PET SOUNDS RECORD
今日のこの1曲 アーカイヴス


  今日のこの1曲 “Achives”

<2009月11月>

当店ペット・サウンズ・レコード店にて、
その日に店内でかけていた曲の中から、
店員の独断と偏見で選んだ“今日のこの1曲”コーナー

2009年11月に更新した“今日のこの1曲”コーナー。
廃盤・生産中止、規格番号の変更など、
情報が古くなっている商品もございますが、ご了承くださいませ。


<最新の“今日のこの1曲”はこちらのページをご覧ください>


2009年11月1日(日) ブレッド 「二人の架け橋 (Make It With You)」

 昼間は太陽が照って日差しが強くても、夜になるとグッと気温も下がって、今はもう秋、という気候の真っ只中ですね。
 そんな日本の秋にぴったりな感じがするグループがブレッドです。

 品のある美しいメロディー。
 隠し味的なストリングスに溶け込む、程よくメリハリのあるギター・アンサンブル。そして、甘く、切なくなるデヴィッド・ゲイツのヴォーカル。

 1970年代前半、この曲以外にも「イフ」、「愛の別れ道 (Baby I'm A Want You)」、「涙の想い出 (Everything I Own)」、「ダイアリー」など、名曲がよくラジオから流れていました。そう、極上のバラード「オーブリー」も忘れてはいけませんね。

 今日のこの1曲「二人の架け橋 (Make It With You)」は、彼らのファースト・ヒットで1970年の全米No.1曲。

♪もし好きな人生を選べるなら、君と一緒にいられる方がいい・・・♪
という歌詞ですが、邦題の“二人の架け橋”はいいタイトルだと思います。森 勉

★掲載ジャケットは全20曲収録ベスト盤。(AMCY-6259 \2,520)

2009年11月2日(月) 流線形と比屋定篤子 「何もいらない」

 クニモンド瀧口によるユニット、“流線形”が約3年ぶりとなるアルバム『ナチュラル・ウーマン』を発表。(HRAD-41 \2,500)

 前作『TOKYO SNIPER』は、個人的にも“2006年のベスト5”に入れた1枚だったので、今作もリリースを楽しみにしていましたが、期待通りの完成度の高い作品に仕上がっていました。

 2003年1st『シティ・ミュージック』はサノトモミ、2006年2nd『TOKYO SNIPER』は江口ニカ(一十三十一の変名)がfeat女性ヴォーカルでしたが、今作3rd『ナチュラル・ウーマン』は、沖縄出身の女性シンガー、比屋定篤子。
 大貫妙子のファンだという比屋定篤子の歌声は、透き通った清涼感がありながらも、沖縄出身らしい明るさと芯の強さのようなものも持ち合わせていて、流線形のシティ・ポップ・サウンドにピッタリですね。

 特に3曲目、大貫妙子の名曲「何もいらない」(オリジナルは『SUNSHOWER』に収録)のカヴァーは、比屋定の歌声も大貫さんソックリな雰囲気。
 バックの演奏も質がとても高くて、特に女性ドラマー、北山ゆう子さんのプレイは全編聴きものです。

 ちなみに次の曲「まわれまわれ」は、比屋定篤子がソニーに在籍していた時期(1998年)にリリースした楽曲のセルフ・カヴァーですが、アレンジがモロにTOTO「ジョージー・ポージー」。
 印象的なフレーズをそのまんまイントロで使っていて、ついつい「ジョージー・ポージー」を口ずさんでしまいそうになります。森 陽馬

2009年11月3日(火) 大貫 妙子 「君は天然色」

 大滝詠一が1981年に発表した大名盤にして、いまだ売れ続けている大ロングセラー・アルバム『ア・ロング・バケイション』のカヴァー・アルバムが出ました。
 タイトルは『ロング・バケーション・フロム・レディース』。(初回限定盤のみDVD付 UMCK-9304 \3,800)

 大貫妙子、金子マリ、今井美樹、行川さをり(ジュライム)、イシイモモコ(ハミングキッチン)、尾崎亜美、原田郁子(クラムボン)、つじあやの、太田裕美、鈴木祥子が、オリジナルの曲順通りにとてもいい雰囲気でカヴァーしています。

 アルバム全体のサウンド・プロデュース&アレンジは、ナイアガラ門下生の井上鑑。
 オリジナル楽曲の持つニュアンスを壊すことなく、各シンガーの声や個性に相応しいアレンジに仕上げています。
 聴いていてとても気持ちよく、オリジナル同様、繰り返し耳にしたくなってしまうCDです。

 1曲目の「君は天然色」を歌うのは大貫妙子。
 とても素晴らしい人選&出来です。繊細ながらも彼女らしく、歌詞とメロディーに含みを持って大切に歌うナイス・カヴァー。

 考えてみれば、ナイアガラ・レーベルの第一弾は、“シュガーベイブ”。
そこに在籍していた大貫妙子がこの1曲目を歌うのは運命だったのですね。

 他にもコメントしたい曲がいろいろとあるので、後日また別の曲で<今日のこの1曲>に登場したいと思います。
 大滝御大がチョットだけ参加している曲もあるし・・・。森 勉

2009年11月4日(水) スキマスイッチ 「ムーンライトで行こう」

 ここ最近は各々ソロ活動をしていたスキマスイッチが、久々3年ぶりとなる4thオリジナル・アルバム『ナユタとフカシギ』を発売。(初回限定盤 AUCL-20003 \3,675)

 昨年リリースされた大橋卓弥のソロ作『Drunk Monkeys』は、バンド感溢れる仕上がりで、個人的にも2008年ベスト5に入れたくらい素晴らしい作品でしたが、スキマスイッチとしての今作はまた違った趣を感じさせる1枚。

 今までのスキマスイッチと曲自体はあまり変わらないものの、ちょっと違った感じに聴こえる音触り。
 前作後プライベート・スタジオを設立したこともあり、そこで大橋卓弥のソロ作のような一発録りというのではなく、じっくりと作り込んでいった作品だからなのかもしれません。

 バック・ミュージシャンも各曲多彩なメンバーで、H「SL9」ではユニコーンのドラマー川西幸一、G「レモネード」では今剛、高水健司、A「雫」では佐橋佳幸がマンドリンで参加。

