PET SOUNDS RECORD
今日のこの1曲 アーカイヴス


  今日のこの1曲 “Achives”

<2007月4月>

当店ペット・サウンズ・レコード店にて、
その日に店内でかけていた曲の中から、
店員の独断と偏見で選んだ“今日のこの1曲”コーナー

2007年4月に更新した“今日のこの1曲”コーナー。

廃盤・生産中止、規格番号の変更など、
情報が古くなっている商品もございますが、ご了承くださいませ。


<最新の“今日のこの1曲”はこちらのページをご覧ください>


2007年4月1日(日) ハンバートハンバート 「桜の木の下で」

 桜の木が店の真ん前にあった旧店舗の時、車椅子に座ったご老人とそのお連れの方がその咲いた桜の木を見ながら話していた会話がとても印象に残っている。

 「もう桜を見るのもこれが最後かもしれないね」

 僕はその言葉を聴いてハッとした。正直言うとそれまでは桜に関して特に思い入れもなかったし、春に咲く花、くらいの考えしか持っていなかったが、その言葉で“人が桜を想う気持ち”が何故にこれほど大きいのか、というのがわかった気がした。
 
 人はただきれいにそこで咲いた“桜”を見ているのではなく、その“桜”と共に連れ添った古い春の想い出を、心の中でフィルターを通すように見ているのではないだろうか。

 子供時代に家族で見た“桜”、学生時代に恋人と見た“桜”、成人して新しい道を歩む際に見た“桜”...etc。“桜”は人それぞれの郷愁を呼び起こし、そしてパッと散ってしまう。

 今日のこの1曲は、【桜の木の下で初めてくちづけした時の想い出や二人で雨宿りした時の空の色や匂いは今日限りで忘れてしまうんだ。新しい恋を見つけたから。】と歌われる前向きながらもちょっぴり切ないナンバー。
 歌ではこう歌われているけれど、でも絶対にその想い出は記憶の奥底から毎年湧きあがってくるのだろう。美しくも儚い“桜”を見るたびに。森 陽馬

★「桜の木の下で」はハンバート・ハンバート2005年発表4thアルバム『11のみじかい話』(MDCL-1469 \3,150)に収録されています。

2007年4月2日(月) The JuJu Orchestra 「Do It Again」

スティーリー・ダンが来日決定!それも新規オープンのBillboard Liveで!

 Billboard Liveは今何かと話題の六本木・東京ミッドタウン内にできるライヴ・スポットで、8月18日にオープン予定。そのこけら落としがスティーリ・ダンなのだそうだ。
 こちらのBillboard LiveのHPを見るとかなりVIP&セレブな作りで僕のような一般庶民はお呼びでない雰囲気が早くもビンビンと伝わってきますが、この小さいスペースでスティーリー・ダンというのも贅沢なものですね。はたしてチケットは普通の人でも手に入るのでしょうか。

 さて、今日のこの1曲は珍しいスティーリー・ダンのカヴァー曲。
 ジュジュ・オーケストラはドイツ出身の新世代ジャズ・グループなのですが、いい意味でCLUB MUSICやFunkともクロス・オーバーしていて、このアルバム『Bossa Nova Is Not A Crime』(RCIP-104 \2,500)も全曲クールでかっこいい1枚に仕上がっています。

 最初はフェンダー・ローズの響きが美しいクラブ対応のグルーヴがセンスいいなあ、と思って聴いていたのですが、アルバムを聴きすすめていたら、テリー・キャリアが参加している曲があったり、このスティーリー・ダンのカヴァーをやっていたり、はたまたファンク名曲「ファンキー・ナッソー」のカヴァーが入っていたり、と引き出しの多さにビックリ。新世代ジャズ・ファンのみならず、CLUB MUSIC好きの方にも大推薦の1枚です。森 陽馬

2007年4月3日(火) 寺尾 紗穂 「二輪草」

 おそらくこれから何度も何度も末永く聴き続けていくであろうこの1枚、寺尾紗穂さんの新作となる2ndアルバム『御身』(MDCL-1478 \3,150)が本日入荷しました。

 昨年『愛し、日々』でソロ・デビュー。すでにその作品で、“愛し”と書いて“かなし”と読ませる感性、絶大な求心力を持った奇跡の歌声は披露されていましたが、メジャーからのファーストとなる今作『御身』では更にその世界観が広がった傑作に仕上がっています。

 ハンバートハンバートの佐藤良成、SAKEROCKの星野源などもゲスト参加していますが作品の軸はあくまで彼女の歌声とピアノ。瑞々しいイノセントな詞世界も加わり、清い水のように聴く者の心に沁みこんでいきます。

 ちなみに当店ペット・サウンズ・レコードは1981年にオープンしたのですが、寺尾紗穂さんも同じ1981年生まれ。
 音の隙間をも聴かせるこの「二輪草」を含め、このアルバムが放つ清くイノセントな光は、25歳の彼女に限りない可能性があることを改めて実感させてくれました。森 陽馬

