PET SOUNDS RECORD
今日のこの1曲 アーカイヴス


  今日のこの1曲 “Achives”

<2011月1月>

当店ペット・サウンズ・レコード店にて、
その日に店内でかけていた曲の中から、
店員の独断と偏見で選んだ“今日のこの1曲”コーナー

2011年1月に更新した“今日のこの1曲”コーナー。
廃盤・生産中止、規格番号の変更など、
情報が古くなっている商品もございますが、ご了承くださいませ。

<最新の“今日のこの1曲”はこちらのページをご覧ください>


2011年1月1日(土)アート・ガーファンクル feat ポール・サイモン&ジェイムス・テイラー 「ワンダフル・ワールド」

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

東京は見事な日本晴れ。
気持ちよく30周年目最初の営業を迎えることができました。

 澄んだ青い空を眺めていて、聴きたくなったのがこの1枚。
サイモン&ガーファンクルで有名なアート・ガーファンクルが1978年に発表したソロ3rdアルバム『ウォーターマーク』。(MHCP-201 \1,785)

これは本当に大好きな1枚で、もう何百回聴いたかわからないくらい愛聴している作品なのです。

アルバム収録曲のほとんどがジミー・ウェッブ作の楽曲。
切ないメロディー(歌詞も)とアートの美しい歌声が優しく沁みます。

その収録曲中、唯一ジミー・ウェッブ絡みではないのがこの1曲。

サム・クックの名曲「(What A) Wonderful World」を、オリジナルの明るい雰囲気とは違って、ゆったりした温か味のあるアレンジ&ポール・サイモンとジェイムス・テイラーとの美しいハーモニーでカヴァー。

愛に包まれた歌詞も素晴らしいですね。

今年1年が皆さんにとって、素敵な“ワンダフルな”年になりますように。森 陽馬

2011年1月2日(日) ブライアン・ウィルソン 「スワンダフル」

新しい年2011年、平成23年になり、またひとつ歳をとることになります。

私事ですが、卯年は自分の干支でして、なんと還暦を迎えることになりました。

 そして、店のペット・サウンズも30周年の“ハーフ還暦”です。

 今年も素晴らしい音楽との出会いがたくさんありますように・・・。

 ということで僕の2011年、年初め1曲はタイトルも素敵な「スワンダフル」。

 ブライアン・ウィルソンがジョージ・ガーシュインの作曲した名曲を歌った作品『Reimagines Gershwin』(輸入CD DISNEY 428902)に収められています。ちなみにこのアルバムは僕の中では2010年ベスト・ワン作品でした。

とにかく曲が全部イイ。アレンジが見事。歌とコーラスが心に沁みてきます。

 ブライアン・ウィルソン自身が生まれる前の音楽に挑戦した意欲作ということになりますが、そんな堅苦しい雰囲気ではなく、ブライアンが持っているエッセンスを何気なくふりかけたような仕上がりになっているところが、さすがブライアン!

 ブックレット内の写真、おすまし顔のブライアンが素敵。
 この「スワンダフル」での1番の歌詞で、「パラダイス」の発音も素敵。
(2番の歌詞部分の「パラダイス」とはちょっと違います。) 森 勉

2011年1月3日(月) クロスビー、スティルス&ナッシュ 「デイライト・アゲイン/自由の値」

 ザ・バーズに在籍していたデヴィッド・クロスビー、バッファロー・スプリングフィールドにいたスティーヴン・スティルス、ホリーズのグラハム・ナッシュが組んだクロスビー・スティルス&ナッシュ(CS&N)。

 ニール・ヤングが加わったCSN&Yとしての活動や作品『デジャヴ』が一般的には有名ですが、CS&N3人の楽曲にもいい曲がたくさんあります。

 そのCS&Nのイイ曲をタップリ集めたベスト盤がお買い得1,500円! 解説・歌詞・対訳付国内盤仕様限定盤で発売になりました。(WPCR-14054 1,500円)

 スティルスが当時の恋人ジュディ・コリンズのことを歌にした@「組曲:青い眼のジュディ」、ナッシュ作名曲G「Our House」、J「Teach Your Children」、ライヴ定番曲K「Wooden Ships」など人気曲中心に、69年発表1stから1982年発表『Daylight Again』までの4作から選ばれた全19曲。

 今日のこの1曲「Daylight Again」は、1982年発表同名タイトル作に収録。一昨日紹介したアート・ガーファンクルがコーラスで参加し、シンプルながら見事なコーラス・ハーモニーが聴ける1曲です。

 CSN&Y1970年発表シングル「オハイオ」のB面として、また名ライヴ盤『4 Way Street』のラストを飾る「Find The Cost Of Freedom (邦題:自由の値)」が最後に繋がっており、平和/戦争反対がテーマになっている彼ららしいナンバー。
 3+1人の歌声が荘厳に響きます。森 陽馬

2011年1月4日(火) 山弦 「SONG FOR JAMES」

 “今、日本で1番忙しいギタリスト”といえば、佐橋佳幸さん。

 松たかこさんの旦那様、というだけでなく、昨年は山下達郎、竹内まりや、渡辺美里のツアーで全国を廻り、更にセッション仕事も数多くこなしながら、“歌心あるギターフレーズ”を絶えず響かせる事ができる名ギタリストです。

 その佐橋さんが、桑田佳祐との仕事で知られる同じく名ギタリスト、小倉博和と組んでいるギター・インスト・デュオ“山弦”のベスト盤が発売になりました。(『ゴールデン・ベスト』 UPCY-6629 \2,000)

