PET SOUNDS RECORD
今日のこの1曲 アーカイヴス


  今日のこの1曲 “Achives”

<2010月4月>

当店ペット・サウンズ・レコード店にて、
その日に店内でかけていた曲の中から、
店員の独断と偏見で選んだ“今日のこの1曲”コーナー

2010年4月に更新した“今日のこの1曲”コーナー。
廃盤・生産中止、規格番号の変更など、
情報が古くなっている商品もございますが、ご了承くださいませ。


<最新の“今日のこの1曲”はこちらのページをご覧ください>


2010年4月1日(木) Barbara Lewis 「Baby I'm Yours」

 内容の濃いリリースが続くACEレーベルの“ソングライター・シリーズ”ですが、待望のヴァン・マッコイ作品集が登場です。(『The Sweetest Feeling 〜 VAN McCOY Songbook』 ACE CDKEND-334)

 ヴァン・マッコイといえば、一般的には1975年に全世界的に大ヒットした「ハッスル」ということになるでしょうか。(演奏はあのスタッフのメンバーが参加していました)
 あの頃は猫も杓子も♪ドゥ・ザ・ハッスル♪と歌って踊ってましたね。

 さて、今回は全24曲、1964年から1976年までの作品が収められています。
 ジャッキー・ウィルソン、ニーナ・シモン、アレサ・フランクリン、ダニー・ハサウェイなどのメジャー・アーティストものもあれば、あまり知られていないスペルビンダーズ、ビリー・T・ソウル、シャロン・リドリーなども含まれ充実した内容です。

 1961年17歳頃にセプター・レーベルのA&Rの仕事を始めたヴァン・マッコイですが、出世作というか最初の大ヒットは、このバーバラ・ルイスによる「ベイビー・アイム・ユアーズ」。

 いいメロディーです。我々の世代にはピーター&ゴードンのヴァージョンも有名でジョディ・ミラー、デイビー・ブーンのカヴァーなどでも知られています。

 大滝詠一「幸せな結末」のエンディングのネタとしても一時話題になりました。テレビで松たか子が「幸せな結末」を歌った時は、松の♪Baby I'm Yours♪の後に、大滝の♪Baby You're Mine♪の声が入る素敵なヴァージョンでした。森 勉

2010年4月2日(金) オスカー・ピーターソン 「スプリング・イズ・ヒア」

 先日、千鳥が淵緑道へ桜を見に行ってきました。

 東京人でありながら、千鳥が淵に桜を見に行くのは初めて。人通りが凄い、と聞いていましたが、緑道ではシートを敷いての宴会は禁じられているので、のんびり歩きながら満開の桜と皇居水面に映る夜桜を楽しむことができました。ライトアップは4月4日(日)までだそうです。土日暇な方は定番ではありますがお散歩にオススメですね。

 ようやく春が感じられるようになってきたので、今日はこの1曲。
 オスカー・ピーターソンというと、ジャズ・ピアニストとして『プリーズ・リクエスト』など数多くの名盤を残していますが、実は歌も味わい深くて素晴らしい作品を何枚か残しています。

 この『オスカー・ピーターソン・シングス・ロマンス』(UCCV-9391 限定価格 \1,100)は1952〜54年に録音された隠れた名盤で、一聴するだけだと、ナット・キング・コールのアルバム?と勘違いしてしまうほどに、歌い方か声がナット・キング・コールにそっくり。バックの演奏もシンプルで、ジャケット同様ムーディーな雰囲気を演出してくれます。

 解説と歌詞も付いてこんな安い値段(\1,100)で再発されましたので、まだ持っていない方には買い時でしょう。一家に一枚、持ってて損なしのアルバムです。森 陽馬

2010年4月3日(土) 山下 達郎 「Splendor」

 杉真理と村田和人によるスペシャル・ユニット、“アロハ・ブラザース”の1stアルバムが4月28日に発売決定しました。

 杉さん、村田さん各々のオリジナル・アルバムとは違い、様々な音楽要素や遊び心がふんだんに散りばめられた作品。
 “アロハ”というと、ハワイとかウクレレのイメージが先行してしまいますが、それだけでなくレゲエ調、フレンチ・ポップス調、インド調、中南米調の楽曲が並び、更には曲間に杉真理作によるコントも収録されています。
 当店のみの特典としてステッカーも付きますので、杉さん&村田さんファンは是非チェックしておいてくださいね。

 さて、“アロハ・ブラザーズ”は1991年J-WAVEのラジオ番組『DENKA J-WAVE TRIAL』の企画を基にスタートしたそうですが、その1991年に発表された山下達郎の名作『アルチザン』に二人揃ってコーラスで参加しているのです。

 1曲目「アトムの子」、7曲目「Splendor」に竹内まりやさんも含め3人でコーラス参加。ボ・ディドリー調から後半のコーラスへの展開が圧巻な「アトムの子」ももちろんイイですが、深く重みのある「Splendor」が好きですね。

 ちなみに『アルチザン』時のツアーは、シングライクトーキングの佐藤竹善さんがメンバーに入っていたので、このコーラス・パートを竹善さんが歌っていました。

 余談ですが今夏のツアーはどんな選曲なのでしょうね。久々に『アルチザン』、『僕の中の少年』収録曲(「アトムの子」、「蒼氓」以外)も聴いてみたいです。森 陽馬

2010年4月4日(日) 小坂 忠 「ほうろう」

 “日本のロック”名盤、小坂忠の『ほうろう』が『HORO2010』となって甦りました。(MHCL-20080 初回紙ジャケット仕様 \3,000)

 1975年1月に発表(録音は1974年秋?)された『ほうろう』の16チャンネル・マルチ・テープが発見されたことにより、演奏部分をオリジナルの音の佇まいは変えずにリマスター&リミックス。
 そこに今の小坂忠がニュー・ヴォーカルを入れるという夢のような企画です。

