PET SOUNDS RECORD
今日のこの1曲 アーカイヴス


  今日のこの1曲 “Achives”

<2009月5月>

当店ペット・サウンズ・レコード店にて、
その日に店内でかけていた曲の中から、
店員の独断と偏見で選んだ“今日のこの1曲”コーナー

2009年5月に更新した“今日のこの1曲”コーナー。
廃盤・生産中止、規格番号の変更など、
情報が古くなっている商品もございますが、ご了承くださいませ。


<最新の“今日のこの1曲”はこちらのページをご覧ください>


2009年5月1日(金) A.R.Rahman 「Jai Ho」

 ちょっとおシャレ(?)なサブカルチャー系ネタを、長年センス良く特集してきた雑誌“エスクァイア日本版”。残念ながら休刊となってしまうようです。

 好きな映画や音楽を取り上げることが多かったので、学生時代はよく購入して情報収集していたのですが、最近は気になる特集があるときに稀に手にとるくらいで、あまり買わなくなっていました。僕みたいな人が増えてしまっていたのかもしれませんね。やっぱりインターネットの弊害なのかな。

 さて、映画といえば先日、アカデミー賞の主要部門を独占した映画『スラムドッグ$ミリオネア』を見てきました。さすが、アカデミー8部門受賞作品! とても面白かったですね。(個人的には学生時代にインドに旅行した思い出が甦ってきて、そういう意味でも楽しめました。)
 実際ストーリー自体はシンプル(ラストも結構ベタな感じ?)ですが、見ていて飽きさせないダニー・ボイル監督の躍動感ある映像感覚、そして見所をうまく配置させた脚本が素晴らしいのだと思いました。

 あとA.R.ラフマーンという人が手掛けた音楽も、活気ある“今”のインドが絶妙に表現されていて、映画のテンポを良くしていましたね。作品賞、監督賞、脚本賞だけでなく、作曲賞、歌曲賞も受賞したのを知った時は、いくらなんでもちょっと賞をあげすぎなんじゃない?とも思いましたが、たしかに映画全体と音楽が見事にマッチしていました。シタールのイメージが強いインド音楽ですが、色んな意味で進化を感じさせてくれるサウンドです。森 陽馬

★ジャケット写真はサントラ盤(UICS-1184 \2,500)

2009年5月2日(土) Bob Dylan 「It's All Good」

 ボブ・ディランの約3年ぶりの新作オリジナル・アルバム『Together Through Life』の輸入盤が発売。すでに数日前に入荷していたのですが、ディランに関しては語れるほど詳しくないので、ここで取り上げるのは躊躇していたのですが、内容はディランらしい良いアルバムだったのでご紹介することにしました。

 ロス・ロボスのデヴィッド・ヒダルゴ(アコーディオン)が参加しており、前作『モダン・タイムス』よりもサウンド的には肩の力が抜けた楽曲が多いですね。だからといって軽さはほとんど感じず、アメリカン・ルーツ・サウンドを現代ディラン流に録音して作り出した感じでしょうか? ディラン・マニアの方に怒られそうですが、個人的には『オー・マーシー』(1989年作)をダニエル・ラノワではなくてジョー・ヘンリーがプロデュースしメロディーを変えて現代の音で再録したような印象を受けました。(ムチャクチャな例えですね。スミマセン) そう感じたのはアメリカ南部サウンド/ブルース調の楽曲が多いからかもしれません。

 ちなみに輸入盤入荷しましたが、今度出る国内盤は珍しく歌詞・対訳付(近作はディランの意向で歌詞が付いていないのが多かった)なので、どうしても今すぐ聴きたい!というのでなければ国内盤を待った方がいいかも。
 ただその国内盤もやっかいで、
@ディランの曲が使われた日本映画を独自編集した限定DVD付(5/27発売 SICP-2235 \2,730)
A通常CD1枚もの(5/27発売 SICP-2237 \2,520)
Bディラン選曲のルーツ・ナンバー・コンピCDとインタビュー映像DVDもセットになった2CD+DVD限定デラックス盤(6/10発売 SICP-2250 \4,410)
と、3種類も発売。更に輸入盤限定アナログにはCDが付いていたり、海外の量販店ではTシャツが付いているのがあるらしく・・・、いやはやかなりファン泣かせなリリースですね。
 個人的な結論としてはディラン選曲CDも面白そうだし、国内盤DVDには字幕も付くそうですから、やっぱり約1ヶ月待って2CD+DVDの限定盤がおすすめですね。森 陽馬


★忌野清志郎がガンのため亡くなってしまったそうです。昨年末ブッカーT&MG'sのライヴに飛入りしたりして復活も間近かな、と思っていたんですけれどね。残念。ご冥福をお祈りいたします。

2009年5月3日(日) オーティス・レディング 「トライ・ア・リトル・テンダネス」

 忌野清志郎が亡くなってしまいました。
 2日(土)深夜のニュースで知り、なんだか力が抜けてしまいました。
 58歳−同世代なのです。

 同じ60'sの音楽を十代の時に聴いて育ったという点から、彼の作る音楽や反体制を貫いた言動はよくわかる気がしていました。
 そして、「愛し合ってるかい」という問いかけは、戦いや争いが絶えない社会へのさりげないメッセージとして受けとめていました。

 今日はそんな清志郎さんにこの曲を捧げたいと思います。
 彼が大好きだったオーティス・レディングの名作ライヴ盤『ヨーロッパのオーティス・レディング』(WPCR-75445 \1,800)から「トライ・ア・リトル・テンダネス」。オーティスの熱唱は胸を熱くしてくれます。
 清志郎、安らかに。合掌。森 勉

2009年5月4日(月) ハミング・キッチン 「Daisy's Cafe」 

 ゴールデン・ウィーク、みなさんはいかがお過ごしでしょうか?
 今年は天気が良くてお出掛けにはちょうどいい陽気が続いていますね。明日5日は六本木ヒルズで開催されている大貫妙子さん主催の無料ライヴ・イベント『TOKYO M.A.P.S』を見に行こうかな、と思っていたのですが、よりによって明日から天気が悪くなるらしいじゃないですか・・・。雨天決行ながらやっぱり雨は勘弁してもらいたいものです。

 で、その明日のお目当て、17時から出演予定のハミング・キッチンが新作『ストレンジ・トマト』を発表しました。(COCP-35383 \2,625)

 ハミング・キッチンは湘南を拠点に2003年頃から活動しているイシイモモコ(Vo)、眞中やす(G)による男女二人ユニット。
 今作2ndアルバムは細野晴臣さん主宰デイジー・ワールド・レーベルからのリリースで、林立夫さん、上原裕さんなどのゲストも参加していますが、本当に無駄な音がほとんど入っていないシンプルな音作りが印象的な作品。ゆったりとした穏やかな楽曲で占められていますが、ただ単に静かなだけではなく絶妙な味付けが随所にされているのが聴き所です。

