PET SOUNDS RECORD
今日のこの1曲 アーカイヴス


  今日のこの1曲 “Achives”

<2006月8月>

当店ペット・サウンズ・レコード店にて、
その日に店内でかけていた曲の中から、
店員の独断と偏見で選んだ“今日のこの1曲”コーナー

2006年8月に更新した“今日のこの1曲”コーナー。

廃盤・生産中止、規格番号の変更など、
情報が古くなっている商品もございますが、ご了承くださいませ。


<最新の“今日のこの1曲”はこちらのページをご覧ください>


2006年8月1日(火) Allman Brothers Band 「エリザベス・リードの追憶」

 サザン・ロックの雄、オールマン・ブラザーズ・バンドの名作アルバム『イート・ア・ピーチ』デラックス・エディションというのが発売。(UICY-7284 \3,670)

 ボーナス・トラックが9曲追加され2枚目のディスクにそれが収録されているのですが、その内容がなんと、“1971年6月27日、フィルモア・イーストでの最後のコンサート音源”ということで、すなわち名ギタリスト、デュアン・オールマンの最後のフィルモア・ライヴということになる。
 「いや〜、もうオールマンのライヴ音源は色々と買いましたよー」という方、(僕もそういうクチだったのですが)、これはやっぱり買って聴かないわけにはいきませんよね〜。

 20分近い「ウィッピング・ポスト」などもいいけど、やっぱりこの時期の「エリザベス・リード〜」は最高!
 現在はオールマンから脱退してしまった名ギタリスト、ディッキー・ベッツ作のインストなのですが、約13分間、組曲のように演奏が展開していって、ギターが歌っているかのような叙情感が本当に素晴らしい1曲。

 最初、ちょっとのったりした立ち上がりのようでいて、ギターのソロが長引くにつれバンド全体の演奏がだんだんとドライヴ感が出てくるのが、“元祖ジャム・バンド!”とも言われる所以でしょう。

 ちなみにデュアン・オールマンはこの4ヵ月後、1971年10月29日にオートバイ事故で急死。ベーシストのベリー・オークリーも1972年11月にそのデュアンが亡くなった事故現場からわずか3ブロックしか離れていない場所で、同じくオートバイ事故で亡くなっています。森 陽馬

2006年8月2日(水) Julie & Khari 「Moon Bossa」

 自分の名前(陽馬)に“馬”がつくので、“馬”ジャケにはつい反応してしまうのですが、このジャケットも内容聴く前になんとなくピンッ!ときて購入。
 封開けて聴いてみたら、『Moon Bossa』というタイトル通りNice!な内容だったので、店内でもヘビーローテーションの1枚です。

 ジュリー&カーリは男女二人のユニットで、女性ヴォーカルのジュリー・デクスターはUKジャマイカン・シンガー。一方、サウンド・プロデューサーのカーリ・シモンズはアメリカ出身の黒人ソングライターで、このユニットとしては初のアルバム。(『Moon Bossa』 PCD-23771 \2,415)

 ブックレット内の解説に、“米オーガニック・ソウル & UKソウル meets ブラジル音楽”と評されているのですが、まさにその形容がピッタリ! そこまでブラジリアンしてないのが逆に良くて、ポップで聴きやすいサウンド作り。フェンダー・ローズの心地良い音色もこの季節にはピッタリですね。

 最初聴いたときは二人とも黒人だとは思えないほど洗練されたサウンドと透き通るようなヴォーカルで、スウィング・アウト・シスター、シャーデーなどがお好きだった方には超オススメできる1枚。
 実際、スウィング・アウト・シスターのカヴァーや、バーシア、ベン・ワット、セルジオ・メンデスの曲なども取り上げています。森 陽馬

2006年8月3日(木) Edith Frost 「It's A Game」

 昨日に続いて、“馬”ジャケで購入したお気に入りの1枚。

 Edith Frost(イーディス・フロスト)は、サンアントニオ出身で1990年代中期頃から活動している女性シンガーソングライター。シカゴのインディペンデント・レーベル、Drag Cityレーベルよりアルバムを何枚か発売しており、このアルバム『It's A Game』(DC 301CD)は2005年暮に発表した約4年ぶりとなる新作オリジナル・アルバム。

 “ドラッグ・シティ”レーベルというとジム・オルークやスモッグなど音響派のミュージシャンも多数在籍しており、彼女の初期作品もそういう音響的なサウンドをバックに歌うアシッド・フォークっぽいものが多かったのですが、この久々の新作はシンプルながらも聴きやすいシンガーソングライター作に仕上がっています。

 なんといっても曲が良く、その独特な空気感ある楽曲に彼女の透き通ったヴォーカルが切なくも心地良く溶け合った1枚。ちょっと違うかもしれませんが、ジョニ・ミッチェルやリッキー・リー・ジョーンズなどお好きな方にもオススメできるアルバムです。森 陽馬

2006年8月4日(金) 大滝詠一 「Cobra Twist」

 大滝詠一『GO! GO! NIAGARA』30周年記念盤の発売日が遂に決定!

 すでに今年の3月21日に発売された『ナイアガラ・トライアングルVol.1 30th盤』のライナーノーツにて、『GO! GO! NIAGARA』の方も発売する旨は告知されていましたが、8月に入ってもちゃんとした発売情報は届かなかったので、どうしたのかな?と思っていたのですが、予定通り9月21日に発売が決定いたしました。

 ボーナス・トラックに関する詳細はまだ届いていないのですが、詳しいことがわかり次第、通販ページなどに掲載していきますのでよろしく御願いいたします。

 ご存知でない方に説明しておくと、この『GO! GO! NIAGARA』というアルバムは1976年発表作。大滝詠一がDJを担当していたラジオ番組『GO!GO!Niagara』の番組形式を模して構成されたアルバムなので、30周年記念盤の発売を機に、ラジオ番組も短期的にでもいいから復活して欲しいですね。

 11曲目に収録されているこの「Cobra Twist」という曲は、曲目通り?、リップコーズの「Hey Little Cobra」とアイズレー・ブラザーズの「Twist and Shout」を合体させて、更に様々なエッセンスをまぶした楽しい1曲。
 ビーチボーイズ・ファンやオールディーズ・ファンでまだ聴いたことがない方は是非チェックしてもらいたいナンバーです。森 陽馬

