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  今日のこの1曲 “Archives”

<2017月8月>

当店ペット・サウンズ・レコード店にて
その日に店内でかけていた曲の中から、
店員の独断と偏見で選んだ“今日のこの1曲”コーナー

2017年8月に更新した“今日のこの1曲”コーナー


廃盤・生産中止、規格番号の変更など、
情報が古くなっている商品もございますが、ご了承くださいませ。

<最新の“今日のこの1曲”はこちらのページをご覧ください>



2017年8月1日(火) 山下達郎 「Southbound#9」

山下達郎の楽曲に小林克也のD.J.をのせるという発想は、まだ知る人ぞ知るという存在だった山下達郎をもっと多くの音楽ファンに知ってもらいたい、と思っていた1979年当時の所属レコード会社であるRVCレコード宣伝スタッフが思いついたものでした。

そして作られたのが、『カム・アロング』でした。

当初は店頭演奏用の非売品レコードでしたが、それが評判になり、1980年カセットのみで発売され、後にLPにもなり、1984年には続編『カム・アロング2』も出て、その後CD化もされました。

既存のよく知っている曲でも、曲順が変わったり、DJが入ったりすると、なんとなく違う雰囲気で聴こえてきたりします。

ということで、『カム・アロング3』。
(国内CD 山下達郎『COME ALONG3』 WPCL-12690 2,200円+税)

『カム・アロング』はRCA時代、『カム・アロング2』はAIR時代の音源で構成されていましたが、今回の『カム・アロング3』はムーン・レコード時代からの音源です。
1983年から2016年の33年間に発表された楽曲から12曲選ばれています。

今日はその中からラストに入っている「サウスバウンド・ナンバー9」。

1998年発表アルバム『コージー』に入っている曲だから、もうかれこれ20年近く前の曲だけれど、『カム・アロング3』の中で聴くと実に新鮮に響いてくるんですね。
今回の12曲の中で一番うれしい選曲でした。

なお、お買い上げの方には、『カム・アロング』発売記念で作ったペット・サウンズ・レコード特製・山下達郎リーフレット差し上げています。
特集は1980年5月1日山下達郎初の中野サンプラザ・ライヴ!です。森 勉



2017年8月2日(水) 山下達郎 「WINDY LADY」

『COME ALONG3』を昨日紹介しましたが、RCA時代の『COME ALONG』、『COME ALONG2』もリマスターされソニーから同時発売されています。

まず山下達郎『COME ALONG』。
(CD 解説:山下達郎 歌詞及び小林克也・竹内まりやのナレーション部分対訳付 BVCL-835 1,852円+税)

聴けば聴くほど素晴らしい選曲、曲順、演技力たっぷりの小林克也ナレーションです。

もちろん、山下達郎楽曲のインパクトがあってこそなのですが、1979年当時のレコード会社スタッフの山下作品への愛情と、こんなイイモノを売らなくてどうするという情熱が伝わってくる『COME ALONG』なのです。

それに、アカペラ・タグの入れ方にもアイディアの良さを感じます。
竹内まりや「ドリーム・オブ・ユー」のコーラス部分、「This Could Be The Night」のアカペラ部分、そして、そして、他では聴くことが出来ない!山下達郎「蛍の光」などが絶妙なタイミングで挿入されています。

今日のこの1曲は、ワイオラに住んでいてリンカーン・ハイ・スクールに通っている17歳(役柄上)竹内まりやのナレーションの後に流れてくる「WINDY LADY」を。森 勉



2017年8月3日(木) 冬にわかれて 「耳をすまして」

2017年6月21日リリース寺尾紗穂最新アルバム『たよりないもののために』と同時発売予定ながら延期となっていた<冬にわかれて>デビュー・ソングル限定7インチ・シングルが今週入荷しました。
(アナログEP 冬にわかれて『耳をすまして/優しさの毛布でわたしは眠る』 P7-6221 1,700円+税)

<冬にわかれて>は、寺尾紗穂、伊賀航、あだち麗三郎の3人によるバンド・プロジェクト。

ピアノでしっとりと始まり、躍動していく「耳をすまして」。
あだち麗三郎のサックスが絡む「優しさの毛布でわたしは眠る」の2曲。

伊賀さん&あだちさんは以前の作品同様新作『たよりないもののために』にも参加されていますが、<冬にわかれて>は、リズム隊がグイグイと引っ張っている印象があります。

「耳をすまして」では、弾むメロディとピアノも相まって、3人でこそのグルーヴ感が生まれているなと感じます。

今後も7インチでのリリースが予定されているとのこと。
伊賀さん作新曲もたしか6月に行われた配信生ライヴで歌われていたと思いますが、そちらも音源化されるのがとても楽しみです。東尾沙紀



2017年8月4日(金) Sabrina Malheiros 「Celebrar」

心地良い風を運んでくれるブラジル音楽2017年新譜この1枚!

Sabrina Malheiros『Clareia』
(輸入CD FAR OUT FARO-199CD)

ブラジリアン・フュージョン名グループ、アジムスのベーシスト、アレックス・マリェイロス。
彼の娘であるサブリナ・マリェイロス2017年発表オリジナル・アルバムです。

ブルーイ(インコグニート)の息子、ダニエル・モーニックがプロデュースを担当。
リオデジャネイロ録音、新世代ブラジリアン・ジャズを聴かせてくれる爽快な作品に仕上がっています。

穏やかな波の音から、父アレックスのベース・リフ・イントロで幕を開ける1曲目「Celebrar」。
FAR OUTレーベルらしいクールかつメロウなグルーヴ感が最高なキラーチューン♪