 今日のこの1曲「ムーンライトで行こう」でも、佐橋佳幸がペダル・スティールを披露していて、楽曲に絶妙なカントリー・フレイヴァーを色付けしています。

 ちなみにこの曲、イントロのアコースティック・ギターや全体の雰囲気がなんとなく、ジェイムス・テイラー「ファイアー・アンド・レイン」っぽいですね。
 昨年大橋卓弥のライヴでも、ジェイムス・テイラー「ユア・スマイリン・フェイス (きみの笑顔)」をカヴァーしていたので、彼はジェイムス・テイラー好きなのかもしれません。森 陽馬

2009年11月5日(木) Ry Cooder 「Little Sister」

 ライ・クーダー&ニック・ロウの来日公演をJCBホールで見てきました。

 明日6日大阪公演と来週9、10、11日オーチャード・ホール公演が残っているので詳細は伏せておきますが、味わい深い良いライヴでしたねー。
 若々しいニック・ロウももちろんかっこよかったのですが、やはりライ・クーダーのギターは格別! イイ音してました。
 将来的にもう2度とはないような編成&選曲だったので、ライ・クーダー好きの方は見ておいた方がいいかもしれません。

 席がライ・クーダー寄りの斜め横で、ライ・クーダーはステージ中央を向いて演奏することが多かったため、ライの背中を終始見る感じでしたが、男らしいイイ背中をしていましたね。
 ちなみにライ・クーダーの息子がドラムを叩いていましたが、ジム・ケルトナーそっくりな雰囲気で、これまたイイ味出してました。

 本日の掲載ジャケは先日発売されたライノ編集の2枚組CD、リマスター・ベスト『ライ・クーダー・アンソロジー』。(初回限定盤 WPCR-13691 \3,480)
 ライ・クーダーはサントラも含めると結構たくさん作品を出しているので、まずは本人による楽曲解説もついているこのベスト盤を入門編としてオススメします。森 陽馬

2009年11月6日(金) Jimmy Webb & The Webb Brothers 「Where The Universes Are」

 昨日紹介したライ・クーダーのベスト盤は、ライヴでも共演していた息子、ヨアキム・クーダーの選曲によるものでした。

 60〜70年代活躍していたミュージシャンが、その息子・娘と共演する機会が増えてきましたが、今日紹介する作品は、あの名ソングライター、ジミー・ウェッブとその息子達のバンド“ウェッブ・ブラザーズ”、更には86歳になるジミー・ウェッブのお父さんや娘・孫もコーラスに加わっている、一家総出“ジミー・ウェッブ・ファミリー”による新作です。

 約10年前くらいにリリースされたウェッブ・ブラザーズのアルバムは、当時期待して聴いてガッカリした記憶があったので、今作はそれほど期待はしていませんでしたが、アコースティックな心地良いサウンドで、聴きやすい良い作品に仕上がっていました。

 歌はジミー・ウェッブとその息子達が曲ごとに交互にとる形をとっていて、皆それほど歌は上手くない(笑)のですが、朴訥とした味わい。息子たちの作による4曲も悪くはないのですが、やはり、地味ながらじわじわと沁みるジミー・ウェッブらしい楽曲がイイ味出してます。

 7曲目に収録されている「Where The Universes Are」は、ジミー・ウェッブの1977年作『エル・ミラージュ』に収録されていた曲のセルフ・カヴァー。
 ペダル・スティールが効果的に使われたバンド・アレンジで、暖かみのある歌と演奏。オススメ曲です。森 陽馬

2009年11月7日(土) ジミー・ウェッブ 「ラヴ・ハーツ」

 ジミー・ウェッブは作詞・作曲家としてももちろんですが、ヴォーカリストとしても特別な才能の持ち主で、魅力ある声と雰囲気を持っている人です。

 特に、1972年発表のこの『レターズ』(WPCR-75428 \1,800)という4枚目のソロ・アルバムは、シンガーとしても開眼したと感じられる作品となっています。歌の節回しが実にいいんだなぁー。
 10曲収録中9曲が自作曲ですが、今日はあえて唯一のカヴァー曲「ラヴ・ハーツ」を取り上げます。

 「ラヴ・ハーツ」のオリジナルは、ケイデンスからワーナーに移籍して1960年に録音されたエヴァリー・ブラザーズのヴァージョン。
 彼らの曲の多くを作っているボードルー・ブライアントの作品です。

 この曲はエヴァリー・ブラザーズの大ヒット曲のように思ってしまいますが、実は当時はアルバムのための曲だったため、シングル化はされていないのです。
 数ヵ月後にロイ・オービソンがカヴァーしますが、全米No.1曲「ランニング・スケアード」のB面のために、こちらもヒット・チャートには登場していません。

 「ラヴ・ハーツ」がアメリカのチャートに入ったのは、1970年代になってからのナザレス(こんなバンドが!)と、ジム・キャパルディの各カヴァーが初ということになります。

 さて、話が遠回りしましたが、ジミー・ウェッブのカヴァー。イイですね。

 ギターとピアノのシンプルな演奏に、途中からジミーらしい流麗なストリングスがいつのまにか加わって、美しい旋律がより際立って聴こえてくるような気がします。森 勉

2009年11月8日(日) リッキー・リー・ジョーンズ 「OLD ENOUGH」

 デビュー作『浪漫』からちょうど30周年を迎えたリッキー・リー・ジョーンズが、通算12作目となる新作『バーム・イン・ギリヤド』(UCCO-1091 \2,800)をリリースしました。

 収録曲の多くは過去20年間のあいだに書き溜めてきた曲だそうで、基本的にはカントリー、フォーク寄りのゆったりとした曲がほとんどなのですが、“デビュー作に似た感覚を抱いている”と本人が語る通り、初期の作品に似た手触りを感じさせる曲も。

 3曲目「REMEMBER ME」には、ゲストとしてロバート・プラントとの共演で知られるアリソン・クラウスがヴァイオリンで参加。
 その他にもギタリストのビル・フリゼールのトリオやヴィック・チェスナット、ドラマーのピート・トーマス、過去の作品にも参加していた黒人ミュージシャン等が参加しています。

 中でもベン・ハーパーが参加した2曲目の「OLD ENOUGH」は聴きもの!
 リッキー・リーとの味わい深いデュエットを聴かせてくれます。
ちなみに彼はこの曲とI「BAYLESS ST.」にスライド・ギターでも参加しています。

 近年の作品は勿論、「浪漫」の頃が好きな方にもオススメのアルバムです。東尾沙紀

2009年11月9日(月) Boyz U Men 「I Can't Make You Love Me」

 2002年にメンバーが1人抜け、3人組になってからのボーイズUメンは、編集盤やベスト、そしてソウル・クラシックをカヴァーした作品から、冬の曲を集めたカヴァー・アルバム、更にはモータウン・カヴァーなど、いかにも人気下降気味ミュージシャンに顕著なリリース状況。