 今まで5枚のオリジナル・アルバムをリリースしていますが、今回のベスト盤は最新リマスター!
 びっしり全18曲79分強収録されてますので、まだ山弦のCDを持っていない方はもちろん、すでに作品をお持ちの方にもオススメしたい1枚です。

 1998年発表1stアルバム『JOY RIDE』1曲目に収録されていたJ「SONG FOR JAMES」は、二人が敬愛するシンガー・ソングライター、ジェイムス・テイラーへ捧げたアコースティック・ギター・インスト。

 目を閉じて聴いていると、JT「You Can Close Your Eyes」のメロディーが浮かんでくるような切なくもやさしい温もりに溢れたナンバーです。

 なお、今年初め久々に“山弦”として活動するそうで、まずは米国カリフォルニアで開催されるイベント“NAMMショー”に出演。その後春にはツアーも予定しているそうです。要チェックですね。森 陽馬

2011年1月5日(水) ローニン 「All I Can」

 新年を迎え、早くも5日が過ぎました。

 お昼頃パルム商店街の入口では、毎年恒例太鼓のパフォーマンスが行われていました。昨年の今日の一曲でもその事に触れていて一年の早さを改めて感じました。

 年始早々“浪人”という言葉はどうなの?とのツッコミを覚悟の上で、本日は名ギタリスト、ワディ・ワクテルが在籍したローニン、80年発表唯一の作品『RONIN』(UICY-94728 \2,800 世界初CD化 2010年リマスター&限定紙ジャケット)をご紹介します。

 どういう人達かを知らなければスルーしてしまいそうなジャケットですが、ワディをはじめ、ダン・ダグモア(g/pedal steel)、リック・マロッタ(ds)、スタンリー・シェルダン(b)は、リンダ・ロンシュタット、カーラ・ボノフ、ジェイムス・テイラー等の作品に参加している腕利きミュージシャンが集まって結成されたバンドで、プロデュースはピーター・アッシャー。

 ワディはこの後、スティーヴィー・ニックスやキース・リチャーズの作品/ライブにも参加している事で有名ですね。

 今日の一曲はダン・ダグモアが作曲&リード・ヴォーカルの「All I Can」。

 スライド・ギターが絡むリトル・フィート風の一曲です。
 ハード・ロッキンな「Feels Right」もかっこいい!
 ワディのザラッとした歌声も良く、骨太なアメリカン・ロック・ナンバーが楽しめる一枚です。東尾沙紀

2011年1月6日(木) フランス・ギャル 「夢みるシャンソン人形」

 「新春シャンソン・ショー!」  早口言葉です。

 3回続けて言ってみてください。これがなかなか難しい。

 「生麦生米生卵」、「東京特許許可局」と並ぶクラシカルな早口言葉ですが、この「新春シャンソンショー」の語感が昔から好きで、新春になると思い出してしまいます。

 ということで今日はシャンソンを。
 といってもフレンチ・ポップスですが・・・。

 我が最愛のアイドルの一人、フランス・ギャルの1曲をこの新春に。

 ルックス的にも可愛さ満点の彼女でしたが、音楽的にも申し分ない魅力を振りまいてました。

 この「夢みるシャンソン人形」(原題:poupee de cire poupee de son」)は、1965年に日本でもラジオから毎日のように流れていたヒット曲。

 作ったのはあのセルジュ・ゲンズブールです。
 彼はその他にも「涙のシャンソン日記」、「天使のためいき」、「アニーとボンボン」などのシングルになった曲をフランス・ギャルに提供しています。森 勉

★掲載ジャケットは全23曲ベスト盤。(国内CD 解説・歌詞・対訳付 UICY-6679 \1,680)

2011年1月7日(金) Dick Hyman 「Mas Que Nada」

 恵比寿ガーデンシネマが1月28日の上映をもって休館するそうです。

 単館系の良質な作品を多く上映し、パンフレットも毎度凝った作りで、通うのが楽しい映画館でした。
 17年前に恵比寿ガーデンプレイスが出来た時からよく見に来ていたので、休館は寂しいですね。

 ということで、最後の上映作品、ウディ・アレン監督作『人生万歳!』を先日鑑賞。

 この上ないハッピー・エンディングということもあり、見終わって清々しい気持ちになれる面白い映画でした。

 映画『アクロス・ザ・ユニヴァース』に出演していたキュートなエヴァン・レイチェル・ウッドと、ウディ・アレンの分身とも言える飄々とした演技が光ったラリー・デヴィッドの掛合いは、いかにもウディ・アレンらしいセリフ回しが連発!
 ニューヨークの様々な名所(ユニクロも出てきましたね)を舞台にしたストーリー展開も飽きずに楽しめました。

 さて、ウディ・アレン映画といえばディック・ハイマン。
 数多くのウディ・アレン映画の音楽を手掛けています。

 そのキーボード奏者ディック・ハイマンがブラジリアン・サウンドに挑戦した1966年発表作『Brasilian Impressions』(UCCU-3029 \2,300)から今日のこの1曲。

 2006年にハイファイの大江田さん&松永さん監修による“フィンガー・スナッピン・ミュージック”シリーズの中の1枚としてCD化。かっこいい「マシュ・ケ・ナダ」です。森 陽馬

2011年1月8日(土) 『シェルブールの雨傘』より 「Watch What Happens」

 休館してしまう恵比寿ガーデンシネマで見た映画の中で、僕が1番印象に残っているのは『スモーク』です。

 ラストにかかるトム・ウェイツ(2006年12月23日のこのコーナーでも取り上げてました)には泣けましたね。15日から28日までの“恵比寿ガーデンシネマ・ベスト・セレクション”で何度か上映されるので、時間が合ったら見に行こうかな。