 ブックレット内に眞中やすさん自らが手掛けたオーガニックな食事が掲載されていますが、まさに音楽そのものもオーガニックな味わいで、体にも心にもやさしい演奏と歌声がじんわりと身に沁みてくる全13曲。(2,625円という値段なので懐にもやさしいですね。)
 湘南の心地良い海風&ハンモックに横たわり、ウトウトしながら聴きたい1枚。ちなみに今日の1曲及びジャケットにもなっている“Daisy's Cafeは湘南・鎌倉由比ヶ浜に実在するカフェ・バー。鎌倉散歩したときにでもフラッと寄りたいですね。森 陽馬

2009年5月5日(火) TAKU & GORO 「The Way You Look Tonight」

 六本木ヒルズのライヴ・イベント『TOKYO M.A.P.S』最終日を見てきました。
 雨足がだんだん強くなっていったのですが、ステージ及び客席には屋根があったので濡れずに楽しむことができました。ジャワ・ティー飲み放題で、試供品ももらえてラッキーな気分。夕方過ぎはちょっと寒かったですけどね。

 13時からalan、15時からリトル・クリーチャーズ、17時からハミング・キッチン、19時からフライング・キッズという構成。それぞれ良いライヴを見せてくれました。(ハミング・キッチンのドラムは上原裕さんでした。セット・チェンジ中場内では忌野清志郎がかかっていました)

 今日のこの1曲は、リトル・クリーチャーズの青柳拓次がナオミ&ゴローのギタリスト伊藤ゴローと組んで2008年に発表したジャズ・カヴァー・アルバム(TAKU & GORO 『Radio Indigo』 RZCM-46041 \2,500)から、フレッド・アステアが1936年に歌ってアカデミー主題歌賞も受賞したナンバー。(作詞:ドロシー・フィールズ、作曲:ジェローム・カーン) 土岐麻子さんもゲスト・ヴォーカルで参加していてNICE!

 単なる有名曲だけではなく、渋いスタンダード・ナンバーをオールド・タイミーな雰囲気でカヴァーしており、小粋なBGMとしてはもちろん、夜じっくり聴き込むのにもおすすめの1枚です。森 陽馬

2009年5月6日(水) souluniques 「Cause We've Ended As Lovers」

 一般的にゴールデン・ウィークも今日で終わり。子供の頃はゴールデン・ウィークというと色々なイベントがあって毎日が充実していたような記憶があるのですが、大人になるとなんかあっという間に日常として過ぎ去ってしまいますね。まあ、こうやって健康で暮らせることがなによりかもしれませんけれども、日々何かしら目標を持って生活しないとな、と改めて実感した今年のGWでした。・・・とか言いつつ、このCDを聴きながら1日ボーと過ごしたいな、と思う自分もいたりして困ったものです。

 ソウルユニークスは、クルーエル・レーベルのプロデューサーなどの仕事で知られる神田朋樹を中心に、名キーボーディスト堀江博久(コーネリアス、ラブ・サイケデリコのキーボード奏者としても有名)、ポート・オブ・ノーツのギタリスト小島大介などが参加したユニット。

 このアルバム『free soul In The Studio Chill-Out Mellow Ensemble』(PECF-1010 \2,500)は、スティーヴィー・ワンダー「Golden Lady」、EW&F「Brazilian Ryme」、マーヴィン・ゲイ「What's Going On」、ボビー・ヘブ「Sunny」などの有名曲から、ティミー・トーマス、テリー・キャリア、ブライアン・オーガーなどフリーソウル的視点のクールな楽曲を選曲し、それをチルアウト的静かなインストで聴かせる、というコンセプトの1枚。

 これが極上の“お洒落な大人の夜向けイージー・リスニング”に仕上がっており、フェンダー・ローズの音色を中心にゆったりと聴かせるチルなインストが心落ち着かせてくれます。
 今日のこの1曲は、あのスティーヴィー・ワンダーの奥さんだったシリータが1974年に発表したアルバムからの名曲カヴァー。“10cc「I'm Not In Love」のようなアプローチ”で録音された1曲だそう。就寝前の心地良いBGMとしても最適ですね。森 陽馬

2009年5月7日(木)Marvin Gaye 「When Did You Stop Loving Me, When Did Stop Loving You」

 昨日のシリータによるスティーヴィー・ワンダー作「Cause We've Ended As Lovers」(邦題:哀しみの恋人達)は、シリータとスティーヴィーの別れを綴った内容の歌ながら、そこまでドロドロした感じを受けませんが、マーヴィン・ゲイのこの曲(邦題:涙の向こう側)は歌詞を読むとなかなかに強烈ですね。

 その名も『離婚伝説』というタイトルが付いたマーヴィン・ゲイ1978年発表アルバムは、ベリー・ゴーディの実姉=アンナ・ゴーディと離婚し、その慰謝料のために制作された、と言われているいわくつきの作品。当時は一般的にも評判が良くなかったそうですが、30年経った現在は70's後半のソウル再評価の波もあって、サウンド的にも隠れ名盤と見直されている1枚です。

 全般的に歌詞は別れた奥さんへのいやみ・未練・思い出が赤裸々に綴られており、解説&歌詞を読むだけでも“離婚私小説”を読んでいる感じ。
 ♪君は心の底から僕を愛してると言ったけれど、本当に君が心底愛してくれていたのなら、100万ドルもの慰謝料を僕に要求するはずないよ♪
 なんてことを歌にして、またそれを完成度の高い70's後半メロウ・ソウル・サウンドに仕上げてしまっているのが凄いところ。
 「Anna's Song」では♪一晩中愛し合ったよね〜ミルクを入れたお風呂に入った後は〜ベッドの上で戯れながら〜中略〜あの頃のようにもう一度そんな風に過ごしてみないかい♪とも歌っていて、なんともリアルで複雑な愛憎表現が散りばめられた作品です。

 ちなみに先日、ボーナス・ディスク付き2CDデラックス・エディションが紙ジャケSHM-CD仕様で発売になりました(UICY-94046 \3,800)ので、マーヴィンは『ホワッツ・ゴーイン・オン』しか持っていない、という方には買い時だと思いますよ。森 陽馬

2009年5月8日(金) ロイ・オービソン 「ミーン・ウーマン・ブルース」

 昨年12月5日厚木市文化会館から始まった山下達郎6年ぶりのライヴ・ツアー<Performance 2008〜2009>も、今度の月曜日5月11日中野サンプラザ公演で千秋楽を迎えることになりました。
 全国32ヵ所50回公演、凄いですね。あれだけ音楽的に濃密なステージをそれだけ続けることができるなんて驚きです。

 ネタばれしないようにと、ライヴ・ツアーのことは書かないようにしていたのですが、残すところあと1回なので、今回のツアーでカヴァーしている曲について触れておきたいと思います。(ネタばれといっても、マニアックすぎることかもしれませんが・・・)

