PET SOUNDS RECORD
今日のこの1曲 アーカイヴス


  今日のこの1曲 “Achives”

<2007月5月>

当店ペット・サウンズ・レコード店にて、
その日に店内でかけていた曲の中から、
店員の独断と偏見で選んだ“今日のこの1曲”コーナー

2007年5月に更新した“今日のこの1曲”コーナー。

廃盤・生産中止、規格番号の変更など、
情報が古くなっている商品もございますが、ご了承くださいませ。


<最新の“今日のこの1曲”はこちらのページをご覧ください>


2007年5月1日(火) Sly And The Family Stone 「I Want To Take You Higher」

 先月発売されたレコード・コクレターズ誌(2007年5月号)の特集【60年代ロック・アルバム・ベスト100】。そのベスト100中28位にスライ&ザ・ファミリー・ストーンが入っていました。

 <ジミ・ヘンドリックスがロック>というのは多くの方が認めるところだと思いますが、黒人/FUNKであるスライがこのロック・アルバム・ベスト100に選出されることには異論・反論色々とあるようです。では何故選出されたのか? スライがロックのカテゴリーで語られることが多いのは何故か?

 ロック的なメッセージ、精神的な意味でのロック、という所以もあるかもしれませんが、やはりウッドストック・フェスティバルに出演し、彼等のライヴが映画『ウッドストック〜愛と平和と音楽の3日間〜』にも映像として残った、というのが一番大きいと僕は思っています。

 もしオーティス・レディング(1967年没)が生きていてウッドストックに出演していたら・・・、とか、ジミ・ヘンドリックスがウッドストックに出演せずにまだ生きていたら・・・、などと思うと、やはりウッドストックというのは60年代ロックの象徴であったのだな、と感じるのです。(そもそも“60年代の音楽”に関してジャンル分けすること自体がちょっと無理があるかな、という気がしないでもないですが)

 ちなみに今日のこの1曲は、ウッドストックで演奏された『スタンド』(MHCP-1306 \1,890)からのファンキーなナンバー。輸入盤でも出てましたがやはり本日入荷してきた国内盤の方が紙ジャケットの装丁だけでなく解説から歌詞・対訳などもしっかりしていて断然いいですね。森 陽

2007年5月2日(水) 大貫 妙子 「Time To Go」

 すでに数日が経過してしまいましたが、4月30日東京オペラシティで行われた大貫妙子さんのコンサートを見に行ってまいりました。

 久々にゆったりと落ち着いた心持ちで聴けたコンサートで、ついついウットリ〜ウトウト・・・。といっても爆睡してしまうような感じとは違って、清い川に身を委ねるようなやさしい雰囲気に体中が包まれる感覚で、約2時間、素晴らしいひとときを過ごすことができました。

 特に印象的だったのはこの曲「Time To Go」。
 大貫さんがMCで、「ラヴ・ソングの曲作りは“現在”ではなくて“過去”のことを思い出して作ることが多いです。・・・でも私自身(の恋)とは限らないですよ。」とお話されてから曲が始まったのですが、フェビアン・レザ・パネのピアノの響きと抑え目のベース音、そして弦楽の絡みが大貫さんの歌声を程よく引き立てて、その切ない歌詞とともに心にじんわりと沁みました。(ついつい帰宅後歌詞カードを読み直してしまいました)

 ちなみにライヴではドラムを林立夫さんが担当。“日本のスティーヴ・ガッド”と称したくなるような絶妙のブラシ・プレイにも魅了されました。森 陽馬

★大貫妙子さんの新作『Boucles d'oreilles』(初回紙ジャケット仕様 MHCL-1030 \3,000)に収録されています。

2007年5月3日(木) EPO 「身代わりのバディー」

 大貫妙子、竹内まりやと共に“RVCレコード3人娘”として多くの名曲を生み出したエポの初期作品がリマスターされ、紙ジャケット仕様でCD化されました。その中から今日はこれ。(『JOEPO』 BVCK-17003 \2,100)

 3曲目ですが、1、2曲目はラジオのジングル的な役割をになっているもので、続けて聴いてこの曲に到達する聴き方をおすすめいたします。

 エポの作品の中でも特に好きな1曲で、彼女がいるサーファーの男の子を好きになってしまった女心が甘酸っぱく沁みてきます。山下達郎アレンジのバックのサウンドも素晴らしく、青山純―伊藤広規の完璧なリズム・セクションが強力にメリハリをつけ、EPO自身と大貫妙子・山下達郎のコーラスが鰻にふりかける山椒のようにピリッと効いています。

 そう、1981年発表のこのアルバム。レコードの時代は45回転で発売されました。回転数が早いだけに音が良かったことを想い出しました。
 今回オリジナルに忠実に紙ジャケット化ということで、帯の
<日本初の「シングル盤」(正しくはジングル盤)エポが造った楽しい新しい放送局!!>の文句がそのまま再現されてますね。森 勉

2007年5月4日(金) Carnie and Wendy Wilson 「The Warmth Of The Sun」

 ブライアン・ウィルソンの新曲が好評の『NEW MUSIC FROM AN OLD FRIEND』。店頭品切れ状態でしたが昨日再入荷。それと同時に以前からオーダーしていたこのアルバム『A SONG FOR MY FATHER』(OEM-28-4)がやっと入荷してきました。

