PET SOUNDS RECORD
今日のこの1曲 アーカイヴス


  今日のこの1曲 “Achives”

<2006月6月>

当店ペット・サウンズ・レコード店にて、
その日に店内でかけていた曲の中から、
店員の独断と偏見で選んだ“今日のこの1曲”コーナー

2006年6月に更新した“今日のこの1曲”コーナー。

廃盤・生産中止、規格番号の変更など、
情報が古くなっている商品もございますが、ご了承くださいませ。


<最新の“今日のこの1曲”はこちらのページをご覧ください>


2006年6月1日(木)Elvis Costello & Allen Toussaint 「The Sharpest Thorn」

 夜、店を抜け出して行ってまいりました。
 アラン・トゥーサン 単独ライヴ at 原宿 BLUE JAY WAY

 いや〜〜〜、すごかった! まさに奇跡の夜。
 ゲストでエルヴィス・コステロが出演!
 それも1、2曲とかじゃなく、ライヴの半分くらいはオン・ステージ!

 実は、整理番号順に入場の際、外で待っていたときにすでに明日のライヴのリハを終えたコステロが到着、僕らの横を意気揚々と歩いて別入り口から会場に入っていったので、ライヴ前からすでにネタばれではあったのですが、それにしてもすごかった。

 もちろん!アラン・トゥーサンのピアノ弾き語りも最高!でしたが、コステロがマイクを握って歌いだした瞬間はマジ鳥肌が立つほどビビッ!とキマしたね。ホント、あんな小さい空間でこの二人の共演が見れるとは・・・。とても幸せな1時間半でした。

 ちなみに中島美嘉、ハイロウズのヒロトとマーシー、久保田麻琴さんなどミュージシャンもたくさん見に来ていました。森 陽馬

2006年6月2日(金) Allen Toussaint 「Yes We Can Can」

 6月1日アラン・トゥーサン来日公演の熱がなかなか冷めません。

 整理番号は遅めの番号だったのですが、運良くかなり前方の斜め前に座ることができたので、アラン・トゥーサンの指が鍵盤の上をコロコロ転がる様子を間近で見ることができました。

 いや、ホントに68歳とは思えないほど元気そうで、あれだけずっと弾きっぱなし(僕が見たのは2部だったので、1部も含めると3時間以上弾きっぱなし)で、後半になってもまだまだフレーズが湧き出てくる感じでしたから、本当にすごいな、と。

 昨年リリースされたニューオリンズ・ベネフィット・アルバム『OUR NEW ORLEANS』(WPCR-12241 \2,680)の1曲目に収録されているのが、アラン・トゥーサンによるポインター・シスターズがヒットさせた自作曲「Yes We Can Can」。
 気張った感じが全くなくて、すごくいいセルフ・カヴァーですねー。店で改めて聴き、1日の素敵な一夜を思い出してゴキゲンな気分になりました。

 ちなみに、ライヴではコステロとのデュエットでやったのですが、それも絶品でした。森 陽馬

2006年6月3日(土) GIRA MUNDO feat Ann Sally 「Crocodile Tears」

 日本人ブラジリアン・ミュージック・サウンド・プロデューサー、新星! その名も“GIRA MUNDO”によるアルバムが2種類発売。

 ブラジルというと、どうもボサノヴァばかりが強調されがちですが、全体的にボッサ/サンバのリズムを生かしつつ、新しい風を吹き込んだ現代ブラジリアン・ジャズ・サウンドともいえる作品に仕上がっています。

 2種のうち、茶色のジャケットの方『Rio de Janeiro(リオデジャネイロ)』(NWR-2011 \2,625)は、サイゲンジ、マルコス・スザーノ等が参加し、彼らのクールな演奏&歌と打ち込みの音が絶妙にブレンドされた上品なCLUBサウンドが楽しめる作りですが、本日紹介する白いジャケットの方『Sao Paulo (サンパウロ)』(NWR-2010 \2,625)は女性シンガーを中心にfeatされていて、CLUBやBrasilに馴染みのない方でも楽しめる1枚です。

 特にアン・サリーが参加したこのナンバーは、やさしく頬を撫でられるような上品なトラックに、天使のようなアン・サリーのスキャットがのる、という極上の1曲。爽やかな初夏の風を感じながら、ドライヴして聴くのにピッタリの1枚ですね。

 他の曲も、名門JAZZレーベル“ヴァーヴ”と契約した日本人初の女性シンガー、akikoや、Bophanaというグループの山田里香が参加し、清々しい女性ヴォーカルを聴かせてくれます。森 陽馬

2006年6月4日(日) ラヴィン・スプーンフル 「フル・メジャー」

 ラヴィン・スプーンフルと言えば、曲を作って歌っているジョン・セバスチャンが主役、というのは誰もが異論ないと思います。

 「魔法を信じるかい?」、「うれしいあの娘」、「デイドリーム」、「サマー・イン・ザ・シティ」、「ダーリング・ビー・ホーム・スーン」など、1965〜67年の3年間はセバスチャンの“あったかヴォーカル”と親しみやすいメロディーがヒット・チャートを彩ってくれました。
 数ヶ月おきにこんな名曲がどんどん発売されていたのですから、本当に幸せな時代でした。

 さて、今日はそのジョン・セバスチャンには少しお休みしてもらって、(といっても作曲は彼ですが)、ドラムス担当のジョー・バトラーがリード・ヴォーカルをとった隠れた名曲を紹介したいと思います。

 1966年暮れにシングルで発売の「ナッシュヴィル・キャッツ」のB面「フル・メジャー」という曲です。

 これはいい曲だ、と思う人が多かったみたいで、ラヴィン・スプーンフルとしては唯一の両面ヒット!になりました。
 当時、自分の気持ちが世の中に伝わったような気がして、妙にうれしくなったことを思い出しました。

 ジョーのヴォーカル曲では、ロネッツのカヴァー「ユー・ベイビー」もいい味が出ていて大好きな1曲です。森 勉

(ジャケットは、長門芳郎氏監修・選曲 おすすめベスト盤 BVCM-2603 \2,243)

2006年6月5日(月) 浜口 茂外也 「Baila Conmigo」

 昨年は店舗を一時休業していたこともあり、またマイク・ラヴのビーチ・ボーイズが出演したこともあって、Fuji Rock Fes3日間に参加しましたが、今年は仮店舗も始まったことだし、絶対見たい!っていうアーティストも特別いないから、フジ・ロック10周年ではあるけれど自粛しようかな・・・、と思っていたら、なんといきなり細野晴臣さんの出演が決定!細野さんのオフィシャルHPにも掲載)

 それも“オレンジ・コート”というフジ・ロックの中では一番山奥にあるアット・ホームな雰囲気のステージに出演予定で、更には、その細野さんのバンド名が“ハリー・ホソノ・クインテット”!(もうこのバンド名だけで素晴らしいライヴが約束されたようなものですね!)

