PET SOUNDS RECORD
今日のこの1曲 アーカイヴス


  今日のこの1曲 “Achives”

<2006月9月>

当店ペット・サウンズ・レコード店にて、
その日に店内でかけていた曲の中から、
店員の独断と偏見で選んだ“今日のこの1曲”コーナー

2006年9月に更新した“今日のこの1曲”コーナー。

廃盤・生産中止、規格番号の変更など、
情報が古くなっている商品もございますが、ご了承くださいませ。


<最新の“今日のこの1曲”はこちらのページをご覧ください>


2006年9月1日(金) Donays 「Devil In His Heart」

 ビートルズがカヴァーした「デヴィル・イン・ハー・ハート」のオリジナルが、このドネイズの「デヴィル・イン・ヒズ・ハート」です。
 女の子の歌を男のビートルズが歌ったので、タイトルの「ヒズ(his)」が「ハー(her)」に変わったわけです。

 デトロイト出身のドネイズは調べたところによるとこの曲が唯一の発表曲のようです。
 <BRENTレーベル 7033>が番号で、このシングルは超レア・アイテム。それもそのはず、この曲はヒット・チャートには全く登場していない曲なのです。
 よく言われることですが、ビートルズがカヴァーしなければ歴史の中に完全に埋もれて、こんなに注目されなかったでしょうね。

 しかし本当にイイ曲です! リード・ヴォーカルとコーラスのかけあいも実にいい雰囲気です。(コーラスが「彼には悪魔の心があるわよ」と歌えば、リードが「ちがうわよ、 彼はわたしの天使なのよ♪」とこたえる。)

 このCDに収録されているのは、サンデー・ソングブックで山下達郎も紹していましたが、なんとステレオ・ヴァージョン! B面も入って、他の曲もマニアックな選曲で、ガール・ポップス・ファンは持ってて損なしの内容です。森 勉

2006年9月2日(土) The Escorts 「Ooh Baby Baby」

 ♪ 音楽の秋、 スウィート・ソウルの秋 ♪
にはまだちょっと早いかもしれませんが、エスコーツの名盤2枚が紙ジャケット仕様&最新デジタル・リマスター、更にボーナス・トラックまで収録されてCD化されたのでご紹介しましょう。

 エスコーツは、なんと!本物の囚人たちが集まったヴォーカル・グループで、スウィート・ソウルの伝道師・凄腕プロデューサーであるジョージ・カーによって見出され、このアルバムも当時刑務所内で録音された、という伝説の1枚。

 74年発表の2ndも素晴らしいのですが、まずは、ジャケットも強烈で大好きな「Ooh Baby Baby」のカヴァー(オリジナルは、スモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズ)が入っているこの73年発表の1st『All We Need Is Another Chance』(PCD-22263 \2,310)。
 タイトル曲以外はカヴァーなのですが、ヴォーカル&コーラスのスウィートな魅力はもちろん、ジョージ・カーによるアレンジの妙が見事!

 ちなみにライナーノーツにも書いてあるのですが、現在、オリジナル・メンバーで再び集結して、ジョージ・カー・プロデュースで新しいアルバムを録音しているらしい・・・。みんなもう堅気になっているのかな? 森 陽馬

2006年9月3日(日) The Escorts 「You've Been Here Since Then」

 昨日に続いてエスコーツ。こちらは74年発表2nd(PCD-22264 \2,310)。

 タイトル『3 Down 4 To Go』は、73年に発表された1stアルバムから1年を経て3人は出獄、4人はまだ獄中、という状況下で録音された、というのを意味しているらしい。(ちなみジャケットはCDサイズだとわかりにくいかもしれませんが、牢獄の鍵穴をイメージしたものでしょうね。)

 さて、こちらの2ndも1stを凌ぐくらい甘〜い内容で、デルフォニックスの大名曲「La La Means I Love You」カヴァーを中心に、とろけるような極甘な魅力がタップリ。

 で、今日のこの1曲「You've Been Here Since Then」はボーナス・トラックとして収録された未発表音源なのですが、ライナー・ノーツでも指摘されている通り、“ホントに同じエスコーツなの?”というようなファルセットが炸裂するスウィート・ナンバー。(声・歌い方がテリー・ハフそっくり!)
 当時プロデュースしたジョージ・カーが、「これはエスコーツの音源!」と太鼓判を押しているようですが、あやしいなあ〜。でもイイ曲なのでこれ1曲でもスウィート・ソウルファンなら買う価値あり!でしょう。

 余談ですが、なんだかんだいっても日本という国は本当に色々なCDが再発されて幸せだな、と。
 こんな盤までリマスターされて紙ジャケットというマニアな仕様で出ている国なんて他にないでしょう! 最近はネット配信などもあり、リスナーが麻痺しちゃっている部分もあるかもしれませんが、各レコード会社担当者の努力を認識しつつ、聴き手としてはもちろん売り手としてもありがたみを持って音楽に接しなければいけないな、と自省する毎日です。森 陽馬

★9月4日(月)は店舗休業日です。ご了承くださいませ。

2006年9月4日(月) Hands Of Creation 「Don't Stop The Music」

 まだまだ先、と思っていた狭山ハイドパーク・フェスティバルが、早くも今週末(9日、10日)と迫ってきました。

 心配のタネは天気なのですが・・・、おっ!週間天気予報を見ると今週末は今のところはくもり/晴れの予報ですね。降水確率も低いし大丈夫そうかな?