 タイトル『A SONG FOR MY FATHER』通り、有名なミュージシャンである父の名曲をその息子or娘がカヴァーした楽曲集。これがどれもグッとくる歌が多くて、歌っているのは若い世代の息子&娘たちなのですが、オールド・ファンには堪えられない選曲になっています。

 ジム・クロウチの息子(A.J.Cross)による「Lover's Cross」、グレッグ・オールマンの息子(Devon Allman)による「Midnight Rider」、キャロル・キング&ジェリー・ゴフィンの娘(ルイーズ・ゴフィン)による「Up On The Roof」他、サンタナの息子、リッキー・ネルソンの息子、レナード・コーエンの息子などなど聴き所満載。

 でもやっぱり今日のこの1曲には、夏が近づいてきたこともあり、ブライアン・ウィルソンの娘であるカーニーとウェンディが歌うビーチ・ボーイズカヴァーを選定しました。ちなみにこの曲、11曲目に収録されているのですが、続く12曲目にはウィルソン・フィリップスで一緒だったチャイナ・フィリップス(ママス&パパスのジョン・フィリップスの娘)による「Got A Feeling」が収録されています。森 陽馬

2007年5月5日(土) Linda Scott 「I've Told Every Little Star」

 もう映画情報通の方はご存知かもしれませんが、デヴィッド・リンチ監督の最新映画『INLAND EMPIRE』が7月に公開になるそうです。

 『マルホランド・ドライヴ』から早5年。この間ほとんど音沙汰がなく、新作を今か今かと待ち焦がれていた方(かく言う僕もそのうちの一人です)が多いとは思いますが、また脳髄を溶かすようなリンチ・ワールドを体感できるのがとても楽しみですね。

 今日のこのリンダ・スコットの曲は、意外?にも前作『マルホランド・ドライヴ』の映画内で使われていた1曲で、ショー・ビジネスの表と裏の対比を効果的に演出していました。(同じようにコニー・スティーヴンスの曲も使われていました)

 “奇人”と見なされがちのデヴィッド・リンチですがオールディーズ・サウンドが好きなようで、映画内の音楽ひとつひとつにもコンセプトを定め使用していることが多いのです。特にロイ・オービソンの「クライング」は彼の映画でよく登場する1曲です。森 陽馬

★リンダ・スコットの今日のこの1曲はVIVID SOUNDから発売されている『GIRLS! GIRLS! GIRLS!』(VSCD-5316)に収録。)

2007年5月6日(日) Talc 「Kings Of The Road」

 六本木に新しくできた東京ミッドタウン。その中に“ビルボード・ライヴ”いうブルーノート大阪系列のライヴ・スポットが8月オープン予定なのですが、そのこけら落としを行うのがなんと!スティーリー・ダン!

 あのスティーリー・ダン・至高のライヴをキャパ数百人のスペースで観れる!とわくわくしていたのですが、先日やっと料金が発表!・・・。むむむ・・・、23,000円・・・。(サービス・エリア23,000円、カジュアル・エリア19,000円)
 これが高いか安いかは別にして、はたしてチケットが取れるかどうかが一番の問題。何しろ<こけら落としライヴ>なので、東京ミッドタウン関係者や協賛メーカーなどに招待券が行ってしまいそうな状況です。

 まあその話題は置いといて、今日のこの1曲で紹介するタルクは、スティーリー・ダン・ファンは要チェックのグループ。英国出身2人ユニットで、インコグニートやブラン・ニュー・ヘヴィーズなどのバックで演奏してきたマルチ・ミュージシャンの2人なのだそうです。

 国内盤帯には“懐かしく、新しいAOR”と書かれていますがまさにその通りのサウンドで、一聴するとスティーリー・ダン、もしくはペイジズの新録音・未発表音源か?と錯覚してしまうような音作り。ヴォーカルも少しドナルド・フェイゲンを意識したような歌声で、スティーリー・ダン好きの方は必聴のアルバムです。

 実際、「スティーリー・ダン、ドゥービー・ブラザーズ、ビーチ・ボーイズ、フランク・ザッパに影響を受けた」とメンバー2人も公言しているそうですし、この「Kings Of The Road」という曲名も楽曲は違うとはいえ、スティーリー・ダンの「King Of The World」という曲名にインスパイアされたのかな、と勘ぐってしまいます。森 陽馬

★Talc 『Sit Down Think』(国内盤 PUCY-1061 \2,200)に収録。

2007年5月7日(月) Squeeze 「Is It Too Late」

 昨年初めて見たグレン・ティルブルックの来日公演、たった一人、アコギ一本でステージと客席を駆け巡る彼はとにかくパワフルでとてもチャーミングな人でした。その彼が在籍していた英国のポップ・グループ、スクイーズのアルバムは国内盤の殆どが廃盤で、78年の1stに至っては国内初CD化という状態でしたが、この度めでたく8作品が紙ジャケ、ボーナストラック付きで再発されました。
 
 スクイーズで主要なアルバムといえば、プロデューサーにデイヴ・エドモンズ、エルヴィス・コステロを迎え、今回ボーナス・トラックにニック・ロウがプロデュースした楽曲を収録した4thアルバム『East Side Story』など、それ以前の初期作を挙げる方が多いかもしれませんが、個人的に大好きなのが、“芝生に亀”のジャケットがインパクトある8thアルバム『Frank』(POCE-1136 \2,625)。
 