 二十代のイキのいいティン・パン・アレイ(キャラメルママ)をバックに、還暦を越えた楽曲のツボを熟知し、張るところ緩めるところを心得た小坂忠がどう歌っているか。−−−これが本当にいいヴォーカルで見事にハマッているのです。

 1曲目「ほうろう」。本当にカッコイイ曲です。
 イントロにほんの少し聴こえるカウント。後半に出てくる以前にはなかったブラスの音など、新しい発見がいろいろあります。

 小坂忠の熱いヴォーカルによって、ティン・パンの演奏や山下達郎、大貫妙子、吉田美奈子のバック・ヴォーカルも心なしか熱を帯びていたりして・・・。森 勉

2010年4月5日(月)スザンナ・ホフス 「Eternal Flame (胸いっぱいの愛)」

 4月3日(土)、マシュー・スウィート&スザンナ・ホフスのビルボード・ライヴ東京公演を観てきました。

 2006年、2009年にリリースされたロック・カバー・アルバム『Under The Covers』Vol.1&2を引っ提げてのライブ。
 当日はサポート・ギターを2人(1人はVelvet Crushのポール・チャステン)加え、4人イスに座ってのアコースティック編成。1曲目の「I See The Rain」(マーマレード)からポール、マシュー、スザンナの息ピッタリのハーモニーにググッとひきこまれました。

 Vol.2からの選曲を多めに、リトル・フィートの「Willin'」(CDより良かったです!)、アレックス・チルトン追悼の意を込めてかバングルス時代にもカバーしているビッグ・スター「September Gurls」と「Back Of A Car」の2曲、マシューがしきりに「Cool !」と連呼していたニール・ヤングも2曲演奏。本編は「Here Comes The Sun」で終了。

 アンコールにはマシューは自身の最新作から、スザンナはバングルス時代のヒット曲「In Your Room」「Manic Monday」をメドレーで。そして最後にはマシューは先にはけて、スザンナが「Eternal Flame (胸いっぱいの愛)」を 弾き語りで歌ってくれました。
 彼女の変わらぬ独特の歌声(美しい容姿も)、2人の相性の良いハーモニーに聴き惚れた夜でした。

 掲載ジャケットは「In Your Room」、「Etenal Flame (胸いっぱいの愛)」を収録したバングルスの3rdアルバム『EVERYTHING』です。(SICP-2288 限定紙ジャケット仕様 \1,890) 東尾沙紀

2010年4月6日(火) Booker T 「Jamaica Song」

 ハナレグミ(永積タカシ)がカヴァーしたことで有名なブッカー・T「ジャマイカ・ソング」。

 “午後の紅茶”のCMソングにも使われ問い合わせも多かったものの、ブッカー・Tによるこの曲が収録されたCDは、フリー・ソウル系のコンピ『フリー・ソウル・カラーズ』くらいしかなく、オリジナル・アルバム『エヴァー・グリーン』は輸入盤でも一度もCD化されたことがありませんでしたが、この度遂に世界初CD化されました。(EICP-1331 限定紙ジャケ 解説・歌詞・対訳付 \1,995)

 林剛氏による丁寧な解説、歌詞とその対訳も付いてこの値段ですから、これは買いですね! (音も2010年リマスターです)

 「ジャマイカ・ソング」というタイトルだけ見ると、レゲエっぽい?というイメージが湧くかもしれませんがそうではなく、フォーキーな雰囲気。
 潮騒の音色と子供たちの歌声をバックに、ブッカー・Tがやさしくソウルフルに歌っています。2分半にも満たない楽曲ですが夢見心地にさせてくれる美しい1曲。

 「ジャマイカ・ソング」以外も地味ながらイイ曲で、デヴィッド・T・ウォーカーの渋いギターが聴けるD「Song For Casey」&F「Country Days」、当時の妻プリシラの姉リタ・クーリッジの夫であったクリス・クリストファーソンのカヴァーG「Why Me」から、ブッカー・Tオリジナルのインスト・ナンバーなど聴きどころが多い1枚。ちなみにジム・ケルトナー(ドラム)も参加しています。森 陽馬

2010年4月7日(水) Booker T & Priscilla Jones 「Time」

 昨日はブッカーTの74年発表初ソロ・アルバムを取り上げましたが、今日はその前年1973年に発表された作品からこの1曲。

 当時の奥さんであったプリシラ・ジョーンズ(リタ・クーリッジの姉)との3作目『クロニクルズ』。昨年9月に限定紙ジャケでCD化されたものの即完売。問い合わせも多かったこのアルバムが、この度再入荷してきました。(UICY-94201 \2,800)

 一般的にはあまり知られていないアルバムですが、ロック・ファンには要チェックの1枚で、それというのも、8曲目に収録されている「タイム」という曲が、エリック・クラプトンが在籍していたデレク&ドミノスの代表曲「いとしのレイラ」の元ネタとなった楽曲だからです。

 この「タイム」はリタ・クーリッジ作曲の楽曲。
 当時リタはデレク&ドミノスのドラマーであったジム・ゴードンと付き合っており、そのジム・ゴードンも関わって作曲。ドミノスの作品に元々提供する予定だったそうですが、その後ジム・ゴードンやクラプトンから何の了承もなく、その「タイム」のメロディー部分だけ「いとしのレイラ」のコーダ(後半イントロ部)として勝手に拝借されたそうです。

 そのことを聞いたブッカー・Tが「クラプトンを訴えるべきだ!」と怒り、あえて録音したのがこの作品だった、というわけです。

 アルバム全体としては、ソウル・アルバムというよりはスワンプ・ロック的な雰囲気で、南部ロックお好きな方にオススメ。なお6曲目「The Crippled Crow」ではボブ・ディランがハーモニカで参加しています。森 陽

2010年4月8日(木) 告井 延隆 「ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー」

センチメンタル・シティ・ロマンスのリーダー、告井延隆のソロ・ワーク第2弾!『サージャント・ツゲイズ・オンリー・ワン・クラブ・バンドU』が、当店では絶賛発売中であります。(TSCS-12 \2,800 当店のみオリジナル・ピック付)

