PET SOUNDS RECORD
今日のこの1曲 アーカイヴス


  今日のこの1曲 “Achives”

<2005月11月>

当店ペット・サウンズ・レコード店にて、
その日に店内でかけていた曲の中から、
店員の独断と偏見で選んだ“今日のこの1曲”コーナー

仮店舗にて営業を再開した
2005年11月に更新した“今日のこの1曲”コーナー。

廃盤・生産中止、規格番号の変更など、
情報が古くなっている商品もございますが、ご了承くださいませ。


<最新の“今日のこの1曲”はこちらのページをご覧ください>


2005年11月1日(火) フランク永井 「有楽町で会いましょう」

♪ あなたを待てば雨が降る
  濡れて来ぬかと気にかかる
  ああ、ビルのほとりのティー・ルーム
  雨もいとしや唄ってる
  甘いブルース
  あなたとわたしの合言葉
  「有楽町で会いましょう」 ♪ (作詞:佐伯 孝夫)

 1957年(昭和32年)の暮れから翌年春にかけて大ヒットしたフランク永井の代表曲です。

 当時小学校低学年だったにもかかわらず、歌詞の意味などわからずに口ずさんでいました。
 メロディーはちょっと暗めの憂いがあるような調子ですが、フランクさんの歌は何かどっしりとした落ち着いたものを感じました。

 「魅惑の低音」−フランクさんの代名詞にもなっている低音、太い声の魅力は、今聴いても色褪せていません。

 2番の歌詞に
♪ ああ、小窓にけむるデパートよ
  今日のシネマはロードショー・・・ ♪
という言葉が出てきますが、僕は昔から買い物しようとか映画を見ようと思うと、有楽町に足が向いてしまうのは、この歌が潜在意識の中に入り込んでるからなのでしょうか。森 勉

2005年11月2日(水) 大貫妙子 「緑の風」

 今これを書いているのは3日木曜日。
 毎週水曜夜24時半からJ-WAVEでやっている大貫妙子ナビゲーターの番組を聴こう、聴こうと思っていて、昨夜はつい忘れてしまいました・・・。夕方くらいまで憶えていたのになあ。

 ということで、昨日昼頃聴いていたこのコンピ。
 日本が誇る名ドラマー、林立夫がバックでドラムを叩いているナンバーを林立夫自身が監修・選曲して発売されたオムニバス盤。

 大貫妙子のこの曲は、2002年発表アルバム『note』に収録。
 大貫さんらしいやさしい雰囲気に包まれた1曲。

 最近の大貫さんのライヴは、沼澤尚と林立夫のダブルドラム、という編成が時々あるのですが、沼澤氏曰く、
「いかにしてドラムを静かに叩いて、ヴォーカルを引き立たせるか、というのを学んだ」と話したとか。

 この曲なんかは特に、ブラシを使い大貫さんの繊細な世界観を前面に出しながらも、林さんのドラムが絶妙な味付けになっていて、さすが奥が深いなあ、と。森 陽馬 

2005年11月3日(木) The Pogues 「Fiesta」

 映画『シェイン THE POGUES:堕ちた天使の詩』を渋谷レイトショーで鑑賞。

 ポーグスは、アイルランド出身のシェイン・マガウアンを中心に80年代結成されたロック・グループ。

 アイルランドのアイリッシュ・ミュージックとパンク・ロックの要素を融合させた、その楽しくも魂宿ったサウンド&シェインの歌声は、ドラッグのように一度やみつきになったら、抜け出せなくなるほど魅力的。
 で、その魅力にとりつかれたことがある人なら必見の映画ですね。

 今年のフジロックのホワイトステージで、タバコとアルコールを手にふらふらしながらステージに現れて、1曲ごとにガソリン(酒)を補給しにステージの袖に下がっているのを見て、本当にこういう人なんだ、とビックリしたというか感動したものでしたが、この映画を見ると、確かに彼自身アル中ではあるかもしれませんが、家族思いの一面があったり、彼の書く詩がとても繊細な心に裏打ちされたものであったり、と新たな一面も窺えて、改めてポーグスという名のドラッグにハマってしまいそうな感じになりました。

 この曲「フィエスタ」は、88年発表3rdアルバム『堕ちた天使』に収録されている、ポーグスらしいノリのいいナンバー。

 ちなみに、「That Woman's Got Me Drinking」という曲のプロモーション・ビデオに、ジョニー・デップが出演しているのを初めて知り、見ることができました。映画内でも映像が流れるので、ジョニー・デップ・ファンも要チェックですね。森 陽馬

