PET SOUNDS RECORD
今日のこの1曲 アーカイヴス


  今日のこの1曲 “Achives”

<2010月5月>

当店ペット・サウンズ・レコード店にて、
その日に店内でかけていた曲の中から、
店員の独断と偏見で選んだ“今日のこの1曲”コーナー

2010年5月に更新した“今日のこの1曲”コーナー。
廃盤・生産中止、規格番号の変更など、
情報が古くなっている商品もございますが、ご了承くださいませ。


<最新の“今日のこの1曲”はこちらのページをご覧ください>


2010年5月1日(土) The Hondelles 「My Buddy Seat」

 今日から5月。そしてゴールデン・ウィーク。
 東京では心地良い晴れ間が広がりました。

 さすがにコートはもう必要なさそうですね。冬服をクリーニングに出して、半袖やTシャツをタンスの奥から出す作業を遅ればせながら始めようと思っています。
 そんな部屋の整理や夏に向けてのBGMにピッタリ(?!)、ビーチ・ボーイズやホット・ロッド・ファンにも大推薦の1枚が本日入荷しました。

 ホンデルズは1964年カリフォルニアのスタジオ・ミュージシャンで結成されたバンド。ニック・ベネットがプロデュースを担当し、ゲイリー・アッシャーがアレンジャーとして参加。
 山下達郎がカヴァーしたことでも知られる「I Do」を歌っていたキャステルズのリード・シンガー、チャック・ジラードも参加しており、ブライアン・ウィルソン作によるヒット・ナンバー「リトル・ホンダ」を歌っています。

 ホンデルズといえば、やはりその「リトル・ホンダ」ということになるでしょうが、もう1曲ブライアン・ウィルソン作が収録されています。それが今日のこの1曲「My Buddy Seat」。

 たった1分44秒の曲ですが、ブライアンらしい要素が凝縮されてますね。
 畳みかけるようなコーラス・ワークは正にビーチ・ボーイズ! BB5好きの方にも是非聴いてもらいたい1曲です。

 ちなみにこのCDは、ホンデルズが1964年にリリースした2枚のアルバム『Go Little Honda』と『The Hondelles』の全曲を収録したお得な2in1。(TBIRD-20CD \1,780)
 他にもKNIGHTSやスーパーストックスで有名な「Hot Rod High」(チャーリー&ホットホイールズのカヴァーもNICE!)も収録されています。森 陽馬

2010年5月2日(日)Ali Farka Toure & Toumani Diabate 「Kala Djula」

 ゴールデン・ウィーク、まだ始まったばかりですが武蔵小山はかなり穏やかな雰囲気。近辺住民の多くは行楽に出掛けているせいか、普段の休日よりものんびりした空気が漂っていますね。

 そんなゆったりしたGW、心地良い陽を浴びながら聴きたいオススメの1枚、というか個人的に最近気に入っていてよく聴いているアルバムをご紹介。

 アリ・ファルカ・トゥーレはアフリカ/マリ音楽を代表する名ギタリスト。
 彼は2006年に癌で亡くなっていますが、その前年2005年に録音していた遺作がこの度発売されました。(『アリー&ドゥマニ』 日本語解説付 WCR-393 \2,415)

 同じくマリの名コラ奏者、ドゥマニ・ジャバテとの共作で、コラという楽器のハープのような音色と、アリによる繊細かつ魂を持ったギターの響きが見事に融合。ほぼ全編インスト。聴くほどに深く沁みてくる作品です。

 この二人による演奏が中心ですが、曲によってブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブのベーシストだった故オルランド・“カチャイート”・ロペスや、アリーの息子であるヴィユー・ファルカ・トゥーレ(コンガ)が参加。絶妙のコラボレーションで、アフリカ音楽の奥深さを聴かせてくれます。

 ワールド・ミュージック・ファンのみならず、ジャズやギター好きの方にもオススメしたい1枚です。森 陽馬

2010年5月3日(月) Bobby Sheen 「Sweet, Sweet Love」

 数日前に『フィル・スペクター・アーリー・プロダクションズ』というコンピに入っているボビー・シーンの未発表曲を取り上げましたが、なんと!ボビー・シーン自身のアンソロジーCDが発売になりました。(『Bobby Sheen Anthology 1958-1975』 ACE CDCHD-1257 \2,100)

 今日はその中からこの曲を紹介しますが、こんなマイナーなシンガーを1週間に2度も紹介するなんて驚きです。
 そして、こんなマニアックで作業的には大変なCDを出すACEレーベルの音楽への愛情と造詣の深さにあらためて驚いてしまいます。

 1958年から1975年に発表された彼の歴史がわかる編集で、ニック・アシュフォード&ヴァレリー・シンプソン作の未発表曲もここで初めて陽の目をみています。
 通りのいい高めの声が、50's、60's、70'sと時代と共に変化するサウンドの中でしっかりと溶け込んでいます。

 “ロビンズとしてのドゥワップ”(コースターズの前身であるロビンズとは別のグループ)、“フィル・スペクター・プロデュースのウォール・オブ・サウンド”、“ポップでスウィートな60'sR&B”、“70'sノーザン・ソウル・スタイル”、と色々なボビー・シーンが楽しめます。

 この曲「Sweet, Sweet Love」は、1966年キャピトル・レーベルでのシングル。なかなかの名曲です。

 それもそのはず、スタッフが鉄壁の布陣なのです。
 ニック・デカロとジェリー・リオペル(パレード)が曲を作り、ジーン・ペイジがちょっとスペクターした流麗なアレンジでサウンドを彩っています。森 

2010年5月4日(火) 10cc 「The Things We Do For Love (邦題:愛ゆえに)」

 もうご存知の方も多いと思いますが、横浜の赤レンガ地区で5月22日(土)、23日(日)の2日間行われる音楽とアートのカルチャー・フェス、GREENROOM FESTIVALが今年も開催、出演者が豪華で良いですね!