2006年8月5日(土)Matthew Sweet and Susanna Hoffs 「The Warmth Of The Sun」

今週末は武蔵小山商店街でミニお祭り的な出店が商店街内に出ていたりして、やっと夏らしくなってきた感じ。来週8/9に発売になるサザンオールスターズの告知ポスターや抽選キット特典用のTシャツ・うちわも当店に入荷してきて、“夏”を実感する今日このごろです。

 そういう販促物に混じって、こんなサンプルCDも到着。
 こちらも8/9発売になる新譜商品なのですが、90年代活躍した男性シンガー・ソングライター、マシュー・スウィートと、元バングルスでソロ作も出したことがあったスザンナ・ホフス(!)が復活! 二人で組んで60'sの名曲をカヴァーしているアルバムが今度発売になるのです。

 一足先に聴かさせていただきましたが、選曲の妙!ということもあり、聴きやすくてとてもいいアルバムでした。
 スザンナ・ホフスの歌声を聴くのは本当に久々でしたが、艶かしい個性的なヴォーカルは健在で、セクシーな魅力は変わらず、マシュー・スウィートとの息も合っている印象。

 なんといっても選曲がすごくて、The Who「キッズ・オールライト」、ボブ・ディラン「It's All Over Now,Baby Blue」、ビートルズ、ママス&パパス、ゾンビーズ他、ニール・ヤングを2曲もカヴァーしていたりなんかして、まさに彼らの好きな曲をやりました!っていう1枚。

 この今日の1曲「The Warmth Of The Sun」も、マシュー・スウィートがコーラスやファルセットで頑張っていて、まずまずの仕上がり。
 ちなみにビーチ・ボーイズのオリジナルは、63年にブライアン・ウィルソン&マイク・ラブがケネディ大統領暗殺のニュースを聞き、その喪失感を歌にしたことでも有名な初期バラードの名曲です。森 陽馬

2006年8月6日(日) ボニー・ピンク 「Tonight, the Night」 

 かなり遅い報告ですが、7月26日発売新譜で、SMAP、ボニー・ピンク、くるりのアルバムのチャート争いは、オリコン・チャート上ではやはりSMAPが1位でしたね。

 当初、初日の動きでは当店ではくるりがSMAP、ボニー・ピンクを上回ってましたが、しかしながら1週間の集計でみると当店での1位は結局ダントツで、ボニー・ピンクのベスト盤でした。

 おそらく全国の各店でも予想外だったようで、初回限定盤は発売数日でどこも軒並み品切れ状態。現在ではネット・オークションで早くも1万円近い値段に跳ね上がっていて、彼女の大ブレイク!と共に、こんなところにも“エビちゃん効果”が見てとれますね。

 ちなみにボニー・ピンクの中で僕が一番好きな曲はこの曲。
 ニール・ヤングの曲で同名異曲があるから、という単純な理由ではありません・・・。2003年発表アルバム『Present』というタイトルの作品の1曲目なのですが、このアルバムは僕的には彼女の最高傑作と思っている作品ながら、発売当時(というか現在も)、憎きCCCDでリリースされていたといういわくつき?の1枚なのです。

 ポップ感覚溢れた楽曲に彼女のセクシーな歌声が存分に生かされたナンバー。ベスト盤ももちろんイイですが、シングル曲以外にもイイ曲結構あるので、是非気に入った方は各オリジナル・アルバムも聴いてみてもらいたいものです。森 陽馬

★8月7日(月)は店舗休業日となります。ご了承くださいませ。

2006年8月7日(月) Blue Cheer 「Summertime Blues」

 お暑うございます・・・。特に今日は、東京では危険を感じるくらいの暑さでしたねー。夏が好きな僕も、さすがに今日の暑さは身に応えましたが、そんな暑さに負けない!というか、更に“熱い”映画を観てきました!

 その名も“メタル・ヘッドバンカーズ・ジャーニー”!

 いやー、もう予想以上に面白かったです。
 これホント、メタル嫌いの人にこそ見て欲しい作品ですね。別に僕はメタル好き、というわけではないのですが、映画内で“メタル”を熱く語るミュージシャンやメタルの熱狂的ファンを見ると、なんだかメタルがすごく高尚な音楽に感じてくるから不思議。

 実際、映画内では、“バッハとエディ・ヴァン・ヘイレンの共通項”とか、“ワーグナー、ベートーヴェンが現世に生きていたら、絶対にメタルをやっていたはず!”なんて大真面目?な発言まで飛び出し、色んな意味で楽しめました。最近は個人的に色んなジャンルの音楽を聴くようにはなりましたが、やっぱり腰に響く“ロック”な音はいいな、なんてことも思ったりもして。

 あと、映画の最初の方に、“メタルの起源は?”という論争になって、そこにブルー・チアーの映像が出てきたときはビックリしましたね。ツェッペリンやジミヘンなどは予想できたけれど、ブルー・チアーなんてコアなアーティストをメタルの起源として取り上げて、動いている映像を映画に盛り込むなんて、やっぱり音楽好きの人がやっている映画はいいな、と思った次第です。

 ちなみに窓口で“ヘッド・バンキング”(頭を上下に激しく振ること)をすると当日料金から割引で映画が見れるそうです。僕は前売り鑑賞券を持っていたのでしませんでしたが・・・。森 陽馬

<掲載ジャケットはサントラ盤(ASCS-2301 \2,625)>

2006年8月8日(火) The Mockers 「God Only Knows」

 “モッカーズ”は1990年代初頭にアメリカ、ニューヨークで結成されたギターポップ/パワー・ポップ・バンド。

 本日発売になったこの作品『The Lonesome Death Of Electric Campfire』(WIV-97CD \2,415)は、その彼らの最新アルバムでほぼ全曲オリジナル曲。わかりやすいパワー・ポップ・サウンドが爽快な1枚です。

 パっと見、パッと聴き、だと特に取り立てて語られることもなさそうな1枚なのですが、実はこのバンド、ビーチ・ボーイズ/ブライアン・ウィルソン・ファンにはちょっと縁深いバンドで、ここ数年のブライアン・ウィルソンのバック・バンドで大活躍中のNelson Bragg (Dr)が参加(在籍?)しているバンドなのです。

 更に、CDケース外側からは曲目なども全くわからないのですが、未発表曲やデモ音源などを収録したボーナスCDが付いていて、そのボーナス・ディスクの1曲目になんと!ビーチ・ボーイズの大名曲「God Only Knows」のカヴァーが収録!