2005年11月4日(金) Jackie Cain 「So Many Stars」

 何度彼女の歌声に救われたことか。
 女性JAZZヴォーカルのアルバムで、個人的に一番好きなアルバムといっても過言ではない1枚。

 おしどり夫婦デュオとして、1948年(!)にデビューしたジャッキー&ロイ。
 1990年代、二人が60〜70歳代になっても仲睦まじい愛情あふれたデュエット・アルバムを出していましたが、この作品は、奥様のJackie Cainが77年にソロで録音していた音源をCD化した2000年発表作。(『So Many Stars』 ACD-305)

 シンプルなバック演奏に、クセのない彼女の美声が素晴らしい作品。

 2002年に長年付き添ってきた夫のRoy Kralが他界してしまい、一人身となってしまった彼女。80歳近い彼女ではありますが、その歌声を披露することはもうないのでしょうか。森 陽馬

2005年11月5日(土) BOX TOPS 「Cry Like A Baby」

 ボックス・トップスは、「ザ・レター」の大ヒットを放ったミドル60'sファンには忘れられないグループです。

 メンフィスで1966年に結成された白人5人組ですが、非常にソウル色が強いヴォーカルとサウンドが特徴でした。

 リード・ヴォーカルは、この後も活動を続けているアレックス・チルトン。
 彼のヴォーカルがこのグループの売りでした。

 なんとも言えぬしわがれ声は、1968年に大ヒットしたこの曲でも健在。
 当時はあまり耳なれない(今でもそうですが)エレクトリック・シタールの音色が印象的です。

 ダン・ペン&スプーナー・オールダムの作品。 森 勉

2005年11月6日(日) Stevie Wonder 「Shelter In The Rain」

 車に乗る前に何のCDを持っていこうか、皆さんは迷ったことないですか?

 今日も片道たった約15分くらいのドライヴなのに、5分くらいもCD棚の前でどれにしようか迷っちゃったりして・・・。
 結局どしゃ降りのせいか道が予想外に混んでいて待ち合わせに遅れてしまい・・・。そんなに迷うんなら、早く車に乗れって感じですね。

 で、結局迷った末に選んだのは、この新作。
 以前にもここで取り上げた愛娘アイシャとのデュエット「How Will I Know」があまりにも気に入ってしまったので、こればっかり聴いちゃっていましたが、他にもいい曲たくさんありますね。

 11曲目に収録されているこの「Shelter In The Rain」は、元奥さんであり、昨年亡くなったシリータに捧げられたと言われているナンバー。
 ♪君が思い悩んでいるとき、そして、にわか雨に遭ってしまった時に、僕は君が駆け込めるための雨宿りの場所になってあげるよ。♪
 という詞のスティーヴィーらしいラヴ・ソング。

 狙ったわけではないと思いますが、くしくもニューオリンズを襲ったカトリーナの被災者救済ソングとなり、アメリカではチャリティー・シングルも発売されました。

 ちなみにこの曲だけ、ナラダ・マイケル・ウォルデンがドラムを叩いています。森 陽馬

2005年11月7日(月) アン・サリー 「Yesterday」

 狭山ハイドパーク・フェスにて細野さんのサポートをしていた鈴木惣一朗さん(ワールド・スタンダード)が全編プロデュースした、ビートルズの曲をララバイ(子守唄)的にカヴァーしたオムニバス・アルバム。(VACM-1270 \2,940)

 畠山美由紀、エゴ・ラッピンの中納良恵、クラムボンの原田郁子、イノトモ、湯川潮音など、豪華な女性ヴォーカル陣がfeatされ、どの曲も聴きものですが、この中に入ってもやはりアン・サリーのヴォーカルは一際目立ちますね。

 もう何度も聴いたことがあるこの有名曲「イエスタデイ」をアン・サリーがナイス・カヴァー。

 ところどころの印象的なメロディー部分を高田漣がペダル・スティールで奏でていて、彼女の美声に色を添えています。

 ちなみに、このアルバムのラストに収録されている「Good Night」もアン・サリーがヴォーカルを担当していて、こちらも“ララバイ(子守唄)・アルバム”の最後を飾るのに相応しい出来。
 アン・サリーがこの曲を録音したのは、彼女が出産した直後だったそうで、まさにそういう意味でもピッタリの企画&1枚だったようです。森 陽

2005年11月8日(火) 遠藤賢司 「不滅の男」

 映画『不滅の男 エンケン対日本武道館』をテアトル新宿にてレイトショーで鑑賞。

 1970年頃フォーク・シンガーとしてデビューも、ジャンルに囚われない激情をロック&歌で表現し続け、今なお“不滅の男”としてロックし続けるシンガー・ソングライター、遠藤賢司。

 そんな我らがエンケンが、観客を入れない日本武道館で一人演奏し続け、魂の叫びをぶちまける、というのがこの映画。(監督もエンケン本人が担当)