 22日にはアレステッド・ディヴェロップメント、G.ラヴ、大橋トリオ、マウンテン・モカ・キリマンジャロ、Leyona、45 trioなど。23日にはリッキー・リー・ジョーンズ、ブルー・キング・ブラウン、カーリー・ジラフ、オリジナル・ラブ、ソイル&“ピンプ”セッションズ、ダブル・フェイマスなどなど...。両日ともに観たいアーティストが沢山です。

 以前から話題になっていた10ccは23日(日)に出演。
 現在はグレアム・グールドマンを中心とした5人組で活動中との事です。翌24日(月)には原宿アストロホールと、とても小さなライブハウスで一日限りの単独公演もあるそうです。野外で観る10cc...どういった選曲になるのでしょうか。やはり「I'm Not In Love」は終盤で? エリック・スチュワートは居ませんが「愛ゆえに」も是非生で聴いてみたいですね。

 ジャケットは「The Things We Do For Love (邦題:愛ゆえに)」収録の1977年作のアルバム『Deceptive Bends (邦題:愛ゆえに)+3』(SHM-CD紙ジャケット UICY-93816 \2,800)。
 グレアム・グールドマン&エリック・スチュワートの2人となった10ccのポップな面が押し出されたオススメの一枚です。東尾沙紀

2010年5月5日(水) Nella Dodds 「Finders Keepers, Lovers, Weepers」

 ゴールデン・ウィーク、みなさんはいかがお過ごしでしたでしょうか?

 僕は一昨日、弘前城がある青森弘前公園へ行ってきました。
 例年より開花が遅れたおかげでちょうど桜が満開! 弘前の桜はTVのニュース番組などで見て知っていましたが、実際に見に行くと本当に華やかでよかったですね。

 日本最古のソメイヨシノを含め、広い公園のいたるところに桜の木が並んでいて実に壮観!
 東京の花見と違って、中学生同士/高校生同士など、デートではなく友人と一緒に遊びに見に来ている学生が多く、露店がたくさん出ているということもありますが、靖国神社などで見られるサラリーマンのどんちゃん騒ぎ的花見と対照的に、昔ながらの朗らかな空気が流れていたのが印象的でした。

 さて、今日は子供の日ということで、当時14歳であったガール・ソウルの隠れた人気娘、ネラ・ドッズのCDからこの1曲。

 1964〜65年短いソロ活動期間にWANDレーベルに残した6枚のシングルAB面と、未発表曲3曲を追加したACE傘下KENT SOULによる15曲入編集盤『This Is A Girl's Life:The Complete WAND Recordings 1964-5』。(国内仕様 解説日本語訳付 \2,520)

 ダイアナ・ロス似のキュートな歌声に、モータウン/ノーザン・ソウル風味のサウンド&楽曲がNICE♪

 今日のこの1曲「Finders Keepers, Lovers Weepers」は、70'sフィリー・ソウル名曲を多数手掛けることとなるケニー・ギャンブル若き時期の作品。スモーキー・ロビンソン&ミラクルズの楽曲をシュープリームスが歌った感じですね。実際にシュープリームスのカヴァー「Whisper You Love Me Boy」、「Come See About Me」も収録されています。森 陽馬

2010年5月6日(木)斉藤 和義 「ランナウェイ〜そんな雨じゃ〜」

 忌野清志郎が亡くなって約1年が過ぎました。
 月日の流れの早さを感じますね。

 斉藤和義最新シングル「ずっと好きだった」に清志郎への追悼曲「Phoenix」のライヴ・ヴァージョンが収録。
 スタジオ・ヴァージョンよりもタイトな演奏&熱い歌唱で、清志郎ファンにも聴いてもらいたいトラックです。(♪ベイベー〜ガッタガッタ♪と魂が乗り移ったかのように斉藤和義がシャウトしています。)

 今日のこの1曲には、そのシングルの初回限定盤のみに収録されている「ランナウェイ〜こんな雨じゃ〜」、2010年3月5日・日本武道館でのライヴ・ヴァージョン。(VICL-36575 初回ボーナス・トラック&ギターピック&バッチ付 \1,360)

 映画『ゴールデンスランバー』のために斉藤和義が書き下ろしたインスト曲に、歌詞を付けた楽曲で、映画サントラ盤にも収録されていましたが、断然こちらのライヴ・ヴァージョンの方がかっこいいですね。

 後半のギターがニール・ヤングしていて、ニールの2003年武道館公演における「All Along The Wachtower」を思い出させます。森 陽馬

2010年5月7日(金) Gentle Forest Jazz Band 「ゾンビブギウギ」

 “ビッグ・バンド”、“スウィング・ジャズ”というと、古い時代のジャズを想起してしまいますが、それを若い人にも楽しめるように現代流にやっているのがこのグループ、“Gentle Forest Jazz Band”。

 東京ローカルホンクの最新ライヴ盤もリリースしているマインズ・レコーズから、記念すべき1stアルバムがこの度発売されました。(『だけど今夜はビッグバンド』 MR-003 DVD付 \2,500)

 今年の1月8日にこのコーナーでも紹介した在日ファンクのメンバーでもある久保田森を中心にした22人編成(!)ビッグ・バンド。同じく在日ファンクで強烈な個性を爆発させたサケロックの浜野謙太(通称:ハマケン)も歌で参加しています。

 “聴きやすいスウィング・ジャズ”というよりは、“吾妻光良&スウィンギン・バッパーズのスウィング版”といった感じですね。
 何曲かで歌われている歌詞の内容もちょっとお笑いが入っていて、スウィング・ジャズに馴染みがない方でも気軽に楽しんで聴ける1枚です。