 そして、今冬届けられた新作も再びカヴァー・アルバム・・・。
 なんと、この5年間で4作目のカヴァー作品。誰でも知っている“愛”をテーマにした楽曲をカヴァー、ということで、タイトルもベタに『LOVE』・・・。
 なんだかなー、とも思いましたが、なかなかどうしてこの新作、出来は結構良いのです。(国内盤ボーナス・トラック追加 UCCU-1249 \2,500)

 シカゴ「If You Leave Me Now (邦題:愛ある別れ)」、スピナーズ「Could It Be I'm Falling In Love (邦題:フィラデルフィアから愛をこめて)」、ビートルズ「イン・マイ・ライフ」など、原曲が良すぎる曲も装飾過多になりすぎずナイス・カヴァー。
 ドリス・デイ、そして映画『夢で逢えたら』で使われたことでも有名なスタンダード・ナンバー「When I Fall In Love」では、マイケル・ブーブレをfeatして上品にアレンジしており良かったですね。

 でも一番の聴きものは、1曲目「I Can't Make You Love Me」。
オリジナルはボニー・レイットの1991年発表曲で、これはホントイイ曲!
 プリンスもカヴァーしたことがありましたが、ボーイズUメンの今回のヴァージョンで聴くと、黒人コーラス・グループ向きの楽曲ですね。

 この曲含めバックの演奏も、打ち込みではなくほぼ全編生バンドで録音されており、レニー・カストロやヴィニー・カリウタなども参加。耳馴染みのよいサウンドなのも聴きやすい要因かもれしません。森 陽馬

2009年11月10日(火) 大橋トリオ 「君は雨」

 メジャー・レーベルのエイベックスに移籍し、今年5月に発表したミニ・アルバム『BIRD』も大好評だった大橋好規による一人ユニット、“大橋トリオ”。
 本日、メジャーからの初フル・アルバム『I Got Rhythm?』が入荷しました。(RZCD-46354 \2,940)

 新譜案内書や雑誌などに記載されている宣伝文句では、“今回のコンセプトはDANCE”と書いてあったので、グルーヴィーな楽曲が多いのかな、と思っていたのですが、アルバム通して聴いた印象では、基本的に今までと全く変わらない“大橋トリオ・サウンド”。

 アップ・テンポなナンバーやワルツ調な曲もありますが、彼らしいアコースティック・サウンドと穏やかな歌声は健在。今までの作品と同じく、全編通して心地良く聴けるアルバムに仕上がっています。

 英語詞でかっこいい@「I Could Be」やD「VOODOO」など、クールでオススメですが、先ほどから降り出した雨は全国的に明日も続きそう、とのことなので、今日のこの1曲には、E「君は雨」を選びました。

 冬の雨を背景にした切ない恋のスロー・ナンバー。
 洋楽ミュージシャンっぽい英語詞楽曲ももちろん良いのですが、大橋トリオによる飾らない日本語詞の歌唱もイイ味出てて僕は好きです。森 陽

★今回の発売を記念して、当店で大橋トリオ・オリジナル・ロゴ・カンバッチを作りました。お買い上げの方に先着で差し上げています。

2009年11月11日(水) ジェイムス・テイラー 「きみの友だち」

“ジェイムス・テイラー&キャロル・キング”が2010年4月来日決定!!!

 日本での正式発表はまだですが、ジェイムス・テイラーの公式サイト掲載されていますね! 今のところ決定しているのは4月14日&16日。場所は日本武道館!

 “トルバドール・リュニオン・ツアー”と銘打たれており、3月下旬オーストラリアから始まるワールド・ツアーの流れで、日本公演も決定したようです。
 (ちなみにこの“トルバドール”とは、アメリカ西海岸LAにある伝説のライヴ・ハウスのこと。ウエスト・コースト系の著名ミュージシャンが有名になる前によく出ていたそうで、2007年に行なわれたトルバドール50周年ライヴで、ジェイムスとキャロルは久々に共演していました。)

 いやーーー、この夢の共演が日本で見れるとは。
1月のビーチ・ボーイズ来日も含め、2010年がホント楽しみになってきました。4月というとまだ5ヶ月先だけれど、あっという間に来ちゃうんでしょうね。あー、早く見たいっ!

 ということで、今日の1曲はベタにこの名曲。
 原題「You've Got A Friend」。キャロル・キング作で、様々なジャンルの数多くのミュージシャンにカヴァーされていますが、やっぱりジェイムス・テイラーかキャロル・キングによる歌声が一番!

 歌の上手い下手ではなく、演奏&アレンジの妙とかでもなく、この二人の歌声で歌われてこそ、の曲だと思うんですよね。今夜は帰宅してからも、ジェイムス・テイラーばっかり聴いちゃいそうです。森 陽馬

★掲載ジャケットは、ジェイムス・テイラー1971年発表名盤『マッド・スライド・スリム』(WPCR-75388 \1,800)。ジョニ・ミッチェルによる神々しいまでの美しいコーラスが素晴らしい「遠い昔 原題:Long Ago And Far Away」も収録されている大好きな1枚です。

2009年11月12日(木) Paul Davis 「I Go Crazy」

 あのAOR名曲「アイ・ゴー・クレイジー」収録のオリジナル・アルバム『Singer Of Songs Teller Of Tales』がCD化されました。(Wounded Bird WOU-410)

 結構問い合わせが多かった作品なので、「現在CDでは出ていなくて・・・」という説明をしなくてよくなり、ホッとしています。

 ジャケットを見ると、とてもこんな甘い声の持ち主とは思えない長髪ヒゲ面のオジサンですが、このアルバムを出した1977年頃、ポール・デイヴィスはまだ29歳だったんです。
 まあー、貫禄のあるフケ顔だこと。(1980年に出た『パスカル・メッセージ』のジャケ写真は更に老人化していましたね。<ポールさんスミマセン・・・>)

 「アイ・ゴー・クレイジー」以外にもこのアルバムにはイイ曲が多く、アルバムとしても名盤だと思います。
 特にLP時代のA面@〜D曲目は最高の流れなのです。

 ビーチ・ボーイズ「ダーリン」のカヴァーもいいし、このアルバムからの第3弾ヒット「スウィート・ライフ」は、「アイ・ゴー・クレイジー」に負けず劣らずメロディーがきれいな曲です。森 勉

