PET SOUNDS RECORD
今日のこの1曲 アーカイヴス


  今日のこの1曲 “Achives”

<2007月9月>

当店ペット・サウンズ・レコード店にて、
その日に店内でかけていた曲の中から、
店員の独断と偏見で選んだ“今日のこの1曲”コーナー

2007年9月に更新した“今日のこの1曲”コーナー。

廃盤・生産中止、規格番号の変更など、
情報が古くなっている商品もございますが、ご了承くださいませ。


<最新の“今日のこの1曲”はこちらのページをご覧ください>


2007年9月1日(土) 東京ローカル・ホンク 『いきものについて』

 以前にも告知しましたが、9月30日に当店大推薦のバンド、東京ローカル・ホンクの新作アルバム『いきものについて』が発売されます。

 その発売記念として、当店にて御予約・お買い上げの方には先着で、10月6日(土)に当店の地下にあるLIVE CAFE AGAINで行われるスペシャル・ライヴにご招待することが正式決定いたしました!

 多くの方に見ていただきたいため入替え制にいたしまして、第一部が17時開場・18時開演、第二部が20時開場・20時半開演予定になっております。CD御予約&招待ライヴご希望のお客様は、直接こちらのメールまでご連絡いただいても構いませんし、通販ページからご注文の際備考欄にご希望の部をご記入いただければ幸いです。(ちなみに招待ライヴですが、ご入場の際にドリンク・チケットとして500円だけいただきますのでご了承くださいませ。)

 とにかく内容は絶対保障!しますので、音楽ジャンル問わず、気になった方は是非聴いてみてください。森 陽馬

2007年9月2日(日) Neil Young 「Like A Hurricane」

 東京はここ数日とても涼しくて非常に過ごしやすい週末。残暑も一段落・・・、なんて思っていたら、個人的に一気にアドレナリン爆発&体温がアップするようなニュースが舞い込んできました。

 ニール・ヤング新作! 『Chrome Dream U』 10月発売決定!

 『Chrome Dream』というのは、1977年に発売予定になりながら結局未発表となったアルバムのタイトルで、ニール・コア・ファンの間では海賊盤で昔から有名なタイトルなのです。この未発表アルバムに収録される予定だった楽曲「Like A Hurricane」等は同年(1977年)リリースされた『アメリカン・スターズン・バーズ』というアルバムに数曲収められましたが、これらの楽曲を新たに録音し直して、更に新曲も追加したかたちでこの度発売するようです。

 「えっ!? あの今年中には発売予定だった未発表音源を詰め込んだ“アーカイヴBOX”はどうなっちゃたの?」、なんて野暮なこと聞くのはこの際ナシにしましょう。いかにもニールらしい突然の新作発表を素直に喜びたいと思います。森 陽馬

PS なお、海外のサイトなどを見るとこの新作に幻の名曲「Ordinary People」も収録予定だとか! この「Ordinary People」という曲は数回だけしかライヴで披露されたことがない未発表曲で、ホーンとニールのギターの絡みがかっこいいニール・コア・ファン垂涎の1曲なのです! もしこれが収録されたらニール・ファンにとっては大事件ですね! (ちなみに掲載ジャケットは『アメリカン・スターズン・バーズ』(WPCR-75094 \1,800)

2007年9月3日(月) Rooney 「I Should've Been After You」

 ルーニーはロサンゼルス出身の5人組。
 2003年に出た1stアルバムは本当に良く聴きました。
 
 前作『Rooney』から4年振りの新作『Calling The World』(UICF-1089 \2,200)は前作同様、つい口ずさみたくなるメロディアスな楽曲が並ぶブリティッシュ風味も効かせた王道パワー・ポップ・アルバム。
 
 アイドル的ルックスで女性ファンも多い彼等ですが、数年前の初来日では意外にも骨太な演奏を聴かせてくれた事を思い出します。昔風に撮られたジャケットからは、60〜70年代ロックへの憧れと、「僕等はアイドルじゃなく純粋なロック・バンドだぞ」的な意志表示にも感じられます。
 
 今日の一曲はイントロのギターがクイーンを思わせる一曲。実際彼等はクイーンのトリビュートに参加したりもしています。東尾沙紀

2007年9月4日(火) Bob James 「Fresh Start」

 9月に入ってから数日経ちましたが、もうクリスマスCDのオーダー発注が来たりして、夏が終わり・・・どころか今年ももうすぐ終わりか、なんて思う今日この頃であります。

 その年末にかけて楽しみな新譜も色々とリリース予定が決まってきて、先日お伝えしたニール・ヤングの新譜以外にも、ブライアン・セッツァー新作(9/21)、ジョニ・ミッチェル新作(9/26)、ジョン・フォガティ新作(10/3)、イーグルスなんと新作!(10/29)などが発売決定! ベテラン勢がまだまだ元気ですね。(ブライアン・ウィルソンの新作はまだかな?)