 すでにご覧になった方から、「ハードコアでしたよ〜」と聞いていたので、どこがどう“ハードコア”なのかな、と思っていたが、いやはや・・・、これはハードコアな映画ですね。
 なんてたって、タイトルが“エンケン対日本武道館”ですから。

 日本武道館と対決しちゃうミュージシャン、というコンセプトで、アンプ200台(!)を前にノイジーなギターをかきならす「不滅の男」でしょっぱなからノックアウト!
 この映画がどのようなものか、というのを叩きつけるように示すこの「不滅の男」を聴いて、拒絶反応出た方は早々に映画の席を立った方が無難でしょう。

 もちろんアコースティック・ギターによる「カレーライス」なども収録。
 ところどころ演奏もカットしている部分もある感じで、もしDVDが発売されるならば完全版での収録を切望。森 陽馬

★ジャケットはサントラ盤『エンケン対武道館』(AM-004 \2,500)

2005年11月9日(水) Blue Magic 「Sideshow」

 1970年代は心に残る曲を歌った黒人グループがたくさん登場しました。

 好きなグループばかりで何から紹介したらいいか、迷ってしまいます。

 ディスコが流行っていた時代なので、ダンスに適したアップ・テンポものがある反面、スウィートなバラード・ナンバーの名曲が数多く出現しました。

 ブルー・マジックの『サイドショー』は極上のバラードです。
 1974年、日本ではソウル・ミュージック・ファンの間で話題になった程度でしたが、アメリカでは大ヒットしました。(ポップ・チャートでNo.8、R&BチャートでNo.1)
 スウィート・ソウルの良さは、予備知識なしでも気軽に楽しめる楽曲が多いことだと思います。
 
 そう言えば、最近発売されたシル・ジョンソンの娘さんのアルバムで、この曲をベースにした曲がありましたね。森 勉

2005年11月10日(木) Marine Girls 「a place in the sun」

 別に理由があるわけでもなく、何故か時々無性に聴きたくなる曲。

 マリン・ガールズは、80年代初期にエヴリシング・バッド・ザ・ガールズの女性シンガー、トレイシー・ソーンが在籍していたガール・グループ。

 全体的にスカスカでチープ、ドラムレスでかつ、ゆる〜いネオアコといった楽曲群で、まあ作品の完成度とかそういう話になるととりたてて大騒ぎするようなものではないかもしれませんが、彼女達のピュアな音楽に対する感性がどことなく惹かれる、そういうタイプのグループです。

 特に83年発表、ヤング・マーブル・ジャイアンツのスチュアート・モクサムという人がプロデュースを手掛けた3rdアルバムの1曲目でもあるこのナンバー「a place in the sun」は、シンプルなギター・リフのみで構成された曲ながら、そのリフがとても印象的で、不思議な魔力を持った1曲。

 現在は、その83年発表作と82年発表2ndが2in1となったCDが発売中。国内盤も出ています。(BSCP-30069 \2,205) 森 陽馬 

2005年11月11日(金) いちかたいとしまさ 「青い月の下で」

 いちかたいとしまささんの新曲が入荷。(MHR-8 \1,200)

 アコースティックなゆったりとした演奏をバックに朗々と歌い上げるいちかたいさんのこの歌。
 バラード?でもなく、フォーク?でもなく、そしてナイアガラでもないこの歌は、これが“いちかたい節ポップス”なのかもしれませんね。

 ちょっと肌寒くなってきましたが、きれいな星空&月を眺めたくなってくる1曲。

 画像だとわかりにくいのですが、実際のCDはジャケットの月の部分がくり抜きになっていて、そのくり抜きの下(月の部分)がCDの面になっています。
 そしてそのCDをトレイ上で回すと・・・、くり抜き部分の月が・・・?
 いちかたいさんのCDは今までも面白い作りのものが多かったのですが、今回もなかなか凝った仕様になっています。森 陽馬

2005年11月12日(土) Neil Young 「When You Dance I Can Really Love」

 本日11月12日は、ニール・ヤングの誕生日。
 なんと60歳! 還暦!

 今年3月に脳の病気を患ったものの、術後も順調に回復。
 先日、新作も発表して、ファンとしてはウレシイかぎり!
 これからも元気で活動していって欲しいですね。

 音楽雑誌“Player”誌の最新号にニールの最新インタビューが載っていて、それを読んだら、遂に来年には例年噂になっていた未発表音源BOXが出るらしい。それも8枚組!
 輸入盤が先に発売されたら、そっちも国内盤も両方買っちゃいそうなので、今からお金貯めておかなきゃいけないですね。

 ちなみにこの曲は、70年発表の名作『After The Gold Rush』より。
 ベスト盤などには収録されていないものの、コアファンにも人気の高い1曲。
 『Year Of The Horse』やブートなどにこのライヴ・ヴァージョンも入っているけれど、いつか、この曲の生ライヴが聴きたいなあ〜。森 陽馬

2005年11月13日(日) Teena Marie 「Ooo La La La」

 ちょうど10年前、フージーズの「Fu-Gee-La」という曲がヒットし、ラジオなどでも盛んに流れていましたが、これはその原曲です。

 1988年の大ヒット曲。(といっても、調べてみたらふつうのポップ・チャートでは85位までしか上がっていませんでした。R&Bチャートでは、ナンバー・ワン獲得。この差はどおなの?)