2007年4月4日(水) Brian Wilson 「What Love Can Do」

 先月あたりからビーチ・ボーイズ・マニアの間で話題になっていたブライアン・ウィルソン参加のこのCDがやっと入荷してきました。

 180 Music/Targetというレーベルから米国内限定で販売されているCDで、タイトルは『New Music From An Old Friend』。アルバムのトータル・プロデュースをフィル・ラモーン(ビリー・ジョエルの名作群や名作映画のサントラを手掛けてきたことで有名)が担当しているのですが、参加アーティストがハンパじゃなく豪華!
 ブライアン・ウィルソン、キャロル・キング、バート・バカラック、ポール・ウィリアムス、ケニー・ロギンス、スティーヴン・ビショップ&エリック・クラプトン、リチャード・マークスなどのアーティストが既発曲ではなく、全曲新録音で参加!というオムニバス形式の1枚です。

 アメリカ国内限定CDとのことで入手困難な1枚でしたがやっと聴くことができました。かなり高い販売価格(\3,500)になってしまって申し訳ないのですが、ご興味ある方は是非聴いてもらいたい1枚です。

 やはりCDを手にして一番最初に聴いたのはブライアンのこの曲。クレジットを見ると、バート・バカラックとブライアン、そしてSteven Krikorianという人による共作でこのアルバムのために作られた新曲のようです。
 肝心の曲の内容は心和むミディアム・バラード的構成の楽曲でかなりいい出来! ジェフリー・フォスケット率いる現在のブライアン・バンド(ダリアンは不参加)がしっかりバックを固め、素晴らしいコーラス・ハーモニーと演奏を聴かせてくれます。 是非、現在制作中と噂される新作アルバムにも入れて欲しいですね。森 陽馬

2007年4月5日(木) Fountains Of Wayne 「Fire In The Canyon」

 スタジオ・アルバムとしては前作から4年、4作目となるファウンテンズ・オブ・ウェインの新作はパワー・ポップ、80s、カントリー、ブリティッシュが混在した王道ともいえるポップ・ロック・アルバム。
 
 ゲストには元スマッシング・パンプキンスのジェイムス・イハ、メリッサ・オフ・ダ・マー等が参加。
 
 彼らの作品をちゃんと聴くのはこれが初めてで、「10年程の活動で出しているのはレア・トラック集を含んでもまだ5枚かぁ」なんて思ってしまったのですが、ベーシストが、4月21日公開のドリュー・バリモア&ヒュー・グラント主演の映画『ラブソングが出来るまで』のサントラの作曲&プロデュースを担当しているそうで、これからはその映画共々注目していきたいと思っています。
 
 ジャケットから連想させるカラフルでポップな曲もいいのですが、私はのんびりとしたカントリー調のこの曲がお気に入りです。単純なポップソングが多いようにも思えますが、細部にこだわりが感じられる良質ポップアルバムです。東尾沙紀

2007年4月6日(金) The Queers 「Brian Wilson」

 ジョー・クイアー(Vo.G)中心の“ザ・クイアーズ”は1980年代から活動しているアメリカはニューハンプシャー出身のポップ・パンク・グループ。この作品『マンキ・ブレイン』(FACE-33 \1,995)は彼等の5年ぶり15作目だそうですが、アルバム最後になんと!「Brian Wilson」という曲が収録されています。

 以前にベアネイキッド・レディースというグループが「Brian Wilson」という曲を出していたことがありましたが、それとは同名異曲。この曲はクイアーズ作による新曲となります。
 彼等の作品の中では地味目な曲ではありますが、歌詞がなんかとても良くて(ビーチ・ボーイズ情報コーナーに歌詞掲載しました)、ポップに対する愛情みたいなものが感じられます。

 他の曲もポップな楽曲の魅力だけでなく、コーラスなども随所に入っていて短いながらもゴキゲンないい曲連発! チャーリー&ザ・ホット・ホイールズも気に入ったビーチ・ボーイズ・ファンの方々に是非オススメしたい1枚です。森 陽馬

2007年4月7日(土) The Sound Stylistics 「The Players Theme」

 ニュー・マスターサウンズ、ソウライヴを筆頭に更に盛り上がりをみせる新世代ジャズ・ファンク・シーン。今年に入ってからも様々な新譜が発売されましたが、今日入荷してきたこの作品は“2007年のNo.1Jazz Funk!”と早くも公言したくなる強烈な1枚でした。

 この“The Sound Stylistics”、メンバーはなんと!ジェイムス・テイラー・カルテットのジェイムス・テイラー(key)、ニュー・マスターサウンズのエディ・ロバーツ(G)、インコグニートのジム・ワトソン(rhodes)、ジャミロクワイのマイク・スミス(sax)他、ガリアーノ、ブラン・ニュー・ヘヴィーズなどのミュージシャンも勢揃いという超・超強力メンツ! これで悪かろうはずがないのですがアルバム全17曲、その期待を更に大きく上回る内容の濃さでした!