同じFAR OUTからリリースされたマルコス・ヴァリ関連、アジムスのアルバム気に入っている方、清涼感ある女性シンガーお好きな方にもオススメしたい2017年夏ブラジル特選盤。
夕暮れに差し掛かる時分、海辺でドライヴしながら聴いたら気持ちいいでしょうね。森 陽馬



2017年8月5日(土) ワークシャイ 「Quiet Storm」

昨日に引き続き、爽やかな風を運んでくれる女性シンガー新譜この1枚。

ワークシャイ『WAYWARD』
(国内CD 解説・歌詞・対訳付 PCD-25229 2,500円+税)

1989年デビュー、クリスタ・ジョーンズとマイケル・マクダーモットによる英国ロンドン発男女ユニット、ワークシャイ。

6年半ぶり11作目となるオリジナル・アルバム『WAYWARD』。
スタイリッシュなアーバン・メロウ・ポップが楽しめる仕上がりだ。

全11トラック中、唯一のカヴァーは「Quiet Storm」。
ミラクルズで多数のヒット曲を出したスモーキー・ロビンソン、1975年発表ソロ3作目に収録されている名曲。

ゆったりと、穏やかなようでいて、さざ波のように押し寄せる<Quiet Storm>(静かな嵐)。
それは天候の嵐ではなく、心の中にやさしく温かく、そして激しく湧き上がる恋の嵐。

WAYWARD(わがままな、気まぐれなの意)な恋心を語りかけるように表現したアダルトなアレンジ。
夏の陽射し、秋の風に吹かれながら聴きたいナンバーを今日のこの1曲に。森 陽馬



2017年8月6日(日) 山下達郎 「LOVE TALKIN'」

今週は『COME ALONG』ウィーク、ということで残りの『COME ALONG2』も紹介しちゃいましょう。

山下達郎『COME ALONG2』
(CD 解説:山下達郎 歌詞及び小林克也・竹内まりやのナレーション部分対訳付 BVCL-836 1,852円+税)

『ムーングロウ』、『ライド・オン・タイム』、『フォー・ユー』のアルバムからと、1982年発表シングル「あまく危険な香り」を加えた全11曲を収めてあります。

1984年に出た当時はアナログ盤だったので、A面<ナイト・サイド>、B面<デイ・サイド>というコンセプトでした。

この『COME ALONG2』でも小林克也のDJは冴え渡り、山下達郎楽曲に新しい魅力をプラスしてくれています。

「ラヴ・トーキン」でのイントロのDJは、克也さんのセンスの良さを感じる一品!
“山下達郎は1953年に生まれて、学生の時ブラス・バンドをやって、その後シュガー・ベイブを結成して、、、”
というナレーションが実にうまく「ラヴ・トーキン」前奏にはまっています。

「ダウン・タウン」、「サーカス・タウン」と韻を踏むところなどは、思わず拍手です。森 勉



2017年8月7日(月) フォーク・クルセダーズ 「悲しくてやりきれない」

8月6日(日)WORLD HAPPINESS 2017へ行ってきました。

2017年で10周年を迎えた音楽野外フェスティバル、ワールド・ハピネス。
夢の島公園競技場で行われていましたが、2020年オリンピック開催に伴い今年は葛西臨海公園で開催。

天候にも恵まれお客さんもたくさん入っていましたが、とにかく暑かったですねー。
陽射しが強くて、日陰になる場所へ何度か退避したもののかなり日焼けしてしまいましたよ。
でも、海沿いで雰囲気も良かったし、野外で音楽を聴くのはやっぱり楽しかったです。

高橋幸宏といとうせいこうがキュレーターを務め、くるり、電気グルーヴ、GLIM SPANKY、いとうせいこう&DUBFORCE featスチャダラパー&高木完、コトリンゴ、TOWA TEI、Nulbarich、みうらじゅん、竹中直人、鈴木慶一&高野寛&METAFIVE等が出演。

電気グルーヴ、くるりのステージはもちろんのこと、いとうせいこう&DUBFORCEにスチャダラパーをfeatした「今夜はブギーバック」がとても盛り上がっていました。(DUBFORCEの演奏最高!)

でも、ハイライトはコトリンゴのステージでスペシャル・ゲストのんが歌った「悲しくてやりきれない」でしょうか。
広島平和記念日であったこの日最も暑い時間帯でしたが、この歌の時は静かで深遠な空気になりました。

なお、トリの高橋幸宏スペシャル・バンドでのんが再登場。
豪華メンツをバックに従え披露した「タイムマシーンにおねがい」も良かったです。

ちなみにラストはいとうせいこう&METAFIVEによる「東京ブロンクス」。
日本語ラップの原点とも言える1986年発表いとうせいこう&タイニイパンクスの楽曲でワーハピ2017は終了。
来年もこの場所で開催してほしいですね。森 陽馬



2017年8月8日(火) ニール・ヤング 「The Old Country Waltz」

東京では蒸し暑い毎日が続いていますが、暦では今週から<立秋>。
これからの猛暑も<残暑>ということになります。

まだしばらくはその残暑が続くでしょうが、涼しい秋が待ち遠しくなるニュースが届きました!

ニール・ヤング1976年8月録音未発表アルバムが2017年9月8日発売決定!

ニール・ヤング『ヒッチハイカー (hitchhiker)』
(2017年9/8発売 国内CD SHM-CD仕様 解説・歌詞・対訳付予定 WPCR-17885 2,457円+税)

1976年はニール・ヤングが初来日した年。
アルバムでいうと、『ZUMA』(1975)と『American Stars N'Bars』(1977)の間。
スティルス・ヤング・バンド『Long May You Run』リリースと同じ年代ですね。

収録曲は後のアルバムに入っている楽曲が多い(タイトル曲「Hitchhiker」も2010年作『Le Noise』収録)のですが、この時期のニールによる弾き語りはまた一段と良いですからねー。
シンプルながらニールらしい70年代中期の歌とギターが堪能できる作品だと思います。

特にラスト「The Old Country Waltz」。
コレ、大好きな曲なんですよ。

『American Stars N'Bars』に収録されたヴァージョンが本当に最高!泣けるっ!
今回の『ヒッチハイカー』はソロ・アコースティック・ヴァージョンかな?