2009年11月13日(金) Neil Young 「Cinnamon Girl」

 昨日11月12日はニール・ヤング64歳の誕生日でした。
 HAPPY BIRTHDAY! ニール♪

 ニールに関する最近のニュースとしては、まず新譜!
 以前から噂になっていた1992年のライヴ音源『Dreamin' Man Live 1992』が正規発売決定し、来月12月初旬に輸入盤、12月22日に国内盤が入荷する予定。
 1992年というと『ハーヴェスト・ムーン』発売の年なので、穏やかでアコースティックなライヴ音源だと思われます。

 雑誌媒体では、ギター・マガジン最新号にてニール・ヤングが表紙を飾っており、最新インタビューが掲載。興味深い話が満載で、コア・ファンも楽しめる内容ですよ。

 あと来年1月29日に授賞式が行なわれる“MusiCares:Person Of The Year”(ミュージシャンズ・ミュージシャンにのみ表彰される栄誉ある賞)にて、ニールの受賞が決定!
 今まで、ブライアン・ウィルソン、ジェイムス・テイラーも受賞し、その授賞式&トリビュート・コンサートの模様がDVD化されていますが、単なるトリビュートとは違って超豪華なメンバーが集結することで有名で、ニールの授賞式にも、CSN、レッチリ、ジェイムス・テイラー、ノラ・ジョーンズ等が出演予定とのこと。会場で見てみたいですねー。

 ということで、今日はニール64歳の誕生日を祝ってこの1曲。

 先日、ニール・ヤングの初期ソロ4作が、オリジナル・アナログ・マスターを使用したリマスターで再発されました。
 1stと2ndは恥ずかしながらものすごく昔の<20P2>というワーナーの規格番号のものしかCDを持っていなかったので、久々に買い直しましたが、聴き比べると全然違いますね。ドラムのハイハットの音がとても生々しくなっていて、ベースも前に出てとても迫力ある音になっています。これ聴いちゃうと、<20P2>の規格番号のCDはもう聴けないかも。

 その中でも1stの「The Loner」と「I've Been Waiting For You」、そして2ndの「Cinnamon Girl」は改めて聴いて感動しちゃいました。
 特に「シナモン・ガール」は迫力満点! かっこいいっす。

 ちなみにギターマガジン最新号のインタビューではその「シナモン・ガール」の話も出てきて、この曲後半のギター・ソロについて言及しています。
 ニール・ファンならご存知だと思いますが、この後半のソロはほとんど単音! フレーズというか同じ音しか出していないギター・ソロですが、ニール曰く「実は100種類くらいの音が表現されているソロだ。ひとつひとつの音がすべて異なっている!」とのこと・・・。さすがニール爺、奥が深い・・・。森 陽馬

★掲載ジャケットはクレイジー・ホースとのソロ2作目。(国内盤 WPCR-75488 \1,800)

2009年11月14日(土) Jeff Larson 「Calling」

 今年も残すところ1ヶ月半。
そろそろ“2009年ベスト・アルバム”を選出する時期になってきました。

 音楽不況と言われながらも今年はいい新譜が多くて、5枚選ぶのにとても苦労しそうですが、ここにきて“個人的2009年ベスト・ソング”が登場!
 サンフランシスコ出身のシンガー、ジェフ・ラーソンの新作『Heart Of The Valley』(輸入CD HumanNature 72038)に収録されているこの曲「Calling」!

 <ウエスト・コースト・サウンドの正しき継承者>としてデビューした約10年前から評価が高かったジェフ・ラーソン。昨年発表した『Left Of A Dream』もいいアルバムでしたが、今作はアメリカのジェリー・ベックリーが全面プロデュースしていて、より完成度がアップ!
 バックの演奏もほとんどジェリー・ベックリーが手掛けており、彼が歌ったらアメリカの新譜と言っても過言ではないほど、“アメリカ”色な作品に仕上がっています。

 特に5曲目「Calling」。
 アメリカの「To Each His Own」と「I Need You」を合わせたような切ないラヴ・バラード・ナンバーですが、これはホントイイ曲! このCDが入荷してから、もう100回くらい聴きましたが何度聴いてもイイッ!

 他の曲には、ブライアン・ウィルソン・バンドのジェフリー・フォスケット、アメリカのデューイ・バネル、ポコのラスティ・ヤング等も参加。
アメリカ的ウエスト・コースト・ロック好きの方に大推薦の1枚です。森 陽

2009年11月15日(日) Port Of Notes 「おやすみなさい」

 畠山美由紀と小島大介のユニット、Pote Of Notesがスタジオ作品としては5年ぶりの新作『Luminous Halo〜燦然と輝く光彩〜』(RZCD-46277 \2,800)をリリースしました。

 畠山美由紀の作品でもタッグを組んでいたジェシー・ハリスがプロデュースを担当、セッション・ミュージシャンをバックに全曲ニューヨークで録音されたそうです。

 フルートが絡むオープニング・ナンバー「高台の家」、レゲエを取り入れた曲「真夏の眩暈」、19世紀のアメリカの詩人、エミリー・ディッキンソンの詩に曲を付けた「If you were coming in the fall」、曽我部恵一の書き下ろし「私の街」、残響が美しい「約束された場所へ」。
 アコースティック・ギターを基本としながらも様々な要素の音楽を取り入れたアレンジはどれも秀逸です。

 殆どがお二人による共作曲の中、3曲目の「Fly High」は大貫妙子さんの書き下ろし。軽やかなアレンジが心地良い一曲です。
 あと直接関係ないのですが、「心の半分」という曲のイントロは大貫さんの歌声が聞こえてきそうな雰囲気。ギター・カッティングが印象的な曲です。

 あと、とても良い曲だなと思ったのが、アルバムの最後を締めくくる畠山さん作の子守歌、「おやすみなさい」。
 ストリングスを交えたおおらかなサウンドと、優しく包み込むような歌声に心が温まりました。東尾沙紀

2009年11月16日(月) Delfonics 「La La Means I Love You」

“スウィート・ソウルでまず1曲!”と言って思い浮ぶのはこの曲でしょうか。

 フィラデルフィアの3人組、デルフォニックス、1968年の大ヒット曲です。
 リード・ヴォーカルのウィリアム・ハートによる魅惑のファルセット・ヴォイス(裏声)が、なんといっても目立ちますが、メロディも美しく、ソウル・ファンでない一般人でも気に入りそうなポップな要素も持ち合わせた名曲だと思います。
 ♪ラ・ラ・ラ♪という歌詞も印象的ですし。