 細野晴臣(Vo.G.Pf.)、浜口茂外也(Perc.)、徳武弘文(G.)、コシミハル(Acc. Pf.) 伊賀航(B.) and moreという編成も魅力! 雨は勘弁してほしいけれど、野外だし気持ち良さそうだな〜、と早くも気持ちはオレンジ・コートへ・・・。 1日券買って行こうかどうしようか思案中です・・・。

 さて、その“ハリー・ホソノ・クインテット”にも名前を連ねている浜口茂外也さんが2000年にaosis recordsより発表したリーダー作(『Din Don』 VICL-69021 \2,520)を本日はチョイス。いや〜、このアルバムは6曲入りと収録曲は少ないですが、細野さん的な雰囲気お好きな方だったら超オススメの1枚ですよ。

 あの名音楽家、浜口庫之助の息子でもある茂外也さんは、パーカッション/フルート奏者として、ティンパン関連のレコーディングなど多数の作品に参加されているミュージシャンですが、この作品ではなんと歌声も披露! その歌がまた味があってイイのです。 バックのサウンドもジャケットのイメージそのまま、ゆったりした気分になれること間違いなし。

 ちなみに4曲目に収録されているこの曲「Baila Conmigo」には、細野晴臣さんもベースで参加しています。森 陽馬

2006年6月6日(火) SPECIAL OTHERS 「IDOL」 

 ここ最近出た“ジャケガイノススメ”シリーズやオールディーズ関連の音楽ももちろん好きなのだけれど、やっぱり新譜を扱っているCD店で働いていると、“現在進行形のアーティスト”がやっている“新しい音”というのが無性に聴きたくなる時というのがあります。

 そういう時に最近よく店頭でかけるのがこのSPECIAL OTHERS。

 彼等はロック、ソウル、ジャズ、レゲエ、など様々な音楽要素をルーツに持ったサウンドが魅力の日本人4人組バンド。
 ヴォーカルが少し入っている曲もありますが、基本的にはインプロヴィゼーション(即興)を随所に曲間に入れながらも、ポップなインストゥルメンタル楽曲が中心で、無理矢理ジャンル分けするとすれば、“新世代ジャム・バンド”と言えるかも。

 2004年、2005年にそれぞれミニ・アルバムをインディーズより発売し、それが素晴らしい出来だったので、かなり期待していたこの3枚目は、ビクターと正式契約して発表したいわばメジャー・デビュー・アルバムのようです。(『IDOL』 VICL-61937 \1,890)
 メジャー契約した途端、メジャー感が出過ぎちゃって本来の持ち味が殺されちゃうアーティストが結構たくさんいるので、ちょっと危惧して聴いてみたのですが、基本的にはあんまり変わっていなくて少し安心しました。

 どこがどうイイ!っていうのは説明しにくいのですが、純粋にかっこいいな、と思える楽曲と演奏に勢いがあって、前に進んでいく雰囲気が僕は好きなのです。彼等のHPを見ると、楽器にも色々とこだわりがあるようですし、ライヴはまだ見たことないのですが、開放感のある野外で見たいバンドですね。ロック好きの方のみならず、普通のJ-POPファンから、ジャズ・ファンなどにも聴いてほしいグループです。森 陽馬

2006年6月7日(水) サンタナ 「果てしなき道」

 究極の紙ジャケットCD決定盤!ともいえる1枚が遂に発売になりました。

 サンタナが73年7月に行った日本武道館での来日公演を3枚のディスクに収めたライヴ盤で、このアート・ディレクションを横尾忠則が担当。“22面見開きジャケット”という画期的・実験的ともいえる装丁で74年に発表した1枚です。紙ジャケ人気が高まっている現世、長らく紙ジャケットCDでの再発が待たれていた作品でした。(『ロータスの伝説』 MHCP-1002 \6,825)

 今回の紙ジャケCD化において、当時LPで制作したスタッフが再集結。その22面見開きジャケットの復刻ももちろん素晴らしいのですが、関係者のインタビューや貴重なサンタナと横尾忠則の2ショット写真なども掲載された超充実の別冊ブックレットも秀逸の一語! 作り手の執念すら感じさせる出来映えです。

 ・・・と、巷でもジャケットのことばかりクローズアップされていますが、肝心の音の方も、ロック・ファンのみならず、ワールド・ミュージック好き、ギター・ファン、そして最近のジャム・バンドなどお好きな若い音楽ファンにも是非聴いてもらいたい圧巻のライヴ! オーバーダブしているかどうかはわからないのですが、サンタナのみならずバック・バンドも完成度の高い素晴らしい演奏で、聴いていたら富士スピードウェイにも行きたくなってしまいました。(サンタナがウドー・ミュージックフェス2006で来日予定)

 音もリマスターされていて素晴らしい音質なのですが、なんか逆に気持ち悪いくらいですね。とても23年前のライヴ音源とは思えないくらいイイ音してます。

 インナースリーヴも再現していて、いたれりつくせりなのですが、唯一難点といえば聴きたいと思ったときに中のCDを取り出すのが面倒ですね。まあ22面見開きジャケになっていれば内側が重なり合うのは当然なのですが・・・。CDは“聴く時用”に別のプラケースに入れて保存しておいた方がよいのかも。森 陽馬

2006年6月8日(木) Marva Whitney 「Sunny」

 店を途中で上がって、『マーヴァ・ウィットニー 来日公演 with オーサカ・モノレール』を見に渋谷クワトロへ。

 いや〜〜〜、もう筆舌に尽くしがたい素晴らしいライヴ!
 SOUL/FUNKミュージックに少しでも触れたことがある方ならもちろん、そうでない方でも、人間誰しもが心の奥底に持っているはずの“ソウル(魂)”を揺さぶられる感動的な一夜でした。

 マーヴァ・ウィットニーは1960年代後半にジェイムス・ブラウン黄金期の女性ヴォーカリストとして、JBプロダクションに参加。JBプロデュースでアルバムも発表し、一般的な知名度は日本ではないものの、その強烈なシャウトはアレサ・フランクリンに勝るとも劣らないほどの迫力。初来日ということで見る前は若干心配していたのですが、そんな不安も杞憂で、体型こそオバチャン化していましたがそのシャウトはいまだ健在!

