PET SOUNDS RECORD
今日のこの1曲 アーカイヴス


  今日のこの1曲 “Achives”

<2012月2月>

当店ペット・サウンズ・レコード店にて、
その日に店内でかけていた曲の中から、
店員の独断と偏見で選んだ“今日のこの1曲”コーナー

2012年2月に更新した“今日のこの1曲”コーナー。
廃盤・生産中止、規格番号の変更など、
情報が古くなっている商品もございますが、ご了承くださいませ。

<最新の“今日のこの1曲”はこちらのページをご覧ください>


2012年2月1日(水) 青葉市子 「3びきのくま」

 クラシック・ギター弾き語りでライヴにも定評がある、1990年生まれの女性シンガー、青葉市子。

 前作『檻髪(おりがみ)』から1年ぶり、3枚目となる新作アルバム『うたびこ』が先日リリースされました。(ROTL-003 2,100円)

 20秒ほどの沈黙から静かに始まり、スリリングなギターを聴かせる@「IMPERIAL SMOKE TOWN」、インストC「裸足の庭」ほか、全編ギターの弾き語りによる、前作以上に極限までにシンプルなアルバムです。

 今作では、大貫妙子&坂本龍一『UTAU』収録の「3びきのくま」をカバー。

彼女の少女のような透明感ある歌声が、大貫さんのイメージと共通する気がします。

 ミニ詩集のような趣きのある彼女の手書き歌詞ブックレット付き。
歌い手としても勿論ですが、詩人としても注目していきたい人です。

 彼女は今週末2月4日(土)に行われる、細野晴臣さん、星野源さん、キリンジ、ハイラマズ他出演のイベント『De La FANRASIA 2012』に出演予定です。東尾沙紀

2012年2月2日(木) ピーター&ゴードン 「トゥルー・ラヴ・ウェイズ」

 ブリティッシュ・ビート系のもの(我々の世代は総称して“リヴァプール・サウンド”と呼んでいました)は、月イチで紹介したいと思っているのですが、かなり間が空いてしまいました。

 今日はピーター&ゴードンです。

 エヴァリー・ブラザーズに憧れたピーター・アッシャーとゴードン・ウォーラーは1963年ロンドンでデュオを結成。
 ピーターの妹ジェーンがポール・マッカートニーのガールフレンドだったこともあり、レノン=マッカートニー作「愛なき世界」(A World Without Love)でデビュー、大ヒットとなりました。

 ピーターがプロデューサー志望の意志が強まった1967年にコンビを解消しますが、本当にイイ曲をたくさん残してくれました。

「トゥルー・ラヴ・ウェイズ」は1965年ヒットで、邦題は「二人の恋は」でした。

 バディ・ホリーの作品。ビートルズ「ワーズ・オブ・ラヴ」とともにバディ・ホリーの名を知るきっかけになった曲です。

 ゴードン・ウォーラーの低音の魅力が発揮された歌い出しは、いつ聴いても、いいゾクゾク感が。森 勉

2012年2月3日(金) Florence Joelle's Kiss Of Fire 「Unchain My Heart」

 キティー・デイジー&ルイス、ラファエル・サディークなど、50〜60'sR&B(リズム&ブルース)のエッセンスを自身に取り込み現代流にアレンジしているミュージシャンが近年増えてきました。

 今日紹介するFlorence Joelle's Kiss Of Fireも、その筋のサウンドお好きな方にオススメの新人グループです。(輸入CD ZOLTAN ZOL-002)

 パリ出身の女性シンガー、Florence Joelleを中心としたUK発ユニットで、古き良きアメリカのR&B/JIVEサウンドとジプシー風味がミックスされたヴィンテージ感あるサウンド・センス。

 キティー・デイジー・ルイスよりも洗練された大人の夜をイメージさせ、クエンティン・タランティーノ監督映画に使われていそうな雰囲気の楽曲が並びます。

 特にレイ・チャールズで有名なG「アンチェイン・マイ・ハート」カヴァー。
クールかつデンジャラスな魅力が炸裂したキラー・チューン! 森 陽馬

2012年2月4日(土) ターラ・プリーヤ 「Run Like Hell」

“アデル、エイミー・ワインハウス、ダフィーに続く女性ニューカマー”
“レトロ・ソウルの新歌姫”
と評されているサンフランシスコ出身、インド&イラン人の血を引く女性シンガー・ソングライター、ターラ・プリーヤのデビュー・アルバム。(国内CD PCD-4498 1,980円)

 モータウン/70'sソウルをルーツにしながらも、「ビルボード・ソング・コンテスト」や「ジョン・レノン・ソングライティング・コンテスト」で優勝した実績を持つ彼女の楽曲はポップなメロディーが中心。

 聴きやすい反面、ソウル・ファンからはちょっと食い足りない感があるかもしれませんが、コリーヌ・ベイリー・レイをシャープにした感じの歌声は、ロック/ポップ・ファンに支持されそう。

 @「Run Like Hell」は、ダリル・ホール&ジョン・オーツ「You Make My Dreams」(映画『(500)日のサマー』で使われた曲)を彷彿とさせるナンバーですね。森 陽馬