 さて、相変わらず続いているDJイベント<気まぐれ音楽寄席>。
 11月20日(金)はスウィート・ソウルを特集したいと思います。
 ドゥワップ以外では初めてソウル・ミュージックを取り上げます。

 このデルフォニックスをはじめ、60年代・70年代のソフト・ロックならぬソフト・ソウルをたっぷり聴いていただきたいと思っています。
 超レア盤及び専門知識はありませんが、メジャーからマイナーまで普段あまり耳にしないイイ曲をいっぱいかけまくるつもりです。

 ドラマティックス、マンハッタンズ、エスコーツ、ウィスパーズ、ソフトーンズ、プレジデンツ、シャイライツ、ナチュラル・フォー、エディ・ホールマン、ジミー・ラフィン、バーバラ・メイスン、タミー・リンなどなど、現在50曲ほど選曲しました。
 いつものことですが、そんなに用意しても時間が限られていますので、何曲かかることやら・・・。森 勉

★掲載ジャケットは、「La La Means I Love You」収録の68年作と69年作のアルバムが2in1で入ったCD。(国内仕様 CDSOL-7290 \2,625)

2009年11月17日(火) David T Walker 「Wear My Love」

 今年のソウル・ジャズ・クリスマスはこれっ!

 デヴィッド・T・ウォーカーによるウィンター・アルバム『Wear My Love』が本日入荷しました。(国内CD UPCH-20176 \2,500)

 ちょうど1年前にリリースされた久々のアルバム『Thoughts』も素晴らしい内容でしたが、クリスマス・ソングを中心に選曲された今作も、彼の温かいギターの音色が聴くほどに沁みてくる極上の1枚です。

 バック・ミュージシャンはここ最近来日しているメンツと同じシンプルな編成。<Clarence McDonald(P)、Leon Ndugu Chandler(Dr)、Byron Miller(B)>
 クリスマス作品的なストリングスは入っていませんが、それがかえってイイ感じ。ダニー・ハサウェイ「This Christmas」カヴァーや定番「White Christmas」などでは、ソウルフルな女性ヴォーカリスト<Barbara Morrison(Vo)>をfeatしていますが、ヴォーカルは入らないな、と感じるほどデヴィッド・Tのギターが引き立っています。

 特にラスト10曲目「Wear My Love」。
 デヴィッド・T・ウォーカーのオリジナル曲だそうですが、僕の大好きなスティーヴィー・ワンダーの名曲「Ribbon In The Sky」にソックリなんですよね。
 デヴィッド・Tのギター・フレーズは全く同じというわけではありませんが、「Ribbon In The Sky」を意識したものだと思われます。

 ちなみにこの曲は、デヴィッド・T本人による歌(!)、というか愛の語らいに関するポエトリー・リーディングが入っていて、とてもロマンチックな雰囲気にさせてくれる1曲です。森 陽馬

2009年11月18日(水) Timothy B Schmit 「Friday Night」

 現在のイーグルスのベーシストで、ハイトーン・ヴォイスが魅力のティモシー・B・シュミット。約8年ぶりのソロ新作『EXPANDO』が、良質なアメリカン・ロックを多数出している名レーベル:LOST HIGHWAYから発売。(輸入CD 13493-2)

 2001年発表の前作『Feed The Fire』が、ウエスト・コースト・サウンド全開なポップ・アルバムだったので、今作もそれを期待して聴いてみたら、やや趣が異なる仕上がりでした。

 どちらかというと、アメリカン・ルーツ色が濃く出た音作りで、1曲目「One More Mile」では黒人ブルース・ギタリスト、ケヴモがスライド・ドブロを弾いていたり、I「Secular Praise」では古参ゴスペル・グループ、ブラインド・ボーイズ・オブ・アラバマが参加していたり、と、イーグルス/ポコとはまた違った雰囲気の1枚。
 曲自体も悪くはないのですが、ちょっと意外、というか、少し肩透かしをくらった感もある1枚ですね。

 でももちろんイイ曲もたくさんあって、ティモシーのハイトーン・ヴォイスはもちろん、ベース、ギターだけでなく、ドラムやパーカッション、バンジョー、ウクレレも自身で弾いている曲もあり、聴き応えのある意欲作といえるでしょう。

 その中でも印象に残ったのが3曲目「Friday Night」。
 ザ・バンドのガース・ハドソンによるオルガンの音色と、ヴァン・ダイク・パークスが弾くアコーディオンの響きがゴキゲンな1曲。
 2曲目「Parachute」にはグラハム・ナッシュがコーラス参加しており、ティモシーの歌声との融合がNICE! 他ではジム・ケルトナー(Dr)、グレッグ・リーズ(G)も参加しています。森 陽馬

2009年11月19日(木) Michael Buble 「Some Kind Of Wonderful」

 “21世紀のボビー・ダーリン (もしくはペリー・コモ)”

 新世代のポピュラー・ヴォーカリストとして2003年デビュー後も着実にキャリアを重ね、全米での人気も高まってきたカナダ出身の男性シンガー、マイケル・ブーブレ。
 クリスマス・ミニ・アルバムを挟んで約2年半ぶりとなるオリジナル・アルバム『Crazy Love』を先日リリースしました。(輸入CD Warner 497077)

 気品ある歌声にデヴィッド・フォスターのプロデュース・ワークがピッタリ!の仕上がり。
 タイトル曲「Crazy Love」は僕の大好きなあのヴァン・モリソン作。マイケル・ランドゥによるギター・ソロも聴きもののナイス・カヴァーですね。

 「Georgia On My Mind」や「Cry Me A River」等スタンダード曲の他に、珍しいところではイーグルス「Heartache Tonight」なんかのカヴァーもやっていて、昨日からの繋がりで今日のこの1曲はこれにしようかな、とも思いましたが、ボーナス・トラックとしてラストに収録されているキャロル・キング作カヴァー「Some Kind Of Wonderful」にしました。

 ドリフターズのヴァージョンが有名で、他にも色んな人がカヴァーしているジェリー・ゴフィン&キャロル・キング作の名曲を、現代USファンク・レーベル“Daptone”の屋台骨リズム&ブルース・バンド、“The Dap-kings”によるソウルフルな演奏をバックに、軽やかに歌い上げています。