まあとにかくも、ジャケットかっこいいし、リリースが楽しみですね。森 陽馬



2017年8月9日(水)  ジャクソン・ブラウン 「If I Could Be Anywhere」

PET SOUNDS RECORD企画による天辰保文氏トーク・イベント『Talking Man』。
2017年9月25日(月)、第8回目の開催が決定いたしました。

第6回目イーグルス特集、第7回目リンダ・ロンシュタット特集、ときて第8回目はジャクソン・ブラウン特集!

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2017年9月25日(月)
PET SOUNDS RECORD presents“天辰保文 Talking Man Vol.8 ジャクソン・ブラウン特集”
ライヴ・カフェ アゲイン(武蔵小山)
18時半開場 19時半開演 入場料1,500円
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2017年10月来日公演が決定しているジャクソン・ブラウン。
彼の楽曲を皆で聴きながら、天辰保文氏にお話を色々伺いたいと思っています。
秋の一夜、お時間ある方は是非お越しください。

今日のこの1曲は、ジャクソン・ブラウン2014年発表現時点での最新オリジナル・アルバム『Standing In The Breach』から、プラスティック廃棄物による海洋汚染問題をテーマにした5曲目「If I Could Be Anywhere」。

1970年代から自然保護、反原発・核廃絶を訴えているジャクソン。
21世紀の現在も変わらぬ不安を抱えている社会に、そして僕らに、美しいメロディーで紡ぐ力強いメッセージ。

前を向く新しい世代にも聴いてもらいたい名曲です。森 陽馬


2017年8月10日(木) ヴェイパー・トレイルズ 「サーフサイド・フリーウェイ」(『ベスト・ヒットUSA』のテーマ)

このところ山下達郎『COME ALONG』の話題が続きましたが、小林克也繋がりでもうひとつ。

現在も克也さんの司会で続いているテレビ番組『ベスト・ヒットUSA』。
全米チャートをカウントダウンしていく音楽番組で、1980年代は毎週楽しみに見ていました。

チャートも興味深かったし、古い曲が流れるタイムマシーンのコーナーや来日したミュージシャンがゲスト出演したりと、洋楽ファンとしては欠かせない番組でした。克也さんの曲紹介、かっこ良かったし。

さて、みなさん『ベスト・ヒットUSA』のテーマ曲、覚えていますか?
(今でも使われているのですが、現在は見ていない方が多いだろうとこんな問いかけになってしまいました。)

爽快なギター・リフが印象的なあの曲です。
ヴェイパー・トレイルズ「サーフサイド・フリーウェイ」。

なんとかっこいい曲名!
しかし、なんと、これ邦題です。
原題は「Don't Worry Baby」。
プロデューサーはラリー・カールトン。センスの良さはさすがです。

今でもCDが発売されています。
ヴェイパー・トレイルズ(国内CD 解説・歌詞・対訳付 WPCR-17402 1,300円+税)

1980年代当時はVT's(ヴィーティーズ)と訳されてレコードが出てたりしましたね。森 勉


2017年8月11日(金) 花柄ランタン 「風のサニー」

2016年の今頃、花柄ランタンという大阪出身・京都在住の男女フォーク・ポップ・デュオを知りました。

彼らが2016年に発表した曲「生成りのこころ」のMVを見て、ハンバートハンバートぽいな、と思ったのがきっかけでしたが、この曲含め詞やメロディ、ギターの音、ハーモニー...2人の空気感が良くて、それから気になる存在です。

結成は2011年。
ピアニカなども担当するまっすぐな歌声の中田ぷき、作詞・作曲・ギター&コーラスの村上真平の2人組。

これまで自主制作で3枚のアルバムを発表しており、今週発売になった新作『まともな愛のま、まほうの愛のま。』が、4枚目にして初の全国流通盤となります。
(GRRN-05 1,800円+税)

♪せやかて、せやかて~♪と大阪弁のノスタルジックな詞と、アンデス(リコーダーの音がする鍵盤楽器)が印象的な初期人気曲「風のサニー」再録バージョン、甘酸っぱい「初恋」、今までになかったバンド・サウンドを取り入れた朗らかな「キャラバン」...など全9曲。

新しい試みと、何より音楽を楽しんでいる気持ちが伝わってくる1枚♪

現在新作をひっさげ各地をツアー中。
東京でも今月ライヴがありますので、気になる方がいたら是非チェックしてみていただきたいです。東尾沙紀


2017年8月12日(土) 星野源 「ファミリー・ソング」

星野源の新曲「ファミリー・ソング」が8月16日発売予定です。

初回盤をご希望の方はお早めに。
約600円の違いで新春Live『YELLOW PACIFIC』ライブ映像など充実したDVD付初回盤はお得だと思います。

さて、その「ファミリー・ソング」は10か月ぶり10枚目のシングル。
日本テレビ系で放送されている高畑充希主演ドラマ『過保護のカホコ』主題歌です。

前作「恋」は大ブームとなったダンス・ナンバーでしたが、今回はゆったりしたミディアム・テンポの曲調。
星野源曰く「1960年代後半から70年代前半のソウルを意識した曲調になっています」とのこと。

すてきなイントロは個人的にヴァン・モリソン「クレイジー・ラヴ」をほんのちょっぴりですが感じてしまいました。

名ギタリストでもある星野源も相変わらずいいフレーズを弾いているようなのですが、ネット上&ラジオでは充分に伝わってこないので、CDの音でそこらへんも感じ取りたいですね。森 勉

★先着特典クリアファイルも当店でお付けできることになりました。


2017年8月13日(日) リンジー・バッキンガム/クリスティン・マクヴィー 「Carnival Begin」

願・来日!フリートウッド・マック!