 アルバム・タイトル『Play Deep Funk』通り、音が“1960〜70年代”していて21世紀の録音とは思えないほど黒っぽいFUNKの魅力に包まれています。

 元々この作品自体は2002年頃に発売予定だったそうなのですが何故かおクラ入り、やっと陽の目を見た盤だそうですが、今は亡きJBに聴かせたかった、と思わせる“新世紀のFUNK”を実感できるアルバムです。森 陽馬

2007年4月8日(日) The Baker Brothers 「What You Do Is Right」

 昨日に続いてイキのいい新世代ジャズ・ファンクの新作オススメ盤をご紹介。

 ベイカー・ブラザーズはイギリス出身の白人3人組。2003年発表1stアルバム『テン・ペイシズ』時点では“ロック・ジャズ・ファンク・インスト・グループ”という印象でしたが、ヴァネッサ・フリーマンという女性ヴォーカルをfeatするようになってからは幅がグッと広がり、よりソウルっぽい魅力も兼ね備えるようになりました。

 この新作となるライヴ盤は、2006年11月渋谷クワトロでアメリカのジャズ・ファンク・バンド“ボストン・ホーンズ”とジョイントで行われた『JAZZ FUNK EXPO 2006』というイベントでのものですが、ヴァネッサ・フリーマンだけでなく、更にサックス奏者も加わった5人編成で単なる“荒っぽいジャズ・ファンクのライヴ”以上の熱気が伝わってきます。

 英国の人気FUNK DJ、Quantic(クオンテック)の人気曲「Super 8」のかっこいいカヴァーなども良かったですが、後半ヴァネッサの伸び伸びとしたヴォーカルとサックス・ソロがファンキーな演奏をグイグイ引っ張るこの曲「What You Do Is Right」が僕はフェイヴァリット。これからのベイカー・ブラザーズの可能性も感じさせてくれる好ナンバーです。森 陽馬

2007年4月9日(月) Tony Joe White feat Eric Clapton
「Did Somebody Make A Fool Out Of You」

ちょっと紹介が遅れてしまいましたが、トニー・ジョー・ホワイトの新作『Uncovered』(WHCY-1 \2,300)が発売されました。

 <エリック・クラプトン、J.J.ケイル、マイケル・マクドナルド、マーク・ノップラー他豪華ゲスト参加!>という売り文句とは裏腹に最初聴いたときは、ちょっと地味すぎるなあ、とも感じたのですが、繰り返し聴くたびにどんどん沁みてきました。やはりこれぞ!“スワンプ・ロック”ですね。

 “スワンプ・ロック”とは、70年代アメリカ南部のアメリカン・ルーツ/ブルースに根ざしたロックのことを指すことが多いのですが、トニー・ジョー・ホワイトはその“スワンプ・ロック”の中でも代表的存在。80年代以降はこれといった作品を出せていませんでしたが、このアルバムは真に“復活”を感じさせてくれる1枚です。

 今日のこの1曲「Did Somebody Make A Fool Out Of You」は、元々は1974年発表アルバム『Homemade Ice Cream』に収録されていたナンバーで、この新作にはエリック・クラプトンのギターをfeatした新録ヴァージョンが収録。アルバム全体に言えることですが、“レイドバック”した雰囲気が最高です。

 来日公演も来週に迫ってきましたので、“現在”のトニー・ジョーを聴いてみたい・見てみたい、という方は是非チェックしてみてください。森 陽馬 

2007年4月10日(火) Jeff Beck 「You Know What I Mean」

 このアルバム全体から醸し出される熱は、発売から30年以上経った今でもまだ失われていないようです。
 1975年、3大ギタリスト・ブームが続くなか発表されたこのアルバム『ブロウ・バイ・ブロウ』(MHCP-965 \1,785)はロック、ブルースのギターとはまた別の魅力を伝えてくれるものでした。

 ジェフ・ベックがキーボード担当のマックス・ミドルトン(彼が在籍したハミングバードのCDが5月9日に発売決定!遂にあの名作『密会』がCDで聴けます。)と共作したこの1曲目「You Know What I Mean」。イントロからシビレます。

 ジェフ・ベックといえば、先日発売されたブライアン・ウィルソンが『ミュージック・ケア』という組織から表彰されたトリビュートDVDでの「サーフズ・アップ」と「サーフィンUSA」の名演に注目! ずっと追い続けてきたわけではありませんが、ヤードバーズ時代から好きだったベック、最近また古いLPをひっぱりだして、家でガンガンかけている今日このごろです。森 

2007年4月11日(水) Gerald Levert 「Wanna Get Up With You」

 2006年11月心臓発作で急逝したSOUL/R&Bシンガー、ジェラルド・レバート。J-WAVE深夜のラジオ番組“Universe”(ナビゲーターが松尾潔さん)の昨年暮れ特番に山下達郎氏がゲストで出演した時にも、まず一番最初にかかった曲がジェラルドの曲でしたが、その彼の最後のオリジナル・アルバムが先月発売になりました。(輸入盤CD Atlantic 100341-2 \2,280 今のところ国内盤発売予定なし)

 これがもう本当に素晴らしい内容で、おそらく今年のSOUL/R&Bアルバムの5指に入るであろう1枚に仕上がっています。

 父(オージェイズのEddie Levert)譲りのエモーショナルな歌声と嫌味のない落ち着いた大人向けバック・トラックで全曲良質、捨て曲なしのアルバム。D「Fall Back」、E「Deep As It Goes」などの極上スローも聴きどころですが、あえて今日のこの1曲にはミディアムのC「Wanna Get Up With You」を。

 ミディアム・ナンバーといっても単なるクールなトラックだけでなくて、コーラスの重ね方も非常に凝っており、現代R&Bの魅力を存分に感じさせてくれるナンバーです。森 陽馬 