 それになんといっても、バックを務めた中田亮率いるオーサカ=モノレール。キャリアはもう10年以上になるバンドではありますが、そんな彼等がこの日本に存在していなければ、今夜という日(Marva来日)は実現しなかった、といっても過言ではないでしょう。演奏だけでなく、そのFUNKを愛する彼等のスピリッツ(精神)に感謝!

 “It's Her Yhing”の切り文字をバックに歌われた「It's My Thing」も良かったですが、ラスト「Sunny」のカヴァーで、スローなテンポから切り替わって、演奏が一気にヒートアップする瞬間は本当に鳥肌が立つほどかっこよかったですね。その演奏をバックにマーヴァがステージを名残惜しそうに去る情景はとても感動的でした。

 ちなみに、オーサカ=モノレールプロデュースによる新曲も披露。34年ぶりの新曲だそうです。
 単なるノスタルジーではなく、“現在”そして“未来”の夢をも見させてくれた素晴らしい一夜。今年で62歳になった彼女ですが、活き活きした瞳がとてもチャーミングで魅力的でした。森 陽馬

ジャケットは69年発表名作にボーナス・トラックでJBとのデュエットによる「Sunny」も追加されたCD盤(VSCD-1556 \2,625)

2006年6月9日(金) サイトウタクヤ 「六月の雨」

 当店にて大推薦している新世代女性シンガー・ソングライター、寺尾紗穂さんが所属している“ikanika MUSIC LABORATORY”。
 そのレーベルからデビューしているもう1人の男性シンガー・ソングライターが、このサイトウタクヤです。

 彼のプロフィール(上記のリンク参照)をご覧になっていただければ、奏でる音楽を想像できるかもしれませんが、ikanikaレーベルから発売された彼のアルバム『rain fruits music』(VCCM-2015 \2,000)は、まさにその想像&期待通りの正統派ポップ・サウンドが楽しめる作品に仕上がっています。

 オリジナル・ラヴ、サニーデイ、キリンジなどお好きな方にはオススメの1枚で、ラストに収録されている「ない風景」という曲など切なくもポップな楽曲センスが光る美メロな1曲なのですが、今日は夕方まであいにくの天候だったので、あえて5曲目に収録されているこの「六月の雨」を選んでみました。

 独特なゆったりのったりした雰囲気で進んでいくナンバーで、後半のキーボード・ソロなどに気だるくもあり、なんとなく開放感もある夏前の微妙な空気感が表現されています。6/21に下北沢mona recordsでライヴもやるようですので、気になる方は是非チェックしてみてください。森 陽馬

2006年6月10日(土) Andrew Gold 「Stay」

 昨年、まだ仮店舗がオープンしていない時期のこのコーナー(2005 7/15)で彼を取り上げたことがあったのですが、米の名再発レーベル、Collector's Choiceよりリマスター&ボーナス・トラック入りで各作品リイシューされ、当店にも現在在庫があるので再び紹介することにしましょう。 

 アンドリュー・ゴールドは1970年代にリンダ・ロンシュタットの何枚かのヒット・アルバムでマルチ・ミュージシャンとして参加し、ソロでもいいアルバムを多数出している名シンガー・ソングライター。その中でも代表作といえるのが、ピーター・アッシャープロデュースのもと77年に発表したこの2ndアルバム『What's Wrong With This Picture?』(邦題:自画像)です。

 歌詞が自伝的な内容になっている「Lonely Boy」が全米7位のヒット。曲調・演奏も一番派手な感じで僕も好きな1曲ですが、その曲は以前に取り上げたので今日は9曲目の「Stay」を。

 Maurice Williamsという黒人アーティストの曲で、彼のR&Bヴォーカル・グループ、Maurice Williams & The Zodiacs名義で1960年にリリースし、全米チャート1位のヒットとなったナンバーなのですが、そのオリジナル・ヴァージョンよりも、ジャクソン・ブラウンが77年に発表した名作『孤独のランナー』でカヴァーしたヴァージョンの方が有名かもしれませんね。

 ちなみにこの再発リマスター盤には、ボーナス・トラックで「Lonely Boy」の“Original Version”なんてのが収録! それも含めて5曲全て未発表音源なので、すでにLP、旧譜CDで持っている方も要チェックですよ。森 陽馬

2006年6月11日(日)センチメンタル・シティ・ロマンス 「雨はいつか」 

 中野督夫、告井延隆、細井豊の3人を中心に、70年代から活躍している名古屋出身の名グループ、センチメンタル・シティ・ロマンス。
 
 先日6月9日に曙橋Back In Townというところでライヴがあったんですよね。気にはなっていたのですが参加できず・・・残念・・・。もしご覧になった方いらっしゃったら、是非レポートよろしくお願いいたしますー。
 
で、そのセンチですが、80年代キティ/ポリドールに在籍していた時の音源を集めた『ゴールデン・ベスト』というアルバムが今度7月5日に発売予定になっております。 まだジャケ写はないのですが収録曲はほぼ決定のようで、はっぴいえんどカヴァー・アルバムの曲や、山下達郎が作詞した「ゴーイング・バック」という曲なども収録予定。昨年ソニーから発売された2枚組ベスト盤とはダブりもほとんどないので、ファンとしては待望のCD音源化ですね。

 本日は(というか本日も)雨がずっと降っていたので、数多い“雨”名曲の中でも特に好きなこの曲を。77年発表『シティ・マジック』に収録されていた告井延隆さん作の名曲ですが、今でもライヴでは必ず最後の方にやる定番曲です。

 オリジナル・ヴァージョンが今度発売になるベスト盤に収録予定ですが、2004年に発表された現在の彼等の最新アルバム『30 years young』(BTSF-1 \2,800)には、再録ヴァージョンが収録されており、こちらのヴァージョンも素晴らしい出来なのでオススメ。他の収録曲も新曲含め、ヴォーカル&演奏共素晴らしい1枚。まだセンチ聴いたことがない方でも入門編としても推薦できる作品ですので、インディーズからの発売のCDですが、当店通販にも掲載しましたので興味ある方は是非聴いてみてください。森 陽馬

★6月12日(月)は店舗休業日となります。ご了承くださいませ。

2006年6月12日(月) Bob Sinclar 「Love Generation」

 現在、サッカー・ワールドカップ、日本vsオーストラリア戦を携帯電話の小さい画面で見ながら、これ書いてます。

 ちょうどさっき、中村俊輔がゴール決めて先制したところ。
 もうすぐ前半終了。(と書いているうちに前半終了)
 さあ、結果はどうなりますでしょうか?・・・、ということで、今日はワールドカップ関連の曲にしましょう。