 おなじみ「レッツ・ダンス・ベイビー」の中で踊り(ダンス)に関する「ツイストで踊りあかそう」(サム・クック)、「ダンシング・クイーン」(アバ)、「ダンシング・イン・ザ・ムーンライト」(キング・ハーヴェスト)、「踊ろよ、ベイビー」(ボビー・フリーマン/ビーチ・ボーイズ)、「踊ろよ、フィッシュ」(山下達郎)などが織り込まれ、一節ずつ歌われています。

 今回はこの曲の後半でなんと、「ミーン・ウーマン・ブルース」がそれなりに長く歌われています。エルヴィス・プレスリー、ジェリー・リー・ルイスなども歌っていますが、ヒット曲としては我々の世代にはこのロイ・オービソンのヴァージョンでしょうか。1963年全米5位と大ヒットとなりました。女性コーラスとの掛け合いもあり、かっこいいロックンロール・ナンバーです。森 勉

★掲載ジャケットは、ロイ・オービソンの魅力が詰まった4枚組CD BOXセット。(SICP-2096 \10,500)

2009年5月9日(土) Bruce Cockburn 「The End Of All Rivers」 

 1970年代から活動しているカナダの名シンガー・ソングライター、ブルース・コバーンのソロ・ライヴ・アルバム『SLICE 0 LIFE』(輸入盤CD2枚組 Rounder 11661-3259-2)が先日発売。

 基本的に彼のギターと歌のみ、というとてもシンプルな編成。楽曲にも決して派手さがないものの、聴いているとそのライヴ会場にタイムスリップできそうな臨場感に満ちています。70年代の曲はほとんどやってなくて、80年代以降〜最近の作品からの楽曲構成ではありますが、曲を知らなくてもじわじわと引き込まれるライヴ盤です。

 弾き語りでこれだけ求心力があるのは、ギターが秀でて素晴らしいからでしょう。一般的に語られることは少ないのですが、アコースティック・ギターの現代の名手としてベスト10に入るといっても過言ではないと僕は思っています。

 特に印象的なのがディスク1の11曲目に収録されているギター・インスト曲「The End Of All Rivers」。そのテクニックもさることながら、この人のギターには唯一無二の叙情的な響きを持っていて、幻想的な夢を彷徨っているような不思議な気分にさせられるのです。森 陽馬

2009年5月10日(日) ミランダ・リー・リチャーズ 「Hidden Treasure」

 サンフランシスコ出身の女性シンガー、ミランダ・リー・リチャーズの約7年ぶりの新作『微笑につつまれて』(原題:『LIGHT OF X』 TECI-24553 \2520)が気に入って最近よく聴いています。
 
 私はこれを聴くまで彼女の事を知りませんでしたが、ストーンズの「Dandelion」のカバーが収録され話題となったデビュー作『ヒアゼアアフター』(国内盤は現在廃盤です)は当時日本の音楽ファンの間でも注目されていたようですね。
 元モデルの彼女は現在34歳。輸入盤と国内盤のジャケットは異なるようですが、前作同様ジャケ買いしたくなる美しい容姿にも注目。ギター以外にもピアノ、複数の楽器演奏、ストリングス・アレンジをこなす才人でもあるようです。

 その彼女が手掛けるアコースティック・ギター、ピアノを基本に、更にストリングスも施された穏やかなフォーク・サウンドと、彼女の柔らかい雰囲気を持ったピュアな歌声が心地良く響く一枚。彼女は60〜70年代の音楽からの影響が一番強いようですが、メロディーやひんやりとした音の質感は80年代のイギリスっぽくも聴こえますし、彼女が好きだというサイケやオルタナのテイストも少し。あとペダル・スティールも効果的に使われています。
 
 国内盤はボーナス・トラックを2曲追加収録。ポップな曲もありますが、全体的にゆったりとした空気に包まれていて何度リピートして聴いても飽きません。美しいメロディーが夢見心地にさせてくれます。東尾沙紀

2009年5月11日(月) Marlena Shaw 「Somewhere」

 2年前にできたばかりのビルボードライヴ福岡店が今夏で閉店してしまうそうです。「不況の影響もあり、地方会場は集客が難しい」という話を伝え聞いたことはありますし、店舗により経営方針なども違うとは思いますが、これはかなり深刻な事態ですね。

 実際に不況の影響ももちろんあるとは思いますが、現代人の傾向として、<忙しくてライヴを見に行く時間的・精神的な余裕がない>ということと、<ライヴを見に行く以外に空き時間を楽しむ選択肢(主にPC関連)が増えた>ということが挙げられると思います。これを打開する策というのは、一朝一夕には難しいと思いますが、まずは音楽の魅力を幅広く伝えていくことでしょうね。僕らCD店の店員ももっと色々な面で努力しなければ、と思っています。

 さて、そのビルボードライヴにマリーナ・ショウの来日が決定しました。今回はバック・バンドが凄くて、デヴィッド・T・ウォーカー(G)、チャック・レイニー(B)、ハーヴィー・メイスン(Dr)、ラリー・ナッシュ(key)という凄腕メンバーが勢揃い! このメンツなら代表作『Who Is This Bitch Anyway』から中心にやってくれそうですね。

 マリーナ・ショウというとその『Who Is This Bitch Anyway』ばかりが名盤と評されがちですが、この1972年に発表されたブルーノート移籍第一弾アルバム『マリーナ』も負けず劣らず素晴らしい作品です。
 キャロル・キング「So Far Away」、マーヴィン・ゲイ「Save The Chirdren」、アレサで有名な「Runnin' Out Of Fool」などもやっていていますが、ミュージカル『ウエストサイド物語』の中で使われるA「Somewhere」のカヴァーがかっこいいアレンジでいいですね。最新デジタル・リマスターされ限定盤で再発されました(TOCJ-6741 \1,800)ので、マリーナ・ショウ好きでまだ持っていない方は要GETの1枚でしょう。森 陽馬

2009年5月12日(火) 大橋トリオ 「風の谷のナウシカ」

 先月末に発売された細野晴臣さんの『歌謡曲20世紀BOX』。本日通知がきたのですが、回収となってしまったそうです。

 回収理由は、ディスク3の9曲目に収録されているイモ欽トリオ「ティーンエイジ・イーグルス」音源不備のためで、歌の最後の部分、♪ホームラン♪の“ン”の部分が欠落してしまっているとのこと。すでにお買い上げいただいたお客様には大変申し訳ないのですが、販売元のコロンビア・ミュージックへ送れば無償で良品と交換してくれるそうです。(良品出荷は15日以降。詳しくは公式サイトの重要なお知らせの部分をご参照くださいませ)