2007年4月12日(木) Dan Penn and Spooner Oldham 「I'm Your Puppet」

 もう来日しないかもしれない...でももし万が一来日する事があれば観てみたいのが、このライヴ・アルバム(『ライヴ〜モーメンツ・フロム・ディス・シアター』 MSIG-288 \2,835)で渋い演奏と歌声を聴かせるダン・ペンとスプーナー・オールダムの2人。

 オープン前の開店準備中に初めて聴いた時、ダン・ペンの低くて味わい深い声に強く惹かれました。大袈裟かもしれませんが、とっても感激してしまいました。スプーナー・オールダムが弾くウーリッツァーもとても優しくて心地良い音色です。

 自身が書き、ソウル、ロック等の様々なアーティスト達がヒットさせた名曲をセルフカバーしている中の一曲、黒人の兄弟デュオ、ジェームス&ボビー・ピュリファイがヒットさせた「I'M YOUR PUPPET」。店頭で聴かせてもらったそのバージョンもとてもいいです。

 まずはオリジナルを色々聴くべきですが、暫くは彼等の演奏で名曲を楽しみたいと思います。東尾沙紀 

2007年4月13日(金) チャーリー&ザ・ホット・ホイールズ 「G.T.O」 

 ビーチ・ボーイズの故デニス・ウィルソンと若きジェイムス・テイラーが主演の1971年アメリカ映画『断絶』。豪華な顔ぶれとは裏腹にサイレント映画のような静かな佇まいで物語が進行していくちょっと変わったニューシネマなのですが、その時代特有の空気感が内包された1作です。

 先日その映画『断絶』がめでたく初DVD化されたのですが、発売記念としてRat Holicというバンド主催のライヴ&トーク・イベントが明日14日(土)、西麻布The Baronで18時30分より開催されます。
 なんと入場無料で更に先着100名にはポスターがもらえる!というお得なイベントですので、気になる方は是非チェックしてみてください。

 そのイベントにライヴ出演するのはやはりこのバンド、チャーリー&ザ・ホット・ホイールズ。今年1月にオールナイトで行われたライヴもカヴァー大会という感じで痛快なショーでしたが、今回はカーレースにまつわる映画のイベントですから、ホット・ロッド・ソング連発になるかもしれませんね。

 ということで、今日のこの1曲は彼等が2004年に発表したアルバム『Hot Rod Craze』(CRCD-101 \1,890)の1曲目に収録されている「G.T.O」(邦題:憧れのロイヤル・ボブキャット)を。疾走感ある演奏だけでなく、3人の素晴らしいコーラス・ハーモニーも聴きものです。森 陽馬

2007年4月14日(土) Marilyn Mccoo & Billy Davis.Jr 「星空のふたり」

 以前から問い合わせが多かったこのアルバムがやっと再発されました。

 フィフス・ディメンションの中心メンバーである二人、Marilyn MccooとBilly Davis.Jrがデュオ名義で1976年に発表した隠れた名作アルバム『I Hope We Get To Love In Time』(CCM-784 \1,980)。

 ドラマティックスやデルズの仕事で知られるDon Davisがプロデュースを担当したこのアルバムは、まさに70's中期のメロウ・ソウルを代表するような内容の1枚で、特に1曲目「You Don't have To Be A Star (To Be In My Show)」<邦題「星空のふたり」>は極上メロウなミディアム・ナンバーです。

 二人の甘い掛け合いももちろんですが、なんといってもバックの演奏が最高で、冒頭からデヴィッド・T・ウォーカーのギターの響きに悶絶すること必至! この曲以外もイイ曲揃いなので、当分の間、店でも自分の部屋でもヘビーローテーションになりそうな1枚です。森 陽馬

2007年4月15日(日) Teen Queens 「Eddie My Love」

 ドゥワップというとほとんど男性の分野ですが、珍しくこの“ティーン・クイーンズ”は、ベティとロージーによる姉妹デュオによるドゥワップ・スタイルが楽しめます。

 「エディ・マイ・ラヴ」は1956年の大ヒット曲。彼女たちのR&Bフィーリングたっぷりのヴォーカルとバックの演奏、特にサックスのアンサンブルがいい雰囲気です。

 このCDの中には似たような曲調の曲が他にも収められていますが、これぞこの時代のスタイル。春の宵にはピッタリのミディアム・50's・バラード。素敵です。森 勉

2007年4月16日(月) Musiq Soulchild 「Lullaby」〜「Greatestlove」

 新店舗オープンしてから早くも1ヶ月が過ぎました。
 だいぶ店も落ち着いてきましたが、今週末4月20日(金)には、夜7時から10時ごろまでペット・サウンズ・レコードの地下にあるカフェ“アゲイン”にて、当店店長、森 勉が好きな曲をかけながらのんびりおしゃべりをさせてもらう『モリツトムの気まぐれレコード寄席』というイヴェントを行う予定です。
 記念すべき第一回目はレコード・コレクターズ25周年記念『1960年代ロック・ベスト100』を題材にしながら、イイ曲、心地良い曲をかけていくそうですので、ご都合が合う方は是非チェックを。(詳細・ご予約は“アゲイン”まで)

 上記の話題とは全く関係ありませんが、今日のこの1曲は、現代フィリー・ソウルの雄、ミュージック・ソウルチャイルドの最新アルバム『LUVANMUSIQ』(WPCR-12571 \1,980)より。