 5月9日(日)14時には新宿タワー・レコード7Fでインストア・ライヴ(無料)も急遽決まったそうなので、興味ある方は是非ご覧になってみてください。森 陽馬

2010年5月8日(土) イーディ・ゴーメ 「メロディー・ダムール」

 やっといい陽気になってきました。
 今年の3月・4月の東京はなかなか暖かくならず、なんだか変な天候が続いていたような気がします。冬物をクリーニングに出したりしまったりと着衣の整理がやっとできそうです。それと、暖かくなったらここで取り上げようと思っていた曲がやっと紹介できますね。

 イーディ・ゴーメはニューヨーク出身の女性シンガー。
 ジャンル的には主にジャズとして扱われることが多い人ですが、1950年代から60年にかけてはヒット曲も多く、良質なポップスもたくさん発表しています。旦那様であるところのスティーヴ・ローレンスとのデュエットもいい味出しています。

 このアルバムは1963年発表。彼女の最大のヒットとなったバリーマン&シンシア・ワイル作「Blame It On The Bossa Nova」(原題:恋はボサノヴァ)をフィーチャーしたもの。今回のCDには、LP発売時の全12曲にボーナス2曲を追加してあります。(『恋はボサ・ノヴァ』 日本語解説付 \3,150)

 アルバム全体からゆったりした空気が感じられるボサノヴァ・ジャズ・テイストの好アルバムです。

 この曲「メロディー・ダムール」のオリジナルはアンリ・サルヴァドール。
 アメリカでは1957年にエイムス・ブラザーズの歌で大ヒットしました。
 イーディのヴァージョンはなんといっても彼女のちょっとハスキーな声が曲にフィットしていて、リラックス感を与えてくれます。森 勉

2010年5月9日(日)The Underbelly 「Cold Toast」

 久々にイキのいいFUNKYな1枚をご紹介。

 アンダーベリー(下腹部、急所、弱点の意)は、イギリスの一番南端にあるコーンウォール州出身の6人組ファンク・バンド。

 今作『セヴン・フィート・アンダー』(PCD-93330 \2,415)が1stアルバムで、タワー・オブ・パワーをルーツに、ホーンが入ったノリノリな高速ファンクを全編で聴かせます。

 女性ヴォーカル入りのトラックもありますが、インストの方がいいですね。
 クールでかっこいいG「Fast Track」や、スピード感溢れるファンキー・チューン@「VFunk」、E「Re-Use Me」等が聴きものですが、今日の1曲はタイトルも面白いD「Cold Toast」。

 ジェイムス・ブラウン「Cold Sweat」をもじった曲名通り、メイシオ・パーカーばりのアルト・サックスを前面に押し出したJB的ファンク・ナンバーです。

 他の曲もやや荒削りな演奏ですが勢いがあってイイ感じ。
 スピードメーターやニュー・マスターサウンズなどの新世代ファンクお好きな方にもオススメです。森 陽馬

2010年5月10日(月) トレインチャ 「I'll Be There」

 最近リリースされたオランダの歌姫トレインチャによるマイケル・ジャクソン楽曲カバー集『Never Can Say Goodbye』(TOCP-70838 \2,300)。おすすめの一枚です。

 トレインチャといえば、これまでにバート・バカラックのカバー作品2枚をリリース。2008年のバカラックのコンサートでは共に来日し、幅広い世代の日本のファンの方にも知られるきっかけとなりました。

 マイケルへの愛と感謝の想いを詰め込んだと語る彼女自身が、特に思い入れの強い楽曲(「今夜はドント・ストップ」、「Rock With You」などディスコ・チューンや、ジャクソン5の「I Want You Back」、「I'll Be There」、90年代の曲など幅広い選曲)を、ウルグアイ出身のジャズ・ギタリスト、レオナルド・アムエドのギターのみのシンプルな演奏でゆったりと聴かせます。

 これまでマイケルのカバーはたくさん発表されてきたと思いますが、カバーという事をあまり感じさせず一枚のアルバムとして、彼女の素晴らしい歌声を堪能出来る一枚です。東尾沙紀

★現在入手困難だったマイケル・ジャクソン&ジャクソンズの紙ジャケ、アンコール・プレスが決定しました。6月23日発売予定。

2010年5月11日(火)ダヴィッド・オイストラフ 「チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲」

 先日、話題の映画『オーケストラ!』を鑑賞。(リンク先音が出ます)

 “クラシック音楽を扱ったフランス映画”というと格式高そうですが、そんなことは全然なくて全編ツッコミどころ満載!  コメディー色も強いドタバタ劇ながら、フランスとロシアの政治的背景がさりげなくテーマに盛り込んであり、更にラスト12分の演奏シーンにはホロリと感動させられました。

 クラシック音楽に詳しければ詳しいほど批判的になってしまうストーリー展開かもしれませんが、そういう細かい理屈を無視すれば、面白い娯楽映画として楽しめる1本だと思います。

 さて、その映画『オーケストラ!』内で物語の軸となり、ラストに演奏されたのがこの曲「チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲」。
 ヴァイオリンのソリストによって印象がかなり変わる1曲と言えそうですが、このCDはダヴィッド・オイストラフによる1959年録音盤。(25DC-5222 \2,348)

 偶然?にも先月4月20日、村上春樹『1Q84 BOOK3』に出てきたオイストラフ演奏による「シベリウス:ヴァイオリン協奏曲」を紹介した際のCDに、「チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲」も一緒に収録されていました。
 映画をご覧になった方は、是非この盤の演奏も聴いてみてください。森 陽馬

2010年5月12日(水) Mumford & Sons 「Little Lion Man」

 天辰保文さんがブログで紹介されていたバンド、Mumford & Sons。
 デビュー・アルバム『Sigh No More』(輸入CD Glassnote GLS-109)を購入して聴いてみました。

 Mumford & Sonsは、渋いしわがれ声で歌うMarcus Mumfordを中心にしたロンドンの4人組バンド。
 一言で表現すると、情熱ほとばしる“ブルーグラス・ロック”ですね。

 バンジョーやマンドリンがほぼ全曲に入りながらも、古臭い感じは全くなく、新時代の息吹を感じさせるROCK。
 アコースティック系のサウンドですが、楽曲によってはサビに向かっていく部分がかなり熱いです。 “ブルース・スプリングスティーンがブルーグラスをやっている感じ”、と表現したら強引かな?