2012年2月5日(日) スピッツ 「タイム・トラベル」

 スピッツの2004年以降に発表されたシングル・カップリング曲や、トリビュート盤に収録されたカバー曲等を収めた編集盤『おるたな』が今週リリースされました。(UPCH-1863 3,059円)

 各トリビュート盤に収録された、奥田民生「さすらい」、はっぴえんど「12月の雨の日」、松任谷由実「14番目の月」(この曲のみ''おるたな Mix''と題したニュー・ミックス)の既存曲に加え、初恋の嵐「初恋の嵐」など新録も3曲収録。

 新録のうちの1曲、昨年10月スタートのドラマ主題歌としてオンエアされていた、原田真二の「タイム・トラベル」カバーが今作に初収録。

 数年前に初めてオリジナルを聴く機会があり、聴いた瞬間に好きになった曲なのですが、スピッツのバージョンも凄く良いですね! ポップなメロディ、歌の世界観がぴったりハマってます。

初回のみ3面デジパック仕様、収録楽曲について語る制作ノートが封入されています。東尾沙紀

2012年2月6日(月) Matt Nathanson 「Room@The End Of The World」

 このコーナーではまだ紹介していませんでしたが、昨年店内の試聴機に入れて評判が良かった1枚。

Matt Nathanson 『Modern Love』。(輸入CD VANGUARD 79905-2)

 90年代後期からサンフランシスコを拠点に活動しているアメリカ人男性シンガー・ソングライター。

 VANGUARDレーベルからのリリースなので、カントリー/フォーキーな感じかな、と思いきや、前向きかつわかりやすいポップ/ロックな楽曲連発!

 正統派アメリカン・ロックとU2的なアレンジ(歌声がボノっぽい雰囲気)を合わせたセンスがNice! タイプは違いますが、ジェイソン・ムラーズのような疾走感も感じますね。

 今日のこの1曲C「Room@The End Of The World」もグイグイ引っ張っていく爽快なかっこいいナンバー。
 
 個人的にもドライヴでよく聴いているアルバムです。森 陽馬

2012年2月7日(火) ポール・マッカートニー 「オンリー・アワ・ハーツ」

ポール・マッカートニー待望の新作『キス・オン・ザ・ボトム』が出ました。
(国内CD 解説・歌詞・対訳付 UCCO-3038 2,600円)

今作はなんと古いジャズ・スタンダード曲のカヴァー・アルバムです。

 プロデューサーはあのトミー・リピューマ。
リズム・アレンジを担当したのは、ピアノも弾いているリピューマの教え子的存在、ダイアナ・クラール。

 極上のスタンダード・アルバムに仕上がっています。

 もともとポールはビートルズが有名になる前から「夕日に赤い帆」、「蜜の味」、「ティル・ゼア・ワズ・ユー」などのロックンロール畑ではないスタンダード・ナンバーを好んで歌っていた人ですから、今回の企画はとてもフィット感があります。

 ライナーノーツにポールのインタビューが載っています。
「僕の親の世代が歌っていた古い曲を以前からやりたくてね。でも、誰もがカヴァーするような曲は避け、王道からちょっと外れた方向に・・・」とポールが言っているように、「イッツ・オンリー・ア・ペイパー・ムーン」、「バイ・バイ・ブラックバード」あたりが一般的によく知られている以外は、知る人ぞ知るという曲を取り上げ、ポールらしい色を出しています。

 全14曲中2曲はポールの新曲が含まれています。
これが両方とも古くからある曲のように、アルバムの中に自然に置かれていてイイ感じなのです。

 どの曲も素晴らしいのですが、今日のこの1曲はラストに入っているポールのオリジナル曲「オンリー・アワ・ハーツ」を。

 美しいメロディに優しい歌詞、そしてビートルズ時代と変わらずにバラードをしっとりと聴かせてくれるポールの歌声が心に暖かいものを運んできてくれます。そしてスティーヴィー・ワンダーによる絶妙なハーモニカが色を添えています。

 早くも2012年ベスト・アルバム候補、発見です。森 勉

2012年2月8日(水) ハーベスト・ガーデン 「昨日より若く」

 女性シンガー好き、L⇔Rファンの間で今注目されているのが、今日紹介する“a harvest garden”(ハーベスト・ガーデン)。

 シンガーソングライター藤原聡子によるソロ・ユニットで、L⇔R、四人囃子の名ドラマーとして知られる岡井大ニがプロデュースを担当。
(『昨日より若く』 全7曲 DDPB-1007 2,000円)

 シンプルかつ落ち着いたアコースティック・サウンドに、穏やかな女性ヴォーカル。羊毛とおはなお好きな方なら気に入ること間違いなし。

 ラストに収録されているタイトル曲「昨日より若く」は、L⇔Rの1992年作『LAUGH+ROUGH』に収録されていた黒沢健一作「Younger Than Yesterday 〜迷宮の少年たち〜」のカヴァー。

 はっぴいえんど「風をあつめて」、ジョニ・ミッチェル「サークル・ゲーム」のカヴァーもやってますが、@「あったララるら」などオリジナル曲のメロディもなかなかイイですよ。森 陽馬