 注目のアーティストは?というと、昨年出演した細野さんや鈴木茂さんなどは今年は不参加ですが、その分今年は多種多彩な顔ぶれが揃いましたね。
 当店で昔から応援している東京ローカル・ホンクはもちろん、遠藤賢司、伊藤銀次、あがた森魚、ポーク・クルセイダーズ(加藤和彦/足柄金太/坂崎幸之助<from ALFEE>)、そして、若手の中では、湯川潮音、向井秀徳、bonobos、ダブル・フェイマス、ハンバート・ハンバートなどなど。

 その中でも僕が楽しみにしているのは、ハンズ・オブ・クリエイション。以前、6月22日のこのコーナーでも取り上げましたが、小池龍平(Vo.G)、高田漣(G)、岳史とBIC二人のパーカッショニストによる4人グループ。
 このアルバムが出て聴いた時から、「いつか彼らのライヴを野外で聴きたい!」と思っていたので、9月晴れの芝生の上で聴いたら、本当に気持ちいいだろうな〜。まあ兎にも角にも雨が降らないことを祈ってます。森 陽馬

2006年9月5日(火) 竹内 まりや 「シンクロニシティ(素敵な偶然)」

9月6日新譜(スガシカオ新作、YUKI新作など)が入荷。

 その中でも注目はやはり竹内まりやさんの久々のNewシングル。映画『出口のない海』主題歌「返信」と、アーモンドチョコCMソング「シンクロニシティ」のダブルA面です。(初回盤のみ“サイン入りポストカード”封入+当店では前のポストカードを先着でプレゼント)

 映画の内容を反映してか暗い内容の「返信」よりも、竹内まりや的ラヴ・ソングの「シンクロニシティ」の方がやっぱり僕は好きですね。
 バックのメンバーもセンチメンタル・シティ・ロマンスの3人(中野督夫、告井延隆、細井豊)に、セッション・メンバーとしてお馴染みの伊藤広規(B)、そして元シュガーベイブの野口明彦(Dr)という原点回帰したようなメンツ。センチの絶妙なコーラス・ワークがやはり絶品です!
 あとこれは僕だけでしょうが、この曲を聴いてサム・クックの「(What A) Wonderful World」を連想しました。(まあただ単に曲展開がなんとなく似ているだけですが・・・)

 ちなみに明日6日からこちらのワーナー・ミュージックのオフィシャル・サイトでPVを見ることができるようです。ファンは要チェック!森 陽馬

2006年9月6日(水) aiko 「シャッター」

 発売されてからすでに約2週間が過ぎてしまっていますが、まだここでは取り上げてなかったので紹介することにしましょう。
 大阪出身の女性シンガー・ソングライター、aikoの7枚目のアルバム『彼女』(PCCA-2315 \3,059)。

 小柄で幼く見えるaikoももう30歳。女性の恋心を綴った歌詞から男性だけでなく女性からも人気ある彼女ですが、歌だけでなく曲や演奏も色々な部分で“J-POPS”のいい部分が凝縮されていて、充実の作品に仕上がっています。
 特に今日のこの1曲「シャッター」を含め、アルバム全編で聴ける佐野康夫のドラミングが絶妙で、彼女のロマンチックな楽曲をより引き立たせているのが印象的。

 ちなみに以前、aikoがkinki kidsがやっていた番組『LOVE LOVE愛してる』(だったと思う)に出演した時、たしか山下達郎の大ファンだ、ということを公言していて、シュガーベイブの曲をやったことがありました。
 そういうこともあり、彼女の歌唱法、特に♪アー♪とか声を伸ばすところとかは、山下達郎にかなり影響を受けているなあ、と感じるのですが、aikoファンの方々いかがでしょうか? 森 陽馬

2006年9月7日(木) The Flame 「See The Light」

 ビーチ・ボーイズ・コア・ファンならご存知の方も多いと思われるこのThe Flameというバンドは、一時期ビーチ・ボーイズにも在籍していたこともあるブロンディ・チャップリン、リッキー・ファターが中心のグループで、1970年発表唯一のアルバム『The Flame』はなんと、プロデュースがビーチ・ボーイズ・ファミリーのカール・ウィルソン!という1枚。

 元々このThe Flameは南アフリカ共和国出身。中心人物のブロンディ・チャップリンはソロ作も発売していますが、ここ最近はローリング・ストーンズのツアー・メンバーとしての方が有名かもしれませんね。今年のストーンズのツアーにも帯同して来日していました。

 サウンドはビーチ・ボーイズとはまた違った60〜70'sロック・サウンドなので、ビーチ・ボーイズ・ファン全ての方にオススメできる、というわけではないのですが、ブロンディ・チャップリンと並ぶ中心人物のリッキー・ファターは、この後、ビートルズのパロディー・バンド、“ラトルズ”に加入し“ジョージ役”をやることからも、ビートルズにも繋がる音作りと言えるでしょう。

 すでに7月初旬に入荷していたのですが、初CD化ということもあり好評のうちに一旦完売。先日再入荷してきました。オリジナルLPはそこそこレアだったので、こうしてCDで手に入るようになったのは嬉しいですね。森 陽馬

2006年9月8日(金) ドロシー・アシュビー 「恋はフェニックス」

 私事ながら、明日は埼玉県狭山の稲荷山公園で行われるハイドパーク・フェスティバルに行ってまいります。

 先日、週間天気予報を見たときは晴れの予報だったのに、ライヴが近付くにつれ怪しい雲行きになってきました・・・。まあ多少の雨なら我慢しますが、昨年のような豪雨だけは勘弁してほしいよなあ〜。昨年のハイドパーク2日目に参加された方ならわかってくれるとは思いますが、本当に尋常な降り方ではなかったですからね。

 あの名ギタリストの人(名前は伏せますが)のグループが出番になった途端バケツを引っくり返したような雨になって、それが数時間続いたもんだから、ステージ脇近くの前方は“湖”状態。その“湖”に流れ込む雨が“川”になって、日が暮れて暗くなったその“湖”と“川”を眺めながら聴くエリック・アンダーソンの「Blue River」がなかなかに叙情的でヨカッタ、なんていうのは今だから言える話で、やっぱりその場にいた時は辛かったからなあー。

 まあ余談はさておき今日のこの1曲は全然関係なくて、ちょっと珍しいこの1枚。ドロシー・アシュビーという女性ハープ奏者が1969年に録音した作品で、流麗で魅惑的なハーブの音とジャズの要素が混合され、バカラックやジミー・ウェッブ、ビートルズの名曲をカヴァーしている隠れた名盤アルバムが世界初CD化。(UCCU-3043 \1,800)

 ビートルズの「Fool On The Hill」やポール・モーリアの演奏でヒットした「恋は水色」なども良いですが、グレン・キャンベルがヒットさせたことで有名なジミー・ウェッブのこの曲「恋はフェニックス(By The Time I Get To Phoenix)」のハーブの響きが美しいので今日はこれにしました。