 カヴァーではなくオリジナル曲でもとても気に入った曲があったのですが、長くなりそうなのでそれはまた次回ここで取り上げることにしましょう。森 陽馬

2009年11月20日(金) Michael Buble 「Haven't Met You Yet」

 昨日の続きで、マイケル・ブーブレの新作『Crazy Love』。(輸入CD Warner 497077・・・どうやら国内盤は出なそうです。セールス的に日本では難しいのかもしれませんが、良質な作品なので出して欲しかったですね。)

 出来の良いカヴァー曲以上に惹かれたのが、5曲目に収録されているオリジナル曲「Haven't Met You Yet」でした。

 これが超ポップなイイ曲で、無理矢理例えると、ビーチ・ボーイズ「Wouldn't It Be Nice」と「God Only Knows」を合わせたような1曲なのです。

 ドラムのリズムパターンが似ている、というのもありますが、メロディーの展開やストリングス&ホーンの使われ方は、絶対に『ペット・サウンズ』を意識していると思うんですよね。
 デヴィッド・フォスターではなく、この曲だけメタリカやボンジョヴィの作品を手掛けたBob Rockという人がプロデュースに関わっていて、その人のポップ・センスが色濃く出たのかもしれません。

 それにしてもこの曲のポップなアレンジは絶妙!
今年のベスト・ポップ・ソング・ベスト5には絶対に入りますね。
 “ペット・サウンズ・フォロワー”好きの方にも是非聴いてもらいたい1曲です。森 陽馬

2009年11月21日(土) BIG STAR 「Thirteen」

 今も活動しているアレックス・チルトンと、クリス・ベルを中心に70年代前半に活動していたポップ・バンド、BIG STAR。

 ヒットに恵まれず早くに消滅してしまいますが、今なお根強い人気を誇る彼らの4枚組ボックス・セットがライノからリリースされました。(輸入CD RHINO 8122798587)

 BOXのケースは7インチが丁度収まる位の大きさで、100ページのブックレットは写真満載で丁寧に作られています。
 最初は何故この大きさなのかと不思議でしたが、ボックスと同時に限定7インチシングルが再発されたらしく、一緒に収納出来るように考えられたのでしょう。

 音源は全98曲。オルタネイト・ミックスを含むオリジナル3作全曲とデモ、前身バンド:アイスウォーターやクリス・ベル「I Am The Cosmos」等のソロ曲、昨年出たアーデント・レコードのコンピに収録された曲も数曲含まれ、半数以上が未発表音源となっています。

 ディスク4には73年の地元メンフィスでのライブ20曲を収録。
 キンクス「Come On Now」(ディスク3には「Til The End Of The Day」のカバーも収録)、トッド・ラングレン「S.L.U.T」などカバー曲も交えた、クリス・ベル在籍時の貴重なライブとなっています。更にエンハンスド映像として、エリオット・スミスのカバーでも知られる「Thirteen」のビデオが1曲収録されています。

 歌も演奏もちょっとヘナッとしていてお世辞にも上手いとはいえませんが、じっくり聴き込むとなかなか良い曲ばかり。とても楽しめました。東尾沙紀

2009年11月22日(日) Kindred The Family Soul 「Can't Help It」

 今日11月22日は、“いい夫婦の日”。
夫婦で共に活動しているミュージシャン、というのを少し考えてみました。

 海外ではジャッキー&ロイ、アシュフォード&シンプソン、アイク&ティナ、日本ではチェリッシュ、ヒデとロザンナなどが有名ですが、これだけたくさんのミュージシャンがいるわりに、夫婦デュオっていうのは割合的に少ない印象。
 もちろん、バンド・メンバーとしてよく一緒にやっているあらきゆうこ&清水ひろたか夫妻とか、山下達郎&竹内まりやのようなミュージシャン夫婦の理想像的存在の方もいらっしゃいますが、やはり仕事と家庭の両立は難しい、ということでしょうか。

 今日ピックアップしたキンドレッド・ザ・ファミリー・ソウルは、2000年代前半からフィラデルフィアを拠点に活動している夫婦ソウル・デュオ。

 “ネオ・フィリー・ソウル”を牽引する女性シンガー、ジル・スコットを擁する“ヒデゥン・ビーチ”というレーベルと契約し、今作『The Arrival』(VICP-64647 \2,625)は3作目。
 2003年に発表した1st『Surrender To Love』は名作で、もうかなり前(2005年2月28日)にこのコーナーで紹介したこともありましたが久々となるこの新作も、打ち込みが多い最近のR&Bと違い生音を重視したサウンド。新世代フィラデルフィアR&Bの良心を感じさせてくれる1枚です。

 1曲目「Can't Help It」の歌詞が興味深く、
♪どうやら私たち、まだまだ業界受けはしないみたい。
ラジオから聞こえてくるのは、セックスを歌った曲ばかり。
最近では私、ブルースばかり歌っているわ。
歩み続けている間にキャリアが終わってしまうのではと不安になる・・・

この仕事は僕達の天職ではなかったということかな?
もしかしたら、僕なしの方が君は成功するかもしれない・・・♪
といった感じで、ミュージシャン夫婦デュオの心の内を独白し合うような内容。

 “キンドレッド”とは「血縁」という意味だそうですが、まさに、血縁・家族・団結色の濃い作品ですね。森 陽馬

2009年11月23日(月) Freda & The Firedogs 「Make Me A Pallet」

 初めてニューオリンズに行ったのは、たしか1995年4〜5月。
 競馬場全体を使って2週間行なわれる“New Orleans Jazz&Heritage Festival”を見に行き、毎日浴びるように本場ニューオリンズの音楽を堪能。ジャズ・フェスには地元ニューオリンズの名ミュージシャンだけでなく、ジョニ・ミッチェルやリトル・フィートなども出演していましたが、その時見て一番気に入ったアーティストは、Marcis Ball(マーシャ・ボール)でした。

 すでに若くはなかったのですが、赤いタイト・ミニ・スカートで足を組みながらピアノの前に座り、痛快なくらいにブギウギ・ピアノを弾きまくる凛々しい姿にすっかりノックアウト!
 彼女のCDは国内盤が出ていないので日本では知名度がありませんが、ニューオリンズではとても人気があり、出ていたCDをまとめて買っていったくらい強く印象に残ったミュージシャンでした。

 その彼女が70年代に在籍していたというフレダ&ザ・ファイアドッグスというバンドの音源が初めてCD化。(国内仕様 OM-004 \2,625)