 ジャズ界も新譜ラッシュで、本日もジョン・スコフィールド、アントニオ・サンチェス(パット・メセニー・グループのドラマー)などの新作が発売になりましたが、このボブ・ジェームスの新作『アーバン・フラミンゴ』(VACM-1318 \2,625)もいかにも彼らしい雰囲気のアルバムで良かったです。

 全曲往年の70〜80'sフュージョン全開!といった快心の出来で、特にこの6曲目「フレッシュ・スタート」ではアール・クルーがゲスト参加し、70年代に2人で共作した『One On One』やフォー・プレイを彷彿とさせる仕上がりです。今月来日も決定しているようですが、秋にピッタリの心地良いピアノポップ・フュージョン作、といえるでしょう。森 陽馬

2007年9月5日(水) Paul Simon 「The Late Great Johnny Ace」

 年末12月、ジョン・レノンにまつわる映画が2作公開されます。

 まずは、『チャプター27』。ジョン・レノンを殺害したマーク・デイヴィッド・チャップマンに焦点を当てた物語・映画のようで、有名な俳優さんも出ていて興味深いものの、ファンにとっては見ていて辛くなるような映画となりそう。(おそらく、こうすればジョンは助かったかもしれない、という無意味な仮定が頭の中で渦巻いてしまいそうだから・・・)

 あともう一作が『PEACE BED ジョン・レノンは誰に殺される?』
 ジョンの音楽だけではない側面を描いた社会派ドキュメンタリーのようで、貴重な映像や音源も多数流れるそうです。(なお日本語字幕監修はオノ・ヨーコさんが担当。)

 恒例のジョン・レノン・スーパー・ライヴもジョンの命日に行われるのが決定したようで、12月は色々な面でジョンがまたクローズ・アップされそうですね。
 ちなみに今日のこの1曲は、ポール・サイモンが亡きジョン・レノン(及びジョン・F・ケネディ)に捧げた1曲。ポール・サイモンの新しいベスト盤(『ジ・エッセンシャル』 DVD付 WPZR-30240 \5,250)に収録されています。森 陽馬

2007年9月6日(木) ナンシー梅木 「私はひとりゆく」

 ナンシー梅木がアメリカのミズーリ州で、ガンのため逝去。享年78歳。

 ナンシー梅木は、1950年にゲイ・セプテット(レイモンド・コンデを中心としたジャズ・コンボ。2007年1月20日のこのコーナーでも取り上げました)に参加したことから人気を博した日本最初の本格ジャズ・シンガー。1955年以降はアメリカに渡り、米映画『サヨナラ』に出演。日本人で初めて米アカデミー賞助演女優賞を受賞したことでも有名です。

 渡米後に発表した『ミヨシ』というアルバムも有名ですが、やはり彼女の魅力は1950〜54年に日本で吹き込んだ歌声に集約されていると思います。古き良き昭和の香りが音と歌声に詰まっているのです。合掌。森 陽

★日本で録音された音源集としては『ナンシー梅木 アーリー・デイズ 1950〜1954』(VICJ-60714 \2,520)のCDが、選曲だけでなく、詳細なディスコグラフィーや解説も充実していてオススメです。

♪ いつまでも思い出は生きています
  いつまでもあの夢は2人のものです
  今宵もひとり歩いてゆきます
 なつかしい路 夢見て なつかしい路 ひとりで ♪ (「私はひとりゆく」歌詞より抜粋)

2007年9月7日(金) スティーヴ・ミラー・バンド 「先祖の歌(Song For Our Ancestors)」〜「Dear Mary」

 名盤ひしめく1960年代ロック・アルバムの中でも個人的にはベスト10に入れてもいいのではないか、と思っているのがこの曲で始まるスティーヴ・ミラー・バンド、1968年発表の2ndアルバム『セイラー』(TOCP-70275 \2,600)です。

 様々な船の汽笛と波の音―港にいるような感覚になるS.E.で幕をあける「先祖の歌」。移民してきたアメリカ人の祖先をオルガンとトレモロを効かせたギターのアンサンブルで思い起こさせてくれます。それに曲間なく続く「Dear Mary」はスティーヴ・ミラーがファルセット風に歌う美しいバラード。

 この2曲で10分間近く費やしていますが、全くその長さを感じさせない導入部は本当に見事。まだ20代前半のメンバーですが、この時期ならではの音楽的向上相乗効果があったのでしょう。

