Don't leave me dry♪
というサビの詞と切ない楽曲がこの場面に合っていましたね。

ちなみにこの映画、別エンディングも作ってあったそうです。
そっちはどんなラストだったのかな? 森 陽馬

★掲載ジャケットはこの「High And Dry」や人気曲「Creep」も収録されたレディオヘッド初〜中期ベスト盤。現在期間限定1,500円で国内盤出ています。(TOCP-54342 1,500円)

2012年1月16日(月) William Elliott Whitmore 「Everything Gets Done」

 武蔵小山商店街一番奥のモールにあったシグマ書房。
残念ながら閉店してしまうそうです。

 新刊のみながら、頑固おじさんがこだわりを持ってやっていた昔ながらの本屋。僕は熱心な顧客ではありませんでしたが、無くなってしまうのはやはり寂しいですね。
(昨年7月小山ブックセンターが閉店したので、この半年で武蔵小山では2店舗も本屋が閉店したことになります)

CD・音楽もそうですが、本はこれから先どうなっていくんでしょう?

 例えば電車に乗ると、昔は本・雑誌・新聞を読んでいた人が多かったのが、今ではほとんどの人が携帯電話を見ています。

 現在アメリカで急速に拡がっているキンドル(アマゾンが販売している電子書籍閲覧機)のようなものは、日本ではあまり馴染まないのでは?と以前は思っていましたが、スマートフォンと連動して普及し出したら、一気に利用者が増えるのかもしれません。

 便利になるのは良いことですが、実物が手元にないと物足りなく感じるのは僕が年寄りのせい・・・?

 今日のこの1曲は、アメリカの新世代シンガー・ソングライター、William Elliott Whitmore。2011年発表新作アルバム『Field Songs』から。(輸入CD ANTI 87138-2)

 カントリー&フォーキー、古き良きアメリカン・ルーツを引き継ぐシンプルなアコースティック・サウンドと武骨な歌声。
アルバム・タイトル通り、フィールド録音のような(実際はスタジオ録音)、草の匂いがする味わい深い1枚です。森 陽馬

2012年1月17日(火) Cedric Watson & Bijou Creole 「La Danse Kalinda」

 僕が初めてニューオリンズ行った時、現地で聴いて一番印象に残った音楽は、ジャズでもブルースでもソウルでもなく、“ザディコ”でした。

 アコーディオン、フィドル、ラブボード(金物洗濯板を胸に付け引っかいて音を出す楽器)他が渾然一体となったサウンド。そして、耳にした皆が踊り出したくなる陽気なワルツのリズム。とにかくザディコは楽しい!

 今日紹介するのは、そのザディコ界の貴公子と評されているセドリック・ワトスンのアルバムです。(国内CD セドリック・ワトスン&ビージュー・クレオール 『ライジング・サン』 PCD-93480 2,415円)

 彼は1983年生まれだからまだ20代。
でも、クレオール(フランス語文化を持つサウス・ルイジアナ黒人)の血を引いており、若い頃からルイジアナ音楽やザディコに興味を持っていたそう。

 この新作も、自然と体が動いてしまう最高に楽しい1枚!

 リズミカルなザディコ(詞はフランス語)に、ブルージー&ファンキーな風味も加わり、まさにガンボ・スパイスたっぷり。

これ聴いてるとニューオリンズ行きたくなっちゃいますね。森 陽馬

2012年1月18日(水) フォー・ミンツ 「ドゥ・ユー・リアリー・ラヴ・ミー」

 東京は晴天が続いていますが、寒い日も続いています。

 寒いといっても氷点下になることはないので、それで寒いなんて言っては、冬は氷点下が当たり前/マイナス20度よりもっと冷えることもある北海道の人々に笑われるかもしれませんね。

 さて、真冬に聴くスウィート・ソウルもいいものです。

 フォーミンツ!

 一般的には全く無名なグループですが、おすすめのオハイオ出身4人組です。(国内CD PCD-17152 2,625円)

 1973年発表唯一のアルバム・ジャケットが、いかにも70年代前半を感じさせてくれるファッションで印象的。袖とすその広がりがスゴイし、パジャマのような布地も・・・。

 フォー・ミンツのヴォーカルは、ただスウィートというよりちょっとビターさもあるハーモニーで、なんとも味わいがあります。

 @〜C曲目(LPレコードではA面でした)のミディアム・バラードはどれもイイ曲です。

 今日は4曲目、イントロの長い語りも魅力のこの1曲を。森 勉

2012年1月19日(木) ヴァン・モリソン 「グロリア」

 布谷文夫さんが亡くなってしまいました。

布谷さんのライヴを初めて見たのは、渋谷KABUTOでだったと思います。
 元シュガーベイブの上原裕(Dr)、ハックルバックの田中章弘(B)他による凄腕バック・メンツの演奏、布谷さんの迫力ある歌声、そして、なんともいえない絶妙(?)なMC。(そう!布谷さんのMCは本当に良かったなぁ)