 古き良きフィラデルフィア・ソウルを継承しつつも新しいアプローチを見せる上質なR&Bナンバーが並ぶ中で、特にこの曲は素晴らしい出来の1曲。それもそのはず?! 1970年代フィリー・ソウルの名グループ、ブルー・マジックの1stアルバムに収録されていた名曲「Stop To Start」を効果的に下敷きに使っているのです。

 この11曲目「Lullaby」に続く12曲目「Greatestlove」のミディアム〜スローの流れがとにかく極上! ここ数年のR&Bナンバーの中でも特にフェイヴァリットな2曲となりそうです。森 陽馬

2007年4月17日(火) ダイナソーJr  「Pick Me Up」

 キマした!! ホント久々に、「ROCK聴いたっ!」という気分にさせてくれる最高に痛快なアルバムが発売されました。

 J・マスキス(Vo.G)、ルー・バーロウ(B)、マーフ(Dr)というオリジナル・メンバーで復活した“ダイナソーJr”。本当に久々のフル・アルバムは、2年前フジ・ロックに来日した時の衝撃はそのまま、いやそれ以上の高揚感を与えてくれる爆発的な1枚に仕上がっています。(『ビヨンド』 HSE-30161 国内盤ボーナス・トラック2曲追加収録! この2曲もイイ!)

 初期のノイジーな荒々しさとメジャー・デビューしてからのポップな魅力を両方兼ね備えた楽曲が並び、J・マスキスのギターも全開!
 全体的にいい意味で音が悪くて、ここ最近のロック・アルバムには無い豪放な波動がビンビン伝わってきます。

 特に3曲目「Pick Me Up」は最初ハード・ロック的なリフから始まりながら、曲途中にニール・ヤングの「サザンマン」的な雰囲気で転調し、更にラストは永遠に続くかのようにJ・マスキスの情念のギター・ソロが轟く...という鳥肌モノの流れ! 早くも今年のNo.1ロック・アルバム決定の1枚! 森 陽馬

2007年4月18日(水) ピーター・ゴールウェイ 「トロピカル・ダンディ」(for haruomi hosono)

 “ピーター・ゴールウェイが歌っている「トロピカル・ダンディ」という曲がある”というのは、細野晴臣BOXに入っていた長門芳郎さんのインタビューにも掲載されていましたし、話には聞いたことがあったのですが、今回初めてこのCDで聴くことができました。(RATCD-4265 \2,625)

 1978年にピーター・ゴールウェイが来日した際に細野晴臣に会い、影響を受けてアメリカ帰国後すぐに録音したと言われている楽曲「トロピカル・ダンディー」。

 この度1978年に日本で先に発表された『オン・ザ・バンド・スタンド』(翌年アメリカで、『トーキョー・トゥ・ココモ』とタイトル及びジャケットと収録曲が差し替えられて発売)に、その『トーキョー・トゥ・ココモ』に追加収録されていた楽曲4曲を加え、更に1981年にシングル発売された楽曲2曲もボーナス・トラックとして追加収録した全16曲プレミアム・エディションとして再発されたのですが(ややこしくてスミマセン)、そのボーナス・トラック内にこの「トロピカル・ダンディー」もめでたく収録されています。

 ちなみにこの曲は細野晴臣さんのカヴァーというわけではなく、だからといってトロピカルなカリブ的要素が存分に含まれているわけでもないのですが、ピーター・ゴールウェイらしい温かみのあるヴォーカルが印象的なナンバーです。森 陽馬

2007年4月19日(木) Fairground Attraction 「Perfect」

 2ヶ月ほど前、カメラ/家電販売で有名な量販店オーディオ売り場でちょうど居合わせた出来事。

 「今、流れているこの曲なあに?」と40代くらいのあまり音楽にはくわしくなさそうなカップルがそこにいた店員さんに質問。その店員さん、よくぞ聞いてくれました、と説明を始めました。
 
 <イギリスのフェアーグラウンド・アトラクションというグループで、1980年代後半に大ヒットした「パーフェクト」という曲です。すぐにグループは解散してしまうんですが、歌っている女性のエディ・リーダーは今でもソロでやっています。ジャケットも素敵でしょ。有名な写真家さんの写真を使っているんですヨ。>

 そんな会話を横でスピーカーを見ているふりをして、「よしよし」と思って聞いていました。

 この「パーフェクト」は本当に不思議な曲で、店でかけていると「この曲は?」という問い合わせが当店ペット・サウンズでも多いんですね。これがまた。個人的にも80年代ものとしてはかなり気に入った1曲で間奏のギターの音も大好きです。森 勉

★唯一のオリジナル・アルバム『ファースト・キッス』(BVCM-37824 \1,890)に収録されています。

2007年4月20日(金) The Tradewinds 「Club Seventeen」 

 今年1月に新宿ドクターで行われたイベント『RAT HOLIC presents “CALIFORNIA SUN !!”Vol.2』でチャーリー&ザ・ホット・ホイールズが出演した際、60's名曲カヴァー中心の選曲で爽快なライヴを見せてくれたのですが、恥ずかしながら1曲だけわからない曲がありました。

