PET SOUNDS RECORD
今日のこの1曲 アーカイヴス


  今日のこの1曲 “Achives”

<2007月6月>

当店ペット・サウンズ・レコード店にて、
その日に店内でかけていた曲の中から、
店員の独断と偏見で選んだ“今日のこの1曲”コーナー

2007年6月に更新した“今日のこの1曲”コーナー。

廃盤・生産中止、規格番号の変更など、
情報が古くなっている商品もございますが、ご了承くださいませ。


<最新の“今日のこの1曲”はこちらのページをご覧ください>


2007年6月1日(金) DION 「Drip Drop」

 ジェリー・リーバー(主に作詞)とマイク・ストーラー(主に作曲)の二人によるソングライター・チームは、白人でありながら黒人音楽が大好きで、1950年代前半から一緒に曲を書き始め、「ハウンド・ドッグ」、「監獄ロック」、「恋の特効薬」、「ラッキー・リップス」、「スタンド・バイ・ミー」などの大ヒット曲を生み、ロックン・ロール、リズム&ブルースの世界に大きな足跡を残しました。

 イギリスのACEレーベルより発売の彼等の作品集『Vol.1』、『Vol.2』は共に大好評でした。そして待望の『Vol.3』が発売になりました。今回もヒット曲、珍しい曲など充実の全24曲です。
 さて、どれにしようかな・・・・。5曲目「ドリップ・ドロップ」にしました。

 オリジナルはボビー・ヘンドリックスがリード・ヴォーカルを歌っている1958年ドリフターズのヴァージョン。それから5年後の1963年このディオンがカヴァーして全米6位という大ヒットを記録してこの曲は有名になりました。
 シンプルなバックですが、ディオンのヴォーカルが後半に行くにしたがって熱くなっていく感じがなんとも言えません。ハンドクラッピンも効果的に使われています。今回はリードもコーラスも演奏もひとつのかたまりとなって聴こえてくるモノラルのシングル・ヴァージョンで収録。

 そう、山下達郎の『オン・ザ・ストリート・コーナーVol.1』でのカヴァーは、ディオンを参考にしているとのことでしたね。森 勉

2007年6月2日(土) AXE RIVERBOY 『If You Tell A Lie』 (マッコイズのカヴァー)

 90年代から活動しているフランスのポップグループ“タヒチ80”のフロントマン、グザヴィエ・ボワイがアックス・リヴァーボーイという名で初のソロアルバム『Tutu To Tango』(VICP-63785 \2,520)をリリースしました。(このアーティスト名の由来は、彼の名前“Xavier Boyer”のスペルを並べ替えると...“Axe Riverboy”になるのです)

 私自身Tahiti80の作品自体聴いた事が無く、唯一聴いた事がある曲も打ち込みが主体のものだったので、このソロ作もきっとそんな音なのだろうと想像していましたが、これが全編アコースティックを基調とした思いのほかシンプルなサウンドで、ポップ魂をくすぐる一枚♪

 その本編のオリジナル曲に続いて収録されている日本盤ボーナス・トラックも聴きもの(エイフェックス・ツインのカバーと、60'sロック・グループ、マッコイズの「If You Tell A Lie」の弾き語りカバー)で、特にマッコイズの「If You Tell A Lie」というオールディーズの珍しい曲のカバーに、「なんでこんな曲知ってるんだろう?」と店長も不思議顔でした。東尾沙紀

2007年6月3日(日) GIRA MUNDO feat 大貫妙子 「Your Love」

 GIRA MUNDO(ジーラ・ムンド)は、“beret”というグループのサウンド・プロデューサーであった奥原貢によるソロ・ユニット。彼の音楽スタイルは、敬愛するブラジル音楽を現代的な味付けで、というコンセプトが敷かれており、ボサノヴァよりもグルーヴィーに、そしてサンバよりもクールなアレンジで心地良く“和製ブラジリアン・サウンド”を聴かせてくれます。

 5月23日に発売になった彼の新作『Cidade de luz』(NWR-2022 \2,940)も全11曲が洗練された美しい1枚に仕上がっており、特にブラジル音楽にこだわりのないリスナーでも上品に楽しむことができる作品でした。

 今日のこの1曲には、沖縄出身の比屋定篤子さんが書き下ろした英語詞(作曲はGIRA MUNDO)を歌う大貫妙子さんのC「Your Love」を選びましたが、他にもマルコス・スザーノのパーカッションと二胡の音色の取り合わせが絶妙なB「Cidade」(サイゲンジがVo)や、アン・サリーに歌い方がちょっと似ている千葉はながヴォーカルをとる3曲など、昼下がりの午後に聴くのにピッタリな楽曲が並んでいます。

 大型店などではCLUBブラジリアン的な扱われ方をされたりもしていますが、かえってCLUB/NEW JAZZなどとは離れ、邦楽しか聴かない方、もしくは邦楽を聴かないブラジル音楽好きの方にこそ聴いてもらいたい1枚ですね。森 陽馬

2007年6月4日(月) akiko feat アート・リンゼイ 「a little bruise」

 昨日のGIRA MUNDO絡みでもう1枚オススメ盤なのがこれ。
 2001年デビュー後、様々なフィールドで活動してきたジャズ・ヴォーカリスト、akikoの新作『Vida』(UCCJ-9080 \3,000)。