 どれも最高だったけれど、とにかくお客さんが少なかった・・・。

 告知が行き届いていなかったのでしょうが、布谷さんのライヴはいつもお客さんが少なかったですね。

 かくいう僕もそれ以来数回しか観に行ってません。
なので、哀悼とかそういう言い方は、布谷さんにも足繁くライヴに通い続けていたファンの方にも失礼かな、と思っているのです。

 「グロリア」はヴァン・モリソンが在籍していたゼムの名曲。
パティ・スミス、ドアーズでも有名なナンバー。

 布谷さんがライヴで好んでやっていました。森 陽馬


★掲載ジャケットは、ヴァン・モリソン1974年発表ライヴ盤『魂の道のり』。
(国内CD 限定紙ジャケット仕様 UICY-93434 4,200円)

2012年1月20日(金) ヨンジンとグラスゴーのゆかいな仲間たち 「Me Japanese Boy, I Love You」

 グラスゴーのポップ・シーンを牽引するメンバーが集結したバート・バカラック・カバー集『Burt Bacharach Songbook』が発売になりました。(国内CD OSOUL-1025 1,995円)

 この作品の主役は、ライナス・ブランケットというユニットでも活動する韓国女性シンガー、ヨンジン。

 彼女の才能に惚れ込んだダグラス・スチュワート(BMX Bandits)が全面バックアップし、06年に発売された彼女のソロ作『Me & My Burt』(日本盤はドリームズヴィルさんから)と、同年発売されたBMX Banditsのカバー4曲入りシングルをカップリングしたものが本作です。

 共同プロデュースはデヴィッド・スコット(パールフィッシャーズ)。

 ユージン・ケリー(ヴァセリンズ)とのデュエット「I'll Never Fall In Love Again」、「雨にぬれても」、「Paper Mache」、「Tower Of Strength」などをアコースティックなアレンジでカバーしています。

 今日の一曲は、ノーマン・ブレイク(ティーンエイジ・ファンクラブ)とデュエットした、ボビー・ゴールズボロ/ハーパーズ・ビザールのカバーでも知られる「Me Japanese Boy,I Love You」。

二人の歌声、浮遊感のあるアレンジが溶けあった心和む一曲です。

ウィスパーボイス系の女性シンガーお好きな方にもオススメです。東尾沙

2012年1月21日(土)Betty Wright & THE ROOTS feat Joss Stone 「Whisper In The Wind」

 2011年リリースSOUL/R&B新譜、指折りの1枚。

 60年代後半から活動している女性ソウル・シンガー、ベティ・ライト。
ザ・ルーツをバックに従えての約10年ぶりとなるオリジナル・アルバムです。
(輸入CD 『The Movie』 Curve Records 0731519012)

 彼女の歌声はもちろんのこと、ザ・ルーツによる生音R&Bサウンドがヴィンテージ感ある仕上がりでNice!

 特にベティの愛弟子?ジョス・ストーンをfeatしたH「Whisper In The Wind」。
 貫禄ある極上ミディアム! 聴きものです。

 他にもリル・ウェイン、スヌープ・ドッグなどHIP HOPミュージシャンも参加していますが、それほどHIP HOP色は強くありませんね。ソウライヴのギタリスト、エリック・クラズノーもこっそり参加しています。森 陽馬

2012年1月22日(日) ラムゼイ・ルイス 「スプリング・ハイ」

今日は素敵なインストゥルメンタル曲を紹介したいと思います。

 ジャズ/フュージョン系、知る人ぞ知る名曲です。

 ラムゼイ・ルイスが1977年に発表したアルバム『ラヴ・ノーツ』。
(国内CD 限定紙ジャケット 最新リマスター SICP-20294 2,200円)

 A面1曲目に収録されていたこの曲「スプリング・ハイ」です。

 作曲はなんとスティーヴィー・ワンダー。
このアルバムのための書下ろし曲で、更にシンセサイザー(クレジットではアープ・オデッセイと記されています)で演奏にも参加しています。

 この頃のスティーヴィーと言えば、1976年に名作『キー・オブ・ライフ』を発表しノリにノッていた時期。もし歌詞が付いて誰かが歌っていたら、大ヒットしていたかもと思うくらいにいいメロディーを持った曲です。

 ラムゼイのキレのある生ピアノとスティーヴィーのシンセが絶妙にブレンド。楽器でデュエットしているような雰囲気が伝わってきます。

 鍵盤の上を泳いでいるようなラムゼイの手(だと思います)が大写しになったジャケット写真も絵になっています。森 勉

2012年1月23日(月) セシル・ドゥ・キンゲ 「lettre a personne」

 錦織圭がテニス全豪オープンでベスト8進出!
本当に素晴らしい!