 サビに♪セブンティーン♪という歌詞が入るナンバーだったのですが、勉強不足でその場ではわからず・・・。後で調べたら、トレイドウインズのこの曲「Club Seventeen」という曲だということがわかりました。

 トレイドウインズは、山下達郎もカヴァーしていることで有名な「New Tork's A Lonely Town」で知られる60年代のポップ・グループ。この「Club Seventeen」はそのシングルのB面に収録されていたナンバーで、以前発売されていたトレイドウインズのCDにも収録されていない入手困難な1曲でした。

 しかしながら、60'sソングライターの超レア音源を色々と出している謎?のレーベル、ドイツのBrill Toneより発売された『Anders&Poncia Masterworks』という2枚組CDにこの「Club Seventeen」がめでたく収録されているのです! フィル・スペクターの元でたくさんの名曲を生み出したアンダース&ポンシアの有名曲からこれでしか聴けないレア音源が他にもタップリ収録されていて、オールディーズ・ファンにはウレシい1枚です。森 陽馬

2007年4月21日(土) America 「Golden」

 1970年代から活動しているロック/ポップ・グループ、アメリカの新作『インディアン・サマー』が国内盤でも発売になりました。(MHCP-1322 2枚組 \3,780)

 ダン・ピークが抜け、ジェリー・ベックリーとデューイ・バネルの2人ユニットになってからはちょっと表舞台から遠ざかった感も否めませんが、久々の新作となる今作は楽曲&アレンジがとても良く、“2人ユニットになってからの最高傑作!”という評判も聞かれるほど、内容の濃い1枚に仕上がっています。

 その一番の要因は、プロデューサーの力によるところが多いでしょう。そのプロデューサーがなんと元スマッシング・パンプキンスのジェイムス・イハ(!)とファウンテインズ・オブ・ウェインのアダム・シュレジンジャーという若手(?)の2人で、アメリカ初期のアコースティックな魅力と2人のコーラス、メロディーの美しさを見事に引き出しています。

 イイ曲目白押しなのですが、あえて意外な選曲ということで4曲目のこの曲を今日の1曲に。
 「Golden」は“現代のレーナード・スキナード”と評判で自身のアルバムだけでなくザ・バンドのトリビュートにも参加していたマイ・モーニング・ジャケット(これがバンド名です)のカヴァー。どういう経緯でこの曲をカヴァーすることになったのか気になるところです。

 なお、バック・ミュージシャンも結構豪華で、ジェイムス・イハ(G)、ライアン・アダムス、ベン・クウェラー等の若手に混じって、ラス・カンケル(Dr)、スティーヴン・ビショップ等も参加。懐かしくも古さを感じさせないゴキゲンな“アメリカ”サウンドに絶妙に調和しています。森 陽馬

2007年4月22日(日) Patti Smith 「White Rabbit」

 ブックレットをめくるとバンドメンバーを従え、ジャケットに使われているタンバリンを手に、怪しいオーラを放ったパティ.スミスの変わらぬ姿がありました。
 久々の新作『Twelve』(SICP-1418 \2,520)はキャリア初となるカバー・アルバム。選ばれた12曲はどれも、カバーという事を忘れさせてしまうほど彼女一色に染まり、一貫して重厚な雰囲気が漂っています。
 
 ビートルズは意外な選曲(Within You Without You)で、ストーンズ(Gimme Shelter)はイントロでワクワクしてしまいますし、ジミ・ヘン(Are You Experienced?)、ニール・ヤング(Helpless)は彼女の解説と共に思いが直に伝わってきます。

 その中でも唯一女性ヴォーカルの曲として取り上げられているのが、ジェファーソン・エアプレインの紅一点、グレース・スリックが歌う「ホワイト・ラビット」でした。その他は全て男性ヴォーカルの曲と言うのがなんとも彼女らしいような気がします。
 
 ゲストにはテレヴィジョンのトム・ヴァーレイン、レッチリのフリー、リッチ・ロビンソンなどが参加。ちなみに冒頭に書いたタンバリンは、パティの恋人であったロバート・メイプルソープが、パティの21歳の誕生日にプレゼントしてくれたものだそうです。東尾沙紀

2007年4月23日(月) 流線形 「TOKYO SNIPER」

 22日(日)、モーションブルーYOKOHAMAにて流線形のライヴがあり見に行ってきたのですが、これがもう期待以上に素晴らしい内容だったので本日はすっかり流線形モード。個人的に“2007年のベスト5”に入るアルバムだったので、今までにも何度も繰り返し聴いている1枚なのですが今日も店内で数回聴いてしまいました。

 ライヴ内容ももちろんですがたくさんの発見もあって、例えばヴォーカルの女の子、CDのクレジットは“江口ニカ”となっているのですが、実はこれ変名で本当は5年前からメジャー・デビューしている○○○○○という女性ヴォーカリストであることがわかったり、サックスの藤枝シンスケという人が日本CLUB界で人気急上昇中のi-depの方だったり、などなど。

 でも特筆したいのはなんといってもドラマーの北山ゆう子さん! 曽我部恵一のバックなどもやっているそうですがもう本当に素晴らしいドラミングでハイハット&タムのコンビネーションが絶妙! 小さい体から放たれるグルーヴ感が真に流線形サウンドの一番の柱になっていることを実感しました。