 89年発表作ということもあって『80年代』の音は鳴りをひそめ、ひねたメロディーはそのままに今聴いても決して古臭さを感じさせないシンプルなサウンドで、リラックスした雰囲気さえ漂います。
 脱退、再加入を繰り返していたオリジナル・メンバーでもあるジュールズ・ホランド(日本では「ジュールズ倶楽部」の司会と言った方がお馴染みでしょうか?)の転がるようなピアノも楽曲をよりひき立たせています。

 「Is It Too Late」はアルバムの最後の曲で、のびのびとしたグレンのヴォーカルとメンバーの掛け合いが楽しいオールディーズ風ポップソング。ハッピーな気分になりたい時に聴きたい私的名盤です。東尾沙紀

2007年5月8日(火) アンリ・サルヴァドール 「あなたを愛してしまう」

 1917年生まれというから、今年で御年90歳! 先日発売になったフランスの巨匠、アンリ・サルヴァドールの新作『レヴェランス』(V2CP-323 \2,520)は滋味溢れる素晴らしい作品でした。

 アルバムの大半を占める8曲がブラジルのリオ・デジャネイロ録音によるもので、プロデュースは坂本龍一と共演したことでも知られるモレレンバウムが担当。カエターノ・ヴェローゾやジルベルト・ジルも参加し、ブラジル好きの方はもちろん、そうでない方にも大推薦の1枚です。

 13曲目に収録されているこの「あなたを愛してしまう」(フランス語原題:Tu Sais Je Vais T'aimer)は、元々はアントニオ・カルロス・ジョビン&ヴィニシウス・ヂ・モラエスのペンによる1959年作のブラジル名曲「Eu Sei Que Vou Te Amar」。それを名ソングライター、ジョルジュ・ムスタキがフランス語に訳し、90歳のアンリとジルベルト・ジルがデュエットしているのですが、これがもうとにかく夢見心地にさせてくれる極上の1曲。(ラスト14曲目・国内盤のみのボーナス・トラックには、その「あなたを愛してしまう」の全くアレンジの違う別ヴァージョンが収録されておりそちらも聴きものです)

 タイトル『レヴェランス』(“尊敬の念”の意)通り、90歳にもなるアンリが今回の作品に携わったミュージシャンやスタッフなどに敬意を表した文章がブックレットの最後に掲載されており、この寄稿を読むだけでも価値あり!
 90歳とは思えないような魂の歌声であり、また、90歳だからこそ伝わってくる温もりに満ちた歌声はやさしい輝きに満ちています。森 陽馬

2007年5月9日(水) THE MYSTICS 「Hushabye」

 ブライアン・ウィルソンもフェイバリット・ソングライターに挙げているドク・ポーマス&モート・シューマンの作品集が発売されました。(『The Pomas & Shuman Story 1956-1967』 ACE CDCHD-1152 \2,415)

 リーバー&ストーラーの作品集もリリースしたイギリスのエース・レーベルからなので、選曲も音質も申し分ないものになっています。

 ドリフターズの「ラストダンスは私に」、テリー・スタッフォードの「サスピション」、ディオン&ザ・ベルモンツの「ア・ティーンネイジャー・イン・ラヴ」などの有名曲はもちろん、渋いレイ・チャールズ、バレット・ストロング、アーマ・トーマスなど本当にいい曲を書いたコンビだったんだと実感できる全26曲。

 今日は1959年のヒット「ハッシャバイ」を。
 ニューヨーク出身のホワイト・ドゥーワップ・グループ、ミスティックスの素晴らしいハーモニーがステレオ・ヴァージョンで楽しめます。
 もうすぐ夏、ビーチ・ボーイズのヴァージョンも続けて聴きたくなりますね。森 勉

2007年5月10日(木) David T Walker 「Didn't I Blow Your Mind」

 ライヴ・レポートになってしまいますが、本日デヴィッド・T・ウォーカーの来日公演初日を見に行ってまいりました。

 場所は有楽町と東京駅の間くらいに最近新しくできた“コットン・クラブ”という上品でオシャレなライヴ・スポット。1stステージが押してしまったそうで(デヴィッド自身のMCがかなり長かったらしい)、2ndステージの開場は大幅に遅れて21時過ぎ。遅い整理番号だった僕が入場できたのは21時40分近くだったので、結局2ndステージが始まったのも21時50分くらいでした。

 前置きが長くなってしまいましたが、肝心のデヴィッド・Tのライヴ。いや〜〜〜、やはり良かったです! ホント、あのギターの音色を生で聴けるだけでも大満足なのですが、1stステージからの加速がついたようでかなり弾きまくっていました。
 選曲的にも素晴らしく、「What's Goin On」が一番盛り上がっていましたが、僕的にはデヴィッドらしいメロウなギターを存分に聴かせる「Lovin' You」、そしてデルフォニックスの名曲「Didn't I」が聴けてうれしかったです。(1stステージの押しを反省してか、2ndステージはメンバー紹介以外のMCがほとんどありませんでした。)

 ただ、これは個人的な意見ですが、ドラマーの自己主張が強すぎて前半は聴いていてちょっと辛かったです。やはりお客さんのほとんどはデヴィッド・Tのギターを聴きに来ているのだから、もう一歩引いた抑え目なドラムで全体の曲を聴きたかったな、というのが本音です。