 このように良い映画には良い音楽が使われていることが多いのですが、映画音楽の名作といえばこの1枚。

 1964年フランス名画『シェルブールの雨傘』。
(監督:ジャック・ドゥミ、音楽:ミシェル・ルグラン)

 セリフが全て歌になっていながら、単なるミュージカルとも違った叙情的な物語で、ミシェル・ルグランによる流麗なメロディがそのままストーリーを奏でている、といっても過言ではない名作。(ラストはちょっと切ないですよね)

 現在出ているサントラ盤(SICP-1367 \2,835)は2枚組CDで、映画内の歌・音楽がそのまま収録。更にボーナス・トラックとして、プロポーズする場面でかかる「Watch What Happens」という曲をトニー・ベネットが歌っているヴァージョンや、テーマ曲「I Will Wait For You」をミシェル・ルグラン自身がピアノ・トリオで演奏している楽曲など貴重音源6曲追加されています。

 ちなみに、本日から公開されている映画『しあわせの雨傘』(監督:フランソワ・オゾン)は、『シェルブール〜』同様カトリーヌ・ドヌーヴが主演で、『シェルブール〜』にオマージュを捧げている場面もあるそう。
 前売鑑賞券も購入済。楽しみな1本です。森 陽馬

2011年1月9日(日) 『ポパイ』サントラより 「Blow Me Down」

 渋谷シネセゾンも閉館してしまうそうです。

 1985年オープン以来通好みな映画や音楽映画を多数上映。
 レイトショーを頻繁にやっていたので、よく見に行っていました。

 平成22年日本の映画興行収入は過去最高(2200億円以上!)ながら、ミニシアター系は経営が難しい現況。
 CD・レコード店もそうですが、小さい店舗が減り大型店舗に集約される、ということは顧客にとっては使い勝手が良いものの、サブカルチャーの観点からはあまり良いことではないように感じますね。

 さて、レコード・コレクターズ最新号<リイシュー・ベスト2010>がそろそろ(12〜14日頃)発売されますが、映画サントラで2010年再発された中では、この作品が評判良かったです。

 名匠ロバート・アルトマン監督による実写版『ポパイ』(ロビン・ウィリアムス主演 1980年全米公開)のサウンド・トラック。世界初CD化です。(国内CD THCD-126 ¥2,940)

 「うわさの男」のヒットで知られるニルソンが音楽を手掛け、あのヴァン・ダイク・パークスがアレンジを担当。
 独特な浮遊感あるサウンドと人間味ある歌声がいい感じ。

 ブックレットの仕上がりも素晴らしく、ヴァン・ダイク・パークスへのインタビュー、松永良平さん、長門芳郎さん、水上徹さんの解説も読み応えがあります。
 クレア・マルダーも寄稿文を寄せてますが、彼女が影響を受けた、というのも、作品を聴くとよくわかりますね。森 陽馬

2011年1月10日(月) アニマルズ 「イッツ・マイ・ライフ」

 イギリス/ニューキャッスルで結成されたアニマルズは60'sブリティッシュ・ビートの中でも、最もR&Bテイストを強く感じさせてくれるグループでした。

 「朝日のあたる家」、「悲しき願い」、「悲しき叫び」、「朝日のない街」などのヒット曲もいいのですが、その次にヒットしたこの「イッツ・マイ・ライフ」も昔から大好きなナンバーです。

 敏腕プロデューサー、ミッキー・モストが関わったラスト・ヒットで、この後デッカに移籍することになります。

 この曲はまずイントロが素晴らしい!

 チャス・チャンドラーのベース、ヒルトン・ヴァレンタインの12弦ギター、ジョン・スティールのドラムスがストンと決まり、エリック・バードンのあの声が出てくる流れはいつ聴いてもゾクッとさせられます。

後半のチャスとヒルトンのコーラスにフェイクを入れてくるエリックも最高!
(1965年後半の曲なので、この時期にはもうアラン・プライスは脱退してしまっています。そのためかキーボードは控えめです。)

今年もブリティッシュ・ビートを取り上げることが多くなりそうです。森 勉


★掲載ジャケットは、「イッツ・マイ・ライフ」収録のアニマルズ2枚組ベスト盤。(国内CD TOCP-53613 期間限定価格 \2,700)

2011年1月11日(火) Jimmy Webb 「Do What You Gotta Do」

 “2010年この1枚”に選出したジミー・ウェッブの新作『ジャスト・アクロス・ザ・リヴァー』(国内CD VICP-64861 \2,625)。

 聴けば聴くほどに沁みてきて、年明けた今でもよく聴いています。

 この作品は他のミュージシャンに提供した楽曲をゲストを迎えてセルフ・カヴァーしたアルバムですが、その中で最近気に入っているのが12曲目「Do What You Gotta Do」。

 1967年にリリースされたジョニー・リヴァース、アル・ウィルソン、1968年ボビー・ヴィー、1969年B.J.トーマス、フォー・トップス、1971年ロバータ・フラックなど、様々なミュージシャンが歌っているこの曲。

 ライナーノーツによると、ジミー・ウェッブはロバータ・フラックのヴァージョンがお気に入りだそうですが、このCDに収録の自らのヴァージョンでは、よりぐっとテンポを落として、特にゲストも迎えず、じっくりと歌い上げています。森 陽馬