 “フリート・フォクシーズ、マイ・モーニング・ジャケットに対する英国からの回答”という捉え方もできると思います。
 Marcus Mumfordがアメリカ生まれということもあるかもしれませんが、とにかくも英国発とは思えないほどアメリカン・ルーツな香りを感じさせるバンド。メンバーは皆20代だそうなので、これからが楽しみですね。

 ちなみに、“CSN&Yのブルーグラス版”的な宣伝文句もあるようですが、それは全然違うと僕は思います。森 陽馬

2010年5月13日(木) 持田 香織 「空いろのくれよん」

 松本隆作詞活動40周年記念アルバム『松本隆に捧ぐ 〜風街DNA〜』というCDがユニヴァーサル・ミュージックより発売になりました。(UPCH-1775 \3,000)

 キャッチ・コピーは、<1人の男が書いた言葉は、10組のアーティストたちによって新たな命を吹き込まれた。>
 既発曲中心ですが、どのアーティストも詞の持つ微妙なニュアンスとオリジナル楽曲の良さを大切に歌っていて、好感が持てるアルバムになっています。

 青山テルマ「Candy」、福山雅治「ルビーの指環」、綾瀬はるか「赤いスイートピー」なども注目ですが今日はこれ。

 エヴリ・リトル・シングの持田香織による「空いろのくれよん」。プロデュース&アレンジは大橋トリオこと大橋好規。
 ドラムス以外の楽器も彼のマルチ・プレイによって録音されています。

 ELTの時とは別の雰囲気を醸し出している持田香織のヴォーカルとも、ほんわかした演奏がフィットしていて、可愛らしい「空いろのくれよん」に仕上がっています。森 勉

2010年5月14日(金) John Mayer 「Free Fallin'」

 先日、ジョン・メイヤー来日公演をJCBホールで見てきました。

 今が旬のギタリスト/シンガー・ソングライター、本国アメリカのツアー会場はアリーナ・クラス以上、ということもあり、ほどよい大きさのJCBホールは超満員。外国人率も高く、若い女性客が多かったですね。

 日本へ留学経験もある彼は日本語MCを交えながら、次々と最新作『Battle Studies』の楽曲を披露。約1時間40分と短めのライヴでしたが、どの曲もアルバム・ヴァージョンより長く、後半に自らのギター・ソロを存分に組み込んだ長尺アレンジで楽しませてくれました。

 実際オリジナル・アルバムでは伝わり難かった彼のギター・プレイは、ライヴでこそ真価を発揮していて、“現代3大ギタリストの一人”に挙げられているのも納得のパフォーマンス。開演前の会場では60〜70'sソウルがかかっていて、2曲目に「クロスロード」のカヴァーをやるなど、彼の音楽/ギターのルーツはソウル&ブルースにあることを窺わせました。

 なお今回はスティーヴ・ジョーダン(Dr)ではなく違うドラマーが叩いていましたが、うれしかったのがサイド・ギタリストとして、ロビー・マッキントッシュが入っていたこと。
 ロビー・マッキントッシュはプリテンダーズ、ポール・マッカートニーの昔のツアー・メンバーとして活躍していたギタリスト。渋いスライド・プレイが良かったです。(先日取り上げた「Half Of My Heart」で、ロビーのギター・ソロからフリート・ウッドマック「Dreams」を挟む演出もありました)

 ジョン・メイヤーの書く曲はシングル曲でなくてもサビとメロディーがしっかりしていて、ギタリストであると同時にシンガー・ソングライターであることも強く実感できましたが、自作曲以外で印象に残ったのは、トム・ペティ「フリー・フォーリン」のカヴァー。
 2008年にリリースされた2枚組ライヴ盤『Where The Light Is 〜Live In Los Angeles』(SICP-1930 \3,675)には、弾き語り的アコースティック・セットで収録されていますが、今回のバンド・ヴァージョンもかっこよかったです。森 陽馬

2010年5月15日(土) フィル・コリンズ 「恋はごきげん」(A Groovy Kind Of Love)

 フィル・コリンズのベスト・アルバム(WPCR-14028 限定価格 \1,500)を聴いていると80年代を強く感じてしまいます。

 それにしても大活躍でしたね。資料を調べてみますと、フィル・コリンズの80年代の全米No.1ヒットは7曲。これはなんと、マイケル・ジャクソン、マドンナ、ホイットニー・ヒューストンと同じNo,1の数なのです。
 その上、在籍していたジェネシスも「インヴィシブル・タッチ」でNo.1を1回獲得したのでそれを加えると8曲。本当にビックリです。

 この「恋はごきげん」(A Groovy Kind Of Love)は1988年のNo.1ヒット。
 1966年、マインドベンダーズのヒット曲をカヴァーしたものです。

 オリジナル曲がものすごく好きなので、バラードにアレンジしたフィル・コリンズのヴァージョンは、ヒット当時そんなに気に入っていなかったのですが、時を経て聴いてみるとこれがなかなかイイですね。

 ストリングスの入り方など、この曲に新しい魅力を加えてくれているし、何よりもこの名曲を取り上げてくれたフィル・コリンズのセンスに乾杯です。森 勉

★今月の20日、アゲインでの気まぐれ音楽寄席は、オールディーズのテーマで特集予定です。

2010年5月16日(日) エリカ・ギンペル 「夜空 (Night Sky)」

 エリカ・ギンペルはニューヨーク出身のシンガーソングライター。
 64年生まれの彼女は女優としても長いキャリアを持ち、これまでに有名なものだとドラマ『ER』等に出演しているそうです。知性的な雰囲気溢れる女性、というのが写真を見た印象です。