ちなみに客席には著名人も多数いらっしゃっていて、ドリカムのお2人、つのだひろさん、ピーター・バラカンさん等が御覧になっていました。森 陽

★「Didn't I Blow Your Mind」は『ブレス・オン』(VACM-1298 \2,625)に収録されています。

2007年5月11日(金) Peter Gallway 「Try More Love」

 フィフス・アヴェニュー・バンドのピーター・ゴールウェイから地味ながらも心に沁みる新作が届けられました。(輸入CD Crooked Cove Records CC75706 \2,500)

 80年代以降も何作か新作をリリースしているものの、僕としては正直言ってグッとくる作品が少なかったのですが、この新作は予想以上に素晴らしい内容で、72年作『ピーター・ゴールウェイ』と並ぶ彼の最高傑作!と評したくなるぐらいの1枚。

 “リズム・アンド・ブルース”というタイトルではありますがそういうコンセプトの作品ではなく、友人達とのさりげない会話から出てきた興味深い言葉をそれぞれの曲名に冠しており、ピーターらしい温もりを感じさせるシンプルながらも良質なシンガー・ソングライター作品に仕上がっています。

 演奏は全体的にアコースティックかつシンプルな作りで、ラリー・ジョン・マクナリーのギターとピーターの歌声が中心。どの曲もメロディーが良くて、味わい深いピーター・ゴールウェイの歌声が最高! 最近のピーター・ゴールウェイはちょっと・・・、というシンガー・ソングライター・ファンの方にも大推薦のアルバムです。森 陽馬

2007年5月12日(土) 中野 督夫 「夕方フレンド」

 現在のこの新店舗に移ってから、うれしい体験や出来事がたくさんありましたが、ここ最近で一番うれしかったのは、センチメンタル・シティ・ロマンスの中野督夫さんとアポがとれ、わざわざご来店いただいたことです。

 中野さんの一般流通していないソロCDの販売許諾をいただき、更には当店の地下にあるイベント・カフェ“AGAIN”にて、6月30日にソロ・ライヴをやっていただけることも決定! ホント、お話させていただくだけでも光栄なのに、当店の地下で来月、中野さんの歌声を聴くことができるとのことで感無量です。センチメンタル・シティ・ロマンスとして、フジ・ロックへの出演も決定したそうですし、そろそろまた新作をリリースしてほしいものですね。

 ちなみに、この中野さんのソロ作は2003年発表の2ndアルバムで、中野さんらしいジェイムス・テイラー的なギターと郷愁を誘う歌声が素晴らしい全11曲の隠れた名作。

 10曲目に収録されている「夕方フレンド」という曲は作曲:吉川忠英、作詞:中野督夫さんによる沁みる1曲で、メジャー・デビュー前の湯川潮音さん、湯川トーベンさん、五島良子さんがコーラスを担当。センチの細井豊さん、野口明彦さんも参加しています。森 陽馬

2007年5月13日(日) Lotus 「It's All Clear To Me Now」

 この“今日のこの1曲コーナー”を立ち上げたばかり<2004年12月(12/21)>にも取り上げたことがあるロータス。アメリカはインディアナ州の大学で知り合った仲間で結成され、2002年よりフィラデルフィアを中心に活動している“エレクトロニック・ジャム・バンド”です。

 エレクトロニカというよりも、生楽器によるジャズ・フュージョン・スタイルをエレクトロニカ的に昇華させた、という感じでもあり、CLUB MUSIC好きの方にもオススメの21世紀型フュージョン・サウンド。
 そんな彼等の2006年ツアーのライヴ盤『Escaping Sargasso Sea』(LBCY-423 \2,600)が2枚組CDで発売されました。

 これがもう超絶のインスト・ジャムで、ゆっくり始まる曲でも中盤あたりからどんどんスピード・アップしていく演奏は鳥肌もの! 特にDisc.2の2曲目から5曲目までの約35分は切れ目がなくノンストップで、3曲目「Sunrain」の後に昔のライヴ盤『ジャーミネイション』にも収録されていた「Flower Sermon」14分を挟み、また「Sunrain」に戻っていく、という構成はライヴならでは、の疾走感。夜、車を運転しながらエンドレスで聴きたい1枚です。森 陽馬

2007年5月14日(月) 桑田 佳祐 「明日晴れるかな」 

 16日発売(15日入荷)の桑田佳祐のNewシングル『明日晴れるかな』(VICL-36500 \1,260)。サンプル盤が本商品より早く到着したので、いち早く聴かさせていただきました。

 今回のシングル盤、印象的なのは村田陽一(トロンボーン)を筆頭にホーン隊が入っていること。金原千恵子によるストングスも絡み、ミディアム〜スローの“桑田メロディー”と見事に調和しています。
 2曲目「こんな僕で良かったら」では更にサックス奏者本田雅人を中心にサックス&トランペット奏者を増員しホーン隊総勢13名! スウィンギーな雰囲気の今までになかったタイプの新曲でした。

 ちなみに初回限定盤にはステッカー封入&シルバー・ケース仕様と共に、ボーナス・トラックで「こんな僕で良かったら」のCMヴァージョンが追加収録。当店ではお買い上げの方に桑田グッズが当たる抽選会も行っておりますので、購入予定の方はお早めにどうぞ。森 陽馬