2011年1月12日(水) Sisters Love 「Do What You Gotta Do」 

 昨日紹介したジミー・ウェッブ作「Do What You Gotta Do」。
 ソウルフルなナイス・カヴァーを見つけました。

 シスターズ・ラヴは、レイ・チャールズのバック・コーラスだったレイレッツから派生して結成された女性4人組グループ。

 カーティス・メイフィールド『スーパー・フライ』に収録されている名曲「Give Me Your Love」のカヴァーが、90年代フリーソウル人気の時、コンピCDに入ったことがあったのでご存知の方もいらっしゃるかもしれません。

 そのシスターズ・ラヴがモータウン・レーベルに残した貴重な未発表音源を中心に編集されたCDがこの1枚。(『ウィズ・ラヴ』 日本語解説付 MC-37 \2,500)

 録音時期は不明ですが、モータウンに入ったのが1972年だそうなので72〜73年頃でしょうか。
 アルバム用に録音していた楽曲のようで、デモなどではなくしっかりとしたトラック&歌。他の曲とはリード・ヴォーカルが替わり、リリー・フォートというシンガーがソフトに歌い上げています。

 ちなみに「Give Me Your Love」のカヴァーもこの編集盤に収録されているので、シスターズ・ラヴご存知でなかった方にもオススメの1枚です。森 陽馬

2011年1月13日(木) グレン・ティルブルック&フラッファーズ 「Through The Net」

 デイヴ・メイスン来日公演目前ですね。
 イーグルス、ホール&オーツ、スティングなどなど大御所も色々と控えていますが、その陰でひっそりと(?)行われる来日公演の中にも個人的に面白そう!と思うものがたくさんです。

 今週末に80年代ネオ・モッズ・バンド、シックレット・アフェアー。
 3月18・19日にイギリスのハープ・ロッカー、ルー・ルイス。
 4月9・10日に昨年紙ジャケが再発になった80年代ネオアコのフレンズ(&モノクローム・セット)。
 来月のルビナーズも抑えたいところ!

 そして現在来日ツアー中(明日14日から16日が吉祥寺スターパインズ・カフェ、18日が横浜サムズ・アップ)のグレン・ティルブルック。

 関東公演にのみ、グレン・ティルブルック&フラッファーズのドラマー/スクイーズ再結成バンドにも参加しているサイモン・ハンソンも出演するので、いつもと違ったライブが観られそうでとても楽しみです。

 グレン単独来日はこれを逃すとしばらくないかも?!との事なので、ご興味のある方は是非!東尾沙紀

★ジャケットは2009年リリース、グレン・ティルブルック&フラッファーズ『Pandemonium Ensues』(輸入盤QUIXCD-15 \2,500)です。

2011年1月14日(金) Smokey Robinson 「Get Out Of Town」

レコード・コレクターズ最新号は恒例のリイシュー・アルバム・ベスト特集。

2010年再発された作品群からロック、ソウルなどジャンル別に選出。
最近は全体的にBOXものが多くなってきたように感じますね。

 BOXは装丁や収録音源の魅力が大きいものの、実際のところ収納・置き場所に苦労するのと、高額により購入を躊躇してしまうため、購入者側としてだけでなく販売者側の立場としても難しい商材です。

 邦楽のベスト盤が、2〜3枚組で高額なものより1枚ものでわかりやすい価格のものの方が回転率が総じて良いように、すっきりとしたCD1枚もので良質なものを色々と出していって欲しいですね。

 そのレココレには掲載されていませんでしたが、モータウンの名プロデューサーであり、名シンガー・ソングライターであるスモーキー・ロビンソンのソロ作品が、USの名再発レーベル、HIP-O Selectから2in1で昨年CD化されました。

 音もリマスターされ、ブックレットも充実。
CD1枚に2作品分入っているので、お得感があってウレシイ再発です。

 今のところVol.3まで出ていますが、今日のこの1曲「Get Out Of Town」は、Vol.2(輸入CD HIP-O B0014571-02)に収録されている76年発表作『Smokey's Family Robinson』(世界初CD化!)より。以前サンデーソングブックでもかかったことがありましたね。

 アルバム未収録だったシングル曲「An Old-Fashioned Man」もボーナスで収録されています。森 陽馬

2011年1月15日(土) トリステ・ジャネロ 「ウォーク・オン・バイ」

 グループ名やサウンドから、これはブラジルとか中南米のグループと思ってしまいますが、なんとテキサス州ダラス出身者で結成されたというから驚きです。

 男4人の演奏とコーラスに、女性リード・ヴォーカルの5人組。

 1969年に発売されたこのアルバムは当時全く評価されませんでしたが、近年のソフト・ロック・ブームによって再評価され、約5年前には紙ジャケット仕様でもCD化されました。(『meet TRISTE JANERO』 国内盤 AIRAC-1296 \2,730)

 バート・バカラック作「ウォーク・オン・バイ」はいろいろなカヴァーがありますが、このトリステ・ジャネロのカヴァーはいかにも60年代後半らしいオルガンの音が聴こえたり、12弦ギターでのバッキングが良いアクセントになっていると思います。森 勉

2011年1月16日(日) Huey Lewis & The News 「Got To Get You Off My Mind」

 国内盤が出てから取り上げようと思っていたのですが、リリース予定がなさそうなのでご紹介しましょう。

 ヒューイ・ルイス、2001年発表作『Plan B』以来約9年ぶりの新作『SOULSVILLE』。(輸入CD W.O.W. Records 7536128)

 タイトル通り、ソウルの名門レーベル、STAXの楽曲を中心にカヴァーした全14曲入アルバム。

 大ヒットした83年作『SPORTS』を手掛けていたJim Gainesがプロデュースを担当。派手さはありませんがホーン&コーラスを重視した味わい深いサウンドを聴かせます。