 ボブ・サンクラーは1990年代前半からクラブ・ミュージック界でクリエイター/DJとして活躍していた人で、“フレンチ・ハウス界の貴公子”なんてことも呼ばれていたことがあったので、正直言ってそんなに彼のことを知らないにもかかわらず、この新作はちょっと意外な感じでした。

 今回のこの2006ワールドカップドイツ大会公式マスコット・キャラクター“Goleo Vi”のオフィシャル・テーマ・アンセムに選ばれたリード・トラック「Love Generation」。

 “ジャック・ジョンソン的”?なジャケットに、アコースティック・ギターに口笛が入ったちょっとオーガーニックな雰囲気も漂わせるハウス・トラック。そしてボブ・マーリィとのコラボで有名なウェイラーズのGary Pineのヴォーカルがフィーチャーされ、今までとはまた違ったアプローチを見せているナンバーです。

 国内盤(ACCR-10051 \2,548)にはKenny DopeのRemixも収録。
 12インチ・アナログ盤も現在店頭にありますので、サッカー・ファンは是非チェックを。森 陽馬

2006年6月13日(火)スマイリー小原&スカイライナーズ「マザー・イン・ロウ」

 テレビの歌番組から大編成バンドが消えてから久しくなります。
 「紅白歌合戦」、「夜のヒットスタジオ」、「TBS歌のベストテン」など、人気音楽番組ではかならず歌手のうしろには楽団がいたものでした。そして、その楽団を指揮するバンドマスターの凛々しい姿もそこにありました。

 1960年代の音楽番組と言えば、我々の世代ではなんといっても「ザ・ヒットパレード」。そこの専属楽団がスマイリー小原とスカイライナーズでした。

 毎週、ザ・ピーナッツをはじめとする日本人歌手(時には外国人)が歌う洋楽のヒット曲も楽しみでしたが、スマイリー小原のバンドを指揮することなど無視したような踊りと時々発する低い声も魅力でした。子供の目から見てもおもしろいというよりも、何か特別な不思議なものを感じていました。

 さて、今回、彼等が1960年代初期に発表した音源を収めた編集盤が出ました。
 その中にはアラン・トゥーサン作で、1961年にアーニー・K・ドゥが大ヒットさせた「マザー・イン・ロウ」が入っています。
 スマイリー得意の「スク・スク」コール入りのビック・バンド・サウンドで「楽しい夜更し」が歌えたりして・・・。森 勉

2006年6月14日(水) Paul Weller 「Shout To The Top」

 今年の3月末より当店ペット・サウンズ・レコード店にて働き始めました東尾と申します。
 まだ東京に出てきて半年です。まだまだ勉強不足な私ですが、このお店とお客様から色々なことを学んでいきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 私がお店で働き始めたちょうどその頃に大好きなポール・ウェラーが来日しまして、まだ入ったばかりにも関わらず、東京公演3日間はしっかりお休みを頂いてフル参戦させていただきました(笑)。

 昨年秋に出た最新アルバムを引っさげてのツアーでありましたが、ザ・ジャム、スタイル・カウンシル、ソロのあんな曲やこんな曲を演奏してくれ、驚きと感動の連続でした!

 残念なことに来日公演では演奏されませんでしたが、誰もが一度は耳にしたことがあるスタ・カンの名曲「Shout To The Top」。
 最近ではソロ以前の曲も沢山演奏されてきましたが、この曲がライヴで演奏されるなんて近年とっても珍しいことです!
 スタ・カン・ヴァージョンとはまた違ったアレンジと、ウェラーの熱の入った歌声に、この曲が発売された当時は生まれたばかりであった後追い世代のファンである私でもなにか感慨深いものがありました(涙)。

 演奏は多少荒削りなところもありますが、それもテンションが高い証拠。やっぱりライヴが一番!今が最高のこのアルバム『catch-flame!』(V2CP-285 2枚組\3,150)を是非聴いてみてください。東尾沙紀

2006年6月15日(木) クレモンティーヌ 「ココモ」

 ビーチ・ボーイズのメンバー5人<ブライアン・ウィルソン、マイク・ラヴ、ブルース・ジョンストン、アル・ジャーディン、デヴィッド・マークス>が勢揃い!

 6月13日、ハリウッドにあるCAPITOL RECORDビル屋上にて行われた"SOUNDS OF SUMMER"売り上げ200万枚突破記念セレモニーでのひとコマ。当店HP・トップページにも写真をアップしましたがいい写真ですよねー。

 マイク・ラヴのアロハ・シャツに対して、ブライアンはストライプのシャツをちゃんと(?)着て参加していて、なんかもうそれだけでも感無量。
 5人揃ってのライヴ、となると各々のプロモーターの問題などもあるだろうから、なかなか実現は難しいかもしれませんが、5人とも健康に気をつけてこれからも元気に頑張ってもらいたいものです。

 そのトピックをうけて、というわけではないのですが、クレモンティーヌの新作『ルミエール』(TOCP-67976 \2,800)よりビーチ・ボーイズのカヴァーをピックアップ。

 この曲以外にも、ビージーズ「メロディ・フェア」、シンディ・ローパーで有名な「タイム・アフター・タイム」、エディット・ピアフ「愛の讃歌」などの名曲群をゆるやかなボサノヴァ調でカヴァー。和めます。森 陽馬

2006年6月16日(金) 東京ローカル・ホンク 「すんだこと」

 祝! 狭山ハイドパーク・フェスティヴァル開催決定!

 昨年9月、天候には恵まれなかったものの、細野晴臣さんや鈴木茂さん、小坂忠さん、佐野元春さん、マーク・ベノ、エリック・アンダーソン他数多くのアーティストが感動のステージを見せてくれたHYDE PARK MUSIC MUSIC FESTIVAL。今年も9月9.10日に開催が決定!公式サイトで正式に発表されました。

 そのハイドパーク・フェス2006に、なんとわれらが東京ローカルホンクも出演決定!