2012年2月9日(木) 星野 源 「フィルム」

 昨年9月にリリースされた星野源2ndアルバム『エピソード』。
当店でもロングセラーを続けています。

 広く認知されるきっかけとなった名曲「くだらないの中に」から約1年ぶり、2枚目となるシングル「フィルム」が今週発売になりました。(VIZL-456 初回限定盤DVD付 1,890円)

 11日から公開、沖田修二監督映画『キツツキと雨』の主題歌@「フィルム」は、伊賀航(b)、伊藤大地(ds)、池田貴史(p)等が参加。

“虚構と現実”というテーマながら、ハンドクラップ、ポップな響きのホーンとストリングス、親しみやすいメロディが前向きな印象を与える一曲です。

 カップリングのA「もしも」、B「乱視」には、ハマ・オカモト(b/OKAMOTO'S)、神谷洵平(ds/赤い靴)が参加。3人での一発録りによるシンプルでかっこいいバンド・サウンドになっています。

 素朴なギター弾き語りによる「次は何に産まれましょう」、「落下」(共にHouse ver.)を含む全5曲。

初回盤には、ゾンビが出てきて楽しい「フィルム」PV&メイキング、昨年の渋谷AXでのライブ映像、オーディオコメンタリー等が入ったたっぷり約70分収録のDVDが付いています。東尾沙紀

2012年2月10日(金) テデスキ・トラックス・バンド 「バウンド・フォー・グローリー」

テデスキ・トラックス・バンド来日公演、いやーーー、凄かった!

 デレクの初来日公演やデレクが参加したクラプトン武道館、2010年フジロックでのテデスキ・トラックス・バンドも見ていますが、今回は本当に素晴らしいライヴ! 個人的にもここ近年でベスト3に入るくらいの衝撃度でした。

 演奏がイイとかブルース解釈がどうとかそういう細かいことではなく、ステージ中央が強烈な磁場になっていて、波動がグァ〜〜と会場全体に広がる感じ。
 うーーんうまく言えないけれど、見に来ていた全ての人がそのバンドの波動/オーラに心地良く揺られながら圧倒されていましたね。

総勢11人のバンド・メンバー、皆良かったけどやっぱりスーザン・テデスキ!

“現代のボニー・レイット”と評される彼女の歌声は、生で聴くとよりソウルフルに響きますね。デレク以上に男勝りなギター・ソロもかっこよかったなあ。

 スライ・メドレー「Sing A Simple Song〜I Want To Take You Higher」や「アップタイト」、「ローリン&タンブリン」のカヴァーも良かったけど、ハイライトはオリジナル曲「Bound For Glory」。

 大阪公演は1曲目、ラスト9日(木)渋谷公会堂はアンコール前ラストに演奏されたようですが、僕が観に行った8日(水)は中盤に披露されながら、演奏終了後にスタンディング・オベーションが起こったほど盛り上がりました。

 先日発売された最新作『レヴェレイター』の来日記念盤(国内CD 完全限定 SICP-3405 3,000円)に付いているDVDには、「Bound For Glory」のミュージック・ビデオとライヴ映像が収録されています。森 陽馬

2012年2月11日(土) オリジナル・キャスト 「朝焼けの二人」

 1970年代前半は日本のレコード会社関係者の創意工夫と熱意が多くのヒット曲を生み出した時期でした。

 海外ではヒットしていない曲だけれども、日本のリスナーには好まれそうな曲をどんどんシングル盤として発売し、ラジオでうまくプロモーションする − もちろん思惑通りにヒットしないものも多かったでしょうが、海外の音楽ファンがあまり知らない曲まで日本の音楽ファンは注目できる環境が整えられていました。

 今日は70年代後半に日本でかなり人気のあったオリジナル・キャストというグループの曲です。(国内CD UICY-1303 2,548円)

 カナダ出身女性1人、男性4人による5人組で、アメリカでは「One Tin Soldier」(邦題:天使の兵隊)の中ヒットが1曲記録されただけでした。

 しかし日本では「ミスター・マンデイ」が大ヒットし、その後は日本だけのシングルがどんどん発売されラジオでそれらの曲を聴く機会が数多くありました。

 「愛する未来に歌おう」、「虹を架けよう」などほとんどの曲はプロデュースを担当していたデニス・ランバート&ブライアン・ポッター作品でしたが、この曲「朝焼けの二人」はロジャー・ニコルス&ポール・ウィリアムスの作品。

 当時は誰が作ったかという意識はありませんでしたが、オリジナル・キャストの中では一番好きな曲でした。
 なんともロジャニコらしい美しいメロディは、40年を経た今でも新鮮に耳に入ってきます。

 原題は「When Love Is Near」。
これが「朝焼けの二人」に。

 日本での“洋楽”が元気いっぱいだった時代の鷹揚さをたっぷり感じさせてくれるタイトルです。森 勉

2012年2月12日(日) Dolly Parton 「I Will Always Love You」

ホイットニー・ヒューストン急逝のニュースには驚きました。

華やかに見えるエンターテイメント業界の光と影を痛感させられますね。

映画『ボディ・ガード』主題歌「I Will Always Love You」。

1992年ホイットニーの熱唱で大ヒットして有名になりましたが、実際のオリジナルは1960年代から活躍している名カントリー・シンガー、ドリー・パートン。(1974年6月にカントリー・チャート1位を獲得)
 可憐な歌声が切なくてオリジナル・ヴァージョンも僕は好きです。