2007年5月15日(火) Eddie Holland 「Jamie」

 カセット全盛時代、“マイ・セレクション・テープ”を作った方も多いのでは・・・。自分の好きな曲を順に聴けるとあって、僕も日夜その作成にいそしんだ時がありました。

 テーマを決めて、「雨」、「夏」、「数字」、「ベイビーがタイトルに入った曲」などを集めたりして・・・。その中に「人名、女の子の名前」なんていうのもありましたね。

 この『Girls Girls Girls』(ACE CDCHD-1141)と題されたコンピは、女の子の名がタイトルになったものを28曲集めたもの。ニール・セダカ「オー・キャロル」、アーサー・アレキサンダー「アンナ」、などの有名どころから、このコンピならではの曲も入っています。

 エディ・ホーランドはモータウンのスタッフ・ライター、“ホーランド=ドジャー=ホーランド”のコンビで数々の名曲を書いた人。その彼のかけだし歌手時代の「ジェイミー」は、とてもポップで、モータウンらしくないティーン・ポップス調に仕上がっています。1961年、バレット・ストロングとミッキー・スティーヴンソンの作品。森 勉

2007年5月16日(水) Maria Muldaur 「Sweet Lovin' Ol' Soul」

 ヒット曲「真夜中のオアシス (Midnight At The Oasis)」で知られ、1970年代から活躍している女性シンガー、マリア・マルダー。彼女の近作は風格漂う女性ブルース・シンガーとして渋い歌声を聴かせてくれるようになりましたが、今日紹介するこのアルバムもルーツ・ミュージックの奥深さをじんわりと感じさせる味わい深い1枚です。

 『Sweet Lovin' Ol' Soul』は2005年発表のアルバムなのですが、夢街名曲堂よりこの度国内初CD化(YBMD-1002 \2,625)。当時グラミー賞にもノミネートされた作品だそうで、内容もカントリー・ブルースのトリビュートというコンセプトながら、聴きやすいルーツ音楽集に仕上がっています。

 バック・ミュージシャンも通好みのメンツで、ジム・クエスキン・ジャグ・バンド時代からの盟友である故フリッツ・リッチモンドほか、ゲストにタジ・マハール、トレイシー・ネルソン、アルヴィン・ヤングブラッド・ハートなども参加。マリアとの絶妙な掛け合いを楽しく聴かせてくれます。

 ちなみにジャケットには『〜 Old Highway 61 revisited 〜』の文字がサブ・タイトルのように記載。昨年2006年に発表されたマリア・マルダーによるボブ・ディランのカヴァーアルバム(UCCT-1168 \2,548 2006年8月15日のこのコーナーでも紹介しました)はここから繋がっていったのですね。森 陽馬

2007年5月17日(木) Hummingbird 「Gypsy Skys」

 第2期ジェフ・ベック・グループのキーボード奏者、マックス・ミドルトンを中心に結成されたハミングバード。基本的にはロック扱いなのかもしれませんが、ジャズ、フュージョン、ソウル・ファンにこそオススメしたい76年発表の名作『密会』がこの度世界初CD化されました。(UICY-93244 \2,500)

 ハミングバードの2ndアルバムにあたるこの作品は、全編バーナード・パーディがドラムを叩いていて、ハイハットのオープン&クローズを多用したリズムがファンキーでかっこいい1枚。もちろん、マックス・ミドルトンの技も冴え渡っており、今日のこの1曲「Gypsy Skys」では、ミディアム〜スローなナンバーながら、彼の弾くフェンダーローズとムーグ・シンセの音色が絶妙。アルバム中半分の楽曲がインストですが、“聴きやすいクロス・オーバー・フュージョン”としても楽しめます。

 それにしてもジャケットも含め、邦題タイトル『密会』、というのがいいですね。(原題は『We Can't Go On Meeting Like This』) ちなみにこの盤、発売されたばかりなのですが、すでにメーカー品切れですので、購入予定の方はお早めに。森 陽馬

2007年5月18日(金) Spencer Davis Group 「Kansas City」

 “ボーナス・トラック”はあくまで“ボーナス”であって、一度聴いておしまい、というものも少なくないのですが、このスペンサー・デイヴィス・グループの2ndアルバム再発盤(UICY-93174 限定紙ジャケット仕様 \2,141)に収録されている“ボーナス・トラック”は大好きで本当に何度も聴き返しています。

 今日のこの1曲、「カンザス・シティ」のオリジナルはウィルバート・ハリソンですが、一般的にはビートルズのカヴァー・ヴァージョンが有名。他にも色々なアーティストがカヴァーしていますが、疾走感という意味ではこのスペンサー・デイヴィス・グループのヴァージョンがダントツ!最高!!なのです。

 シャッフル・ビートではなく高速ビートに置き換えられた迫力ある演奏をグイグイ引っ張るようにシャウトするスティーヴ・ウィンウッド!1965年のライヴ・テイク、ということですから、この時彼はまだ17歳!という若さ。ホント凄いですね。
 是非、この当時の彼等の映像を発掘してほしいものです。森 陽馬

2007年5月19日(土) The Sea And Cake 「Exact To Me」 

 シカゴ出身のロック・バンド、シー・アンド・ケイクの4年振りとなる新作『EVERYBODY』(HEADZ-94 \2,415)が先日発売。

 “シー・アンド・ケイク”の名前をご存知でなくても、片寄明人さん(Great3)とも交流があるジョン・マッケンタイアというアーティストの名前を聞いたことがある方は多いはず。そのジョン・マッケンタイアがドラムで、サム・クレコップ(Vo,G)、アーチャー・プルウィット(G)、エリック・クラリッジ(B)の4人によるシー・アンド・ケイクは、シカゴ音響派、として捉えられることが多いのですが、そのサウンドはいたってポップ。
 サム・クレコップの“男性版ウィスパー・ヴォイス”とでも表現できる歌声が彼等独特の浮遊感あるポップ・ソングに合っています。