 ちなみにライヴのショーも全体的にとても楽しいもので、「TOKYO SNIPER」でsaigenjiがゲスト参加し珍しくギターを持たずマイク片手にデュエットしたり、竹内まりやさんの「プラスティック・ラヴ」、大貫妙子さんの「突然の贈りもの」のカヴァーが飛び出したり、と本当に内容の濃い1時間半でした。森 陽馬

2007年4月24日(火) 柴咲コウ 「regret」

 本日は4月25日新譜が色々と入荷。(新作:柴咲コウ、松たか子、村治佳織、Ne-Yo、Joe他、最新シングル:小田和正、Kinki Kids、オレンジレンジ、BoA、クロマニヨンズ、ケミストリー、モー娘他、細野晴臣トリビュート盤、吉野金次トリビュート・ライヴDVD、STAX 9枚組BOX、EPO紙ジャケ再発7Wなど。)

 昼から夕方にかけて入荷処理をしながらこの柴咲コウの新作を店内でかけて聴いていたのですが、アルバム全体的にとても内容のいい1枚で、予想以上に良質なJ-POPSアルバムに仕上がっていました。

 女優としての知名度が歌手としてよりも上回っている彼女ではありますが歌はとても上手くて、1st及び2ndアルバムも評判がとても良かったのですが、3rdアルバムとなる今作『嬉々』(初回DVD付 UPCH-29003 \3,300)は更に歌声に深みが増した感があります。

 楽曲やアレンジも面白い曲が多いのですが、特に気になったのは3曲目「regret」。何故かというと、竹内まりやの名曲「プラスティック・ラヴ」の出だしやコーラスの入り方にとても似ているのです!
 作曲は崎谷健次郎、編曲は市川淳というアレンジャーが手掛けているのですが、「プラスティック・ラヴ」からの影響を感じずにはおれない1曲で、いい意味でそれを下敷きに新たなスパイスをまぶしたクールでかっこいいナンバーになっています。森 陽馬

★なお掲載ジャケットは通常盤。(初回盤もまだ在庫あるのですが、ジャケットは通常盤の方がイイ感じ)

2007年4月25日(水) ジョン・トロペイ feat アン・サリー 「La La Means I Love You」

 ニューヨーク出身ジャズ・ギタリスト、ジョン・トロペイの10作目となる新作『TROPEA 10』(VACM-1303 \2,940)が発売。

 ウィル・リー(b)、スティーヴ・ガッド(ds)、アンソニー・ジャクソン(b)、スティーヴ・クロッパー(g)など超豪華メンツが参加し、全編にわたってゴキゲンな演奏を聴かせてくれます。

 ポール・サイモンの名曲「恋人と別れる50の方法」のカヴァー(ポール・サイモンのオリジナルでも参加していたスティーヴ・ガッドが今作でもドラムを叩いています)や、クールでかっこいいデオダートの「スーパー・ストラット」カヴァーなども聴きものですが、やはり一番の目玉は、アン・サリーがヴォーカルで参加した2曲。

 キャロル・キングの名曲カヴァー「Will You Love Me Tomorrow」ももちろん魅力的でしたが、デルフォニックスのスウィート・ソウル名曲カヴァー「La La Means I Love You」は、今までになかったアン・サリーの魅力を引き出していて、美しい彼女の歌声とジョン・トロペイのギターの音色が絶妙にマッチしています。

 ちなみにアン・サリーの新作も夏頃に発売予定とのこと。そちらも楽しみです。森 陽馬 

2007年4月26日(木) スピードメーター 「The Meters Running」

 今月は各ジャンルとも新譜がとても充実していた月でした。“今月のROCK推薦盤”がダイナソーJr、“今月の邦楽アルバム”は寺尾紗穂、そして、“今月のSOUL/FUNK推薦盤”として試聴機に入っていてとても好評なのが、このスピードメーターというグループの新作です。

 “SPEEDOMETER”はUK出身の新世代白人ファンク・バンド。彼等の1st&2ndアルバムはとても評判が良く、当店でも今だに売れ続けているロングセラー作品なのですが、そのスピートメーターの新作となる3rdアルバムが先日発売(『Four Flights Up』 PCD-23912 \2,415)。 今作も旧作に負けず劣らずかっこいい内容で聴き応えある熱い1枚に仕上がっています。

 この今日のこの1曲「The Meters Running」は1曲目に収録されているのですが、もう初っ端から掴みOK!なファンキーなナンバー。タイトルに“Meters”と入っている通り、ニューオリンズ・ファンクのリズムを生かしたオリジナルのインスト曲です。

 ちなみに3曲目にはそのルーツとなっているニューオリンズ・ファンク・グループの雄、“ミーターズ”の激渋ファンク・ナンバー「Same Old Thing」(1970年発表『ストラッティン』に収録)カヴァーなんかも入っていて思わずニヤリとさせられます。インストだけでなく、シャウトを活かしたファンキーな女性ヴォーカルをfeatした曲もかっこいいので、FUNKY SOUL好きの方は是非チェックしてください。森 陽馬

2007年4月27日(金) ウッドストック・ヴェッツ 「蝶々さん」
(ジョン・サイモン、ジョン・セバスチャン、ジェフ・マルダー&ガース・ハドソン他)