 なお、この当時のバンド内にはスティーヴ・ミラーの学友でもあったボズ・スキャッグスが在籍し、ブルージーなロック・ナンバーを作るなど才能の片鱗を聴かせてくれます。森 勉

2007年9月8日(土) エイス・デイ 「ブランディ」

 同名異グループはややこしい。エイス・デイと言ってもソウル・グループの方がヒットを出していて有名なのですが、今日はソフト・ロック系のエイス・デイです。

 白人男性5人・女性2人のコーラス・グループで、ママス&パパス風だったりフィフス・ディメンション風だったり、はたまたハプニングス風だったり、なかなかいい感じです。

 1967年〜68年にかけてシングル3枚、アルバムを1枚出したっきりで、ノンヒットのままグループは消えていってしまいましたが、中心人物のロン・ダンテはその後、アーチーズ、カフリンクスのリード・ヴォーカリストとして大ヒットを飛ばすことになります。

 この「ブランディ」(ルッキング・グラスの大ヒット曲とは同名異曲)はアルバム収録曲中、僕の一番好きな曲です。ロン・ダンテとプロデューサーのジーン・アレンの共作。この曲をシングルにすれば彼等もヒット・チャートに名を残せていたかもしれません。森 勉

2007年9月9日(日) mopsy flopsy 「ソラの和」

 今、当店でJ-POPSイチ押しなのがこのグループ、“モプシー・フロプシー”。

 女性ヴォーカル、白石なつみ(主に作詞・作曲も担当)を中心とした女性二人、男性三人による5人グループ。2006年に発表した1stアルバムも素晴らしい出来で当店でもロングセラーだったのですが、この度2ndミニ・アルバム『draw a circle』(SLMN-1003 \1,890)が発売になりました。

 クラムボン原田郁子似の女性ヴォーカルにまず耳をひかれますが、ピースフル&ポップな楽曲、そしてそれを引っ張る心弾むようなバックの演奏がとにかく素晴らしいのです。

 空気公団、クラムボン、オレンジペコーやハナレグミなどお好きな方にも大推薦の1枚。まだまだのびしろを感じさせる楽しみなバンドですので、日本ポップス・ファンは是非名前だけでも覚えておいてくださいね。森 陽

2007年9月10日(月) Small Sails 「Somnambulist」

 ちょっと変わったロック、というか音響・インストものお好きな方にもオススメなのが、このスモール・セイルズというグループ。

 アメリカ・オレゴン州ポートランドを拠点に活動している4人組ポスト・ロック・バンドで、このアルバム『Similar Anniversaries』(HEADZ-92 \2,415)が1stアルバム。

 “ポスト・ロック・バンド”というと、暗いとか陰鬱なイメージがあるかもしれませんが、このスモール・セイルズのサウンドはヴィブラフォン、生ドラムにエレクトロニカや男性スキャット・ヴォーカルが絡んだメロディアスかつドラマティックな音作りで、CLUB MUSICほどの高揚感や早さはなく、かといってアンビエントほど静かでないのが特徴的。心地良く音響的に聴くことができます。

 STS9やロータスなどがお好きな方にもオススメ。ちなみに中心メンバーであるイーサン・ローズのソロ作も今週12日に発売予定になっています。森 陽馬

2007年9月11日(火) The Beach Boys 「Let Him Run Wild」

 ビーチ・ボーイズ情報ページを更新して、そちらにブライアン・ウィルソンのイギリス・ツアー初日(9/10 ロイヤル・アルバート・ホール)のセット・リストを掲載しましたが、いやはや、1曲目が超意外(?)な選曲でビックリ!

 ネタバレは×、な方のためにあえてここではその楽曲は記しませんが、その1曲目にやった曲というのは、アルバム『Summer Days And Summer Nights』の中に収録されている曲なのです。
ということで、その『Summer Days』に収録されている中から別な曲を今日の1曲で。

 「Let Him Run Wild」はビーチ・ボーイズ・ファンの間でも隠れた人気曲で、特にバックの音やコーラスの雰囲気などが、次作『ペット・サウンズ』の前兆を感じさせてくれる1曲。今年発売されたビーチ・ボーイズの新しい編集盤『The Warmth Of The Sun』にはこの曲のステレオ・ヴァージョンが収録されているので、音の広がりなどをコアファンの方は是非聴きくらべてみてください。改めてこの曲の完成度の高さを実感できるはず。森 陽馬