 最近では音楽活動の方に力を入れているという彼女がリリースしたのは、サンタモニカにある“Kula”というイベント・スペースでのライブを収録したアルバム『翼を広げて』(SFR-001 \2,500 解説・歌詞・対訳付)。

 彼女のピアノを中心に、ベース/チェロ、パーカッション/ドラム、ヴァイオリン、フルート、女性コーラスなどを加えたギターレス編成で、特にサックスが大々的にフィーチャーされており、ジャジーなムード漂う作品となっています。

 彼女がフェイヴァリットに挙げるダニー・ハサウェイ、ローラ・ニーロなどに通ずるピアノ弾き語りによるスピリチュアルなナンバーや、女性コーラスとの息の合った歌声を聴かせるソウルフルな曲、切ないメロディーが耳に残るインストなど、自作曲11曲を収録。

 今日の一曲は静かなピアノで始まる1曲目の「夜空 (Night Sky)」という曲。
ずばりタイトルの通り、夜聴くのにオススメの一曲&一枚です。東尾沙紀

2010年5月17日(月)Neil Young 「Long May You Run」

 今冬2月に行われたバンクーバー・オリンピック。
 高橋大輔や浅田真央の活躍もまだ記憶に新しいのですが、こんなCDが先日発売になりました。『Sounds Of Vancouver 2010 Closing Ceremony Commemorative Album』(EMI Canada 5099962809825)。

 バンクーバー・オリンピック閉会式に出演したミュージシャンの楽曲や使われた音楽を収めた19曲入りのCDで、聖火が消されるところで歌われたニール・ヤングによる「Long May You Run」も収録。

 ただ、他のミュージシャン(マイケル・ブーブレ、アヴリル・ラヴィーン、ニッケルバック等)の楽曲が既発音源だったのに対して、ニールのは冒頭と曲後に拍手&歓声が入っているヴァージョンなのです。

 「実際に閉会式で歌われたヴァージョン?!」と思って何度か聴き返してみましたが、後半声が裏返ってしまうところがないのでどうやら別トラック! あらかじめスタジオで録音されたソロ・ヴァージョンに、後から拍手と歓声をオーバーダブしたヴァージョンのようです。

 おそらく、本番でもこのトラックを使ってニールが口パク&手振りで行う予定だったのでしょうが、ニールが拒否して生演奏&生歌で閉会式は行われたのでしょう。

 ちなみにこの「Long May You Run」は、1960〜70年代に“バッファロー・スプリングフィールド”、“クロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤング”で共に活動していたニール・ヤングとスティーヴン・スティルスが再びコンビを組んで1976年発表したアルバム『Long May You Run (邦題:太陽への旅路)』(WPCR-75093 \1,800)に収録されている名曲ですが、今までニールのみによるオフィシャル・ライヴ音源はなかったので、ある意味貴重なスタジオ・ライヴ・テイクということになりそうです。森 陽馬

2010年5月18日(火) Solomon Burke 「Nothing's Impossible」

 今日は19日発売新譜が色々と入荷。
 ジェイムス・テイラー&キャロル・キング、ジャクソン・ブラウン&デヴィッド・リンドレー、ローリング・ストーンズ『メインストリートのならず者 デラックス盤』、クラムボン新作、坂本美雨新作、売れ筋では嵐の最新シングル、他にも聴き応えある作品が多くどれを取り上げようか迷いましたが、しみじみ沁みるこの1枚をピックアップ。

 今年で70歳になる“ソウル・キング”! ソロモン・バークの新作『ナッシングズ・インポッシブル』(国内盤のみボーナス・トラック収録 VICP-64832 \2,625)。

 アル・グリーンを輩出したことでも知られるハイ・レコードの名プロデューサー、ウィリー・ミッチェル(2010年1月逝去)による最後のプロデュース作で、まさにソロモン・バークがハイ・サウンドをバックに歌っている、という素晴らしい仕上がり。

 メンフィスにあるウィリー・ミッチェルのスタジオで録音され、滋味溢れる味わい深いソウルが堪能できます。

 タイトル曲でもあるこの曲「Nothing's Impossible」は、いかにも“ハイ”っぽい楽曲で、アル・グリーンが歌ったら「Let's Stay Together」っぽいと言われそうなナンバー。
 世界平和と夢・希望に関して歌われ、野太い彼の歌声がソウルフルで説得力があります。南部ソウルファン、渋い黒人音楽好きの方は必聴のアルバムですね。

 ちなみにソロモン・バークは5/29〜6/1にブルース・カーニバルのイベントで初来日(!)する予定になっています。森 陽馬

2010年5月19日(水) Carole King & James Taylor 「Up On The Roof」

 キャロル・キング&ジェイムス・テイラー、感動の来日公演から早1ヶ月。
 待望のライヴCD+DVD『トルバドール・リュニオン』が発売になりました。(国内DVDには日本語字幕付 UCCO-3018 \3,800)

 3月末から始まったこのツアーの発端である2007年11月、LAにある老舗ライヴ・ハウス“トルバドール”50周年記念ライヴの模様を収めたCD+DVD。

 来日公演が素晴らしかったので当然この盤も期待していましたが、その期待を遥かに上回る内容! 特にDVDの映像が本当にイイですね!

 国内盤DVDは日本語字幕付。「Caroline In My Mind」前のMCでピーター・アッシャーを紹介する場面など、ジェイムスとキャロルの会話も聴き所です。
 (ちなみに今回のCDはピーター・アッシャーがオーディオ・プロデュース! アット・ホームな雰囲気が伝わる音作りでCDの音質も最高!)