 GIRA MUNDO(奥原貢)がプロデュースを手掛け、マルコス・スザーノ等有名ミュージシャンが多数参加した全曲ブラジル録音の今作は、一般的にはそれほど話題になっておらず、こちらで取り上げるのも遅れてしまいましたが“現代ブラジリアン・サウンド”の傑作アルバムと断言してよいでしょう。

 名曲「Brazil」から始まり、マルコス・ヴァリ作の最高にかっこいいジャズ・サンバ「Batucada」カヴァー、ジョビン作「Chega de Saudade」など馴染みのナンバーからakikoのオリジナル曲まで、ただ単なるブラジル模倣とならずに、あくまで“ブラジルというフィルターを通した現代サウンド”になっていて、聴いていて本当に爽快な1枚です。

 グルーヴィーな曲も良いですがシンプルな楽曲も味があり、特に聴きものはG「a little bruise」はあのアート・リンゼイとの共作&デュエット・ナンバー。この曲のみリオではなくサルヴァドールで歌入れしたそうで、サルヴァドール的な開放感ある2人の歌声を聴くことができます。森 陽馬

2007年6月5日(火) 遠藤賢司feat ティンパン 「雨あがりのビル街」

 本日はライヴ・レポートということでお許しを。
 6月5日(火)SHIBUYA-AXにて行われた、遠藤賢司“還暦記念”リサイタルを見に行ってまいりました。

 <ゲストに細野晴臣(B)、鈴木茂(G)、林立夫(Dr)が出演>、と告知されていたのでAXは超満員。ティンパン・ファンも数多く見に来ていたのかもしれませんが、そこはもうライヴが始まってしまえば“エンケン・ワールド”へ突入!

 1部はエンケン一人で約1時間半、アコースティック及びエレキ・ギターをガツンと弾き倒し、15分休憩後2部開始。感動の定番「カレーライス」をやった後、エンケンの紹介でティンパンの3人が登場しましたが、やはりこの3人が加わってからの音は、いつものエンケン・バンドなどとはまた違った味わいがあってジーンとくるものがありました。

 「やっぱりあなたの歌でなきゃ」、「夜汽車のブルース」、アンコールでの「寝図美よこれが太平洋だ」などティンパンとでは5曲くらいやったと思います。どの曲も各々の存在感が出ていて印象的でしたが、でもやはり、最後に「夢よ叫べ」を熱唱するエンケンを見るにつけ、とても還暦とは思えぬエンケンの“生”の凄さが断然際立っていたと思ったのでした。(約3時間、22時にライヴ終了)

 細野晴臣(B)、鈴木茂(G)、林立夫(Dr)の3人をバックに従えている時にMCで、「10年後は何人生き残っているかな?」なんてことをボソッと話していましたが、いやいや、10年後は“古希記念”リサイタルを是非やってほしいものです。森 陽馬

★ジャケットは「雨あがりのビル街」、「夜汽車のブルース」他収録の1970年発表デビュー・アルバム『niyago』(IOCD-40014 \1,785)。 ちなみにミディから最新シングル「惚れた!惚れた!」(MDCS-1066 \1,050)も本日発売されました。

2007年6月6日(水) アンディ・ウィリアムス 「君住む街角」

 5月26日のこちらのコーナーで竹内まりやのニュー・アルバム『デニム』の1曲目として紹介した「君住む街角」ですが、こちらも是非この機会に紹介しておきたくて・・・。今日はアンディ・ウィリアムスのヴァージョンで。

 1960年代半ば、NHKテレビで放送されていた『アンディ・ウィリアムス・ショー』という音楽番組は、洋楽ファンにとって忘れられないものです。毎回登場するゲスト(ビーチ・ボーイズも出演したことがありました)も楽しみでしたが、当時30代後半のアンディの歌が本当に素晴らしかった。
 イイ曲をうまい歌手で聴けるぜいたくな番組でした。たしか日曜日昼間の放送だったと思います。

 その番組のテーマ曲「ムーン・リヴァー」も好きでしたが、この曲は特に大好きな曲でした。

 エンディングの♪オン・ザ・ストリート・ホエ〜・ユー〜・リヴ♪の歌いまわしがたまりません。何回聴いても、「うまい!お見事!」と思ってしまいます。

 彼のCDは近年いろいろと発売になりましたが、この『スター・ボックス』(MHCP-56 \2,520)がおすすめです。全22曲、日本独自の選曲。森 勉

2007年6月7日(木) SLEEP WALKER feat YUKIMI NAGANO 「WIND」

 よくこのコーナーでも“新世代ジャズ”という表現を使うのですが、日本人ジャズ・バンド“スリープ・ウォーカー”は、まさにその現代の“新世代ジャズ”界において筆頭格といえる存在でしょう。

 そのスリープ・ウォーカーの新作アルバム『WORKS』(VIA-60 \2,400)が先日発売。厳密には新曲だけでなくニュー・レコーディングやRemix、提供曲なども含みますが、クオリティの高い9曲が並び、聴き応えある1枚に仕上がっています。