 7作目となる今作は初めてメンバー以外のプロデューサーを招きいれ、ベックやウィルコなどの仕事でも知られるブライアン・ポールソンがプロデュースを担当。今までと比べ多少ポップ・ロック寄りな音作りになっていますが、基本的には変わっておらず、良質なポップ作品に仕上がっています。

 音だけでなく彼らはアート的なセンスも良くて、今回もインナーにモノクロ写真(シカゴの街?)が3組入っており、そういうさりげないセンスにも惹かれるグループです。森 陽馬

2007年5月20日(日) Carla Bruni 「Those Dancing Days Are Gone」

 ジャケットに写っているドブロ・ギターを傍らに座って本を読んでいるきれいな女性。彼女はイタリア生まれフランス育ちの元スーパーモデル、“カーラ・ブルーニ”。
 シンガーに転身して第2作目となる今作は、19〜20世紀の英米の有名な詩人の作品に彼女が曲を付け歌ったという試みのもの。

 前作は歌詞がフランス語だったのに対し今作は全て英語で、ライナーによると英語指導をしたのはマリアンヌ・フェイスフルなのだそうです。
 低音でかすれ気味のつぶやくような歌声は心地良く響きます。

 サウンドはカントリーなどアメリカ的なシンプルなアコースティック・サウンドで、リラックスして聴ける曲ばかり。
 この曲は国内盤のみボーナス・トラックで、一曲目の曲(邦題:ダンスする日々は過ぎ去って)にルー・リードのポエトリー・リーディングを追加したものです。東尾沙紀

2007年5月21日(月) レイ・カーネ、山内雄喜、サンディー、久保田麻琴「ハワイ・アロハ」

 ハワイに行ったことがある、といってもそれはもうはるか昔の話。僕が小学校低学年の時、祖父が森家から誰か一人だけハワイに連れていってくれる、という話になり、何故か僕が森家を代表してハワイに行ったのだった。
 “夢のハワイ”に行ったはずなのにほとんど覚えていなくて、唯一鮮明に脳裏に記憶されているのがホテルのプールで溺れたことぐらい・・・。ああ、もったいない。

 それ以来ハワイに行く機会はなかったし、ハワイに特別興味があるわけでもないのだけれど、このCDを聴いていたら、ハワイの空気を吸いたいな、と感じてしまうから音楽というのは不思議なものだ。

 『ハワイ 音のおみやげ 決定盤』(RES-123 \2,500)は、ハワイの名曲を山内雄喜、レイ・カーネ、レネ・パウロ他実力派ミュージシャン達が聴きやすいアレンジで演奏&歌っている好コンピ。ハワイ好きの方はもちろん、ハワイ初心者の方にも親しみやすい1枚。
 最後に収録されている「ハワイ・アロハ」は元々はトラディショナル曲なのだが、それにロレンツォ・リオンヌが新たに歌詞を乗せた別れの歌。

 当分ハワイに行くことはないと思うが、ビーチ・ボーイズ、もしくはブライアン・ウィルソンのハワイ公演をいつか見に行ってみたくなった。森 陽馬

2007年5月22日(火) 竹内 まりや 「クリスマスは一緒に」

 竹内まりやさんの6年ぶりとなる新作オリジナル・アルバム『Denim』がやっと発売になりました。

 まさにアルバム・タイトル『Denim』の如く、聴くほどにより味わいが滲み出てきそうな充実の12曲。(初回盤ボーナスCDには6曲収録)。 はっきりいって全ての曲がハイライト、といっても過言ではない仕上がりです。

 その中でも僕が個人的に一番気に入ったのが季節外れなこの曲。
 昨年末に日本テレビ系列で放映された『HAPPY X'mas SHOW!』のテーマ・ソングとなった1曲ですが、まりやさん曰く、「山下達郎にカッティング・ギターを弾かせたくて作った曲」とおっしゃっている通り、イントロが名曲「プラスティック・ラヴ」を彷彿とさせる感じで、もうこの冒頭部分だけでやられてしまいました。

 ちなみにこの曲でドラムを叩いているのが、aikoやオレンジレンジのバックで活躍中、ポップなドラムを叩かせたら右に出る者はいない、と思われる人気ドラマー、佐野康夫。その他にも伊藤広規、難波弘之などの達郎バンドのメンツから浜口茂外也さんなども参加。まりやさんの歌声も52歳を感じさせない伸び伸びとした歌唱で素晴らしいです。

 他の曲でバック演奏を担当しているセンチメンタル・シティ・ロマンスも含め、やはり、“気の合う仲間達”とのセッションから生まれた曲というのは聴いていて、“生”の温もりが伝わってきていいものだな、と改めて感じました。森 陽馬

2007年5月23日(水) David Pastorius and Local 518 「The Chase」

 “デヴィッド・パストリアス&ローカル518” 
この名前を見てピンッときた方、当たりです!
 天才ベーシスト、ジャコ・パストリアスの甥、デヴィッド・パストリアスのグルーヴィー・ジャム・バンドのアルバム(PVCP-8249 \2,447)が日本先行で発売されました。

 これが期待を裏切らない内容で、1曲目「The Chase」の冒頭から超絶スラッピング・ベース・ソロが爆発! 曲も最高にファンキーでジャコ・パス・ファンはこの一発でヤラれてしまうこと必至のナンバーです。