 いやーーー、嬉しいニュースですね。
 昨年タワー・レコード蘇我店にて、アルバムの発売記念・インストア・イベントが行われたことがあり、そのステージが商店モール横の屋外に設置されていて、「外で聴くホンクは良いなあ〜」と思っていたので、こうしてあの狭山の空の下でホンクの“生”が聴けるかと思うとホント楽しみ! あとは天気がいいことを祈るのみです。

 で、そのハイドパークで聴いてみたい曲はたくさんあるのですが、今なんとなく思い浮かんだのはこの曲「すんだこと」。

 CDに収録されているヴァージョンには、久保田麻琴さんのベース参加も含め、演奏もちゃんと入っていますが、この曲をライヴでやるときは実はメンバー4人のアカペラ&お客さんの手拍子でやることが多いナンバーで、独特のコーラス・ワークと手拍子の一体感が楽しい1曲なのです。これをハイドパークでやるのは難しいかもしれないですけれど、いつもやるように曲後半に手拍子を小さくしていくところなどを大人数でやったら、楽しいだろうな〜、と。

 ホンク以外にも、遠藤賢司、あがた森魚、オレンジカウンティ、木村充揮、近藤房之助、有山じゅんじ他、若いアーティストとしては、向井秀徳、湯川潮音、bonobosなど多彩な出演者が決定しています。森 陽馬

2006年6月17日(土) 渡辺 香津美 feat 吉田 美奈子 「翼」

 渡辺香津美さん、というと、坂本龍一、村上ポンタなどとコラボしていた“KYLYN”の頃の作品やライヴ、そして代表作『TO CHI KA』くらいしか聴いたことがなかったので、つい最近まで「ドライヴ感のあるフュージョン・ギターを弾かせたら・・・」というイメージしか持っていませんでした。(不勉強でスミマセン)

 この『ギター・ルネッサンス』シリーズは、アコースティック・ギターの可能性を追求するコンセプトで、香津美さんのアコースティック・ギター・ソロが存分に聴ける内容になっており、エレキ・ギターを持った香津美さんとは違った魅力を感じることができる作品に仕上がっています。

 その『ギター・ルネッサンス』シリーズの第3弾『V [翼]』が先週発売になりました。(EWSA-125 \3,000)
 「Over The Rainbow」などの定番曲から、「天国への階段」の意外なカヴァーなども収録されていますが、やはり白眉はアルバム・タイトルにもなっている5曲目「翼」。

 ほぼ全曲アコースティック・ギター・ソロの中にあって、唯一この曲のみ吉田美奈子さんがヴォーカルをとっているのですが、その彼女の歌声は普段よりもかなり低音キーで歌われ、楽曲の深みをより深遠なものにしています。
 おそらく、彼女以外の誰が歌ってもこうはハマらない、と思われるくらい美奈子さんにピッタリ合った1曲。

 “ギタリスト職人 渡辺香津美”、  “シンガー 吉田美奈子”、
 二人の職人芸がタップリ詰まったナンバー「翼」を聴きながら、疲れた“翼”をそっとしまって、是非羽を休めてみてください。森 陽馬

2006年6月18日(日)『60's TVヒッツ・コレクション』より「ザ・ヒットパレード」

 数日前、スマイリー小原とスカイライナーズを取り上げたときに、「ザ・ヒットパレード」という昔のテレビ番組に関して少し触れました。
 今日はその番組のテーマ曲がメイン。

 5月下旬に2日間に渡って「ザ・ヒットパレード〜芸能界を変えた男・渡辺晋物語」が放映されました。御覧になった方も多いと思います。様々な感想があるようですが、個人的にはとても興味深く見ることができました。
 「ザ・ヒットパレード」のオープニング・シーンが本当にいい雰囲気で再現してくれたことがとてもうれしかったです。

 ザ・ピーナッツ役の安倍姉妹が双子らしく落花生の殻から登場。
 そして番組名をあの魅惑のユニゾンでナレーションしてこのテーマ曲がはじまるシーンは、本物が残っていないだけに永久保存版にしたいくらいです。

 それにしてもこのテーマ曲、素晴らしくキャッチーでわかりやすい詞と曲。さすがその後に大ヒットを連発するすぎやまこういち 、といった感じです。
 なお、このCD(『60's TVヒッツ・コレクション』 TECD-25485 \2,500)には、作詞:前田武彦、作曲・編曲:宮川泰による「シャボン玉ホリデー」のテーマ曲も収録されています。森 勉

<なお、本日18日はポール・マッカートニーの64歳の誕生日でした。
Happy Birthday! PAUL!>

2006年6月19日(月) Neil Young 「Looking For A Leader」

 ニール・ヤング衝撃の新作アルバム『Living With War』の国内盤が遂に明日20日に入荷予定。

 いやー、もう何百回と聴きかえしましたが、何度聴きかえしても飽きず、そして聴くほどにニールの不屈の情熱が伝わってくるようで、個人的な今年のこの1枚、はもう誰がなんといおうとこれっ!っていう感じです。

 ニールのその強い意志に突き動かされるように、勢いで“ニール・ヤング新聞12号”も作成しました! フリーペーパーなので、店頭でもご自由にお持ちいただけるようにしてますし、近日中にはWEBにも掲載したいと思ってます。
(もし興味ある方は、今号に限って無料でお送りいたしますので、ご希望の方いらっしゃいましたら、当店メールアドレスまで送り先ご住所とお名前をご記入の上、お気軽にご連絡ください)

 今日の1曲はそのアルバムより。
 8曲目に収録されているこの曲はとてもシンプルな展開の楽曲ですが、一気に突っ走る疾走感が感じられるかっこいいナンバー。

 アルバム通して言えることですが、一聴するだけだけでは最初は“ラフに一発録り”とか“ニールが勢いで作った”というような印象を持つかもしれませんが、実は様々な細かい面まで考えて作られているようで、♪この声を聞いてください♪というような歌詞の部分にあえて重厚な100人のコーラス隊がニールの声にかぶさったりするなど、一言一言のニールの言葉もストレートな重さを持って伝わってきます。

 なおこの100人のコーラス隊の中には、70〜80'sに活躍していた女性シンガー、ローズマリー・バトラーの名前もありました。森 陽馬

2006年6月20日(火) Beach Boys 「Do You Wanna Dance?」

 本日は、ビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソン、64歳の誕生日!
 <ポール・マッカートニー(6/18生)と2日違いなのです。>

 昨年のこのコーナーは何の曲にしたっけな?・・・と思って確認したら、やはりブライアンの誕生日ということでビーチ・ボーイズにしていましたね。毎度ベタでスミマセン・・・。

 ちょうど1週間前に、ハリウッドにあるキャピトル・レコード社の屋上にて、昨年発売されたビーチ・ボーイズのベスト盤『Sounds of Summer』の200万枚突破記念セレモニーがあり、ブライアン・ウィルソン、マイク・ラヴ、アル・ジャーディン、ブルース・ジョンストン、デヴィッド・マークスの5人が珍しく勢揃いしたこともあって、今日はそのベスト盤から1曲。

 この曲「Do You Wanna Dance?」はビーチ・ボーイズが歌っているのが有名ですが、実際は1950年代後期から1960年代初期にかけて活躍していたボビー・フリーマンというR&B/ロック・シンガーがオリジナル。(作詞・作曲もボビー・フリーマン 58年ビルボード・シングル・チャート最高5位)

