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  今日のこの1曲 “Archives”

<2016月3月>

当店ペット・サウンズ・レコード店にて
その日に店内でかけていた曲の中から、
店員の独断と偏見で選んだ“今日のこの1曲”コーナー

2016年3月に更新した“今日のこの1曲”コーナー


廃盤・生産中止、規格番号の変更など、
情報が古くなっている商品もございますが、ご了承くださいませ。

<最新の“今日のこの1曲”はこちらのページをご覧ください>

2016年3月1日(火) Chocolat & Akito meets The Mattson 2 「SAKURA」

<自分キャリア史上、最も完成度の高い1枚>
(片寄明人さん最新インタビューより)

GREAT3 片寄明人とショコラによる夫婦デュオ、ショコラ&アキト。
2016年発表新作アルバムが本日入荷。
(『Chocolat & Akito meets The Mattson 2』 国内CD RYECD-237 2,500円+税)

1987年生まれカリフォルニア州サンディエゴ出身のJared Mattson&Jonathan Mattsonによる双子サーフ・ジャズ・デュオとの共作アルバム。これが素晴らしい1枚!

ショコラ&アキトのポップ・センスと、The Mattson 2による人間味溢れる演奏、そして独特な空間を感じさせるジョン・マッケンタイア(トータス)のミックスが見事に融合。

GREAT3のROCKセンスとショコラ&アキトのPOPセンスがどちらも楽しめるような仕上がりですね。

<すべての言葉が気に入っていると思えるように心を込めて書いた>という日本語詞も素敵です。

今日のこの1曲は3曲目「SAKURA」。
グルーヴ感あるThe Mattson 2サウンドとショコラ&アキト2人の無垢な歌声が見事にマッチ。
今日は風がすごく冷たい1日だったけれど、♪桜が咲いたら なんとかなるかな♪

なお、当店にてお買い上げの方には、トータスのジョン・ハーンドンが手掛けたジャケットをデザインしたかわいい31mmマグネットを先着でプレゼント!
片寄明人さんへのインタビューを掲載した当店オリジナル・リーフレットも差し上げています。森 陽馬



★片寄明人さんを迎えてのペット・サウンズ・レコード35周年記念イベントが開催決定!
2016年4月22日(金)
<We love Pet Sounds Record! 片寄明人トーク&ミニ・ライヴ>
出演:片寄明人、森勉
会場:ライヴ・カフェ・アゲイン
18時半開場 19時半開演  前売り2,500円 当日3,000円
(2016年4月22日で35周年を迎えるペット・サウンズ・レコード企画スペシャル・イベント。旧店舗の時から当店のお客様でいらっしゃったGREAT3片寄明人をお迎えして想い出のレコードをかけながら<ペット・サウンズ>にまつわるトークをしていただきます。最後にミニ・ライヴも!? 乞うご期待!)


2016年3月2日(水) PIZZICATO ONE 「わたくしの二十世紀」

3/21発売大滝詠一『DEBUT AGAIN』の限定アナログ盤も6/15発売が決定しました。

ジャケット・デザインが先日公開されましたが、この素晴らしいアートワークはLPサイズで持っていたいですね。
←この掲載ジャケットはCD初回盤のデザイン。

入荷枚数が制限されるため、発売前に予約終了する可能性もございます。
ご入り用の方はお早目に。

さて、アナログ盤といえば、この作品もアナログで発売されることになりました。

PIZZICATO ONE『わたくしの二十世紀』
(CD UCCJ-2125 3,000円+税)

小西康陽氏によるソロ・プロジェクト、PIZZICATO ONE。
昨年6月にリリースされた2作目『わたくしのニ十世紀』が、LP盤と7インチEP盤に分かれて4月上旬発売決定。

CDジャケットは写真ですが、アナログLPは描き下ろし油絵による新アートワークの予定です。
ピチカート・ファンは是非チェックを。

今日のこの1曲はPIZZICATO ONE「戦争は終わった」 feat YOU。

ピチカート・ファイヴ1999年発表シングル「パーフェクト・ワールド」B面曲の再演。

実際に戦争は終わっていないし、終わらないし、なくならないのだろう、という虚無感。
それをサラリとポップに昇華させたナンバー。

なお、この曲はLPではなく、7インチEPの方に収録される予定です。森 陽馬


2016年3月3日(木) 須藤薫 「花いちめん夢いっぱい」

3月3日はひなまつり。
そして、須藤薫さんの命日(2013年3月3日逝去)でした。

その薫さんが1981年に発表した2ndアルバム『パラダイス・ツアー』リリース当日、1981年7月21日東京・芝郵便貯金ホールで行われたコンサートの貴重ライヴ音源が初CD化されました。

須藤薫『「パラダイス・ツアー」ライヴ1981』
(CD 土橋一夫監修・解説付 DQCL-3227 2,500円+税)

遺品から見つかったカセット・テープに、リリース目的ではなく資料用に録音されていた音源のため、音質は良くありませんが、薫さんのコンサートへ行かれていた方ならばその頃の想い出と共にタイムスリップできる1枚です。

僕は当時小学生でしたが、親戚が薫さんと大親友だった関係で時々お会いしていました。
車に同乗した際、車酔いに弱かった子供の僕を介抱してくれた優しい薫さんを想い出します。
(音源とは関係ない話でスミマセン)

今日のこの1曲は春らしい「花いちめん夢いっぱい」。
伊勢丹キャンペーン・ソングとして使われていたので、須藤薫さんを知らなくても楽曲を聴いたことがある方も多いと思います。

なお、大瀧詠一作「あなただけI LOVE YOU」ライヴ音源は、カセットテープA面とB面の切れ目に収録されていたため、このCDには別会場のライヴ音源が最後に収録。
曲の合間、天真爛漫な薫さんのMCも微笑ましいですね。森 陽馬


★今作はSony Music Shop通販限定商品ですが、ご遺族・制作関係者の方々によるご厚意で、当店でも販売できることになりました。ご遺族の方々、関係者皆様、薫さん、謹んで御礼申し上げます。



