PET SOUNDS RECORD
今日のこの1曲 アーカイヴス


  今日のこの1曲 “Achives”

<2008月12月>

当店ペット・サウンズ・レコード店にて、
その日に店内でかけていた曲の中から、
店員の独断と偏見で選んだ“今日のこの1曲”コーナー

2008年12月に更新した“今日のこの1曲”コーナー。
廃盤・生産中止、規格番号の変更など、
情報が古くなっている商品もございますが、ご了承くださいませ。


<最新の“今日のこの1曲”はこちらのページをご覧ください>


2008年12月1日(月) トニー・ベネット 「恋に寒さを忘れ」

 先週あたりから街中でクリスマス・イルミネーションが目につくようになり、陽が陰ると寒くなってはきましたが、<もうすぐクリスマス!>という実感は不思議とないですね。
 しかしながら今日から12月ということで、クリスマス・コーナーも店内に設置。オーダーしているクリスマス・アルバムで入ってきていない商品もまだあるのですが、このコーナーでもクリスマス曲を少しずつ紹介していく予定ですので、X'mas気分を高める(?)ためにもどうぞお付き合いください。

 まず今年初のクリスマス曲はコレ! アメリカの重鎮ヴォーカリスト、トニー・ベネットのクリスマス・アルバム『スウィンギン・クリスマス』からの1曲。

 82歳になるトニー・ベネットがカウント・ベイシー楽団をバックにスウィンギーにクリスマス名曲を歌う、というなんとも豪華な作品で、プロデュースはフィル・ラモーンが担当。上品なホーン・セクション&ビック・バンドの演奏で、安心して聴けるX'masアルバムです。

 今日のこの1曲「恋に寒さを忘れ」(原題:I've Got My Love To Keep Me Warm)は1937年アメリカ映画『陽気な街』(原題:On The Avenue)の主題歌として知られるアーヴィング・バーリン作の楽曲。この名曲をトニー・ベネットが娘のアントニア・ベネットとデュエットで歌っており、しっとりと聴かせてくれます。

 値段がやや高くなってメイキング映像収録のDVDが付いている輸入盤も出ていますが、国内盤(SICP-2092 \2,520)にはボーナス・トラックが2曲追加収録されており、その2曲が「ジングルベル」、「蛍の光」という定番曲。更に日本語解説を名ジャズ評論家の瀬川昌久さんが執筆されているので、国内盤の方をオススメしたいですね。森 陽馬

2008年12月2日(火) ボニー・ピンク 「CHAIN」

 邦楽クリスマス・ソング、というと現在は、EXILEによる「ラスト・クリスマス」(ワム!の日本語カヴァー。ちなみに日本語訳はあの松尾潔)が一般的にはヒットしていますが、個人的にはこのボニー・ピンクの新曲クリスマス・ソングが最近気に入ってよく聴いています。

 1stアルバム『Blue Jam』が1995年リリースだったので、デビューからもう13年も経っている彼女。初のクリスマス・ミニ・アルバム『CHAIN』(WPCL-10623 \1,600)は、新曲「Chain」に「Let It Snow」、「Wonderful Christmastime」などのクリスマス・スタンダード楽曲を加えた全6トラック入り。

 渡辺香津美のギターをfeatした「The Christmas Song」のカヴァーなども良いのですが、オリジナル曲「CHAIN」が出色の出来。
 その肝はなんといっても、“日本のバート・バカラック”こと冨田恵一がプロデュースを担当している、ということ。上品なオーケストラ・アレンジが素晴らしく、彼女のセクシーな美声をより引き立たせています。

 是非この路線で冨田恵一プロデュースの元、ボニー・ピンクのオリジナル・アルバムを作成してもらいたいところ。ちなみに今回表ジャケットは地味ですが、ブックレット内には赤い服が似合った彼女の美しい写真も拝めます。森 陽馬

2008年12月3日(水) スプリング 「トーク・トゥ・ザ・レイン」

 山下達郎がDJを務めるFM番組<サンデーソングブック>で、11月に3週間放送された作曲家ヘレン・ミラー特集は素晴らしく充実した内容でした。

 Helen Millerというソングライター・クレジットは多少目にはしていましたが、ほとんど気にとめたことはなかったので、番組を聴いていい曲ばかりに本当に驚きました。
 60'sアイドル・ポップスもあれば、70'sスウィート・ソウルもあるという作風の幅にもビックリ。さすが<サンデーソングブック>、さすが山下達郎。マニアックながら優れものを紹介してくれます。

 ヘレン・ミラーの作品は残念ながら1枚のCDでまとまって聴けるようなものはないので、自分自身でシコシコと集めなければ・・・。しかし、ヘレン・ミラー作品が4曲収録されているコンピレーションCDがあります。番組内でも3週目に触れていましたが、メインストリーム・レーベルのお宝ソウル音源を集めた『トーク・トゥ・ザ・レイン〜メインストリーム・ソウル・サーヴェイ』(PCD-23980 \2,415)がそれです。

 タイトルにもなった『トーク・トゥ・ザ・レイン』は4人組コーラス・グループ<スプリング>による必殺スウィート・ソウル!
 この曲のほかもソウル・マニアでなくとも楽しめるスウィートないい曲ばかりです。選曲・解説はソウル/R&Bならこの人!鈴木啓志さん。
 このアルバムと同時発売されていた『ア・マン・ニーズ・ア・ウーマン〜メインストリーム・ソウル・サーヴェイ』(PCD-23979 \2,415)には、リンダ・ペリー「イッツ・オール・イン・ザ・バック・オブ・ミー・ナウ」を含む2曲のヘレン・ミラー作品が収録されています。森 勉

2008年12月4日(木) Neil Young 「The Last Trip To Tulsa」

 ニール・ヤングが1968年11月にミシガン州にあるカンタベリー・ハウスという場所で行なったソロ・アコースティック・ライヴ音源が初CD化。(輸入CD 『SUGAR MOUNTAIN Live At Canterbury House 1968』 Reprise 516758)

 1968年11月、というと、スティーヴン・スティルスと共にやっていたグループ、“バッファロー・スプリングフィールド”を脱退して数ヶ月。1969年1月にリリースするソロ1stアルバム直前、ということで、当時ニールはまだ22歳。ジャケット写真と同じく、声も若くて、楽曲自体もまだ完成されていない危うさがある。