 どの曲もスタイリッシュかつクールなかっこいいジャズ・ナンバーなのですが、特に北欧クラブ・ジャズ界で活躍の場を広げているユキミ・ナガノをfeatした2曲目「WIND」は、都会の夜にピッタリなクラブ・ジャズ・チューン!
 元々、前作『Voyage』に収録されていた「kaze」のヴォーカル・ヴァージョンなのですが、彼女の涼しげな歌声が熱いスリープ・ウォーカーの演奏と絶妙に中和して、ムーディーな雰囲気を演出してくれます。

 ジャズというと敷居が高い、と感じている方や、最近のジャズはあまり聴かない、という方、CLUB MUSIC好きの方にも大推薦のアルバムです。森 陽馬

2007年6月8日(金) Linda Perhacs 「If You Were My Man」

 先日レイトショーで映画『ダフト・パンク “エレクトロマ”』を鑑賞。

 ダフト・パンクは1990年代中期あたりから活動しているフランスのテクノ・ポップ・グループ。日本でも「ワン・モア・タイム」収録の『ディスカヴァリー』が大ヒットし、松本零士(銀河鉄道999など)とコラボレートしたことでも有名ですが、この彼等の処女映画となる『エレクトロマ』は、そういう一般的なイメージとはまた違った不思議な魅力を持った映画でした。

“「イージーライダー」と「2001年宇宙の旅」を混在させたような作品”と、本人たちも評している通り、セリフもなく抽象的な内容ではありますが、独特な映像感覚と共に深遠な空気が映画全体を包み込んでいて、単調なストーリー展開(?)ながら見ていて不思議と飽きませんでした。

 その映画内では何故かダフト・パンク本人達の音楽は使われておらず、彼等が今までにインスパイアされた音楽の中から今回の映画に合ったものを選んだようですが、この曲が使われていたのには正直ビックリ♪

 リンダ・パーハクスは1970年代の女性シンガー・ソングライターで、このアルバム『Parallelograms』が彼女の唯一の作品。しかしながら長年アシッド・フォークの激レア名盤と語られてきた珍しい1枚で僕も今まで聴いたことがなかったのですが、昨年めでたく国内盤でもCD化(YBMD-1001 \2,625)。美しいジャケット同様、夢の中を彷徨うような虚ろな音世界もかなり中毒性高いです。

 リンダ・パーハクスの歌がこの映画にピッタリ合っていたのにもまた驚きましたが、ダフト・パンクの2人も珍しいこの曲を映画に使った、というところにこだわりが感じられて、またかなりのレコード通なのだな、というのが感じられました。森 陽馬

2007年6月9日(土) Ronnie Lane's Slim Chance 「One For The Road」

 スモールフェイセズを先に聴き、モッズに興味を持っていた私はこの時代がロニー・レインの全てなのだと思っていました。

 彼のドキュメンタリー映画『ロニー MODSとROCKが恋した男』 
 大半が周辺人物によるインタビューでしたが、合間に流れるコアなファンでもなかなか見られない映像で、特にソロになってからのもの、愛車のトレーラー/サーカスを率いて行っていたパッシング・ショウやアメリカでの最後の方のライブでイスに座りながらも、病気とは思えないしっかりとした調子で歌う姿など、こんな映像がちゃんと残っているのかと驚きました。
 
 映画を見終わって彼のソロアルバムを無性に聴きたくなりました。正直曲の区別がつかない程地味だけれど、アメリカへの憧れと貧しくも気ままな彼の農夫としての暮らしが反映されたアルバムなんだなと映画を通して知る事が出来ました。東尾沙紀

(掲載ジャケットは76年発表アルバム『ワン・フォー・ザ・ロード』(UICY-93242 \2,500)。ちなみに本日から吉祥寺バウスシアターでもレイトショー上映が開始されました。)

2007年6月10日(日) Beach Boys 「Please Let Me Wonder」

最近、一番よく聴いている曲といえば、店でも話題にのぼることが多いビーチ・ボーイズの新しいベスト盤『ウォーム・オブ・ザ・サン』(TOCP-70236 \2,300)に収録されている「プリーズ・レット・ミー・ワンダー」(なんとニュー・ステレオ・リミックス・ヴァージョン!)です。

 ブライアン・ウィルソンとマイク・ラヴが共作した曲の中で最高傑作のうちの1曲。今までモノラル・ヴァージョンしかなかったのですが、驚き!のトゥルー・ステレオになりました。

 メンバーひとりひとりの声が明確になったコーラス、クリアーなバック・トラック、そしてラスト近く、ブライアンがささやく「アイ・ラヴ・ユー」のより耳元で言われているような声はまさに“ワンダー”な気分を味わえます。

 このアルバムは全曲素晴らしい音質で、ブックレットには珍しい写真もあり、耳と目両方を楽しませてくれます。森 勉



★ビーチ・ボーイズの話題ついでに、私事で恐縮なのですが、当店の地下にあるイヴェント・カフェ<アゲイン>にて、
6月20日(水)夜19時半(開場18時半)よりDJイベントをやります。
 その名も『気まぐれ音楽寄席』
 私[森 勉]が好きな曲をかけて、勝手なことを気ままにしゃべる2〜3時間ちょっとの会です。