 ヒューイ・ルイスらしい豪放な歌声はやや控えめな印象で、スタックスらしい南部ソウル的な情感ある歌唱。

 今日のこの1曲「Got To Get You Off My Mind」は昨年急逝したソロモン・バークによる楽曲。2010年5月ソロモン・バーク最初で最後の来日公演でも歌われていました。森 陽馬

2011年1月17日(月) ブルウ with ロジャー・ジョセフ・マニングJr. 「Everything Is Fine」

 長いモミアゲがトレードマーク。
 ボストンを拠点に活動する男性シンガーソングライター、Bleu(ブルウ)ことWilliam James McAuley Vの2010年最新作『Four』(TML-01)。

 2007年1月に国内盤もリリースされたELOのオマージュ・ユニット、L.E.Oなどサイド・プロジェクトも色々とやっている彼の、Bleu名義では4作目となるアルバムです。

 ちなみにジャケットの男の子は彼の幼少時代の写真だそうです、かわいいですね♪

 サックスが入るイントロがブルース・スプリングスティーンっぽい曲でスタート。前半は疾走感のある爽快なパワーポップ・ナンバーが並び、他にもELO風の曲や、ストリングスやホーンを多用した豪華なアレンジの楽曲など充実した内容です。

本編最後の曲は、ロジャー・ジョセフ・マニングJr.(元Jellyfish)との共作。

 コーラスや演奏/アレンジにも参加していて、マニング色の強いちょっと寂しげなメロディーが耳に残る曲です。

 この曲の後、シークレット・トラック的な扱いで収録されている「My Own Personal Jesus」もソウルフルでとっても良い曲! 個人的にはこの曲が1番の聴き所ではないかと思います。東尾沙紀

2011年1月18日(火) Aaron Neville 「I Know I've Been Changed」 

 雪が降るほどではありませんが、東京は寒い日が続いています。

 そんな寒い体と心を温めてくれる“ヴェルヴェット・ヴォイス”。
 ニューオリンズ名グループ、ネヴィル・ブラザーズのヴォーカリスト、アーロン・ネヴィル久々の新作『I Know I've Been Changed』(輸入CD tellit record 5099960651020)。

 アラン・トゥーサン2009年発表名作『ザ・ブライト・ミシシッピ』を手掛けたジョー・ヘンリーがプロデュースを担当。

 ゴスペル・アルバムですが、サウンドはアメリカン・ルーツ・ロック的ですね。

 アラン・トゥーサンが全編で美しいピアノを弾き、更に、グレッグ・リーズのドブロ&ワイゼンボーン、ジェイ・ベルローズ(T・ボーン・バーネット関連作でお馴染み)によるドラミングが、アーシーかつ滋味深く沁みてきます。

 見た目はまだ若いアーロンも今年で70歳。
 歌声は衰えていないので、是非これからもソロ作を出していって欲しいです。森 陽馬


★3月21日発売『NIAGARA CD BOOK』。
店頭予約締切日は本日でしたが、引き続き予約受け付けております。
先着特典のカレンダーもまだお付けできますのでお早めに。

2011年1月19日(水) エイモス・リー 「ヴァイオリン」 feat サム・ビーム(アイアン&ワイン)

 味わい深いアメリカン・ルーツ・ロックのオススメ新譜。

 フィラデルフィア出身の新世代シンガー・ソングライター、エイモス・リーの新作『ミッション・ベル』。(国内CDボーナス・トラック1曲追加 TOCP-70969 \2,500)

 キャレキシコのジョーイ・バーンズがプロデュースを担当し、グレッグ・リーズやルシンダ・ウィリアムス、プリシラ・アーン、ジェイムス・ギャドソン(モータウンのセッション・ドラマーとして有名)も参加。

 “現代版ザ・バンド”といった趣きの抑揚の効いた音作りで、ほっこりとしたアメリカ南部の温もりが伝わってきます。

 特に3曲目「ヴァイオリン」。
 アイアン&ワインの名前で活動しているシンガー・ソングライター、サム・ビームが参加したこの曲は、アメリカン・ルーツの良心を感じさせる美しい1曲。(歌詞はやや暗めですが)

 ザ・バンド、シンガー・ソングライター好きの方、アンクル・トゥペロやウィスキー・タウンなどお好きだった方にもオススメです。森 陽馬

2011年1月20日(木) 大滝 詠一 「FUN×4」

 3月21日発売『NIAGARA CD BOOK』と『ロング・バケイション 30周年盤』の同時購入抽選特典が、<『ロング・バケイション』30周年祝賀パーティーに抽選で200名様をご招待!>に決定したそうです。

 『NIAGARA CD BOOK』に応募ハガキ、『ロンバケ30周年盤』初回限定盤に応募券が封入されており、4月13日締切で応募抽選。
 2011年5月某日・都内某所で行われる<ロング・バケイション30周年祝賀パーティー>に200名ご招待、という運びのようです。

 はたしてどんなイベント/パーティーなのでしょうね。
 “200名”というかなり小規模な集まりですから、スペシャルな催しを期待してしまいますよね。

 まあサプライズがなかったとしても、<『ロンバケ30周年盤』を大音量で聴く>、というプログラムはありそうな感じ。

 もしそのプログラムがあったとしたら、参加者できた方は是非、「FUN×4」が終わった後、手拍子と♪アンコール♪の掛け声を生でやってくださいね。森 陽馬


★掲載ジャケはその『ロング・バケイション』。
 9曲目「FUN×4」の後、10曲目「さらばシベリア鉄道」が始まる前に、『ビーチ・ボーイズ・パーティ』さながらの手拍子と、♪アンコール アンコール♪という掛け声が入っています。