 そのシンプルなオリジナルもいいのですが、やはりフィル・スペクター的な斬新なアレンジがなされ、コーラス・演奏ともエコーがガンガンかかったビーチ・ボーイズのヴァージョンはやはり素晴らしいですね。聴きこむほどにこの時代のブライアンの発想の凄さに驚かされる1曲。(65年発表アルバム『Today!』に収録)

 ちなみにこのベスト盤『Sounds of Summer』では22曲目に収録されているのですが、次の23曲目に収録されている「英雄と悪漢」に続く流れが全く違和感がないんですよね。なので、『SMiLE』至上主義的な人は、『PET SOUNDS』と『SMiLE』だけじゃなく、『Today!!』もちゃんとじっくり聴いてくださいね。森 陽馬

2006年6月21日(水) Rick Nelson 「It Doesn't Matter Anyone」

 6/21新譜が色々と発売。大好評の“ジャケガイノススメ”シリーズの第2弾も発売になりました。ロニー&ザ・デイトナスをはじめ、ジャケだけでなく内容もオススメの9タイトルです。オールディーズ・ファンのみならず、ゴキゲンな1枚をお探しの方、是非お手に取ってお目(耳)通しを。

 更に、ユニバーサル社からはバート・バカラックの名盤・10タイトルが限定紙ジャケットにて再発。これもそそられる再発ですねー。ということで、その中からバート・バカラックが音楽を担当しているこの1枚。(OST『On The Flip Side』 UICY-93071 \2,141)

 『オン・ザ・フリップ・サイド』は、1966年アメリカABCで放送されていたTVミュージカルで、これはそのサントラ盤。

 主演はリック・ネルソンとジョニー・ソマーズで、その二人がバート・バカラック&ハル・デイヴィッド・コンビの書き下ろし曲を歌う、というオールディーズ・ファンには堪らない内容! そのバカラックのナンバーがどれもバカラックらしい楽曲!とくれば、もう文句無しですよね。

 リック・ネルソン&ジョニー・ソマ−ズの二人がデュエットしている「Try To See It My Way (邦題:涙のアドヴァイス)」など、ジョニー・ソマーズの貴重なハスキー・ヴォイスも魅力ですが、1曲目に収録されているこの曲がやはり僕はお気に入り。

 リック・ネルソンが歌う「It Doesn't Matter Anymore」。サークルというグループの名盤『ネオン』(MHCP-981 \1,890 ボーナス・トラックが18曲もプラスされて紙ジャケで再発されました)でカヴァーされているヴァージョンが有名ですが、このリック・ネルソンのヴァージョンもかなりイイですよ。バカラックらしいホーンの入り方が最高にイカしてます。ちなみにCD解説は長門芳郎氏が書いています。森 陽馬

2006年6月22日(木) Hands Of Creation 「Out On The Weekend」

 CD店で最近流行の“売り文句”として、“ジャック・ジョンソン的”とか、“オーガニック・サウンド”なんて言葉をよく目にしますし、実際僕もそういうコメント・カードを時々書いたりもしていますが、聴き込んで本当に心の底から“オーガニック”な気持ちになることは、そんなにはなかなかありません。

 でも、この今日紹介する1枚はもう聴いた瞬間から、「求めていたのはこれだっ!」という感じで、本当に長い間愛聴できそうなオススメの1枚。(VACM-1287 \2,940)

 ハンズ・オブ・クリエイションは、ブラジリアン・ミュージック界の新星グループ[Bophana]のギタリストである小池龍平(Vo.G)を中心に、高田渡の息子であり、アン・サリーやハナレグミなどのセッションで大活躍中のペダル・スティール奏者:高田漣(G)、そして、キューバ帰りのパーカッショニスト:岳史、そして同じくパーカッショニスト:BICの4人による新グループ。

 ギター、ジャンベ、コンガの音色が自然な雰囲気で交わり、まさにオーガニックな味わい。 そのサウンドに小池龍平の飾らないジェントリーなほのぼのヴォーカルが乗り、聴いていると真に心地良くなれる1枚です。(ちなみに小池龍平のヴォーカルは、ジェブ・ロイ・ニコルス的というか、僕が気に入っている浜口茂外也さんのヴォーカルにも似ている雰囲気です。)
 オリジナル以外にカヴァーは3曲入っていて、ボブ・マーリィの「Get up, Stand up」、意外にもポーティスヘッド「Roads」をやっているのですが、もう1曲がなんと!ニール・ヤングの「Out Of The Weekend」!

 オリジナルは、ニールの72年発表代表作『ハーヴェスト』の1曲目に収録されている隠れた名曲なのですが、これをこのバンドらしい独特な世界観でカヴァー。晴れた日に野外とかで聴いたらとても気持ち良さそうですね。
 もちろん他のオリジナル曲も素晴らしいので、ハナレグミなどお好きな方から、ワールド・ミュージック・ファンの方まで幅広く本当にオススメできる作品です。森 陽馬

2006年6月23日(金) Ivan Neville 「Fortunate Sun」

 ニューオリンズを襲ったハリケーン“カトリーナ”の被害からもうすぐ1年が経とうとしています。

 その被災者へ捧げるベネフィット・アルバムとしては、昨年発売された『OUR NEW OLEANS』(WPCR-12241 \2,680)が素晴らしい内容の作品でしたが、ニューオリンズ・ソシアル・クラブ名義で先日発売されたこの『シング・ミー・バック・ホーム』(BVCM-31195 \2,548)も味わい深い素晴らしい1枚でした。

 収録曲全曲が同じバック・バンドで、ミーターズのジョージ・ポーター・Jr(B)、リオ・ノセンテリ(G)、そして盲目のブルース・ピアニスト、ヘンリー・バトラー(P)、そしてアーロン・ネヴィルの息子であるアイヴァン・ネヴィル(Key)、ダーティ・ダズンに参加していたこともあるレイモンド・ウェバー(Ds)の5人が演奏を担当。
 そのメンツに、ドクター・ジョン、シリル・ネヴィル、アーマ・トーマス、マーシャ・ボール、ウィリー・ティー、サブデューズなどのゲストを各曲ごとに迎え、カトリーナ被害の6週間後にテキサス州オースティンで録音された作品です。

 シリル・ネヴィルが歌うカーティス・メイフィールド作「This Is My Country」、ドクター・ジョン「Walking To New Orleans」などももちろん良かったですが、うれしい選曲だったのがこの「Fortunate Sun」。

 CCR(クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル)が69年に発表したアルバム『Willy and the Poor Boys』に収録されているナンバー(「Down on the Corner」のB面としてシングル・カットもされてます)で、ジョン・フォガティらしいリズムのこの曲を、更にニューオリンズ風味にアレンジ。CCRのオリジナル・ヴァージョンをご存知の方も思わずニンマリしてしまうハズの好カヴァーです。森 陽馬