 ティーナ・マリーは白人女性シンガーであり、ソングライター。
 この曲も彼女の作品です。
 名曲だと思います。(残念ながら、僕の琴線にふれる曲は「このウー・ラ・ラ・ラ」ぐらいしかないのですが。)

 演奏はいかにも1980年代という雰囲気ですが、メロディー、そしてヴォーカルの良さは初めて耳にした17年前から変わらずフェイヴァリットな1曲。森 勉

2005年11月14日(月) Andre Previn Trio 「You'd Be So Nice To Come Home To」

 ジャズに関して全く商品知識がなかった20歳くらいの時に、ある方からジャズ・ピアノのオススメ、としていただいたアルバムがこの作品、アンドレ・プレヴィン『キング・サイズ』。(VICJ-41101 \1,500)

 アンドレ・プレヴィンというと、ジャズ・ピアニストというよりは、クラシック畑の人としての方が有名かもしれませんが、僕はこのアルバムを先に聴いたので、やはりジャズ界屈指のピアニスト、というイメージを持っています。

 実際、58年に録音されたこの作品は、ピアノ・トリオの名盤、と評されており、彼のピアノのプレイも50年代とは思えないような高貴で上品な雰囲気。
 癒しのピアノ、というよりは、華麗なテクニックを聴かせるジャズ・ピアノ・アルバムという印象ですね。
 ジャケットのライオンの絵もかわいくてお気に入り。

 ちなみにこの曲は、ヘレン・メリルの名唱で有名なコール・ポーター作。
 アンドレ・プレヴィン独特のアドリヴや、レッド・ミッチェル(b)のベース・ソロなどが聴きどころです。森 陽馬

2005年11月15日(火) Tin Pan 「Bon Temps Rouler」

 人それぞれ感じ方も違うかもしれませんが、店頭演奏向きの音楽、というのと、店頭演奏には不向きだけれど家に帰ってからじっくり聴くとイイ音楽、というのがあって、本日の作品は明らかに後者の方。

 正直いうと、このティンパンの再結成アルバム『Tin Pan』(2000年発表)が発売された当時は、細野晴臣さん、鈴木茂さん、そして林立夫さんが再びバンドとして組んでやる、ということに興奮して盛り上がっていたわりには、実際店頭で音を聴いて、「ちょっ〜と地味だな・・・」と感じたものでした。

 でも5年経ってこうしてじっくり聴いてみると、なんともいえない“滋味”が染み出てきて、かなりゴキゲン♪

 この曲「ボン・トン・ルーレー」は、ハリー&マック(細野晴臣と久保田麻琴によるユニット 99年発表)の流れでセッションされて生まれたティンパン作。

 久保田麻琴の2000年作『On The Border』にも、この曲のニューオリンズ録音が収録されていますが、このティンパンのヴァージョンは、ヴォーカルに小坂忠さんを迎えて録音されたもので、どちらも甲乙つけがたい、味のあるヴァージョン。

 この作品は、どの曲もリハのつもりでセッションしつつ録音されたものが多いらしいのですが、そんな中に彼らの約30年前とはまた違った成熟した音楽観みたいなものが込められていて、ホント楽しいアルバムですね。
 現在廃盤なのがもったいないくらい。
 スタジオでの未発表テイクなどをボーナス・トラックとかで加えて、再発売してほしいですね。森 陽馬

2005年11月16日(水) レッド・ツェッペリン 「移民の歌」

 仮店舗での営業再開も決定して、俄然ROCKモードな今日このごろです。

 2003年に発表されたこのツェッペリンのライヴ盤(WPCR-11585 3枚組CD \4,410)は、発売された時、本当に衝撃を受けましたね〜。
 音はバツグンにいいのだけれども、72年当時の荒々しいライヴの雰囲気がビンビン伝わってきて、何時聴いても鳥肌もの。

 クリームも、クイーンも再結成コンサートをやっちゃうくらいなので、ペイジ&プラントがレッド・ツェッペリン名義でもコンサートやる日も近い将来あるかもしれませんが、このライヴ盤を聴いてると、やっぱりドラムのジョン・ボーナム(1980年逝去)がいてこそのツェッペリンだな・・・、と。