 ほぼ完コピですが、コーラスもきれいに決まっていてこれはナイス・カヴァーですね。ちなみにこのカヴァーが入っているボーナスCDは国内盤のみの特典ディスクですので、ビーチ・ボーイズ・ファンは是非チェックしてみてください。森 陽馬

2006年8月9日(水) サザンオールスターズ 「太陽に吠える!!」

 昨年2005年に発売されたオリジナル・アルバム『キラー・ストリート』から約10ヶ月。サザンオールスターズの久々の新曲が登場。

 なにしろ2枚組大作『キラー・ストリート』への桑田さんの入魂具合がハンパではなかったので、当分サザン名義の作品は発売されないかな、と危惧していたのですが、ちゃんと夏に合わせて出してくれましたね。
 『キラー・ストリート』のジャケットがビートルズの『アビイロード』を意識しているように見えることから、『キラーストリート』がラスト・アルバムになるのでは?、という噂もありましたが、ちゃんとサザンとしての活動は続くようでヨカッタヨカッタ。

 で、このNewシングル。1曲目「Dirty Old Man」もやっぱり“サザン”という感じのナンバーですが、一番気に入ったのは3曲目「太陽に吠える!!」。

 まさに“サザン流・ブルース・ナンバー”といった雰囲気の1曲で、曲調などはブルースを基調にしながらも暑苦しさを感じず、切ないロック・ナンバーに仕上がっているのがさすが!
 冒頭及び中間で、渋いブルース・ギター・ソロを斉藤誠が弾きまくっております。ライヴなどでは桑田さんとのツイン・ギターが見せ場となるかも。

 あと、原由子さんのハモンド・オルガンが最高にブルージーで、最初聴いたときは誰か別の男性が弾いているのか?と思ったほどかっこいいので、それも注目して聴いてみてください。
 ちなみに当店ではサザン・グッズが当たる抽選会も開催中。ジャケットの男性の恥部に被さっているのと同じような特大?麦わら帽子が付いた限定アナログ盤も発売中です。森 陽馬

2006年8月10日(木) ONE TRACK MIND 「FUN ×4』

最高にクールでかっこいいロカビリー・バンド、“レッド・ホット・ロッキン・フッド”に在籍していたBAGI(dr)が96年に結成したSKA/PUNK/ROCKバンド、“ONE TRACK MIND”の10周年記念ミニ・アルバムが発売。

 バンド名“ONE TRACK MIND”は、元ニューヨーク・ドールズでソロでも活躍した70年代ニューヨーク・パンクの雄、ジョニー・サンダースの曲から取られていることからも、単なる軽〜いSKAではなく、様々な音楽ルーツを硬派な一本筋通った音楽性で表現している印象。

 今作では、笠置シヅ子の「ジャングル・ブギ」やらスペシャルズ「Enjoy Yourself」のカヴァーなど6曲収録されているのですが、2曲目にはなんと!大滝詠一『ロング・ヴァケイション』に収録されている名曲「Fun×4」(フォー・タイムス・ファン)のカヴァーなんてのも収録!

 いやー、このナイアガラ・カヴァー、結構イイんじゃないでしょうか? アレンジがSKAアレンジだけに賛否両論あるかもしれませんが、僕は結構気に入ってしまいました。打ち込みではなく生のホーン隊の勢いある音がこの曲の雰囲気にあっているような感じです。

 ちなみにこのバンド、昨年のアルバムではシュガーベイブ「ダウンタウン」のカヴァーもやっていたりするので、SKAとかPUNKだけでなく、結構その筋のPOPな音が好きなのかもしれないですね。森 陽馬

2006年8月11日(金)The Three Suns 「Terry Theme (from "Limelight")」

 当店、入口前の特設コーナーでは、ちょっとベタかもしれませんが、“熱帯夜・これを聴けば涼しくなる!当店オススメのCDコーナー”を設置。新旧・ジャンル関係なく、色々なものを展示しております。(『稲川淳二の怪談』なんてシリーズのCDも置いてます。ある意味涼しくなれますヨ!?)

 そこでオススメしているのがこの1枚。スリー・サンズ『オン・ア・マジック・カーペット』(BVCM-37708 \2,310)。

 6月に“ジャケガイノススメ”シリーズで発売になった作品で、ロニー&ザ・デイトナスなどに比べてこのスリーサンズのCDは、初動はそれほどでもなかったのですが、ジワジワと売れ続けていて今では早くも当店のロングセラー人気盤。

 ギター、アコーディオン、オルガンの3人グループで、ゴキゲンかつドリーミーなインストゥルメンタルを聴かせてくれる彼らの1960年作。この曲は、チャーリー・チャップリンの映画で有名な『ライムライト』主題歌のカヴァー。作曲もチャップリンです。

 この曲を聴きながら床について、このジャケットのようにマジック・カーペットに乗って空を飛ぶ夢を見れたら素敵ですね。森 陽馬

2006年8月12日(土)チャーリー&ザ・ホット・ホイールズ「はじめてのビキニ」

ビーチ・ボーイズファンは必聴!当店も超オススメしているちょいワルおやじ3人組、チャーリー&ザ・ホット・ホイールズの新作が本日入荷!