2016年3月4日(金) SEAFRET 「Oceans (BBC Live Lounge Version)」

UKフォーク/ロック注目の男性デュオ、SEAFRET(シーフレット)。

ユニット名のSEAFRETは、海+(ギター等の)フレットを掛けたもので、北部の方では「北海に立ち込める霧」という意味を持つ言葉なのだそうです。

イギリス・ブリドリントンで結成され、ロンドンを中心に活動していた2人の1st『TELL ME IT'S REAL』が今年に入り発表されました。(輸入CD 88875182872 Deluxe Edition)

ジャケットのモジャモジャな髪型の方がジャック・セドマン(vo.)、横を向いているのがハリー・ドレイパー(g)。
Voの声は第一印象では、マムフォード&サンズのマーカス・マムフォードにちょっと似ているなと感じました。

曲によってはマムフォード&サンズやコールドプレイ等を彷彿とさせるものも。
フォークを基調とした繊細な雰囲気と、力強く壮大な世界観も持ち合わせています。

デラックス・エディションにはボーナスとして未発表3曲を追加(全16曲)。
一番最後には彼らの人気曲「Oceans」のBBCライヴ・バージョンも収録されています。
ギターと歌のみでも十分な世界観を持った2人。活躍が楽しみです。東尾沙紀



2016年3月5日(土) Sweet Three 「That's The Way It Is」

ひなまつりは終わってしまいましたが、今日は60'sガール・ポップでいってみたいと思います。

ACEレーベルから『Where The Girls Are Vol.9』が発売になりました。
(輸入CD ACE RECORDS CDCHD-1461)

このシリーズは<ヒットはしていないけれど1960年代ガール・ポップのイイ曲を集めました>というテーマで、1997年にVol.1が出ました。以来2~3年おきに1枚のペースで2016年の今年Vol.9。これからも続いていってほしいシリーズです。

今回も人知れず埋もれていた珍しいけれど良質なガール・ポップがタップリ25曲。
内3曲は60年代に録音されながら、このCDで初お目見えの未発表だったものです。

ジョージ・フィショフ作品のブルーゼッツ。
ビリー・ストレンジのギターインストにブロッサムズがコーラスをのせた曲。
エリー・グリニッチがリードヴォーカルを歌っているポプシクルズ。
ボブ・クルー・プロダクションによるラグ・ドールズなど、どの曲も聴きどころあり!

今日は1曲目に入っているスウィート・スリー「ザッツ・ザ・ウェイ・イット・イズ」。

デッカ・レーベルから1966年にこんないい曲が出ていたんですね。

この後ケニー・ギャンブルとのコンビで一世を風靡するレオン・ハフ単独作品。
しばらくハマりそうです。

♪That's The Way It Is♪とタイトルをコールするコーラスのところが、60'sガール・ポップ好きの心をイイ感じでくすぐってくれます。森 勉


2016年3月6日(日) 富山優子 「新しい自分」

当店で今注目している日本人女性シンガー・ソングライターこの1枚。

富山優子『おんがくのかみさま』
(TOMMY RECORDS tom-0005 1,852円+税)

2011年1st『僕らの時代』、2013年2nd『おおグリーン』に続く、2016年発表3rdアルバム。

母がピアノの先生だったことからルーツはクラシック・ピアノのようですが、ソフトマシーン/ロバート・ワイアット等フェイヴァリットとして挙げるように、ピアノの旋律及び楽曲には深遠かつ不思議な魅力があります。

基本的にはピアノ弾き語り。
タイプとして寺尾紗穂や浜田真理子と並び語られることが多いかもしれませんが、その二人ともまた違った個性がピアノ&歌から伝わってきます。

作詞・作曲だけでなく、録音・ミックスも自身で手掛けた今作。
目を閉じると目の前で演奏しているような臨場感があるミックスも素晴らしい。森 陽馬


2016年3月7日(月) The Tribulettes 「So Foolish」

スペイン発ガールズ・ソウル/ポップ・グループ♪

ザ・トリビュレッツは、マリナ・フェレール、パロマ・ソアジェイロ、セリア・カルバージョの女性ヴォーカリスト3人を中心に結成されたグループ。

本国では2015年にリリースされたデビュー作『Trials and Tribulations』のカラフルなジャケットから、レトロなガール・ポップ・サウンドを想像していましたが、今作はどちらかというとソウル/ジャズ・ファンクお好きな方にオススメの1枚です。
(国内CD YOUKALI049JP 2,200円+税)

ソウル、ファンク、ジャズ、スウィングなどを取り込んだサウンドを奏でるのは、サックス、トロンボーン、ギター、ベース等ジャズ系のミュージシャン。ファンキー&ブルージーな演奏を聴かせてくれます。

全編英語によるオリジナル曲を中心に、ビートルズ「Blackbird」とジャコ・パストリアス「Come On Come Over」のカバーも収録。「Blackbird」はリズムが際立ったアレンジでソウルフルな味わいです。

今日の1曲は、オルガン・ソロが堪らない「So Foolish」。
UKジャズ・ファンクやアシッド・ジャズを想起させるかっこいいナンバーです。東尾沙紀



2016年3月8日(火) エディ・ヒントン 「ユー・ガット・ミー・シンギング」

初めてエディ・ヒントンの歌声を聴いた時はビックリしました。
違うレコードをかけちゃったのかなと...

とても白人が歌っているとは思えないソウルフルなフィーリングの枯れた声だったのです。

アメリカ南部アラバマ州マッスル・ショールズのスタジオでセッション・ギタリストとして名を知られていたエディ・ヒントンが、1978年に発表したファースト・ソロ・アルバム『ヴェリー・エクストリームリー・デンジャラス』がユニバーサル・ミュージックの名盤発見伝シリーズで日本初CD化されました。

エディ・ヒントン『Very Extremely Dangerous』
(国内CD 2015年リマスター 日本語解説・歌詞・対訳付 UICY-15480 1,800円+税)

キャプリコーン・レーベルから出たこのアルバムは、出た当時それまで多くのアーティストをサポートしてきた彼が歌っていると話題になったものです。(といっても少数の好事家だけですが)

全10曲中、オーティス・レディング作品1曲を除いて全てエディの作品。
マッスル・ショールズという土地柄、ダン・ペンやドニー・フリッツと共作した曲も収録されていますが、今日は1曲目に入っているエディ単独作品「ユー・ガット・ミー・シンギング」。