 さて、今日は13日新譜が色々と入荷して、その中でも特に大橋トリオ待望の新作が抜群に良かったのですが、それは明日に紹介するとして、今日は上記の流れで細野さん作で1曲。

 『ジブリ meets Bossa Nova』というタイトルで本日発売されたこのコンピは、ジブリ映画で有名な楽曲を日本人アーティストがカヴァーした8曲入りミニ・アルバム。(UPCH-1713 \2,000)
 土岐麻子がヴォーカルをとる中塚武「となりのトトロ」にはじまり、日本人CLUB界で現在一番人気のJazztronikによる「崖の上のポニョ」など、必ずしも正統派ボサノヴァ・カヴァーではないのですが、ボッサ的なオシャレなアレンジでジブリ関連曲を聴かせてくれるゴキゲンな1枚でした。

 その中で異色な崇高さを感じさせるのが、大橋トリオによる細野晴臣作「風の谷のナウシカ」のカヴァー。聴くまでは男性ヴォーカルではイメージがわかなかったのですがさすが大橋さん。切なげな朴訥とした彼の歌声と絶妙なアレンジがオリジナルとはまた違った楽曲の良さを伝えてくれます。森 陽馬

2009年5月13日(水) 大橋トリオ 「A BIRD」

 <一人なのに大橋トリオ> 大橋好規=大橋トリオ
 ペット・サウンズ・レコードでは以前から話題の大橋トリオが遂にメジャー・デビュー! なんとあのエイベックスから・・・。エイベックスに良いイメージを持っていない音楽ファンも多いかと思いますがご安心ください。大橋トリオはメジャーになっても以前と変わらぬいい雰囲気、気持ちをリラックスさせてくれるサウンドを届けてくれています。

 今回も前ニ作と同様にどの楽曲も質の高いものばかり。
 特に気に入ったのはこの「A BIRD」です。一般的にもこの曲がアルバムのリード・トラックになっているようです。ラジオなどでオンエアされる時は後半のヴァイオリンが出てくるいい所が途中でカットされてしまうことが多いので、やはり彼のアレンジの巧みさを堪能するにはCDで聴きたくなってしまいます。

 それにしても彼の音楽的センスの良さはその素養とともに見事なものですね。3月に当店の新店舗オープン2周年記念イヴェントにプライベートで遊びに来てくれて、さりげなくそこにあったギターを抱えてジェイムス・テイラーの「ドント・レット・ミー・ビー・ロンリー・トゥナイト (邦題:寂しい夜)」などを弾き語りしてくれました。これが本当のシークレット・ライヴ。至福の時間でした。森 勉

2009年5月14日(木)『KIDS BOSSA〜POCO-A-POCO』より 「Yellow Submarine」

 武蔵小山駅前広場の工事もやっと完成に近づいてきました。ロータリーもほぼ出来上がって、今週末16日(土)&17日(日)には『駅前広場完成記念 EBARA夢フェスタ2009』という催しが開催されるようです。

 駅前広場(ロータリー)自体は、“車のための広場”という感じで、普段利用してきた地元住民としてはまだ慣れない部分が多々あるのですが、工事も一段落して店の周辺もすっきりしてきました。ちなみに、当店へのアクセスとして今までは武蔵小山駅の東口からが便利でしたが、ロータリーが出来上がった現在は西口から出られた方が店に近くなりましたので、電車でいらっしゃる方は西口をどうぞご利用くださいませ。

 さて、店の入口前もちゃんとした歩道ができ、お子様連れのお客様も徐々に増えてきたのですが、そんな音楽好きのお母様方に最近人気のアルバムが『KIDS BOSSA POCO-A-POCO』(XNSS-10138 \2,100)。

 外国の女の子が舌ったらずに歌うボサノヴァ・カヴァーを収めたコンピで、誰でも耳馴染みのある「オーバー・ザ・レインボウ」、「ラヴ・ミー・テンダー」、「キラキラ星」、「幸せなら手をたたこう」、「おおスザンナ」、「イエロー・サブマリン」などの有名曲を穏やかなアレンジで聴かせてくれます。全部が全部子供の声、というわけではなく、やさしい女性ヴォーカルに子供の声がかぶる歌で、演奏もなかなか良いです。ジャケットもかわいいので、出産祝いのプレゼントにもピッタリかもしれませんね。森 陽馬

2009年5月15日(金) 風吹ジュン 「そよ風にのって」

 音楽出版社から刊行&入荷した書籍『漣流 草野昌一×漣健児』(著:和田彰二 \2,100)。とても面白い内容で、少しずつ読み進めています。

 作詞家・訳詞家として日本語カヴァー・ポップスの先駆者であり、また『ミュージック・ライフ』初代編集長など日本音楽業界に大きな影響を及ぼした草野昌一氏(漣健児)の伝記本。当時の音楽業界の流れはもちろん、昭和の音楽ビジネス裏側などが詳細に描かれており、ところどころにわかりやすい注釈が付けられているので、非常に勉強になる1冊でもあります。

 カヴァー・ポップス全盛時代だけでなく、70年代から80年代、そしてプリンセス・プリンセスを売り出す時の秘話や90年代以降の話も興味深いエピソードがたっぷり! 日本ポップス好きの方なら一読をオススメしたい音楽本ですね。(巻末には漣健児訳詞・作詞主要作品リストも掲載)

 この本を読むと、漣健児作品を聴きたくなってしまうのですが、好編集だった『サザナミ・ケンジ・コレクション 漣健児トリビュート』(2CD TOCT-25823 \3,000)は現在あいにく生産中止となっており入手困難状態。現在店頭にはこの『漣健児ソングブック』(TECH-25081 \2,500)が残っており、ややマニアック(?)な選曲ですが、これも生産中止となってしまっているようです。せっかくなので再プレス、もしくは新しい編集の決定版CDを出してもらいたいですね。森 陽馬

2009年5月16日(土) Ned Doheny 「I Know Sorrow」

 本日は駅前ロータリーで武蔵小山駅前広場完成記念式典が催されました。特設ステージが作られ模擬店も出店。縁日のような賑わいで、学生のブラスバンド演奏や盆踊り、アマチュア・バンドの演奏などが華やか行なわれていました。明日も開催予定なので、雨の予報ですが天気が良くなるといいですね。

 さて、今日は個人的に再CD化を強く望んでいた1枚がやっと入ってきました! LA出身シンガー・ソングライター、ネッド・ドヒニーがアサイラム・レーベルから1973年に発表した名作1stアルバム『Ned Doheny』。(Collector's Choice CCM-2011)

 以前2005年2月17日、旧店舗が立ち退きで閉店した直後にこちらのコーナーで取り上げたことがあったのですが、永らくCDが生産中止状態だったので、店頭でもかけられず歯がゆい思いをしていたのです。

 特に2曲目「I Know Sorrow」は本当に大好きな1曲で、切ないピアノの奏とネッド・ドヒニーの歌声が沁みる隠れた大名曲。ホント何度聴いても飽きませんね。他の曲も捨て曲なしで、持ってて損なしの作品です。 森 陽馬

