PET SOUNDS RECORD
今日のこの1曲 アーカイヴス


  今日のこの1曲 “Achives”

<2011月6月>

当店ペット・サウンズ・レコード店にて、
その日に店内でかけていた曲の中から、
店員の独断と偏見で選んだ“今日のこの1曲”コーナー

2011年6月に更新した“今日のこの1曲”コーナー。
廃盤・生産中止、規格番号の変更など、
情報が古くなっている商品もございますが、ご了承くださいませ。

<最新の“今日のこの1曲”はこちらのページをご覧ください>


2011年6月1日(水) Connie Francis 「Lollipop Lips」

 シンコー・ミュージックより書籍『日本盤オールディーズ・シングル図鑑 1954〜1964』が刊行されました。

 以前にも日本盤シングルのジャケ本はいろいろとでていましたが、今回はスゴイ内容です。
 1954年から1964年の10年間に発売されたポピュラー系シングル盤ジャケット3,000枚を越えるものが全てカラーで掲載されているのです。

 眺めているだけでも楽しくなってきます。
 この人のこの曲はこんなデザインのジャケットだったんだ、とか、こんな曲も日本盤として出ていたんだ、とか、邦題の面白さとか・・・。当時の日本のレコード会社が洋楽を広めようとする一生懸命さが伝わってきます。

 今日はその本を見ていて、コニー・フランシスのシングルの多さに驚いてしまったので彼女の曲を。

 彼女はアメリカ、ヨーロッパでも多くのヒット曲を放ちましたが、日本では独自のヒットが生まれたり、多くの曲を流暢な日本語で歌って発売してくれたりと、50's後半から60's前半の女性シンガーとしては特別な存在だったことがうかがえます。

 「ロリポップ・リップス」は日本では1964年にラジオから盛んに流れていた曲です。しっかり歌う中にも甘いキュートさを残したコニーのヴォーカルが絶品です。

 この曲を作ったのはハンク・ハンター&スタン・ヴィンセントのコンビ。
 ジョニー・シンバルにも曲を提供していた人たちで、その関係もあってかジョニーの曲には常連参加のベース・ヴォイスが印象的なロニー・ブライトがこの曲でも低音の魅力を聴かせてくれます。

 なお、『日本盤オールディーズ・シングル図鑑 1954〜1964』は菅田泰治氏編・著で、名うてのオールディーズ・マニアの方々がジャケット撮影協力を行なっていますが、山下達郎さんの所有レコードも含まれているそうです。(どれとは明記されていませんが)

 とにかくオールディーズ・ファンにはとても刺激的な本です。森 勉

★掲載ジャケットはACE編集コンピ
Connie Francis 『Rockin' Connie』(輸入CD ACE CDCHD-1245)


★山下達郎さんの新作アルバムが8月10日発売決定いたしました。
近日中に当店通販コーナーにも掲載いたします。

2011年6月2日(木) ロマン・アンドレン 「HAPPY SAD」

 “スウェーデンのデオダート”と評されるロマン・アンドレン。
2008年発表作『ファニータ』は衝撃的で、個人的にもその年のベスト5選出。今でもよく聴くお気に入りの1枚になっています。

 その彼の新作『ラヴィン・ユー』が先日入荷。(PCD-93392 2,415円)

 タワー・レコードの女性店員と共同選曲したカヴァー・アルバム、だそうで、“LOVE”をテーマにしたという全14曲。

 ミニー・リパートン「Lovin' You」、マイケル・ジャクソン「Rock With You」、スティーヴィー・ワンダー「My Cherie Amour」、アル・グリーン「Let's Stay Together」などの名曲をスタイリッシュにカヴァーしています。(正直言うと、もっとマニアックな選曲にして欲しかったですね)

 中でも1曲目、ピチカート・ファイヴ「Happy Sad」カヴァーはクール!
原曲をブラジリアン・ジャジーにアレンジし、小気味良いピアノのリズムとコーラスがゴキゲンな気分にさせてくれます。

 ちなみにこの作品、タワー・レコードにて2月に先行発売されていました。
 4ヶ月経ってやっと一般流通。

 特定作品の先行発売は販売戦略として間違ってはいないと思いますが、1〜2ヶ月ならまだしも4ヶ月。そしてロマン・アンドレンの新作をそのように販売するメリットはあまりないように感じます。CD不買→ダウンロードへ更に拍車をかけているような気がするのですが・・・。森 陽馬

2011年6月3日(金) Eddie Roberts & The Fire Eaters 「I Believe In Miracles」

 英国出身新世代ジャズ・ファンク・バンド、“ニュー・マスターサウンズ”のリーダー/ギタリストであるエディー・ロバーツが新作アルバム『BURN!』をリリース。(国内盤のみRemix2曲追加収録 PCD-93411 2,415円)

 重厚なファンキーグルーヴが魅力のニュー・マスターサウンズに比べ、よりジャジー、よりクールでかっこいいインスト・ジャズ!
 古き良き60〜70'sソウル・ジャズのエッセンスを現代に甦らせた快作に仕上がっています。