ということで、2017年初夏リリースされ現在もロングセラーとなっているこの1枚。

リンジー・バッキンガム/クリスティン・マクヴィー
(国内CD 室矢憲治氏による解説・歌詞・対訳付 WPCR-17838 2,400円+税)

1967年結成(ブルース期含む)英国バンド、フリートウッド・マック。
そのギタリストであるリンジーと、女性シンガー&キーボーディストのクリスティンによる初デュオ作です。

2人のソングライティング、そして歌声&演奏は健在。
更にミック・フリートウッドとジョン・マクヴィーも参加しているので、マックファン必聴の全10曲。

今日のこの1曲はクリスティン作のラスト10曲目「Carnival Begin」。

<新しいメリーゴーラウンド>、<北へ、西へ、東へ、南への船出>、そして<カーニヴァルの始まり>。
フリートウッド・マック最後のツアーを想起させる新たな再出発の歌。

弾くぞと見せかけてあまり速弾きしないリンジーが、最後聴かせるギター・ソロに心打たれます。森 陽馬


2017年8月14日(月) ミック・ジャガー 「Gotta Get A Grip」

2017年7月26日で74歳になったミック・ジャガーの新曲が凄い!

ミック・ジャガー『Gotta Get A Grip/England Lost』
(国内CD 解説・歌詞・対訳付 UICY-5133 740円+税/輸入アナログ盤も発売中)

2016年12月発表ローリング・ストーンズによるブルース・カヴァー・アルバム『ブルー&ロンサム』が最高にかっこよくて、同時期に録音したと噂されるオリジナル作も!?と思われていた矢先、ミックのソロが突然発売。

何故にこのタイミングでソロ?と最初は思いましたが、歌詞を読んで納得。

1曲目「Gotta Get A Grip」は米国トランプ政権を揶揄した歌。
2曲目「England Lost」は、応援しているサッカーチーム(イングランド代表)についてかと思いきや、EU離脱を決定した英国への不安や皮肉を込めた歌詞になっているのです。

ローリング・ストーンズは万人が楽しめるエンターテイメント。
だから政治的な歌は持ち込まず、それをソロ作として、アルバムではなくシングルで表現したということなのでしょう。

<音楽>が安売りされ使い捨ての如く消費されていく現代。
ロックな精神息づく歌を世に出した74歳ミックの志に脱帽! 森 陽馬


2017年8月15日(火)  ローラ・ニーロ 「Save The Country」

森泉岳土という漫画家をご存じでしょうか?

装画を水で書き、そこに墨を落として爪楊枝や割りばしを使い描かれる独特な絵世界。
シンプルなようで奥深い物語にとても惹きこまれています。

特に寺尾紗穂さんも絶賛している彼の著書『うとそうそう』は、何度読み返しても心にじんわり沁み入りますね。
日常を描いていながら、普段は見過ごしている心象や忘れていた感情を呼び覚ましてくれるのです。
漫画や本は普段読まない、という方にも是非手に取ってもらいたい1冊ですね。

なお、彼が2014年出した著書『耳は忘れない』も不思議な余韻を残す作品。
1994年主人公がインド旅行に出て帰国してからの恋模様が、その時代の音楽と共に綴られた短編です。
僕もちょうどその頃インド旅行へ約1か月行ったことがあったので、読後懐かしい想い出が、、、。

1994年に聴いていた音楽。
シェリル・クロウ、ジャミロクワイ、オアシス、ブラー、ベック、ポール・ウェラー、マライア・キャリー、etc...。
他にも様々なヒットが出ていたと思いますが、実際のところ僕はニール・ヤングばかり聴いていました。

ニルヴァーナのカート・コバーンがニール「Hey Hey My My」歌詞一節を遺書に記し自殺。
それを受けてリリースした『Sleeps With Angels』(1994)、パールジャムとの共演作『Mirror Ball』(1995)。
この2作は本当によく聴きましたね。

将来への不安や孤独感を掻き消すようにニール・ヤング三昧だったそんな1994年。
僕にとって最も<耳は忘れない>出来事がありました。
それが、ローラ・ニーロ来日公演。

音楽に関わる仕事をしたい、と初めて思った瞬間がまさに1994年ローラ・ニーロ生の歌声だったのです。

♪争いはもういらない♪
その来日公演でも歌われた「Save The Country」を今日のこの1曲に。森 陽馬

★掲載ジャケットは「Save The Country」収録、ローラ・ニーロ1969年発表作『ニューヨーク・テンダベリー』。


2017年8月16日(水) リッキー・マーティン 「ストップ・ルック・アラウンド」

ソニー・ミュージックから2016年夏も発売されたAOR1,000円シリーズ。今年も出ました。

監修:金澤寿和、イラストレーション:永井博のあのシリーズです。

2016年のキャッチ・フレーズは『夏と、AORと、』でしたが、2017年は『A面で恋に落ちた、夏。』。

まず8月2日に48タイトル出ました。そして8月23日に50タイトル。
先日発売された中から何か紹介したいと思います。
2016年100種リリースされた後とはいえまだまだ名盤は残っています。

今日はビーチ・ボーイズ絡みでいってみましょう。

リッキー・マーティン『ビーチト』
(国内CD SICP-5461 1,000円+税)

プエルトリコのリッキーとは別人、ディーン・マーティンの息子が1977年発表した唯一のアルバムです。

プロデュースはカール・ウィルソンとビリー・ヒンチ。
参加ミュージシャンはデニス・ウィルソン、ヴァン・ダイク・パークス、ピーター・セテラ、ジェイムス・パンコウ、ジェリー・ベックリーなど。
カリフォルニアらしいさわやかなビーチ・サウンドを運んでくれます。