 今回は6月20日がブライアン・ウィルソンの誕生日、そして6月18日はポール・マッカートニーの65歳の誕生日なので、“ビーチ・ボーイズとビートルズ”の特集です。
 おなじみの曲、超レア曲など取りまぜてかけまくりますので、お時間に余裕のある方は是非ご参加ください。

 御予約などの詳細に関しては、地下の<アゲイン>までお問い合わせください。ちなみにこの森 勉の『気まぐれ音楽寄席』は毎月20日にやっております。どうぞよろしく。 

2007年6月11日(月) Mike james Kirkland 「What Have We Done」 

 “アンダー・グラウンドの『ホワッツ・ゴーイン・オン』”
と評されているらしいこのアルバム。オリジナルはかなりレアな1枚なのですが、この隠れた名盤が日本初CD化されました。(『Hang On In There』 PCD-23944 \2,415)

 実際このアルバムが発売された1972年はちょうどマーヴィン・ゲイ『ホワッツ・ゴーイン・オン』がヒットしていたということもあり、その影響が大きく感じられる音作りになっています。

 マイク・ジェイムス・カークランドの歌声もちょっとマーヴィン・ゲイに似ている、ということもあるかもしれませんが、アルバム全体としても、A面が“PEACE”サイド、B面が“LOVE”サイド、というようにコンセプト分けされていて、更にアルバム1曲目に収録されているこの「What Have We Done」と2曲目「Where's The Soul Of Man?」が曲間なくそのまま繋がっている構成なども『ホワッツ・ゴーイン・オン』を引き合いに出される所以でしょう。

 ボーナス・トラックとして収録されているアルバム発売前(71年)のシングル音源「The Prophet」、「Together」は、また違った雰囲気のかっこいいFUNKYチューンなのですが、こちらも聴きものですので、ソウル・ファンの方にはこの機会に是非オススメしたい再発CDです。森 陽馬

2007年6月12日(火) 佐野 元春 「呼吸」

 佐野元春の新作アルバム『Coyote』(初回DVD付 POCE-9381 \3,500)が本日入荷。

 【佐野元春最高傑作!】と、ジャケに貼付のシール(もしくは帯)に書かれているのを読んで、それは言い過ぎでは・・・?と最初は思っていたのですが、新作の音を聴いて納得! これはホントに“最高傑作”と評しても異論の余地がない作品でした。

 “「コヨーテ」と呼ばれる、あるひとりの男の視点で切り取った12篇からなるロードムービーであり、その映画の「架空のサウンドトラック盤」(本人談)”、というコンセプトではありますが、1曲1曲が不思議と結びついていて、佐野元春初心者にも是非オススメしたい全12曲。
 更に今作は佐野元春よりも若い世代のバック・バンドを従えて録音。アルバム全体が若々しい“生”のエネルギーに満ち溢れていて、ROCKスピリッツがひしひしと感じられる快心作に仕上がっています。

 その中にあって、5曲目に収録されている「呼吸」は本当に渋い・地味な1曲ではありますが、曲・歌詞・バック・トラックすべてにおいて心に深く沁みるスロー・ナンバー! これはホント名曲といっても過言ではないでしょう。(コーラスで片寄明人も参加しています。)

 51歳になった佐野さんからこんなにも素晴らしい“音”が届いた喜びを噛み締め、聴きこんでいきたいと思います。森 陽馬

ちなみにお買い上げの方先着でジャケットと同じ写真を使ったポスターを差し上げています。

2007年6月13日(水) 小谷 美紗子 「消えろ」

昨日の佐野元春に続き、日本人のロックで久々にグッときたのがこの小谷美紗子の新作アルバム『Out』(HLMCD-5 \2,205)。

 1996年デビュー後、コンスタントに活動を続けてきた女性シンガー・ソングライター、小谷美紗子(Vo.P)。美声ながらも心の中の情念をすべて吐き出すような歌声は今作でも健在です。

 その彼女の歌声を更にエモーショナルに引き立てる演奏も圧倒されるほどの迫力で、中村一義を中心としたグループ、100s(ヒャクシキと読みます)の玉田豊夢(Dr)、山口寛雄(B)と組んだトリオ編成は、ギターレスを感じさせない“気”に満ちています。

 特に1曲目に収録されている「消えろ」。彼女の現在の勢いを感じることができる痛快なナンバーで、彼女の“生”が乗り移ったヴォーカル&リリック、そしてピアノの響きが心にグサリと突き刺さってきます。
 “ギターレス”の女性シンガー&ピアニストのバンド、ということで、クラムボンなどがお好きな方にも是非聴いてもらいたい1枚です。森 陽馬 

2007年6月14日(木) Carole King 「Sweet Season」

 もうすでにTVや新聞などで御覧になられた方も多いと思いますが、キャロル・キングの久々の来日が決定しましたね!