 でもこれがなんとも沁みる! 一般的にはデモ音源のような印象を受けるライヴかもしれないが、シンプルなギター・ストローク、元来不安定な歌声に更に頼りなさが増した若きニールのヴォーカルが不思議と心のフックに引っかかるのだ。

 特に8分30秒にも及ぶ「The Last Trip To Tulsa」(邦題:タルサへの最後の旅)。1stソロ作『Neil Young』のラストに収録されている隠れた人気曲で、シンプルながらも聴くほどに味わいが染み出してくる1曲。シングルEPに収められたレアなエレクトリック・ヴァージョンも良かったが、このアコースティック・ライヴ・ヴァージョンも聴きものだ。

 ちなみに付属のDVDは基本的にDVDオーディオで、同じライヴ音源が高音質で収録。映像としては遂に来年発売(?)アーカイヴBOXの約5分ほどの宣伝映像が収められている。現在予定されている1/27発売というのは微妙なところだが来年こそは本当に出そうな感じ。ニール・ファンはブルーレイ・ディスク見れる準備をしておくべきだろう。森 陽馬

★この国内盤(WPZR-30318 \3,480)は1月14日発売。MCがたくさんあり聞き取りも困難なのでMCの対訳も付く日本語ブックレットに期待。

2008年12月5日(金)Sixpence None The Richer 「The Last Christmas」 

 5日は山下達郎のコンサート・ツアー初日。僕は店でお留守番でしたが、見に行かれた方いかがでしたでしょうか? 父の勉が見に行っていましたので、どんな感じだったか知りたい方は店で父に聞いてみてください。(青山純から交代した新ドラマーも良かったようです)

 さて、クリスマス・アルバムも色々と入荷してきましたが、意外?に良かったのがこの1枚。
 シックスペンス・ノンザ・リッチーは女性ヴォーカルのリー・ナッシュ(Leigh Nash)とギター&ソングライターのマット・スローカム(Matt Slocum)の二人を中心にしたアメリカのポップ・ロック・ユニット。
 約10年前に「Kiss Me」が日本でも大ヒットしたので、彼らの名前を知らなくてもこの「Kiss Me」はどこかで聴いたことがあるかもしれません。その後はあまり作品を発表しておらず一旦解散していたようですが、今年になって活動を再開。クリスマス・アルバム『The Dawn Of Grace』(輸入CD Nettwerk 308152)を発表しました。

 今日のこの1曲「The Last Christmas」はワム!のカヴァーではなくて彼らのオリジナル楽曲。でもこれがなかなかに良い曲で、派手さはありませんがポップな女性シンガー好きの方にはオススメのナンバー。
 他の楽曲もお馴染みのX'masスタンダード曲をギターポップ調にアレンジしていたり、ジョニ・ミッチェル「River」のカヴァーあり、と“クリスマス・アルバム”としてだけでなく楽しめそうな1枚です。森 陽馬

2008年12月6日(土)ジェームス・ブラウン 「I GOT YOU (I Feel Good)」

 先日『ヤング@ハート』という映画を鑑賞しました。
 個性的な平均年齢80歳のアメリカのコーラス・グループを追ったドキュメンタリーなのですが、普通のグループと違うのが選曲です。観てみようかなと思った点がまさにそこでした。
 
 80年代からグループを取り仕切る50代男性指導者の好みだと思いますが、クラッシュに始まり、ラモーンズ、ジミヘン、ゾンビーズ、アラン・トゥーサン、デヴィッド・ボウイ、ブルース・スプリングスティーン、コールドプレイ、JBなどなど...本当はクラシックが好き(笑)だというおじいちゃん、おばあちゃん達には無縁ともいえる曲ばかり。
 
 コンサートに向けて新曲をやるよ〜とソニック・ユースを聴かされた皆の困惑した表情や、難しい曲に取り組む練習風景など、とにかく頬がゆるみっぱなしでした。
なかば強制的にやらせてるようにも感じましたが、楽しいからやるのよ〜と元気一杯に語る皆の歌声は想像以上に力強く、見てるこちらもパワーをもらえる映画でした。

 ふと思いましたが、もし日本にこんなグループがいるとした一体何を歌うのでしょう。B'z、ミスチル、GLAY...? 東尾沙紀

★掲載ジャケットは映画サントラ盤(WPCR-13211 \3,480)。

2008年12月7日(日) ローリング・ストーンズ 「She Was Hot」

 昨日6日、マーティン・スコセッシが監督した映画『ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト』を見てきました。

 僕はストーンズの来日公演を何度か見に行っているもののコア・ファンではないので、正直言ってこの映画を見る前は、「ストーンズのライヴ映像は何度目だろう? もういいんじゃない」くらいに思っていたのですが、その予想に反して本当に楽しめました。(映画館の席に座るのではなく、あえて立ち見で見たのですがそれが良かったのかも)

 ライヴ前のステージ準備やスコセッシとメンバーの話し合いなども描かれ、更に曲間に時折昔のインタビュー映像が挟まれますが、基本的にはライヴ映像が中心。でもこのライヴ映像が臨場感があって、映像を見ていて本当にその会場にいる雰囲気を感じさせてくれるのです。

 その会場はニューヨークのビーコン・シアターで約2,800人しか収容できないような小さいスペースということもあり、盛り上がりも最高。単なるライヴ映像、ではなく、スコセッシによるカメラ・ワークも抜群で、さりげないカットにも意図が感じられ、ミック、キース、ロニー、チャーリーの生きた“目”や表情を引き出していました。映画ならではのミックス(キースがアップになるとギターの音が大きくなる、など)もよかったと思います。

 見所はたくさんありすぎて迷いましたが、3曲目「She Was Hot」演奏後、ドラマーのチャーリー・ワッツが斜め近くにあるカメラに向かって見せる表情! もうこの67歳チャーリーの表情と、メンバー紹介の時に唯一しゃべる「Hello」の一言! これ見聴きするだけでも映画見る価値ありですね。

 ちなみにこの映画はアトランティックの創始者である故アーメット・アーティガンにも捧げられているのですが、パンフレットの記述によると、彼はこの映画のためのストーンズのライヴ(2006年10月29日)の公演を見に来ていて、そのバックステージで転倒し頭を痛打。それが原因で亡くなってしまった、とのことです。うーん知らなかったー。まさか彼の死因?がストーンズだったとは・・・。森 陽馬