 シンプルな3人編成ながら、キレのある演奏に素晴らしいコーラス・ワークがより輝きを増した感さえあるこの1枚。(『ロッターズ・ルール』 CRCD-102 \1,575)

 ブライアン・ウィルソン&ゲイリー・アッシャー作によるホット・ロッド大名曲「409」のカヴァーも収録されていて、それももちろん良いのですが、やはり彼らの魅力はオリジナル!
 オールディーズ・マナーのゴキゲンなメロディーに、とびきりハッピーな日本語詞が今作もイイ味出してます。

 4曲目に収録されているのはこの「First Romance In Summer」。
 邦題は「はじめてのビキニ」。
 ♪My dearest summer girl / 呼び起こすMelody / Car RadioからBeach Boys / いつしか夏はまた過ぎゆくけど/ きっと忘れない 交したHigh School Ring ♪

 いやー〜。もうこの歌詞だけでビーチ・ボーイズファンは胸キュン♪になってしまいますねー。来週8月19日(土)には新宿CLUB DOCTORでライもあるそうですので、是非興味ある方はチェックしてみてください。ライヴも凄くイイですよ。森 陽馬

2006年8月13日(日)Kenny Vance and The Planotones 「My Girlfriend」

 イギリスのACEレーベルより、ケニー・ヴァンスのベスト盤が出ました。

 全24曲、ライヴや未発表曲も入っているのがうれしい。
 今日はその中から未発表だった「マイ・ガールフレンド」。
 このドゥワップ名曲を彼が率いるプラノトーンズと一緒にアカペラで聴かせてくれます。オリジナルはキャデラックス。

 そう、ゴスペラッツのアルバムに入っていた「クイズ ♪バーボボバー♪物語」の中でも取り上げられていた曲です。

 イントロのベースヴォーカルがとても印象的ですが、曲全体がいい雰囲気で、ケニー・ヴァンス等の素晴らしいハーモニーは聴く者を夢見心地にさせてくれます。森 勉

★8月14日(月)は店舗休業日となります。ご了承くださいませ。

2006年8月14日(月) Carole King 「Way Over Yonder」

 武蔵小山には中古CD・レコード店というのがほとんどなくて、唯一、書籍『レコードマップ』にも掲載されている“也”という小さなお店が線路沿いにあったのですが、今日その店の前を通ったら残念ながら、8月初旬に閉店してしまってました。

 店内は狭いものの価格なども良心的な中古専門店で商品も充実していたので、オープンしてから約5年、それなりに繁盛しているのかな、と思っていたのですが・・・。
 売上枚数だけでなく利益幅もどんどん少なくなってきている新品商品しか扱っていない、うちのような街のCD店にとっては、時には買い取った倍値以上で販売し粗利益を多く取ることができる中古店というのは羨ましい存在に見えるのですが、やはり中古店にとっても実情はとても厳しいようです。

 昔からやっている街のCD店が続々と閉店してしまっている、という話を耳にすることが多くなり、切ない思いをすることもありますが、僕個人としてはそういう失望よりも、『本当の意味での“いい音楽を届ける”という初心を忘れないように』、という身が引き締まる思いの方がここ最近より強くなってきました。

 もちろん、人それぞれで“いい音楽”というのは違うのですが、音楽業界に携わっている人それぞれがその初心に立ち帰れば、よりよい音楽を本当に“いい音楽を聴きたい”と思っているリスナーに届けることができるのでは?と信じているのですが、こういう考えはもう古いのかな?

 話とは全然関係ないのですが、今日のこの1曲はキャロル・キングの名盤アルバム『つづれおり』より。やっぱり大好きなアルバムです。
 50年後、100年後の音楽業界/レコード店がどうなっているのかは皆目見当が付かないのですが、その未来にもこのアルバムが店内でかかっているレコード店が残っているといいですね。森 陽馬

2006年8月15日(火) Maria Muldaur 「I'll Be Your Baby Tonight」

 ジェフ・マルダーの元奥方であり、名曲「真夜中のオアシス」などで知られる女性シンガー、マリア・マルダーの新作が発売。(『ハート・オブ・マイン 〜 シングス・ラヴ・ソングス・オブ・ボブ・ディラン』 UCCT-1168 \2,548)

 タイトル通り、なんと全曲ボブ・ディランの曲をカヴァーした作品なのだが、単なるディランの代表曲カヴァー作、というのではなく、マリア・マルダー自身が心奪われたディラン作のラヴ・ソングを選曲。
 ディラン本人にも「きみの声で是非聴いてみたい」と勧められ、2006年録音されたという意欲作だ。

 73年『オールド・タイム・レディ』でソロデビューした頃のような高く澄んだ歌声は影を潜め、現在は味のあるブルース・シンガーと評しても過言ではない渋い低音ヴォイスになってしまっている彼女ではあるが、不思議とその変わってしまったマリアの歌声が、このディラン作の楽曲に現在はピッタリ合っている、というのが興味深い。

 この「I'll Be Your Baby Tonight」は、以前ジェフ&マリア・マルダー名義で発売した69年作『ポリティ・パイ』で一度カヴァーしているが、この度新たに再録音。この曲のみエイモス・ギャレットがリード・ギターを弾いており、これがなんとも彼らしい“すき間”を活かしたゴキゲンな音色で、曲自体に緩やかな重みを与えている。(ちなみに、ディランのオリジナルは67年作『ジョン・ウェズリー・ハーディング』に収録)

 他にも、オリジナル「Lay Lady Lay」を女性の立場からタイトルを変えた「Lay Baby Lay」やリチャード・グリーンのヴァイオリンが沁みる「Wedding Song」も聴きもの。森 陽馬

2006年8月16日(水)WEST COAST ALL STARS 「God Only Knows (TV MIX)」

 “ウエスト・コースト・オール・スターズ”といってもピンとこない方が多いかもしれませんが、参加メンバーは超豪華! 
 TOTOのジョセフ・ウィリアムス、ボビー・キンボール、そしてシカゴのビル・チャンプリン、ジェイソン・シェフ、そして、エアプレイなどで活躍したトミー・ファンダーバーグの5人によるアカペラ・ユニットなのです。

 97年から98年にかけて2枚アルバムを発表していたのですが、その2枚から厳選した10曲に、更にライヴやTV MIX(カラオケ)を追加収録したベスト盤が先日発売になりました。(IECP-10060 \2,625)

 ジェイムス・テイラー「Your Smilin' Face」、アメリカ「金色の髪の少女」、ビージーズ「愛はきらめきの中に」、ビーチ・ボーイズ「God Only Knows」などなど、もう個人的に大好きな曲ばかりで、それが見事なアカペラ(楽器がなく、人間のヴォーカル&コーラスのみ!)でカヴァーされているのがウレシイ限り。

 言葉が悪いですが一言で表現すると、“男性ロック版・シンガーズアンリミテッド”、“西海岸のハモネプ(死語?)”といった感じでしょうか?