 ちなみに、最近リトル・ウィリーズ名義でノラ・ジョーンズが歌った「ジョリーン」も彼女による作品です。森 陽馬


★掲載ジャケットは2枚組ベスト盤。「I Will Always Love You」、「Jolene」、マリア・マルダーのカヴァーも有名な「My Tennessee Mountain Home」も収録。

★明日2月13日はグラミー賞。再結集ビーチ・ボーイズも出演予定。
 どんな“光”の舞台を見せてくれるのでしょうか。

2012年2月13日(月) アデル 「Rolling In The Deep」

 グラミー賞、再結集ビーチ・ボーイズ出ましたね!

 マルーン5「サーファー・ガール」、フォスター・ザ・ピープル「素敵じゃないか」、トリビュート・カヴァー2曲に続いてブライアン、マイク、アル、ブルース、デヴィッド・マークスによる本家ビーチ・ボーイズが登場し「グッド・ヴァイブレーションズ」を披露、という流れでした。

 メジャーデビュー50周年という節目の年に、デニス&カールはいませんがこうやってマイクとブライアンが同じステージで歌うことができて本当に良かったなあ、としみじみ。
 是非日本でもその勇姿を見せてもらいたいですね。

 さて、その今回のグラミーで主要部門を独占したアデル。
このコーナーで一度も紹介したことがなかったので取り上げておきましょう。

 アデルは1988年生まれ、サウス・ロンドン出身の女性シンガー。
2008年発表1stアルバム『19』が約3年前のグラミーでも新人賞を受賞し、各音楽誌で絶賛されました。

 2011年発表最新作『21』も全世界で大ヒットを記録。
(国内CD ボーナス・トラック4曲追加 2,490円)

 今回も何かしら受賞するとは思いましたが、ここまで独占(主要3部門計6部門受賞)するとは思いませんでした。

 (正直に言うと個人的には何故にここまで評価が高いのかよくわからないのです。もちろん歌は上手いのですが、ノラ・ジョーンズやスーザン・テデスキのような求心力は感じないんですよね。)

 最優秀楽曲賞となった1曲目「Rolling In The Deep」。
この曲のサビはローリング・ストーンズ「ギミー・チェルター」に似てますね。
(数年前にヒットしたナールズ・バークレイ「クレイジー」にも)

 リック・ルービンが絡んだこともありロック的アレンジですが、ソウルを歌っても合いそうな感じがします。森 陽馬

2012年2月14日(火) ズー・ニー・ヴー 「ひとりの悲しみ」 

 ズー・ニー・ヴーと言えば、グループ・サウンズ・ブームが下火になりつつあった1969年に「白いサンゴ礁」をヒットさせたことで我々の世代にはよく知られたGS6人組です。

 ヒットはこの1曲だけでしたが、リズム&ブルースのカヴァーなどいい演奏を聴かせてくれるグループでした。

 実はズー・ニー・ヴーにはもう1曲隠れた有名曲があります。

 1971年に尾崎紀世彦が歌って大ヒットとなった「また逢う日まで」の原曲を前年にシングルとして発表しているのです。

 そのタイトルが「ひとりの悲しみ」。

 作曲は筒美京平、作詞は阿久悠。
「また逢う日まで」と同じ作者ですが、題名と歌詞は全く違うものです。

 筒美京平によるアレンジはもう完成されていて、あの印象的なイントロはもう出来上がっていますし、リード・ヴォーカルの町田義人もいいヴォーカルを聴かせてくれているのですが・・・。
 やはり阿久悠の詞のリニューアルと尾崎紀世彦のモミアゲが良かったんでしょうか。森 勉


★掲載ジャケットは最近再発されたベスト盤。(全20曲 COCP-37167 2,000円)

2012年2月15日(水) ベン・クウェラー 「Gossip」

 今月25日から東名阪3ヶ所で来日公演を行うアメリカのシンガーソングライター、ベン・クウェラー。

 約3年ぶり5枚目となる新作『Go Fly A Kite』がリリースされました。
(XQJH-1015 輸入盤国内仕様ボーナスCD-ROM付 2,100円)

 前作『Changing Horses』はルーツ・ロック/フォークを追求した作品でしたが、自主レーベル“THE NOISE COMPANY”を設立後第一弾となる本作で原点回帰! ストレートなロックン・ロール・アルバムになっています。

 ギャーン♪とエレキで始まるオープニング曲や、スプリングスティーンを彷彿とさせる王道アメリカン・ロックA「Jealous Girl」等エネルギッシュなナンバーあり、カントリーテイストのポップ・ソングあり...メロディが良い曲が多いです。