★ジャケットはサントラ盤(国内盤のみボーナス・トラック収録。UICY-1408 \3,300)

2008年12月8日(月) Darlene Love 「Happy X'mas (War Is Over)」

 本日はジョン・レノンの命日。毎年この日が来ると、冬の訪れとクリスマスが近くなってきたな、と個人的には感じます。

 今日のこの1曲は、オールディーズ/ガール・ポップ好きの方ならお馴染み、ダーレン・ラヴが昨年2007年に発表したクリスマス作からジョン・レノンのクリスマス名曲カヴァーを。
 この曲は歌詞がいいですよね。単なる楽しいクリスマス・ソングもいいのですが、この歌は人種差別の愚かさや反戦がテーマとなっていて、最後の最後に♪War Is Over If You Want It♪というフレーズをしっかり盛り込んでいるところが素晴らしい。

 ちなみにこのダーレン・ラヴのクリスマス・アルバム『It's Christmas Of Course』(輸入CD Shout Factory 10569)は選曲が面白くて、単なるクリスマス・スタンダードをカヴァーしているのではなく、ポップ/ロック系アーティストのオリジナル・クリスマス・ソングをカヴァーする、というコンセプトになっているのがミソ。

 トム・ペティ@「Christmas All Over Again」、XTCI「Thanks For Christmas」他、プリテンダーズ、NRBQ、ジェイムス・ブラウンなどのオリジナルX'masソングを取り上げており、ほぼ全曲ポップな楽曲ということもあり、今だ健在をアピールできるハツラツとした彼女の歌声を楽しめる1枚です。森 陽馬

2008年12月9日(火) ミスター・チルドレン 「HANABI」

 ミスチルの新作『Supermarket Fantasy』が本日入荷。(初回盤DVD付 TFCC-86291 \3,359)

 まず感じたのは、ジャケットの雰囲気が映画『フローズンタイム』に似ているな、ということ。この映画もスーパーマーケットが舞台になっているので当然といえば当然かもしれませんが、ジャケットをデザインした人がインスパイアされたのは間違いないと思います。(余談ですが、個人的に2008年に劇場で見た映画では『フローズンタイム』がNo.1でした)

 さて、このミスチルのアルバム。桜井和寿の父が今年5月に亡くなっていたそうでその影響もあってか、明るい恋愛を題材にしたような歌詞は少なく、切ない別れをイメージした楽曲が多いですね。特にラストに収録されている「花の匂い」は亡き父へ語りかけるような内容の1曲です。

 でも楽曲はポップでシングル曲「HANABI」、3曲目「エソラ」など、ミスチルらしい外に放出するようなパワーに溢れており、ここ最近では一番の力作といえるような気がします。紅白ではNHK北京オリンピックテーマ曲に使われた「GIFT」を歌うのでしょうが、個人的にはイントロの雰囲気&♪もう1回♪のフレーズがミスチルらしい「HANABI」を聴きたいですね。

 ただ1曲1曲に力が込められていて充実し過ぎているせいか、アルバム全体的には小林武史のアレンジがやや過剰気味に感じました。一番好きな93年作『ヴァーサス』に収録されていた「LOVE」のように、一緒に口ずさめるような軽めな曲が真ん中あたりに入っていればなあ、という感もありますが、それはまた次回作に期待ということで。森 陽馬

2008年12月10日(水) ボックス 「ガール」

 杉真理、松尾清憲、小室和之、田上正和による“BOX”のレコード・デビューは1988年。それまで日本にもビートルズっぽさを感じさせてくれるグループはいろいろといましたが、BOXはそれまでとは違ったビートルズ・テイストを届けてくれました。
 初期だけでなく、中期から後期の雰囲気の醸し出し方と、ビートルズっぽいエッセンスのコラージュの仕方が見事でした。

 それにビートルズだけでなく、彼らに影響を受けたELO、ムーヴ、ラズベリーズ、トッド・ラングレン、パイロット、10CCなども意識しているところがBOXらしく、さすが杉と松尾の合体は一味違うな、と思ってしまいます。

 そんなBOXが1988年に出したファースト・アルバム『ボックス・ポップス』(MHCL-1443 \2,500)と、1990年発表のセカンド・アルバム『ジャーニー・トゥ・ユア・ハート』(MHCL-1444 \2,500)が貴重なボーナス・トラック追加で紙ジャケ(ということは限定なのです)にて再発になりました。
 2枚ともいい曲ばかりで<今日のこの1曲>をどれにしようか迷ったのですが、セカンド・アルバムの2曲目に入っている「ガール」にしました。

 この曲のイントロはピーター&ゴードンが1966年に放ったヒット「ウーマン」をヒントにしているところが気に入った、というわけです。 “バーナード・ウェッブ”という名を使って、ポール・マッカートニーが書いた曲をさりげなくネタにするなんて、ボックスならではのマニアックさですね。森 勉

2008年12月11日(木) YMO 「RYDEEN 79/07」(Live at GIJON)

 久々にYMO名義での最新盤! 今年6月、ロンドンとスペインで行なわれたYMO名義での公演を収めたライヴ2枚組CDが2種類発売されました。

 いやー、これはイイですね。
 もちろん、スケッチショウやHASYMO名義で作品を出したりライヴをやったりはしていましたが、音響派のフェネスとPUPAからの二人(高田漣、権藤知彦)を加え6人編成のバンド隊で行なっているこの“YMO”は、まさに“YMO”!というか、“更に進化した21世紀のYMO”という現役感がひしひしと伝わってくるのです。ただ単に3人集まって昔の曲をやってみました、というのではなく、前に進んでいこうという感覚が本当に素晴らしいですね。

 とかいいつつ、今日の1曲には約30年前の楽曲である「ライディーン」の新ヴァージョンを選んでしまいましたが、特にロンドン公演(2008年6月15日)の4日後、6月19日にスペインで行なわれた方の「ライディーン」は最高にかっこいい! 録音状況の違いのせいか、ロンドンでの「ライディーン」よりもスペインの方が高橋幸宏さんのドラムに疾走感があって、クールなアレンジにライヴ感が加わり“進化したYMO”を実感できるトラックになっています。