 特に「Up On The Roof」をやる前のMC。
 キャロル・キング&ジェリー・ゴフィン作によるこの名曲に関して、キャロル・キングが歌詞内の一単語に言及し、ジェイムスがそれに反応するのが面白かったです。(その単語に関しては見てのお楽しみ、ということで)

 とにかくもこの「Up On The Roof」、本当に素晴らしい!
 キャロルによる弾語りヴァージョンから、ジェイムスのバンド・ヴァージョンへ橋渡しする曲構成。もう一度生で聴きたいなあ。森 陽馬

2010年5月20日(木) HOCUS POCUS 「25/06」

 正直言って、HIPHOPはあまり好きではない。

 プライベートではもちろん、仕事でもあまり聴きたくない音楽ジャンルなのだが、今日紹介するホーカス・ポーカスはクールで実にかっこいい。HIPHOP嫌いな人にこそ聴いてもらいたい1枚だ。(『16 PIECES』 国内盤歌詞・対訳付 PCD-93333 \2,415)

 ホーカス・ポーカスはフランス発の6人組HIPHOP生バンド。
 生バンドのソウルフルなグルーヴ感と、クールかつ上品なサンプリング・トラック、そしてフランス語によるフロウが見事に融合している。

 2曲目「25/06」は、クルセイダーズで知られる名ピアニスト、ジョー・サンプルの「It Happens Everyday」(1997年発表作『Sample This』に収録)をサンプリングしたトラック。
 ピアノの切ないメロディー部分をうまく使っていて、歌詞の切なさとシリアスな雰囲気をうまく表現している。

 ちなみに曲名の「25/06」は、マイケル・ジャクソンの命日(6月25日)。

 パレスチナ問題でイスラエルがまだ戦火にあるというのに、世界中がマイケルの死で話題騒然となったことを痛切に皮肉っているようだ。森 陽

2010年5月21日(金) 22-20s 「shake, shiver and moan (live)」

 2010年を迎えてから、2000年代のベストアルバム特集記事やガイド本などが沢山出版されていますね。
 皆さんは2000年代にデビューした中でお気に入りのミュージシャンやバンド等いらっしゃいますでしょうか?

 私は、今年フジ・ロックで久々の来日を果たすイギリスのロック・バンド、22-20sの本格的再始動が嬉しい限りです。

 2004年に1stをリリース、当時20歳そこそこながら、クールな佇まいとブルースに影響を受けた高い演奏力に定評があった彼らだけに、2006年の解散宣言はとても残念でした。
 ですが、ギタリストが一人増え、4人組となった彼らの6年ぶりの新作『shake/shiver/moan』(YRCG-90039 \2,300)が先日リリースされました。

 ツイン・ギターになり更にパワーアップ。テレキャスターで弾く何気無いフレーズもスリリングでかっこよく、(フロントマンのマーティンはギタリストとしてもっと評価されても良いと思うのですが)ポップなものや穏やかな楽曲も増え、前作より幅が広がった印象です。

 ボーナス・トラックには本国で発売されたライブEPの4曲を追加収録。
 最後にこの曲が終わると彼らの代表曲「Devil In Me」が。
 おっ!と思った瞬間にフェイドアウト...続きはフジロックでということでしょうか。フジに行かれる方、ライブがめちゃめちゃかっこいいので興味のある方是非足を運んでみてください。東尾沙紀

2010年5月22日(土) Giovanca feat Leon Ware 「Where Love Lives」

今週発売になった新譜では、やはりキャロル・キング&ジェイムス・テイラーのアルバムが一番のお気に入りで、店頭でも繰り返しよくかけていますが、それと同じくらい気に入って、ヘビー・ローテーション中なのがこの1枚。

 オランダを代表する黒人モデルとして現在も活動しながら、シンガーとしても注目されている女性アーティスト、ジョヴァンカ。約2年ぶりとなる新作『ホワイル・アイム・アウェイク』(国内盤ボーナス・トラック4曲追加 VICP-64829 \2,520)。

 2008年にベニー・シングスによるプロデュースでデビューし、その1stに収録されている「On My Way」はFMで大量オンエアされご存知の方も多いと思いますが、今回の新作はその1stよりも更に素晴らしい仕上がり!

 “ミニー・リパートンが現代のサウンドで新作を出した雰囲気”
 “シャーデーとスウィング・アウト・シスターを合わせた感じ”
で、アメリカの黒人音楽とは違うクールなUKソウル/ポップ・サウンドが最高にピースフルな1枚です。(ちなみに国内盤ボーナス・トラックには、シャーデーのカヴァー「Kiss Of Life」も収録されています)

 その中でも特にJ「Where Love Lives」。
 リオン・ウェアがエル・デバージと一緒に書きながら未発表になっていた楽曲で、それをリオン本人とジョヴァンカがデュエットで歌った超メロウな1曲。
 スウィートな歌声のジョヴァンカが歌うことで、まさにミニー・リパートン「インサイド・マイ・ラヴ」の続編となっていますね。(「インサイド・マイ・ラヴ」はリオンが手掛けた1曲です)

 ちなみに、最近プロデューサーとして、ジョー・ヘンリー、T・ボーン・バーネットの評価が著しいのですが、タイプは違うもののベニー・シングスももっと評価されるべきですだと僕は思っています。森 陽馬

2010年5月23日(日) Twinn Connexion 「Turn Down Day」

 “ソフト・ロック”という言葉が作られガイド本が発売になってからは、オリジナルLPでは入手困難な様々な盤がCD化されるようになりました。
 重箱の隅をつつくようなマニアックなものも色々と再発され、「ソフト・ロックのCD化もだいたいは出揃ったかな」なんて思っていましたが、まだこの盤がありましたね。

 ジェリー&ジェイ・ホプキンス兄弟によるツイン・コネクション!
 1968年に発表された唯一のアルバム『Twinn Connexion』が、ボーナス・トラックも8曲追加して遂に正規CD化されました。(輸入盤 CRNOW-16 \1,880)

 以前ブートで出たことがありましたが、今回はデジタル・リマスターもされて音質もバッチリのオフィシャル・リイシュー。二人の貴重な写真やデータなども掲載された充実のブックレットもNICEです。