 ちなみに僕は、この曲を聴くとやはりブルーザー・ブロディーを思い出しちゃいますね。
 ブロディー級の外国人プロレスラー(格闘家ではなく、“プロレスラー”)は、久しく見てない感じ。強さだけでなく存在感ある昭和のプロレスラーが懐かしいなあ。森 陽馬

2005年11月17日(木) The Dave Pike Set 「Mathar」

 音楽界でも一番注目される場であったビートルズのレコードの中で、ジョージ・ハリスンがインド音楽シタールを使ったことにより、それまではほとんどの人が知らなかったシタールの不思議な音色を多くの作品で聴けるようになりました。

 それはロック界からジャズ界にも飛び火し、なんとこんな作品も発表されました。

 アメリカ、デトロイト生まれのジャズ・ヴィブラフォン奏者、デイヴ・パイクがドイツに渡り結成していたコンボの1969年録音作品。

 この曲以外は、ギターとヴィブラフォンのソロですが、なぜかこの「マタール」だけフォルカー・クリーゲルが弾くシタールが大フィーチャーされています。

 ライナーノーツによると、あのラヴィ・シャンカール(ノラ・ジョーンズの父親としても有名になりました)が、シタールを学んでいたインドの村の名だとか・・・。
 それにマザー(Mother)とシタール(Sitar)という言葉の綴りが含まれているという・・・。あら不思議。森 勉

2005年11月18日(金) 東京ローカルホンク 「いつも一緒」

 東京ローカルホンク ワンマン・ライヴ at 下北沢QUE

 久々のワンマン、やっぱり良かったですねぇ〜。
 うずまき時代の作品を含めてもフル・アルバムはまだ2枚ながら、ベテランというか円熟の域に入った感さえある素晴らしいライヴ。

 パッと一瞬華やかに明るく咲き消えていく大玉花火も悪くはないですが、じりじりとでも長ーく燃え続ける線香花火の滋味深さを改めて実感したような感覚。
 やはり“継続”していくことの大切さ、素晴らしさ、を感じました。

 この「いつも一緒」は本日初披露された新曲。
 アルバムにはまだ未収録ですが、来年?発売される新作に収録されるのかな? 森 陽馬


仮店舗場所の地図などをアップしました。
 オープン日は若干ずれたら申し訳ないのですが、とりあえず12月初旬中にはオープンしたいと思っております。よろしくお願い申し上げます。

2005年11月19日(土) AC/DC 「Shoot To Thrill」

 仮店舗営業再開の告知はしたものの、もう2週間後には店がオープンしているんですね。

 果たして間に合うのか?という不安感とワクワク感が混ざったような複雑な気持ちもありますが、実を言うと、あんまり焦ってはなくて、なんとかなるかな、とまるで他人事のような心持ち。
 倉庫→仮店舗への引越し準備を着々と進めてはいるのですが、結構好きなアーティストや曲を聴きながら、「これなんて曲だっけ?」と、時々曲名とか確認しつつ、のんびりやっております。

 先日に引き続きロック・モードな今日この頃ですが、もう最近は聴いていなかったこういう1枚も最近久々に聴きました。

 オーストラリア出身のハード・ロック・グループ、AC/DCが1980年に発表した名作アルバム。
 
 もともとのヴォーカリスト、ボン・スコットが泥酔しゲロをノドに詰まらせて死んでしまう、という不慮の事故後、新ヴォーカリスト、ブライアン・ジョンソンを迎えて録音された初の作品。僕はリアル・タイムで聴いていたわけではなく、このアルバムを最初に聴いたので、特に違和感はないのですが、リアル・タイムで聴いていた方々はどうだったのでしょうか?

 アルバム・タイトルや、ジャケット、1曲目「Hells Bells」の出だしなどには、ボン・スコット追悼の意が感じられますが、2曲目に収録されているこの「Shoot To Thrill」は、AC/DC節満載の痛快なギター・サウンド。
 後半、タイトルをシャウト&連呼していき、徐々にテンポアップしていく部分、好きです。森 陽馬

2005年11月20日(日) CHIC 「One And Only One」

 イントロのギターを聴いただけでイイ曲の予感・・・。

 1970年代後半から1980年代前半にかけて、「おしゃれフリーク」、「グッド・タイムス」などの大ヒットを放ったシックが、8年ぶりに再結成して1992年に発表したのが、この曲を含んだ『シック・イズム』というアルバム。