 YMOを通過したオールドファンのみならず、最近のCLUB/テクノ/アンビエント好きの若いリスナーにも是非聴いてもらいたいライヴ盤。ちなみに2種が一緒に入っていてTシャツも付いた限定BOX(RZCM-46096 \9,800)も同時発売されています。森 陽馬

★掲載ジャケットは、スペインでのライヴ盤『GIJONYMO』(2枚組CD RZCM-46102 \2,940)。なお、ロンドン公演(2CD 『RZCM-46100 \2,800)の方が「SPORTSMEN」と「FLY ME TO THE RIVER」の2曲多くやってます。

2008年12月12日(金) Brian McKnight 「The Christmas Song」

 今年リリースされたクリスマス作品で、個人的に一番気に入っているのがこのブライアン・マックナイトの新作クリスマス・アルバム『I'll Be Home For Christmas』。(輸入CD Razor&Tie 7930183011-2)

 スムースなR&B/甘く切ないソウルバラードを持ち味としている彼の魅力が凝縮されたクリスマス・アルバムで、オリジナル曲とスタンダード曲のバランスも抜群。正統派唄モノR&Bお好きな方なら気に入ること間違いなし!の内容です。

 今日のこの1曲「クリスマス・ソング」は超定番のクリスマス・スタンダード・ナンバーですが、彼のヴァージョンはアレンジが面白くて、歌詞は「クリスマス・ソング」そのままながら、曲調がマーヴィン・ゲイ「ホワッツ・ゴーイン・オン」を意識したような展開になっているのがミソ。中間の間奏部分やコーラスの入り方、リズムパターンも「ホワッツ・ゴーイン・オン」の雰囲気が出ていて、なおかつそれがスムースなスウィート・ソウルに仕上がっているので、ソウル好きの方なら是非ともチェックしてもらいたい1曲です。

 ちなみに、毎年この時期になるとよく聴いている93年発表ボーイズUメンのクリスマス・アルバム『Let It Snow』(UICY-1556 \1,835)に雰囲気が似ているな、と思ってブックレットをチェックしたら、そのボーイズUメンのクリスマス作はブライアン・マックナイトがプロデュース&コーラスで参加していたんですね。

 そのボーイズUメンのクリスマス作で歌われていた「Who Would Have Thought」という曲が、このブライアン・マックナイトのアルバムにも収録されていて、カヴァーかな、と思ったら、これもブライアン・マックナイト作の曲でセルフ・カヴァーでした。(不勉強でスミマセン)
 国内盤は出ていませんが、これから毎年この時期になったら聴きかえす1枚となりそうです。森 陽馬

2008年12月13日(土) Bob Rivers 「Decorations」

 東京は今日も暖かい1日で、クリスマスまであと2週間弱とは思えないような陽気。行楽地などに行くと大きなクリスマス・ツリーに煌びやかな飾りがデコレーションされていて、“クリスマス”を実感できるのかもしれませんが、武蔵小山にいるとクリスマスという盛り上がりに今ひとつ欠けるんですよね。今度の休みはどこかにお出掛けしようかな、と思案中です。

 さて、今日のこの1曲「デコレーションズ」。これ実はビーチ・ボーイズ・ファン必聴!の1曲なのです。

 僕も昨年お客様から教えていただいたのですが、この曲はビーチ・ボーイズ「グッド・ヴァイブレーションズ」の替え歌となっていて曲調がほとんど同じ。コーラスや演奏の雰囲気もほとんど完コピで、歌詞の内容をクリスマス的コミック・ソングにしてしまっているのです。

 Bob Riversという人はアメリカのコメディー/ラジオDJの人のようで、1990年代前半から何故かクリスマス・アルバムだけを5枚以上出している変な人。
 「Decorations」が収録されているこの作品『Chipmunks Roasting On An Open Fire』(atlantic 83389-2)は2000年に発表されたアルバムで、他にもバリーマン「Who Put The Bomp」を元ネタにした「Who Put The Stump?」(これも曲調そっくりで歌詞違い)など、お聴きになってみればわかるアメリカ的コミック・ソングがタップリ。

 おそらくアメリカの“王様”、もしくは“嘉門達夫”のような人なんでしょうね。他の作品はまだ聴いたことないので、これからチェックしていこうと思っています。森 陽馬

2008年12月14日(日) Captain & Tennille 「Little Saint Nick」

 昨日に続いてビーチ・ボーイズ関連のクリスマス曲をもう1曲。

 キャプテン&テニールは、カリフォルニア出身でビーチ・ボーイズとも交流が深い“ダリル・ドラゴン”と、女性シンガー“トニ・テニール”によるおしどり夫婦デュオで、1970年代に「君こそすべて」、「愛ある限り」などのヒットを飛ばしたことで有名ですが、現在も現地では活動中。

 このアルバム『The Secret Of Christmas』(輸入CD RET-100)は昨年2007年に発表されたクリスマス作で、古い音源と新曲を取り混ぜた内容。基本的にスタンダード曲カヴァーと彼らのオリジナル曲が中心ですが、その5曲目にビーチ・ボーイズの名クリスマス・ソング「リトル・セイント・ニック」カヴァーが収録されています。

 ブックレットに書いてあるライナーノーツによると、この「リトル・セイント・ニック」は1976年の“キャプテン&テニール クリスマス・ショー”で歌われたライヴ音源をリミックスしたものだそうで、トニ・テニール(Toni Tennille)とその姉妹、Jane、Louisa、Melissaの女性4人で歌ったヴァージョン、とのこと。

 ビーチ・ボーイズさながら、血の繋がった兄弟姉妹による混声コーラスがゴキゲンな1曲。やはりビーチ・ボーイズの曲はコーラスの重なりがより深い方が、楽曲の良さが引き立ってイイですね。森 陽馬

2008年12月15日(月) キリンジ 「太陽とヴィーナス」

 キリンジは今年デビュー10周年! キャリアを総括した2枚組ベストアルバムが先週リリースされました。(『KIRINJI 10th Anniversary Celebration』 COCP-35308 \3,300)

 全曲リマスターされており、ディスク1は泰行さん(弟)、2は高樹さん(兄)とそれぞれ作った曲毎に分けて収録。日本のポップス・ファンには既に認知されている存在のお二人ではありますが、これから聴いてみたいという方にも、これはオススメのベストです。ブックレットにも詳細なバイオグラフィーなどが掲載されています。
 「エイリアンズ」など数曲どこかで聴いた事があったなぁ〜程度の私も改めて聴いてみてメロディーやハーモニーなど惹かれるところが多く、アルバム単位でも聴いてみたくなりました。