 ちなみに明日もちゃんと店の方は営業しておりますので、何かございましたらお気軽にご連絡、もしくはご来店くださいませ。森 陽馬

2006年9月9日(土) ハンバートハンバート 「日が落ちるまで」

本日はハイドパーク・フェスに行っていて店に戻ってきたのは閉店後だったため、フェスの簡単なレポートでご容赦ください。

 蒸し暑い1日でしたが雨も降らず、快適なフェス日和となりました。昨年よりは若干少なめかもしれませんが、開演の12時にはすでにお客さんがかなり入っていて、ゆったりノンビリした雰囲気ながらも野外フェス独特の空気感が漂っており、各アーティストのライヴも素晴らしく、とても楽しめました。

 個人的にはハンズ・オブ・クリエイション、ハンバートハンバート、そして高田渡トリビュートのセッションが印象に残っています。
 特にトップ・バッターで登場したハンバートハンバートは初めてライヴを拝見しましたが、その清い純真無垢な歌声と英国トラッドに根ざしたサウンドが芝生の上で聴いていてこの上なく心地良かったです。

 『私は何十年もずっと求めていたのだ。<中略>フォザリンゲイやフェアポート・コンベンションのようなサウンドを醸し出す国産のバンドを。やっと見つけた。ハンバートハンバートだ。』と鈴木慶一に絶賛されていたのをやっと実感することができました。

 ちなみに1日目のラスト、伊藤銀次 with杉真理&村松邦男&moreでは、銀次さんが歌うシュガーベイブ「ダウンタウン」や杉さんの名曲「Nobody」まで登場。明日2日目もとても楽しみです。森 陽馬

2006年9月10日(日)ポーク・クルセイダーズ 「帰って来たヨッパライ」

 昨日に続いて、ハイドパーク・フェス2日目に参加。
 本当はもっとじっくりと感想などを書きたいのですが、簡単なレポート(というか雑記・雑感)を箇条書きにしてみました。

★暑い。
★1日目(土)よりも人多い。
★東京ローカルホンク 野外で聴く“カミナリ”に感動。
★湯川潮音の歌声は金延幸子に似ているな、と今頃気付く。
★bonobos人気に驚愕。ハイドパーク・フェスとは思えない(失礼)盛り上がり。1日目よりも人が多いのはこのせいだったのか、とこちらも今頃気付く。(bonobosTシャツ着ている女性ファン多数)
★ダブル・フェイマスの演奏・盛り上がりにも驚愕。もっとユッタリした感じでやるのかと思いきや踊れ!と言わんばかりのナンバー連発。ドラムの人超上手い。
★とにかく暑い。
★ちなみにセット・チェンジ中のBGMが今日はずっとニール・ヤング絡み(そうでないのもありましたが)であった。ちょっと、というかかなりウレシイ。
★自称“おっさんバンド”の狭山バンド。ザ・バンドやニール・ヤング、キャロル・キングなどお馴染み曲ばかりでいい雰囲気。やはり知っている曲を聴く、というのは楽しいな、と。徳武弘文さん大活躍。
★ブルースタイム 木村充揮さんMC最高。
★ジョン・コーワン・バンド リーダー(ジョン・コーワン)がベーシストのせいか、ブルーグラス・バンドなのにベース・ソロが長かったりして面白い。
★日がかげってもやっぱり暑い。
★遠藤賢司バンド いつもながら激・感動! とても59歳とは思えぬパワー! ちょっとよそ見をしただけで置いていかれそうな爆進ぶり!新作の曲も聴きたかった。
★ポーク・クルセイダーズ 補足するとこの“ポーク・クルセイダーズ”というのは、“フォーク・クルセイダーズ”の狭山版ネームで、基本的には再結成フォークル(加藤和彦、北山修、The ALFEEの坂崎幸之助)のこと。外人のバック・バンドもついて素晴らしいライヴ。
★ちなみに今日のこの1曲「帰って来たヨッパライ」はボサノヴァ・アレンジによる新ヴァージョン! これが出色の内容!
★最後の最後、ハイドパークのラストを飾ったのは「あの素晴らしい愛をもう一度」。近くにいた年配の方は泣きながら唄っていた。
★無事終了。今日の盛況ぶりを見れば来年も是非やってもらいたい、と誰しもが思っているはず。
★全然関係ないが、昨日会場で甘いものが食べたいな、と思ったので、こっそり食べようとアルフォート(チョコとビスケットが一緒になっているやつね)を買っていったんだけれど、封開けて数秒と経たないうちにどんどんとチョコが溶けていってしまった・・・。当たり前のことだがやっぱり野外フェスにチョコは持っていってはいけない、と今更ながら教訓。
★他にも色々とあるのですが、兎にも角にも楽しいフェスでした。関係者、及びボランティアの皆さま、おつかれさまでした。森 陽馬

★9月11日(月)は店舗休業日となります。ご了承くださいませ。

2006年9月11日(月) Brian Wilson 「Make A Wish」

 楽しいハイドパーク・フェスも終了しちゃって、なんだか夏も終わっちゃったなあ、という感じ。昨年はフジ・ロックにマイク・ラブのビーチ・ボーイズが来日したりなんかしてビーチ・ボーイズ関連がやたら盛り上がっていたような気がするのですが、今年は例年ほどのビック・サプライズがなかったような気がして、ちょっと淋しい印象。(キャピトル屋上でメンバーが再会、あと、『ペット・サウンズ40周年記念盤』の発売、などのニュースはあるんだけれどね。)

 そんなところへこんなニュースが舞い込んできた。マイク・ラヴ&ブルース・ジョンストンのビーチ・ボーイズが新作?アルバムをリリースする予定!(ソース:BB FUN) なんか選曲がスゴイですねー。「シェリー」や「ロックンロール・ララバイ」などのカヴァーなど聴いてみたい!