 プロデューサーでもあるナイル・ロジャースとバーナード・エドワーズは不動のメンバーですが、女性ヴォーカリストなどはメンバー一新の再出発でした。

 残念ながら、あまりというか、ほとんど気にとめる人がいないアルバムでしたが、このバラードが大好きで当時買いました。

 新しいヴォーカルのお姉さんは、ちょっとホイットニー(ヒューストン)しちゃってますが、時代だったということで許しちゃいましょう。

 あと、このアルバムには、とってもとってもカッコイイ、インスト・ナンバーが入っています。その曲についてはいずれまた・・・。森 勉

2005年11月21日(月) Lewis Taylor 「Melt Away」

 ルイス・テイラーは、イギリス出身の白人ソウル・シンガー。
 今年発売された『STONED』は、たしか3枚目くらいのアルバム(国内盤は未発売)で、スタイリスティックスで有名な「Stop,Look,Listen (to your heart)」をカヴァーしていたので購入。(これホントいい曲ですよね〜)

 で、他の曲は、結構出来がマチマチだったりするのだが、最後の14曲目に「Melt Away」という曲目が・・・。

 もしや・・・?と思って聴いたら、本当にブライアン・ウィルソンのあの曲のカヴァーでしたよ! それも一人多重コーラス&アカペラでなかなかの仕上がり! 予期せぬ名カヴァーにビックリしてしまいました。

 「メルト・アウェイ」は、ビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンがソロ名義で88年に発表したソロ・ファースト・アルバムに収録されている隠れ名曲で、決して有名なナンバーではないのですが、近年コアなファンにも人気の高いナンバー。

 こんな曲を取り上げるなんて、侮れないですねー。このルイス・テイラー。
 彼の前作などは聴いてなかったので、ちょっとこれからチェックしてみようかな、と思っています。森 陽馬

2005年11月22日(火) Brian Wilson 「Christmasey」

本日、倉庫から仮店舗場所へ、荷物の移動・引越しが完了。

 什器の組み立て、商品陳列、ダンボールの整理etc・・・移動後もやることはたくさんあるのですが、まずはオーディオをセッティングして、待ちに待ったこのブライアンの新作を聴いちゃいました。

 ブライアン・ウィルソンの新作オリジナル・アルバムは、なんとクリスマス・アルバム。
 正直言うと、「この企画自体、どうなの?」と当初は思っていたのですが、いやいや。そんな杞憂はまったく必要なかったですね。

 もう純粋にポップで、なじみやすいメロディーに美しいコーラス、精神的に“大人”になりつつも“童心”をいつまでも失わないブライアンらしい楽しいクリスマス・アルバムに仕上がっていました。

 9曲目に収録されていたこの「クリスマジー」は、ブライアンの作曲に、ジミー・ウェッブが詞を付けた新曲。
 サウンドは、「ラヴ・アンド・マーシー」的な感じに、バカラック的なオーケストラも加わり、更にジェフリー・フォスケット等のブライアン・バンドによる美しいコーラスも加味されたドリーミーながらもどことなく不思議なナンバーで、ブライアンの歌い方も節回しがジミー・ウェッヴらしい雰囲気。
 ジミー自らが歌ったデモとかがあるんだろうなあ、と想像してしまいました。

  まあ、ビーチ・ボーイズ時代のクリスマス曲の再録も含め、全体的にコーラスを重視した素晴らしい仕上がりですが、特に感慨深いのが、Special Thanks欄に、
 “To my beloved brothers Carl and Dennis who I miss singing carols with.”
という言葉が入っていたこと・・・。

 今は亡き兄弟、カールとデニスに捧げたクリスマス・アルバム、と捉えると、また深みを感じる1枚ですね。森 陽馬

2005年11月23日(水) Hummingbird 「Fire And Brimstone」

 1976年発売当時に買った愛聴盤を紹介したいと思います。

 ハミングバードと言っても、ほとんど知っている人がいない、と思うのですが、サウンドは、ロック、ソウル、ジャズのクロスオーヴァーしたテイストを持ったグループで、ドラムスにあのバーナード・パーディが参加しています。

 メンバーは、第2期ジェフ・ベック・グループのメンバーだったマックス・ミドルトン(キーボード)、クライヴ・チャーマン(ベース)、ボビー・テンチ(ヴォーカル&ギター)の3人に、バーニー・ホーランド(ギター)。

 この曲はA面1曲目のファンキーなナンバー。
 チョッパー気味のベースとパーディの小気味いいドラミングが最高です。

 他の曲もいい曲ばかりなので、早くCD化されるといいのになぁ〜。森 

2005年11月24日(木) Everly Brothers 「All I have to do is drem」

 もともと、店内でかけた曲を取り上げていたこの“今日のこの1曲”コーナー。

 しかしながら、当店の一時閉店により、最近は店員がその日に聴いた曲を取り上げておりましたが、営業再開するとなると、店内にない商品の曲は取り上げられない(店頭演奏できない)ため、あえて最近は、店頭演奏しなさそうな曲や現在CDが発売中止・廃盤になっている商品の曲を中心に聴いていたふしがあります・・・。いいかげんでスミマセン・・・。

 でもやっぱり好きな曲を大きめな音量で、聴きたいときに聴く、というのは、とても気分がいいものなんですよねー。
 ということで、何度聴いても飽きのこない大好きなこの曲をピックアップ

 エヴァリー・ブラザーズは1950年代から活動を続けているドン(1937年生)とフィル(1939年生)の兄弟コンビによるポップ・デュオ。
 馴染みやすい楽曲に二人の絶妙なハモリ・コーラスが絶妙!