 アルバム全体的にはファンクだけでなく、ロック、ジャズ、プログレ、ラテンまで呑み込んだミクスチャー的内容。ちょっととっちらかった感もありますが、8曲目ではジャコ・パス作の名曲「Reza」のカヴァーなんかもやっていて、単なる色物ではない“継承”を感じさせる1枚です。森 陽馬

2007年5月24日(木) KAMA AINA 「hotaru」

 せわしい都会で日々生活していると異国への憧れというものが自然と湧きおこってきます。そんな時に聴きたくなるのが、リトル・クリーチャーズ、ダブル・フェイマスのメンバーとして1990年代初期から活動している青柳拓次のソロ・ユニット、KAMA AINA (カマ・アイナ)のアルバム。(『Club KAMA AINA』 VACM-1285 \2,625)

 カマ・アイナを聴いたことがない方に彼等の音楽を一言で説明するとなると、“ワールド・ミュージック”ということになるのかもしれませんが、基本的にインストながらオーガニックな手触りがしっとりと沁みこんでくる音空間がなんとも心地良いのです。

 青柳拓次が東京とグラスゴーを行き来し約2年半かかってやっと出来上がった、という2006年発表の今作も独特な音触りながら、日々の日常の音が隙間・隙間に入っており、その絶妙な音の隙間さえも深遠な響きをもって伝わってきて、何度聴いても飽きません。

 パステルズのStephen Pastel、元ベル&セバスチャンのIsobel Compbellが参加。ちなみに音だけでなくパッケージの素材&仕様も変わっていて面白いので、是非お手にとって確かめてみてください。森 陽馬

2007年5月25日(金) Paul Weller 「Remember How We Started 〜 Dominoes」

 本日5月25日はポール・ウェラーの49歳の誕生日です。
同時に今年はデビュー30周年となるおめでたい年なのです。

 ソロになってからも早15年...2〜3年のペースでコンスタントに作品を発表し、精力的に活動している彼ですが、あと20年、30年は元気に頑張って欲しいなと思います。
 
 と、ここで個人的な想いをつらつらと書いてしまったついでに曲を紹介します。
 
 『LIVE WOOD』(UICY-90198 \1,470)は94年リリースのソロ初ライブ・アルバム。
 今日のこの1曲は、「Remember How We Started」という92年1stアルバムに収録されていた曲に、ドナルド・バードの「Dominoes」を繋げたライブならではのもの。
 
 そういう何気ないカバーで、他のものに興味を持つきっかけをくれるのです。東尾沙紀

2007年5月26日(土) 竹内 まりや 「君住む街角」

 竹内まりやの最新アルバム『デニム』の中に収められたこともうれしいし、しかもアルバム冒頭を飾る栄えある1曲目にこのカヴァーが選ばれたことは、昔からこの曲を好きだった者にとって大感激なのです。

 テレビのニュース・ヴァラエティ番組(こんな呼び方でいいのでしょうか?)で使われ始めたときから、次のアルバムには収録されるとのインフォメーションが伝えられていましたが・・・。大切なトップ曲とは本当にビックリです。
 なんと言ったらいいのか、竹内まりやの挑戦する姿勢を感じてうれしく思う次第であります。

 この曲のオリジナルは1956年ごろに初演されたプロードウェイ・ミュージカル『マイ・フェア・レディ』の中の1曲。
 ビック・ダモン、ナット・キング・コール、メル・トーメ、アンディ・ウィリアムスなど多くのカヴァーが存在します。

 <スウィング感タップリのまりやヴァージョン>
 この名曲にまた素敵なカヴァーがひとつ加わりました。森 勉

★初回盤まだ在庫ございます。(ささやかな特典もご用意しております)

2007年5月27日(日) Stephen Bishop 「Under The Jamaican Moon」

 ブライアン・ウィルソンが参加しているコンピ『New Music From An Old Friend』や、ミュージシャンである父の曲を息子が歌った新録曲を集めた好コンピ『A Song For My Father』をリリースしているTargetレーベルから、スティーヴン・ビショップのなんと!新作『SAUDADE』が発売になりました。

 1960年代から主にアメリカで活動している名ブラジリアン・ギタリスト、Oscar Castro Nevisがほぼ全面的にプロディース&アレンジを手掛けており、スティーヴン・ビショップの往年の名曲&新曲を心地良いボッサ調アレンジで聴かせてくれます。

 今日のこの1曲「Under The Jamaican Moon」は、ニック・デカロの1974年発表名作アルバム『イタリアン・グラフィティ』に収録されていることで有名なナンバーですが、元々スティーヴン・ビショップとリア・カンケルとの共作曲で、リア・カンケルも自身の79年発表1stでセルフ・カヴァーしている1曲。
 今回のこのCDでBISHヴァージョンが初お披露目ということになりました。

 穏やかなブラジリアンなアレンジの中にもBISHの持ち味である切ない雰囲気が出ていて、この1曲だけでもBISHファンは買いっ!でしょう。
 ちなみにこのレーベルの商品は基本的にアメリカ国内限定流通のため、一度品切れしてしまうと再入荷に時間がかかってしまいます。まだ店頭に在庫ございますので気になった方はチェックしてみてください。森 陽馬