 “粘り強いテニスで4大大会ベスト8”、と口では簡単に言えますが、その裏では血の滲むような苦しい練習を積み重ねてきたのだと思います。(僕も学生時代テニス部で全然上手くなりませんでしたが、練習は本当につらかったなぁ)
 彼はまだ22歳。ケガに気を付けて頑張ってもらいたいですね。

 さて、そのベスト8を決めた試合の相手は、コンゴ共和国移民2世でフランス育ちのツォンガという選手でしたが、同じアフリカのカメルーン移民2世でニューヨーク生まれ&フランス育ちのミュージシャンがこのセシル・ドゥ・キンゲ。(Cecile Doo-Kingue)

 現在はカナダ/モントリオールを拠点に活動しているシンガー・ソングライターで、ジャケットの見た目も実際の歌声も男みたいですが、“女性”と聞いてビックリ!

 ニーナ・シモンとトレイシー・チャップマンを合わせたようなソウルフル&ブルージーな歌声。

 全ての楽器を一人で多重録音しているとは思えないほど武骨なロック・サウンドもかっこいい!

 ルーツ・ロックや様々なジャンルをミックスしたジャム・バンド・サウンドお好きな方にもオススメのアルバムです。(国内CD 解説・歌詞・対訳付 SFR-5 2,500円)

 今日のこの1曲は、フランス語で歌われワールド・ミュージックのエッセンスが魅力のD「lettre a personne」を。森 陽馬

2012年1月24日(火) ボビー・ハケット 「セント・ジェームス病院」

 24日朝最初の仕事は雪かき。

 “文化的雪かき”という言葉が村上春樹の『ダンス・ダンス・ダンス』に出てきたなあ、と思いながら約30分雪かき(というより氷かき)をしていたら、もう腕と腰が痛くなってしまいました。雪国の方々はこの作業を1日数回やっているわけですから凄いですね。

 さて、今日のこのボビー・ハケットのアルバム『コースト・コンサート』は、村上春樹『ポートレイト・イン・ジャズ』で紹介されていた1枚。

 ボビー・ハケットによるコルネット(トランペットを小さくしたような管楽器)のほのぼのとした音色と、名トロンボーン奏者ジャック・ティーガーデンとの掛け合いがゴキゲンな1955年録音ディキシーランド・ジャズ名作です。

 ちなみに今日のこの1曲「セント・ジェームス病院」は、当時のLPには未収録でCD化の際に追加収録されたナンバー。
 このアルバムは基本的にジャズ・インストですが、この曲とC「Basin Street Blues」ではジャック・ティーガーデンの歌声も楽しめます。

 ちなみに最近国内盤で再発されたのですが、なんと999円!
(国内CD 限定盤 TOCJ-50158 999円)

リマスター&日本語解説も付いていてこの値段ですから、ジャズ好きの方はもちろん、村上春樹ファンも買っておいて損はないと思います。森 陽馬

2012年1月25日(水) 竹内まりや 「いのちの歌」

 竹内まりや、待望のニュー・シングルが本日発売になりました。
(国内CD 初回限定ボーナス・トラック追加 WPCL-11024 1,000円)

2010年11月に出た「ウイスキーが、お好きでしょ」以来の新曲ということになります。前作は珍しくカヴァーでしたが、今作もカヴァーと言えばカヴァーということになるんですね。
 (「いのちの歌」は2008年NHK連続テレビ小説『だんだん』劇中歌として使用され、茉奈佳奈ちゃんがシングルとしても発売してヒット)

 作曲は『だんだん』の音楽を担当していた村松崇継、作詞は竹内まりや。
今回はNHK・BSでのドラマ『開拓者たち』主題歌として使用されたことでのシングル発売です。

 この『開拓者たち』主演女優は満島ひかり。
そういえば『だんだん』には母親役で石田ひかりが出てましたよね。“ひかり”でも繋がっていたんですね。「希望という名の光」がこんな所にもさしこんでいたということなんでしょうか。