それにしても黒っぽいヴォーカルです。
参加ミュージシャンは、ロジャー・ホーキンス(ドラムス)、デヴィッド・フッド(ベース)、ジミー・ジョンソン(ギター)、ハリスン・キャロウェイ(トランペット)、ハーヴェイ・トンプソン(サックス)、そしてプロデュースも担当したバリー・ベケット(キーボード)というお仲間たちです。森 勉


2016年3月9日(水) Bonnie Raitt 「Shakin' Shakin' Shakes」

今年のグラミーは、レディ・ガガによるデヴィッド・ボウイ追悼、ジャクソン・ブラウン&イーグルスメンバーによるグレン・フライ追悼、ケンドリック・ラマーのパフォーマンス、テイラー・スウィフト3部門受賞など見どころ多数でしたが、B.B.キング追悼コーナーにおけるボニー・レイットのパフォーマンスもハイライトのひとつだったと言えるでしょう。

曲途中からステージに現れ、貫禄のいで立ちでスライドをキメるボニー!
かっこよかったですね。

そのボニー・レイットが2012年発表『Slipstream』以来約4年ぶりとなるオリジナル・アルバム『Dig In Deep』をリリースしました。

バック・メンバーは、ボニーのバックとして近年お馴染みのGeorge Marinelli(g)、James Hutchinson(B)、1970年代ビーチ・ボーイズに在籍していたことでも有名なドラマーRicky Fataar(dr)、そして熟練のセッション・キーボーディストMike Finnigan、更にはニューオリンズの名キーボーディストJohn Clearyという布陣。

ボニーらしいブルース・ロックから美しいバラードまで全12曲。
古き良きアメリカン・ルーツを現代の息吹で聴かせてくれる好盤です。

今日のこの1曲は、アルバム中最もハイテンポな「Shakin' Shakin' Shakes」。
ロス・ロボス1987年発表アルバム『By The Light Of The Moon』に収録されている人気曲カヴァー。

オリジナルの疾走感に重厚感も加わって最強なアレンジ!聴きものです。森 陽馬


2016年3月10日(木) ビーチ・ボーイズ 「Devoted To You」

『ビーチ・ボーイズ・パーティ』50周年記念盤がようやく日本盤として発売になりました。

輸入盤が出回り始めたのが昨年11月下旬頃でしたから、3か月ちょっとですか・・・。
でも、とにかく出て良かった。
解説・歌詞・対訳が付いて輸入盤とあまり変わらない価格だし、これからは日本盤をオススメします。
(国内CD 解説・歌詞・対訳・ダイアローグ訳付 SHM-CD仕様 UICY-15486 3,200円+税)

3月下旬にはマイク・ラヴとブルース・ジョンストンがいてジェフリー・フォスケットが加入したビーチ・ボーイズが来るし、4月中旬にはアル・ジャーディンとブロンディ・チャップリンも参加するブライアン・ウィルソンのコンサートがありますしね。

さて、『パーティー』は個人的に大好きなアルバムで、日本では1966年1月にビーチ・ボーイズが初来日した頃、来日記念盤として発売されたこともあり、想い出に残っている1枚です。
(当時日本盤は1966年1月5日発売、アメリカ盤は1965年11月8日発売でした)

今回は『アンカヴァード&アンプラグド』という副題が付き2枚組CD。
アルバム『パーティ』の裏側も含めて、そのために録音された全貌がわかる内容になっています。

パーティー・ノイズを入れない素の状態の12曲に、未発表曲・未発表テイクが雨あられに収録されています。

ブライアン・ウィルソンとマイク・ラヴが、“クレヴァリー・ブラザーズ”の名で美しくハモる「Devoted To You」は、エヴァリー・ブラザーズのカヴァー。
今回のCDにはこの曲が4ヴァージョン収録されています。森 勉


2016年3月11日(金) 大滝詠一 「DEBUT AGAIN」

レコード・コレクターズ2016年4月号<大滝詠一『DEBUT AGAIN』特集>が入荷。

大滝詠一『DEBUT AGAIN』楽曲解説から鈴木雅之インタビュー等充実の特集に加え、ビーチ・ボーイズ、ピーター&ゴードンの項含め読み応えたっぷりです。

ちなみに書籍関連では、こちらもオススメ。
『ニッポンの編曲家』(DU BOOK 2,300円+税)


川口真、瀬尾一三、船山基紀、荻田光雄、新川博、星勝、武部聡志、井上鑑ほか、歌謡曲の礎を築いた名編曲家本人へのインタビュー、更には吉川忠英、島村英二、松武秀樹、芳野藤丸などアレンジャーを支えたミュージシャンへのインタビュー、<アレンジャーで聴くドラマー青山純>というコラムもあり興味深い内容です。

音楽作品を完成させるにあたって最も重要なポストながら、印税が入らず苦労も多い編曲家。
映画『レッキング・クルー』をご覧になって感銘を受けた方にも是非読んでいただきたい1冊ですね。

今日のこの1曲は、店頭入荷が来週に迫った大滝詠一『DEBUT AGAIN』1曲目を飾る「熱き心に」。

オリジナルの小林旭「熱き心に」は青山純のドラム。
大滝詠一歌唱ヴァージョンのオケはどうなんでしょうか?