当時「ストップ・ルック・アラウンド」と「ムーンビームス」がシングル盤としてカップリングされましたが、今回のCDにはボーナス・トラックとして、それぞれのシングル・ヴァージョンとモノラルのプロモ・シングル・ヴァージョンが追加されています。森 勉


2017年8月17日(木) Melissa Manchester 「The Warmth Of The Sun」

昨日に引き続き、AOR1,000円シリーズからもう1枚。

ジャケット写真のような土砂降り...とはいかないまでも、東京はずっと雨/くもりの日が続いています。

『雨と唄えば』という素敵な邦題(原題は『Singin'...』)に惹かれて、メリサ・マンチェスターの77年発表の6作目を聴いてみました。
(国内CD SICP-5441 1,000円+税)

リオン・ウェア作/マイケル・ジャクソンの「I Wanna Be Where You Are」、ネッド・ドヒニー「A Love Of Your Own」、ジェイムス・テイラー「You Make It Easy」、スライ&ザ・ファミリー・ストーン「Stand」、スリー・ドッグ・ナイト「Let Me Serenade You」など、大半をカバーが占める本作。

ヴィニ・ポンシア・プロデュース。デヴィッド・スピノザ、スティーヴ・ガッド、ウィル・リー、トニー・レヴィン等による洗練された演奏にのせ、ときにしっとりと、ソウルフルに歌い上げています

最後に収録されているのは、ビーチ・ボーイズの「The Warmth Of The Sun」。
ホワーッと空間に溶けていくようなエレピと、重なるギターの音色が心地良いジャジーなアレンジは、再生するたびにうっとり聴き惚れてしまいます。東尾沙紀


2017年8月18日(金) アース・ウインド&ファイアー 「ラヴズ・ホリデイ」

アース・ウインド&ファイアー(以下EW&F)は1975年から約10年ぐらいの間、好きでよく聴いていました。

ブラック・ミュージックとしてアルバム・コンセプトはしっかりしているし、シングルになる曲はポップでファンキーでインパクトの強いものだったし、何よりもリーダーでありソングライター/プロデューサー/ドラマー/カリンバ奏者、そしてリード・ヴォーカリストであったモーリス・ホワイトの声が好きでした。

ということで、今日はEW&Fが聴きたい気分。
どうせならベスト盤にあまり入っていない曲を。

「ラヴズ・ホリデイ」。
1977年発表アルバム『太陽神 (All 'N All)』に収録されています。

EW&Fのホーン・セクションのゆったりしたイントロから、フィリップ・ベイリーのファルセットを効かせたバック・コーラス、そして聴き手の耳だけでなく心にも巻きついてくるようなモーリス・ホワイトのヴォーカル。

好きだなぁ、この曲。
歌の後ろで地味に刻まれているアル・マッケイのギターもEW&Fの聴き所のひとつです。森 勉


2017年8月19日(土) The Secret Sisters 「Kathy's Song」

♪ I hear the drizzle of the rain. Like a memory it falls.
Soft and warm,continuing. Tapping on my roof and walls ♪
(霧雨の音が聞こえる 想い出のようなその雨は 優しく暖かく降り注ぎ 僕の心の屋根と壁を叩いている)

サイモン&ガーファンクル「Kathy's Song」。
名曲「America」の歌詞にも出てくる恋人キャシーへの想いを綴ったポール・サイモン作。
1966年発表アルバム『Sound Of Silence』収録曲の大好きな歌い出しの歌詞一節です。

東京で今日降った雨は、優しくなく暖かくもなく、雹を伴って恐ろしいほどのどしゃ降りでした。
夏の恋にはそんな激しさもあるのかもしれませんね、、、

ということで、「Kathy's Song」のカヴァーを今日のこの1曲に。

The Secret Sistersはアラバマ州マッスルショールズ育ちのLaura RogersとLydia Rogersによる姉妹ユニット。
Tボーン・バーネットプロデュースだった2010年発表1st、2014年発表2ndに続く約3年ぶり3作目が今作。
The Secret Sisters『You Don't Own Me Anymore』(輸入CD NEW WEST Records NW6397)

Brandi Carlile、Tim Hanseroth、Phil Hanserothをプロデューサーに迎え、ハーモニーやサウンドにより深みが増した素晴らしい仕上がり。現代女性版エヴァリー・ブラザーズorサイモン&ガーファンクルな雰囲気も感じさせます。

アコースティック・ギターの音色と2人のコーラスが優しく暖かい「Kathy's Song」カヴァーは5曲目に収録。
他オリジナル曲も、遠い夏の想い出に優しく暖かく心をノックしてくれます。森 陽馬


2017年8月20日(日) The Jerry Douglas Band 「The Last Wild Moor」

昨日に続き、アメリカン・ルーツ新譜作品からこの1枚。

1956年生まれの名ドブロ・ギター奏者、ジェリー・ダグラス。
2014年来日公演での超絶プレイも記憶に新しい彼の新作オリジナル・アルバムが発売されました。

The Jerry Douglas Band『What If』
(輸入CD ROUNDER 1166100259)

ブルーグラス/アメリカン・ルーツに根差しながら、ロック、ジャズのテイストを融合させた極上の仕上がり。

トランペット、サックスも加わり、ジャジーなテイストも感じさせる冒頭①「Cavebop」から、ジミヘンで有名な⑤「Hey Joe」のドライヴ感あるブルーグラスヴァージョンなど、彼の音楽的魅力が凝縮された充実の全11曲。