 残念ながら単独公演ではなく、メアリー・J・ブライジ、ファーギー(ブラック・アイド・ピーズの女性Vo)との3人によるコンサートで、イベント・タイトルも『3 Great American Voices』と名付けられているのですが、なんといってもキャロル・キングの来日は17年振り(!)ですからね! ホント、いきなりの発表にビックリしました。

 詳細は上記のリンク先に掲載されていますが、初日は大阪で11月5、6日が大阪城ホール。10日のさいたまスーパーアリーナを挟んで、12、13日が日本武道館、という日程。
 いつもなら11月は、秋が終わり冬の到来を感じる月なのですが、今年はとびきり優しく暖かい"Sweet Season”となりそうです。森 陽馬

★ジャケットはキャロル・キングの最新ライヴ・アルバム『The Living Room Tour』(VICP-63118 2枚組CD \3,360)。

2007年6月15日(金) JAHAH 「Soul Music」

 “21世紀のマーヴィン・ゲイ”!

 CDジャケットのシールに書いてあるそんな売り文句に誘われて、先日ついつい購入してしまったのがこのアーティスト、JAHAH(ジャーハ)。
 アメリカ・アトランタ出身の黒人ミュージシャンで、現代R&Bシンガーながら最近のHIP HOPとはまた違った昔っぽい雰囲気も持ち合わせた期待のSOULシンガーです。

 このアルバム『The Melting pot』(PCD-8 \2,300)は2ndアルバムですが、彼の70'sニューソウルに対する熱い思いが様々なところに感じられる仕上がりで、特にそのリスペクトぶりが顕著なのが1曲目「Soul Music」の冒頭部分。

 2004年に発売されたダニー・ハサウェイのライヴ盤『ソングス・フォー・ユーLIVE!』の最初に収録されているダニー・ハサウェイを紹介するMCが、そっくりそのままサンプリングでJAHAHのアルバムに使われているのです!

 インディーズからの発売のためまだまだ注目度は低いのですが、これからも注目したいニューカマーです。森 陽馬

2007年6月16日(土) 加藤 和彦 「日本の幸福」

 昨年、今年と、サディスティック・ミカ・バンドのバンマスとして再注目されていた加藤和彦は、個人的には高校・大学時代本当によく聴き、いろんな音楽を教えてくれたミュージシャンの中のひとりです。

 フォーク・クルセイダーズの頃から、いい曲を書く人だなあ、と思っていましたが、ソロになってからはより巾が広がった作風で楽しませてくれました。

 このアルバム『Memories 加藤和彦作品集』(TOCT-10895 \2,500)は、5年ほど前に発売された彼のベスト・オブ・ベスト。フォークル時代の「悲しくてやりきれない」、「オーブル街」、「青年は荒野をめざす」、北山修とのデュオ「あの素晴らしい愛をもう一度」、そしてソロになってからの「明日晴れるか」、「家をつくるなら」、「シンガプーラ」など、すべてオリジナル音源で収録。

 「日本の幸福」はタイトルが堅い感じですが、加藤和彦らしいメロディーがなんとも耳ざわりのいい曲です。ヴィブラフォンの音色が素晴らしく曲に溶け込んでいます。
 1969年「ネズミ・チュウ・チュウ・ネコ・ニャン・ニャン」とカップリングでシングル盤として発表。当時聴きまくった1曲で、途中ライチャス・ブラザーズというかフィル・スペクター・的な所があります。森 勉

2007年6月17日(日) オータサン 「あなたを愛してしまう」

 ハワイの名ウクレレ奏者、“オータサン”の新作アルバム『ウクレレ・ボッサ・ノーヴァ』(VICP-63822 \2,730)は、ブラジル/ボサノヴァの名ソングライター、アントニオ・カルロス・ジョビンの楽曲集。

 “ウクレレでボサノヴァ”という企画は、ちょっと安易かな?なんて最初思ったりもしましたが、いやいやこれが素晴らしい内容で、個人的に現在超ヘヴィーローテーション中の1枚になっています。

 とにかく心地良くて最高に気持ちいいアルバムなのですが、ただ単にジョビンのボッサ名曲を忠実にカヴァーした、というのではなくて、オータサン自身が3種類の違うウクレレを駆使して、2重3重の多重録音をして作り上げられた力作でもあり、聴き込むほどに味も出てきます。

 ハワイ・ウクレレ好きな方はもちろん、心地良いインストお探しの方にもこの夏オススメの1枚です。森 陽馬

2007年6月18日(月) Steppenwolf 「Born To Be Wild」

 映画『ボラット』を鑑賞。(リンク先の公式サイト、音出ますので注意)

 まあなんとも痛快でおバカで、はたまた色んな意味でエグい映画でしたが面白かったです。下品な発言や映像満載なので、紳士・淑女にはオススメできないかもしれませんが、バカ笑いしたい方にはおすすめ(?)。

 さて、その映画の中で使われているのが、名曲「ワイルドで行こう」。日本でもCMなどに使われたりして誰しもが一度は耳にしたことがあるであろうこの曲は、ジョン・ケイを中心にした60'sロック・グループ、ステッペンウルフの1968年大ヒット曲。歌詞の中に“ヘヴィ・メタル”という言葉が出てくることから、“ヘヴィ・メタル”の元になった曲ともよく言われているナンバーです。