<編曲家・大瀧詠一>という観点でも楽しみです。森 陽馬

★掲載ジャケットは3月21日発売大滝詠一『DEBUT AGAIN』。(初回限定盤 SRCL-8714 3,000円+税)


2016年3月12日(土) Ray Lamontagne 「Wouldn't It Make A Lovely Photograph」

深夜に作業している時、最近よく聴いているこの1枚。

Ray Lamontagne『OUROBOROS』
(輸入CD RCA 88875-13542-2)

アメリカ/ニューハンプシャー出身、1973年生まれの男性シンガー・ソングライター、レイ・ラモンターニュ。
2016年発表6枚目となるアルバムです。

2008年発表作『Gossip In The Grain』(
2008年11月14日今日のこの1曲で紹介)はボブ・ディランやヴァン・モリソンの影響も感じさせる愛聴盤でしたが、今回の『OUROBOROS』(ウロボロス)は過去作と全然違った趣。

幻想的な世界観。
エコーの効いた不思議な音感。
独特な鳴りのコーラスと歌声。

というのも、今作はマイ・モーニング・ジャケットのジム・ジェームスがプロデュースしているのです。

なるほど。言われてみればマイ・モーニング・ジャケットのサザン・ロック臭を無くして、ニール・ヤング『On The Beach』B面を混ぜたような雰囲気ですね。

全8曲がPART ONEとPART TWOに分かれ、<自らの尾を食べる円環状の竜や蛇のシンボルを指し、転じて自己再生や循環の意を持つ>というコンセプトがある“ウロボロス”。

聴き続けるうちに、ジャケット及び内ジャケに描かれている火星のような異空間へ誘われる作品。

一般的な受けは良くないでしょうが、後々名盤として語り継がれていく予感がします。森 陽馬


2016年3月13日(日) AOIFE O'DONOVAN 「HORNETS」

ピーター・バラカン主催イベント<LIVE MAGIC>。
第2回目となる2015年に来日し話題となった女性3人組ユニット、“I'm With Her”。

その3人の内の1人、AOIFE O'DONOVAN(イーファ・オドノヴァン)2016年ソロ2ndアルバムがリリース。
イーファ・オドノヴァン『In The Magic Hour』(国内仕様CD BSMF-6076 2,400円+税)

マイ・モーニング・ジャケット、スフィアン・スティーヴンス、R.E.Mとの仕事で知られるタッカー・マーティンがプロデュース。

1982年生まれアメリカ/マサチューセッツ州出身の彼女はアイリッシュ系音楽家の両親の元に生まれ、アイリッシュ/トラッド・フォークを聴きながら育ったそう。
アメリカーナ・サウンドにアイリッシュ的スパイスが入っているのも、そういうルーツがあるからでしょうね。

今日のこの1曲は4曲目「HORNETS」。
I'm With Herのサラ・ワトキンス(fiddle)とサラ・ジャローズ(mandolin)が参加。
美しいコーラス&フィードル&マンドリンを聴かせてくれます。

声に独特な色気を持ち、<アメリカーナのリッキー・リー・ジョーンズ>という雰囲気も感じさせるイーファ。

女性シンガー・ソングライターファン、パイレーツ・カヌーお好きな方にもオススメしたい1枚。森 陽馬


2016年3月14日(月) The Saint Johns 「Testifier」

例えるならば、現代のフリートウッド・マック?!

フロリダ出身のルイス・ジョンソン&ジョーダン・メレディスによる男女デュオ、The Saint Johns

リリースされて間もない1stアルバム『DEAD OF NIGHT』は、二人の絶妙のハーモニーと耳に残るキャッチーな楽曲が詰まった1枚です。
(輸入CD 88875159162)

女性Vo.のジョーダン・メレディスは、スティーヴィー・ニックスやスザンナ・ホフスを彷彿とさせる歌声♪
すごく似ているという訳でもないんですが、男性Vo.ルイスと声が重なった時、近いものを感じます。
(フリートウッド・マック「Rhiannon」をカバーしている動画があるので、少なからず影響は受けているのかも?)

プロデュースは、ポール・マッカートニー、バングルス、レジーナ・スペクターなど数多くのアーティストの作品を手掛けてきたデヴィッド・カーン。

元々フォーク・デュオでスタートし小編成によるライブも行っているようですが、アルバムはほぼ全編バンド・サウンド。
曲はほぼ全曲二人による共作で、ジャケットの空のようなカラッとしたロック・ナンバー「Testifier」(ギターがかっこいい!)もあれば、壮大な世界観を持った「The Way You Do」、フォーキーな「Oh St Johns」などなど...。
ハーモニーにソングライティングと、注目の1枚です。東尾沙紀


2016年3月15日(火) ダニー・ハサウェイ 「Voice Inside (Everything Is Everything)」

2016年3月15日はマイク・ラブ(ビーチ・ボーイズ)、75歳の誕生日!
おめでとうマイク!

ビーチ・ボーイズ来日公演も来週ですね。
(3月23、24日ビルボード・ライヴ東京、26日ビルボード・ライヴ大阪)

そして、今日は当店が新店舗へ移転オープンし9周年の日でもあります。
お客様皆々様、本当にありがとうございます。

旧店舗含めると、2016年4月22日で35周年。
まだまだ至らない点が多いのですが、できるかぎり1人1人のお客様により良い音楽をご紹介する街のCD店であり続けたいと思っております。
これからもよろしくお願いいたします。

若い人が音楽を聴かなくなった、と昨今はよく言われますが、本日は高校生でドラムをやっているお客様がいらっしゃって、ファンク・ドラマーについて色々話ができました。

ダニー・ハサウェイ『ライヴ』を店内でかけドラムを叩いているフレッド・ホワイトは当時16歳だった、という話をし、
バーナード・パーディのドラムが走りまくっているアレサ・フランクリン『ライヴ・アット・フィルモア』完全版の音源を紹介。そしてデヴィッド・ガリバルディのドラミングが弾けるタワー・オブ・パワー『バック・トゥ・オークランド』をお買い上げ。(新・名盤探険隊で今安い値段で出ているんです)

もうね、CD・レコード店で働いていて本当にうれしい瞬間でしたね。

彼が将来どのような音楽を好きになっていくかはわかりませんが、自分にとっても音楽への向き合い方を再確認でき、身がより引き締まる1日でした。森 陽馬

★掲載ジャケットは、大好きなアルバムベスト10に必ず入る1枚。ダニー・ハサウェイ『ライヴ』。
(国内CD 解説・歌詞付 WPCR-27657 952円+税)


2016年3月16日(水) マイクロスター 「TINY SPARK」

うれしいニュースが飛び込んできました!

マイクロスター、3年半ぶり新曲発売決定!!

4月13日発売
(EP+CD)microstar『TINY SPARK』
(完全限定盤 HCCD-9570 1,500円+税)

2008年発表名作アルバム『microstar album』後、2011年「夕暮れガール」、2012年「夜間飛行」のシングル2枚。
そこから約3年半! いやー、待たされましたね。

でも、そのブランクを全く感じさせないキラーチューン!「TINY SPARK」!