今日のこの1曲はオリジナル・インスト作10曲目「The Last Wild Moor」。

ジェイムス・テイラーやジミー・ウェッブの名曲を彷彿とさせる哀愁帯びたメロディーが沁みます。森 陽馬


2017年8月21日(月) OKAMOTO'S 「時差」

星野源8/16発売最新シングル「Family Song」、性別問わずいろんな世代の方が購入されていきます。

毎回カップリング曲も楽しみで、初期プリンスを意識したという「プリン」は、全編裏声を駆使したノリノリな1曲♪
レコーディングなどサポートでもおなじみハマ・オカモトがこの曲でベースを担当、OKAMOTO'Sメンバー全員がコーラス参加しています。
「Family Song」初回盤DVDには、この曲の実に楽しそうなレコーディング風景も収録。
曲の途中にはさみ込まれる寸劇での、ハマ・オカモト名演もお見逃しなく!(笑)

OKAMOTO'Sも、今月7枚目となる新作『NO MORE MUSIC』をリリースしています。
(BVCL-820 初回DVD付 3,500円+税)

4人らしいガンガン押していくロックな曲は少なめで、90年代的~ソウル寄りのサウンドで洗練された印象に。

未練を残しながら旅立とうとする者の切ない心情を歌った「時差」は、切ないメロディも相まって今作の中でも特に胸に残る1曲!ギタリストのオカモトコウキ作詞・作曲です。
(春頃放送されていたNHK BSプレミアムドラマ『嘘なんてひとつもないの』主題歌)

ピアニカ&フェンダーローズで参加したINO hidefumiの熱演も大きいですね!
シティ・ポップ+ダブなアレンジや中盤での展開も聴きもの...最近のOKAMOTO'Sでは一番好きです。東尾沙紀


2017年8月22日(火) ケニー・ランキン 「Baby Goodbye」

ケニー・ランキンお好きな方、シンガー・ソングライターファン必聴の1枚が出ました!

ケニー・ランキン『コロンビアUSシングルズ 1963-1966』
(国内LP 完全限定アナログ180g重量盤 監修・解説:長門芳郎 歌詞・対訳付 SIJP-54 3,400円+税)

『Silver Morning』(1974)、『The Kenny Rankin Album』(1977)で知られる1940年L.A生まれ男性シンガー。
優しくソフトな歌声と心地良いアコースティック・サウンドで多くの人を魅了した彼(2009年逝去)が1963年コロンビア・レーベルからリリースしたシングル音源全10曲を、こだわりのアナログ・レコード180g重量盤で世界初再発した編集盤です。

単に貴重音源というだけでなく、60年代ケニー・ランキンの瑞々しい魅力が詰まった楽曲が良いですね。
特に、『Silver Morning』収録曲「In The Name Of Love」、「Haven't We Met」の初期ヴァージョンは聴きもの♪

今日のこの1曲は、1963年発表コロンビア移籍第1弾シングル曲「Baby Goodbye」。
ティナ・ハセル作詞作曲、ランキン自身がつま弾くクラシック・ギターの音色に、柔らかで穏やかな彼の歌声とストリングスがじわじわ沁みるナンバー。

パイド・パイパー・ハウスの長門芳郎氏が監修・解説。
細野晴臣、近年のナイアガラ関連作品などのアートワークを手掛けている岡田崇さんがデザインを担当。

今のところCD化の予定はないそうです。森 陽馬


2017年8月23日(水) 桑田佳祐 「若い広場」

お父さん、みね子がとってもお世話になっている桑田佳祐さんの新しいアルバム『がらくた』が出ましたよ。

タイトルは『がらくた』だけれども、入っている15曲みんないい曲ばかりなんだから。

毎日聴いている「若い広場」、もちろん入ってますよ。
他にも「君への手紙」、「大河の一滴」、「百万本の赤い薔薇」、「ヨシ子さん」、「Yin Yang」などのタイアップ曲もいいですし、このアルバムで初めて発表されるロック調の1曲目「過ぎ去りし日々(ゴーイング・ダウン)」や最後に入っているバラード「春まだ遠く」も良かったです。

お父さん、一緒に聴きたいですね。
(NHK連続テレビ小説『ひよっこ』出演中の有村架純ちゃん演じる役柄の谷田部みね子の口調、もしくは父宛てに出す手紙の文章を想定して読んでいただければ幸いです。)

桑田佳祐『がらくた』
・初回生産限定盤A (CD+ブルーレイ+特製120ページブックレット) VIZL-1700 4,800円+税
・初回生産限定盤B (CD+DVD+特製120ページブックレット) VIZL-1701 4,500円+税
・初回生産限定盤C (CD+特製120ページブックレット) VIZL-1702 3,500円+税
・通常盤(CDのみ) VICL-65000 3,300円+税
・完全生産限定2枚組アナログLP (オリジナルB2ポスター封入) VIJL-61800 4,300円+税

お父さん、(まだ続きます...) みね子は7月にビルボードライヴ東京で行われたスペシャル・ライヴ映像8曲と「悪戯されて」ニュー・アレンジ・ヴァージョンのミュージック・ビデオが見れる初回Aブルーレイ付か初回BDVD付がおすすめだと思いますよ。森 勉


2017年8月24日(木) Stanton Moore 「JAVA」

先週までの涼しい夏はどこへやら、蒸し暑い猛暑が戻ってきました。

ムワッとした暑さを感じると、1990年代ニューオリンズへ旅行した時のことを想い出しますね。

ほとんどの観客やアーティストがTシャツや半袖という蒸し暑い中、アラン・トゥーサンはビシッとスーツにネクタイ姿、ジェントルマンないで立ちだったのが懐かしいなぁ。

2015年急逝したそのアランを偲んで、スタントン・ムーアがアラン・トゥーサントリビュート作を発表しました。

Stanton Moore『With You In Mind』
(輸入CD Cool Green Recordings CGR75302)