12曲目ジャクソン・シスターズで有名な「I Believe In Miracles」のカヴァー。

 この曲、ジャクソン・シスターズがオリジナルと思っていましたが、なんと!最近になって作曲者Mark Capanni(マーク・カッパーニ)というミュージシャンによるオリジナル・ヴァージョンの存在が発見されたそうです。

 今回のエディー・ロバーツは、そのマーク・カッパーニによるややメロウなオリジナル・テイクを下敷きにしたカヴァー。フルートが主旋律のメロディーを奏でていてクール! やっぱり彼はジャズに関してとてもマニアックですね。

 ちなみに、国内盤にはボーナス・トラックが2曲追加で入っているだけでなく、塚本謙という方の日本語解説が詳細でとてもわかりやすいので、インスト作品ではありますが国内盤をオススメします。森 陽馬

2011年6月4日(土) ビートルズ 「ロック・アンド・ロール・ミュージック」

 今年2011年はビートルズ来日45周年になるそうです。
(ちなみにビーチ・ボーイズも初来日は1966年で同じなのです。誰も騒いでくれませんが・・・)

 その来日時期に合わせてなんと日本のみで発売が許されたビートルズ・アイテムが出ます。

 <6月29日発売 ザ・ビートルズ来日45周年記念盤! アナログ17センチシングル完全初回生産限定盤 コレクターズ・ナンバー入り 「ロック・アンド・ロール・ミュージック」、「エヴリ・リトル・シング」の2曲収録、歌詞・対訳付 TOJP-40001 1,500円>
というのが第一報です。

 1966年6月30日1回、7月1日と2日各2回の計5回公演を行なったビートルズのオープニング曲は「ロック・アンド・ロール・ミュージック」でした。
 レコードより短いヴァージョンでしたが、日本の地で初めて演奏された曲になるということで今回の発売なのでしょうね。

 このカップリングのシングル・レコードは1965年2月5日当時も日本だけの発売で、その後リリースされた『ビートルズ・フォー・セール』(邦題:ビートルズ'65)の先行シングル的に日本のレコード会社は思っていたのでしょう。

 ちなみに1965年日本で発売になったビートルズのシングル盤はなんと合計14枚! イギリス4枚、アメリカ5枚と比べると格段の多さ!
 各国レコード会社の裁量にまかせていたとはいえ、当時の東芝レコードのパワーは凄いものがありました。

 この「ロック・アンド・ロール・ミュージック」。
これぞロックンロールという本当に素晴らしいノリが感じられるヴァージョンに仕上がっていると思います。

 ジョン・レノンならではのいきいきとしたヴォーカルを聴くたびに身も心も踊り出してしまいたくなります。

 そして発売日に近所のレコード店でこのシングルを買い、小さな電蓄で繰り返し繰り返し聴いた1965年、中学1年生の3学期を想い出します。森 勉

2011年6月5日(日) Bobby Darin 「Theme From Come September」

 本日(6月5日)は、大滝詠一『ロング・バケイション』30周年記念パーティーが行なわれた日でした。

 このパーティーはBOX&ロンバケCD同時購入者の抽選特典で当った方200名が参加できたイベント。
 その難関(当選するための倍率は50倍だった、と発表されたそうです。1万セットも応募があったということ?)をくぐり抜け、見に行かれた方の話によると、大滝詠一さんは結局姿を現さなかったそうです。

 ただ、大滝さんによるDJプログラムやプレゼント大会など盛りだくさんな内容で、貴重音源もタップリ楽しめた約2時間半だったそうです。うらやましいかぎりですね。

 なお大滝さんの口から、管首相発言をもじって「9月をメドに活動〜」という声明があったそうです。

 ボビー・ダーリン主演の1961年映画『9月になれば』(原題:Come September)に引っ掛けたのではないか?と“霧の中のトニー谷”さんに教えてもらいましたが、さてどんな活動なのでしょうか? 9月が楽しみになりましたね。森 陽馬

★掲載ジャケットはボビー・ダーリン「Theme From Come September」が収録されている1962年作『Things & Other Things』。(Collector's Choice CCM-4022)

2011年6月6日(月) カコイミク 「IROHA」

 日本人女性ヴォーカルの新譜で最近ずっと聴いているのが、先月リリースされたカコイミクの1stフルアルバム「RAFT」(PCCA-3416 \2,500)です。

 09年に大橋トリオ/翌年にはGIRA MUNDOプロデュースで、インディーズから2枚のミニアルバムをリリース。昨年出た『大瀧詠一ファーストアルバム・カバー集』では「水彩画の町」に参加していました。
 
 軽快な1曲目「エンプティ・エンプティ」他3曲にGIRA MUNDO、「イン・ザ・ダーク イン・ザ・ライト」、「よごれた靴」の2曲に参加した大橋トリオ、マウンテン・モカ・キリマンジャロ参加のソウル・ナンバー「ロマンチック・ストレンジャー」に山沢大洋、...など作曲/プロデューサー陣も豪華!

 特にFM802他各局の5月のパワープレイとなったリード曲「IROHA」は、The Merrymakersのデヴィッド・マイヤーによる作曲/アレンジが光る晴れやかなポップ必聴ナンバー♪

 斉藤和義「歩いて帰ろう」のカバー以外は全て彼女の作詞。キュートなルックスのイメージとは違った低めでハスキーな歌声が活きるカラフルな楽曲が詰まった作品です。東尾沙紀

2011年6月7日(火) Tedeschi Trucks Band 「Midnight In Harlem」

 最高にかっこよくて渋い夫妻アルバム!