 僕が一番エヴァリーの中で好きなのが、ベタかもしれないけれどやはりこの曲(邦題:「夢を見るだけ」)で、切ないけれど二人のヴォーカル・ワークに何時聞いても感動してしまいます。
 58年発表シングルで、見事ビルボード・シングル・チャート1位を獲得。

 ここ数年は、山下達郎&竹内まりや夫妻が「レット・イット・ビー・ミー」をカヴァーしたりして、そちらの方が知名度が高いのかもしれませんが、やっぱり、エヴァリーのバラード、っていったらこれでしょ?!森 陽馬 

2005年11月25日(金) The Everly Brothers 「Crying In The Rain」

 昨日の日記を読み返したら、眠け眼で書いたせいか、すっとんきょんなこと書いちゃってますね。

 「夢を見るだけ」はどう考えても“バラード”というより、“トーチ・ソング”だよなあ。とりあえず自己訂正・・・。エヴァリー・ファンの方々、スミマセン。

 で、エヴァリーの曲の中で、“トーチ・ソング”(?)として同じくらい好きなのが、この「クライング・イン・ザ・レイン」。

 キャロル・キング作曲、ハワード・グリーンフィールド作詞によるこの曲は、キャロル・キングが、エヴァリー兄弟の素晴らしいコーラスを想定した上で作ったのではないか、と思えるほど、二人のコーラスが絶妙!のナンバー。
 
 いかにもキャロル・キング的な曲展開、というか、切ないメロディーの配置がNice!
 キャロル・キング本人が歌っているヴァージョンもあり、そちらももちろん良いのですが、やっぱりエヴァリー独特のハモリ・コーラスがなんともいえないこちらの方が僕は好きですね。

 ちなみに、本日発売された書籍『文藝別冊 大瀧詠一』。
 この本にて掲載されていた“大瀧さんが選ぶボップス・アルバム ベスト100”という記事にて、エヴァリーのアルバムも36位に選ばれていました。森 陽馬

2005年11月26日(土) デレク・アンド・ドミノス 「恋は悲しきもの」

 今年1月21日(金)の“今日のこの1曲”コーナーにて、

デレク・アンド・ドミノス「恋は悲しきもの」、中間部分のギター・ソロが、<エリック・クラプトンとデュアン・オールマンによるツイン・ギター>という説と、<エリック・クラプトン1人によるギターのオーバー・ダビング>という説の2種あり、どちらが本当なのでしょうか?

と書いていたのですが、本日デュアン・オールマンフリーク歴33年(!)という方からメールをいただき、
“デュアン・オールマンがこの曲のリード・ギターで、中間部分のそのツイン・ギターになる部分は、それにクラプトンが絡んでくるというということで100%間違いない”
と、ご連絡いただきました。

 正確には、スピーカーの左上から聴こえてくるのがデュアンで、右上がクラプトンとのことで、レスポールとストラトの音色の違いや、二人の手癖、ラスト「もろびてこぞりて」のギター・フレーズの件、など色々な面からご指摘をいただいて、とても勉強になりました。

 そう思って聴くと、ボビー・ウィットロックとクラプトンの共作であるこの曲が、デュアン・オールマンのためにある曲、といっても過言ではないように感じてくるから不思議です。
 わざわざメールにて教えていただいたデュアン・ファンの方、ありがとうございました。森 陽馬

2005年11月27日(日) Kiki Dee 「Love makes the world go round」

 キキ・ディは、イギリス出身の女性シンガー。
 本名はポーリーン・マシューズ。

 白人ですが、ちょっとR&Bテイストを感じさせるヴォーカルが、モータウン(レーベルはTAMLA)と契約することになった理由なのでしょうね。

 この曲収録のアルバムは1970年に発表。(掲載しているジャケットは、最近発売になったヨーロッパプレスの編集盤)

 「ラヴ・メイクス・ザ・ワールド・ゴー・ラウンド」は、1966年デオン・ジャクソンが全米11位まで上昇させた曲のカヴァー。オリジナルも素晴らしいのですが、このカヴァーもモータウンのリズム・セクション、ファンク・ブラザーズをバックになかなかのものに仕上がっています。
 そんなこともあり、1971年シングル・カットされ87位と地味な成績ながら、全米チャートに登場しています。
 