 まだじっくり聴けてませんが、「太陽とヴィーナス」(4th『Fine』収録曲)という曲が好きで繰り返し聴いています。ライブでも人気の定番曲だそうですが、5枚目までプロデュースを担当している冨田恵一氏のスティーリー・ダン風アレンジもツボなポップな一曲。
 (ホーンとオルガンの感じが、個人的にスタカンの「トップ・ピープルズ・ヘルス・ファーム」という曲を連想させたのですが、実際聴き比べてみるとそんなに似てなくてちょっと残念・笑)

 新曲「星座を睫毛に引っかけて」も今の季節にぴったり。しばらくはこのベストがヘヴィー・ローテーションになりそうです。東尾沙紀

2008年12月16日(火) スティーヴィー・ワンダー 「想い出のクリスマス」

 ついに、というかやっと出ました。スティーヴィー・ワンダーのクリスマス・アルバム『想い出のクリスマス』(UICY-93871 SHM-CD限定紙ジャケ \2,800)。

 何故か近年は生産中止状態になっていて、昨年のクリスマスでも問い合わせが多かったこの1枚。
 今年10月ユニバーサルの注文書に“12月5日発売”と掲載され、クリスマス・コーナー再発セクションの目玉だな、なんて思っていたら、12/10に延期。→更に12/17延期となってしまって、本当に出るのかな、と心配していましたがクリスマス直前週にやっと入荷してきました。

 大ブレイク前1967年発表の作品ということで、スティーヴィーの歌声はまだ若々しいものの、“リトル・スティーヴィー・ワンダー”時代の元気イッパイな雰囲気とは違って、大人っぽいソウルフルな魅力を出し始めているのも魅力。
 定番スタンダード・ナンバーのカヴァー「クリスマス・ソング」、ゴスペル的な「アヴェマリア」も印象的ですが、7曲ほど収録されているオリジナルのクリスマス・ソングが聴き所。特にテンプテーションズ、ジャクソン・ファイヴも歌っているタイトル曲「想い出のクリスマス」(原題:Someday At Christmas)はいい曲ですね。

 1点不満を挙げれば2,800円という価格。注文を入れる段階では2,500円だったのですが、特に受注数見直しなどの連絡・措置もなくいつのまにか300円の値上がり。まあ最近のユニバーサル社SHM-CD仕様紙ジャケはどれも2,800円という価格設定になっているものの、いち購入者/リスナー、そしてレコード店店員の立場としてはSHM-CDでなくていいから2,500円の価格で出して欲しかったですね。森 陽馬

2008年12月17日(水) Tom Freund 「Copper Moon」

 ベン・ハーパーお好きな方に今イチ押し! 今日発売になったこのトム・フロインドというシンガー・ソングライターのアルバム『コラプシブル・ブランズ』(DDCZ-1569 \2,500)。

 アルバムほぼ全面をベン・ハーパーがプロデュース(ギターやコーラスでも参加)。ベン・ハーパー初期のようなアーシーな感覚と清涼感あるアコースティック・サウンドがシンプルながらもなかなかにいい雰囲気で、更に彼の歌声がかなりジャクソン・ブラウン似。ベン・ハーパーとジャクソン・ブラウンとジャック・ジョンソンを足して3で割った、感じでしょうか。

 特に3曲目「Copper Moon」。この曲は地味ですがホント!沁みる名曲でなんとジャクソン・ブラウン本人がピアノとコーラスで参加。シンガー・ソングライター好きの方は必聴のナンバーですね。

 ちなみにこのトム・フロインドという人は、元々ベン・ハーパーがメジャーデビューする前から交流があり、1992年には『Pleasure And Pain』というベンとの共作アルバムをアナログ盤1,500枚限定でリリース。現在では超レア・アイテムになっているそうですが、どんな作品だったか聴いてみたいですね。(なお、国内盤は今作が初ですが実質的には彼の4thアルバムだそうです) 森 陽馬

2008年12月18日(木)ラヴィン・スプーンフル 「Do You Believe In Magic」

 毎月20日に地下の<アゲイン>で行なっている森 勉の好きな曲をかけまくる“気まぐれ音楽寄席”の今月のお題は、年末ということもあり、『英米60'sビート・グループによる紅白歌合戦』。

 1960年代に活躍したイギリス、アメリカのグループを紅(アメリカ)、白(イギリス)に分けて、参加者の方に勝ち負けをつけていただこうという趣向です。

 12月20日は土曜日のため昼の開催になります。
 午後13時オープン、13時30分スタートです。年末で色々とお忙しいかと思いますが、よろしくお願い致します。

 ということで、今日のこの1曲は紅組から出場を予定しているジョン・セバスチャン率いるラヴィン・スプーンフルの「魔法を信じるかい」。(BVCM-37384 \2,100)
 1965年のデビュー・ヒットで何とも言えぬ心踊るメロディが印象的です。はたして、この曲と対戦するイギリス勢の曲は・・・? 森 勉

2008年12月19日(金) ダン・フォーゲルバーグ 「イリノイ」

 今月16日はアメリカのシンガーソングライター、ダン・フォーゲルバーグの命日でした。
 
 昨年彼のアルバムが紙ジャケで再発となるまで、自分の中では全く名の知らぬアーティストだったのですが、店頭で初めて聴いた『アメリカの想い出』(EICP-810 \1,890 2005年5月21日に今日の一曲で店長が取り上げています)という作品で、まだ聴いていないものは沢山ありますが密かに彼のファンになり、家でも外出中でもしょっちゅう聴いていました。
 
 プロデュースも手掛けているジョー・ウォルシュのギターが印象的で、CSN&Y的な「As The Raven Flies」がとてもかっこよくて好きなのですが、穏やかでゆったりとした「Illinois」も大好きな一曲。イリノイ...彼の故郷でしょうか。私も故郷へ帰りたくなりました。
 