2009年5月17日(日) Nick Lowe 「What's Shakin On The Hill」

 今年の3月で還暦となったイギリスのポップ・メイカー、ニック・ロウ。その記念ともいえる最新リマスター・ベストが先日リリースされました。(輸入盤2CD+DVD 『Quiet Please...THE BEST OF NICK LOWE』 PRPCD-36)

 昨年ソロ・デビュー盤『Jesus Of Cool』がリリースから30周年という事でボーナス曲を追加して再発されたりはしましたが(国内盤未発売)、他の作品は入手しづらいのが現状です。
 昔からのファンの方は、またベスト盤かなんて思っているかもしれませんが、今回は限定でDVDが付いています。9曲のビデオ・クリップと、2007年のライブ映像(新曲と、あとはベスト的選曲!1時間ほど)を収録。前半はアコギ弾き語り、後半はバンド・メンバーが出てきます。

 CDは2枚組で全49曲とたっぷり収録。ブリンズリー・シュワルツの名曲「(What's So Funny 'Bout)Peace,Love And Understanding」から、ロックパイル、リトル・ヴィレッジ、現時点でのソロ最新作「At My Age」から年代順に収められ、入門編としてもオススメです。唯一のヒット曲にして名曲「Cruel To Be Kind」(何度聴いても心躍りますね!)を始め、近年のアメリカン・ルーツに迫った味わい深いアルバムにも親しみやすいメロディーとポップ・センスが溢れていますね。

 今日の一曲はただ自分が好きというだけですが、「What's Shakin On The Hill」(90年の「Party Of One」収録)。ブラシで叩くドラムと穏やかなギターが印象的な優しい曲。DVDのライブでも歌われています。

 DVDのライブを見てすっかりおじいちゃんだな?と感じるとともに、音楽的にも外見的にも素敵な年の重ね方をしているなと思いました。テレビに写った若い頃の自分を見つめているジャケットも素敵。またいつか来日してほしいです。東尾沙紀

2009年5月18日(月) ベン・ハーパー&リレントレス7 「Up To You Now」

 <ベン・ハーパーが長年一緒にやってきたバンド“イノセント・クリミナルズ”から離れて新バンドでアルバムを制作!>
という記事を読んだときは、果たしてどんな作品に仕上がるのかな?と不安な思いがありました。
 以前発売されたライヴ&ツアー・ドキュメンタリーDVD映像で、“イノセント・クリミナルズ”のメンツとはかなり仲が良さそうで、バンド内のいい雰囲気が伝わったこともあり、よっぽど音楽的に新しいことがやりたくなったのかも、と思ったからです。(実際、仲違いしたわけではないそうです)

 その新しいバンドでのフジ・ロック2009出演も決定し、先週発売されたのがこのアルバム『ホワイト・ライズ・フォー・ダーク・タイムズ』(TOCP-66884 \2,500)。
 その新しいバンドは“リレントレス7”と名付けられていて、2005年作『ボウス・サイズ・オブ・ザ・ガン』収録の「サーヴ・ユア・ソウル」という曲に参加していたジェイソン・モゼルスキー(G)、ジョーダン・リチャードソン(Ds)、ジェシー・インガルズ(B)による白人3人で構成。音楽性はどんな感じか?というと、もう一言“ROCK!”ですね。

 以前まではソウル色/ブルース色も感じられる作品でしたが、今作はそのような黒人的な音色はほとんどなくて、全体的に骨太なロック楽曲中心。彼の持ち味が活かされたいい曲が多くて新鮮な気持ちで聴けました。
 リード曲B「Shimmer & Shine」などはパティ・スミス「ロックンロール・ニガー」を彷彿とさせるようなパンキッシュな仕上がりの曲で、バタバタしたドラムがロックしていてかっこいいですね。
 彼らしいJ「Faithfully Remain」なども良かったですが、吹っ切れたように♪自分次第なんだぜ♪と歌うA「Up To You Now」が快心の1曲。ベン・ハーパー伝説の分岐点となる新たな作品となりそうです。森 陽馬

2009年5月19日(火) Gary Lewis & The Playboys 「Down On The Sloop John B」(「スループ・ジョン・B」のカヴァー)

 新着オールディーズCDから1曲ご紹介したいと思います。

 ゲイリー・ルイス&プレイボーイズは1965、66年の2年間、なんと10曲ものヒット曲を放ちました。
 「ディス・ダイアモンド・リング」、「カウント・ミー・イン」、「セイヴ・ユア・ハート・フォー・ミー」、「エヴリバディ・ラヴズ・ア・クラウン」、「シーズ・ジャスト・マイ・スタイル」、「シュア・ゴナ・ミス・ハー」、「グリーン・グラス」、「マイ・ハーツ・シンフォニー」、「ペイント・ミー・ア・ピクチャー」、「ホエア・ウィル・ザ・ワーズ・カム・フロム」

 どの曲も良質なポップスを感じさせてくれるサウンドで、プロデュースを担当したスナッフ・ギャレットの手腕が十二分に活かされています。“底抜け”シリーズでお馴染みだった俳優ジェリー・ルイスの息子という育ちの良さが感じられるゲイリーのヴォーカルにも好感が持てます。

 このCDはタイトルの『The Complete Liberty Singles』通り、彼らが在籍していたリヴァティー・レーベルでの全てのシングルAB面を2枚組CDに収めたもの。(Collector's Choice CCM-2013)
 先に挙げたヒット曲はもちろん、普段はほとんど耳にすることが出来ないB面もたっぷり聴けます。そして、なんと!今日のこの曲のように当時未発表だった曲も含まれています。

 1966年に録音されレコード番号も決まっていたのに、何らかの理由でお蔵入りになっていたあの「スループ・ジョン・B」のカヴァーです。
 コーラスはやや薄いもののほとんどビーチ・ボーイズと同じようなアレンジで、アレンジャーとしてスナッフ・ギャレット、レオン・ラッセル、ゲイリー・ルイスのクレジットがあります。森 勉

★明日5月20日(水)は、当店地下アゲインにてDJイベント『気まぐれ音楽寄席』があります。今回は僕の好きな“アコースティック”もの(ギター、ピアノ弾き語りなど)を色々とかける予定です。

2009年5月20日(水) Matt Bianco 「Ba-De-Ah」 

 武蔵小山駅前広場、先日すでにロータリーは完成していましたが、今日の昼から正式にロータリーに車が乗り入れるようになりました。
 ずいぶんと大きくて立派なロータリーのわりには今のところ交通量が少ないため、歩行者が普通に車道を横切ったりしていて、駅周辺はゆる〜い空気が流れていますね。後日設置予定のバス停ができたら変わってくるかな? 夏頃には4階建の駅ビルが着工予定だそうで、その大工事前の束の間の静けさ、といったところです。