佐藤清喜さんがプロデュースした他アーティストの楽曲もここ数年でいくつか出ましたが、やっぱりマイクロスターですよ。

多幸感溢れるサウンド。
P-chan(飯泉裕子さん)の伸びやかな歌声。
そして、軸はブレずによりアップデートされたマイクロスター・ワールド。

言葉ではうまく説明できないけれど、聴く毎に感動しちゃうのです。

7月にはなんと!アルバム発売予定!!という驚きの噂もありますが、まずは4/13発売限定シングル。

マイクロスター今後の活動のためにも(笑)、是非このシングル購入して次回作へ期待を高めてくださいね。当店のみの特典も何かしら作成したいと思っております。森 陽馬


2016年3月17日(木) 大滝詠一 「陽気に行こうぜ~恋にしびれて」(2015村松2世登場!version)

大滝詠一のニュー・アルバム『デビュー・アゲイン』が本日入荷しました。
(初回限定盤 2枚組CD 当店作成発売記念リーフレット付 SRCL-8714 3,000円+税)

1984年『イーチ・タイム』以来、32年ぶりの新作というか蔵出し音源によるセルフ・カヴァー集。
こういうものが公式にCD化されて聴ける時が来るとは・・・。

大滝さん不在はなんとも寂しい事実ですが、いつかは多くのファンに聴いてもらおうと残してくれた音源だと思うので、心して聴かせていただくという気持ちです。

さて、初回限定盤のディスク1はお馴染みの曲が大滝ヴォーカルで聴ける今回のメイン・ディッシュなのですが、今日はディスク2から選んでみました。

僕にとってはこのディスク2に収められているセッションこそが、大滝さんの原点を一番強く感じられるのです。

1997年11月に久し振りの新録音・新曲「幸せな結末」を発売しましたが、その録音のためにトレーニングのような感じで1997年7月から9月にかけてソニーの信濃町スタジオで行われた、いわゆるひとつの<ナイアガラ・リハビリ・セッション>。今回のディスク2に収録されています。

1998年1月、山下達郎との新春放談の席でその一部が放送され、ファンを狂喜させてくれたお宝セッションが遂にCD化です。

普通のレコーディングではあらかじめ録音したバックの演奏を聴きながら、1人スタジオに入りヴォーカル録りをするのが大滝さんのやり方でしたが、このセッションではミュージシャンが演奏する前で歌う一発録りを敢行したそうです。ライヴ感ある雰囲気がたまりませんね。

大好きなエルヴィス・プレスリーの曲をメドレーにした「陽気に行こうぜ~恋にしびれて」では、特に楽し気な笑顔でセッションしている様子が想像できます。

村松2世(佐橋佳幸)~ほしいも(鈴木茂)~トクちゃん(徳武弘文)のギター・ソロも圧巻!
大滝さんが生きていたらなぁ...。森 勉


2016年3月18日(金) エルヴィス・プレスリー 「リップ・イット・アップ (陽気に行こうぜ)」

大滝詠一『DEBUT AGAIN』初回盤ボーナス・ディスクに収録されている曲を昨日は紹介させていただきましたが、今日はその曲をエルヴィス・プレスリーが歌っているものを聴いてみたいと思います。

「リップ・イット・アップ」(陽気に行こうぜ)はロックン・ロール創世記の1956年にリトル・リチャードやビル・ヘイリーのヴァージョンでヒットしました。

それをエルヴィス・プレスリーがさっそくカヴァーして、同年発表セカンド・アルバム『エルヴィス』A面1曲目に収録しています。

エルヴィス・プレスリー『エルヴィス』
(国内CD 解説・歌詞・対訳付 ボーナス・トラック6曲追加全18曲 SICP-4492 1,000円+税)

この当時、まだ21歳だったエルヴィス。
若さのエネルギーが充満しているなんとも勢いのある歌が魅力です。森 勉


2016年3月19日(土) 角松敏生 「City Lights」

大滝詠一『DEBUT AGAIN』、売れています。

オリコンCDアルバムランキング・3/17付デイリーチャートでは2位を記録!

良いとか素晴らしいとかを越えて、本当に感動の1枚。
多くの人に聴いてもらいたいですね。

さて、大滝詠一『ロング・バケイション』が発売され、「ルビーの指輪」が大ヒットしていた1981年。
この名作も35周年ということで新しく生まれ変わりました。

角松敏生『SEA BREEZE 2016』
(初回限定2枚組CD BVCL-707 3,700円+税)

角松敏生1981年発表デビュー・アルバム『SEA BREEZE』をバック・トラック(演奏)はそのままに、歌、各種コーラスパートを新たに再レコーディングしたリテイク&リミックス・アルバムです。

村上ポンタ秀一、林立夫、後藤次利、松原正樹、鈴木茂、今剛、清水信之、斉藤ノブ他、豪華ミュージシャンによるキレキレなバック演奏はリマスターで更に輝きを増し、<歌唱力の無さが歴然>(角松敏生本人による解説より)だったヴォーカルもアップデート。35年という時の隔たりを全く感じさせない作品に仕上がっていますね。

今日のこの1曲は、6曲目「City Lights」。
先月亡くなった松原正樹によるアレンジとギター・ソロ。
そして、林立夫&マイク・ダンのリズム隊。聴きものです。

初回限定盤ボーナス・ディスクには、1981年当時のオリジナルLPをレーザーターンテーブル(レコードの溝を針ではなくレーザーで読み取るプレイヤー)で再生・取り込みリマスタリングした音源を収録。
アナログ的な質感で当時の『SEA BREEZE』を楽しめます。

なお、角松敏生自身による解説も読み応えたっぷり。
その文章の一節で今日のこの1曲を締めるとしましょう。

<思い出せる人は思い出して欲しい。あの時代の風景を、街を、海を。
なんと馬鹿馬鹿しくも素敵な時代だったことか。>(角松敏生解説文より抜粋)  森 陽馬


2016年3月20日(日) 藤原さくら 「1995」

''魅惑のスモーキーヴォイス''
と注目されている福岡出身の女性シンガーソングライター、藤原さくら。

95年生まれ、20歳となって間もない彼女は昨年ミニアルバムでメジャーデビューを果たし、2月に1stフル・アルバム『good monring』をリリースしました。
(VICL-64482 2,800円+税)