 ちなみに追加収録されているこのTV MIXというのはある意味カラオケで、バッキングのコーラスはそのままでリード・ヴォーカルのみ省かれたトラック。つまり上記の豪華メンツのコーラスをバックに自分でリードを歌える、というわけですね。歌に自信のある方は是非お試しあれ。 森 陽馬

2006年8月17日(木) Bernard Purdie 「Lialeh」

店内中央、ROCKコーナー向かいの特設コーナーは、恐れ多くも“このドラマーを聴け!特集”なんていうコーナーを展開中。
 展示枚数が限られているため、このドラマーのものがないっ!とお叱りを受けそうな特集ではありますが、一応ジャンル関係なく、魅力的なドラミングが聴けるCDを紹介しております。

 まあその中でも、やはりこのドラマーは外せないでしょう! ソウル・ジャズ界のファンク・マスター!“バーナード・パーディ”。

 このアルバム『ライラー』(OTLCD-1 \2,625)はその彼が携わっているアルバムの中でも珍しいカルトな1枚で、なんと74年に制作された黒人ポルノ映画のサントラ盤。
 収録曲全曲書き下ろしというパーディ・ファンには堪らない作品です。

 特に男性ヴォーカルをfeatした1曲目「lialeh」、7曲目のファンキー・インスト「Hapnin'」は、パーディらしいフレーズが満載で聴きもの! 映画は未見ですが、パーディ自身もドラマーとして出演しているそうです。森 陽馬

2006年8月18日(金) James Taylor 「Caroline I See You」

昨日に続いて、“このドラマーを聴け!特集”より。
 職人!スティーヴ・ガッドもやはり外せない素晴らしいドラマーです。

 70年代の名フュージョン・バンド、“スタッフ”というグループのドラマーとして有名な彼ですが、本当に多数のセッションに参加しており、JazzだけでなくSoul、Rockなど幅広く現在も活躍中。最近では、ジョー・サンプル&ランディ・クロフォードの新作(VACM-1283 \2,940)でも叩いていましたね。

 実は大好きなこのジェイムス・テイラーの2002年発表大傑作アルバム『オクトーバー・ロード』も、全編スティーヴ・ガッドがドラムを叩いているのです。

 はっきりいってこのアルバムでは彼のドラムがあんまり目立たないのですが、あえて目立っていない、というか、“ジェイムス・テイラーの決して気張らないヴォーカル・スタイル、及び他の楽器の繊細な音を引き立たせているドラム”と表現した方がいいかもしれません。

 この曲「Caroline I see You」は、ジェイムス・テイラーのヴォーカルが出てくるまでのイントロが2分弱あるのですが、そのイントロ前半・ピアノ中心の部分からブラシを使用したドラムが入ってくるあたりが特に大好き。聴くたびに言葉に言い表せない様々な思いが心を過ぎっていきます。

 ちなみに国内盤・天辰保文さんのライナーノーツは一読の価値あり。作品・音楽への愛が感じられる素晴らしいライナーです。森 陽馬

2006年8月19日(土) Fast 3 「Speakeasy」

 7月、8月は毎年新譜が少ないのですが、今年は大型新譜は少ないものの質の高い聴き応えのあるCDが次々と出ており、個人的に買いたい商品がたまってしまって困ってます・・・。

 このファスト・スリーというバンドの新譜も先日発売され、現在店頭でよくかけている1枚。(FAST 3 『The Grifter』 PCD-23817 \2,415)

 UK出身の新世代JAZZ FUNKグループ、ニュー・マスターサウンズ率いるレーベル、One Note Recordsからデビューしたオルガン・ジャズ・トリオの1stアルバムなのですが、これが超バカうまのテクニシャン3人組で、特に1曲目「Speakeasy」は、ソウル・ジャズ好きの方なら聴いた瞬間にすぐ手に取ってレジに走りたくなってしまうような超高速キラー・ジャズ・ファンク・チューン!
 ソウライヴなどお好きな方なら買いっ!の1枚。

 ちなみにジャケットはブルーノート名盤、The Three Sounds『It Just Got To Be』のパクリ・ジャケですね。以前、佐藤竹善さんの『THE HITS 〜CORNERSTONES 3〜』というアルバムもこのジャケットを模したものだったのですが、ブルーノート側からクレームが入ったらしく、しばらくしてジャケット差替えになった経緯があったのですが、これは大丈夫なのかな?森 陽馬

2006年8月20日(日) The Jam 「English Rose」

 デビュー30周年を来年に控え、リイシューものが多発しているポール・ウェラー。

 来月はスタイル・カウンシル『Our Favorite Shop デラックス・エディション』、そして、生産中止となっていたソロ初期のソロ・アルバム4枚も値段が安くなって再発。更に10月には、キャリア総括の4枚組BOXセット(ファンはほぼ買わざるを得ない充実の内容・・・)なんてのも発売予定。
 あと更に追い撃ちをかけるようにこういうものも出るようです。ファンはお金がいくらあっても足りません!