 前作同様、アコースティック・ギターによる1本勝負。
 オーヴァー・ダブなしの一発録りで、ビートルズの名曲を演奏。
そして、フェイクなしに原曲の持つ躍動感・叙情感を表現する名演盤です。

 今までのビートルズ・カヴァー・アルバムにはなかったタイプだけに、一般流通していないCDとしてはかなりの話題となっています。

 さて今回の第2弾は、ビートルズ後期にスポットを当てた全18曲。
 「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」、「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンド」、「ペニーレイン」、「タックスマン」、「ピッギーズ」(こんな曲も!)など、難曲が並んでいますが、告井延隆の右手に左手にビートルズの曲の魂が乗り移り、見事な音を紡ぎ出してくれています。

 今日の1曲は僕の大好きな「アイ・ウィル」にしようと思ったのですが、あのサイケで複雑な「ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー」に。

 これは本当に凄いの一言です。
 エンディングの細やかなニュアンスも再現されています。(どの曲のエンディングも注目です) 森 勉

2010年4月9日(金) The Swell Season 「The Rain」

 キャロル・キング&ジェイムス・テイラーの来日公演(4/14、16、17)が近づいてきましたが、来月5月12日にツアータイトルと同じ『トルバドール・リュニオン』というアルバムが発売されることになりました。
 詳細がまだ確定していないのですが、どうやら今回のツアーの発端となった2007年トルバドールでのライヴ音源+DVDのようです。こちらも楽しみですね。

 同じく5月12日に、ジャクソン・ブラウンと古くからの盟友デヴィッド・リンドレーによるライヴCDも発売が決定しました。こちらは2006年スペインで行なわれた共演ライヴからの2CD。
 ジャクソン・ブラウンは先月来日したばかりですが、是非このリリースを機にリンドレーと共に再来日してほしいものです。

 さて、今日紹介のアルバムもデュオによる作品。
 世界中で大ヒットした映画『Once〜ダブリンの街角で』で主役を務めた二人、グレン・ハンサードとマルケタ・イルグロヴァによるユニット、“スウェル・シーズン”による新作2ndアルバムです。

 映画内で恋愛関係になるミュージシャンを演じた二人ですが、映画後に実生活でも恋仲となりこのユニットを結成。ワールド・ツアー&アルバム・リリース、と順調にキャリアを重ねていたものの、現在は恋人としての付き合いを解消してしまったそうです。

 しかしながら、友人そして良き音楽パートナーとしてリリースしたのがこの新作『ストリクト・ジョイ』(EICP-1328 \2,520)。
 かなり私小説的な歌詞の曲もありますが、映画内で聴けたサウンドを良い意味で引き継いでいて聴きやすいメロディーの楽曲が並んでます。恋仲は終わってしまいましたが、音楽活動はCK&JTのように末永く続けていってほしいですね。森 陽馬

2010年4月10日(土) ヌーンデイ・アンダーグラウンド 「One Love Reprise」

 ポール・ウェラーの新作『Wake Up The Nation』、国内盤リリースまであと数日(4/14発売)となりました。
 久々に、現代社会などに対する“熱きウェラー節”が聴ける作品という事なのでとても楽しみです!

 そのウェラーの08年作『22 dreams』や新作にもプロデューサーとして携わっているサイモン・ダインのプロジェクト、ヌーンデイ・アンダーグラウンドが4枚目となる新作『the k-o chorale (ザ・ケーオー・コーラル)』をリリースしました。(XQIV-1001 \2,100)

 ちなみにCDとして発売されるのは日本のみで(マスタリングやカバーデザインは日本の方が手掛けています)、本国では配信のみなのだそうです。

 タイトルにある“コーラル”=男女コーラスのサンプリングを大々的に使用し、レトロでサイケデリックで不思議な世界観に包まれたアルバムです。

 このブックレットにはサイモンが本作を作る上で影響を受けた10曲が自身のコメント付きで掲載されており、中にはビーチ・ボーイズ「All I Wanna Do」の他、ミレニウム、ハーパース・ビザール、ビリー・ニコルス等の名が並び、特にソフトロックから強く影響されている事がわかります。

 作品のテーマは“恋人たち”。
現代的なサウンドとストリングス、重厚なコーラスによる音のコラージュは聴く度に新しい発見がありそうです。東尾沙紀

2010年4月11日(日) Paul Revere & The Raiders 「Just Like Me」

 アメリカの再発レーベル“コレクターズ・チョイス”の人気シリーズになりつつある『コンプリート・シングルズ』ですが、新編集盤が発売になりました。
 過去にはジャン&ディーン、ゲイリー・ルイス&プレイボーイズ、ジェイ&アメリカンズなどが出て好評を博しました。

 今回は1960年代中期から1970年代前期に大活躍したポール・リヴィア&レイダーズのコロンビア時代のシングルAB面を発表順に収録した3枚組全66曲。(CCM-2088)
 A面のシングル・ヒット曲はもちろん、あまり聴くことのなかったB面曲に色々と面白い楽曲が並んでいます。

 また自動車のプロモーション用にしか流通しなかったシヴォレー(「SS396」 c/w 「Corvair Baby」)や、ポンティアック(「Judge GTO Breakaway」などのレア音源も収録。
 この3曲は彼らとしては珍しいホット・ロッド・ソング仕立てです。
 彼らのプロデューサーがテリー・メルチャーということを考えると当然かもしれません。

 今日のこの「ジャスト・ライク・ミー」は1965年秋に発表された曲で、僕にとっては彼らを知るきっかけになった1曲です。
 イギリスのビート・グループの影響下にある曲(特に間奏の雰囲気はキンクス初期)ですが、アメリカのグループらしい乾いた明るさがサウンドに感じられます。森 勉

2010年4月12日(月) Robert Lester Folsom 「My Stove's On Fire」

 馬の骨(キリンジの堀込泰行によるソロ・プロジェクト)がカヴァーしたことでも知られる幻のシンガー・ソングライター、Robert Lester Folsom。
 以前から問い合わせが多かった「My Stove's On Fire」収録の唯一のアルバム『Music And Dreams』がリマスター&ボーナス・トラック付きでCD化されました。(Riverman BTR-51 \2,500)

 僕も以前、シンガー・ソングライター本でジャケットを見ただけで、実物は見たことも聴いたこともなかった超レア盤。今回初めて聴きましたが、「My Stove's On Fire」含め全曲が予想以上に素晴らしい内容でビックリ!