 “新世代のボニー・レイット”とも評されるスーザン・テデスキ。
そして“新世代3大ギタリストの1人”デレク・トラックス。

 昨年のフジ・ロックでの熱演も記憶に新しいこの夫妻が初のオリジナル・アルバム『レヴェレイター』をリリースしました。
(国内盤ボーナス1曲追加 ピーター・バラカン氏による解説及び夫妻へのインタビューも必読! SICP-3143 2,520円)

 ブルージー! ソウルフル! かつ味のあるロック。
各々の持ち味がより深く発揮されており、2人のキャリアの中でも最高傑作と評せる仕上がりです。

 全曲オリジナル曲で構成され、ドイル・ブラムホール、エリック・クラズノー(ソウライヴ)、ゲイリー・ルーリス(ジェイホークス)なども楽曲制作に参加していますが、ほとんどはこのバンド内で作り上げた新曲。

 特に3曲目「ミッドナイト・イン・ハーレム」。
デレク・トラックス・バンドのヴォーカリスト、マイク・マティスンとデレクの共作曲でこれが沁みる! デレクの泣きまくりギター・ソロは本当に聴きもの!
 6曲目「Until You Remember」も素晴らしい!

 夫妻ミュージシャンといえば、彼らも敬愛しているデラニー&ボニーがいますが、スーザン&デレクはまさにそのスピリットを21世紀に継承している理想のミュージシャン夫婦と言えますね。森 陽馬

2011年6月8日(水) J.D.サウザー 「ユア・オンリー・ロンリー」

 “6人目のイーグルス”
シンガー・ソングライターのJ.D.サウザーが、新作セルフカヴァー・アルバム『ナチュラル・ヒストリー』をリリースしました。(国内盤ボーナス・トラック2曲追加 VICP-64957 2,625円)

 2009年1月の来日公演を見て、個人的にはちょっとガッカリした思い出があったので、正直この新作はあまり期待していませんでした。

 しかしながら、イーグルスが歌った人気曲「サッド・カフェ」、「ニュー・キッド・イン・タウン」、「ベスト・オブ・マイ・ラヴ」。そして国内CDのみのボーナス曲「ハウ・ロング」、「ハートエイク・トゥナイト」を含めたセルフ・カヴァーは、どの曲も多少アレンジを加えながらオリジナルの良さを引き継いだ仕上がりで、リピートして聴き返しています。

 作品の出来が良かった要因は、プロデューサー、フレッド・モーリンによるところが大きいでしょう。

 フレッド・モーリンは、昨年僕が気に入って2010ベストにも選出したジミー・ウェッブのセルフ・カヴァー作品『ジャスト・アクロス・ザ・リヴァー』をプロデュースした人で、他にもバリー・マン2000年発表作『ソウル&インスピレーション』も担当。
 まさに、“セルフ・カヴァー請負人”ですね。

 今日のこの1曲はJ.D.といえばこの曲。
ロイ・オービソン「Only The Lonely」にインスパイアされて作られた名曲。
憂いを帯びたJ.Dの歌声がやさしく沁みるシンプルなアレンジがNICE!

 ちなみに、金澤寿和さんによる日本語解説も素晴らしいので国内盤をオススメします。森 陽馬

2011年6月9日(木) グレン・フライ 「ザ・ワン・ユー・ラヴ」(恋人)

 グレン・フライは言わずと知れたイーグルス結成当初からのメンバー。
その彼が初めてソロ・アルバム『ノー・ファン・アラウド』を発表したのは1982年のことでした。(国内CD WPCR-75600 1,800円)

 アルバムの1曲目でありファースト・シングルになったのは「アイ・ファウンド・サムバディ」。メンフィス・ソウル・テイストが感じられるミディアム・テンポのイイ曲ですが、今日はその次の2曲目であり、セカンド・シングルになった「ザ・ワン・ユー・ラヴ」を。

 グレンの作品の中では、イーグルス時代も含めて一番好きな曲。

 グレンとファンキーキングスのジャック・テンプチンによる共作で、甘くささやくようなグレンのヴォーカルとイントロ/間奏/コーダの要所要所に出てくる潤いあるサックスの音色が魅力です。

 このサックスにはちょっとしたグレンのこだわりが隠されているのです。

 一見(聴)、ひとつのサックス奏者が吹いているように思えるのですが、有名セッション・ミュージシャンを二人呼んで吹いてもらっているのです。

 ほとんどの部分はアーニー・ワッツですが、コーダ後半〜フェイドアウトまでの20秒のところのソロは、ジム・ホーンが担当というこだわりのワザを使っています。森 勉

2011年6月10日(金) ジェイムス・テイラー・カルテット 「Light Up Your Soul」

 今年で結成25周年!
90年代アシッド・ジャズ・ブームに活躍した人気グループのひとつ、ジェイムス・テイラー・カルテット。

 新作『The Template』がドイツのレーベルからリリースされました。
ジャケットはちょっと・・・ですが、かっこいい曲満載で只今ヘヴィーローテーション中です。(輸入CD AC2064)

 ジェイムス・テイラーのオルガンをメインに、フルートが絡むグルーヴィーなインスト「The Template」、メロウな「Autumn River」、ドラムがぐいぐいと引っ張っていく後半の展開が聴きものの「Song For My Dad」など全12曲。

 Smoove+Turrellというユニットでも活動しているUKの白人男性シンガー、John Turrell(Goodスモーキーボイス♪)をフィーチャーした4曲、特にロイ・エアーズにインスパイアされたというノリの良いソウル・ナンバーD「Light Up Your Soul」がクール!