何年か前にたまたま生で観る機会があり、容姿は年齢よりも若く見えたのですが歌声は大人っぽく、英語と日本語を織り交ぜた洋楽志向の楽曲と堂々と弾き語る姿が強く印象に残りました。

全曲彼女自身による作詞・作曲。

高田漣、青柳拓次、Curly Giraff、mabanua、関口シンゴ、Ryota"TOYIN" Miyahara&Takeshi "DAYO" Yanagishita(SPECIAL OTHERS)などがそれぞれ曲毎にプロデュースを担当しています。

高田漣のギターが印象的な全編英語詞によるカントリー調「1995」、色っぽさも漂うメロウな「maybe maybe」、等身大の女の子らしい詞のリード曲「かわいい」などなど、1曲1曲色んな表情を見せてくれます。

4月から放送される月9ドラマのヒロインにも選ばれ、これからメディアへの登場が増えていきそうですね。 
どんどん活躍してほしいシンガーです。東尾沙紀


2016年3月21日(月) クローヴァーズ 「Blue Velvet」

大滝詠一『DEBUT AGAIN』、お買い上げの方には当店恒例の発売記念リーフレットをプレゼント中。

1981年12月に行われた大滝詠一ヘッドフォン・コンサート、森勉が当時を振り返ってレポートした内容です。

『DEBUT AGAIN』にはそのヘッドフォン・コンサートで披露された「風立ちぬ」が収録。
約35年前のコンサートを思い浮かべながら『DEBUT AGAIN』をお楽しみいただければ幸いです。

さて、そのヘッドフォン・コンサートでは山下達郎さんのコンサートと同じように、コーラス隊(伊集加代子、鈴木宏子、和田夏代子)とのアカペラ・コーナーがあり、フリートウッズ「コンフィデンシャル」、クローヴァーズ/ボビー・ヴィントンで有名な「ブルー・ヴェルヴェット」が歌われました。

大滝詠一によるアカペラ作品『オン・ザ・ストリート・コーナー ナイアガラ編』も聴いてみたかったですね。

今日のこの1曲は、クローヴァーズ「ブルー・ヴェルヴェット」。

1955年に歌ったクローヴァーズがオリジナルと思っていましたが、1951年にトニー・ベネットの歌唱が最初のようです。(Bernie Wayne&Lee Morris作)

ちなみにボビー・ヴィントンのヴァージョンは1963年ビルボード・シングルチャート全米No.1ヒット。
デヴィッド・リンチ監督1986年製作映画『ブルー・ベルベット』では、ボビー・ヴィントン・ヴァージョンが使われています。森 陽馬

★掲載ジャケットはドリーミーなドゥーワップ・コーラスが沁みるクローヴァーズ・ヴァージョン収録編集盤CD『ザ・クローヴァーズ』。(国内CD 解説・歌詞付 WPCR-27567 952円+税)


2016年3月22日(火) トゥモロウ 「マイ・ホワイト・バイシクル」

1966年中頃あたりからの2年間は、サイケデリックという言葉が音楽界で頻繁に使われていました。

アメリカではバーズが「霧の8マイル」リリースを皮切りに、カウント・ファイヴ「サイコティック・リアクション」、ブルース・マグース「恋する青春 (We Ain't Got Nothin' Yet)」、シーズ「プッシン・トゥ・ハード」などのヒットが出て、1967年にはジェファーソン・エアプレインがシーンに登場。サイケなサウンドが認知されていったような感じでした。

イギリスではビートルズ、ローリング・ストーンズを筆頭に、ドノヴァンが「サンシャイン・スーパーマン」、「メロー・イエロー」でそんなサウンドを強調し、ピンク・フロイドもレコード・デビュー。

新しい音楽―サイケデリック・ミュージックは、ミュージシャンの奇抜なファッションと共にかなりのブームとなっていきました。

さて、前置きが長くなりましたが、今日はサイケ時代の隠れた名盤を紹介したいと思います。

1988年イギリス/パーロフォン・レーベルから発売されたトゥモロウというグループによる唯一のアルバムです。

トゥモロウ『トゥモロウ』
(国内CD 完全限定盤 解説・歌詞付 WPCR-16732 1,300円+税)

この後イエスに参加することとなるギタリスト、スティーヴ・ハウが在籍していたバンドで、彼のギター・プレイを含めサイケなサウンドがたっぷり楽しめる作品になっています。

逆回転などこの当時の録音技術を駆使した音作りは一聴の価値があると思います。

ヒットはしませんでしたが、インパクトあるシングル曲「マイ・ホワイト・バイシクル」を聴いてみましょう。森 勉


2016年3月23日(水) ボブ・ディラン 「That Old Black Magic」

2016年3月23日、24日はビルボード・ライヴ東京にてビーチ・ボーイズ来日公演! (大阪公演は3月26日)
ジェフリーが再加入してからのビーチ・ボーイズ、楽しみですね。

今月&来月は大物ミュージシャンの来日ラッシュで、10cc、ディアンジェロ、ブライアン・ウィルソン、ボブ・ディラン、エリック・クラプトン、テデスキ・トラックス・バンドと目白押し。

中でも4月中ずっと日本にいる感じのボブ・ディラン。
来日記念盤として2,500枚完全限定EPが本日発売されました。

ボブ・ディラン『メランコリー・ムード』
(国内EP SIKP-1 1,852円+税)

今年発売予定のボブ・ディラン最新アルバム『フォールン・エンジェルズ』から新曲4曲を収録。

2015年発表作『シャドウズ・イン・ザ・ナイト』はフランク・シナトラが歌っていた曲のカヴァー作でしたが、新作『フォールン・エンジェルズ』もその続編的な内容だそうで、アメリカン・スタンダード・ナンバーを落ち着いた雰囲気で歌っています。

今日のこの1曲はB面2曲目に収録されている「That Old Black Magic」。
オリジナルはグレン・ミラー&ヒズ・オーケストラによる1942年作。
フランク・シナトラ、エラ・フィッツジェラルドも歌っている名曲をほのぼのとカヴァー♪