 他にもアコースティックでよりシンプルな作風のデビュー作『ホーム・フリー』や、「かかしの夢」が収録されている『ネザーランド』などが個人的にお勧めです。東尾沙紀

2008年12月20日(土) 東京ローカル・ホンク 「ブラック里帰り」

 当店で以前からオススメしているバンド、東京ローカル・ホンク。
 彼らの魅力は言葉やCDでは伝わりにくく、“生”のライヴでこそホンクの醍醐味を味わえるものだということは、彼らのライヴをご覧になった方ならご存知かもしれませんが、そのホンクの待望されていた初のライヴCDがこの度発売になりました。

 タイトルは『クワイエット・ロックンロールの世界』。
 全10曲で約60分。温かい人間味が伝わるライヴ音源で、当店地下アゲインにて今年3月に行なったライヴ音源も収録されており、値段も2,100円とお買い得なのでホンク入門編としてもオススメの1枚です。

 名曲「お手紙」、ライヴ定番「社会のワレメちゃん」、「カミナリ」などももちろん素晴らしいのですが、最近個人的に気に入っているのが「ブラック里帰り」という曲。田舎で親戚一同に会った時のなんとも言えない状況と気持ちが表現された歌詞が面白い1曲で、独特の間がある演奏も聴くほどに味わいが増してきます。(♪血の繋がりが粘っこい♪という歌詞に共感)

 なお、当店にてお買い上げの方先着30名には、ホンクのインタビューが掲載されている情報マガジン『ぐるり』(通常定価300円)を特典でプレゼント(!)することになりました。
 このインタビューは本当に興味深い発言が多くて、これを読むとホンクの良さをより実感できて、更に今まで聴いてきた楽曲もまた違って聴こえてきます。CD共々是非ご覧になっていただきたい1冊です。森 陽馬

2008年12月21日(日) Aretha Franklin 「This Christmas」

 今年の12月は暖かい日が多かったせいか、今ひとつクリスマス関連CDの売行きが良くなかった印象。輸入盤では色々と新譜が出ているにも関わらず国内盤でリリースされたものが少なかったこともあり、今ひとつ良質なものが浸透しなかったのかもしれません。

 今日紹介するアレサ・フランクリンの新作クリスマス・アルバムも内容はそれなりに良かったのですが、国内盤の発売は結局ありませんでした。(輸入盤の発売も12月中旬だったため、当初から国内制作が間に合わなかったのかもしれません)

 さて、そのアレサの『This Christmas』(DMI 78171-2)ですが、さすが“レディ・ソウル”といった貫禄タップリのソウルフルなクリスマス作で圧倒的な歌声は健在。
 ゴスペル色が強すぎるかな?と懸念していましたが、そんなことはなく比較的上品なアレンジ。ストリングスのレコーディング&ミックスにアル・シュミットが関わっているのがその要因でしょう。(今年リリースされた中では、シェルビィ・リンのアルバムでもいい仕事をしていましたね)

 タイトルにも冠されたダニー・ハサウェイの名クリスマス・ソング「This Christmas」は、息子のエドワード・フランクリンとのデュエットで、オリジナルとは若干違ったアレンジながら、スムースに聴かせてくれます。森 陽

2008年12月22日(月) 山下 達郎 「クリスマス・イヴ」

 この時期を逃したら、また一年間聴けなくなってしまう(雰囲気的に)ということで、店頭では積極的にクリスマス・ソングをかけています。

 今年は2005年にブライアン・ウィルソンが発表した『ホワット・アイ・リアリー・ウォント・フォー・クリスマス』をよく聴いているような気がします。そして曲単体としては山下達郎の「クリスマス・イヴ」でしょうか。やはりこの曲を聴かないとクリスマス気分にならないカラダになってしまっているようです。

 山下達郎6年ぶりのライヴ・ツアーも始まり、久し振りにバンド演奏でこの曲が聴けました。初日である12月5日厚木市文化会館に行ってからもう3週間近く経ちますが、まだライヴ熱はさめていません。

 「クリスマス・イヴ」のキモである中間部のパッヘルベル「カノン」を一人多重コーラスのアカペラで表現するところも聴き所であり好きですが、♪心深く、秘めた想い・・・♪と、♪まだ消え残る、君への想い・・・♪という歌詞の部分、及びエンディングのアソシエイション(1960年代に活躍したアメリカのグループ)風コーラスが個人的にはツボになっています。森 勉

2008年12月23日(火) Stephen Stills 「Old Times Good Times」

 特に冬がテーマとなった作品ではないものの、ジャケットの風景が雪化粧のせいか、冬になると聴きたくなってくるのがこのアルバム。スティーヴン・スティルス1970年発表の名作ソロ・ファースト。(WPCR-13245 SHM-CD限定 \2,300)

 スティルスのこのアルバムといえば、やはり1曲目「Love The One You're With」(愛への賛歌)でしょうか。サビの♪トゥルトゥトゥトゥトゥトゥル♪というフレーズは本当にポップで耳に残りますよね。

 でも今日のこの1曲は4曲目「Old Times Good Times」。
 ジミ・ヘンドリックスがゲスト参加しており、ジミヘンのギター・ソロ〜スティルスのオルガン・ソロが交互に絡みあう展開が最高にかっこいい1曲。
 この次の5曲目「Go Back Home」ではエリック・クラプトンが参加しており、後半炸裂するスティルスとのギター競演が聴きもの。ジミヘンとクラプトンのギターソロの特徴がこの2曲の流れで楽しめるので、レコードで愛聴していた時はA面ばっかり聴いていたのを思い出しました。

 ちなみにラストの10曲目には、ニール・ヤング「ヘルプレス」へのアンサーソングともとれる「ノット・ヘルプレス」(原題:We Are Not Helpless)なんて曲も収録。CSNでも演奏される定番の8曲目「Black Queen」含め、名曲揃いの傑作です。森 陽馬

2008年12月24日(水) 加羽沢美濃 「戦場のメリークリスマス」

 先日、映画『戦場のメリークリスマス』をレンタルして鑑賞。坂本龍一が手掛けたテーマ曲やサントラは聴いたことがありましたが、恥ずかしながら今まで見たことがなかったのです。

 はっきりいって万人にオススメできるような映画ではないのですが、不思議な後味が残る作品ですね。戦争映画ながら戦闘シーンがなかったり、男性しか出演していない、など戦争が背景にありながら同性愛がキーワードとして描かれているので好き嫌い別れるかもしれませんが、ビートたけしが映画進出したきっかけの作品でもありますし、坂本龍一、内田裕也、三上寛、ジョニー大倉、そしてデヴィッド・ボウイが共演している映画ですから、音楽好きの方は見ておいて損はないと思います。