2007年9月12日(水) Bruce Springsteen 「Rosalita」

 ブルース・スプリングスティーンが久々のオリジナル新作『Magic』を10月に発表することが決定。

 この新作は、マネージャーのジョン・ランドゥ曰く、“ハイ・エナジー・ロック・アルバム、かつエンターテイニングな作品”で、更には、“ブルースにとって『ブロンド・オン・ブロンド』のような作品”で、更に更に、“『メインストリートのならず者』期のストーンズを彷彿とさせるアルバム”なのだそうだ。

 なんだかロック形容詞がやたら豪華な感じですが、はたまた1stシングル予定の収録曲「Girls In Their Summer Clothes」の解説には、“ビーチ・ボーイズのペット・サウンズ・タイプの感覚がE・ストリート・バンドのサウンドとミックスしている雰囲気の楽曲”なのだそう。

 いきなり『ペット・サウンズ』が引き合いにだされてビックリですが、どんな感じの曲なのでしょう? 楽しみですね。

 さて、“ハイ・エナジー・ロック”といってブルースの今までの曲の中で思い出されたのは、僕はこの曲「ロザリータ」。
 1973年発表2ndアルバム『青春の叫び (The Wild,The Innocent And The E Street Shuffle)』の6曲目に収録されている人気曲で、若きブルースの情熱がほとばしるかっこいいハイテンションなナンバーです。森 陽馬

2007年9月13日(木) Amy Winehouse 「Monkey Man」 

 輸入盤でじわじわと人気を上げ、先日やっと日本デビューとなったロンドン出身の女性シンガー、エイミー・ワインハウス。

  私が彼女を初めて知ったきっかけは、BBCの番組で彼女とポール・ウェラーが、マーヴィン・ゲイの「悲しいうわさ」をデュエットしているのを見たことです。 (またポール・ウェラーでごめんなさい)
 「なんだこの横の恐そうなお姉ちゃんは...!」と思いながらも歌声そのものも存在感のある人だなというのが第一印象でした。

  英米で既にヒットしているこの『バック・トゥ・ブラック』(国内盤 UICI-9021 \1,980)がデビュー作と思いきや、彼女は2003年に『Frank』という作品を発表していました。
 ソウル、ヒップホップ以外にジャズも歌いこなす、ロニー・スペクター似の貫禄のある歌声はとても23歳の声とは思えません。

 今日のこの1曲は国内盤ボーナストラックとして追加された6曲中の一曲で、レゲエ/スカの古参グループ、The Maytals(メイタルズ)のカバーです。東尾沙紀

2007年9月14日(金) Tania Pantoja 「Te Sueno Despierta」

 作家・村上龍はキューバ音楽好きでよく知られていますが、その彼が自らのレーベルを立ち上げ、プロデュースも担当し発表したのが、このタニア・パントーハという女性シンガーの作品。(『Di Que Piensas』 RYU-0002 \3,000)

 キューバでは、ホーン・セクションを持つ十数名編成の大所帯バンドを“オルケスタ”と呼ぶそうなのですが、バンボレオというオルケスタで現在活動しているキューバの歌姫的存在、タニア・パントーハの歌声に村上龍が惚れ込み、ソロ・アルバムの発売が実現したそうです。

 元々は保母さんであったというタニアですが、ジャケットの情熱的な眼差し同様、その歌声は非常に求心力があって、どんな楽曲でも決して彼女の色が褪せることはなく、突き抜けて香ってくるような魅力を持ちあわせています。

 現代的・センチメンタルなアレンジの楽曲もありますが、基本的にはキューバの土着的なリズムが根底にはあって、キューバ音楽入門としてもオススメの1枚。ブックレットには詳細な歌詞・対訳、そして村上龍の解説も付いています。森 陽馬

2007年9月15日(土) Neil Young 「When You Dance I Can Really Love」

 レコードコレクターズ増刊『ROCK ALBUM BEST 100』本が発売になり、“あなたが選ぶ洋楽ロック・アルバム・ベスト100”の読者投票の結果も発表になりました。

 1位はブッチ切りであのグループのあの作品で、総体的にも音楽評論家(選者)が選ぶベスト100よりかなり真っ当な順位であるように感じました。それと同時に読者投票の30位内に1980年代のアルバムが1枚も入っていない、という事実も興味深かったです。

 投票の着眼点にもよるかもしれませんが、名盤というだけでなく、好きなアーティストの一番良く聴いた好きなアルバム、という観点で投票するならば、僕の場合やはりこのニール・ヤング『アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ』ということになるかもしれません。(やはり学生の時から好きで聴いてきたアルバム、というのが上位にくるものですよね。)