 あと、更にこんなニュースも!ブライアン・ウィルソン2007年に新作リリース! すでにこの話はちょっと前から噂で聞いてましたが、バカラックとの共作はやっぱり楽しみ。というか、もうブライアンの場合は内容とか出来とか、そういうのはどうでもよくって、新曲が聴けるというだけでホントに嬉しい!

 2004年、ブライアン名義の新録音『SMiLE』発売前に発表されたブライアン・ウィルソンのアルバム『Gettin' In Over My Head』。これ発表された時はコア・ファンから結構酷評されていたりしたけれど、今聴くと本当にイイ感じの曲が多いんですよね。
 エリック・クラプトンが参加した「City Blues」なんかも評判イマイチだったけれど、僕はそんなに嫌いじゃないし、特にポップな「Make A Wish」なんかはライヴでいつか聴いてみたいなあ、と思っているのです。

まあ結論としては“秋になってもビーチ・ボーイズ”、ということで。森 陽馬 

2006年9月12日(火) Brotherhood Of Groove 「Windjammer」

ハリケーン・カトリーナの被害から約1年。先日、あるニュース番組でもやっていましたが、ニューオリンズ復興の遅れには愕然としました。(くわしくはこちらのページなどで写真なども御覧になれます)

 たしかに1年で何もかも完璧に復興というのは無理な話でしょうし、「だったらお前は何かやったのか?」と言われると返す言葉もないのですが、経済大国であるアメリカだけの問題というのとはまた別に、現代社会における光と影を見た思いがします。
 今は何もできない自分ではありますが、いつかまたニューオリンズの地を訪れて存分に遊び散財して、少しでもニューオリンズ市民の人の手助けをしたいな、と強く実感したのでした。

 さて、暗い話はさておき、今日のこの1曲は、そのニューオリンズ発のイキのいいファンク・バンド、“ブラザーフッド・オブ・グルーヴ”というグループのアルバムより最もキラーなファンキー・チューンを。

 オリジナルはブルーノート・レーベルの名ギタリスト・グラント・グリーンの作で、ギターのリードもさることながら、ハモンド・オルガンの音色と熱いホーンが重なり、最高にかっこいいグルーヴィーなナンバーに仕上がっています。
 この曲以外にも、ソウライヴに在籍していた名SAX奏者・サム・キニンジャーも参加していたりして、全編ファンキーなホーンを楽しめる1枚でオススメです。森 陽馬

2006年9月13日(水) ZERO7 「Throw It All Away」

イギリス出身の男性二人、サム・ハーディカーとヘンリー・ビンズによるユニット、“ZERO 7”。

 2004年に発表された前作『When It Falls』が国内盤で発売された際(現在は廃盤)、その独特な音世界に魅了されたものの、コピー・コントロールCDでリリースされていたので買おうかどうしようか迷ったのですが、結局購入してしまった経緯もあるくらいなので、ちょっと期待していたこの新作『The Garden』(WPCR-12395 \2,580)が先日発売になりました。

 以前はClub Musicというか、ダウン・テンポのゆったりしたエレクトロニカ・インストが多かったのですが、前作あたりからヴォーカル曲が多くなり、今回の新作ではほとんどの曲がヴォーカル入り。楽曲もよりポップになっています。
帯に“ネオ・ソフト・ロック”、“太陽の光をたっぷり浴びた、やわらかい音楽”なんて言葉もありますが、もっとわかりやすくいえば、“キリンジをジョン・マッケンタイアかジム・オルークがプロデュースした感じ”とでも表現できるかな?(全然わかりやすくない、というツッコミが入りそうですね)

 2曲目に収録されているこの「Throw It All Away」はシア・ファーラーという女性ヴォーカルが歌っており、気張らない歌声が浮遊感あるサウンドに合っている印象。ここ最近のUKギター・ロックとはまた違った感覚を持った面白いグループです。森 陽馬 

2006年9月14日(木) Eddie Roberts 「Costa Del Soul」

 ギターの音色を聴いてすぐ“この人!”とわかるギタリスト、それなりに個性的な音を出すギタリストはたくさんいますが、みなさんでしたら誰を思い浮かべますか?

 ロック界でしたら、エリック・クラプトン、ジョージ・ハリスン、ジェフ・ベック、最近だとデレク・トラックス、ジョン・フルシアンテなど。ソウル界ではカーティス・メイフィールド、ジャズ界ではパット・メセニーだとか、挙げていたらキリがないのですが、新世代ジャズ・ファンク界で名前を挙げておきたいのが、このエディ・ロバーツ。

 エディ・ロバーツは、新世代ジャズ・ファンク界の雄、UK発のニュー・マスターサウンズというグループに在籍しているギタリスト。
 2004年12月にリリースされた彼のソロ1stアルバムは以前このコーナーでも取り上げたことがあったのですが、ニュー・マスターサウンズのようなジャズ・ファンクとはまた違ったクールなジャズを聴かせるかっこいい1枚で長らく愛聴盤でした。今回の新作はパリの名門クラブで行われたライヴ・アルバム(『Roughneck Live In Paris』 PCD-23827 \2,415)。

 いやー、このライヴ盤、本当にクールでかっこいいです。体が揺れるようなノリではないのですが、古臭くなく新しいモッドな香り漂うソウル・ジャズが聴いていてじんわり沁みてくる感じ。
 特にこの「Costa Del Soul」はこれ何かのカヴァー?と思えるほど(実際は彼のオリジナル曲です)、印象的なフレーズが随所に出てきて、21世紀のジャズ・クラシックに認定したくなるような見事なナンバー。

 グラント・グリーンのようなブルーノート・ジャズをお好きの方から、70'sフュージョン好きの人にも、そしてClub Music好きの方にも聴いてもらいたい1枚です。森 陽馬

2006年9月15日(金) Susan Cagle 「Shakespeare」 (Japanese Version) 

 2〜3ヶ月前、某大型レコード店で見かけたCDジャケットのかわいらしい彼女が気になり、試聴機に手を伸ばしました。気持ちいい位伸びのあるまっすぐな歌声に、聴いた瞬間“ビビビッ!”ときてしまいました。

 今作は、01年からニューヨーク・マンハッタンの地下鉄で歌い始め、地道に活動してきた女性シンガー、スーザン・ケイグルのデビューアルバムにして、全曲地下鉄録音(!)のライブ・アルバム(『Subway Recordings』 SICP-1133 \2,520)。
 その音は想像以上にクリアで驚かされますが、合間合間に電車の音や人々の声が聞こえ、本当に駅構内で録音されているのだなと伺い知る事が出来ます。

 この曲「シェイクスピア」(日本語Ver)は日本盤のみに収録されているボーナス・トラックの中の1曲です。
 タイトルの通り、彼女の代表曲と言える曲に日本語の歌詞を付けて歌っている最近では珍しい試みのもの。歌詞全てでは無いものの、時々聴かれる彼女の日本語はとってもキュート!(そしてうまいです!)