2011年1月21日(金) The Sonic Executive Sessions 「Make Do」

 地味なジャケット(『PET SOUNDS SESSIONS』想起させる?)ですが、美しいハーモニー、心地良いメロディーがこれでもか!とギッシリ詰まった素敵なアルバムです。

 The Sonic Executive Sessionsはイギリス・ウェールズ出身の3人組。

 セッション・ミュージシャン、エンジニアなどの経歴を持つ彼らの楽曲がパッケージ化されるのは今回が初。先日『2011』(国内盤 XQER-1025 \2,310)がリリースされました。

 彼らのサウンドを例える上で、ビーチ・ボーイズ、ジェリーフィッシュ、スティーリー・ダン等の名が挙げられていますが、キーボードを中心とした、まさに先達の良いとこどりといった完成度の高いポップスを聴かせてくれます。

 全曲良くて1曲選ぶのは難しいのですが、今日のこの一曲はアレッシーの二人がバック・コーラスで参加した「Make Do」。
 コーラス・アレンジも二人が手掛けているようです。

 アルバム後半のAORテイストの楽曲も◎。
 聴いていてとても気持ちいいです。

 ペットサウンズ的なアレンジの「For You」、「Coming Undone」や、コーラスの面で彼らも好きだというビーチ・ボーイズからの影響を最も強く感じさせます。

 国内盤初回生産分にはボーナストラックとして未発表曲2曲と、「Stack-O-Tracks」ならぬ「Stack-O-Vocals」と題された歌のみのトラック(一部ギター等が入ります)5曲を収録。
 「Make Do」のアカペラVerも入っています。

 息を呑む美しいコーラス聴きものです。東尾沙紀

2011年1月22日(土) ラリー・カールトン 「アイル・ビー・アラウンド」

 ラリー・カールトンの最新作を気にいって、最近良く聴いています。

 タイトルは『プレイズ・ザ・サウンド・オブ・フィラデルフィア』。(国内仕様CD 日本語解説付 KKJ-8 \2,500)

 副題として<ア・トリビュート・トゥ・ケニー・ギャンブル&レオン・ハフ>とも書かれていますが、全曲ギャンブル&ハフの曲ではなく、トム・ベルやジーン・マックファーデン&ジョン・ホワイトヘッドなどの曲も含まれています。

 全11曲、とにかくイイ曲ばかり!
 それをラリー・カールトンが雰囲気たっぷりに弾いてくれるのですから、ついつい繰り返して聴きたくなってしまうのです。

 この「アイル・ビー・アラウンド」はスピナーズがモータウン系レーベルからアトランティック・レーベルに移籍して初めて放った1972年ヒットのナイス・カヴァー。

 ラリーはスピナーズが好きだったらしく、今回のアルバムでは彼らのレパートリーの中から、「フィラデルフィアより愛をこめて (Could It Be I'm Falling In Love)」、「マイティ・ラヴ」も選ばれています。

 近年のラリーが持ち味としているメロウで淀みなく流れる美しいフレーズに、ウエス・モンゴメリー風のオクターブ奏法が加味されて、夢見心地のサウンドが展開されます。

 「誓い」(スタイリスティックスのカヴァー)も絶品。

 ビル・ラバウンティが2曲ヴォーカル参加しています。森 勉

2011年1月23日(日) 小川知子 「ゴーイング・アウト・オブ・マイ・ヘッド」

 <「ゆうべの秘密」、「初恋のひと」の歌謡ヒットを持つ小川知子が、リトル・アンソニー&インペリアルズ1964年大ヒット「ゴーイング・アウト・オブ・マイ・ヘッド」を歌う!>
なんて、かなりミスマッチのように思われるかもしれませんが、これがどうしてなかなかの出来なのです。

 テディ・ランダッツォ作品のこの曲。
 オリジナルはドラマティックなアレンジに、リトル・アンソニーのファルセット・ヴォイスが印象的でしたが、ここでは川口真編曲による軽快な作品になっています。

 セルジオ・メンデス&ブラジル'66ヴァージョンのアレンジを下敷きにして、歌謡曲を歌っている小川知子にはない弾けた魅力に溢れています。

 このCD(『ザ・デラックス・ビューティー』 DVD付 TOCT-25181 \3,500)には、バート・バカラック作品「恋はさよなら」(I'll Never Fall In Love Again)、キャロル・キング「イッツ・トゥ・レイト」、ボビー・ヘブ「サニー」などのカヴァーも収録され、洋楽ポップス・ファンをニヤリとさせてくれます。森 勉

2011年1月24日(月) 大橋トリオ 「トリドリ」

先日、大橋トリオ“NEWOLD”ツアー、九段会館公演を観てきました。

 2009年作『I Got Rhythm?』発表後のツアーよりも更に研ぎ澄まされた演奏&魅せるライヴになっていて、本当に素晴らしかったです。

 ツアー・メンバーもドラマーとピアニストが入替わっていて、特にピアニストの人が超絶! キレのある演奏で、ついつい目がピアニストに行ってしまうほど抜きん出た存在感を放っていましたが、このピアニスト、なんと!東京事変の伊澤一葉さんでした。

 2月に追加公演もあるのであまりネタバレできませんが、「トリドリ」のライヴ・ヴァージョンはかっこよかったなあ。
 伊澤さんのピアノと大橋さんのフェンダー・ローズ、そして他のミュージシャンとの絡みは、今ツアーのハイライトだったと思います。