 ちなみにあまり日本では話題になっていませんが、ステッペンウルフはジョン・ケイを中心に再結成されていて、今でも健在です。森 陽馬

2007年6月19日(火) Cecilio & Kapono 「Sunshine Love」 

 今日は夏を思わせる心地良い陽気でしたが、武蔵小山は通常より静かな1日でした。というのも、武蔵小山にある商店街内のお店は火曜日休みが多く、更に給料日前ということもあって普段は開いているお店も今日はお休み、というところが多かったようです。
 こういう日は来店客数も総じて少ないのですが、そんな心地良い陽気の静かな日によく聴きたくなるのがこんなアルバム。

 セシリオ&カポノは1970年代に活躍したハワイ出身のデュオで、この作品『セシリオ&カポノ』(MHCP-1177 \1,890)は1974年発表のデビュー・アルバム。
 ロサンゼルス録音ということもありバック・ミュージシャンがとても豪華で、クレイグ・ダーギー(key)、ラス・カンケル(dr)、リー・スクラー(b)、ウィルトン・フェルダー(b)、などこの時代のウエスト・コースト・ロック鉄壁の布陣が勢揃い! 2人の爽やかな歌声と見事にかみ合っています。

 「Sunshine Love」はアルバムの最後に入っている曲ですが、アップ・テンポで始まりながら中間テンポ・ダウンし、そして再び演奏が加わってテンポ・アップしていく部分がかっこいい1曲。最後の方のエレクトリック・シタール・ソロ、シビれます。森 陽馬

2007年6月20日(水) Brian Wilson 「What Love Can Do」

 本日6月20日は、ビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソン、65歳の誕生日! おめでとう!ブライアン!!

 普通の人の65歳といったら、退職して年金もらって、単なるおじいさんになってしまっているはずなのに、それに比べてブライアンはどんどん若返っているかのような歌声、より精力的なライヴ活動、そして絶えぬ創作意欲! 本当に彼の青春はこれからなのではないか?と思えるほど元気ですよね。ホント末永く元気に頑張ってもらいたいものです。

 で、今日のこの1曲「What Love Can Do」は、今年入ってから発売された『New Music From Old Friend』というアメリカ国内限定で発売されたコンピに収録されているブライアンの新曲。

 名作曲家・バート・バカラックとの共作ですが、もう冒頭だけで、ブライアンの“それ”とわかるその多重コーラス。この1曲、というよりはこの出だし2秒だけでも何度繰り返し聴いてもイイですね! 曲名(直訳で「“愛”ができること」)も好きです。 

 制作中と噂されている新作アルバムも無事発売されることを願っています。森 陽馬

2007年6月21日(木) ALO 「MARIA」

 ジャック・ジョンソンのレーベルから2005年にリリースされた前作で日本デビュー。バンドとしてのキャリアは長いものの、日本ではまだあまり知られていない“アニマル・リベレーション・オーケストラ”、通称ALOはサンフランシスコを拠点に活動している4人組ロック・グループ。
 
 ジャック・ジョンソンとのライブや作品での共演等、双方の関わりが深い事から、バンドのレビューなどでサーフ〜オーガニック・ジャム系の文字をよく目にしますが、ルーツ・ロックがお好きな方にも是非聴いてほしい一枚です。
 
 特にリード・シングルとなっている一曲目の「Maria」は、出だしのピアノ、メロディ、終盤のギターソロ、存在感のあるスモーキーなヴォーカルなどがとてもシンプルなだけに、古き良きアメリカン・ロックを聴いているような気分になります。純粋にいい曲です。
 
 ちなみに8月下旬には東京・大阪での来日公演が決まっています。
 ライブに定評のある彼等、アルバムの音同様、リラックスしたライブが見られるのではないでしょうか。東尾沙紀

2007年6月22日(金) Magic Numbers 「Carl's Song」

 2005年にデビューした“マジック・ナンバーズ”は、UK出身のロック・グループ。若いバンドながら60〜70's的なポップ感覚・感性を持った兄弟バンドで、少しずつですが人気を上げています。

 そんな彼等が2006年年末に発表した2ndアルバム『The Those Brokes』(TOCP-66633 \2,500)の中で、なんと!「Carl's Song」というタイトルの曲が収録されているのです。

 ライナー・ノーツによると、ロメオという中心メンバーの人が見た夢の中で、<ビーチ・ボーイズのカール・ウィルソンが彼に対して歌ってくれたメロディーが基盤になっている>とのこと! いやー、その元になった彼の夢の中のカールの歌、というのも聴いてみたいものです。

 ちなみにこの曲自体は結構地味なナンバーですが、もっとポップでいい曲も収録されているので、アルバム全体としてもオススメです。森 陽馬

2007年6月23日(土) ルロイ・アンダーソン 「タイプライター」

 ルロイ・アンダーソンは1908年アメリカ・マサチューセッツ生まれの作曲家・コンダクター・ピアニスト。

 彼の作品は『ブルータンゴ』、『ワルツィング・キャット』、『ゴールデン・イヤーズ』、などクラシカルな格調高い流麗なメロディーがあるかと思えば、紙やすりの摩擦音のようなサウンドをうまく使った「サンドペーパー・バレエ」や、時計の振り子をイメージした「シンコペイテッド・クロック」など個性豊かな楽曲でウィットあふれるものも多くありました。