 ジョン・レノン的な歌い回しの「Gossip」が個人的にお気に入りです。

 パソコンのみ再生可能の付属のボーナスディスク(CD-ROM)には、「The Rules」ほか3曲のギター1本でのパフォーマンス映像を収録。

 ブックレットには全曲ギター譜が掲載してあり、CDを収納する紙ケースは組み立てると箱が出来るという少し変わった仕様になっています。東尾沙紀

2012年2月16日(木) Celso Fonseca 「Agora Dancei」

神奈川県二宮町吾妻山公園、満開の菜の花を先日見に行きました。

300段以上の階段を登りましたが、美しい景色を堪能。(公園専用の駐車場はないので注意。菜の花は2月いっぱい咲いているようですね。)

今日は東京でも雪が散らつきましたが、春はもうすぐそこ。
そんな春の足音が聴こえてきそうな素晴らしいアルバムをご紹介しましょう。

 ブラジルの名シンガー・ソングライター、セルソ・フォンセカ。
2012年発表最新アルバム『no meu filme』。

 昨年リリースされたライヴ盤は、アコースティック・ギターの弾き語りを基調にした静寂ボッサな1枚でしたが、今回の新作はガラッと変わってフュージョン/AOR的なアレンジ。

 ジョージ・ベンソン『メローなロスの週末』を彷彿とさせるような生音バンド・サウンドとストリングス、ホーンが見事に絡んだサウンド・センスが最高にクール!

 特に4曲目「Agora Dancei」。
ブラジリアン・フュージョン、シティ・ポップを現代的にアップデートした音がとても心地良く響くキラーチューン!

 ブラジルMPB好きの方はもちろん、ジョージ・ベンソン等の70〜80'sフュージョン、パリスマッチなどの現代シティ・サウンド好きの方にも聴いてもらいたい傑作です。森 陽馬

2012年2月17日(金) The Strangeloves 「I Want Candy」

 質の高い再発CDを出し続けてくれているイギリスのACEレーベルから新譜が届きました。

 ボブ・フェルドマン、ジェリー・ゴールドスタイン、リチャード・ゴッテラーの3人によるプロデューサー・チームであり、ソングライター・チームにスポットを当てた『SMASH BOOM BANG! 〜 The Songs And Productions Of FELDMAN - GOLDSTEIN - GOTTEHRER』。(輸入CD ACE CDCHD-1317)

 彼らの名を有名にしたのは1963年全米No.1ヒットとなったエンジェルス「マイ・ボーイフレンズ・バック」。作詞・作曲・プロデュースを担当しました。

 そして1965年にはマッコイズ「ハング・オン・スルーピー」をプロデュース。この曲もNo.1を獲得しました。

 ルーツ・ミュージックをふまえ大切にしながらも、時代の流れに敏感に反応した音作りが魅力です。

 今日紹介するストレンジラヴズは、フェルドマン−ゴールドスタイン−ゴッテラーの変名グループ。

 1965年にヒットした「アイ・ウォント・キャンディー」は、ドラムスのフレーズが最高にゴキゲンなボ・ディドリー・ビートの曲。
 「ハンド・クラッピング・ルンバ」、「1969年のドラッグレース」、「ジャングル・スウィング」、「ドーナッツ・ソング」などが頭に浮かんでくる曲です。

 全26曲収録。初めて聴くレア曲も多く、ミドル60'sの隠れていた宝のようなナンバーがタップリ楽しめるコンピです。

 ビーチ・ボーイズ及びガール・ポップス・ファン注目は、「You're So Good To Me」(『サマーデイズ』収録のブライアン・ウィルソン作)をピクシーズ・スリーのメンバーだったデブラ・スウィッシャーが1965年にカヴァーした曲。森 勉


★このCDの日本語解説付国内仕様盤もMSIから2月25日リリース予定。(MSIG-776 3,150円)

2012年2月19日(日)オムトン 「フィルム inst.ウキウキ・ヴァージョン」

 星野源の新曲「フィルム」が主題歌として使われている映画『キツツキと雨』を先日鑑賞。

 心がほんのりと温まるとてもいい映画でした。

 東京での日々の暮らしに流されていると忘れがちな感受性を再発見できる物語。
 説明ぶったセリフではなく、細やかな描写で出演者の現状や心情を表現する沖田修一監督(まだ35歳)の演出が見事! (そしてもちろん役所広司の渋い演技も。)

 監督自ら指名した星野源による主題歌「フィルム」も映画の雰囲気にピッタリ合っていましたね。

 なお、映画全体の音楽を担当しているのは、女性3人打楽器ユニット“オムトン”。(以前2008年5月30日のこのコーナーで取り上げたこともありました)

 「フィルム」のインストも3ヴァージョン(ウキウキ・ヴァージョン、雨ヴァージョン、キツツキ・ヴァージョン)収録されています。森 陽馬

★掲載ジャケットはそのサントラ盤。(VICL-63841 1,800円)

2012年2月19日(日) エクスプローラーズ・クラブ 「Run Run Run」

 ビーチ・ボーイズ、ソフト・ロック好きの方に今一番のオススメ!