 ちなみにこのアルバム、ミックス違いの1stプレスが存在する、というのが最近発見されたのです。マトリックス番号が“RE-1”となっているのが1stプレスで(だいたいはRE-2と刻印されている)、「When You Dance I Can Really Love」のミックスが違うそうなのです。アナログ盤をお持ちの方は是非ご確認を。森 陽馬

2007年9月16日(日) パット・ブーン 「ビーチ・ガール」

 全盛期の1950年代後半に「砂に書いたラブレター」、「四月の恋」、「スピーディ・ゴンザレス」、「ムーディ・リヴァー」などの大ヒットを放ったパット・ブーンはロック世代には敬遠されがちなポピュラー・ヴォーカリスト。
 ですが、落ち着いたヴォーカル・スタイルと歌のうまさは楽曲の良さとともに、ほっと一息つきたい時の大人時間を演出してくれます。

 1955年から1962年の間の7年間で全米チャートに送り込んだ曲がなんと56曲! その内6曲がNo.1を獲得というその人気はすさまじいものがありました。

 今日のこの1曲はそんなヒット・イヤーズの曲ではないのですが、ビーチ・ボーイズ関連曲の中でも名曲中の名曲と言われるブルース・ジョンストンとテリー・メルチャーの共作による「ビーチ・ガール」。

 作者自ら参加したコーラスと「ドント・ウォーリー・ベイビー」スタイルのギターのカッティングに、パット・ブーンの貫禄あるヴォーカルがのり、本当に素敵なビーチ・ソングに仕上がっています。
 なおこのベスト盤(UICY-8049 \1,785)には1964年にこの曲とカップリングでシングル化された「リトル・ホンダ」のカヴァーも収録されています。森 勉

2007年9月17日(月) The Exciters 「Tell Him」

 大滝詠一の変名プロジェクト、“多羅尾伴内楽團”のCDは21日発売なのですが、ソニーの新譜出荷・配送の関係で18日(火)に入荷予定。発売が近づいてきましたので、その多羅尾伴内楽團でカヴァーされている曲のオリジナルをご紹介。

 エキサイターズはニューヨークで結成された黒人ヴォーカル・グループ。

 この「Tell Him」は1963年全米4位のヒットで、当時日本でも曲名は「テル・ヒム」でしたが、多羅尾伴内楽團では大滝詠一氏により「悲しき打明け」という素晴らしい邦題が付けられています。

 最近は洋楽ヒットの邦題が少なくなりましたが、シングル盤自体が少なくなっているのでこれも時代の流れでしょうか。森 陽馬

★通販ページにカヴァーされている曲が収録されているCDを紹介した多羅尾伴内特設ページも作成しました。

2007年9月18日(火) 多羅尾伴内楽團 「悲しき北風」

 1950年代、60年代は数多くのインスト・ソングがヒット・チャートを賑わせてくれました。
 この多羅尾伴内楽團はそんな時代に時を戻してくれるような気がします。ある時はセンチメンタルに。ある時はハッピーに。ある時はフィル・スペクター風に。ある時は冬向きに。またある時は夏向きに・・・。

 「悲しき北風」は、カリフォルニア/サンディエゴ出身のヴォーカル・グループ、カスケーズがオリジナル。大ヒットした「悲しき雨音」(リズム・オブ・ザ・レイン)の次のヒットで、1963年全米60位。

 このメロディーを聴くと、シャネルズのデビュー曲「ランナウェイ」、小林旭の「熱き心に」を思い浮かべる方が多いかもしれませんね。森 勉

★多羅尾伴内楽團30周年記念盤、入荷いたしました。先着で当店のみの特典もご用意しております。

2007年9月19日(水) James Blunt 「One Of The Brightest Stars」

 これはホントすごくイイです!
 ジェイムス・ブラントの2枚目となる新作アルバム『All The Lost Souls』(WPCR-12709 国内盤ボーナス・トラック収録 \2,180)

 ジェイムス・ブラントといってもはっきりいって、<「ユア・ソ−・ビューティフル」が大ヒットした人でしょ>ぐらいにしか、思っていなかったのですが、この2ndアルバムは近年のシンガー・ソングライター作品の中でも指折りの名作と断言してよいでしょう!