名エンジニア、アル・シュミットがレコーディング&ミックスを担当。
1960年代の赤盤を想起させるレッド・カラー盤仕様というのもうれしいですね。

唯一の難点は7インチEPに4曲入っているため、片面2曲目がどうしても音質的に悪くなってしまうことですが、これはコンパクト盤と割り切り、フル・アルバムを楽しみに待つこととしましょう。森 陽馬


2016年3月24日(木) Maz O'connor 「The Longing Kind」

近年ブリティッシュ・フォーク・シーンで活躍する注目の女性シンガー、Maz O'connor(マズ・オコナー)

ロンドンを拠点に、伝統的なフォーク・ソングを中心に歌い活動を続けてきた彼女。
本国で2月にリリースされた3枚目となる最新作『The Longing Kind』は、自身初の全曲オリジナルによるアルバムです。(輸入CD RHCD 101)

透明感と凛とした強さも併せ持った歌声。
歌い方は時折、ジョニ・ミッチェルの影響も感じさせます。

同じく英国フォーク・シーンで活躍する男性SSW、Jim Morayが今作のプロデュースを担当。
チェロやトランペット、バンジョー、マンドリン、ペダル・スティールなどが歌とギターに溶け込み、彼女の歌を引き立たせています。

クリス・ヒルマン(バーズなどで知られるあの人とは同名異人でした)のペダル・スティールをフィーチャーしたタイトル曲では、エコー感のある心地良い音の響きが印象的です。

伝統を歌い継ぎながらも、新しい風を感じさせる求心力のあるシンガーです。東尾沙紀


2016年3月25日(金) ローリング・ストーンズ 「ダイスをころがせ」

ひさしぶりにローリング・ストーンズが聴きたい気分ということで、『メイン・ストリートのならず者』からこの1曲。

ローリング・ストーンズ『メイン・ストリートのならず者』
(国内CD UICY-20079 2,095円+税)

ストーンズは1960年代デッカ時代が個人的にはやはり好きなのですが、1972年に発表されたこのアルバムも当時よく聴いていました。

と言っても自分で買ったのではなく(2枚組で高かったので買うのを躊躇しました)、友達が持っていたものを何度も借りていたのですが・・・。

レコードでは1枚目のA面5曲目だった「ダイスをころがせ」(Tumbling Dice)は、ラフでルーズな雰囲気を漂わせていながら、これぞストーンズの名人芸といったうねりのある1曲です。

いつ聴いても惹き込まれてしまいます。森 勉


2016年3月26日(土) ビーチ・ボーイズ 「Wouldn't It Be Nice」

当店名の由来となったビーチ・ボーイズ1966年発表アルバム『ペット・サウンズ』。
50周年記念盤が6/10世界同時発売決定いたしました。

完全限定スーパー・デラックス・エディションは4CD+ブルーレイ・オーディオ、究極の5枚組!
(国内仕様CD UICY-77778 10,000円+税)

1997年発売『ペット・サウンズ・セッションズ』に未発表ライヴ&未発表テイクを追加。
ハイレゾ、5.1ch収録のBlu-ray Audioには新たに「Summer Means New Love」などのハイレゾも収録!

『ペット・サウンズ』は○枚目だよ~、という方もたくさんいらっしゃるでしょうが50周年ですからね。
元気なマイク・ラブとブライアンに感謝を込めて是非手に取ってみてください。

さて、3月24日(木)ビルボード・ライヴ東京でのビーチ・ボーイズ公演(21時半スタートの第2部)を見てきました。

75歳になったマイク・ラブ、最初出てきた時はさすがに歳をとったなあ、と感じましたが歌っているうちにどんどん元気が出てきて、マイクお得意のセクシー目配せビーム連発!

新加入ジェフリー・フォスケットは美しいファルセットを活かして「Don't Worry Baby」、「Darlin'」を披露。
ジョン・カウシルが歌った「Cotton Fields」、「California Dreamin'」も良かったですね。
あと、「Why Do Fools Fall In Love」のコーラス・ワークも素晴らしかった!

マイク・ラブがジョージ・ハリスンへ捧げた曲(前回の来日公演でも披露された「Pieces Brothers」)は、これをやるなら他の歌を聴きたかったなぁ~というのが正直な感想ですが、まあでも全体的に楽しいライヴでしたね。
(各日でセットリストは微妙に違っていたようです。24日2部では「In My Room」もやってくれました)

あと、ステージ後ろヴィジョンで曲毎に流される映像は、前回時よりブライアンが映っている場面が多くなった感あり嬉しかったなぁ。
特に『ペット・サウンズ』1曲目「Wouldn't It Be Nice」の際はブライアン中心の映像でした。
カールの歌声を流した「God Only Knows」、デニスの歌声を流した「Do You Wanna Dance」も感動的でしたね。森 陽馬


2016年3月27日(日) マーサ&ザ・ヴァンデラス 「Heat Wave」

ソウル・ファン垂涎の音源が正式リリースされました。

『モータータウン・レビュー ~ライヴ・イン・パリ』
(国内2枚組CD 全31トラック 解説・歌詞・対訳付 UICY-15512 3,200円+税)

1960年代モータウン全盛期のライヴ・ショウ、パリ公演の完全版です。

1965年4月に行われ同年ライヴLPがリリースされていますが、14曲の未発表曲を追加した全31トラック。

マーサ&ザ・ヴァンデラス、シュープリームス、スティーヴィー・ワンダー、スモーキー・ロビンソン&ミラクルズによる素晴らしいライヴ音源は、51年の時を経てもその熱気が伝わってきます。

全体的にやや高音がきつい感じもしますが、1965年のライヴ音源ですからね。
録音が残っていただけでもありがたいと思います。

スモーキー・ロビンソン&ミラクルズによる感動的なラスト「ミッキーズ・モンキー」(フル・ヴァージョン)が聴きものですが、今日のこの1曲は大好きなマーサ&ザ・ヴァンデラス「ヒート・ウェイヴ」。