 アメリカ南部、サウス・キャロライナ出身の6人組バンド、エクスプローラーズ・クラブ。新作2ndアルバム『グランド・ホテル』が発売になりました。(国内CD ボーナス・トラック2曲追加 萩原健太氏による解説・歌詞付 ARTD-5574 2,200円)

 2008年6月5日に紹介した1stアルバム『フリーダム・ウインド』は、ジャケットはもちろんサウンドや楽曲の雰囲気も“ビーチ・ボーイズ”していましたが、新作は音やコーラスも幅が広がって、A&M的ポップ/ソフト・ロックの魅力が加わったアレンジ。

 “ビーチ・ボーイズが60's後半にA&Mレーベルからリリースしていたら・・・”という想像を、現代的解釈で音像化した1枚ですね。

 ビーチ・ボーイズやブライアン・ウィルソンのエンジニアとして知られるマーク・リネットにミックスを依頼したというのもこだわりを感じさせます。

 ビーチ・ボーイズ・ファンでなくても、バート・バカラック、ロジャ・ニコ等お好きで、最近のロック・ポップスも聴いている方なら気に入ること間違いなし!

 多幸感溢れるA「Run Run Run」。聴きものです。 森 陽馬

2012年2月20日(月) 鈴木祥子 「センチメンタル・ラブレター」

ライノ・ハンドメイドならぬBEARFOREST HANDMADE!(下記に注釈あり)

 鈴木祥子、500枚完全限定プレスのCD『センチメンタル・ラブレター』が先日発売になりました。(BEARFOREST RECORDS BEHD-1002 1,500円)

 実際に隣に寄り添い励ましてくれているような温もりが伝わる「センチメンタル・ラブレター」。

 シンプルなようで、ピアノ、ローズそして1982年製のプロフェット600によるサウンド・アレンジと、繊細なコーラス・ワークが絶妙な1曲です。(4曲目に入っているインスト・ヴァージョンを聴くとそのアレンジの妙をより実感できます)

 カップリングは、2011年9月10日南青山マンダラでのライヴ音源が2曲。
1988年発表1stアルバム『VIRIDIAN』から「波の化石」、1990年発表4th『LONG LONG WAY HOME』から「水の中の月」の弾き語り。
 20年以上前の曲ながら、全く色褪せないメロディーライン。

コア・ファンのみならず、彼女の近作を聴いていない方にこそ聴いてもらいたいスペシャルなプレミアム・シングルです。森 陽馬


注釈:“ライノ・ハンドメイド”というのはRHINOという海外レーベルがリリースしている限定プレスによる再発シリーズのこと。マニア心をくすぐるアイテムの宝庫ながらすでに入手困難タイトル多数あり。

2012年2月21日(火) Najee 「You Tube」

近年音楽ソフトの売上低下はもちろんですが、映像ソフトは更に深刻です。

 YouTubeの影響、そしてテレビの多チャンネル化が一番の要因でしょう。

 You Tubeが悪いというわけではなく、YouTubeのおかげで様々な映像を見ることができるようになりました。そしてスマートフォンの普及で、その映像への接し方/楽しみ方が変化していったことが大きいと思われます。

 ブルーレイが普及しつつありますが、この先どうなっていくのでしょうね。

 値段を下げることよりも、ソフトを購入した際のお得感(詳細な解説であったり、ボーナス・マテリアルなど)をより高めていくことが重要だと僕は思っているのですが・・・。

 ということで?、今日は「You Tube」というタイトルのこの1曲。

 Najee(ナジー)は、スムース・ジャズ界で活躍しているサックス奏者。
Shanachieレーベル移籍第1弾となる2012年発表新作アルバム『The Smooth Side Of Soul』が先日発売。(Shanachie 5193)

 タイトル通りソウルフル&アーバンな魅力あふれるスムース・ジャズ。
「You Tube」は夜聴くのにピッタリ合いそうな、雰囲気たっぷりのミディアム・チューン。R&B好きの方にもオススメです。森 陽馬

2012年2月22日(水) Love Unlimited Orchestra 「Midnight And You」

 メロウで、タイトでもあり、スウィートでグルーヴィー!

 ラヴ・アンリミテッド・オーケストラの演奏は、1曲の中でそんな多様な感覚を聴く者に与えてくれる特別な楽曲が多くあります。

 プロデュース&アレンジはバリー・ホワイト。
 
 バリーの低音を生かしたヴォーカル曲のヒットも数多くありますが、ストリングス隊も含めた多人数のオーケストラの曲もバリー・ホワイト・ブランドならではの豊潤なサウンドが味わえます。

 このCDはオーケストラ名義で発表されたアルバムからのチョイスで、約78分タップリ収録。1974年大ヒット「愛のテーマ」(Love's Theme)をはじめ、「ラプソディ・イン・ホワイト」、「サテン・ソウル」、「マイ・スウィート・サマー・スイート」、「キング・コングのテーマ」などシングル・ヒット他全15曲。バリー・ホワイトのインスト曲好きにはたまらない内容です。(輸入CD Mercury 314526945-2)