 1970年代的な音作り、というか、近年の耳がキンキンしてしまうようなサウンドではなく、バック・演奏のミックスが抑え目のアレンジで、一般的には地味かもしれませんが、楽曲自体も沁みるイイ曲揃い。

 特に僕が気に入ったのは2曲目「One Of The Brightest Stars」。
 ビージーズの1972年ヒット「Run To Me」にとても似ている曲で、彼の歌い方もビージーズのそれを意識して歌っているかのようです。派手さはなく3分ちょっとの曲ですが美しいメロディーが印象的。

 1970年代シンガー・ソングライター好きの方には是非聴いてもらいたい1枚です。森 陽馬

2007年9月20日(木) イーディ・ゴーメ 「恋はボサ・ノヴァ」

 ボサノヴァは現在でも大人気の音楽ですが、1960年代前半アメリカでは、大ブームが起こっていたようです。

 数々のブラジル作曲家の曲が紹介されるようになったり、ジャズ・アーティストがボサノヴァをテーマにしたアルバムを発表したり、この曲のように曲のタイトルや歌詞の中に“ボサノヴァ”という言葉が出てきたり・・・。

 イーディ・ゴーメがCBSレコードに在籍時に放ったこの曲、夫のスティーヴ・ローレンスの音源と同様に今は自分たちで管理しているレーベルの配給になっています。

 「恋はボサノヴァ」は本当によくできた曲だと思います。
 ハスキーな彼女の声を存分に活かした曲調、そしてブームをきちんと見据えたキャッチーな歌詞、1963年全米7位の大ヒットとなったことも頷けます。
 ヒット曲職人、バリーマン&シンシア・ワイルの作品。森 勉

2007年9月21日(金) Beach Boys 「Surfer Moon」

 もう御覧になられた方も多いかもしれませんが、萩原健太さんのHP久々に更新。なんと健太さんはブライアン・ウィルソンのイギリス・ツアーを見に行ってきたようで、そのレポートがビッチリと書かれています。

 噂されたポール・マッカートニーのゲスト参加というのは結局なかったようですが、これから出る新作をいち早くライヴで披露する、という意欲的なブライアン、そしてその素晴らしいライヴの内容は行った方にしかやはりわからないでしょうね。(でもやっぱり観たい!願・来日!)

 この今日のこの1曲はライヴとは関係ないのですが、先日入荷した多羅尾伴内楽團の中でカヴァーされているビーチ・ボーイズの隠れた名曲。

 ビーチ・ボーイズの3thアルバム『サーファー・ガール』(1963年発表作)に収録されているブライアン作の美しいバラード・ナンバーで、ビーチ・ボーイズとしては初めて弦楽器が導入されている1曲。ブライアンによる一人多重コーラスも美しいですね。森 陽馬

2007年9月22日(土) naomi & goro 「Will You Dance」

 女優、歌手として活動してきた原田知世がデビュー25周年(!)ということで、新作アルバムを11月28日に発売することが決定。鈴木慶一、高橋幸宏、高木正勝など様々なゲストが参加し、大貫妙子「色彩都市」のカヴァーも収録されるようなので楽しみですね。

 その原田知世の新作アルバムで楽曲提供、及びサウンド・プロデュースをしているのが、今日紹介するnaomi & goro(ナオミ&ゴロー)のギタリスト、伊藤ゴロー。素晴らしいギター・テクニックだけでなく、無駄な音を削ぎ落とした上質なアレンジにも定評がある知る人ぞ知る名ミュージシャンです。

 このアルバム『HOME』(333D-26 \2,415)はnaomi & goro名義で2006年に発表された作品で、東京・南青山のインテリアショップ“アイ・スタイラーズ”のための企画盤。ジャケット/タイトル通り、自宅でのんびり・ゆったりしながら聴きたい心地良い女性ヴォーカル・アルバムに仕上がっています。
 今日のこの1曲「Will You Dance?」は、ジャニス・イアンの名曲カヴァー。シンプルながらもアコースティック・ギターの音色と澄んだ女性ヴォーカルがくつろぎの時間を演出してくれます。森 陽馬

2007年9月23日(日) KAMA AINA/高田漣/MOOSE HILL 「中国女」 

 昨日紹介した伊藤ゴローがMOOSE HILL名義で参加し、青柳拓次(KAMA AINA)、高田漣と共に中国・上海で録音しているのがこのアルバム。(『上海』 333D-34 \2,940)

 ダブル・フェイマスの女性パーカッショニストで様々なデザインやドローイングも行なっている“民(TAMIE)”が写真や絵を手掛けており、<上海写真集>的な要素も加味。単なるCD(音)だけでなく、ひとつの芸術作品としても完成されていて、何気ないインテリアの一部として部屋に飾っておくだけでも楽しめる1枚に仕上がっています。

 上海録音なのでもちろん中国的な音作りの曲が多いのですが、6曲目にはこんな曲も収録。YMOカヴァーの「中国女」。
 作曲:高橋幸宏、作詞:クリス・モスデルのナンバー(YMO1978年発表アルバム『イエローマジックオーケストラ』に収録)で、タイトル自体はゴダール監督の同名映画から取られたと思われるのですが、その「中国女」を高田漣が珍しく歌声も披露してカヴァーしています。