 ちなみに今月はこういうCDも発売されました。ジャムの出世作『All Mod Cons』のデラックス・エディション!(UICY-7286 \3,670)

 1978年発表された本作をマスタリングしたものに、シングルB面曲やデモ14曲をプラス、更にDVDが付いた仕様で、その付属のDVDにはポール・ウェラーをはじめとするメンバーの最新インタビュー他、当時の未発表ライヴ映像、現在のウェラーが歌う「English Rose」の弾き語りなど、なかなか見所満載な内容です。
 なお初回盤には特典として当時のLPに付いていたポスターのレプリカを封入り。ブックレット内には貴重な写真も多数あります。

 さて、今日のこの1曲「English Rose」は、ジャム初期のものでは珍しいアコースティック・バラード・ナンバー。
 現在のウェラーが歌う方がしっくりくるような気がするのは私だけでしょうか? 当時の恋人について歌っており、終始曲と共に終わり流れる波の音が優しくて心地良い、個人的には大好きな曲です。
 「英国のバラ」なんてラブソングを送られた恋人が少し羨ましいです(笑)。

 ちなみにDVDにはピストルズの初代ベーシスト、グレン・マトロックなんかも登場しています。東尾 沙紀

8月21日(月)は店舗休業日となります。ご了承くださいませ。

2006年8月21日(月)エンリコ・カルーソー「人知れぬ涙」(オペラ「愛の妙薬」より)

 本日は店が休みだったので、恵比寿ガーデン・シネマにて、ウッディ・アレン監督映画『マッチポイント』を鑑賞。

 よくできた映画だと思いますが、正直言ってコメントしにくい映画ですねー。まあそういう映画のストーリーなどはさておき、今回映画内で使われている音楽は、ジャズ・クラシックではなくほぼ全編オペラ。

 オペラを見に行くシーンが随所に出てきて、ちゃんとは調べてないのですが、そのオペラの内容と歌がそのまま映画のストーリーとリンクしているようでした。
 オペラに関しては疎いのですが、なにか良い作品などがあったら見てみたいな、と思いました。(でもやっぱりちょっと敷居が高いかな?)

 ちなみに映画内で元テニス・プレーヤー役の主人公・ジョナサン・リース・マイヤーズがテニスをするシーンがあるのですが、誰が見ても元プロだったとは思えないような下手なスイングだったのには、・・・。

 以前、ウッディ・アレン監督作で『ギター弾きの恋』という映画があった際、主人公のギター弾きの指と鳴っている音が全然合っていない場面なども色々と言われていましたが、ウッディ・アレンは主題以外のそういう細かいディテールは気にしないタチなのかな? 森 陽馬

2006年8月22日(火)吾妻光良&スウィンギン・バッパーズ「カミさん不細工な方がいい」

 日本が誇れるジャンプ・ブルース・バンド! 吾妻光良さん率いるスウィンギン・バッパーズの新作が遂に発売!

 濃い音楽リスナーでもあまり馴染みのない“ジャンプ・ブルース”というジャンルを、わかりやすい日本語詞で表現するスタイルで長年続けてきた彼らですが、今作は最高傑作!と表現してもいいのではないか、というほど充実&爆笑の仕上がり!

 以前、このコラムでも取り上げた「IT・ブギ」(2005年5月5日の今日のこの1曲参照)は歌詞が最高! 他にもRAPに挑戦@「最後まで楽しもう」、Leyonaがfeatヴォーカルで参加したG「Silent George」、社会問題になった耐震強度偽装事件をテーマにしたJ「物件に出物なし2006」(物件に偽装あり)などなど、歌詞カードを読みながら楽しめるゴキゲンな全12曲。

 ♪あんまり綺麗な嫁さんは 街を歩くたび見られて 休みにくつろいでいても かかってくるさ無言電話♪

 ♪どんなに美しい嫁も やがては齢をとってくさ 60過ぎても美人は 吉永小百合さんくらい♪

 なんて歌詞が出てくるD「カミさん不細工な方がいい」も吾妻さんワールド全開でイイ感じ。まだスウィンギン・バッパーズを知らない方にも是非聴いてもらいたいオススメの新作です。森 陽馬

2006年8月23日(水) ローラーコースター 「Act Like You Love Me」

 アメリカのタワー・レコードが経営破たんしたそうだ。
 「えっ?前にも破たんしなかったっけ?」と思ったら、今回が2回目の経営破たんらしい。日本と比べてアメリカでは特にネット配信が進んでいるせいもあるが、これからの日本も他人事ではないだろう。(ちなみに元会社が違うので日本のタワーには全く影響がないそうです)

 さて、そんな音楽業界不況もどこ吹く風で、元気一杯の日本のオヤジ達をご紹介。昨日スウィンギン・バッパーズの新作を紹介したのだから、このCDもちゃんとプロモーションしなくちゃね。

 ローラー・コースターは1970年代中期に結成された日本ブルース・バンド。
 リーダー山崎よしき(Dr)を中心に、以前は吾妻光良さんも在籍していたことがあるグループですが、今回はヴォーカル/ハープに和田耕太郎という人が正式加入し“第4期ローラー・コースター”として始動。10枚目となるアルバムを先日発表しました。(『How Bad Have You Got It?』 PCD-25046 \2,625)

 切れ味鋭い小出斉さんのギターがかっこいい1曲目「Act Like You Love Me」は、ジミー・ロジャースで有名なハイテンポなブルース・ナンバー。
 他の曲も演奏や歌に勢いがあって、ヘタな海外のわけわかんないブルースCDに手を出すよりも絶対に内容的にもオススメの1枚。もちろんブルースそんなに詳しくない方にも推薦。森 陽馬

2006年8月24日(木) かまやつひろし 「ボブ・ディランは今、何を考えているか?」

 先日、お客様より注文が入り、こんなCDが出ているのを初めて知りました。日々、様々なレーベルから色々なCDが出ているので、国内盤にも関わらず僕らも知らないうちに発売になっているCDがたくさんあるのです。(というか、僕らレコード店店員の勉強不足ですね。スミマセン・・・)

 で、このCDは、かまやつひろしが1979年2月にトリオ・レコードから発表したソロ作品。(『スタジオ・ムッシュ』紙ジャケ CRCD-5003 \2,100)

 79年という時代背景もあってか様々な雰囲気の楽曲が収録されていて、和製ラップ調からファンク調、スパイダース時代の代表曲「バン・バン・バン」の再録ヴァージョン、そしてAOR的なアレンジの曲とロック・ナンバーも含んだ11曲に、更に「青春どんずまり」、「あの時君は若かった」のシングル・ヴァージョンも追加収録。

 そのアルバムの1曲目に収録されているのがこの曲。ライナーノーツによると、もともとは内田裕也の1978年発表アルバム『A DOG RUNS』に提供した曲だったそうで、来日中のボブ・ディランが原宿のブランド・ショップで買い物をしているのを目撃したことがヒントとなって生まれたナンバーだそうだ。(そのディラン原宿目撃がどうこの歌詞に活かされているか?は正直言って歌詞を読んでも、よくわからなかったりする・・・。これぞムッシュ・ワールド?)