 このバンドの存在自体、僕は初めて知りましたがそれもそのはず。あの名音楽プロデューサー、ジェリー・ウェクスラーによるプロデュースで作品を完成させるものの、契約問題で結局世に出ずオクラ入りになっていたそうです。

 内容はブルース/カントリーをルーツにしたゆったり&のんびりした超ゴキゲン・グッド・タイム・ミュージック♪ 今のマーシャ・ボールのスタイルとは違いますが、1970年代アメリカ南部のリラックスした雰囲気が伝わってくる素晴らしい1枚♪
個人的に今年のベスト・リイシューになりそうなアルバムです。森 陽馬

2009年11月24日(火) Funky Meters 「Big Chief」

 ニューオリンズ好きを公言していながら、今年来日したファンキー・ミーターズのライヴには行くことができず、心残りとなっていましたが、HOY-HOY Recordsというインディーズから、その来日公演のライヴCDが発売になりました。(D10047 2CDR \2,800)

 2009年7月23日、場所は渋谷AXでのライヴでMCなども完全収録。
 盤がCDRではありますが、音質も臨場感ある録音なので、見に行った方はもちろん見に行けなかったニューオリンズ・ファンの方にもうれしいリリースですね。

 ファンキー・ミーターズの現在のメンバーは、40年前にアルバム・デビューした際のオリジナルのミーターズから在籍しているアート・ネヴィル(key)、ジョージ・ポーターJr(B)。ドラムにはニューオリンズのファンキー・ドラマーとして様々なセッションでも引っ張りだこのラッセル・バティストJr。そしてギターは、アート・ネヴィルの息子、イアン・ネヴィルが務めています。

 最初聴いたとき、イアンのギターが古豪3人の影に隠れてやや控えめかな、とも感じましたが、アンコール前のラスト「It Ain't No Use」では、ジョージ・ポーターのベースに負けじとギターをかき鳴らしています。

 今日のこの1曲は、ニューオリンズの大定番曲「Big Chief」。
 イントロのフレーズがゴキゲンなナンバーで、この曲を聴くと、やっぱりニューオリンズ・サウンドっていいなあ、と思える楽しい1曲です。森 陽馬

2009年11月25日(水) 原田 郁子 「スピーチ・バルーン」

 先日このページでも紹介した『ロング・バケーション・フロム・レディース』のアルバム発売を記念して行なわれたライヴ<大滝詠一 ア・ロング・バケイション・トリビュート・コンサート>に行ってきました。

 11月23日(祝・月)、渋谷オーチャード・ホールにて8,400円というちょっと高めな値段設定のチケットでしたが、大滝詠一の音楽を愛する僕のような者にはとても満足度の高いコンサートでした。

 『ロンバケ・フロム・レディース』の曲順と同じ順序で女性シンガー達が登場してくるのですが、CD収録曲以外にもう1曲大滝関連の曲を歌ってくれました。
 それが良かったんですヨ、全員。ほんとに。

 どんな曲を歌ったのか紹介しておきましょう。
★大貫妙子・・・大滝プロデュースということでシュガーベイブ時代の「いつも通り」
★金子マリ・・・黒のミニ・スカート姿の彼女は小林旭にも負けないくらい堂々とした「熱き心に」
★今井美樹・・・とってもキュートに「夢で逢えたら」
★行川さをり・・・いつもはジュライムというバンドでボサノヴァ/ブラジル音楽を歌っているという彼女は「指切り」
★イシイモモコ・・・ハミングキッチンというユニットの彼女は、子供の頃から口ずさんでいたという「快盗ルビイ」を。(モモコちゃんはなんと、「がんばれば愛」も一節歌ってくれました。マニアック!)
★尾崎亜美・・・ピアノ弾き語りで「冬のリヴィエラ」
★原田郁子・・・鮮やかなソラ色の衣装が素敵だった彼女は「空いろのくれよん」を。
★つじあやの・・・いつものようにウクレレをかかえた彼女は「ウララカ」
★太田裕美・・・いつまでも可愛らしい彼女は「恋のハーフ・ムーン」。(生で聴けて感激!)
★鈴木祥子・・・ドラムを叩きながら歌った彼女は「バチュラー・ガール」を。
そしてラストは全員がステージにズラリと並んで楽しく「恋はメレンゲ」でおひらき。

 司会の佐野史郎と各女性シンガーとのトークも良かったですし、アレンジを担当した井上鑑がバンマスであるバック・バンドの演奏も(「ナイアガラ・ムーン」、「ナイアガラ音頭」などのインストも演奏されました)、見所・聴き所たっぷりでした。
 そしてなんといっても、大滝詠一の楽曲の素晴らしさに魅了された約2時間半のコンサートでした。森 勉

2009年11月26日(木) Aretha Franklin 「One Step Ahead」

 アレサ・フランクリン、というと、“レディソウル”と称された1960年代後半以降、アトランティックというレーベルに在籍していた時代に多くの名作を残していますが、実は1960年代前半から活動(50年代にはゴスペル作品もリリース)していました。

 その1960年代前半、コロンビア・レーベルに在籍していた時代の編集盤が、ACE傘下のKENTより先日発売。(国内仕様CD 解説対訳付 CDSOL-7325 \2,625)

 もうかなり前ですがコロンビア期の編集盤は国内盤でも出たことがありましたし、昨年には輸入盤のみでしたが当時のオリジナル・アルバムが2in1CDで再発されたことがあったので、「またか・・・」、と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、そこは英国のソウル評論家:デヴィッド・ネイザン監修によるACE/KENTからのリリース! 一味違う選曲になっています。

 目玉はやはり「One Step Ahead」でしょうか。
 僕は恥ずかしながらこの曲を知らなかったのですが、モス・デフというHIP HOPミュージシャン(映画『キャデラック・レコード』にチャック・ベリー役で出演していましたね)の大ヒット曲「Ms.Fat Booty」にサンプリングとして使われていたレア音源だそうです。
 1965年にシングルで発売されながらアルバム未収録だったため、HIP HOP好きが血眼になってそのEPを一時期探していたとのこと。約2分の地味目な渋いナンバーですが、アレサの歌心が沁みる味わい深い1曲です。

 このコロンビア期はジャズ路線だったそうですが、意外にソウルフルな楽曲もあって、アトランティック期のアレサしか知らないソウル・ファンにも是非聴いてもらいたい1枚ですね。森 陽馬

2009年11月27日(金) Ben Keith & Friends 「Greensleeves」 feat Neil Young

 ここ最近東京では暖かい日が続いていることもあって、あまり実感がわかないのですが、クリスマスまであと1ヶ月、ということもあり、店内中央特設コーナーをクリスマス特集にしました。