 日本のファンのために歌ってくれたんだなと思うと、日本盤発売を待った甲斐がありました。これからいい曲を沢山書いてくれそうな予感がする個人的に注目のアーティストです。東尾沙紀

2006年9月16日(土) Bobby Williams 「Funky Superfly」

“すべての<オリジナリティ>は<模倣>からはじまる”

 ちょっと哲学的かもしれませんが、音楽を聴いているとそう思うことが多々あります。その人個人のオリジナリティというのはもちろんあるんだろうけれど、それは必ずしも自然に形成されていくわけでは決してなくて、最初は誰かの真似をしていくうちに、そこから自分流の“味”というようなものが出てくるものなんだな、と。

 やっぱりルーツ(根)は必要不可欠で、かえってそのルーツが見えてこないと“根無し草”として魅力を失ってしまいますよね。最近の音楽業界は何故かそのルーツを隠そうとする傾向があるようで(まあパクリとかすぐ言われちゃう、というのもあるのかもしれませんが)、音楽を聴いているとその人のルーツが見えてくるアーティストというのが減ってきているようで残念でもあります。

 さて前置きが長くなりましたが、このボビー・ウィリアムスは、ジャケットもそうですが、音を聴いていただければわかる通り、彼のルーツはもうモロにジェイムス・ブラウン!。 74年に発表された1stアルバム(『Funky Super Fly』 PCD-22268 \2,310)ですが、ソウル・ファンの間では“フロリダのJB”とまで呼ばれていて、顔までソックリ!

 この曲「Funky Superfly」はJB代表曲の一つ「Mother Popcorn」のファンク・マナーに則したかっこいいナンバーで、70年代ファンク好きなら聴いてニヤリ♪とすること間違いなしのキラーチューン。
 ちなみにこの曲以外にも3曲目「Morning Of Love」のバラード曲は、JBの「マンズ・マンズ・ワールド」を絶対に意識した作りで、ここまで徹底してたらもう素晴らしい、としか言いようがない作品です。

 それにしてもジャケットの写真で、ヘリコプターの前で記念撮影よろしくポーズをとっていたり、海辺で佇んでいたり、何故か木に登っていたりしていて、そのダサかっこよさには感服。この作品からもう30年以上の時が経っていますが、今頃彼(ボビー)は何をやっているんだろうなあ〜。森 陽馬

2006年9月17日(日) ジョアン・ジルベルト 「Nao Vou pra Casa」

 もうすでにご存知の方が多いかもしれませんが、ジョアン・ジルベルトが再来日するそうですね。

 数年前の来日で多くの伝説?を作ったボサノヴァの神、ジョアン。招聘元のディスク・ガレージのチケットの案内欄に、
“開演時間は予定です。アーティストの都合により開演時間が遅れる場合がございますので予めご了承下さい。”
と書いてあるのが微笑ましいというかなんというか・・・。

 そんなジョアンの作品で一番オススメしたいアルバム、というか僕が彼の最高傑作だと思っているのが、実は2000年に発表された今のところの最新オリジナル・アルバム『ジョアン 声とギター』(UCCM-3050 \2,300)。

 現代ブラジル音楽界のトップ・スター、カエターノ・ヴェローゾがプロデュースを担当。そのカエターノをして、
“これよりいいものと言ったら、沈黙しかない。そして沈黙をも凌駕するのは、ジョアンだけだ!”
と言わせたのがこのジョアンの作品。
 たった30分の作品ではありますが、無限に続いて欲しいと願うほどの“静”なる音楽。CDをかけている間はエアコンの音さえも気になって消したくなるような繊細さを持ち合わせたボサノヴァ究極の1枚です。

 ちなみにこの曲「Nao Vou pra Casa」の邦題は「僕は家へは戻らない」。ボサノヴァ誕生以前からあるブラジル音楽の古典作(Antonio Almeida/Roberto Roberti作)で、前回の来日でも歌っておりジョアンお気に入りの曲のようです。森 陽馬

★9月18日(月)は祝日ですので営業いたします。

2006年9月18日(月) チャーリー&ザ・ホット・ホイールズ 「409」

“今年の夏・一番の収穫”といったら、もうなんといっても僕はこの1枚。
 ホント、何度聴いても飽きないですね! チャーリー&ザ・ホット・ホイールズの最新ミニ・アルバム『ロッダーズ・ルール』(CRCD-102 \1,575)。

 2001年ギター&ヴォーカルにJunさんが加入してからは、その素晴らしいコーラスワークにもより厚みが増し、ビーチ・ボーイズ初期の要素がグッと強まった感もある彼らですが、今度9月27日に発売予定になっているオムニバス『首都高有鉛伝説~涙のナイト・ドライブ編』(徳間 TKCA-73108 \2,500)では、なんとビーチ・ボーイズのヒット曲「リトル・ホンダ」(新録!)をカヴァーしているそうです。

 ジャケット写真はおろか、収録曲の詳細も徳間の公式サイトにまだ掲載されていなくて歯痒いかぎりですが、入荷してきましたら当店の通販コーナーにも掲載しますので、詳しい曲目などはしばしお待ちを。

 ちなみに「409」は、アルバム『ロッダーズ・ルール』のラストに収録されていて、ブライアン・ウィルソン&ゲイリー・アッシャーのゴールデン・コンビによる痛快なホッド・ロッド・ナンバーのカヴァー。先月行われたライヴの最後もこの曲でした。10月7日(土)には新宿CLUB DOCTORでワンマン・ライヴがあるそうですので、気になった方は是非! 森 陽馬