 初回盤にはボーナス・トラックとして、竹内まりやのヴォーカルと村松崇継ピアノ伴奏によるシンプルなアレンジの「いのちの歌」も収録。ピアノ譜も封入されています。森 勉

2012年1月26日(木) Sufjan Stevens 「Happy Birthday」

 映画『永遠の僕たち』を先日渋谷シネマライズで鑑賞。

 『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』で知られるガス・ヴァン・サント監督最新映画。主演は名優デニス・ホッパーの息子!ヘンリー・ホッパー。

 そして、物語中重要な人物(幽霊)として描かれる戦死した日本人兵士役を、加瀬亮が好演しています。

 寓話的かつ物悲しいストーリーですが、ラストは『グッド・ウィル・ハンティング』と同じように、過去を引きずっていた青年の“新たな旅立ち”を予感させ、個人的にはジーンと心に残る作品でした。

 映画内の音楽では、冒頭ビートルズ「Two Of Us」が流れますが、それ以上に印象に残ったのがこの曲。

 最初かかった時は、エリオット・スミスの未発表曲?とも思いましたが(ちなみにエリオット・スミスは『グッド・ウィル・ハンティング』で楽曲が使われたことでブレイクしましたよね)、調べたらスフィアン・スティーヴンスでした。

 スフィアン・スティーヴンスは不思議な魅力を放つミシガン出身の新世代フォーキー/シンガー・ソングライター。

 映画で使われた「Happy Birthday」は、彼が2000年に発表した1stアルバム『Sun Game』からのナンバー。(輸入CD AKR-009)

 翳のあるこんな曲を使うなんて、さすがガス・ヴァン・サント。
ヘンリー・ホッパー演じる主人公の自閉的な雰囲気も見事に表現していた1曲だと思います。森 陽馬

2012年1月27日(金) マーシー・ブレイン 「She'll Break The String」

山下達郎のディスク・ジョッキーによるラジオ番組『サンデー・ソングブック』にて、先日1月22日放送された<ジョージ・フィショフ作品特集>はとても意義深いものでした。

 アルドン=スクリーン・ジェムスに所属しているとはいえ、今までほとんど語られることがなかったソングライターを取り上げて特集してくれたのですから。

 キース「Ain't Gonna Lie」と「98.6」以外の曲はおそらく初めてFMの電波にのったのではないでしょうか。

 放送でかかった曲が店頭に何かあるのでは・・・、と探したところ・・・、ありました!

 「イイ曲です!」とお墨付きのコメントもあったマーシー・ブレイン「She'll Break The String」が入っている『The Complete Seville Recordings』。(輸入CD President Records PRCD-159)

 彼女がセヴィル・レーベルで録音した全ての曲(未発表も含む)が収録されています。

 ちなみにこのジョージ・フィショフ作品は1965年発表のシングルB面曲でした。B面にはもったいない出来の良い曲です。

 次のサンソン(1月29日放送)は、ジョージ・フィショフ特集第2回が予定されています。どんな曲がかかるのか楽しみです。森 勉

2012年1月28日(土) Spooner & The Spoons 「Wish You Didn't Have To Go」

東京では雪は止みましたが、とても冷たい風が吹いています。
(地方に比べれば気温はそれほどでもないのですが、東京の寒さというのは何故か体の芯まで冷えますね)

 さて、そんな冷えた体と心を温めてくれる“ソウル”オススメ盤。
『フェイム・スタジオ・ストーリー 1961〜1973』。
(国内仕様盤 英文解説対訳、歌詞付 3枚組CD PCD-17503 5,250円)

 昨年12月に発売後、ピーター・バラカンのラジオ番組『BARAKAN MORNING』や山下達郎『サンデー・ソングブック』でも取り上げられ、ソウル・ファンの間で話題の編集盤です。

 アラバマ州マッスル・ショールズを拠点にサザン・ソウルの名曲を多数生み出したFAMEレーベル。
 アレサ・フレンクリン「I Never Loved A Man」、ウィルソン・ピケット「Land Of 1000 Dances」、オーティス・レディング等の定番曲はもちろん、ジョージ・ジャクソン、キャンディ・ステイトン、スペンサー・ウィギンス等による渋〜い名曲を3枚組CDにギッシリ75曲!