 アナログ・レコーディングされたという今作。ライブ感のある仕上がりです。JTQファンの方は勿論、最近のジャズファンク好きな方にもオススメの一枚です。東尾沙紀

2011年6月11日(土) アンドリュー・ゴールド 「Stay」

 アンドリュー・ゴールド急死(6月3日心臓発作にて逝去)の報を聞いてビックリしました。

 70'sウエスト・コーストの名作に多数携わり、最近は表立った活動はしていませんでしたが、2000年代にはカーラ・ボノフ等とのブリンドルで作品を発表。
 アメリカン・ロックを好きになり始めた時、彼が関わった作品をよく聴いていて思い入れもあるだけに残念ですね。

 1976年に発表した名作2ndアルバム『What's Wrong With This Picture?』(邦題:自画像)。全米7位のヒットとなった7曲目「ロンリー・ボーイ」がかっこよくてやはり一番好きな曲ですが、オールディーズ・カヴァーH「Stay」、B「Do Wah Diddy」も魅力でした。(国内仕様CD CRCD-3133 ボーナス曲5曲追加収録 2,258円)

 「Stay」はジャクソン・ブラウンやホリーズがカヴァーしていることでも有名で、Doo Wopグループ、モーリン・ウィリアムス&ザ・ゾディアックスによる1960年全米No.1ヒット曲。

 ちなみに1970年代中期、カントリー寄りだったリンダ・ロンシュタットにオールディーズ/モータウンのカヴァーを薦めたのも彼だったそうです。森 陽馬

2011年6月12日(日)ボニー・レイット 「ナッシング・シームス・トゥ・マター」

 デレク・トラックスとスーザン・テデスキの夫婦共演作、テデスキ・トラックス・バンドのアルバムが店頭でよくかかっています。

 なんともいいアルバムで全曲気に入っているのですが、特に8曲目「ディーズ・ウォールズ」のゆったり感が良いです。

 この曲というかこのアルバムを聴いていて、次に聴きたくなったのがボニー・レイットです。

 スーザン・テデスキの声と歌い方はボニー・レイットに似ていて、ルーツとしている音楽も同じような感じだと思うので、当然の連想ゲームかもしれません。

 1972年発表2ndアルバム『ギヴ・イット・アップ』(国内CD WPCR-75392 1,800円)は、「ラヴ・ハズ・ノー・プライド」を始め、バラードもミディアム・ナンバーもすべてイイ曲ばかりなのですが、この2曲目「ナッシング・シームス・トゥ・マター」は昔から大好きな1曲。

 録音時、ボニーはまだ22歳だったなんて信じられないくらいに情感が込められたヴォーカルが沁みてくる見事な自作曲です。森 勉

2011年6月13日(月) アディティア・ソフィアン 「After The Rain」

 一時期、雨の曲を集めていたことがありました。

 さすがに全て買うことはできませんが、今でも曲名に“Rain”という単語が付いていると聴きたくなってしまいます。

 最近気に入ったのは、アディティア・ソフィアン「After The Rain」。

 アディティア・ソフィアンはインドネシア/ジャカルタ在住の男性シンガー・ソングライター。2011年3月14日のこのコーナーで1stアルバム『クワイエット・ダウン』を取り上げたことがありましたが、先日発売された彼の2ndアルバム『フォーゲット・ユア・プランズ』にその曲は収録されています。(国内CD VSCD-9389 2,100円)

 一言で表現するなら、ジャック・ジョンソン的。
アコースティック・ギターの弾き語りを基にした演奏と優しい歌声に癒されます。

 ほぼ全編ギターのみだった1stに比べ、今作ではピアノや他の楽器も少し入っていますが、彼のメロディー・センスが活かされた穏やかなアレンジで落ち着いて聴ける1枚です。

 “ノルウェーのサイモン&ガーファンクル”と評されるキングス・オブ・コンビニエンスからの影響も大で、12曲目「Midnight」で聴ける生ピアノの旋律は、まさにキングス・オブ・コンビニエンス2009年作『デクラレーション・オブ・ディペンデンス』内のピアノの音色をそのまま持ってきたような雰囲気。聴きものです。森 陽馬

2011年6月14日(火) Superfly 「Morris」

 今や日本人女性ロック・シンガーのトップに位置する、と評しても過言ではない越智志帆ことSuperfly。

 約2年ぶり、3枚目となる新作オリジナル・アルバム『Mind Travel』が発売されました。(初回限定DVD付 WPZL-30278 3,800円)