2006年9月19日(火) 大滝 詠一 「趣味趣味音楽」

 アルバム『ゴー・ゴー・ナイアガラ』がレコードで発売されたのが1976年10月25日。当初決まっていた発売日を延期してのことでした。

 ラジオ関東でのDJ番組「ゴー・ゴー・ナイアガラ」を週1回作って、ライヴに出演して、CM作って、DJパーティーをやって、本当に忙しい日々を送っていたんですね、この頃の“ミスター・ナイアガラ”は。いろいろな接点があって僕たちはとても楽しかったのですが。

 さて、30周年記念盤。今回のCDにはLP時代のオリジナル・マスターも収録されています。違わなそうで違っていた1996年のリミックス・マスターとの聴き比べも楽しそうです。

 このアルバムは1976年当時、うちの長男のとてもお気に入りの1枚でした。特に「趣味趣味音楽」は、♪シュミ・シュミ・ミュージック 聞け、聞こう、・・・♪ のところが大好きのようでした。
 小さな御子様がいらっしゃる方は是非一緒に聴いてみてください。成長した時には、音楽が大好きな人間に育っている・・・と思いますヨ。
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あの〜、本日分の「今日のこの1曲」は終わったんですけれども。森 勉


★蛇足かもしれませんが、文章が何故このような終わり方になっているか?は、『ゴー・ゴー・ナイアガラ』6曲目の最後の最後をお聴きになっていただければわかります。

2006年9月20日(水) Scott McKenzie 「Reason To Believe」

ママス&パパスの名曲「夢のカリフォルニア」と並んで有名な「花のサンフランシスコ」を歌っているのはこのスコット・マッケンジー。その彼の記念すべき67年発表1stアルバムが世界初CD化されました。(MHCP-1141 \1,890)

 プロデュースは、そのママス&パパスのジョン・フィリップスと、キャロル・キングとの仕事などで知られるルー・アドラー。バック陣が豪華で、ドラムがハル・ブレイン、ベースがジョー・オズボーン、キーボードにラリー・ネクテル、ギターがジョン・フィリップス。
 スコット・マッケンジーというと「花のサンフランシスコ」、という印象しかなかったのですが、アルバムの他の曲もストリングスのアレンジが素晴らしいものがあり、新しい発見が多かったです。

 特にティム・ハーディン作のこの曲「Reason To Believe」をカヴァーしているのは恥ずかしながら知りませんでした。
 多くのカヴァーで知られる「Reason To Believe」は、名シンガー・ソングライター、ティム・ハーディンの1stアルバムに収録されている名曲。(以2005年6月13日にこのコーナーでも取り上げてました。)

 僕はこの曲をウィルソン・フィリップスのカヴァーで初めて知ったのですが、このスコット・マッケンジーのヴァージョンは、他のカヴァーで聴かれるような切ない悲しい雰囲気とは違って、哀愁漂いながらも華やかなアレンジで歌われており、「花のサンフランシスコ」と同じような雰囲気なのが印象的。ハル・ブレインらしいドラミングも聴くことができます。森 陽馬

2006年9月21日(木) Linda Ronstadt & Ann Savoy 「King Of Bohemia」

「こんなリンダが聴きたかった」−リンダ・ロンシュタットの多くのファンがこのニュー・アルバムを聴きながら、そんな思いに浸っているのではないかと思う。<宇田和弘氏のライナー・ノーツより抜粋>

 国内盤解説の書き出しで上記のように宇田さんが書かれているように、まさにリンダの美しい天使のような歌声が存分に生かされた素晴らしい新作『新たなる旅立ち-Adieu False Heart』(KICP-1194 \2,400)が発売。

 アメリカン・フォーク/トラッド・ミュージックを軸に、シンプルなバック・サウンド。アコースティック・ギター、フィドル、バンジョーなどがゆったりと、なおかつしっかりとバッキングに配され、彼女の美声を引き立たせています。

 アメリカン・ルーツ/フォーク系の楽曲カヴァーが多い中、この曲「King Of Bohemia」は英国トラッドの名グループ、フェアポート・コンヴェンションに在籍していたことでも知られるリチャード・トンプソン作(94年作『Mirror Blue』に収録)のカヴァー。
 “癒し”という言葉は個人的にはあんまり好きな言葉ではないのですが、リンダのこの作品の歌声には本当に癒されますね。ホント心に沁みます。

 ちなみにこの新作はアン・サヴォイという女性シンガーとの連名になっていますが、彼女はケイジャン界では有名なアコーディオン奏者:マーク・サヴォイの奥さんであり、ケイジャン・バンド:マグノリア・シスターズのメンバーでもあるミュージシャンだそうです。森 陽馬

2006年9月22日(金) The Goldebriars 「Tell It To The Wind」

カート・ベッチャー、ドティ・ホルムバーグを中心に結成されたフォーク・ハーモニー・ポップ・グループ、“ゴールドブライアーズ”。
 実質的には2枚しかアルバムを出していないグループなのですが、当時録音されながらもお蔵入りとなった幻の3rdアルバムというのがなんと世界初CD化されました。(それも今のところ日本盤のみ! MHCP-1136 \1,890)

 これがどの曲も、なんでお蔵入りになってしまったのか?と疑問に思えるほど質の高い楽曲ばかりで、ソフト・ロック/ポップス・ファンならば狂喜すること間違いなし!の内容となっています。
 珍しいところでは「Hush Hush」(ブルースマンのジミー・リード作)や、ボブ・ディラン作「Walkin' Down The Line」などを、ゴキゲンなハーモニー・ポップ的アレンジでカヴァーしていますが、僕が特に気に入ったのは6曲目に収録されている「Tell It To The Wind」。

 それもそのはず、この曲はロネッツ「Be My Baby」など名曲を多数作り出したジェフ・バリーと、ボブ・ゴールドスタインによる共作で、もう最高にポップなナンバー。エコーの効いたティンパニの音が随所に入っていて、フィル・スペクター的/“ペット・サウンズ”的な雰囲気をも感じる1曲です。