 この編集盤の素晴らしいところは、単なる寄せ集めではなく、ソウル・マニア垂涎の未発表曲も収録(しっかりとした解説付)されていることでしょう。

 目移りする未発表ものから今日はこの1曲。
ACEソングライター・シリーズでもお馴染み! サザン・ソウルのイイ曲をたくさん生み出しているダン・ペン&スプーナー・オールダム作によるこのナンバー。(ちなみにスプーナー・オールダムは、後にニール・ヤングなどのバック・キーボード奏者としても有名です)

 トミー・ロウ、ジェイムス&ボビー・ピューリファイ、リンダ・カーのカヴァーもありますが、これはスプーナー・オールダム自身が1964年に録音していた貴重なオリジナル音源。

 モータウンを意識したようなポップな楽曲アレンジですね。
 フェイムでは異色の仕上がりですが、当時モータウンの影響力がそれだけ大きかった、ということかもしれません。

 ちなみに一つ難点を言えば、ブックレット付CDが紙ケースから非常ーーーに取り出しにくいこと。外側の紙ケースがキツすぎて破けてしまいますね。潔癖症の方はCDだけ別ケースに入替えておいた方がいいかも。森 陽馬

2012年1月29日(日) マシュー・スウィート 「She Walks The Night」

 今月初旬に来日し、リリースから20周年の3rdアルバム『ガールフレンド』全曲演奏公演を行ったマシュー・スウィート。デカイ音でロックなライヴを見せてくれました。

 来日公演で新曲は演奏されませんでしたが、昨年には3年ぶりの新作『Modern Art』(輸入CD MIP 0005-2)が発売されています。

 参加メンバーは、共に来日したリック・メンク(drs/perc)、デニス・テイラー(g)の2人、それ以外のベースや鍵盤楽器、コーラスは全てマシュー本人によるものです。アメリカの俳優フレッド・アーミセンが一曲ドラムでゲスト参加しています。

 ビートルズ「Tomorrow Never Knows」風サイケポップ「Ivory Tower」や、デニスのギターが格好良いブルース・ナンバー「Ladyfingers」、The Thornsのような美しいコーラスが聴ける曲もあり、いつもよりは地味めですが良い曲が詰まったアルバムだと思います。

 今日の一曲は、アルバム中でも一際ポップな「She Walks The Night」。

 12弦ギターを使用したバーズを彷彿とさせる曲です。
途中のサイケな展開にも注目!東尾沙紀

2012年1月30日(月) カート・ヴァイル 「Downbound Train」

 尊敬する天辰保文氏が2011年ベスト3に挙げている1枚。

カート・ヴァイル『スモーク・リング・フォー・マイ・ハロー』。
(国内盤 限定2枚組仕様 解説・歌詞・対訳付 BGJ-11288 1,980円)

 サーストン・ムーア、J・マスキス(ダイナソーJr)も絶賛しているフィラデルフィア出身男性シンガー・ソングライター。

 年末年始音楽誌で取り上げられていたものの、メーカー完売状態でしばらく店頭品切れ。先日やっと再入荷したので購入し聴いてみました。

 アコースティック・ギターの弾き語りを基調としながらも、独特なローファイ感あるバック・サウンドと、彼が敬愛するニール・ヤング&ボブ・ディランのエッセンスが織り込まれた仕上がり。

 ほぼ全曲彼のオリジナルですが、国内盤ボーナス・ディスクにブルース・スプリングスティーン「ダウンバウンド・トレイン」カヴァーが収録。

 歌声はニール・ヤングを更にヨレヨレにした感じ。
クレイジーホース的な武骨なバンド・サウンドがかっこいい!

 そういえば“カート”の綴りは、ニルヴァーナのカート・コバーンと同じ“Kurt”ですね。
 ニール・ヤング、カート・コバーン、エリオット・スミス、デヴェンドラ・バンハートの流れを引き継ぐ新世代シンガー・ソングライターとしてこれからも注目したいアーティストですね。森 陽馬

2012年1月31日(火) DR.DOG 「Station」

 “フィラデルフィアの東京ローカル・ホンク”!?

 東京ローカル・ホンクがレコ発ツアーで昨年末関西へ行った際、観に来ていた外国人に「グレイトフル・デッド、ザ・バンド、そして“ドクター・ドッグ(DR.DOG)”のエッセンスを感じる」と言われたそうです。

 東京に戻ってゲンジさんからそのことを聞き、「“DR.DOG”って知ってる?」と尋ねられましたが僕も知らないバンドでした。

 早速チェックし、“DR.DOG”はフィラデルフィアを拠点に活動している5人組ロック・バンドということが判明。
 2010年作『Shame Shame』を取寄せて聴いてみたところ、なるほど!まさに東京ローカル・ホンクに相通じるものがある好盤でした。(輸入CD ANTI 87054-2)

 独特なリズム感、所々でコーラスが入る曲展開、ギター・ソロの雰囲気まで似ていますね。

 今日のこの1曲「Station」は、ザ・バンド的なナンバー。
ゲンジさんが歌ったら、そのままホンクの曲になりそう!?

 他の作品も聴いてみたくなりました。
来月には新作も発売予定になっています。森 陽馬






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