 ちなみに、大橋トリオは3月16日にカヴァー・アルバム第2弾『FAKE BOOK TT』を発表予定。
 ママス&パパス「カリフォルニア・ドリーミン」、デヴィッド・ボウイ「世界を売った男」、シャーデーなどが大橋トリオ・アレンジでどのように生まれ変わっているのでしょうか。とても楽しみです。森 陽馬


★掲載ジャケットは昨年リリースされた最新オリジナル・アルバム『NEWOLD』。「トリドリ」は初回限定盤のみに収録されています。(RZCD-46634 絵本+ボーナス・トラック \3,990)

2011年1月25日(火) アイアン&ワイン 「Your Fake Name Is Good Enough For Me」

 先週19日に取り上げたエイモス・リーの新作は、かなり気にいっていて、店でもヘビー・ローテーション中です。

 そのエイモス・リーの楽曲に参加していたサム・ビームこと“アイアン&ワイン”の4作目となる新作オリジナル・アルバム『キス・イーチ・アザー・クリーン』が本日入荷してきました。(国内CD ボーナス・トラック2曲追加 解説・歌詞・対訳付 \2,490)

 アイアン&ワインは、サウス・キャロライナ出身のサミュエル(サム)・ビームによる一人ユニット。

 21世紀以降に出てきた新世代シンガー・ソングライターの重要人物として評価が高く、2004年に発表した2nd『アワ・エンドレス・ナンバード・デイズ』が地味〜なフォーク作品ながら個人的に気にいっています。

 その彼が4ADに移籍し、第一弾となるのが今作。

 <ジャズ、ブルース、アフリカン音楽の要素を実験的に取り込みながらも、これまでになくポップであることに焦点を当てた作品>
と、自ら語っている通り、僕の好きな2004年作とはまた全然違った音楽要素が詰め込まれたインディー・ロックな作品に仕上がっています。

特に本編ラスト10曲目「Your Fake Name Is Good Enough For Me」。
先日紹介したソニック・エグゼクティヴ・セッションズのポップさとは質の異なる一筋縄ではいかない展開のナンバー。

 外に放たれたポップではなく、内向きな狂人ポップとでもいうのでしょうか。歌詞もそうですが、ちょっと怖いくらいの不思議な感覚を覚える1曲です。森 陽馬

2011年1月26日(水) エルヴィス・プレスリー 「ブルー・スウェード・シューズ」 

 サッカー・アジアカップ、昨日の日韓戦はハラハラしましたね。
にわかファンの私も固唾をのんで観ました。決勝も楽しみですね!

 さて、公開から一ヶ月以上が経ちますが、少し前にケン・ローチ監督映画『エリックを探して』を鑑賞しました。

 80〜90年代にマンチェスター・ユナイテッド/フランス代表選手として活躍したエリック・カントナが本人役で出演しています。

 年頃の息子達を一人で育てる主人公は、別れた奥さんを未だ想いながら悶々とする毎日。そんな彼の前にある日憧れのカントナが現れ色々助言をくれるようになる。仲間達に支えられながら奥さんとの復縁、家族を襲う危機に立ち向かっていく...というお話。
 晴れやかな気持ちになる心温まる映画でした。

 劇中で印象的なのが、ダンス・コンテストで出会った奥さんとの思い出の曲、エルヴィス・プレスリーが歌う「ブルー・スウェード・シューズ」。
 劇中でも大事なキーワードとなっています。

 息子の部屋にUKバンドのポスターが貼ってあったりもして違う楽しみ方も出来ました。サッカー好きでない方も楽しめる映画です! 東尾沙紀


★掲載ジャケットは「ブルー・スウェード・シューズ」収録のライブ盤『オン・ステージ・レガシー・エディション』(2枚組CD SICP-2665 \3,990)。

2011年1月27日(木) George Jackson 「If I Could Open Up My Heart」

 この曲が聴きたかったーー!
ジョージ・ジャクソン「If I Could Open Up My Heart」!

 サザン/ディープ・ソウルの隠れた名ソングライター、ジョージ・ジャクソンのマッスル・ショールズ録音発掘音源集『イン・マッスル・ショールズ』。(CRCD-3194 日本語解説付 \2,940)

 約8年くらい前にVIVID SOUNDから国内仕様盤もリリース。当時気に入って店でかけていたら問い合わせがあり、自分用に開封して聴いていたCDを売ってしまったら、その後ずっと入荷せず・・・。
 個人的にずーーっと再発を待っていた1枚なのです。

 ジョージ・ジャクソンは自身のアルバムを出していないので、このCDは、提供した楽曲を自分で歌っているデモ・ヴァージョンを中心に構成された未発表音源集。
 サウンド・アレンジはシンプルながらマッスルショールズ録音らしい味わい深い演奏で、なおかつイイ曲ばかり。

 特に3曲目に収録されている「If I Could Open Up My Heart」!

 オーティス・クレイが歌っていることでも知られるジョージ・ジャクソン作ですが、コレ、ホントに涙が出そうになるほどイイ曲なのです!