 肝心の内容もソフト・ロック好きの方なら満足間違いなしのサウンド。
 サークルの名曲「Turn Down Day」(66年1st『Red Rubber Ball』に収録)の作者として知られるジェリー・ケラーがプロデュースを担当しており、ポップなメロディーにシタールやハープシコードなども取り入れたアレンジは、この時代ならではの不思議な魅力を放っています。

 聴きものは、やはり「Turn Down Day」でしょう!
 憂いを帯びたちょっぴり切ないメロディー・ラインは、一度聴くと何度もリピートしたくなってしまいます。森 陽馬

2010年5月24日(月) The Vernons Girls 「Lover Please」

 “キャラヴェルズ”、“ブレイカウェイズ”、“ストッキングトップス”、“ペイパー・ドールズ”、“バーズ・オブ・ア・フェザー”等、50's、60'sに活躍したイギリスのガール・グループは、アメリカのガールものに比べると知名度も低く、全体的に層が薄い気がします。
 いい音を聴かせてくれるグループもいますが、日本では音源がきちんと発表されないことが多いので、なかなか聴く機会がないのが現状です。

 この“ヴァーノンズ・ガールズ”は1962〜64年にイギリスのデッカ・レーベルに所属して活動していた3人組。
 1964年に発表した「ウィ・ラヴ・ザ・ビートルズ(ビートルマニア)」がビートルズ関連のノヴェルティ・ソングを集めたCDに入っているぐらいで、他はあまり聴けない状態でした。

 しかし今回、デッカ音源をコンプリートに収めたCDが出ました。(『We Love The Vernons Girls』 RPM RETRO-868 \1,780)
 全22曲、キュートな歌声を聴くことができます。

 この曲はビリー・スワン(1974年に全米No.1ヒット「I Can Help」を放った白人シンガー)が若い時に作った、元ドリフターズのクライド・マクファターによる大ヒット曲カヴァー。
 彼女たちのハツラツとした歌声と60'sブリティッシュ録音らしい小気味のよいドラムスのビートが心地良い1曲です。森 勉

2010年5月25日(火) フォークロックス 「ストロベリーガール」

 ここ最近、自らのレーベルを立ち上げ、サイトもしくはライヴ活動を通じて自身の作品を発表していくミュージシャンが増えてきました。

 以前だとメジャー・メーカーから出すことがステータスだったのかもしれませんが、メジャーと契約することによって細かい制約があるよりは、自分たちの思い通りの音楽活動ができることを優先する方が、ミュージシャンにとって伸び伸びと作品づくりができてよいのかもしれません。(時によって、その逆に締切があった方が良い作品が出来上がる場合があるかもしれませんが・・・)

 さて今日紹介する1枚は、上記のように一般流通はしていないけれども、ミュージシャン達が大好きな音楽を楽しみながら作ったのが聴いていて伝わってくるようなアルバム。(『フォークロックス』 GLIMROCK-1)

 フォークロックスは、センチメンタル・シティ・ロマンスの中野督夫、名ベーシスト湯川トーベン、“日本のジェフ・リン”とも称される永井ルイ、重低音ドラマー向山テツ、そして本多正典による5人組バンド。
 名前は“フォークロックス”ですが、永井ルイさんが絡んでいることもあり、ブリティッシュなポップ・サウンドと、アメリカンのルーツ・サウンドが合わさったようなごった煮ロックです。

 各曲に各々のメンバーの個性が表われていますが、個人的に気に入っているのは湯川トーベンさん作によるC「ストロベリー・ガール」。
 村田和人さんお好きな方にもオススメ(村田さんも先日のアゲインでカヴァーしてました)。すごくイイ曲です。森 陽馬

★当店通販コーナーにも掲載いたしました。

2010年5月26日(水) ショコラトル 「Flying Piano」

 当店でデビュー時から大推薦している女性シンガー・ソングライター、寺尾紗穂さんの新作アルバム『残照』が6月23日に発売決定いたしました。
 今回はなんと!『放送禁止歌』というタイトルのシングル盤をインディーズから同時発売する予定です。

 アルバム内の楽曲に放送禁止用語が元々入っていたため一部歌詞の修正をしたそうで、この同時発売のシングルでは、修正前のヴァージョンで3曲収録されるとのこと。

 収録曲がどの曲かまだ情報がきていませんが、スタジオ盤がどのような仕上がりになっているか、またどの部分がどのように修正されているか興味深いですね。
 昨年リリースされた作『愛の秘密』と同様に、今回も寺尾さんにインタビューしてその経緯などをお伺いしリーフレットを作成したいと思っておりますので、発売まで楽しみにお待ちください。

 さて、その寺尾さんのバック・ドラマーとして知られる只熊良介が在籍している3人組ユニット、“ショコラトル”の新作『tot』が先日発売。(CLMR-10 \1,500)

 2009年1月30日にこのコーナーで1stを紹介したことがありましたが、今作はその1stよりも更に素晴らしい出来!
 女性ヴォーカルazuの歌も格段に進歩した印象で、収録楽曲のポップ度も更に増した印象。今作もパリスマッチの杉山洋介がプロデュースを担当し、サウンド・アレンジも抜群です。

 特に1曲目「Flying Piano」。
 躍動感溢れるかっこいいポップな1曲で、マイクロスターやクラムボンがお好きな方にも大推薦したいキラー・チェーンです。森 陽馬

2010年5月27日(木) ザ・ロジャー 「For Me」

 2006年に1st、2008年に2ndをリリースし、来日経験もあるイギリス・リーズ出身のバンド、“The Lodger”(=下宿人,宿泊人の意味)。
(スタイル・カウンシルに「The Lodgers」という曲がありますが何か関係があったりするのでしょうか?)