 彼の曲で一般的にも知られている有名曲としては、クリスマス・シーズンに欠かせないフィル・スペクター(歌っているのはロネッツ)や、ヴェンチャーズのクリスマス・アルバムに収録されている「Sleigh Ride」(そりすべり)になるでしょうか。

 もう1曲有名曲としては、以前はよくラジオで耳にしたのですが最近はほとんど放送にのらなくなってしまったのが残念な「タイプライター」という曲。

 タイプを打つ音をたくみに音楽の中に取り入れたもので、発想が凄いし曲としても素晴らしい。1950年代にこんな曲を作り、レコードを発表したルロイ・アンダーソンさん、あなたは本当に音楽を楽しんでいた人なんですね。森 勉

★掲載ジャケットは『ルロイ・アンダーソン・コレクション』(MVCE-30033〜4 \3,654)

2007年6月24日(日) Nick Lowe 「A Better Man」

 ニック・ロウの約6年ぶりとなる新作『At My Age』が突然リリース。(SCCD-23 国内盤解説・歌詞・対訳付 \2,500)

 2001年発表の前作『コンヴィンサー』(SCCD-8 \2,500)も渋くて味わい深い素晴らしいアルバムでしたが、新作『アット・マイ・エイジ』もその前作の流れを引き継いだような内容で、安心して聴ける大人な1枚に仕上がっています。

 ロンドンのスタジオでの録音なのですが、アメリカの南部で録られたかのような暖かい音がアルバム全体に広がっていて、ニック・ロウの歌声にも温もりが感じられます。1曲目「A Better Man」の出だし10秒の部分だけでも、“ほっ”とできるような作品。

 でもただ単に落ち着いたアルバム、というのではなくて、実はすごくじっくりと作られた作品のようで、ホーン&トランペットがこの曲の中で使われているものの、前にでしゃばらない音色、そして音圧の方も前に出過ぎない抑え目のミックスになっている点など、とてもよく出来ているなあ、と感じました。

 ニック・ロウというと「Cruel To Be Kind」や「Peace,Love,and Understanding」などのヒット曲が有名ですが、そのポップな魅力とはまた違った熟成された“大人の唄”がジワジワと沁みてくる1枚。是非新作発売記念で来日公演をやってもらいたいものです。森 陽馬

2007年6月25日(月) The World On Higher Downs 「Her Static Will」

 “ペット・サウンズ・レコード店”という店名から、ビーチ・ボーイズ関連及びオールディーズ中心の在庫しか置いてないのではないか?、と思っていらっしゃる方も多いようなのですが全然そんなことなくて、もちろんJ-POPの新譜もありますし、ソウル、ジャズなども色々と在庫置いてあります。
 更にはそんなにたくさんは在庫していないのですが、音響・エレクトロニカのコーナーなどもあって、ささやかではありますが、耳馴染みのいいもの(?)を中心におすすめ盤もあるのです。

 このThe World On Higher Downsというのは、アメリカはミシガン出身の音響グループで、このアルバム『LAND PATTERNS』(PLOP-2 \2,500)が1stアルバム。

 “音響”というと、シンセやエレクトロニカなイメージがありますが、このグループの音響サウンドはほとんどの楽曲が生楽器・生音で形成されていて、ギター、ベース、ドラムに加え、バイオリン、ヴィブラフォン、オルガン、キーボードなどを駆使し、独特の音世界・インストを聴かせてくれます。

 まるで夢の中を漂っているようなアンビエント・ドローム。現実と白昼夢の境界線が解けていくようなちょっと不思議な1枚です。森 陽馬

2007年6月26日(火) くるり 「言葉はさんかく、こころは四角」

 ギターの大村達身が脱退し、岸田繁と佐藤征史の2人となった“くるり”。その彼等の新作『ワルツを踊れ』(VICL-62410 初回ボーナス曲入 \3,045)はなんとウィーン録音。
 意外なようですが、岸田繁の父親がクラシック好きだったこともあり、彼自身も子供の頃からクラシックはよく聴いていたそうです。(実際、ミュージック・マガジンに掲載された岸田繁が選ぶ2006年ベスト10は、ほとんどがクラシック作品でした。)

 クラシック色が強すぎるとポップな魅力が半減するのでは、と危惧していたのですが全然そんなことはなくて、“くるり的叙情派ロック”が根本にありながら、所々に心の琴線に響くようなストリングを導入している、というアレンジで、アルバム全体的にも素晴らしい出来の1枚に仕上がっています。

 「東京」を彷彿とさせるようなA「ブレーメン」、シングル曲B「ジュビリー」、曲名の普遍性とはまた違ったロックを聴かせるG「ハム食べたい」(矢野顕子「ラーメン食べたい」へのアンサー・ソング?)、などどの曲も質が高く、最高傑作と評しても異論はない楽曲が並びましたが、今日のこの1曲には、これぞ“くるりの歌モノ”といえるようなL「言葉はさんかく、こころは四角」(映画『天然コケッコー』主題歌)を。