2006年6月24日(土) Dr.John 「I Ain't No Johnny Mercer」

 昨日に続いてニューオリンズ関連の新譜をご紹介。
 もう古くからニューオリンズを拠点に活動している名ピアニスト&シンガー、ドクター・ジョンの新作は、アメリカを代表する作詞・作曲家、ジョニー・マーサーに捧げた作品。

 アルバムの邦題が『シングス・スタンダード』なんてタイトルがついているが、必ずしも全曲スタンダード・ナンバーというわけではありませんので・・・あしらかず・・・。
 ちなみに原題の『Mercernary』は“傭兵”の意で、ジョニー・マーサーもドクター・ジョン自身もお金を稼ぐために曲を作り、様々な物事と戦って音楽と向き合っている、ということを表現したもののようだ。

 で、このアルバム。“ジョニー・マーサーに捧げた作”ということだが、必ずしもマーサーのカヴァー・アルバムになっていないところがいかにもドクター・ジョンらしいところで、ジョニー・マーサーが当時好きで歌っていたナンバー「Personality」という曲や、ドクター・ジョンがこの作品のために書き下ろしたオリジナル曲も収録。

 そのドクター・ジョン作(彼の変名:Mac Rebennack名義)であるのが12曲目に収録されているこの曲「I ain't no Johnny Mercer」。
 とにかくこれぞドクター・ジョン!という感じのニューオリンズ風味溢れるナンバーで、変わらない良さを実感させてくれます。(ちなみに歌詞の内容は「ジョニー・マーサーみたいになりたいなあ」というような感じ。) 
 この曲以外では、彼が歌う「ムーンリヴァー」(この定番曲もジョニー・マーサーの作詞だったんですね。曲はヘンリー・マンシーニ)なんてのも収録されていて、それもやっぱりドクター・ジョンって感じの仕上がりです。森 陽馬

2006年6月25日(日) 山崎 まさよし 『Address』

 以前こちらのコーナーでもお伝えしたように、先月5月31日に当店仮店舗にて、あるミュージシャンの新作告知TV CMの撮影を行いました。そのミュージシャンの新作がもうすぐ発売になるのでご紹介しましょう。

 シンガー・ソングライターとしてだけでなく、マルチ・ミュージシャンとしても知られる山崎まさよし。彼の新作が6月28日に発売(27日火曜日に入荷)。

 すでに、めざましテレビなどでその映像が紹介されたそうなのですが、山崎まさよしと南海キャンディーズの山ちゃんが絡む、というストーリー仕立てのCMになっており、明日26日あたりからオンエアーになる模様。
 ちょっと気にとめてチェックしていただけるとうれしいです。

 ちなみにこの山崎まさよしの新作『Address』は、曲によってはゲスト・ミュージシャンを迎えていますが、基本的には、ギター、ドラム、プログラミング、そしてヴォーカル、コーラスを全て山崎まさよし本人が担当。
 それでいながら、サウンドはひとりよがりにはならず、穏やかな心地良い雰囲気で統一されたアルバムに仕上がっています。
(ちなみにジャケット写真は通常盤のもの。初回限定盤にはシングル曲のPVが収められたDVD付。特典としてポスト・カードも先着で差し上げています。) 森 陽馬

★6月26日(月)は店舗休業日となります。ご了承くださいませ。

2006年6月26日(月) 山手線 「車内自動放送 外回り 目黒」

 当店がある武蔵小山駅、そして隣の西小山駅がもうすぐ線路も含め地下化になります。

 地上から地下への切替日は7月1日の終電後、つまり2日の始発からは電車が地上を通らず地下を走ることになるわけですが、1日(土)の終電は電車マニアが多数乗車するんでしょうね。
 地上の駅がなくなるのはなんか味気ない気がしないでもないですが、もうすぐ見納めになりますので、もし電車で当店にご来店されるお客様の中で電車マニアの方いらっしゃいましたら、是非今週中にご来店ください(笑)。

 冗談はさておき、そういう電車マニアの方垂涎のCDが発売されましたのでご紹介しましょう。
 山手線の車内及び駅ホームでの自動アナウンスを各駅、それも内回り・外回り両方のアナウンスを完全収録した1枚が発売。(TECD-25530 \2,500) ジャケットや帯にさりげなく(というか大きく)、“完全オリジナル音源集”と書いてあるのが泣けますね。

 内容はどんな感じか?というと、ホントもう“オリジナル音源集”という謳い文句そのまんま、「次は目黒、目黒です。目黒線にお乗換えの方は・・・」というアナウンスが各駅ごとに入っているわけです。う〜ん、マニアック。

 池袋、もしくは大崎が始発の場合の外回り、内回りなどでも微妙にアナウンスが違っていて、ある意味深いというかなんというか・・・。
 31トラック目に「非常ブレーキ・アナウンス」、62トラック目には「禁煙アナウンス」というボーナス・トラック?も入っていてお得感も満載です。ちなみに車内アナウンスは三浦七緒子さん&クリステル・チアリさん、駅ホーム・アナウンスは津田英治さん&向山佳比子さん、という方が担当されているそうです。森 陽馬

★現在このCD、店頭に在庫ございます。
 近々、通販コーナーに珍盤コーナーも設置予定(?)

2006年6月27日(火) Michael Franks 「Songbirds」 

 6/28新譜が本日入荷。主なところでは、B'z新作、山崎まさよし新作、浅井健一のユダ ベスト盤、松たか子ベスト盤、ボニー・ピンク新曲、木村カエラ新曲など。

 さて、そういうJ-POP新譜が多めの日だったにも関わらず、昼間&夜は、このCDを店頭で何回か繰返しかけてました。
 有名な『アート・オブ・ティー』(1975)、『スリーピング・ジプシー』(1977)など、70〜80年代に良質なAOR名盤を発表したマイケル・フランクスの新作アルバム『ランデヴー・イン・リオ』(COCB-53504 \2,520)。

 タイトル通り、ブラジル色が散りばめられた極上の出来で、暖かい午後の陽射しを浴びながらノンビリ聴きたい1枚。彼の歌声も約30年前のデビュー当時とほとんど変わらず、やさしく語りかけてくれるような雰囲気が、これからの季節にピッタリ合いそうな新作です。

 国内盤のみのボーナス・トラックとしてラスト11曲目に、名曲「アントニオの唄」の新録ヴァージョンが収録されており、アコースティックな仕上がりでなかなか良いので、本来のこの新作アルバムよりもどうしてもこの1曲に持っていかれそうな感もありますが、その直前10曲目に収録されているこの「ソングバード」という曲も是非オールドファンに聴いてもらいたい1曲。