 更にこの曲には英語のサブ・タイトルがついていて、それは「What Happning Mr Dylan」・・・。
 ちなみに曲の最後の方に謎のMCが入ってくるのですが、これは“笑っていいとも”でお馴染み“タモリ”とのこと。なんとも不思議な1曲です。森 陽馬

2006年8月25日(金) テレサ・ブライト 「Tonight You Belong To Me」

 今年は映画『フラ・ガール』の上映などもあり、ハワイ・ブームのせいかハワイ関連のアイテムが数多くリリースされています。
 質の高い再発商品や新譜も色々と発売されていますが、今日発売されたテレサ・ブライトの新作は特にゆるやかなハワイの空気を感じ取ることができる極上の1枚でした。(『プリティ・アイズ』 ASCS-2302 \2,625)

 テレサ・ブライトは日本でもCMソングなどを歌っていたりしてご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、ハワイでは数々の賞を受賞いている国民的女性シンガー&ウクレレ奏者。
 全体的にシンプルなバッキングとウクレレが心地良く溶け合ったアレンジで、選曲もハワイ・フラの名曲中心ですが、その中でこんな曲もカヴァーしていました。

 Patience & Prudence(ペイシェンス&プルーデンス)という女の子二人組による1956年大ヒット曲で、オールディーズ/ガール・ポップス・ファンには人気のある1曲「Tonight You Belong To Me」(当時の邦題は「いちごの片想い」)。
 ブライアン・ウィルソンや大滝詠一さんもお気に入りの1曲で、その原曲のキュートな魅力を生かし、ハワイアン・ヒーリング・ヴォイスでカヴァーした美しい仕上がりの1曲です。森 陽馬

2006年8月26日(土) 矢野 顕子 「It's For You」

矢野顕子のベスト盤『いままでのやのあきこ』(MHCL-874\5,800)が発売。

 この盤はソニーからの発売ですが、徳間、ミディ、エピック、ヤマハ、と各レーベルに在籍していた時の音源と映像が2枚組CD+DVDに収録された“コンプリート・ベスト”仕様。
 個人的には「電話線」が入っていないのが残念ではありますが、それは『ピヤノアキコ』(ESCL-10004 \3,059)に新録音も入ってましたからね。よしとしましょう。

 さて、今回このベスト盤で何度もリピートしてしまうのは、やはり大好きなこの曲「It's For You」。
 1989年発表アルバム『Welcome Back』の1曲目に収録、名ジャズ・ギタリスト、パット・メセニーが参加したインスト・ナンバーなのですが、矢野顕子を今まであまり聴いたことがない人にこそ聴いてもらいたい名曲です。

 パット・メセニーのギター・ソロが入る4分過ぎからピーター・アースキンのドラム、チャーリー・ヘイデンのベースがテンポ・アップし、弾きまくるメセニーを追うように矢野顕子のピアノが絡む後半の演奏は、奇跡的に美しくそして圧巻の一語!

 実は以前にもこのコーナーで取り上げたことがあった曲なのですが、ベスト盤に収録されたのがうれしくてついついまた取り上げてしまいました。「この曲を聴いてみたいけれどオリジナル・アルバムにはちょっと手が出ない」という方、是非このベスト盤で聴いてみてください。森 陽馬

2006年8月27日(日) ロギンス&メッシーナ 「プー横丁の家」

 極私的な認識なのですが、24時間テレビ、及びJRA競馬の新潟記念が終わると、夏が終わったなあ、と感じるのです。
 ここ何年も行ってないものの、以前は友人と<東京からわざわざ新潟競馬場に遊びに行く>、という不毛?なイベントがあって、その夏の楽しいイベントが終わってしまうと、「ああ、今年の夏は終わった・・・」と思うようになってしまった、というしょーもない悲しい性があるのですが、実際今日は過ごしやすい1日でしたね。

 これからの季節、だんだん涼しくなって秋らしくなってくると聴きたくなるのが、僕にとっては“70'sアメリカン・ルーツ・ミュージック”なのですが、それにピッタリ!の1枚がこれ! 長門芳郎氏監修・選曲のオムニバス『アット・ホーム』(UICY-4138 2枚組 \3,400)。

 良質な70'sサウンド、シンガー・ソングライターの名曲を全36曲集めた好コンピで、クラプトンやサイモン&ガーファンクル等のメジャーなアーティストからフライング・ブリトゥやマーク・ベノ、ハウディ・ムーンなどの渋いアーティストまで全編落ち着いた雰囲気で楽しめます。

 この「プー横丁の家」はニッティ・グリッティ・ダート・バンドが71年にヒットさせたのが有名ですが、元々はケニー・ロギンスが童話「くまのプーさん」を参考に書いた曲だそうで、このCDに収録されているのは、そのケニー・ロギンスとジム・メッシーナ(元バッファロー・スプリングフィールド〜ポコ)によるロギンス&メッシーナによるヴァージョン。

 ちなみに8月28日(月)下北沢440にて、長門芳郎氏&土橋一夫氏お二人の主催による夢街名曲堂/ドリームズヴィル・イベント【夢街ピクニック〜Shutter and Love 『夢の続き』レコ発記念篇】が開催される予定です。
 Good Time Music/ドリームズヴィル・ファンは要チェック! 森 陽馬

8月28日(月)は店舗休業日となります。ご了承くださいませ。

2006年8月28日(月) 田中 良 「Ol'55」

 下北沢の“440”というライヴ・ハウスで、夢街名曲堂のイベントを観覧。

 インスタント・シトロン、元ラリー・パパ&カーネギーママのキム・スチョリ、Shutter and Loveという大阪のバンドなどが出演しましたが、一番異彩を放っていたのが田中良(たなかまこと、と読みます)。

 あまり知名度はないかもしれませんが、そのブルージーなダミ声は一聴の価値がある日本人ブルース・シンガー&ギタリストで、そんな彼にピッタリな選曲?とでも表現したくなる1曲「Ol'55」のカヴァーを今日は披露してくれました。
 “ダミ声”といえばこの人!とも言うべきトム・ウェイツの名曲ナンバー。イーグルスなどがカヴァーしていることでも有名ですね。

 ちなみにMCで長門芳郎さんがおっしゃってましたが、本日のリハーサルで田中良さんがこの曲をやっていたとき、ちょうど外では、トム・ウェイツ主演の映画『ダウン・バイ・ロー』を監督したことでも有名なジム・ジャームッシュが、下北沢の街で映画の撮影を行っていたそうです! なんという偶然!