 ちなみに三拍子の曲が多いこともあり、“3”がテーマになっているとのこと。歌詞にも“3”がちょこちょこ登場しています。森 陽馬

2007年6月27日(水) Dino, Desi & Billy 「Thru Spray Colored Glasses」

 ソフト・ロックの幻の名盤として以前からマニアの間で評判だったサーフィン映画『フォロー・ミー』(1969年制作)のサントラ盤が遂に出ました。(UICY-93259 \2,500)
 大好評“ジャケガイノススメ・シリーズ”で世界初CD化。うれしいですね。美しいジャケットが紙ジャケでより映えています。

 以前からすごくいい出来のサントラだ、という噂は聞いていたのですが、音を聴いたのは今回が初めてでした。ビックリしました。本当に素晴らしい音作り。
 特にメイン・テーマとなるこの曲のメロディー・ラインが自分の好みにドンピシャなのです。サントラということで、このメロディーが何回もアレンジを変えて出てくるのもアルバム全体のアクセントになっています。好きなメロディーは何度聴いてもいいものです。

 曲を作ったのは、シェリー・フェブレーやホーリッジ・ストリングスの仕事でも知られるプロデューサー/アレンジャーのステュ・フィリップスとブレッドのデヴィッド・ゲイツ。このふたりが組んだのであれば悪いわけがありません。歌っているのは、ディノ,デシ&ビリー。(彼等の説明は長くなりそうなのでまた別の機会に。)

 当時のLPには未収録だったシングルB面曲もボーナス・トラックとして収録。再発だけでも大変なのに、うれしいじゃありませんか、この心づかい。森 勉

2007年6月28日(木) Ivy League 「Don't Worry Baby」 

 BMG社から、“British Beat Paper Sleeve Collection”というシリーズが昨日発売。ジーノ・ワシントン&ザ・ラム・ジャム・バンドやオーヴァーランダーズ、ソロウズなどモッズ・ファンにも人気の作品が日本初CD化されましたが、このアイヴィー・リーグのアルバムも限定紙ジャケでめでたくCD化されました。

 他のモッズ系バンドと違うところは、カーター&ルイスというソングライター・チームがグループ内にいて、サウンド自体もビートものというよりは、コーラスが入ったポップ・サウンドが持ち味であるということです。

 そのポップなオリジナル曲に混じって収録されているのが、なんと!ビーチ・ボーイズ「Don't Worry Baby」のカヴァー。ほぼ完コピではありますが、コーラスが厚みがあっていい感じ。ビーチ・ボーイズ好きの方にもオススメできるカヴァーです。
 ちなみにこの作品は1965年発表1stアルバム『This Is The Ivy League』(BVCM-37942 \2,310 ボーナス・トラックが10曲も追加収録!)なのですが、65年ですでにビーチ・ボーイズのカヴァーをやっている、というところに英国では当時からビーチ・ボーイズの人気が高かったことが窺えますね。

 蛇足ですが、ボーナス・トラックに収録されている「Graduation Day」は、ビーチ・ボーイズもカヴァーしているフォーフレッシュメンの曲とは同名異曲です。森 陽馬

2007年6月29日(金) The Strikes 「Surfin' Bird」

 1980年代後半、東京ビートシーンの最中に活躍した日本産マージービート・グループ、“ザ・ストライクス”。
 彼等の楽曲がほぼコンプリートなかたちで収められた2枚組全55曲入りのベスト盤が、日本インディーズ・ロックの良質な作品を多数リリースしているMINT SOUNDレーベルより発売になりました。(MSR-8〜9 \3,600)

 ネオGSサウンドや東京ビート・サウンド好きの方にはオススメなマージービート・ナンバーがズラリと並んでおり、「Brand New Cadillac」、「Hippy Hippy Shake」、「Too Much Monkey Business」などの多彩なオールディーズ・ナンバーをやっているのも聴き所のひとつ。

 今日のこの1曲「Surfin' Bird」は、♪ウママー、ウマママー♪のコーラスがゴキゲンなトラッシュメンで有名なナンバー。イキのいい演奏が爽快です。

 もちろん、カヴァーだけでなくオリジナル曲も甘酸っぱいビート・ナンバーが多数収録。なお、今ならお買い上げの方に先着でDVDも付いてきます。森 陽馬

2007年6月30日(土)ジーノ・ワシントン&ラム・ジャム・バンド「ダンス天国part1〜2」

 60年代、UKモッズ達に愛されたアメリカの黒人ソウルシンガー、ジーノ・ワシントンとジーノ率いるラム・ジャム・バンド。
彼等がPYEレーベルから発表した3作品が日本初CD化されました。
 
 1966年のデビュー作『ハンド・クラッピン・フット・ストンピン・ファンキー・バット・ライヴ』(BVCM-37937 \2,310)は全編ライブ・アルバム。
 主役の登場をいまかいまかと待つ観客の『ジーノ!ジーノ!』の掛け声で始まり、ラム・ジャム・バンドの演奏で幕を開け、ジーノの登場から7曲目の「ダンス天国」(溜めの1.2.3が最高!)までは演奏が途絶える事無く、怒濤のカバー・メドレー攻撃(ルーファス・トーマス〜スティーヴィー・ワンダー等)が続きます。
 
 ジーノのヴォーカルがとにかくエネルギッシュ!聴いている者にガツンとパンチをねじ込むような迫力満点のヴォーカルが最高です。
 モッズ、ソウル好きにはたまらない一枚です。東尾沙紀



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