 ちなみに高田漣のYMO好きは有名で、先日武蔵野公会堂で行なったライヴでは「CUE」をカヴァーしていました。森 陽馬

2007年9月24日(月) ピエール・バルー 「ダルトニアン」

 7月に9年ぶりの新作をリリースしたピエール・バルー。
先週恵比寿で行われた一日限りのコンサートに行って来ました。

 大きなお腹が印象的な彼は今年で73歳になったそうですが、客席の方に降りてきたり、身振り手振り歌う姿はもとより、年齢を感じさせない歌声はとても素晴らしかったです。

 ゲストで参加した戸川昌子、カヒミ・カリィとは♪ダバダバダ〜♪で有名な「男と女のサンバ」をデュエットを披露!
 更に第二部の始まりと共に暗がりの中登場したのは高橋幸宏。冒頭ではキーボードに座り、日本語と仏語でデュエット、中盤では加藤和彦作の曲でドラムを披露してくれました。

 今日の一曲はアルバムのタイトルにもなっている「ダルトニアン」(日本語で「色盲」という意味。ピエールは生まれつき色盲なのだそうです。)

 ちんどんブラス金魚というグループでも活動している彼の娘であるマイアが作曲。サポート兼通訳でほぼ全編に登場し、素晴らしい父娘デュエットも披露してくれました。東尾沙紀

2007年9月25日(火) Joni Mitchell 「One Week Last Summer」

 今日のこの1曲「One Week Last Summer」は、ジョニ・ミッチェル久々となる5年ぶりの新作アルバム『SHINE』(UCCO-3002 \2,500)の冒頭を飾るインストゥルメンタル。

 ヴォーカルは入っていない。でもジョニ自身が奏でるピアノと光が差しこんでくる穴を探し求めるようなアルト・サックスの乾いた音を聴いた瞬間、「ああ、ジョニ・ミッチェルの音だ」と実感し、妙に感動を覚えてしまった。

 はっきりいってジョニの歌声は、長年の喫煙などの影響もあり、『ブルー』や『コート・アンド・スパーク』の頃のような高い裏声が出なくなっている。でもジョニの息遣いはやはりジョニ。その独特な空気感ある質感は、長年ジョニの音楽に親しんできた方ならば、絶対に“ジョニ・ミッチェル・ワールド”を感じられるはずだ。

 ジェイムス・テイラーがアコースティック・ギターで参加したタイトル曲H「SHINE」とともに、当分の間、深夜一筋の光を探し求める旅のBGMとなりそうだ。森 陽馬

2007年9月26日(水) ハリー・ホソノ&ワールド・シャイネス 「ウェイワード・ウインド」

 細野晴臣、待望のニュー・アルバム『フライング・ソーサー1947』。数年前から「出る、出る」と言われていた新録音盤が遂に発売。(VICL-62534 \3,045)

 1970年代に出したソロ・アルバムのような雰囲気で、アメリカン・ルーツ・ミュージックを軸に多国籍的サウンドになるのでは・・・、なんて勝手ながら個人的に予想していました。
 しかし“天才”細野晴臣のやることは凡人には考えもつかないところまでいってしまうものなんですね。

 1970年代をはるか飛び越えて、今回のテーマは1940年代のアメリカン・カントリー・ミュージック、そしてUFO?!
 小気味のいいリズムとふわふわ感がなんとも心地良く響いてきます。

 この曲はフィラデルフィア生まれ、L.A育ちの白人女性シンガー、ゴギ・グラントが31歳の時に放った全米第一位を記録したものがオリジナル・ヒット。本来は男性が歌うために書かれたらしい、ということで、ここでは、ハリー・ホソノの低音を活かしたヴォーカルが堪能できます。

 ちなみにこの曲に昔つけられた邦題は「風来坊」なんですって。思わずニヤリ。
 そう細野ファンの方にはお馴染みかもしれませんが、この曲を聴いてから『泰安洋行』収録の「チャウ・チャウ・ドッグ」を聴いてみると、ますますルーツ・ミュージックが楽しくなります。森 勉

2007年9月27日(木) 中納 良恵 「ソレイユ」〜「パステル」

この数日、個人的にかなりヘヴィー・ローテーションなのがこのアルバム。「色彩のブルース」、「サイコアナルシス」のヒットで知られるエゴラッピンの女性ヴォーカリスト、中納良恵の初ソロ・アルバム『ソレイユ』(TFCC-86232 \3,000)。

 エゴラッピン「サイコアナルシス」のような強烈に外に放たれるような曲は少なく、その熱いパワーや情感がやさしい光で包まれたような1枚。今年発売された女性シンガー・アルバムの中でも指折り作品と言えるでしょう。