 さて、そんな穏やかな昼下がり、本日店内でかけていて気持ち良かったのが、マット・ビアンコの新作アルバム『ハイファイ・ボサノヴァ』(VICP-64705 \2,625)。
 2004年作にはバーシアが加入していましたが、今作ではマーク・ライリーとマーク・フィッシャーの二人体制に戻り、ヘイゼル・シムという女性シンガーがほぼ大半の曲でfeatされています。
 
(マット・ビアンコ、そしてバーシアといったら80年代後半〜90年代前半のJ-WAVEをやっぱり思い出しますね。ポール・ハードキャッスル、シャーデーなどと並んで、当時よくFMでかかっていましたよね。)

 さて今作のタイトルに“ボサノヴァ”と入っていますが、ボサノヴァをやっているわけではなく、基本的に変わらず“マット・ビアンコ・サウンド”。小粋な爽やかポップスがゴキゲンな1枚に仕上がっています。今日のこの1曲F「Ba-De-Ah」は歌詞が♪パ・デ・アー♪の繰り返しなんだけれどこれだけで全然OK! “オシャレ?な中年世代のイージー・リスニング”です。森 陽馬

2009年5月21日(木) Beach Boys 「Good To My Baby」

 武蔵小山駅前のロータリーもほぼ完成し、店からの見晴らしも良くなったせいか、初夏の陽射しが気持ち良く感じられる今日この頃です。

 太陽燦々とくれば、やはりビーチ・ボーイズ!
 今日はビーチ・ボーイズの新しいコンピ(またかよー、と言わないでネ)が出ましたので、それを紹介しておきましょう。(輸入盤CD『Summer Love Song』 EMI 国内盤も7月1日に発売決定)

 ニュー・ステレオ・ミックス6曲にまず耳が反応してしまいます。
 マニアは聴いて驚きの「ホワイ・ドゥー・フールズ・フォーリン・ラヴ」、デニス・ウィルソンの貴重音源「Fallin' In Love」なども注目ですが、その中でも1965年に発表された名盤『トゥデイ』A面2曲目に収められていた「グッド・トゥ・マイ・ベイビー」。

 素晴らしいコーラスと、なんとも言えない魅力をもったギター・リフにグイグイと引き込まれてしまう隠れた名曲です。その他の曲については後日また。森 勉

追伸:CDラストの「ガールズ・オン・ザ・ビーチ」のあとにちょっとしたオマケも入ってます。

2009年5月22日(金)ティンテッド・ウィンドウズ 「Without Love」

 夏本番に向けて熱さみなぎるパワーポップはいかがでしょうか?
 
 全米で話題(日本でも話題なんでしょうか?)の新バンド、ティンテッド・ウィンドウズ。メンバーはジェイムス・イハ(g)、ファウンテンズ・オブ・ウェインのアダム・シュレンジャー(b)、ハンソンの次男坊テイラー・ハンソン(vo)、チープトリックのバーニー・カルロス(drs)と世代もバラバラの4人。(国内盤ボーナス・トラック収録 『ティンテッド・ウィンドウズ』 TOCP-66885 \2,500)
 
 ある年代の人が聴くと懐かしく、最近のバンドしか聴かないという人でも聴けるアメリカらしいギター・ロック。各々のファンも世代が違うので色んな人に聴いてもらえそうですね。
 テイラーの甘めのヴォーカルがロビン・ザンダー(チープトリック)を連想させる事もあり、これはチープトリックの新作と言われれば納得してしまいそうな感じです。(バーニーがいるからそう思うのかもしれませんが)
 
 イハが「ハイ・エナジーなものにしたかった...」と語る通り、一曲目から元気いっぱい!ラウドなギターとメロディーが耳に残ります。ほとんどの曲をアダムが手がけ、イハとテイラーが数曲。テイラーが唯一書いた「Nothing To Me」が個人的にはお気に入りなのですが、今日の一曲はアダムが書いた「Without Love」という曲。

 ♪on and on ?Come on!(オ?ネオ?ネオンオネノン カモンッ!)♪のフレーズがキャッチーな一曲。これは絶対ライブで盛り上がりそう。さすがに昼間ずっと聴いてるとちょっと疲れますが...。
 各々新作を制作中との事なので、忙しくていつになるかわかりませんが来日公演も実現させてほしいなと思います。東尾沙紀

2009年5月23日(土) Rokia Traore 「Zen」 

 先週17日、横浜赤レンガ倉庫で行なわれた『アフリカン・フェスタ2009』に行ってきました。
 これが本当に素晴らしいイベントで、終わってから告知というのもなんですが、是非来年も!と思える良い雰囲気に包まれたフェスでした。

 アフリカ各国及びNGO団体による民芸品物販や活動報告、アフリカ各国のソウル・フードが味わえるフード・コーナーも充実していて、セネガル・ダンスや太鼓などが実演・体験できるワーク・ショップもところどころで開催。見所タップリで、アフリカに興味がない方でも絶対に楽しめるイベントだったと思います。17日は風が強くて雨も時々降っていましたが、そんな天気も気にならないくらい“アフリカ・パワー”に満ちていましたね。
 アフリカと一口に言っても、あれだけの国々が協力し合うというのは大変なこと。関係者の方々はさぞやご苦労がたくさんあったでしょうが、本当におつかれさまでした。

 さて、メイン・ステージで行なわれたコンサートも良いものが多くて、特にラストに登場したアフェル・ボクム(Afel Bocoum)というミュージシャンのライヴは非常に感銘を受けました。このアフェル・ボクムはアリ・ファルカ・トゥーレの甥にあたるギタリスト/ミュージシャンだそう。伝統的なマリ音楽の良心を体現していました。

 今日は、同じマリ出身の女性シンガー・ソングライター、ロキア・トラオレがアリ・ファルカ・トゥーレに捧げた新作アルバム『チャマンチェ』(PCD-93197 \2,415)からこの1曲。

 ピーター・バラカン氏が推薦していたので買ってみたのですが、最初聴いた時はとにかく地味な印象。ロキア自身が弾くギター、もしくは打楽器のみのシンプルなバック演奏とロキアの唄は、最初のインパクトは薄いものの、聴くほどにじわじわと心に響いてきます。「ZEN」はまさに“禅”から影響を受けたナンバー。アフリカ音楽のルーツと新たな息吹を両方感じさせてくれる1枚です。森 陽馬

2009年5月24日(日) Justin Townes Earle 「They Killed John Henry」 

 今日5月24日はボブ・ディラン68歳の誕生日。あと2年で古希ながら、後ろ向きではなく前に進んでいく活動を今でも続けている彼は真に“ミュージシャンズ・ミュージシャン”ですね。末永く活動していってもらいたいものです。(ちなみにディランの新作国内盤は5月27日発売。<2CD+DVDは6月10日発売>)