オリジナルよりテンポアップしていて走り気味な「ヒート・ウェイヴ」! かっこいい! 森 陽馬


2016年3月28日(月) NONA REEVES 「BLACKBERRY JAM」

結成&インディーズ・デビューから20年(来年でメジャーデビュー20周年!)となるノーナ・リーヴス。

前作から約2年ぶり、14枚目となる新作『BLACKBERRY JAM』が先日リリースされました。
(HBRJ-1022 2,650円+税)

かせきさいだぁ、サイプレス上野をゲストに迎え、久々のセルフ・プロデュース作。

ノーナ流シティ・ポップ「HARMONY」に始まり、ギターカッティングがかっこいいファンク「スパイシー」、松尾潔作詞によるパパ目線の「You're a big boy now ~お兄ちゃんになるまえに~」、90年代J-POPを思わせる「Survive Your Life」、バラード「Crybaby」などなど、ダンス・ミュージック、ファンク、ポップ、ロックなんでも盛り込んじゃえ!的な楽しい空気が詰め込まれたアルバムです。

特にタイトル曲「BLACKBERRY JAM」。

スタジオで楽器に囲まれながら音楽を奏でるメンバーの映像を、モノクロ&字幕で映画風の仕立てたPVも素敵なので必見です。東尾沙紀


2016年3月29日(火) はっぴいえんど 「明日あたりはきっと春」

鈴木茂の自伝本『鈴木茂のワインディング・ロード』が発売されました。

(リットー・ミュージック 約290ページ 1,800円+税)

はっぴいえんど、キャラメル・ママ、ティンパン、ハックルバック、ソロ作、近年の活動から、大麻で逮捕された時の話(!)まで、茂さん自らの言葉で語られています。

茂さんの語り口には気取ったり取り繕うようなところがなくて、読んでいて好感が持てますね。

はっぴいえんどアメリカLAレコーディング時のエピソード(ローウェル・ジョージのギター・プレイを間近で見てスライドに目覚めた)等、興味深い話がたくさんあって一気に読んでしまいました。

貴重な写真も多く掲載されてますので、是非ご覧になってみてください。

今日のこの1曲は、1972年9月LA録音はっぴいえんど3rdアルバムから鈴木茂作曲「明日あたりはきっと春」。
(はっぴいえんど『HAPPY EN』 CD KICS-2560 1,429円+税)

この曲のレコーディング時、大滝詠一から「出だしのメロディーがバート・バカラック「アルフィー」に似ている」と盗作疑惑を持ちかけられ、茂さんは全くそのつもりはなく憤慨したそうです。

他の各曲についても鈴木茂本人の解説にギター・フレーズの参考にした楽曲が記されていて、読んでいると作品を聴き返したくなりますね。森 陽馬


2016年3月30日(水) ドン・マクリーン 「ヴィンセント」

ユニバーサル・ミュージックからどんどん発売されている名盤発見伝シリーズ。
3月30日にまたいろいろと興味深い作品が出ました。

ラリー・マレイ、クリストファー・キーニー、トニー&テリー、ロスト・ゴンゾー・バンド、ガスリー・トーマス、エリック・カズ在籍アメリカン・フライヤー等、アメリカン・ルーツ・ミュージックやシンガー・ソングライター系がお好きな方には持っていて損のないラインナップだと思います。

今回出た中では一番メジャーなドン・マクリーン『アメリカン・パイ』から聴いてみたいと思います。
ベスト盤は出ていましたが、このオリジナル・アルバムは日本初CD化だそうです。
(国内CD 解説・歌詞・対訳付 UICY-15489 1,800円+税)

1971年11月に発売され、1972年1月には全米No.1ヒットとなった「アメリカン・パイ」は8分30秒ほどある長い曲でした。(アルバムでは続けて全編聴けますが、シングル盤ではA面に約4分のパートⅠ、B面に約4分半のパートⅡが収録されていました)

今日はその「アメリカン・パイ」は置いといて、3曲目に入っているしっとりとしたこの1曲「ヴィンセント」。
画家のゴッホへ捧げた極上のバラードです。

なお、この「ヴィンセント」、アゲイン店主石川茂樹さんの大好きな1曲。
3月は怒涛の9周年イベント、御苦労さまでした。
ドン・マクリーンの癒しの歌声を石川さんへ捧げたいと思います。森 勉


2016年3月31日(木) MICHEL ROQUES (ミシェル・ロック) 「LE TEMPS (時)」

武蔵小山駅周辺の再開発を横目に見ながら、2016年も3か月が過ぎました。

毎夜賑わっていたりゅえる(武蔵小山駅前飲食街)、今はほとんどが更地になりました。
2度と造成できないような昭和を感じさせるあの雰囲気は遠い記憶の中へ。
作るのと違い、壊すのはあっという間です。

それとは別に、先日ビルボードライヴ東京へ行った際、昔の六本木の想い出が久々に甦りました。

六本木WAVE、そしてシネ・ヴィヴァン。
CD・レコード店巡りが好きだった昭和人にとって、六本木WAVEは革新的というか本当に刺激的な店でしたね。

普通の店には置いていないような不思議な品揃え。
ジャンルが特定できないワールド・ミュージックの数々。
どんな内容かよくわからないが面白そうだから買って聴いてみたけれどやっぱりよくわからない作品群...。

行く度に新しい発見がありましたね。
シネ・ヴィヴァンでは『9月のクルトヴァイル』とか音楽映画も時々上映していましたが、一風変わった映画ばかりやっていて、その時は何だか意味不明だったけれど(今見ても意味不明かも)、視野を広げてくれた場でした。

今日のこの1曲は、フランスの盲目サックス&フルート奏者ミシェル・ロック、1972年発表作『コーラス』から。
(世界初CD化 国内CD 日本語解説付 RPOZ-10022 2,000円+税)

アフロ/ラテンなリズム meets フレンチ・ジャズ。(+時々ポエトリー・リーディング)
パーカッションが乱れ打たれるグルーヴ感あるサウンドと、前衛的かつ情熱的なサックス&フルートの音色。

六本木WAVEとは関係ありませんが、こういう音楽を聴くとCD・レコード店巡りをしていた古き良きあの頃のことが思い出されるのです。森 陽馬



これより以前に掲載した“今日のこの1曲”は、
 “今日のこの1曲 アーカイヴス” コーナーにてご覧になれます。■



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