 ジャケの見た目では、アシッド・フォーク的なのかな、と思っていましたが、フォーキーというよりもすごくポップな楽曲が並び、シンガー・ソングライター・ファンだけでなく、AORやウエスト・コースト・ロック好きの方にオススメしたい1枚です。

 1976年に自主制作で発表した作品で、70'sアコースティック・ロックとメロウな雰囲気がちょうどいい塩梅で融合。ネッド・ドヒニーやオーリアンズ、はたまたカラパナやテンダーリーフなどの70'sハワイ・ロック好きな僕はもうすっかりヘビーローテーション! 何度もリピートして聴き込んでます。

 ちなみにこのCDをリリースしたのは韓国のRIVERMAN MUSICというレーベル。完全限定プレスだそうなのでお早めに。森 陽馬

2010年4月13日(火) ママレイド・ラグ 「眠りから覚めたように」

 12日の東京は冬に戻ったような寒さでしたが、やっと春らしくなってきましたね。ポップ・サウンドが心地良く聴こえる暖かさになってきました。

 今日紹介するのは、春聴くのにピッタリなJ-POPアルバム。
 ママレイド・ラグ(田中拡邦によるソロ・ユニット)の新作、3rdフル・アルバムとなる『SPRING MIST』(DQC-439 \3,000)です。

 2006年ソニーから発売された2nd『MAMALAID RAG2』から約4年ぶり。今作はバウンディ流通のインディーズからのリリースですが、ポップ・センスとアコースティック・ロックを基調にしたアレンジは変わらず秀逸。
 キリンジや高野寛の新作がお好きな方なら気に入ること間違いなしの1枚ですね。

 特に13曲目「眠りから覚めたように」。
 ママレイド・ラグといえば「春雨道中」、という感じでしょうが、この曲も負けず劣らずのメロディーを持つ素晴らしいポップ・チューン。ナイアガラ的カスタネットが入ったB「ずっと二人で」もイイ曲です。

 ちなみに以前にも増して歌声&歌い方が大滝詠一に似てきましたね。4曲目「彼女の恋」なんかはかなり意識して歌っているように感じます。森 陽馬

2010年4月14日(水) The Section 「Bad Shoes」 feat James Taylor

 本日14日はキャロル・キング&ジェイムス・テイラー日本武道館公演初日。僕は店で留守番でしたが、見に行った方々から公演後に、「すんごく良かった!」と報告を受けました。
 16日に見に行く予定ですが本当に楽しみですね。ジェイムス・テイラー&キャロル・キングももちろん良かったそうですが、セクションによるバックの演奏も素晴らしかったそうなので、迷っている方は絶対見に行った方がいいですよ!

 ということで、今回の来日に合わせて紙ジャケット仕様で再発されたセクションの1977年発表3rdアルバム『Fork It Over』から今日の1曲。(限定紙ジャケット仕様 VSCD-531 2,940円)

 セクションは、ダニー・クーチ(g)、リー・スクラー(b)、ラス・カンケル(ds)、クレイグ・ダーギー(key)によるユニット。ジェイムス・テイラーのバック・バンドとして有名になり、各々もセッション・ミュージシャンとして活躍しています。(クレイグ・ダーギーは今回のツアーには不参加)

 ジェイムス・テイラー『マッド・スライド・スリム』他70年代初期の作品とは違って、77年発表作ということもあり、サウンドの音色や雰囲気がかなりフュージョン色の濃い仕上がり。
 正直言ってこのアルバムを初めて聴いたときかなり違和感があったのですが、今回改めて聴いてみると、これはこれで質の高いジャズ/フュージョン・アルバムとしてかっこいい1枚ですね。ダニー・クーチのギター、ラス・カンケルのドラムももちろんですが、リー・スクラーのベースがクールです。

 1曲だけジェイムス・テイラーがヴォーカルで参加している曲があり、5曲目「Bad Shoes」がそれ。9曲目「Magnetic Lady」ではデヴィッド・クロスビーもヴォーカルで参加(後半に少しだけですが)しています。森 陽馬

2010年4月15日(木) 山下 達郎 「希望という名の光」

 山下達郎がDJを担当するラジオ番組<サンデー・ソングブック>を聴いていると、昨年から今年に入ってずっと曲書き、アレンジ、レコーディングなどで忙しくしている達郎の様子が伝わってきました。その成果が4月14日に発売になったこのシングル。

 映画『てぃだかんかん〜海とサンゴと小さな奇跡』の主題歌「希望という名の光」と、ケンタッキー・フライドチキン40周年記念テーマ・ソング「Happy Gathering Day」のダブル・タイアップです。

 共にコンピューター・プログラミングによる演奏が使われているのが残念(ごく個人的な感想)ですが、タツローらしいメロディーは変わらず健在です。

 「希望という名の光」は、「ずっと一緒さ」、「僕らの夏の夢」に続くバラード三部作の第三弾完結編。個人的にはこの曲が一番好きです。特にサビの部分♪だからどうぞ泣かないで♪がなんかグッとくるなぁ。

 そして、歌詞に出てくる「A Ray Of Hope」という言葉。
 勘のいい方はお気づきになっているかと思いますが、「A Ray Of Hope」と言えば、ラスカルズ1968年発表の名曲シングルのタイトルなのです。(アルバムでは『Freedom Suite』に収録)
 邦題は「希望の光」でした。こういう細かいワザにタツローらしさを感じて、さすがだなぁー、と思う今日この頃です。