 スーパーフライといえばやはり彼女の圧倒的なヴォーカル!
それを引き立たせるバックの演奏も骨太で、かっこいいリフが持ち味のギタリスト八橋義幸を筆頭に、ロザリオスの中村達也、TOKIEや、高桑圭、松原秀樹、河村“カースケ”智康、小田原豊、更には山下達郎バンドのドラマー小笠原拓海など様々なミュージシャンが多数参加。

 その猛者達を見事にまとめた蔦谷好位置のプロデュース・ワークも見事。期待通りの快作に仕上がってます。

 ストーンズ調の出だしがかっこいい@「Rollin' Days」、達也のドラミング含め突き抜けるような疾走感あるJ「Free Planet」、シングル曲I「Wildflower」など、押しのロック・ナンバーが多い中、印象的なのがスロー&アコースティックなH「Morris」。

 名ギタリスト、おおはた雄一と佐藤克彦が参加。
Morrisを弾いていた父へ捧げた1曲で、女性的な優しい歌声が彼女の新たな魅力を感じさせます。森 陽馬

2011年6月15日(水)メロディ&シル・ジョンソンズ・オールド・ソウル・バンド 「Mellow Down Easy」 

 オーストラリア出身のメロディことメロディ・ウィットルは現在24歳。

 70年代から活躍するシカゴのソウル/ブルース・シンガー、シル・ジョンソンの09年オーストラリア・ツアーにてバック・コーラスに抜擢。

 彼女を気に入ったシル・ジョンソンがプロデュース&参加したデビュー作がこのアルバムです。(メロディ&シル・ジョンソンズ・オールド・ソウル・バンド 『リバース・オブ・ソウル』 PCD-93413 \2,415)

 力強くも歌い上げすぎないヴォーカルは、しなやかさも感じられます。

 シルの未発表曲や60〜70年代のソウル・クラシックスを取り上げている中、唯一のオリジナル新曲として収録されているのがシルと彼女の共作曲「Mellow Down Easy」。

 シルがハーモニカ他で参加。聴きものです。
シカゴの腕利きミュージシャンによるバッキングも豪華!

 ジョス・ストーンなどお好きな方、おすすめの一枚です♪ 東尾沙紀

2011年6月16日(木) 和楽アンサンブル 「RIDE ON TIME」

 普段はこういう企画物J-POPカヴァー集には反応しないようにしているのですが・・・。この曲が入っていたので。
(『和カフェ〜和楽器による夏の歌〜』 RES-189 2,310円)

 和楽(わらく)アンサンブルは、琴、尺八、笛、三味線、太鼓など和楽器のみで演奏するインストゥルメンタル集団。
ブックレットにはメンバー5人の凛々しい着物姿の写真が掲載されています。

 「ライド・オン・タイム」は山下達郎が大ブレイクした1980年のヒット曲。
2003年にTVドラマ『グッド・ラック』の主題歌に使われ、リヴァイヴァル・ヒットもしました。

 あの弾けた曲が、なんとも和風な装いに変身したのがこのヴァージョン。

 篠笛がフィーチャーされ、後半にはドラム・ソロならぬ太鼓ソロがちょびっと出てきます。森 勉

2011年6月17日(金) パット・メセニー 「チェリッシュ」

 あのパット・メセニーが「チェリッシュ」!?

 名ジャズ・ギタリスト、パット・メセニーが初の全曲カヴァー・アルバム『What's It All About」をリリースしました。(輸入CD Nonesuch 527912-2)

 そのカヴァーの選曲がビックリで、サイモン&ガーファンクル「サウンド・オブ・サイレンス」、ビートルズ「アンド・アイ・ラヴ・ハー」などの王道ロック・ナンバー。
 更には「パイプライン」(!)、ボッサ名曲「イパネマの娘」、ソウル人気曲「Betcha By Golly, Wow」(スタイリスティックス)も! (他にもカーリー・サイモン「That's The Way I've Always Heard It Should Be」や、バカラック・ナンバー「アルフィー」等)

 ほぼ全編アコースティック/バリトン・ギターによるソロ。
オーヴァー・ダブ一切なしの研ぎ澄まされた音色で聴かせます。

 特に意外だったのは、アソシエイションの名曲「チェリッシュ」!

 デヴィッド・キャシディがカヴァーしていることで有名なこのソフト・ロック名曲を、美しいメロディ・ラインはそのままにパット・メセニーらしい叙情的アレンジでカヴァー。

 今までパット・メセニーには興味がなかったロック・ファンにも是非聴いてもらいたい1枚です。森 陽馬

2011年6月18日(土) ドノヴァン 「サンシャイン・スーパーマン」

 サイケデリック・サウンドは1960年代中期に音楽を聴いていた者にとって、かなり刺激的なサウンドであり、新しく先鋭的に感じられるムーヴメントでした。

 ジェファーソン・エアプレイン、グレイトフル・デッド、シーズ、ブルース・マグース、カウント・ファイヴなどが日本のラジオでは紹介されていました。

 近年はこのジャンルも、当時は全く話題にならなかったものも含めてレアなものがどんどん発掘されCD化されていますが、今日紹介するのはメジャー・ヒットとなったサイケ時代の名曲です。