今日はその中からイントロにバリーの語りが入る「ミッドナイト・アンド・ユー」。

 デヴィッド・T・ウォーカー独特のギターとワウ・ワウ・ペダルを駆使したパーカッション的な効果を出しているワー・ワー・ワトソンのギターの対比が楽しめます。森 勉

2012年2月23日(木) Paul Weller 「Invisible」

 2年前に結婚した27歳年下の奥さんが先月双子を出産(ちなみに双子の名前はJohn Paul君とBowie君)し、公私ともに絶好調といった感じのポール・ウェラー。

 2年ぶり11枚目となる新作『SONIK KICKS』の国内盤が4月4日発売になります。

 ノエル・ギャラガー、グレアム・コクソン、アジズ・イブラヒム、ショーン・オへイガン(ハイ・ラマズ)などが参加。
新作制作中はデヴィッド・ボウイ、ルー・リード、NEU!などを聴いていたそうで、新作ではエレクトロニカの要素も加わり、前々作「22 dreams」辺りから顕著な実験的アレンジが更に今作では濃くなっている様子です。

 聴く人の評価がすっぱり分かれそうな作品なので、不安な反面とても楽しみであります。

 今日の一曲は、『22 dreams』(初回限定のみボーナスCD付2枚組、限定紙ジャケSHM-CD仕様 UICI-9032 3,500円)から「Invisible」。

 ピアノ弾き語りによる渋いバラードです。
新作にも一曲くらいこういう落ち着いた曲が入っているとうれしいのですが。東尾沙紀

2012年2月24日(金) CSN&Y 「Let's Impeach The President」

 映画『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』を先日鑑賞。

 911アメリカ同時多発テロで父親を亡くした少年が、父の残した鍵の謎を求めて様々な人と触れ合い成長していくストーリー。(『リトル・ダンサー』を手掛けたスティーヴン・ダルドリー監督作)

 大ヒットした原作本に比較的忠実で映画自体とてもよくできています。
少年の目線で描かれているので、ニューヨーク内が舞台ながらロード・ムービーのような印象を受ける映画ですね。後半謎が解けてからの展開は感動的。

 ただ、観客を泣かせようとするセリフや描写であざとさを感じてしまったのは僕がひねくれているからでしょうか。

 昨年起こった311東日本大震災をテーマにしたフィクションを制作することが実質困難であろうと同様に、近代の悲劇を映画化する(それも感動作に仕上げる)ことの難しさも感じた映画でした。

 ということで今日は同時多発テロ後のアメリカを描いた音楽作品から1曲。

 ニール・ヤングが中心となって行われた再結成CSN&Y2006年ツアーの模様を収めたドキュメンタリー映画『CSNY デジャ・ヴ』。
 2008年にアメリカでDVD化されていたものの、リージョン1で日本語字幕もなかったため日本では流通していませんでしたが、やっと国内盤がDVD&ブルーレイで発売されました。(Blu-ray COXY-1038 5,040円)

 演奏シーンはほとんどの曲が完奏せず戦死した家族や帰還兵などのアメリカ人の話が中心のドキュメンタリー的な作り。(なので、ライヴ映像や音楽映画とは趣きが異なります)

 当時のアメリカ大統領、ジョージ・ブッシュを糾弾した内容の歌「Let's Impeach The President」。コンサートでこの曲中に退席し不快感をあらわにする観客を描いているのが印象的です。

 なお国内盤のみボーナス映像として、CSN&YのPVが2曲(「Deja Vu」と「Famillies」)追加収録されています。森 陽馬

2012年2月25日(土) マッコイズ 「イフ・ユー・テル・ア・ライ」

 先日紹介したボブ・フェルドマン、ジェリー・ゴールドスタイン、リチャード・ゴッテラーの作品集は、ミドル60'sの息吹を伝えてくれるコンピで評判もとてもいいようです。

 もっと聴きたい、と思う方は、このマッコイズのベスト盤もオススメです。
(国内CD 解説・歌詞・対訳付 EICP-837 1,785円)

 全22曲すべて彼らのプロデュース。そのうち10曲が3人の共作曲です。

 今日はその中から特にお気に入りの1曲「イフ・ユー・テル・ア・ライ」。

 1966年に出たシングル「アップ・アンド・ダウン」のB面でしたが、とてもイイ曲です。

 数年前にタヒチ80のリード・ヴォーカリストであるグザヴィエ・ボワイエがアックス・リヴァーボーイ名義で出したアルバムに、この曲をナイス・カヴァーしていたことを思い出しました。森 勉

2012年2月26日(日) カーラ・ボノフ 「Daddy's Little Girl」

 2月24日(金)ビルボードライヴ東京で、カーラ・ボノフ&J.D.サウザー来日公演を見てきました。

 昨年5月に予定されながら中止となっていたこの共演ライヴ。
カーラ、J.D.各々の単独公演もこのビルボードライヴで見てますが、その時よりもいっぱいのお客さんで盛り上がっていましたね。

 ただ、個人的にはなんとも複雑な思いが残りました。

 バック・ミュージシャンはおらず二人のみで、J.D.サウザーのギターが危うかったこともありますが、やはり以前のカーラ来日公演ではステージ上にいたケニー・エドワーズ(2010年8月逝去)の存在がおざなりにされているように感じたからです。

 カーラは前半、ケニー・エドワーズ及び昨年亡くなったアンドリュー・ゴールドと共にやっていたブリンドル名義で1995年に発表した名曲「Daddy's Little Girl」を演奏。