ニューオリンズ発ファンク・バンド、ギャラクティクの名ドラマーとして活動を続けているスタントン・ムーア。

今作はアラン・トゥーサン楽曲で統一し、シリル・ネヴィル、トロンボーン・ショーティ等ニューオリンズの盟友及びメイシオ・パーカーもゲスト参加。
ギャラクティクはHIP HOP色が濃くなり過ぎて、、、という方にもオススメしたいニューオリンズ色な仕上がりです。

今日のこの1曲は、アラン・トゥーサンがデビューした最初期1958年頃に作られた「JAVA」。

アル・ハートによるカヴァー「ジャワの夜は更けて」(邦題)で有名なニューオリンズを象徴する楽しいリズムのこの曲を、ニコラス・ペイトン、ドナルド・ハリソン、トロンボーン・ショーティをfeatしゴキゲンに演奏しています。森 陽馬


2017年8月25日(金) A.J.Croce 「The Other Side Of Love」

あのジム・クロウチの息子であり、自身もシンガー・ソングライターとして1990年代から活動しているA.J.クロウチ。

ニューオリンズに影響を受けた作品やアラン・トゥーサンをプロデューサーに迎えた楽曲(
2014年4月20日今日のこの1曲で紹介「Tarnished And Shining」)を発表したことがある彼の新作オリジアル・アルバムが発売。

A.J.クロウチ『Just Like Medicine』
(国内仕様CD 日本語解説付 BSMF-6116 2,400円+税)

今作はなんと!ダン・ペンプロデュース!

スティーヴ・クロッパー、コリン・リンデンに加え、マッスルショールズから名ベーシストデヴィッド・フッド!
更にはマッスルショールズのホーン・セクションもゲスト参加。

味わい深いオリジナル曲から、父ジム・クロウチの未発表曲③「Name Of The Game」(ヴィンス・ギル参加)、レオン・ラッセルとの共作曲②「The Heart That Makes Me Whole」などヴァラエティな全10曲。

聴きものは、ダン・ペン書き下ろし!6曲目「The Other Side Of Love」。

サザン・ソウルの旨味を凝縮させたような、これぞダン・ペンといったナンバー。
ダン・ペン自身が歌っているヴァージョンもあったらいつか聴いてみたいですね。森 陽馬


2017年8月26日(土) ジョー長岡 「猫背」

♪僕の背中が丸く曲がってるのは君のせいだよ 君が小さく君の目の位置が低いから
~中略~
僕の猫背はうなだれているわけじゃないのだよ 君の瞳の奥の奥を知りたいんだよ♪
(ジョー長岡「猫背」歌詞より)

実直な歌がやさしい心持ちにさせてくれる1枚。

ジョー長岡『猫背』
(CD ONB-001 1,852円+税)

ジョー長岡は1970年神戸生まれ男性シンガー・ソングライター/ナレーター/プランナー。
寺尾紗穂さんが年末行っている永福町ソノリウムでのライヴを企画・主催するなど、多くのミュージシャン・関係者と親交があり信頼を得ているアーティストです。

その彼がソロとして初のアルバムを2017年リリース。
ライヴ会場にて販売していましたが、当店でも取り扱いさせていただけることになりました。

武骨そうな面持ちとは対照的な、穏やかで柔らかな風のようにそよぐ歌声。
うのしょうじ(ウッドベース)、樋口裕志(ペダルスティール)、松村拓海(フルート)、岸田佳也(カスタネット)によるアコースティックなバック演奏もシンプルな深みを感じさせます。

今日のこの1曲は、上からではなく、下からでもなく、同じ目線でやさしく語りかける6曲目「猫背」。
彼が飼っていた猫まあまの声も最後に入っています。森 陽馬



2017年8月27日(日) ソウル・サヴァイヴァーズ 「シティ・オブ・ブラザリー・ラヴ」

<AOR CITY 2017>シリーズ、2017年8月23日発売分50タイトルが発売されました。

今回の50枚中半分以上はソウル系のミュージシャンですが、広く言えばというかサウンドを聴いてみるとAORイメージにフィットするものが選ばれているなぁと感じます。

ソウル・サヴァイヴァーズもそんな1枚です。

1967年に「Expressway To Your Heart」が全米4位の大ヒットとなり、一躍ブルー・アイド・ソウル・シーンの新星として人気を博しました。
その後グループは解散状態になっていましたが、1974年ケニー・ギャンブル&レオン・ハフを共同プロデューサーに迎えTSOPレーベルから発表したのがこの名作です。

ソウル・サヴァイヴァーズ『ソウル・サヴァイヴァーズ』
(国内CD 解説:長門芳郎 SICP-5518 1,000円+税)

オリジナル・メンバーでリード・ヴォーカルを担当するチャールズとリチャードのインガイ兄弟以外のメンバーは総入れ替えされ、フレッドとスティーヴのベックメイヤー兄弟やニール・ラーセンが参加。
なんとも張りがあるいい音を聴かせてくれます。

全曲オススメですが、今日はボビー・マーティンがアレンジに加わった「シティ・オブ・ブラザリー・ラヴ」を。

インガイ兄弟のヴォーカルがサイコー!
ラスカルズ・ファンにもおすすめです。その理由は聴いてもらえばわかると思います。森 勉


2017年8月28日(月) FCC 「Where Did You Come From」

2017年8月23日発売された<AOR CITY 2017>シリーズ50タイトル中、当店の1番人気はこの1枚。

FCC『Do You Believe In Magic?』
(国内CD 金澤寿和氏解説付 SICP-5517 1,000円+税)

FCC(Funky Communication Committee)はヴォーカル&ギターのデニス・クリフトン中心白人5人組バンド。
1980年発表2ndアルバムの今作は世界初CD化(!)です。