 カップリングの「Happy Gathering Day」も、ジョン・セバスチャン調で、アソシエイション「ウィンディ」のちょっとしたフレーズをまぶしてあるもので、勝手に60'sを感じて楽しんでいます。

 初回盤には山下達郎のオリジナル・グッズ(第1回はこのシングルのアナログ盤)などが当たる【山下達郎お宝くじ】が封入されています。
 連番で10枚!、といきたいところですが、番号は外からはわかりません。あしからず。森 勉

2010年4月16日(金) ポール・ウェラー 「Wake Up The Nation」 

 久々に熱いポール・ウェラー節炸裂!
 前作『22 dreams』から約1年9ヶ月ぶりに新作『Wake Up The Nation』(初回ハードカバーブック仕様・リミックスCD付き2枚組 UICI-9041 \4,200)をリリースしました。

 共同プロデュースは前作と同じくサイモン・ダイン(ヌーンデイ・アンダーグラウンド)。カラフルで実験的なアレンジは変わらずです。
 今回静かな曲調のものは殆ど無く、ストレートで熱気に溢れたロック・ナンバーが満載です。他のファンの方からデヴィッド・ボウイのアルバムを連想させるね、という感想も頂きました。

 冒頭2曲に参加したのは元ザ・ムーヴ/ELOのドラマー、べヴ・ベヴァン。
 他にもクレム・カッティーニ(元トルネードス/セッション・ドラマー)、ケヴィン・シールズ、リトル・バーリー、ブルース・フォクストン(元ザ・ジャムのベーシスト)など曲毎に多数のゲストが参加しています。

 政治、人対人のコミュニケーションの減少...etc。ありふれた題材かもしれませんが、彼が今疑問に思う事、憤っている事、国や人々に対して「改革しよう、自己主張しようぜ」という高らかな呼びかけが今回歌詞に反映されています。

 サウンド面では好みが分かれる作品だと思いますが、今作でのエネルギーに満ちたメッセージに共感している方も多いのではないかと思います。東尾沙紀

2010年4月17日(土) Carole King feat James Taylor 「You've Got A Friend」

 キャロル・キング&ジェイムス・テイラー、感動の日本公演が本日終了。

 夢でも見れなかった絵になるシーン。この共演でしか聴けないであろう楽曲アレンジ。心沁みるバンド・アンサンブル。
 本当にかけがえのない素晴らしいコンサートだった。

 70年代初頭、若者の不安と孤独感を代弁し、やさしく語りかけるように歌ったジェイムス・テイラー「Fire And Rain」とキャロル・キング「You've Got A Friend」。

 約40年を経て境遇も変わり、若者ではなくなった62歳のジェイムスと68歳のキャロルが歌う「Fire And Rain」と「You've Got A Friend」には、オリジナルとはまた違った様々な想いが込められているのだろう。

 それを象徴するかのように今回二人で歌った「You've Got A Friend」は、71年6月にカーネギー・ホールにて歌われたヴァージョンとは違い、最初のパートをジェイムスが、次のパートをキャロルが歌っていた。
 (71年カーネギー・ホールでは、最初をキャロルが、次のパートをジェイムスが歌っている。)

 <“Friend”という言葉自体は変わらないけれども、当時歌っていた“Friend”とは違い、より深みを増した“Friend”になったんだよ>
 約40年熟成された「You've Got A Friend」には、そんな二人の想いが詰まっているかのようだった。森 陽馬

★掲載ジャケットは、1971年6月に二人で歌った「You've Got A Friend」が収録されているキャロル・キング『カーネギー・ホール・コンサート』(MHCP-264 \1,785)。

2010年4月18日(日) James Taylor 「Long Ago And Far Away」

 なんとも言えないほんわかした余韻と心に響くずっしりした満足感。
 キャロル・キング&ジェイムス・テイラーの歴史的なジョイント・コンサートは、言葉に言い尽くせないくらい素晴らしいライヴでした。
 4月14日(水)日本武道館と17日(土)パシフィコ横浜の2回観ることができましたが、もっともっと観たい、という気持ちが募ってきます。

 とにかくぜいたくなライヴで、ジェイムス・テイラーが歌っている時はキャロル・キングがピアニストとしてバックを固め、その逆パターンもあり、バックのドラムスにはラス・カンケル、ベースにはリーランド・スクラー、ギターにはダニー・クーチ、というどこを見ても絵になる構図と、歌に寄り添うような確かな音。堪能させてもらいました。

 あまりにも印象的なシーンが多かったライヴなので、どの曲を取り上げるか悩みましたが、今日の1曲はこの曲にしました。
 キャロル・キングが「Song Of Long Ago」を歌った後に、“Long Ago”繋がりでジェイムス・テイラーが歌ってくれた「Long Ago And Far Away」(邦題:遠い昔)。

 1971年発表アルバム『マッド・スライド・スリム』(WPCR-13820 最新リマスター&限定紙ジャケット仕様 \2,500)に収録されていたこの曲を2010年に日本で生で聴けるなんて・・・。キャロルがコーラスで、♪Where Do Your Golden Rainbow End♪と歌うところ、涙出そうになりました。
 レコードが同じバックのメンツなんですよね。コーラスはレコードではジョニ・ミッチェルでしたが。(もちろん、これも素晴らしい!)