 1966年夏、イギリス人“ドノヴァン”によって全米No.1を獲得した「サンシャイン・スーパーマン」は曲名からしてたっぷりサイケっぽさが漂ってきます。

 この曲を発表する以前のドノヴァンは、アコースティック・ギターにハーモニカというボブ・ディラン・スタイルでしたが、ミッキー・モストによる時代の変化に対応した“ドノヴァン”を作り上げたプロデュース力は冴えてましたね。

 この後、「魔女の季節」、「メロー・イエロー」、「霧のマウンテン」、「ハーディー・ガーディー・マン」、「アトランティス」、「バラバジャガ」と、話題曲を連発(このCDに全て収録されてます)して、ヒットチャートを賑わせてくれました。

 なお、これらの曲は全てドノヴァン自身の作品。
「サンシャイン・スーパーマン」がヒットしていた頃、ドノヴァンはまだ20歳。
いつもながら、60年代のミュージシャンは本当に早熟でしたね。

 この曲のギターには、なんと!まだイギリスでセッションマンをしていた頃のジミー・ペイジが参加しています。森 勉


★掲載ジャケットは『エッセンシャル・ドノヴァン』。(MHCP-452 1,785円)

2011年6月19日(日) NEW WORLD 「We're Gonna Make It」

 カーティス・メイフィールドというと、インプレッションズ及び70'sニューソウルの名シンガーであり、ワウワウギターの名手!という印象が強いのですが、<カートム・レーベルを設立した名プロデューサー>としての側面ももっと評価されていいと思います。

 新しく出たこのコンピ『カーティス・メイフィールズ・ウィンディ・シティ・ウィナーズ』(国内仕様CD MC-47 2,500円)は、カーティスが手掛けたカートム・レーベルの音源を中心としたシカゴ・ソウル集。

 全26曲、ホント全部イイ曲!

 ナチュラル・フォー、メイジャーランス、ファイヴ・ステアステップスなどのソウル・ファンには知られた名曲だけでなく、ダニー・ハサウェイが在籍していたメイフィールド・シンガーズの音源や、当時シングル盤でしか発売がなかったほとんど知られていないグループの曲など、ソウル好きには堪らない選曲の1枚です。

 21曲目、NEW WORLDという謎のバンドは、どうやらカートム・レーベルのセッションマン達によるユニットのようですが、音の雰囲気は、モロにカーティスのソロ・ファーストに収録されている人気曲「Move On Up」的。

 パーカッションやベースラインの感じが似ていて、「Move On Up」録音の延長線上で制作されたのでは?と勘ぐってしまうような1曲。

 ラストに収録されているジーン・チャンドラー「Don't Have To Be Lying Babe」という曲も多幸感に溢れていてオススメのトラックです。森 陽馬

2011年6月20日(月) ノーナ・リーヴス 「Kokomo」

 ビルボード・ジャパンが新たに設立したレーベル<Billboard Records>からのリリース第一弾として発表されたカヴァー・シリーズ「Choice」。

 その先陣を切るのは、プロデューサーやセッション・ミュージシャンとして個々でも活躍するノーナ・リーヴスです。

 5月に配信を開始した本作が今月CDでも発売されました。(『Choice by NONA REEVES』 HBRJ-1001 1,980円)

 ビージーズ「Jive Talkin'」に始まり、プリンス「I Wanna Be Your Lover」、ビリー・ジョエル「素顔のままで」、イーグルス「I Can't Tell You Why」、テディ・ペンダーグラス「LOVE T.K.O.」など3人のルーツが垣間見える全9曲。

 メンバーの西寺郷太さんといえば...の、マイケル・ジャクソン「Smooth Criminal」カバーはエッジの効いたギターがガンガン鳴る、オリジナルより更にハードなサウンドに。

 そしてアルバム最後を飾るのはビーチ・ボーイズ「Kokomo」のカバー♪
コーラスを充分に、フィル・スペクター風のアレンジに仕上がっています。

 シリーズ第2弾、第3弾...と、次は誰がどんな曲をカバーするのか楽しみですね。東尾沙紀

2011年6月21日(火) 南 佳孝 「夜のプール」

 「スローなブギにしてくれ」、「モンロー・ウォーク」で知られる南佳孝。

 最近はボッサ・アレンジによるカヴァー・アルバムやセルフ・カヴァー作品が続いていましたが、全曲書き下ろし!約7年ぶりとなるオリジナル・アルバム『スマイル&イエス』を発表しました。(KICS-1672 3,150円)

 穏やかな曲調中心かな、と思いきや、メリハリの効いたリズム隊(バカボン鈴木、沼澤尚など参加)でかっこいい仕上がり。大人のロック/AORを聴かせます。

 特に2曲目「夜のプール」。
イントロからして“スティーリー・ダン”な1曲!

 昭和歌謡/ロック/ジャズ/AORを通過した“平成歌謡”の名作ですね。森 陽馬

2011年6月22日(水) フー 「サマータイム・ブルース」

 原発事故の影響による電力不足もあり、今年は新聞/テレビなどのマスコミでも“サマータイム”という言葉が頻繁に取り上げられています。

 電力が足りなくなりそうなのであれば使える範囲内でうまく工夫していこうというのは当たり前のこと。電気は大切に使っていきたいものです。

 ということで、サマータイムといえばガーシュインの「サマータイム」もありますが、ロック・ファンには「サマータイム・ブルース」。

 エディ・コクランのオリジナルや、ブルー・チアーの誇張されたカヴァーもいいのですが、今日はフーのライヴ・ヴァージョンで。

 この曲の入った『ライヴ・アット・リーズ』。
1970年にレコードで発売された時は6曲入りでしたが、今やこのデラックス・エディションはCD2枚組でなんと33曲収録!