 さて今日はディランのDNAを継いでいる、と思われる新世代ミュージシャンをご紹介しましょう。
 ジャスティン・タウンズ・アール。ずばり“オルタナ・カントリー界の重鎮”と言われるスティーヴ・アールの息子さんです。

 新作『Midnight At The Movies』(輸入盤 bloodshot BS160)は国内盤発売の予定がなく、2世ミュージシャンのためリスナー側のハードルが高いせいかあまり評価されていないようですが、すごくいい声をしていて楽曲もNICE!
 伝統的なアメリカン・ルーツ/カントリーを引き継ぐサウンドを、臆することなく現代的に表現していてなかなかかっこいい1枚です。バンジョーやフィドルが入っているネオ・カントリー好きの方にもオススメ。

 放浪を重ねた父ほどしわがれたダミ声ではないですが、武骨なヴォーカルは若手シンガー・ソングライターの中でもかなり際立つ方だと思いますね。これからまだまだ伸びしろを感じさせてくれる注目の男性シンガーです。森 陽馬

2009年5月25日(月) 大貫 妙子 「懐かしい未来」

 先月から始まったNHK-FMラジオ・プログラム『大貫妙子−懐かしい未来』。第一回のゲスト山下達郎さん、ツアー中ということもありテンションが高かったんだと思いますが、とても面白かったです。
 明日26日(金)夜23時から第二回があって、今月のゲストは三國シェフ。どんな話と音楽がかかるのでしょうか。興味津々です。

 基本的にこのラジオ番組はゲストを招いてトーク&DJ、という形式になっていますが、大貫さんのメッセージにも記されているようにこれからの日本の“未来”がテーマになっていて、なかなか考えさせられるものがあります。

 『過去に帰ることはできない。あなたが未来に取り戻したいもの、探したいものはなんですか?』という問いを大貫さんは投げかけていますが、うーーーん難しい・・・。僕はうまく答えることができないですね。今までの人生を反芻し“生きていること”を噛みしめながら、少しずつこれから考えていきたいと思っています。

 さて、この番組のテーマ曲にもなっている「懐かしい未来〜longing future〜」を収録した大貫妙子さんの新編集盤が発売になりました。(『palette』 TOCT-26818 \2,500)
 CM、映画、TVなどで使われた大貫さんの楽曲を集めた全16曲入りで、往年の名曲・人気曲(「メトロポリタン美術館」、「ピーターラビットとわたし」、「shenandoah」など)に混じって、VIERAのCMで使われていた新曲「snow」や「嘘と噂」(オフコースfeat大貫妙子)などの楽曲も収録。各曲録音された年は違うのですが不思議と統一感があって、彼女の変わらない良さを再認識できる1枚です。森 陽馬

2009年5月26日(火) ビル・ラバウンティ 「カリフォルニア・ターンアラウンド」

 AOR/70〜80'sに活躍したシンガー・ソングライターの新作、というと、最近はボズ・スキャッグスやJ.Dサウザーのように、ジャズ寄りのサウンドでスタンダード曲のカヴァーをやっている、というパターンが多く、内容は悪くないんだけれどやや肩透かしをくらってしまうことが何回かありました。

 しかーし、今日発売になったビル・ラバウンティ、18年振り(!)の新作『バック・トゥ・ユア・スター』(TACM-7 \2,625)。これは往年のAOR名作群に全く引けをとらないどころか、<2009年のAORベスト作>と評せるほど、本当に素晴らしいAORアルバムに仕上がっていました。

 プロデュースはアメイジング・リズム・エイセスのダニー・パークスとビルの共作名義で、更にあの名ギタリスト、ラリー・カールトンも参加! レイドバックしながらも彼らしい味わい深いギター・プレイを聴かせてくれてます。

 穏やかな昼下がり、もしくはリラックスしたい夜長に聴いたらメロメロになりそうなロマンチシズム溢れるサウンド、程よいグルーヴ感ある演奏に変わらないビル・ラバウンティの渋い歌声が心地良く沁みる1枚。
 今日のこの1曲@「California Turnaround」はスティーリー・ダンにウエスト・コースト風味をまぶしたような感じですが、この曲以外のオリジナル曲やロビー・デュプリーとの共作曲などもイイ曲ばかり! 70〜80'sの良質な音楽を現代の演奏・録音で見事に再生させていて、とても聴き応えがあります。

 ちなみに日本盤ボーナス・トラックには、ビル・ラバウンティといえば・・・、という代名詞的名曲「リヴィン・イット・アップ」の、ラリー・カールトンのギターをfeatした新録アコースティック・ヴァージョンが追加収録。AORファンならば必聴・必携!聴き逃し厳禁の傑作ですよ。森 陽馬

2009年5月27日(水) Bob Crewe Generation 「Music To Watch Girls By」

 <CMソングが話題になりシングル発売され大ヒットする>、ということは古今東西よくあることですが、この曲もそんなヒット曲のひとつです。

 日本では放送されてなかったと思いますが、アメリカでは1966〜67年頃ペプシ・コーラの“ダイエット・ペプシ”のCMとして使われていたとのことです。

 日本の洋楽ファンはアメリカのヒット曲としてこの曲を知ったわけですが、我々の仲間内では、フォー・シーズンズの曲を書いたり、プロデュースをしているボブ・クルーがやっているということで話題になっていました。

 その数ヵ月後このインスト曲に歌詞が付き、アンディ・ウィリアムスが歌い、こちらもボブ・クルーに及ばないまでもそれなりに大ヒット。日本では「恋はリズムにのせて」という邦題でアンディ・ウィリアムスの方が圧倒的に知られていますが、ボブ・クルーのインスト・ヴァージョンも久し振りに聴けてうれしかったです。

 ACEの新コンピ『Hot 100 Instrumentals From 1956〜67 〜 HITS with STRINGS and things』(CDCHD-1210 \2,280)に収録されています。
 ヴィレッジ・ストンパーズ「ワシントン広場の夜はふけて」、アル・ハート「ジャワの夜はふけて」、ポール・モーリア「恋は水色」、アル・カイロラ「ボナンザ」、ホルスト・ヤンコフスキー「森を歩こう」、ヘンリー・マンシーニ「ムーン・リヴァー」などのインスト名曲が全28曲もオリジナル音源で収録。おすすめです。森 勉

2009年5月28日(木) ヘンリー・マンシーニ 「ディア・ハート」

 村上春樹の新刊、久々の書下ろし長編小説『1Q84』が出ましたね。
僕も早速購入しましたが、パラパラとめくっただけでまだ読んでいません。

 本日東京は、遂に梅雨入りというより、それを飛び越して台風が来てしまったかのような激しい雨が一日中降っていましたので、絶好の読書日和?だったかもしれませんね。すでに読破された方もいらっしゃるかもしれませんが、いかがでしたでしょうか?