 ここで語り足りない分は、4月20日(火)当店地下アゲインでの僕のDJイベントでたっぷりやりたいと思います。
 特集テーマは、“キャロル・キング&ジェイムス・テイラー来日!”
 予習も必要だけど復習もたっぷりやりましょう!、ということで・・・。夜19時30分スタートです。森 勉

2010年4月19日(月) Freda Payne 「Don't Wanna Be Left Out」

 キャロル・キング&ジェイムス・テイラー感動の来日公演の余韻がなかなか冷めませんね。ついつい店頭でも二人の作品をかけてしまいます。そろそろ切り替えなきゃ、ということで今日はオススメのソウル再発アルバムをご紹介。

 モータウンのソングライターとして活躍したホランド=ドジャー=ホランドの3人が中心となって69年に立ち上げたインヴィクタス・レーベル。そこで1970年代に活躍し、“インヴィクタスのダイアナ・ロス”とも評されたのがフリーダ・ペインです。
 今までにも彼女のアルバムは何作か再発されていましたが、この度1974年発表作『PAYNE & PLEASURE』が世界初CD化されました。(REEL MUSIC 78019-2)

 これが70'sレディ・ソウルの隠れた大傑作アルバムで、ノーザン・ソウル好きの方やフリー・ソウル/レア・グルーヴ・ファンにはもちろん、フィリー・ソウルお好きな方にも超オススメしたい1枚なのです。

 ラモン・ドジャーがプロデュースで関わっており、ジョー・サンプルやレイ・パーカーなどバック・メンツが良いということもありますが、なんといっても肝はMcKinley Jackson&Gene Pageによるストリングス・アレンジでしょう。

 バリー・ホワイト/ラヴ・アンリミテッド的な美麗なストリングスの響きは一聴の価値あり!で、特に5曲目「Don't Wanna Be Left Out」で聴けるドラマティック(歌が始まるまで約1分半もある!)な前奏は本当に聴きものです。70's女性ソウル作品お好きな方は持ってて損なしのアルバムですね。森 陽馬

2010年4月20日(火) ダヴィッド・オイストラフ 「ヴァイオリン協奏曲」

 村上春樹『1Q84 BOOK3』が発売になりましたね。

 発売初日に購入したものの、寝る前に少しずつしか読んでいないので、読了まではまだ当分かかりそうです。(今回は一気に読ませる、といった感じではないですね。) 読み終えた方、いかがでしたでしょうか?

 村上春樹の小説には今まで様々な音楽が登場して、“BOOK1”&“BOOK2”ではヤナーチェク「シンフォニエッタ」が印象的に登場。本文前にはナット・キング・コールで有名な「It's Only A Paper Moon」の歌詞が掲載されていたり、バッハ「マタイ受難曲」が出てきたりしましたが、今回の“BOOK3”は音楽がほとんど出てきません。

 唯一、ミュージシャンにも言及して、小説内に登場したのがダヴィッド・オイストラフが演奏するシベリウス「ヴァイオリン協奏曲」でした。

 ダヴィッド・オイストラフは1930〜70年代にかけて活躍したソ連/ウクライナ出身のヴァイオリニスト。協奏曲を中心に多数の録音が残されていますが、この“BOOK3”ではシベリウス「ヴァイオリン協奏曲」について書かれていました。
 『1Q84』ではレコードですが、この曲が収録されたCDも何種かリリースされてるので聴くことができます。

 掲載ジャケットは、チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲も一緒に収録されている二大名演カップリングCDです。(25DC-5222 \2,394)。森 陽

2010年4月21日(水) トニ・メリッロ 「トムの家」

 個人的に今年のベスト10候補となりそうな1枚。

 トニ・メリッロはイタリアはミラノ出身のシンガー・ソングライター。(『想い出の庭 (原題:il mio giardino)』 OMCX-1238 \2,625)

 イタリア語で歌われていますが、ボサノヴァやジャズ、そして70'sシンガー・ソングライター風味の音作り。それを象徴するかのように、ブックレットの最初のページには、彼が影響を受けた作品が羅列されていて、その中にはCSN&Y『4 Way Street』やジェイムス・テイラー『マッド・スライド・スリム』などのタイトルも。(ジョアン・ジルベルトやバカラック、ノラ・ジョーンズからバッハなど古今東西様々なジャンルの作品名が書かれています)

 アコースティックを基調にしたサウンドが心地良く響く楽曲が並んでいますが、特に11曲目「トムの家」。
 ♪リオの青の中へ 上へ♪という歌詞が出てくるので、この“トム”というのはアントニオ・カルロス・ジョビンのことを歌っているのでしょう。楽曲の雰囲気としては、ジェイムス・テイラー「Sunny Skies」的な感じで、曲後半の口笛がなんとも夢見心地にさせてくれます。

 ちょっと違うけれど、“イタリアのハナレグミ”、“ミラノのキングス・オブ・コンビニエンス”といった印象もありますね。ワールド・ミュージック・ファンのみならず、幅広い音楽ファンにオススメしたい1枚です。森 陽馬

2010年4月22日(木) トクマルシューゴ 「TRACKING ELEVATOR」

 2004年にアメリカのインディーズからデビューし、海外のメディアやミュージシャンからも高い評価を得ている80年生まれのシンガー・ソングライター、“トクマルシューゴ”。

 近年はCMやテレビ、映画音楽にも活動の幅を広げ、今年に入ってからはNHK『トップライナー』やこども向けの番組等に出演。人気も知名度もぐんと急上昇中(5月からのツアーは軒並みSold Out!)の彼が約2年半ぶりのフル・アルバム『Port Entropy』(PCD-18621 \2,500)をリリースしました。

 昨年リリースされたミニ・アルバムに収録の「Rum Hee(ラムヒー)」以外は全て一人での演奏・録音。
 アコースティック・ギターを基本に、トイ・ピアノ、グロッケン、アコーディオン、テルミン、リコーダーの他、楽器ではないものまで駆使した躍動的なアレンジは聴けば聴くほど複雑なのですが、ソフトな歌い口も相まって不思議と心地良く耳に馴染む曲ばかりです。

 自身の夢日記から着想を得ているという歌詞(全て日本語)も独特です。
 パソコン一台で作る音楽ではなく、手間隙かけた生楽器の温か味が伝わる音です。ホーンが入るこの曲はちょっと北欧のバンドを感じさせるイントロだったりします。

 「(トイ・ピアノや面白い音の響きに)こどもが反応するんですよ。」
と、小さいお子さんをお持ちのお母さんが買いに来てくださいました。
 幅広い世代に長く愛されるアルバムになりそうですね。東尾沙紀