 ジョージ・ジャクソンのソフトな歌い口がまた良くて、何度聴いても飽きない、というか聴くほどに沁みてくる1曲。

 今回はちゃんと自分用にすぐ購入したので、これから何百回とこの曲をリピートして聴き倒したいと思っています。森 陽馬

2011年1月28日(金) SINDEE & FORESTONES 「Love Potion No.9」

大滝詠一のアルバム『ゴー・ゴー・ナイアガラ』には、ジャックトーンズなるコーラス・グループが参加し、クレジットを見ると4人の名前が書いてあります。

 宿霧十軒、我田引水、ちぇるしい、金田一幸助
 すべて大滝詠一の別名というシャレなわけです。

 それを踏まえてこのアルバムの紹介です。(『Sindee & Forestones Sings Leiber & Stoller』 DDCZ-1732 \2,500)

 鈴木祥子プロデュースによるジェリー・リーバー&マイク・ストーラーをテーマにしたミニ・アルバムで、歌っているのは“シンディ&フォレストーンズ”という女性4人組のコーラス・グループ。

メンバーは、リーダーのシンディ他、文月想子、えりーぜ、曖昧模子。

 CDの解説には4人のプロフィールやアルト、ソプラノなど担当パートや推定年齢なども紹介されている凝りようで、音だけではなく全体で楽しませてくれるものになっています。

 モノラル・ミックスも収録してくれたり、1曲目「シンディ&フォレストーンズのテーマ」は、「ナイアガラCMスペシャルのテーマ」だったり、このCDと同時発売のシングルが「青空のように」と「Rock'n'Roll お年玉」のカヴァー(共に素晴らしい出来!)だったり、と実にナイアガラ色が豊かなのです。

 鈴木祥子おそるべし!
 超ナイアガラーぶりに拍手、手拍子! 森 勉

2011年1月29日(土) 鈴木祥子 「青空のように」

 快心のカヴァー・シングルです。

 大滝詠一『ロング・バケイション』を10人の女性シンガーがカヴァーした『ロング・バケーション・フロム・レディース』(2009年11月3日のこのコーナでも取り上げました)、及びそのライヴに参加してからの鈴木祥子が発するナイアガラ“温度”の高さは凄いものがありますね。

 ただ曲をカヴァーするだけではなく、“ナイアガラLOVE”を注入したこの「青空のように」。

 過去最高のナイアガラ楽曲のカヴァー、と言ってもいいかもしれません。

 昨年末に先行発売した500枚限定アナログ7インチ・シングル(完売御礼!)という形も嬉しかったのですが、待望のCDも発売になりました。(DDCZ-1731 \1,365)

 ステレオ・ヴァージョンに加えて、モノラル及びカラオケも収録され、カップリングはなんと「Rock'N'Roll お年玉」ライヴ・ヴァージョン! (この曲をライヴでやってしまうなんて驚き!)
 ジャケット・デザインなど細やかなこだわりひとつひとつがステキです。

 そして音作りも今まで誰もやらなかったアイディアで、ナイアガラ・ファンの心をわしづかみにしてくれます。

 「青空のように」の中に、♪ニコニコ顔♪と歌詞が出てきますが、その“ニコニコ”繋がりということで、「ニコニコ笑って」(アルバム『ゴー・ゴー・ナイアガラ』に収録)を途中に織り込んでしまうセンスにシビレました。

 バックの演奏は山本拓夫のサックス以外は全て祥子ちゃんによるものです。

 そうそう、シンディ&フォレストーンズ(昨日の今日のこの1曲参照)がバック・コーラス&ハンド・クラッピングで参加しています。森 勉

2011年1月30日(日) 青葉 市子 「灰色の日」

 注目の女性シンガー・ソングライター、青葉市子。

 昨年2010年は、細野晴臣さんも出演した野外イベント“Springfield”、そしてフジ・ロック・フェスにも出演し、その独特な個性で見る者を圧倒した彼女が、2ndアルバム『檻髪』(オリガミ)を先日発表しました。(ROTL-2 \2,100)

 強引に一言で表現するなら、
“金延幸子がアシッド・フォークしている感じ”。

 全曲ギター弾き語り。
“狂気”と“少女性”が同居している歌世界。

 寺尾紗穂さんやハンバートの佐野遊穂さんとはまた違った求心力あるその歌には、怖いものを覗き見したくなるような不思議な魅力があります。

 今後どのように変化/進化していくのか、とても楽しみな女性シンガーです。森 陽馬

2011年1月31日(月) スペンサー・デイヴィス・グループ 「ブルース・イン・F」

 今日はハモンド・オルガンをフィーチャーしたジャジィーでゴキゲンなインスト曲を紹介したいと思います。

 といってもジャズ畑の曲ではなく、1960年代中期に活躍したイギリスのビート・グループによる異色作なのです。

 天才少年スティーヴ・ウィンウッドを擁したスペンサー・デイヴィス・グループが1966年に発売したシングル「ギミ・サム・ラヴィン」のB面曲「ブルーズ・イン・F」がその曲です。

 作曲はウィンウッド。もちろん、オルガンも彼。
そしてリード・ギターもスペンサー・デイヴィスではなく、ウィンウッドではないかな?と思います。

 いくらR&Bが得意なグループだったとはいえ、まだ十代の少年中心で、ヒットチャートに曲を送り込んでいたビート・グループがこんな曲を演奏するなんて本当に驚きです。

 ジミー・スミス、ベイビー・フェイス・ウィレット、ロニー・スミスなどのジャズ・オルガン・プレイヤーのグルーヴ感を彷彿させてくれます。

 個人的な趣味ですが、このような60'sブリティッシュ・ビート・グループによる“ジャジィー・インスト曲ベスト3”を挙げてみましょう。

・ピーター・フランプトン在籍のザ・ハード「インプレッションズ・オブ・オリヴァー」
・マンフレッド・マン「アボミナブル・スノウマン」
・そしてこの「ブルース・イン・F」です。森 勉


★掲載ジャケットは「ブルース・イン・F」がボーナス・トラックで追加収録されている1966年発表『オータム'66』の国内盤CDです。(限定SHM仕様 解説・歌詞・対訳付 全20曲 UICY-93688 \2,800)






トップへ
戻る