 昨年も書いたような気がしますが、クリスマス作品の新譜というのが例年減っていて、特に邦楽のクリスマス曲、というのが少なくなりましたね。
 やはりクリスマス作品というのは季節商品となってしまうため、商売的に出したくない、というのもあるからでしょうか。スタンダードもいいけれど、X'masの新しい名曲もこれから生まれていって欲しいんですけどね。

 さて、今日のこの1曲は先日お客様に教えてもらった1枚。
 ニール・ヤングの盟友ともいえる名ギタリスト/ペダル・スティール奏者、ベン・キースによるクリスマス・アルバムです。(輸入CD VAPOR 200722)

 元々1994年にリリースされていた作品ですがこの度再発。
 予備知識なしに一聴するだけだと、“カントリー・フレイヴァーあるヒーリング的X'masアルバム”という印象も受けますが、なんと!ニール・ヤングがギター、オルガン、そしてヴォーカルでも参加しているのです。

 F「Les trois Cloches」では、聴いてすぐそれとわかるニール・ヤングらしい武骨な声でメイン・ヴォーカルをとっており、味わい深くてNICE!

 更にはラストJ「Greensleeves」(グリーンスリーヴス)。
 「ロッタ・ラヴ」でお馴染み、1997年に亡くなってしまった女性シンガー、ニコレッタ・ラーソンも参加(!)していて、ニールとデュエットで「グリーンスリーヴス」を歌っているのです。(ちなみに蛇足ですが、「グリーンスリーヴス」を聴くと、ニール2003年の来日公演を思い出します。閉演後「グリーンスリーヴス」が場内でかかっていました。)

 他にもジョニー・キャッシュやJ.Jケイル、ペギ・ヤング(ニールの奥さん)なども参加。ベン・キースの穏やかなペダル・スティールの音色も心地良いので、ニール・マニアは要チェックの1枚ですね。森 陽馬

2009年11月28日(土) イアン・ゴム&ジェブ・ロイ・ニコルズ 「Lover's Walk」

 70年代にブリンズリー・シュワルツに参加、ソロ転向後もマイペースに活動を続けるイアン・ゴムと、現在ウェールズを拠点に活動しているアメリカ生まれのシンガーソングライター、ジェブ・ロイ・ニコルズがコラボレーション・アルバムを発表しました。(MSIG-610 宇田和弘氏による解説・歌詞付 \2,835)

 アコースティック・セットを中心としたゆったりとした曲が並び、二人はひと回りほど年が違うそうですが、声の雰囲気も少し似ており、息のあったハーモニーを聴かせてくれます。
 そこに少しエレクトリック要素を加えるのは、ニコルズのアルバムに参加しているアンディ・ハミルや元エニー・トラブルのクライヴ・グレッグソンなど。

 お互いソウルが好きだという事でインプレッションズ、ボビー・ウーマックの他、クローヴァー(ザ・ニュースの前身バンド)等ちょっとマニアックな曲のカバーや、ゴムの代表曲のひとつ「Hooked On Love」の再演、共作を一曲含むオリジナル7曲も収録した全14曲。リード・ヴォーカルは丁度半分ずつとっています。

 どの曲もとても良いですが、ニコルズ作で彼の優しいヴォーカルが印象的な「Lover's Walk」がとても気に入りました。

 ジャケットのような、コーヒーでも飲みながら聴きたい味わいのあるアルバムです。東尾沙紀

2009年11月29日(日) KIDS BOSSA (Mannu & Eliza Lacerda) 「Wonderful Christmastime」

 土曜日はぽかぽか陽気だったものの今日は肌寒い1日で、さすがに冬の到来を感じましたね。武蔵小山の商店街入口&天井もクリスマスの飾付けがされて、少しクリスマス気分になってきました。

 クリスマス関連商品では、デヴィッド・T・ウォーカーの新作が評判上々ですが、今日紹介するこのアルバムもちょこちょこ売れております。
 小さい子供が舌ったらずな英語でお母さん的女性ヴォーカリストと一緒に歌う楽曲で人気、“KIDS BOSSA”シリーズの新作『KIDS BOSSA Happy Christmas』(XNSS-10165 \1,260)。

 歌はMannu & Eliza Lacerdaというクレジットがあり、子供と大人の女性によるユニゾン的ヴォーカル。サウンド&アレンジはそれほど凝らずに穏やかで無難なバック・トラック。特に音楽的に秀でているわけではありませんが、小さいお子様がいるご家庭でのんびりBGMとしてかけているのにいいかもしれません。

 CDだけでなく、中にクリスマス・カードにもなる卓上シートが入っており、見開きの紙ジャケットを広げて、卓上オーナメントとして展示することもできます。(あと歌詞カードには英語にカナもふってあります。)
 この仕様で1,260円とお買得なので、子供がいるお母さんへのささやかなプレゼントとしてもピッタリの1枚ですね。

 ちなみに今日のこの1曲は、ポール・マッカートニーの名曲カヴァー。他にはマライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You」、定番「White Christmas」など全8曲が収録されています。森 陽馬

2009年11月30日(月) Weldon Irvine 「What's Goin' On?」

 マーヴィン・ゲイの「ホワッツ・ゴーイン・オン」は、“名曲”と言われる中でも特別な名曲・歴史的な名曲と言っていい曲ではないでしょうか?
 そういう有名曲ですからカヴァーも多く、本当に様々なアーティストが様々な感性で取り上げています。

 このヴァージョンはイントゥルメンタルで、ソウル・ジャズ系のキーボード奏者:ウェルドン・アーヴィンが1976年に発表した『シンバッド』というアルバムに収録されています。(プラケース・・・BVCP-40142 \1,890 紙ジャケ・・・BVCJ-37493 \2,100)

 これがいいんです。
 僕の中ではいわゆる“キラートラック”というやつで、何回聴いてもヤラれてしまうんです。

 演奏メンバーは、クリス・パーカー(ドラム)、ゴードン・エドワーズ(ベース)、リチャード・ティー(アコースティック・ピアノ)、コーネル・デュプリー(リズム・ギター)、エリック・ゲイル(ソロ・ギター)
 ナニ! これは“スタッフ”じゃないですか!

 それにウェルドン・アーヴィンの必殺エレピが加わり、メロウながらも実に引き締まったサウンドが展開されます。
 もっと長くひたっていたい4分36秒の名演! 森 勉






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