 なお、当時メンバーだったドティ・ホルムバーグ本人による解説の和訳と、更に長門芳郎氏・中村彰秀氏、ご両人による詳細な解説も付いていてとても丁寧な作りの紙ジャケット仕様。これで1,890円は安いですね。森 陽馬

2006年9月23日(土) 村田 和人 「Catching The Sun」

 1980年代にMoonレコードに在籍、山下達郎との交流も深い村田和人のベスト盤が、先日ワーナーより2,000円というお買得価格での限定盤で再発売されました。(WPCL-10356 \2,000)

 ベスト盤はリリースされていたものの、ここ最近の数年間はその盤がずっと生産中止で、店頭に入れたくても入ってこない状態が続いていただけにウレシイ再発です。

 山下達郎がプロデュースした「電話しても」、「一本の音楽」や、竹内まりやとのデュエット曲「SUMMER VACATION」などが聴き所かもしれませんが、他にもイイ曲タップリ!
 本日この曲「Catching The Sun」をかけていたら、あるお客様から、“竹内まりや「ふたりはステディ」(アルバム『VARIETY』に収録)に似ている!”という声もありました。続けてかけてみると・・・、そうですね、曲調が似ていますねー。

 ちなみにこの「Catching The Sun」は1982年発表のシングル曲。ギターは山下達郎さんだそうです。森 陽馬

★まだ確定はしていませんが、12月には村田和人の各種アルバムが再発売される予定もあるそうです。詳細決まりましたら、当店HPでも告知いたします。

2006年9月24日(日) サンタナ 「君に捧げるサンバ」

本日夕方、武蔵小山商店街ではサンバ・カーニヴァル?が催されていました。

 明日25日から東急目黒線では、急行列車が運行されることになっており、“武蔵小山駅:急行停車記念!”と銘打ってのサンバ行進。
 ここ最近何かしらの記念催しがあると、何故か武蔵小山では必ず“サンバ行進”か“大太鼓”と相場が決まっているのです。

 ということで今日のこの1曲は、サンタナの1970年発表名作アルバム『天の守護神』に収録されている“サンバ”が付いているこの曲ということで。

 “サンバ”と付くと華やかなイメージがありますが、このサンタナの「君に捧げるサンバ」は、泣きのギターが炸裂するインストゥルメンタルのバラード曲。先々月あたりに発売されたライヴ盤、奇跡の紙ジャケ復刻作『ロータスの伝説』にも収録されています。森 陽馬

★9月25日(月)は店舗休業日になります。ご了承くださいませ。

2006年9月25日(月) 立川藤志郎 「唐茄子屋政談」

 明日26日、ビーチ・ボーイズ『ペット・サウンズ 40周年記念盤』の国内盤が入荷する予定なのですが、それにあわせて久々となる当店作成フリーペーパー“BEACH BOYS PAPER Vol.4”を作成中です。あんまり内容は濃くないかもしれませんが、“発売記念”ということでご了承ください。

 ということで、今日は落語のCDを何枚か聴きながらその“BEACH BOYS PAPER Vol.4”を作っていたのですが、音楽と違って落語のCDだとついつい聴き込んでしまい、なかなか作業がはかどらない! でも最近寄席にも行ってないし、営業中はさすがに落語のCDを店内ではかけられないので、ついつい落語のCDに手が伸びてしまうんですよね。

 さて、この「唐茄子屋政談」という話は、遊びが過ぎて勘当された若旦那が唐茄子を売り歩くようになることによって、人の情を知り、情をかけられる側から、やがて情をかける側へと変化していく、という人情噺。
 通しでやると長時間になる大ネタで、この立川藤志郎(高田文夫)の噺も約55分の長丁場となっています。(なお録音は1993年5月紀伊国屋ホールでの公演)

 基本的には人情噺なのですがそこは藤志郎マジック。そこかしこにサブカルチャー的な笑いのネタが散りばめてあって、全く飽きさせない。

 ちなみに今回の“蔵出し”音源はマスターがカセットテープだったそうなのですが、とてもテープだったとは思えないほどの良い音質。(何台ものデッキの中から一番相性の良いデッキを選び、再生スピードを調整。そしてCD用にリマスターしたそうです。)
 レコーディング・エンジニアの努力が感じられるこの“蔵出し”シリーズ。次回も期待したいです。森 陽馬

2006年9月26日(火) Beach Boys 「You Still Believe In Me」

本日はひどい天気でしたが、ビーチ・ボーイズ『ペット・サウンズ40周年記念盤』の国内盤が入荷。
 ビーチ・ボーイズというとやはり、真青な空と太陽の下で聴くシチュエーションが頭に浮かぶかもしれませんが、外の雨音が混じりながら聴く『ペット・サウンズ』というのもなかなかにイイものです。

 さて、昨日書いたように当店作成フリーペーパー“BEACH BOYS PAPER Vol.4”がやっと完成。その中で、
<当店店員 森 陽馬が独断と偏見で選ぶビーチ・ボーイズ名曲10選!◆深夜にジックリ聴きたい!編◆>というコーナーを設けてみました。
(お前のそんな10選なんて知りたくないっ!という声が聞こえてきそうですが、まあ余興ということでお許しを・・・)

 そこにはあえて『ペット・サウンズ』の曲は選びませんでしたので、ここ
<『ペット・サウンズ』の中で深夜ジックリ聴きたい1曲!>というのを選ぶとすると・・・、うーーーん「God Only Knows」と迷いましたが、やっぱり2曲目に収録されている「You Still Believe In Me」かな。
 ブライアンのリード・ヴォーカルからラスト、エンディングでビーチ・ボーイズのコーラスが入っていくところが特に感動的。

 まあ『ペット・サウンズ』は、この1曲、というよりは、“『ペット・サウンズ』のアルバムでまとめて1曲”という感覚なので、絞るのが難しいですね。
・・・と、ダラダラつまらないことばかり書いてスミマセン。

 まあとにかくも、『ペット・サウンズ』は天気を選ばない1枚、ということで、おあとがよろしいようで。森 陽馬

2006年9月27日(水) Charlie & The Hot Wheels 「Little Honda」

 “巷のちょい不良ドライバー達に贈るサウンド・グラフィティー”
と帯に書いてあるこのコンピは、徳間レーベルから発売された『首都高有鉛伝説』というタイトルのCD。(TKCA-73108 \2,500)

 クレイジー・ケン・バンド「京浜狂走曲」他、サーフ・コースターズ、ギター・ウルフ、MAD3、渚ようこ、柳ジョージ、ラウドネスなど豪放な日本人ロックのナンバーが全19トラック収録されているのですが、その中になんと!チャーリー&ザ・ホット・ホイールズによるビーチ・ボーイズ名曲カバー「リトル・ホンダ」も収録!