マッスルショールズのウィッシュボーン・スタジオを拠点にした制作チーム、テリー・ウッドフォード&クレイトン・アイヴィーがプロデュースを担当。

サザン・ソウル名作を数多く生み出したマッスルショールズ発らしいソウルフルな楽曲&演奏が魅力。

マイケル・マクドナルドが入った頃のドゥービー・ブラザーズっぽい①「Give Me A Reason」、ボズ・スキャッグス「Lowdown」そっくり!?な⑩「Let The Love On Through」等、昨日紹介したソウル・サヴァイヴァーズなどブルー・アイド・ソウル好きの方は必聴ですね。

今日のこの1曲は、ミディアム・メロウ・キラーチューン④「Where Did You Come From」。
ラリー・カールトン1978年発表代表作『夜の彷徨』収録曲として有名(オリジナルはウィリアム・D・スミス)ですが、FCCヴァージョンの方がソウルフルかつメロウ・グルーヴな感じで僕は好きです。森 陽馬


2017年8月29日(火) スティーヴ・ハイエット 「Standing There」

「コレはAORではないっ!」
と批判があるかもしれませんが、<AOR CITY2017>シリーズで密かにお気に入りの1枚。

スティーヴ・ハイエット『渚にて...』 (Steve Hiett『Down On The Road By The Beach』)
(国内CD 日本語解説付 SICP-5530 1,000円+税)

『Vogue』ほか一流ファッション誌のフォトグラファーとして活躍した英国男性写真家スティーヴ・ハイエット。
彼が自らエレクトリック・ギターを弾き、1982~1983年にかけて日本制作されたアルバムが世界初CD化!

CBS/SONY信濃町スタジオで10曲、ニューヨークで2曲、パリで1曲、と3か国で録音された全13曲。
加藤和彦、岡田徹、白井良明、鈴木博文、武川雅寛、エリオット・ランドールが参加。

<1980年代のサント&ジョニー>と表現したい白昼夢へ誘うようなエレクトリック・ギター。
(実際に、サント&ジョニー名曲「SLEEP WALK」カヴァーも12曲目収録)

S・ハイエット撮影によるジャケット写真の深い青空へ吸い込まれるような浮遊感ある音世界。
ヴォーカル入りは数曲で、ほぼ全編夢見心地のインストというのも魅力です。

今日のこの1曲は、晩夏に聴きたいラスト13曲目「Standing There」。
ゆったりとした音の隙間が波の如く揺れる極上の3分半。森 陽馬


2017年8月30日(水) Iron & Wine 「Summer Clouds」

まだまだ夏の暑さは続くでしょうが、時折涼しい風が吹くと夏が終わっていく寂しさを感じます。(少し気が早いですね...)
そんな残暑厳しいこれからの季節、穏やかに聴けるおすすめの1枚。

アメリカ・サウスカロライナ出身男性シンガー・ソングライター、サム・ビームのソロ・プロジェクト、アイアン&ワイン。

約4年ぶり、6枚目となる新作『ビースト・エピック』が発売になりました。
(国内CD 解説・歌詞・対訳付 日本盤のみ2曲入りボーナス・ディスク付 OTCD-6162 2,300円+税)

バンド・オブ・ホーセズのベン・ブリッドウェルとの2015年のコラボ・カヴァー作、共同プロデュースを務めたティフト・メリット2017年新作等を挟んでの約4年ぶり新作は、古巣SUB POPからのリリースです。

オーバーダブを極力控え、ライヴ・レコーディングされたという今作。
ギター、ピアノ、バンジョー/マンドリン、ペダル・スティール、チェロなど、バンドとのさりげないアンサンブルが繊細な歌声とメロディを引き立てています。

今日の1曲は、内省的な詞とメロディに切なさが漂う「Summer Clouds」。
流れるようなペダル・スティール、どこか物悲しいチェロの音色が、夏のけだるさと雨の匂いを感じさせます。東尾沙紀


2017年8月31日(木) ビーチ・ボーイズ 「ジャスト・ワンス・イン・マイ・ライフ」

ファンというものは、そのミュージシャンの作品の中で一般的評価が高くないものでも、高くないからこそ肩入れしたくなってしまうものです。

ビーチ・ボーイズの場合、1976年発表アルバム『15ビッグ・ワンズ』がそんな作品です。
(国内CD 解説・歌詞・対訳付 UICY-25605 1,714円+税)

当時それまで隠居状態になっていたブライアン・ウィルソンが再び第一線に戻ってきたぞ!という触れ込みプロモーションが結構大きく展開されました。しかし収録15曲中ブライアンの作品は5曲と少なく、カヴァーが8曲も含まれていたこともあり、近年でも「これはいらない」と思っている方が多いように感じます。

しかし、でも・・・僕はこの『15ビッグ・ワンズ』が好きなんです。

1976年初めて聴いた時、何はともあれ、ブライアンが帰ってきたことが感じられたのです。
ずいぶんと太っていても、髭面になっていても、全曲自作でなくても、あの美しい声が出なくなっても・・・。
ブライアンは生きていて、仲間とまた音楽を始めてくれたんだから・・・。

「ジャスト・ワンス・イン・マイ・ライフ」は、ジェリー・ゴフィン&キャロル・キング、そしてフィル・スペクターが加わって出来上がったライチャス・ブラザーズ1965年のヒット曲。

ビーチ・ボーイズ・ヴァージョンはブライアン流重厚なウォール・オブ・サウンド仕立て。

リード・ヴォーカルはカール・ウィルソンとガラガラ声のブライアン。
ブライアンの痛々しい歌唱を救ってくれるのは、カールの力強い名唱です。森 勉




これより以前に掲載した“今日のこの1曲”は、
 “今日のこの1曲 アーカイヴス” コーナーにてご覧になれます。■



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