 組曲になっている『トミー』の部分も完全収録され、当時のコンサートの全貌がほぼこのデラックス・エディションで楽しめます。(国内CD 限定盤 UICY-93748 4,200円)

 紙ジャケで精巧にミニチュア化されたジャケットや特典、そしてデザイン違いの各国ジャケットも付いて、音だけではない満足感もバッチリ。

 それにしてもフーの凄さをまたまた再認識。
ロジャー・ダルトリーのヴォーカルはもちろんなのですが、演奏しているのはピート・タウンゼント、ジョン・エントウィッスル、キース・ムーンの3人だけですからねぇ。森 勉

2011年6月23日(木) Gerry Beckley 「Feel」

 ここ数日で一気に暑くなりましたね。

 暑くなるとウエスト・コースト・サウンドを聴きたくなる、という方にオススメなのが今日紹介するこの1枚。

 アメリカのジェリー・ベックリーが久々にリリースしたソロ名義作『Unfortunate Casino』です。(輸入CD HumanNature 481267)

 ジェリー・ベックリーが全面プロデュースしたジェフ・ラーソンの2009年作は、その年のベストに挙げたくらい気に入っていた作品だったので、聴く前から楽しみにしていましたが今作もほぼ期待通りの内容。

 彼らしい甘く切ないメロディー・ラインをギター&コーラスを基調にしたサウンドで包んだ全10曲。
 ポップ・ロック好きの方は要チェックの新作ですね。

 なお、Matt Beckley(ジェリーの息子さんかな?)が共同プロデューサー及びミックスで参加。

 6曲目「Feel」のマルーン5「ディス・ラヴ」っぽいアレンジは、今までのジェリー・ベックリー作品にはなかった雰囲気なので、彼によるところが大きいのかな、と感じました。森 陽馬

2011年6月24日(金) Neil Young 「Amber Jean」

ニール・ヤング、1984〜5年のライヴ音源がオフィシャルCD化されました。
(『Treasure』 輸入CD Warner/Reprise 9362-49579-3)

 60〜70年代と違って、80年代のニール、というとあまり良い印象がないとは思いますが、この時期のライヴは素晴らしいのです!

 1985年発表カントリー・アルバム『オールド・ウェイズ』をリリースする前ということで、カントリーの滋味深さとニールらしい豪放なロックが見事に融合。

 “インターナショナル・ハーヴェスターズ”と名付けられたバック・バンド(メンバーは昨年亡くなったベン・キース、最近のライヴ・ツアーにも参加しているアンソニー・クロフォード、お馴染みスプーナー・オールダム(key)、ティム・ドラモンド(B)、カール・ヒメル(Dr)等)による武骨な演奏も魅力です。

 オリジナル・アルバムに入っていない未発表曲もたくさん入っていてどの曲も聴きものですが、今日は1曲目「Amber Jean」。

 「Comes A Time」的なカントリー・ナンバーで、ニールの娘Amber Youngへ捧げた愛溢れる1曲。

 なおこのCDの国内盤は7月8日発売。
あまり映像は入っていないブルーレイが付いた2枚組輸入盤と、アナログ盤もリリースされています。森 陽馬

2011年6月25日(土) 清水 ミチコ 「相合傘」

 東京において今年の梅雨は、雨は少ないのですが、どんよりした日が続いています。

 近年はビニール傘なるものが一般化して、雨が降ったら買えばいい、という時代になりましたが、<モノ>は長く大切に使いたいと個人的には思っているので、折りたたみ傘は外出の必需品になっています。

 <雨>がタイトルに付いている曲は本当にたくさんありますが、<傘>となるとそれよりぐっと少なくなるようです。

 「相合傘」は作詞・作曲細野晴臣によるはっぴいえんど、1973年発表3rdアルバムに収められているのがオリジナル。

 その後、1976年に矢野顕子が『長月・神無月』(ライヴ盤)でカヴァー。

 そして、この清水ミチコが2005年『歌のアルバム』で矢野顕子になりきっての名人芸カヴァー。

 2010年に再発&ボーナス曲追加となったはっぴいえんどをカヴァーした曲を集めたアルバム『はっぴいえんどに捧ぐ+』(2枚組CD MHCL-20117 3,600円)にも同じヴァージョンが収録されています。森 勉

2011年6月26日(日) Anan Ryoko feat Giovanca 「Not Enough」

 メディアなどへの露出は殆どありませんが、ハウス・ミュージックやヒップホップとのコラボなど、近年注目を集めている女性ピアニスト/作曲家、Anan Ryoko。

 先日リリースされた2ndアルバム『Eternal Light』(PLSD-007 2,415円)。

 NHKドラマ『恋する日本語』EDテーマに起用された「春の雪」(本作に初収録)ほか繊細なメロディータッチのインストを中心に、今年リリースされたデビュー作『パープル・スカイズ』が好評のミシェル・シャプロウ、前作にも参加したオランダのジョヴァンカ、Heavyというインコグニート系の男女ユニットで活動するニッキー・ギランドら海外女性シンガーとのコラボ曲も収録。