 彼女はその後、1976年エルトン・ジョンとデュエットした「Don't Go Breaking My Heart」を見事、全米No.1に送り込みます。森 勉

2005年11月28日(月) TERRELL 「LOVE」

 結構、今、“インディー・ソウル”が熱いらしい。

 “インディー・ソウル”とは、簡単にいうと、インディー・レーベルから発売されている最近のソウル/R&B(この場合、読みは「リズム&ブルース」ではなく、「アール&ビー」ですネ)のこと。
 主にビルボードなどでヒット・チャートを賑わしているメジャー・レーベルものとは、また違った肌触りの良質な作品も多く、インディーゆえ、廃盤などになると入手困難→プレミアが付いていたりするCDもあるらしい。

 で、本日はそのインディー・ソウルから1枚。
 テレルことテレル・カーターは、もともとは、テヴィン・キャンベル、タミア、LVなどのアーティストに曲提供をしていて、99年にはクインシー・ジョーンズのアルバムなどにも参加。その後、2003年にファースト・ソロ作『The Story』を自主制作にて遂に発売。

 この今日の1曲が収録されている2004年に発売された2ndアルバム(SLOWCD-001 \2,480)は、1曲目の導入部が面白くて、グラミー賞の仮想の授賞式から始まります。

 プレゼンターのしゃべりから、封筒をあけて“テレル”の名前を読み、満場の拍手の中、テレルがこれまた仮想のスピーチをする、というイントロがシャレていて、思わずニヤリ。

 前半はやや退屈なミディアム・ナンバーが続きますが、中盤から後半にかけてはその歌のうまさ、曲の良さを生かしたスロー・ナンバーが連発。
 この14曲目に収録されているこの「LOVE」は、クラブ/最近のスムース・ジャズ系のアレンジャーなどで知られるRex Rideoutがプロデュースを担当し、雰囲気たっぷり。聴き応えのあるスローに仕上がっています。森 陽馬

2005年11月29日(火)シング・ライク・トーキング「My Desire〜冬を越えて〜」

 今年1月末に一時閉店してから、約10ヶ月。
 さすがに1年くらい店頭で働いていないと新譜に疎くなっているので、オープン前に色んな新譜を聴かなきゃな、と思いつつも、夜中とかになるとやっぱり学生時代に慣れ親しんだ曲を聴いてた方が落ち着くので、ここ最近の深夜は一人懐メロ大会になっております。

 このシング・ライク・トーキングの93年発表アルバム『エンカウンター』も、発売当時、本当に何度も聴いた好きなアルバム。

 その当時は、純粋に聴きやすいポップでメロウなメロディーに、佐藤竹善のハイトーン・ヴォイス、切ないラヴ・ソングなどが単純に気に入っていたのですが、今になってしっかりブックレットを読み返すとセッション・メンバーが物凄く豪華で、沼澤尚(dr)や難波弘之(key)はもちろん、ラス・カンケル(ds)、リー・スクラー(b)、ビル・ペイン(p)、なども参加。

 もちろんその頃はその凄腕セッションマン達のことなどは知らなかったのですが、作品を気に入っていた理由はそういうところに裏打ちされていたのかもしれませんね。

 ちなみにこの今日の1曲は、アルバム1曲目のギターのインスト・ナンバーに続き、2曲目に収録されていたお気に入りのナンバーで、難波弘之が中間部分で見事なピアノ・ソロを披露。

 彼らのルーツでもあるTOTOのドラマー、故ジェフ・ポーカロに捧げられています。森 陽馬

2005年11月30日(水) MONDAY BLUES 「Chapel Of Love」

 レコード時代の過去の音源がどんどんCD化されていますが、出ないものはでませんなぁ。
 様々な理由があって発売されないのでしょうが、レコード会社で協力しあって、年間5枚ずつでも、“未CD化音源初出プロジェクト” みたいなのをやって欲しいですね。
 
 以前のようにレコード会社の方から、
「我が社には、まだまだこんな面白い音源がいっぱいあるんです」
という姿勢を示して欲しいものです。
 将来に繋がる本当の音楽ファンを増やしたいのであれば、まだ遅くはないと思うのですが・・・。

 ということで、レコード棚から引っ張り出してきたのがこのレコード。
 マンデー・ブルース『フィル・スペクター・ソングブック』。

 1970年に東芝から発売の日本盤を持っていますが、原盤はVAULTレーベルです。

 フィル・スペクター関連曲のカヴァー集。
 オリジナルを聴いた方がいい、という意見もありますが、この曲の他、「Walking In The Rain」、「Be My Baby」、「You Baby」、「He's Sure The Boy I Love」、「Do I Love You」など、魅力的な曲名がズラリ。

 演奏はウォール・オブ・サウンドではありませんが、女性ヴォーカルの人がなかなかいい声してます。森 勉



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