 3作目となる『FLASHBACKS』(FABC-103 \2,100)をリリースしました。

 少し頼りない感じのするボーカルも含め、イギリスのバンドらしいちょっとひねくれたメロディーが印象的な爽やかなギターポップ。ストリングス、トランペット、サックスを全体的に取り入れ、女性コーラスもちらほら。

 甘い恋愛の歌詞が多いですが、ボーナス・トラックとして収録されている「For Me」の歌詞は、「彼女のもとに行かないと(中略) 眠りにつくように静かに もう引き返すことはできないんだよ」....なんか意味深な詞ですよね。でもメロディーは軽快で、詳細なクレジットはありませんが、女性ボーカルが歌うパートがあり、ビューティフル・サウスを彷彿とさせる一曲です。

 ディラン・モンドグリーンなどお好きな方にもおすすめです。東尾沙紀

2010年5月28日(金) シャドウズ 「アルゼンチンよ、泣かないで」

 明後日30日(日)は競馬の日本ダービー。
今年は混戦が予想される好メンバーで、面白いレースになりそうですね。

 おそらくヴィクトワールピサという馬が1番人気、ペルーサが2番人気、ダノンシャンティが3番人気になると思いますが、僕の予想はペルーサ。

 一昔前まで関西馬が強かったものの、先週のオークスでは関東馬のワン・ツーになったように、ここ最近は関東馬も盛り返してきました。勢いのある関東馬&横山典騎手に期待したいですね。

 なお、ペルーサという馬の名前の由来は、あのアルゼンチンの名サッカー選手だったマラドーナの愛称からつけられたそう。(ペルーサのお母さんは、アルゼンチンスターという馬名!)
 ワールド・カップ・イヤーということもあり、爆走してくれないかな。

 ということで、今日はタイトルに“アルゼンチン”が入ったこの1曲。

 「アルゼンチンよ、泣かないで」(原題:Don't Cry for Me Argentina)は、アンドリュー・ロイド・ウェバー作曲による楽曲で、ミュージカル『エビータ』の中で使われている名曲。
 様々な人がカヴァーしていますが、1978年にシャドウズも演奏していて、ベスト盤(『ゴールデン・グレイツ』 TOCP-53664 \2,700)に収録されています。森 陽馬

2010年5月29日(土) パティ・ラベル 「ラヴ・ニード・アンド・ウォント・ユー」

 派手に濃く歌い上げる女王、パティ・ラベルが1983年に発表した名作『アイム・イン・ラヴ・アゲイン』がソニー・ミュージックから限定紙ジャケット&最新リマスターでCD化されました。(EICP-1348 \1,995)

 このアルバムは彼女の歌がくどくない程度に聴けるので昔から好きな1枚。特にケニー・ギャンブルがソングライティングに関わった2曲のバラードは絶品です。

 「ラヴ・ニード・アンド・ウォント・ユー」はケニー・ギャンブルとバニー・シグラーの共作。パティの余裕ある抑えぎみの歌い方と、フィラデルフィアのスタジオから発せられた、これも抑えぎみの極上の演奏が見事にジョイント。

 もう1曲はケニー・ギャンブル、デクスター・ウォンゼル、シンシア・ビッグス共作による「イフ・オンリー・ユー・ニュー」。これもゆったりと聴かせてくれるバラードで、R&Bチャート1位を獲得した名曲。

 “メロウなフィラデルフィア・ソウルのバラード”、
といえば、僕の場合はまずこの2曲が頭に浮かんできます。森 勉

2010年5月30日(日) Hayley Sales feat G.Love 「Lullaby」

 今日は終日肌寒い1日でしたが、これからの季節にピッタリの1枚。

 2009年1月21日にこのコーナーでも紹介した女性シンガー・ソングライター、“ヘイリー・セールズ”。待望の2作目が発売になりました。(『When The Bird Became A Book』 国内盤ボーナス2曲追加 PCCY-1944 \2,415)

 前作1stもいいアルバムでしたが、今作も全編オーガニックな雰囲気はそのままに、より表情豊かになった楽曲が聴いていて心地良い仕上がり。
 まさに、“サーフィン界のノラ・ジョーンズ”という感じです。

 自らのアレンジ&プロデュースによるアコースティックな良曲が並んでますが、その中にあって印象的なのがJ「ララバイ」。
 G・ラヴによるブルージーなハーモニカが冒頭から鳴りながら、歯切れのよい軽快なポップ・ロック曲になっていて、ハーモニカの音色がいいアクセントになっています。

 コルビー・キャレイやエディ・リーダーお好きな方に絶対のオススメ盤ですね。森 陽馬

2010年5月31日(月) トレイシー・ソーン 「ホルモンズ」

 エヴリシング・バット・ザ・ガール、そしてソロとしても長年活動している女性シンガー、トレイシー・ソーンが約3年ぶりの新作『Love and Its Opposite』をリリースしました。(デモ・トラックも収録のボーナスCD付2枚組 HSE-30240 \2,490)
 今回はベン・ワットのレーベルからのリリースです。

 プロデュースは前作『Out Of The Woods』にも携わっていたイアン・ピアソンが担当。エレクトロニカ主体だった前作に比べ、多少そういう雰囲気は残ってはいますが、ピアノやアコースティック・ギター、ストリングス等生楽器のシンプルな音作りへと変わり、彼女の声をより堪能出来る作品となっています。

 曲作りのテーマとして“現在の私や周りの人々の40歳を過ぎてからの人生について...”とあり、結婚、離婚、浮気、独り身の寂しさを紛らわそうとバーへ通う女性など...歌詞は決して明るいとは言えない独特の内容ながら読んでる内に引き込まれました。

 思春期の娘と更年期の母親のモヤッとした感情を、♪ホルモン・バランスのせいなのよ♪と歌う「ホルモンズ」は極めてポップなメロディーに乗せて歌われてます。
 サウンドは暗いという訳でも無く、穏やかな曲が多いので聴きやすい作品だと思います。

 本編にはリー・ヘイゼルウッドのカバーも収録。スウェーデンのシンガー、イェンス・レイクマンやホット・チップのメンバーなどとも共演しています。東尾沙紀






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