2007年5月28日(月) ゆず 「明日天気になぁれ」

 本日の『今日のこの1曲』は、映画館で聴いた1曲、ということでご勘弁を。

 落語を題材にしたストーリーでTOKIOの国分太一主演の映画『しゃべれどもしゃべれども』を見てきました。この映画のためにかなり厳しい稽古も受けた、とのことで国分くんの落語は素晴らしく良かったですしとても楽しく見れました。お馴染みの寄席の映像もあったり、本物の落語家の名前も実名で使われていて、初心者はもちろん!落語マニアな方でも楽しめる映画だと思います。ご興味ある方は是非。

 さて、そのエンディング・テーマで使われている“ゆず”「明日天気になぁれ」という曲。いい曲ながら“?”なのが、サビが尾崎亜美作(杏里の大ヒット曲で有名)による「オリビアを聴きながら」にとてもよく似ていた、ということです。(歌詞は違えど節回しがほとんど同じなのです)

 あと、このサウンド・トラック・シングル盤(SNCC-89903 \800)が何故か完全限定CDで、注文してももう入らない(割当商品により当店には1枚しか入荷しませんでした)、ということに大きな疑問を感じました。
 今年、二ツ目から真打に昇進した古今亭菊志んによる演目「火焔太鼓」の落語も入っていて、落語初心者にも落語に触れてもらう良い機会なので、永久仕様にして広く売り出してもらいたいところです。森 陽馬

2007年5月29日(火) jaz'presso 「Vera Cruz」

 jaz'presso(ジャズプレッソ)は、日本の新世代ジャズ・バンド。

 先日発売されたアルバム『.jp (ドット・ジェイピー)』(XNSS-10088 \2,500)は、トロンボーン&フルート奏者の河野広明を中心に、スタイリッシュなジャズを聴かせるかっこいい1枚に仕上がっていましたが、特にアルバムのラスト12曲目に収録されている「Vera Cruz」には痺れました。

 「Vera Cruz」のオリジナルは、ブラジルの名シンガー、ミルトン・ナシメントの名曲で、彼が1960年代に発表した名作『Courage (コーリッジ)』に収録されており、今までにもブラジリアン・ジャズ的なカヴァーが色々とありましたが、このドット・ジェイピーのカヴァーは、フルートのゆったりとした出だしから徐々にスピードアップしていく展開がスリリングかつクール! 聴きものです。
 
 SLEEP WALKER、クオシモード、native、などの和製新世代ジャズがお好きな方は要チェックの1枚です。森 陽馬

2007年5月30日(水) ビーチ・ボーイズ 「オール・サマー・ロング」

 ビーチ・ボーイズの新しいベスト盤、というか編集盤が発売になりました。(『ウォームス・オブ・ザ・サン』 TOCP-70236 \2,300)

 『サウンズ・オブ・サマー〜ヴェリー・ベスト・オブ・ビーチ・ボーイズ(全30曲)』に収録されなかったビーチ・ボーイズの名曲を収めたコンピで、「またか・・・」と思われる方も多いかもしれませんが、いやはや、これが聴いてビックリするくらい音がまた良くなっていて、予想よりもはるかに楽しめる1枚でした。
 新しいステレオ・リミックスになっている曲やシングル・ヴァージョンなどもあり、マニア泣かせではありますが、1曲目に収められているこの「オール・サマー・ロング」を聴けば、そのマニアな方も満足すること間違いないでしょう。

 その「オール・サマー・ロング」。2001年にリリースされた『グレイテスト・ヒッツ@ 1962-65』(TOCP-65727)に収録されているモノラル音源と聴き比べてみましたが、明らかに音圧が上がっていて、音の奥行き感、コーラスの広がり具合がまずは雲泥の違い。更には、モノラル・ヴァージョンは1分50秒過ぎでだんだんフェイド・アウトしていって、2分5秒くらいでカウントが終了していまうのですが、今回の新しいステレオ・ヴァージョンは、1分55秒過ぎまで通常で2分近くなってからフェイド・アウトしていき、カウントも2分9秒くらいまで続きます。

 他の曲も細かいところに新しい発見がありそうな全28曲で、ブックレットにも新しい写真が満載です。ちなみに解説はVANDAの佐野邦彦さんが執筆されていて読み応えもあるので国内盤がオススメ。森 陽馬

2007年5月31日(木) Milli Vernon 「I Don't Know What Kind Of Blues I've Got」

 「水羊羹を食べる時のミュージックは、ミリー・ヴァーノンの(スプリング・ヒア)が一番合うように思います。<中略> 冷たいような、甘いような、けだるいような、生ぬくいような歌は、水羊羹にピッタリに思えます。」(向田邦子 1977年クロワッサン誌に掲載された随筆より)

 作家の向田邦子が愛聴盤であったという女性ジャズ・ヴォーカリスト、ミリー・ヴァーノンが1956年に録音したアルバム『Introducing Milli Vernon』(MZCB-1116 \2,200)。当時Storyvilleというレーベルから発売された今作は、オリジナルLPがレア盤で珍しい1枚だったそうなのですが今年3月MUZAKレーベルからめでたく再CD化。ムーディーな歌声をやっと聴くことができました。

 彼女の歌声ももちろん素晴らしいのですが、抑え目なバックの演奏もいい雰囲気で、特にデューク・エリントン作のこの曲は中盤にルビー・グラフ(tp)、ジミー・レイニー(g)、デイブ・マッケンナ(p)と各々が短いながらもソロで繋いでいく構成が、やさしくジワリと心に沁みてきます。森 陽馬



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