 前置きが長くなってしまいましたが、そのテーマ曲「戦場のメリークリスマス」。25年前の曲ですが、おそらく日本発のクリスマス・ソングで世界的に一番有名な楽曲かもしれませんね。そういう意味でも坂本龍一の未来を変えた1曲だと思います。

 今日のこの加羽沢美濃という人は東京芸大卒クラシック系の女性ピアニストですが、1997年に発表されたアルバム『ピアノ・ピュア・クルスマス・メロディーズ』(COCO-80695 \2,100)では、定番クリスマス曲以外に、「戦場のメリークリスマス」、山下達郎「クリスマス・イヴ」、中山美穂「遠い街のどこかで」、稲垣潤一「クリスマス・キャロルの頃には」、辛島美登里、松任谷由実などポップス系クリスマス・ソングを全てピアノ・ソロでカヴァー。穏やかにBGM感覚でも楽しめる1枚です。

 やはりソロ・ピアノ向きの曲かもしれませんが、現在のYMOのメンツでやる「戦場のメリークリスマス」も聴いてみたいですね。森 陽馬

2008年12月25日(木) サカナクション 「Ame (A)」

 みなさんクリスマスはいかがお過ごしでしたでしょうか?
 気付いたらクリスマスも終わってしまい今年もあと1週間、ということで恒例?の『ペット・サウンズ・レコード店が選ぶ2008年ベスト』を各スタッフにより選出しました。フリーペーパーも作成し、HP上でも26日中にアップする予定ですのでお楽しみに。

 さて、その2008年ベストで僕が取り上げた中にこの“サカナクション”というバンドの作品があるのですが、このバンドはイイですよ!
 エレクトロニカ・ダンス・ポップとJ-POP、そしてミクスチャー・ロックの要素を併せもったサウンドなので、好き嫌い別れるでしょうが、2009年大ブレイクすると僕は予想しています。

 実際、2009年1月21日に新作オリジナル・アルバム『シンクロ』が発売予定(VICL-63223 \2,100)で、音資料を一足早く聴かせてもらったらこれがまた素晴らしい内容! 早くも2009年ベスト決定か?と個人的に盛り上がっています。

 今日のこの1曲はその彼らの最新シングル『セントレイ』(VICB-35013 \1,000)の2曲目「Ame (A)」。ちなみに今度出る新作の1曲目が「Ame (B)」でこっちがまたサカナクションらしいかっこいい出来なので邦楽ファンは是非チェックして欲しいですね。森 陽馬

2008年12月26日(金) The Bryds 「Eight Miles High」

 本日で仕事納め、という方が多いようですね。どうもおつかれさまでした。

 さて、年の瀬というとやはり気になるのが競馬の有馬記念。毎年、有馬記念はその年の世相を反映した馬名や関連のある馬が来る、と言われていますが今年はどうでしょうかね。
 スポーツ界に関してはソフト女子や伊達公子復活など女性の活躍が目立ったので、牝馬のダイワスカーレットがやはりいいかも。あと順当に中山競馬場得意のマツリダゴッホでしょうが、すんなり先行できたときのアサクサキングス、有馬記念に強いペリエ騎乗のアルナスラインも気になります。ウォッカが出走していないのが残念ですが、天皇賞のような好レースを期待したいですね。

 話戻って音楽の話題。昨日のこのコーナーで告知したように、<ペット・サウンズ・レコード店が選ぶ2008ベスト・アルバム>のページをアップしました。他にも紹介したいものがあったのですが、漏れたものの中ではThe Byrdsの発掘ライヴ盤『Live At Royal Albert Hall 1971』(SUNDAZED SC-11177)が良かったですね。

 1971年ロイヤル・アルバート・ホールで行なわれた秘蔵ライヴ音源ですが音がこの時代っぽくていいですね。ロジャー・マッギンもさることながら、クラレンス・ホワイトのギター、スキップ・バッティンのベース、ジーン・パーソンズのドラミングが最高にかっこいい!
 特に凄いのが15分以上にも及ぶ「Eight Miles High」! ジャム・セッションのような演奏が延々と続きながら、最後の最後に唄が出てくる展開はこの時代のライヴの充実ぶりを物語っています。2008年ロック部門のリイシュー大賞ベスト5には間違いなく入る名ライヴ盤です。森 陽馬

2008年12月27日(土)スティーヴィー・ワンダー 「ア・ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム」

 スティーヴィー・ワンダー独特のハーモニカ・プレイをたっぷり思いっきり聴いてみたい、と思ったことはありませんか?
 「アイ・ワズ・メイド・トゥ・ラヴ・ハー」(愛するあの娘に)、「フォー・ワンス・イン・マイ・ライフ」、「イズント・シー・ラヴリー」(可愛いアイシャ)、などで少し聴けるスティーヴィーのハーモニカは本当にいいですね。

 でももっと長く1曲まるまる聴きたい。アルバム全曲ハーモニカ演奏で聴きたい。
 そんな願望を叶えてくれるCDが実はあるんです。スティーヴィーが匿名で1968年に出した“eivets rednow”(スティーヴィー・ワンダーのスペルを反対から綴ったもの)がそんなハーモニカ・インストのアルバムなのです。(『アルフィー』 UICY-93873 限定紙ジャケ SHM-CD \2,800)

 ジャズ・ドラマーのようなデザインのジャケットなので、とてもスティーヴィーのハーモニカ・アルバムとは思えないのですが、内容はとてもいいものです。

 当時シングルとしても発売され、ちょっとヒットした「アルフィー」もメランコリックな雰囲気で良いのですが、今回は同じバート・バカラック作品「ア・ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム」を選んでみました。
 歌のないハーモニカ演奏なのに含蓄あるこの曲の歌詞も聴こえてくるようなスティーヴィーのハーモニカ・プレイは本当に見事です。森 勉