 しかしながら、団塊の世代で埋め尽くされた観客は冷ややかな反応で、その曲後に出てきたJ.D.が歌うイーグルス・ナンバー「New Kids In Town」、「Best Of My Love」にやんやの大歓声・・・。

 もちろん彼女らはプロだから、観客の望む曲をやって喜ばすことが使命なのだろうけれど、カーラの心情を思うとモヤモヤした心持ちになりましたね。

 なおライヴ中盤以降は二人で「Let It Be Me」、「The Water Is Wide」、「All My Life」等を披露。カーラの素晴らしい歌声は健在でした。

 ちなみにJ.D.サウザーは冒頭カーラを紹介後抱擁した際、いきなり唇へキスをしたり、二人でギターを持って並んだ際には、「I Love This Woman!」と唐突に話すなど相変わらず?なエロオヤジぶり。
 あの大胆さは見習いたいと思います。森 陽馬


★掲載ジャケットは「Daddy's Little Girl」収録、カーラ・ボノフの全18曲収録ベスト盤。(国内CD MHCP-744 1,785円)

2012年2月27日(月) AMATERAS 「砂に消えた涙」

 東芝が...、じゃなかったEMIが昨年秋から始めた日本のロック・アーティストのファースト・アルバムにスポットを当てた再発シリーズ<EMI Rocks ‘The First’>は、初CD化含めてかなり珍しいアイテムが発売されています。

 今日紹介するAMATERAS(アマテラス)は、先日2月14日このコーナーで取り上げたズーニーヴーの第2期メンバー(ギター担当)だった高橋英介とあのじゅんとネネのネネ役だった高橋早苗による夫婦ユニット。

 このシリーズを監修した湯浅学さん曰く、“プログレッシヴ・フュージョン・フォーク・ロック”とこのグループを評しているように、曲によっていろいろな音楽要素を楽しめる作品です。

 このアルバムは1977年制作。初CD化です。
(限定盤 TOCT-11407 2,500円)

 なんといっても永遠の名曲「砂に消えた涙」のカヴァーが入っています。

アルバムの中では異色な存在の曲ですが、当時はシングルにもなりました。

 漣健児訳詞による日本語で歌われ、ラスト近くではオールディーズの有名曲「シェリー」、「グッド・タイミング」(ステキなタイミング)も一節出てきます。森 勉

2012年2月28日(火) TYCHO 「A Walk」

 “チルウェイヴ”という音楽ジャンルはご存知でしょうか?

 テクノの中で、踊るための電子音楽というよりは心地良さ・安らぎを追求したエレクトロニカ・サウンドのことを<アンビエント/チルアウト>と言います。(細野さんが志向していた電子音楽や最近のYMOはアンビエントな感じですね)

 そのチルアウトなサウンドに、シンセ的かつポップなリズム&ビートが乗った音楽を“チルウェイブ”というようです。(何年か前に出てきた言葉なので定義づけは他に色々とあるかもしれません)

 ウォッシュト・アウト(WASHED OUT)というバンドがその代表格と言われていますが、ヴォーカルが入ると80年代テクノ・ポップを現代に持ってきた感もあるんですよね。

 僕はどちらかというと全編インストのこのバンドの方が好みです。

 TYCHO(ティコ)はグラフィック・デザイナーとしての顔も持つサンフランシスコを拠点に活動しているスコット・ハンセンによるユニット。(『DIVE』 国内CD ボーナス2曲追加 ARTPL-22 1,980円)

 オーガニックな音色のエレクトロニカ・ビートとメロディアスなシンセ・サウンド&生音が見事にマッチ。

 ジャケットのイメージ通り、神秘的な明け方を連想させる音の波が中毒的に耳から離れなくなります。

ロータス『ノマド』がお好きな方に特にオススメの1枚。森 陽馬

2012年2月29日(水) leemix 「Fading Colors」

 東京は午前中の数時間であっという間に銀世界。

 しんしんしん、と雪が舞っている時は街が静かになるせいかアコースティックな音色を聴きたくなります。

 今日は雪を眺めながらこのアルバムを聴いていました。
leemix 『Fading Colors』。(国内CD LEEMIX-001 1,500円)

 leemix(リーミックス)は、吉川"Lee"理と竹内"MIX"宏美による日本人男女2人ユニット。
(竹内宏美さんはセッション・シンガーとして佐野元春、Mellowhead、トミ藤山のライヴやレコーディングにも参加経験あり)

 吉川理が奏でる気品あるアコースティック・ギターと、温もり伝わる2人の歌声が見事に調和。

 全編英語詞なので、さりげないBGMとしてはもちろん、上品かつ心地良い空間を演出してくれるクールなアコースティック作品としてオススメです。

 今日のこの1曲「Fading Colors」は、ジョン・レノンのルーツも垣間見える美しいメロディを持ったナンバー。leemixのmyspaceで試聴できます。是非聴いてみてください。森 陽馬


★なおこのCDは一般流通しておりません。
leemixのライヴ会場、当店の店頭及び通販にて販売しております。






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