2010年4月23日(金) ジェフ・ミルズ 「Spacewalk」

 着うたや配信などでCD売上が伸び悩んでいる中、“アナログ・レコード回帰”の波も徐々に広がってきているように感じます。
 それは聴き手/リスナーだけでなく、ミュージシャン側でも同様で、最近リリースされる洋楽新譜は海外ではアナログ盤も発売されるケースが目立ってきました。

 そんな中、かなり変わった仕様のCDが発売されました。
なんと!片面がCD、片面がアナログ・レコード!という両面ディスクの登場です。

 テクノ黎明期から長きに渡って活動しているテクノ・ミュージシャン、ジェフ・ミルズの新作『The Occurrence』(初回限定盤 XECD-9128 \2,880)がその日本初“Vinyl-Disc”仕様の1枚で、通常レーベルが印刷されている面の外周部分がレコード針を落として聴けるようにカッティングされている盤になっています。

 この作品自体は宇宙をコンセプトに制作されたテクノ/音響作品で、アナログ部分の音源は浮遊感あるテクノ・サウンドですが、他ジャンルでアナログ・レコードにこだわりがあるミュージシャンも是非リリースしてみて欲しい仕様ですね。(PCなどスロット式再生機だとすぐに傷が付く恐れもありますし、CDプレスのコストもすごくかかりそうですが・・・) 森 陽馬

2010年4月24日(土) Curly Giraffe 「Gypsy Girl」

 ロッテンハッツ、GREAT3のベーシスト、最近では佐野元春のバックなどセッション・ベーシストとしても活動している高桑圭によるソロ・ユニット、“Curly Giraffe”(カーリー・ジラフ)。

 昨年リリースされたアルバム『Thank You For Being A Friend』(BUCA-1030 \2,940 2009年10月27日の今日のこの1曲でも取り上げました)は、ボニー・ピンクやCHARAなど女性シンガーをfeatし、カラフルなポップを聴かせる快作でしたが、この度発売された新作『Idiots』も、心地良く聴ける好仕上がりの1枚でした。(BUCA-1031 \2,940)

 彼の楽曲の特徴は、まず歌詞が全曲英語であること。
アコースティック・サウンドではないのに、音の隙間が程良くあることでしょう。

 プロデュース&アレンジを自ら手掛けている点でも大橋トリオと類似点が多いのですが、大橋トリオの楽曲は“青空の下”、カラッと爽やかな印象があるのに対して、カーリー・ジラフはどちらかというと“曇り空の室内”、ちょっと湿っぽい雰囲気があるように感じます。(メロディーや演奏ではなく、録音やミックスの違いが大きい要因かもしれません。)

 今回のアルバムで一番気に入った曲は7曲目「Gypsy Girl」。
 彼のフォーキーなポップ・センスと、独特な浮遊感あるラウンジ感覚が見事に融合したキラー・チューン。
 普段邦楽は聴かない洋楽好きの方や、アクのない歌声の男性ロック/ポップスお探しの方にもオススメです。森 陽馬

2010年4月25日(日) 相川 理沙 「光」

 桜はもう散ってしまった東京ですが、やっと春らしい陽気になってきましたね。武蔵小山の商店街も普段の土日より人通りがすごく多かったです。
 陽射しが心地良くなってきた今春、当店でオススメしている女性シンガーをご紹介。

 福岡出身の女性シンガー・ソングライターで、村田和人さんやテキーラ・サーキットのSHIMEさん&西海さんも大推薦しているシンガー、相川理沙さん。この度新しい作品をリリースしました。(『ひかり』 4曲入 \1,500)

 CM音楽のオーソリティである関口誠氏がプロデュースを担当し、テキーラ・サーキットの名ギタリスト、西海孝が編曲&ギターで参加!
 歌の上手い女性シンガーはたくさんいますが、彼女の歌声には聴く人の心を清らかにさせる魅力があります。アコースティック・ギターとピアノによるシンプルなアレンジもその美声を引き立たせていて、何度リピートして聴いても飽きません。

 なお今日のこの1曲「光」は、九州電力TV-CMソングとして使われていた楽曲。4曲目「桜色」も印象的なメロディー&歌詞で心に沁みます。

 ちなみにこのCDは今のところ一般流通していない商品ですが、当店では店頭&通販でも購入可能です。
 2007年発表アルバム『my life』を気に入った方はもちろん、女性シンガー好きの方は是非チェックしてもらいたいですね。

 当店ペット・サウンズは、相川理沙を末永く応援してきたいと思っています。森 陽馬

2010年4月26日(月) Bobby Sheen 「Laugh Right In My Face」

 さすがのACEレーベルでも、フィル・スペクターの本丸であるところのフィレス・レーベルは攻め落とせず、発売は難しいようです。(ACEには、いつかフィレスに取り組んでもらいたいと思っています。)

 ならばまずは堀を埋める作業から、ということで、フィル・スペクターがフィレス設立前1958年から1963年にプロデューサー/アレンジャー/ソングライターとして関わった貴重なシングル音源などを中心に集めたコンピが発売されました。(『フィル・スペクター・アーリー・プロダクションズ』 MSIG-642 \3,150)

 Atlantic、Columbia、Imperial、Wand、Goldisc、Dunes、Dore、Jamieなど、様々なレーベルから出ているため、フィレスでなくてもライセンス的に大変だったと思いますが、ファンにとっては有難いものです。

 色々と注目曲がありますが、今日はこれ。
 今回初めて発表される作品で、リバティ・レコードで他の曲のマスターテープを探している時に発掘された超レア音源です。

 プロデュースはフィル・スペクター。曲はスペクターとドク・ポーマスの共作。アレンジはアーニー・ゴーランドで、1962年の録音と思われます。
 歌っているのはボビー・シーン。この後、フィレスでボブ・B・ソックス&ブルージーンズのメンバーとして活躍する人です。