 ジョヴァンカが作詞を手掛けている「Not Enough」は、彼女のスウィートな歌声が絶品のバラード♪

 ニッキー・ギランドによるR&Bテイストの軽やかな「Love&Positivity」もオススメです。東尾沙紀

2011年6月27日(月) ワイルド・ワンズ 「想い出の渚」

 もうすぐ夏本番という時期がやってきますね。

 夏が来れば想い出す曲といえば、「想い出の渚」。

 1967年6月に発表されたワイルド・ワンズのデビュー曲にして大ヒットを記録した曲で、作曲は加瀬邦彦、作詞は鳥塚繁樹とメンバーのオリジナルでした。

 この曲を印象付けてくれるのは、なんといっても加瀬邦彦による12弦ギターの響きではないでしょうか。

 <グループ・サウンズでの12弦ギター使用の三大名曲のひとつ>
と言っていいと思います。

 このCDは結成45周年を記念して今年5月に発売された全20曲入りのリマスター・ベスト盤。(『ゴールデン・ベスト』 TOCT-11274 2,000円) オリジナルに加え、1971年にリメイクされた「想い出の渚 '71」も入ってます。

 ちなみに<GS12弦ギター使用の三大名曲>の残り2曲は、
・ヴィレッジ・シンガーズ 「亜麻色の髪の乙女」
・ランチャーズ 「真冬の帰り道」
と個人的には考えてます。森 勉

2011年6月28日(火) 村田 和人 「High School Band」

山下達郎の新作が発売される8月10日に、センチメンタル・シティ・ロマンスの約25年ぶりとなる新作『やっとかめ』、村田和人EMI時代の3作品がリリース決定しました。

 村田さんEMI時代の3作は、1988年発表作『GO POP』、1989年発表作『太陽の季節』、1990年発表作『空を泳ぐ日』の3タイトル。

 ムーン・レーベル時代の作品に比べどうしても評価が低くなってしまいますが、村田さんご本人曰く、<音だけが悪かったアルバム>群なので、今回の最新リマスター及びボーナス・トラック追加収録での再発は本当に楽しみですね。

 今日のこの1曲は、昨年発売の新作『ずーーっとずっと、夏。』に収録されている超アップテンポなかっこいいナンバー。

 郡山の専門学校のイメージ・ソングを頼まれて、躍動感と力強さを第一に作った楽曲だそうで、現代アメリカのポップ・パンク・バンド、“ボーイズ・ライク・ガールズ”の「Five Minutes To Midnight」という曲が基になっているそうです。森 陽馬

2011年6月29日(水) くるり 「奇跡」

 “日本語のうた”と“ロック・ミュージック”。

 なかなか噛み合わないこの二つを融合し体現しているバンド、といえば、“くるり”。

 岸田繁の歌声&日本語詞とサウンド・センスは、普遍的なようでいて、不思議と心惹きつけさせる何かを持っているのです。

 そのくるりのベスト第2弾『Tower Of Music Lover 2』が発売。(VICL-63760 2,800円)

 2007年以降映画主題歌やCMに使われた楽曲を中心に、未発表曲も3曲(チオビタのCM曲「旅の途中」など)収録した全14曲。最近くるりを知った人にもオススメの1枚。

 1曲目「奇跡」は、現在公開中の同名映画主題歌。
いかにも岸田繁らしいイイ曲ですが、ただ単にイイ曲というだけでなく、随所に渋いアレンジが施されているのがミソ。

 特に曲後半、高田漣によるペダル・スティールが極上!
最近の彼のベスト・ワークス!と評してもいいくらいいいソロ弾いてます。

 なお、本日公式HPで告知されましたが、しばらく続いていていた岸田繁&佐藤征史の二人体制から、吉田省念(Gt, Vo)、ファンファン(Tp, Vo)、田中佑司(Ds, Per)を加えた5人体制になるそうです。

 「WORLD'S END SUPERNOVA」のような麻薬的楽曲、前へ進んでいく意欲作をまた期待したいですね。森 陽馬

2011年6月30日(木) ヤング・ラスカルズ 「ア・プレイス・イン・ザ・サン」

 もとはスティーヴィー・ワンダーのヒット曲で、それも素晴らしいのですが、このヤング・ラスカルズ(1968年からはヤングを取ってラスカルズ名義に)のヴァージョンも多くの人に知ってもらいたい価値あるカヴァーです。

 1967年発表アルバム『グルーヴィン』(国内CD WPCR-13279 2,300円)のB面5曲目という地味な位置に収められていた曲ですが、古くからのファンの間では当時から評判のいい曲でした。

 リード・ヴォーカルはエディ・ブリガッティ。

 彼のヴォーカリストとしての豊かな表現力が十二分に活かされたアレンジも聴き応えがあります。

 特に後半、一度終わりそうになって、もう一度始まるところがなんともいとおしく感じます。森 勉






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