 鈴木惣一郎、青柳拓次、栗原務(リトル・クリーチャーズ)、ZAZEN BOYSの向井秀徳、TOKIE、あらきゆうこなどが参加。曲によって各々の個性が活かされた楽曲が並んでいますが、それでいて整合性があるアルバムに仕上がっています。

 特に印象的なトラックが、名女性ミュージシャン、TOKIE<B>(多くのセッションやロザリオスなどで活躍)、あらきゆうこ<Ds>(現在コーネリアスやオーガスタ関連のバックで活躍)と組んでいる3曲目「ソレイユ」と4曲目「パステル」。
 この2曲における中納良恵の歌声とピアノはじんわりと心に響き、不思議と郷愁を呼び覚ましてくれます。森 陽馬

2007年9月28日(金) 中納 良恵 「空の記憶」

 昨日紹介したエゴ・ラッピンの中納良恵のソロ・アルバムからもう1曲、印象的なナンバーがあるので取り上げたいと思います。

 ついついリピートしたくなってしまう中毒的なナンバー「空の記憶」は、ZAZEN BOYSの向井秀徳がアレンジ&ギターを手掛けた楽曲。

 全体的に静かな雰囲気の曲が多いアルバムの中で、この曲はエレクトリック・ギターのリフがループするように鳴っているアップ・ナンバーなのですが、これが意外にも中納良恵の新しい魅力を引き出していて、エゴ・ラッピンの時とはまた違う、ほとばしるような熱唱を聴かせてくれます。

 ギター&アレンジ向井秀徳、ベースもZAZENの吉田一郎、ドラムはスクービードゥのオカモト"moby"タクヤが担当。中納良恵の個性的な歌声に負けないアクの強い演奏がこの曲の肝かもしれません。森 陽馬

2007年9月29日(土) スティーヴ・ミラー・バンド 「マイ・ダーク・アワー(暗黒の時間)」

 またスティーヴ・ミラー・バンドです。9月5日にEMIミュージック・ジャパン(東芝という文字が無くなってしまって複雑な思いもありますが)から彼等のデビューからの5枚が紙ジャケットCDで発売され、うれしくてうれしくてよく聴いています。

 先日(9/7)取り上げた『セイラー』が一番のお気に入りなのですが、他のアルバムも粒揃い。1968年から1970年という興味深い時期のロックの息吹が伝わってきます。

 1969年発表、このサード・アルバム『ブレイヴ・ニュー・ワールド』(TOCP-70276 \2,600)はボズ・スキャッグスなど2名がバンドを抜けてしまいますが、スティーヴ・ミラーの友人であったベン・シドランがキーボードと曲書きで協力し、当時サンフランシスコで活動していたニッキー・ホプキンスも1曲だけですがピアノで参加しています。

 そしてなんといっても話題は9曲目のこの「マイ・ダーク・アワー」。
 この曲だけプロデューサーであるグリン・ジョーンズの本国イギリスでの録音。スティール・ラモーンというクレジット名。実はこれがなんとポール・マッカートニー!

 ポール・マッカートニーはベース、バック・ヴォーカル、そしてドラムスで参加しています。1970年代中期に大ブレイクした時の曲に聴かれるようなスティーヴ・ミラーらしいギター・リフがもうここで登場しているカッコイイ、ロックン・ロール・ナンバーに仕上がっています。森 勉

2007年9月30日(日) Taylor Mills 「Disappear」

 現在のブライアン・ウィルソン・バンドの紅一点、その美しい容姿と歌声で隠れファンも多い女性シンガー、テイラー・ミルズのインター・ネット・サイト限定販売ソロ・アルバムが当店にも入荷しました。

 5曲目「Raven」と8曲目「Cradle Me」にはブライアン・ウィルソンがコーラスで参加! 同じくブライアン・バンドのスコット・ベネットがプロデュースやギター、作詞・作曲など全面的に参加しており、サウンド的には70年代アメリカン・ロックな音作りでかっこいい女性ロック・アルバムとしても楽しめる1枚です。

 ブライアン参加曲もポップで聴きやすいロック・ナンバーですが、僕は7曲目「Disappear」が気に入りました。曲の展開や雰囲気がニール・ヤング的で、更にはスコット・ベネットが弾くエレクトリック・ギターもなんとなく“ニール・ヤング”的な音色&フレーズなのです。(あくまで私的な感想ですが・・・)

 完全自主制作のようですが、デジパック仕様で写真も充実しており、歌詞カードミニブックも付いています。森 陽馬



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