 その撮影されていた映画がいつ公開になるか、は全くわかりませんが、その映画で下北沢の街が映る場面が出てきたら、きっとこの曲を思い出すことでしょう。森 陽馬

(ジャケット写真は今年4月に発売になった田中良の新作アルバム『神様がくれた僕らの日々』YDCD-121 \2,625。これには「Ol'55」のカヴァーは収録されておりません。)

2006年8月29日(火) Bob Dylan 「Thunder On The Mountain」

 ボブ・ディランの新作オリジナル・アルバム『モダン・タイムズ』(SICP-1136 初回限定DVD付 \3,150)が本日入荷。

 前作『ラヴ・アンド・セフト』が発売されたのはアメリカ同時多発テロが起きた2001年9月11日。つまりこのアルバムが5年ぶりということは、同時多発テロからも5年が経ったということになるわけです。

 そういう側面からもどんなアルバムになるのか興味津々でしたが、サウンドに関していえば一聴した限りはリラックスした雰囲気すら感じさせる音作りで、僕が予想していたよりもはるかに聴きやすい仕上がりの作品でした。
 ディランのヴォーカルも一時期の“ヒキガエルを踏み潰したようなダミ声”(ディラン・ファンの方、変な表現でスミマセンッ!)ではなく、比較的会話するのに近いような聴き取りやすいヴォーカルで歌っているように感じます。(といっても一般の人が聴けば十二分にダミ声だと感じるでしょうが・・・)

 1曲目に収録されているこの「サンダー・オン・ザ・マウンテン」は、菅野ヘッケルさんによるライナーノーツにも書いてありますが、ディランの65年作「サブタレニアン・ホームシック・ブルース」を彷彿とさせるロック・ナンバーで、ディラン・ファンならば聴いた瞬間に「おっ!今回のディラン、イイじゃん!」と思うに違いない快心の1曲。
 (♪アリシア・キーズのことを考えていたら、泣かずにはいられなくなってしまった♪なんて、歌詞も出てきます)

 しかしながら、アルバム全体的には重いテーマの歌詞が多く、歌詞カードを一読しただけではわかりにくい難解な表現も多数。そういう面では、ディランのソングライティングの深さを改めて実感。

 ちなみに単なる希望ではありますが、来年のグラミー賞にこのアルバムがノミネートされて、この曲をアリシア・キーズとディランが共演して歌う、なんてことにならないかな? 森 陽馬

2006年8月30日(水)サディスティック・ミカ・バンド 「私はBig Bang Bang」

  私事でありますが本日、抽選で当たったチケットが余っているというお客様からのご好意で、サディスティック・ミカ・バンド再結成のPV撮影会に店を抜け出して参加してきました。

 場所はテレビ朝日ビルのすぐ横にある六本木ヒルズアリーナ。
 今度10月25日に発売予定の17年ぶり復活オリジナル・アルバム『NARKISSONS (ナルキッソス)』のリード・ナンバー「私はBig Bang Bang」のプロモーション・ビデオ、ということで、撮影編集用にその曲のみを繰返し演奏した撮影会でした。(演奏といってもほぼカラオケでしたが・・・)

 12時開場、13時撮影開始、間にカメラ・クレーンのセット・チェンジなどを挟んで、16時半終了までにだいたい6〜7回くらいもこの曲を繰返し撮影しましたが、独特のフックの効いたサビなどが絶妙で何度聴いても飽きませんでした。
 CMでも使われ大人気のナンバー「タイムマシンにおねがい」と同じく、作曲:加藤和彦、作詞:松山猛のコンビによる作品で、まさに“タイムマシンにおねがい21世紀版”といっても過言ではないポップなナンバー。

 ちなみに、今回新たに加入した木村カエラは正直言うと今までは「なんでこんなに人気あるのかな?」なんて思っていたのですが、目の前で見たらイメージよりもすごくちっちゃくてお人形みたいなかわいさ♪ 素敵なおじさま達(加藤和彦、高中正義、小原礼、高橋幸宏)を従えて、独特なオーラを振りまいていました。

 あと、幸宏さんがドラムを叩く姿を久々に生で見れてよかったです。今日は1曲だけしか聴けませんでしたが新作がすごく楽しみになりました。森 陽馬

★ちなみにジャケット写真は「タイムマシンにおねがい」他全18曲収録『ゴールデン・ベスト』(TOCT-10861 \1,980)

2006年8月31日(木) デオダート 「タヒチ・ハット」

 8月も今日で最後ですが、まだまだ蒸し暑い日が多いですね。
 そんな時には涼しさを運んできてくれる音楽。
と言ってもいろいろありますが、このデオダートの『ラヴ・アイランド』はレコード時代から夏の愛聴盤でした。

 1978年発表。フュージョンの名作が多く生まれた1970年代後半の“一番イイ時代”の作品です。
 一度CD化されましたが、すぐに生産中止になり残念に思っていましたが、10月にデオダートが来日!とのことで、最新リマスタリングでの紙ジャケット仕様でCD化(『ラヴ・アイランド』 VICW-60015 \2,625)。うれしいです。

 どの曲もデオダートらしいホーン・アンサンブルとエレクトリック・ピアノがフィーチャーされていますが、今日のこの1曲はデオダートとモーリス・ホワイトの共作曲「タヒチ・ハット」。

 トロンボーンを中心としたホーンの響きは海にゆったり漂っている感じを運んできてくれます。バックはEW&Fのアル・マッケイ(カッティング・ギター最高!)、フレッド&ヴァーディン・ホワイト(バラードながらタイトなリズムを演出のドラムス&ベース)。森 勉


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