 先月発売された彼らのアルバムでは「409」のカヴァーも収録されていましたが、この「リトル・ホンダ」はこのコンピのためにレコーディングした新録音源! チャーリー&ザ・ホット・ホイールズらしい疾走感ある演奏と素晴らしいコーラス・ワークが堪能できる仕上がりです。

 他にも、解散が決定してしまったデキシード・ザ・エモンズの新録音源「シュート・シュート」は、「悪魔を憐れむ歌」を下敷きにしたような痛快な1曲で、こちらはストーンズ・ファンならニヤリ♪とすること間違いなし!
 クレジット見て、エッ?と一瞬思った柳ジョージやラウドネスの曲なども、結構流れがハマッていて楽しる1枚です。森 陽馬

2006年9月28日(木) Pat Metheny & Brad Mehldau 「Make Peace」

おそらく、今年発売されたJAZZ新譜の中でもベスト5に入るであろう素晴らしい1枚。

 1970年代から活動している名ギタリスト、パット・メセニー(52歳)と、徐々にキャリアを積み上げてきた天才ピアニスト、ブラッド・メルドー(35歳)の二人による共作アルバム『メセニー・メルドー』(WPCR-12454 \2,680)。

 まあパット・メセニーの新作、というだけで話題作かもしれませんが、その期待以上に美しい仕上がりの1枚で、ジャズとかフュージョンとかいう括りとはまた違った次元の、やさしい手触り感。
 特に3曲目「Summer Day」や、この10曲目「Make Peace」などは、ジャケット全体のイメージ色である“青”が演奏から滲み出てきて、聴いていると深い海へと吸い込まれていきそうな深遠なナンバー。本当に美しい。

 今日の昼間、店内でかけていたら、ちょっと薄汚れた作業服を着た40〜50代のおじさんが音を聴いただけで、「これ、メセニーのギターだね?」と尋ねてきたのにはピックリ。(買っていってはくれませんでしたが・笑)

 まあでもそのくらいメセニーのギターの音色は特徴的で、不思議な音感を持っていますよね。もちろんヴォーカルは入っていませんが、まさにギターとピアノが会話しているようなアルバムです。森 陽馬

2006年9月29日(金) Ike Turner 「Goin' Home Tomorrow」

 忘れもしない、あれは2003年のジャパン・ブルース・カーニバル。
 あのアイク・ターナーが来日する、というので友人と川崎チッタまで意気揚々と出かけていったら、入口前に張り紙がしてあって、
“出演予定のアイク・ターナーは出演できなくなりました。そのかわり、バックバンドであるThe Kings of Rhythmは演奏いたします”とのこと・・・。

 エーーー!アイク・ターナーを見に来たのに・・・と意気消沈の友人は、チケットを払い戻してくれる、という主催者の計らいで、チケット代金(たしか6,000円くらい)を返してもらい、さっさと帰宅。
 アイク・ターナー不参加を了承の上、ライヴを見る場合は2,000円バック(2,000円返してくれる)、ということだったので、悩んだ挙句、僕は会場内に入って、バック・バンド見ましたヨ。
 まあ悪くはなかったんだけれど、「このバンドをバックにワイルドにギター弾いて歌うアイク・ターナー見たかったなあー」とやっぱり思っちゃいましたね。
 
 で、その因縁のライヴから3年。なんと彼の新作が入荷してきました。(『Risin' With The Blues』 Zoho ZM200611 \2,415)
 思ったよりもCDの音源は、ファンキーというよりはおとなしめで、ジミー・リード的なブルースをやっていたりもして意外でしたが、彼の弾くギターはなかなかに切れ味鋭くてクール。ちなみに今日のこの1曲「Goin' Home Tomorrow」はファッツ・ドミノのカヴァー。

 何故にあの時、直前で出演キャンセルになったかはいまだに謎なのですが、それにしてもこのCDのジャケ見てもホント人相悪すぎ。まあとにかくもまたいつか来日よろしくお願いしますね。アイクさん。森 陽馬

2006年9月30日(土) Isabelle Antena 「All for The Music」

 アンテナ、といっても最近の若い人はご存知でない方が多いかもしれませんが、彼女(イザベル・アンテナ)は80年代後期〜90年代初期にヒット作を出したフランスの女性シンガー。
 当時からサウンドに普通のヒット・チャートものとは違ったお洒落な雰囲気を醸し出していて、澄んだヴォーカルも心地良く、学生時代に時々聴いていたのを思い出します。

 そんなアンテナがなんと新作『French Riviera』(GAGJ-18 \2,625)を発表しました。
 彼女が作曲・作詞したナンバーを日本の各プロデューサーが料理する、という趣向で制作され、日本CLUB MUSIC界で幅広く活動している福富幸宏がアルバムのトータル・プロデューサーを担当。

 Kyoto Jazz Massiveが手掛けたC「Brazilian Dorian Dream」や、オレンジ・ペコーの藤本一馬によるF「Fly Away」を筆頭にどの曲も非常にハイセンスな仕上がり。CLUB MUSICに馴染みのない方などに特にオススメしたい女性ヴォーカル・アルバムです。

 特にその中でも僕は、元モンド・グロッソ、現SLEEP WALKERなどで活躍しているクリエイター、吉澤はじめによるD「All for The Music」が気に入りました。フックの効いたサビとメロディーがクール&グルーヴィー! 
 夜ドライヴしながら聴きたい1枚ですね。森 陽馬


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