 2004年に白血病で亡くなった男性ヴォーカリスト、ランディ・ヴァンウォーマーに捧げられたナンバーだそうで、「君がもういないと思うと、僕は笑顔にはなれない。〜 君のような完璧な“ソングバード”はめったに誕生しない・・・。」という内容の唄。
 ちなみにアルバムにはロビー・デュプリー、オーリアンズのラリー・ホッペンも参加しています。森 陽馬 

2006年6月28日(水) Brian Wilson 「The Spirit Of Rock and Roll」

 ビーチ・ボーイズの新作?アルバム『Songs From Here & Back』がやっと入荷してきました。

 このCDはどんなアルバムか?というと、アメリカにあるHallmarkという会で制作されたビーチ・ボーイズのCDで、日本含め他の国にもその支社はあるのですが、基本的に販売はアメリカ本国のHallmark関連会社のみ! そして通販もアメリカ国内のみで、流通が限られているCDなのです。

 その上、5月15日から7月23日までの期間限定発売。かっこいいビーチ・ボーイズのライヴ音源に更にブライアン・ウィルソン、アル・ジャーディン、そしてマイク・ラヴの新曲が1曲ずつ入っている、というマニア泣かせの内容ですので、ビーチ・ボーイズ・ファンの方は是非要チェック!ということで。

 さて、その中でもやはり一番の注目はこの曲でしょう!
 ブライアン・ウィルソンによるこの曲「The Spirit Of Rock & Roll」。

 この曲はもともと1992年にリリースを予定していたものの、レコード会社の意向など様々な問題があり結局発売されずに終わったブライアン・ウィルソンの幻のアルバム『Sweet Insanity』という作品に収録される予定だった1曲。
 マスター・テープ自体も紛失したとのもっぱらの噂で、その後もブライアンのソロ作品には収録されず、海賊盤などにボブ・ディランとのデュエット・ヴァージョンが収録されたりしたことがあったいわくつきのナンバーなのですが、その曲をこの作品のため?録音し直した新Versionがこの盤に収録。

 バックはScott Bennet(B)(G)(Vo)、Nelson Bragg(Drum)(Vo)、Taylor Mills(Vo)、Joel Peskin(Sax)というブライアンの現在のバック・バンドのメンツが中心。(でも何故かジェフリー・フォスケットとダリアンがいないですね。)
 海賊盤をたくさん聴いたことがある方々によると、この新録ヴァージョンはイマイチ、いう声も聞こえてくるのですが、いやいや、もうこれで充分です! もうね、ブライアンの新曲が聴ける、ってだけで感謝しなきゃいけない、と思いますよ。ホント。『SMiLE』のDVD(WPBR-90482 \6,900)とか見てから、ここ最近そういう思いは個人的に更に強くなってきてます。

そんな内容なんかよりも、ブックレットのこの曲のクレジット部分最後に、
< Special thank you To The Beach Boys.
  Dedicated to the Loving Memory of
  my brothers Carl and Dennis >
 って、書いてあるの読んだだけで、スゴク感動してしまいました。

 ブライアンはこの曲をビーチボーイズ名義の作品に収録したくて、今までソロ作には収録してこなかったんじゃないか? と勝手なありえない妄想を膨らましてしまいましたが、まあそれはともかく、“PET SOUNDS 発売40周年”ということで、ビーチ・ボーイズから素晴らしいプレゼントが届いたことを素直に喜びたいと思っています。森 陽馬

2006年6月29日(木) Al Jardine 「PT Cruiser」

 昨日に続き、ビーチ・ボーイズの新作アルバム『Songs From Here & Back』より1曲。

 アル・ジャーディンの新曲「PTクルーザー」は、もともと彼のオフィシャル・サイトのみで販売していたシングルCDにも収録されていた曲で、ある意味、今回のブライアン、マイク、アルの3人の新曲のうち、一番“ビーチ・ボーイズらしい曲”といえるホット・ロッド・ナンバー。

 「PT クルーザー」とは、クライスラーという車会社の車種のひとつで、まあわかりやすく言えば、昔ビーチ・ボーイズが「リトル・デュース・クーペ」などを歌っていた感覚を現代的に置き換えた1曲、とも言えるでしょう。

 正直あまり期待していなかったのですが、出だしのコーラスから演奏に入る部分や、オールドマナーな曲調、中間のサックス・ソロからギター・ソロ、そしてファルセット部分も含め、前半のライヴ音源と続けて聴いても、全く違和感がない楽しい雰囲気。僕個人としてはかなり気に入ってます!

 昨年、マイク・ラヴのビーチ・ボーイズをフジ・ロックで見て感動したけれども、アル・ジャーディン率いるバンドのビーチ・ボーイズ・ナンバーも是非生で聴いてみたいですね。森 陽馬

2006年6月30日(金) The Bulldogs 「John, Paul, George and Ringo」

 ビートルズ来日40周年、ということで色々と盛り上がっていますね。
 今日(6月30日)が当時の来日公演初日だったそうです。

 さて、手前味噌ながら当店店長 森 勉が明日ラジオに出演します。

 7月1日25時、つまり深夜1時にラジオ日本(1422kHz)にて毎週放送されている『THE BEATLES 10』という番組にゲスト出演させていただくことになりました。
 リクエストを募り、ビートルズ・ナンバーのベスト10を毎週決めていくという番組で、ジョンやポールのソロなどもかからず、ただひたすらビートルズの音源だけがかかる、というまさに“ビートルズ10!”という放送です。当時の来日公演などに関してトークするそうですので、ご興味ある方はお聴きになってみてください。

 本日はそのビートルズに影響を受けたちょっと変わった1枚をご紹介。

 ビートルズのカヴァーではなく、ビートルズにまつわる曲を集めた珍コンピ『BEATLEMANIACS!!!』(PCD-2635 \2,625)が先日発売! 全24曲、元ネタがわかりやすい楽しいナンバーから一風変わったノベルティものまで面白い曲が満載の好コンピです。

 この今日の1曲は、珍しい1曲で、Bill CrompstonとMorgan Jonesというイギリスのソングライター・チーム(シャドウズの「Stranger」という曲を書いた二人)によるナンバー。
 ビートルズの「シー・ラヴズ・ユー」のコーラスをまんま使っていたり、「プリーズ・プリーズ・ミー」のギターをマネして曲に盛り込んでいたり、と遊び心いっぱいのゴキゲンな1曲です。(結局、当時アルバムなどは出ず、シングルのみだったようです。) 森 陽馬


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