 導入部をチラ見した限りでは、本文が始まる前のページである楽曲の歌詞がいきなり引用されており、更に小説の出だしで音楽がすぐに出てきたり、と最初の数ページの印象だけでも今作はキーポイントで音楽が使われているような感じです。
 まだちゃんと読んでもいない発売日の前にネタバレというのもなんなんで、その新刊で使われている楽曲に関してはまた来週にでも取り上げることにして、今日は以前の村上春樹作品で使われた曲を挙げることにしましょう。

 昨日からの流れでインスト名曲、ヘンリー・マンシーニ「ディア・ハート」。(ベスト盤に収録 BVCM-31137 \2,548)

 この「ディア・ハート」は1964年の同名映画『ディア・ハート』の主題歌となった楽曲でヘンリー・マンシーニの代表曲。
 『ノルウェイの森』、もしくはその元となった短編『螢』の小説内で、<クリスマスに“僕”が彼女(直子)に買ってあげたレコード>が彼女の大好きな曲「ディア・ハート」収録のLPだった、ということで使われています。

 個人的に小説『ノルウェイの森』はそれほど好きではないのですが、この場面は「ディア・ハート」に“僕”の切ない思いも込められている感じがして、春樹作品の中に出てくる音楽・楽曲の中でも印象深い1曲です。森 陽馬

2009年5月29日(金) Kermit Ruffins 「Holy Cow」

 本日、アラン・トゥーサンのライヴを見てきました。(at ビルボード・ライヴ東京 21時半の回)

 先月発売された新作『ザ・ブライト・ミシシッピ』(WPCR-13336 \2,680 4/24にこのコーナーでピックアップ)が、地味ながらも味わい深いトラディショナルなジャズ作品で、歌はほとんど歌わずシンプルなピアノをゆったり・じっくり聴かせる落ち着いたアルバムだったので、今回のライヴはそういう静かな雰囲気で進行していくのかな、と思いきや、出だしから溢れ出るようなフレーズ全開で弾きまくり!

 一回りも二回りも違うと思われる若いミュージシャン(ドラム、ベース、ギター、サックス)を従えて、往年の名曲(「Yes We Can Can」など)も次々に披露。シンバルのカップを多用するドラムがうるさく感じる場面もありましたが、予想以上に若々しい活気あふれるステージでした。声もよく出ていましたし、ラスト近くのピアノ・ソロ・メドレーと「サザン・ナイツ」は良かったなー。

 ということで、身は東京でも心はニューオリンズのバーボン・ストリートへ行ってしまったので、今日はニューオリンズ関連の新譜をご紹介。

 カーミット・ラフィンズは“ニューオリンズの良心”ともいえる黒人トランペット&シンガー。日本での知名度はイマイチでもニューオリンズ当地では知らない者はいないくらいニューオリンズ魂を引き継いでいる名ミュージシャンで、ルイ・アームストロングの音楽DNAを現代の音で表現している貴重な存在です。

 先日出たばかりの新作『Livin' A Treme Life』(輸入CD BSR-0107-2)も、ジョージ・ポーターJrやトロイ・アンドリュース、ボノラマ、山岸潤史などニューオリンズゆかりのアーティストが多数参加。アイズレーの「For The Love Of You」や「I Can See Cleary Now」など意外なカヴァーもありますが、やっぱり彼はニューオリンズ・サウンドが一番似合ってますね。
 今日のこの1曲「Holy Cow」は、リー・ドーシーでよく知られるアラン・トゥーサン作です。森 陽馬

2009年5月30日(土) ハナレグミ 「光と影」

 6月24日に約4年半ぶりとなる新作アルバム『あいのわ』をリリースするハナレグミこと永積崇。今週それに先駆けてニュー・シングル「光と影」(VICL-36508 \1,200)がリリースされました。
 
 カップリングにはハウスメイトのCMでも使われ、ライブでも歌われているというカーティス・メイフィールド「People Get Ready」のカバーと、昨年末のカウントダウン・ジャパンのライブ音源「音タイム」、「明日天気になあれ」の2曲を収録。(「光と影」、「People Get Ready」は6/24発売の新作にも収録されます。)

 出先で聴いたリード・トラック「光と影」。とっても良い曲だな、と思い繰り返し聴いています。
 この曲はプロデュースも兼ねるオオヤユウスケ、鈴木正人、スカパラから茂木欣一、沖祐市、ストリングスを担当する徳澤青弦グループ、瑞々しいコーラスを聴かせる女性グループ、スペースドーターズが参加。ストリングスが入ったりすると印象がまたかわりますね。弾き語りとはまた違った魅力がある壮大さと力強さを感じさせる曲。
 スペースドーターズに関してはあまり情報が無かったのでどんな人達かわからなかったのですが、ライブなどでも共演されているようですね。

 「People Get Ready」は日本語詞を交えたゆったりとした弾き語り。そこで歌ってくれているような感じで、良いカバーです。新作が楽しみですね!東尾沙紀

2009年5月31日(日) Beach Boys 「God Only Knows」

 ビーチ・ボーイズ1966年発表の名作『ペット・サウンズ』。
当店名の由来となったこのアルバムですが、今までに何種類出たのでしょうか。
 
 レコード、カセット、CD、プレス国、ちょっとした印刷&規格番号の違いなども含めると本当に数えきれないくらい出ていると思いますが、この度アメリカのAudio Fidelity社から“24KゴールドCD”、“From The Original Master Tapes”仕様で発売されました。(AFZ-031)

 そこで、このゴールドCD。“オリジナル・マスター・テープを使用”ということらしいので、音がいいのかな、と思い聴き比べでチェック。聴き比べたのは、ちょうどレジ後ろにあった1999年発売『ペット・サウンズ モノ&ステレオ』の国内盤。

 肝心の音はどうだったか?というと・・・、なんと、99年の盤の方が、断然音圧があって迫力ある音質でした!
 ヘッドホンではなく、店内にて音量のつまみをそのままにディスクを換えて聴き比べると、明らかに新しく出たゴールドCDの方が音が小さくなってしまうのです。音圧が大きいだけで一概に“音が良い”とは言い切れないのですが、99年盤の方が歌や演奏が前に出てくる感じなんですよね。

 “オリジナル・マスター・テープから”ということですから、ゴールドCDの方が実際のオリジナルに近い音感なのかもしれませんし、しっかりした機器でどの部分がどれだけ違うか?という風に比べたわけではなくあくまで僕の感想なので、他の盤やレコードで聴き比べると、また違った印象を持つかもしれませんが、音に疎い僕でもすぐにわかりましたね。

 ちなみにケース外箱にはナンバリングも入っており、当店に入ってきたのは2000番台と3000番台。5桁はなさそうなので限定5,000枚くらいかも。ご興味ある方は是非手にとって聴き比べしてみてください。森 陽馬





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