2008年12月28日(日) ジェイムス・テイラー 「Sadie」

 昨年も同じような事を書きましたが、皆さんの今年のベストライブは何だったでしょうか。

 私は今年初めて日本武道館でライブを見る事が出来ました。
 4月にチープトリック『at Budoukan』からの30周年記念ライブ、11月にザ・フーとどちらもお客さんの熱気が凄く、非常に盛り上がったライブでした。特にザ・フーから一ヶ月以上が経ちますがしばらくあの時の感動&衝撃は続きそうです。

 今年のベスト・アルバム5枚、私も選ばせて頂きましたが、ロック・アルバムではスティーヴ・ウィンウッドはよく聴きました。この人も是非是非来日してほしいですね。(夢のようなお話かもしれませんが、クラプトンとの共演を日本でも見られたらきっと最高でしょうね。)

 あと選んだもの以外では、ジェイムス・テイラーのカバー・アルバム『Covers』(UCCO-3007 \2,500)も良かったなと思います。
 その中でもお気に入りの曲がスピナーズのカバー「Sadie」。75年の曲、大ヒットでは無いそうですが、とっても良い曲です。イントロに台詞がありますが、これもジェイムスの声でしょうか?
 素敵な歌声が聴けるだけでも素晴らしい事ですが、近いうちに完全なオリジナル・アルバム・リリースを期待したいですね。東尾沙紀

2008年12月29日(月) Tom Waits 「Closing Time」

 トップページにも掲載しましたが、年末年始、当店は休まず営業しております。(営業時間は以下の通り)

12/31(水) 11時〜20時
1/1 (木) 14時〜18時
1/2 (金) 11時〜18時
1/3 (土) 11時〜18時
1/4 (日) 11時〜20時
1/5 (月) 11時〜20時
(1月6日以降は通常通り11時から22時まで営業)

 正月の夜は例年街全体が静かになってしまうのでちょっと早めにCLOSEしますが、1月2日以降は11時から店を開けてますのでTVを見飽きた方やお時間空いてる方は是非お立ち寄りください。

 さて、年末になると聴きたくなるこの1枚。トム・ウェイツ1973年発表の1stアルバムにして大名盤『クロージング・タイム』。(WPCR-13248 \2,300)
 先日ワーナーから“SHM-CD名盤50選”シリーズの中のひとつとしてまた再発売されたものの、SHM-CDにしただけで現状のCDよりも約500円高い値段設定。ボーナス・トラックが入っているわけでもないので仕入れするのも躊躇していたのですが・・・。なんとこのトム・ウェイツのこの盤は2008年デジタル・リマスターでした。

 注文する段階で案内書にもそういう記述がなく、チラシにもリマスターの記載はないのですが、このトム・ウェイツ以外では、
・ヤング・ラスカルズ『グルーヴィン』 (WPCR-13279 \2,300)
・ドクター・ジョン 『ガンボ』 (WPCR-13256 \2,300)
上記2点も2008年デジタル・リマスターになっていました。

 旧番と交互に聴き比べをしたわけではないのですが、デジタル・リマスターしたせいかこのトム・ウェイツの名曲も音がスッキリした感じがしますね。でもザ・バンドのリマスターの時と一緒で音が綺麗になりすぎて若干違和感があるかも。(といっても、僕が今まで持っていたCDは1990年にリリースされたWPCP-3993という超古い旧品番なので比較にならないですね。スミマセン)

 とにかくもSHM-CDのみだからといってスルーしようと思っていた方、限定盤でもあるので上記3タイトルは要チェックですよ。森 陽馬

2008年12月30日(火) ビートルズ 「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」

 昔は年末になるとラジオで放送される年間ベストテンのような番組を一喜一憂しながら聴いていました。
 録音したり、順位をメモしたり、その年に流行った曲をふりかえり、自分の好きな曲を再認識できるヒットパレード番組が各放送局にあったような気がします。

 しかし最近はこちらが年をとったせいもあるのですが、興味が持てないものばかりだったり、そういう番組自体が存在しなくなっていたりしています。残念ですね。

 そんな昨今ですが、AM放送・ラジオ日本で毎週やっている番組『THE BEATLES 10』は、年間ベストテンの楽しさをたっぷり味わうことができる貴重なラジオ番組です。
 ファンが投票する毎週のリクエストの積み重ねがあって年間チャートが決まるわけで、もちろん毎週聴き逃せないのですが、その年の一番支持された曲が決まる年末はまた特別です。

 さて、先日その今年最後の放送があり、遂に2008年ビートルズの曲のNo.1が決定しました。(ちなみに2007年の第1位は「オール・マイ・ラヴィング」でした。)

 2008年のベスト3は、
第3位が「ストロベリー・フィールズ・フォエヴァー」。
第2位はビートルズ10らしく「アイ・ウィル」。
そして栄えある第1位は「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」!!!

 個人的にも大好きな1曲なので、とてもうれしい1位です。
 去年はわずかの差で2位に甘んじたので、ジョージ・ファンとしてはこれで気持ち良く新年が迎えられますね。
 ということで、今年も一年御精読ありがとうございました。2009年もよろしくお願いいたします。森 勉

★「While My Guitar Gentry Weeps」はビートルズ『The Beatles』(ホワイト・アルバム)に収録。

2008年12月31日(水) ビーチ・ボーイズ 「蛍の光」

 毎年書いているような気がしますが、当店ペット・サウンズ・レコード店が年末12月31日に夜閉店する時、必ずかけているのがこの1曲。ビーチ・ボーイズのクリスマス・アルバムに収録されている「蛍の光」(Auld Long Syne)。

 ビーチ・ボーイズらしいアカペラ・コーラス、そしてデニスのナレーション・メッセージを聴くと、ああ今年ももうすぐ終わりだな、と感慨深くなります。(明日も営業はあるんですけれどね。やっぱりホッとしてしまいます。)

 ♪ハイ! デニスです。
 メンバーの皆にかわって挨拶させてもらいます。
 <中略>
 今、このアルバムを聴いている方々へ。
 マイク、ブライアン、カール、アル、そして僕デニスは
 皆さんが素敵なクリスマスを、
 そして幸せな新年を迎えられることを祈っています。
 Thank You Very Much!♪ (from デニス・ウィルソン)

 不況だ、とか今年はいいことがなかった、とおっしゃる方も多いとは思いますが、音楽を聴く楽しみが自らの心に失われていなければ、それはそれでとても幸せなことだと思います。
 2009年も皆さんが健康で楽しくそして幸せな1年でありますように。森 陽馬





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