 『泰安洋行』の1曲目に入っていた「蝶々さん」は、大滝詠一と山下達郎のバック・コーラスが入り、非常に面白く仕上がっていました。そしてリズムは“チャンキー・ガンボ”と命名され、独特の跳ね方で、1976年当時の細野晴臣ならではのサウンドでした。

 個人的に今回のトリビュート・アルバム(『細野晴臣トリビュート・アルバム』 RZCM-45511)で最初に聴いてみたい、と思ったのはこの曲でした。

 ウッドストック・ヴェッツという名のグループのメンバーはなんと、ジェフ・マルダー(ヴォーカル)、ジョン・セバスチャン(ギター&ハーモニカ)、ガース・ハドソン(ピアノ)etc...という驚きの人選。これがイイ味になっています。

 エンディングのコミカルなコーラスもオリジナルを踏まえており、ジェフ・マルダーが日本語で♪蝶々さん♪と歌うのはなんともゴキゲン。なお英語詞はジョン・セバスチャンが担当。森 勉

2007年4月28日(土) Amy Holland 「How Do I Survive」

 AOR好きの方ならば、おそらく一度は目にしたことがあるであろうこのジャケット。美しいブロンドのこの女性はエイミー・ホランドというシンガーでこのアルバム『amy holland』がデビュー作。
 1980年発表の今作は長らく国内及び輸入盤も廃盤になっていましたが、この度フランスのmagic recordsからリマスターされ久々に再発、当店にも入荷してきました。

 ドゥービー・ブラザーズのマイケル・マクドナルドが全面プロデュースしていることもあり、サウンドはモロにこの時代のドゥービーそのもの。彼女の歌声はニコレッタ・ラーソンに少し似ている感じで、アーバンな雰囲気のAORサウンドに合っています。

 1曲目に収録されているこの曲「How Do I Survive」はポール・ブリス作でブリス・バンドのカヴァー曲なのですが、エイミーのヴァージョンは全米22位のヒットを記録。ストリングス・アレンジをニック・デカロ、ホーン・アレンジをトム・スコットが手掛け、リトル・フィートのビル・ペインなども参加しています。

 何故に無名の女性シンガーの1stアルバムにこれだけの人材が?と思ったら、彼女はマイケル・マクドナルドの奥さんとのこと。どうりで参加ミュージシャンみんな気合が入っているはずです。森 陽馬

2007年4月29日(日) Joe 「Life Of The Party」

 現代スムースR&Bシンガー、JOE(ジョー)の待望の新作『Ain't Nothin' Like Me』(BVCP-21522 \2,548)が先日発売。

 2000年作『My Name Is Joe』(ボーナス曲入りで再発 BVCM-34058 \2,205)、そして2005年4月22日の今日のこの1曲コーナーでも取り上げた2001年作4thアルバムがあまりにも良すぎたので、今回の新作、それなりに聴きやすい仕上がりで悪くはないのですが、正直言って旧作ほどの感動は得られませんでした。(期待が大きすぎた、というのもあるかもしれませんが・・・)

 でも、これぞジョー節、というようなイイ曲ももちろん入っていて、その中でも特筆したいのは14曲目に収録されているミディアム・スローナンバー「Life Of The Party」。

 ジョー本人もプロデューサー・クレジットに名前を連ねているこの曲は、電気シタールが効果的に使われているイントロからして、他の曲とは気合の入り方が違う!と感じられる力作で、コーラスの重ね方もジョーらしいメロウな雰囲気が出ています。

 こういうのをもっと聴きたいのになあ、とも思うのですが、アルバムに収録されている各曲のクレジットを見ると、それぞれの楽曲で違うプロデューサーを起用しているので、これをジョー本人が手掛けるようになればな・・・、と。次回作にまた期待したいと思います。森 陽馬

2007年4月30日(月) LORD LARGE feat Dean Paparrish 「Left Right &Centre」

 昨年ACID JAZZレーベルからリリースされ、ソウル、モッズファンからジワジワと人気を高めてきたロード・ラージの1stアルバム国内盤がようやくリリース。(『The Lord's First Eleven』 OTCD-2136 \2,300)

 曲を手掛けているのはイギリスの白人2人組で、60〜70年代の黒っぽいテイストが満載! ソウルへの愛を感じさせる音作りと共に、ゲスト・ヴォーカルとして参加している豪華ベテラン・シンガー達(ファウンデーションズのクレム・カーティス、ペドラーズのロイ・フィリップス、リンダ・ルイス、スクイーズのグレン・ティルブルック他9名)の歌声も作品の魅力をより押し上げています。
 
 その中でも私の頭の中を一瞬「?」にさせたのが、伝説の白人ソウル・シンガーといわれるディーン・パリッシュが歌うこの曲「Left Right &Centre」。
 ポール・ウェラーがデビュー前、10代半ばに書いた未発表曲らしいのですが、当時の彼の憧れが詰まった好ナンバーで、思わず一緒にハンドクラップしたくなる軽快な1曲です。パリッシュの声も心なしかウェラーの雰囲気に似ているような...。(それを言うなら逆なんですけども)
 
 国内盤のみボーナス・トラックが三曲追加。歌詞・対訳が付いていないのがなんとも残念ですが、ソウル、モッズ、オルガンが好きな方にもオススメの一枚です。東尾沙紀



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