 24ページ英文ブックレットの日本語訳解説が付いていてありがたいのですが、その日本語表記の曲目表の曲順が何故か大幅に乱れているのでご注意を。森 勉

2010年4月27日(火)John Mayer with Taylor Swift 「Half Of My Heart」

 キャロル・キング&ジェイムス・テイラーのコンサートがあまりにも素晴らしすぎたので、しばらく他のライヴは見に行く気が起きなかったのですが、来月のこの人の来日公演は行きたいと思っています。(といいつつ、まだチケットが手配できていないのですが・・・)

 “現代3大ギタリスト”として名を連ねられることが多いジョン・メイヤー。
 来日公演に合わせて、昨年11月に発売になっていた新作アルバム(スタジオ録音のオリジナル作としては4枚目)『Battle Studies』がやっと国内盤でリリースされました。(初回限定DVD付 SICP-2685 \2,940)

 ここ最近のライヴ作品と同じく、スティーヴ・ジョーダン(Ds)、ピノ・パラディーノ(B)によるリズム隊。フェイセズで有名なキーボード奏者、イアン・マクレガンも参加。
 ギタリストとして語られることが増えてきましたが、やはり根は“シンガー・ソングライター”のジョン。約4年前の前作『Continuum』と同じく、地味ながら聴き込むほどに沁みてきそうな1枚です。

 その中で、一番ポップな楽曲が3曲目「Half Of My Heart」。
 グラミーも受賞した20歳の女性カントリー・シンガー、テイラー・スウィフトをfeatし、中期フリート・ウッドマックを意識したかのようなポップ・ナンバーを聴かせます。

 それを象徴するかのように、この曲のみスティーヴィー・ニックス(フリート・ウッドマックのヴォーカリスト)やジャクソン・ブラウンのバックで知られる名セッション・ギタリスト、ワディ・ワクテルがリード・ギタリストとして参加。彼らしい音色&フレーズのギターを弾いてます。森 陽馬

2010年4月28日(水) Derek Trucks Band 「My Favorite Things」

 フジ・ロック・フェスティバル、出演アーティストの日割りが発表されました。

 今年最大の話題はなんといっても、ジョンフォガティでしょう。
 CCRとして来日したのが1972年、ですからなんと38年ぶりの来日! 近年ソロ作もリリースしていますが、もちろんCCRの曲もやるハズ。盛り上がるでしょうね!

 そのジョン・フォガティが出演する7月31日(土)には、他にも、ロキシー・ミュージック(!)、クーラシェイカー、クロマニヨンズ、エゴ・ラッピン、シアター・ブルック(復活!)など、注目ミュージシャンが多数出演。
その中でも特に“デレク・トラックス&スーザン・テデスキ・バンド”が楽しみ。

 デレクは昨年もドゥービー・ブラザーズとのカップリング・コンサートで来日しましたが、今回はデレクの奥さん、スーザン・テデスキとの連名名義となっているのがミソ。
 “21世紀のボニー・レイット”と称され、本国アメリカではグラミーにノミネートされたことがあるなど、実力派白人女性ブルース/シンガー・ソングライターとして評価も高いスーザン・テデスキ。そのバックでデレクがギターを弾くライヴを一度生で見てみたいと思っていたので、これは見逃せませんね。

 今日のこの1曲は、デレク・トラックス・バンドのライヴ・ミニ・アルバム『オールレディ・ライヴ!』(SICP-2337 \1,500)より、ジョン・コルトレーンで有名な「マイ・フェイヴァリット・シングス」のカヴァー。17分を越える熱演で後半のジャムは圧巻。
 ちなみにこのCD、6曲入り1,500円ながら、48分以上入っているのでとてもお得です。デレクのライヴ入門編としてもオススメ。森 陽馬

2010年4月29日(木) MORNING 「TELL ME A STORY」

 紫がかった雲から差し込む太陽の光に、うす緑の湖(沼?)...
 このジャケットの印象だけだとなんだかドロッとしたサイケデリックな音を想像してしまいますが、聴いてみるとピアノを中心とした、とても爽やかなカントリー/ウエスト・コースト・ロック系のサウンドでした。

 “Morning”というアメリカ出身の6人組が1970年に発表したアルバム(『Morning』 輸入CD Wounded Bird WOU-1380)で、詳細などわからないことも多いのですが、作曲やプロデュースはメンバーが手掛け、アル・パーキンス(スティール・ギターで一曲参加)の名もクレジットされています。

 アルバムの中でもオススメなのが、一番ポップな「TELL ME A STORY」という曲です。

 バンジョーが絡むジャクソン・ブラウン風(Morningの方が先なのかもしれませんが...)のナンバー。その他にもソフト・ロックっぽいものやピアノ・インスト、郷愁を誘うザ・バンド風&CSN風など、清々しいハーモニー&メロディーを聴かせる良曲揃いのアルバムです。東尾沙紀

2010年4月30日(金) アロハ・ブラザーズ 「浜辺のあの娘」

 “アロハ・ブラザーズ”は杉真理と村田和人によるスペシャル・ユニットです。

 その1stアルバム『世界のアロハ・ブラザーズ』が発売になりました。(UPCH-20190 \3,000)

 歌で世界旅行をしているような雰囲気を感じられる作りになっていて、杉と村田それぞれのアルバム作りとはちょっと変わっているところがミソです。

 この曲はタイトルからもわかるように、ビーチ・ボーイズ・テイストがまぶされています。コーラスやギターのカッティング(きっと「ドント・ウォーリー・ベイビー」が頭に浮かんできますよ)がそれです。
 その他の曲では、インド風、ジャマイカ風、フランス風、ロシア風などと多種多様な曲調が登場してきます。

 そしてこのアルバムのもう一つの売りは、3ヶ所に入っている「エピソード」T、U、Vのコント。ヤマイダレ教授が活躍する杉真理作によるバカバカしいだじゃれコントなのですが、思わず頬がゆるんでしまうものなんです。

 コント・ゲストは、伊豆田洋之、伊藤銀次、黒沢秀樹、坂崎幸之助、佐野元春、須藤薫、根本要、松尾清憲、山下久美子等、豪華な顔ぶれです。
 「サーフィンUSA」を吟じる銀次さんが素敵です。森 勉






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