PET SOUNDS RECORD
今日のこの1曲 アーカイヴス


  今日のこの1曲 “Achives”

<2008月1月>

当店ペット・サウンズ・レコード店にて、
その日に店内でかけていた曲の中から、
店員の独断と偏見で選んだ“今日のこの1曲”コーナー

2008年1月に更新した“今日のこの1曲”コーナー。

廃盤・生産中止、規格番号の変更など、
情報が古くなっている商品もございますが、ご了承くださいませ。


<最新の“今日のこの1曲”はこちらのページをご覧ください>


2008年1月1日(火) 楠 トシエ 「雪のワルツ」

 あけましておめでとうございます。まだあまり新年という実感はないのですが、皆さんは年末、そして2008年はどのようにして迎えましたでしょうか?

 雑感ではありますが、昨夜、紅白歌合戦での小椋佳と故・美空ひばりによるデュエット「愛燦燦」は良かったですね。
 “日本歌謡の歌心”、というか“昭和の良心”を垣間見た素晴らしい演出だったと思います。若い視聴者に受けよう、とか視覚的に面白い演出、などで凝るよりも、このような美しい日本の歌を届けているならば、紅白歌合戦はまだまだ末永く続けていって欲しいな、と感じたのでした。

 さて、“日本の歌”に魅せられた余韻が残っているので、今年一発目の今日のこの1曲はこのCDから選びました。元祖コマソンの女王! 楠トシエのアンソロジーCD『楠トシエ大全』(KICS-1349 CD2枚組全70曲 \3,000)。

 当店でもロングセラーの『のこいのこ大全』も手掛けた濱田高志氏が監修。鈴木啓之氏による解説、大瀧詠一氏による寄稿、全曲の歌詞などブックレットも充実しており、CMソング好きの方だけでなく、日本昭和歌謡ファンにも是非オススメしたい全70曲。お馴染み黄桜CM曲「かっぱの唄」などのCM曲、映画『ALWAYS 三丁目の夕日』の劇中でも使われた「ケロリン青空晴れた空」も収録されています。

 その中でも印象的だったのが、三木鶏郎作による「雪のワルツ」。わずか2分半の楽曲で歌詞も短いのですが、その2分半に、雪の降る静かな夜の切ない想いが込められていて、昭和歌謡の粋を感じさせてくれます。(湯川潮音さんが2007年1月に発表したミニ・アルバム『雪のワルツ』でカヴァーしています。こちらも必聴!)

 ちなみに元々は1952年に発表された曲なのですが、今回収録されているのは、1960年7月にキングで録音された未発表ヴァージョンだそうです。森 陽馬

★1月1、2、3日は14時から18時、4日から7日までは11時から20時、8日以降は通常通り11時から22時まで営業いたします。2008年もよろしくお願い申し上げます。

2008年1月2日(火) 金沢明子 「イエロー・サブマリン音頭」

 熱心なナイアガラーの方ならすでにチェックされているかもしれませんが、大滝詠一さんのHP<アミーゴ・ガレージ>にて、大滝さんの“年頭一言2008”が更新されています。

 そこで、<「ゴー!ゴー!ナイアガラ」の第四期のスタート>と記されているように、今年は年初から大滝さんのラジオ出演が連発。NHK-FMで“大滝詠一リマスター・スペシャル”(リンク先はNHKの番組表。1/2にオンエアされた曲目も記されています)は1日から4日まで放送。新年恒例・山下達郎さんとの新春放談は6日&13日にてJFN (TOKYO-FM系)にて放送される予定です。

 そしてそして、昨年末、当店の地下にある<アゲイン>にて録音されたラジオデイズではネットからダウンロード、という新しいかたちで大滝さんの話を聴くことができます。会員登録は無料ですし、大滝さん以外にも人気落語家・柳家喬太郎師匠の貴重な一席などコンテンツも充実してますので、ご興味ある方は是非チェックしてみてください。

 ということで今日のこの1曲は、NHK-FMのリマスタースペシャルでかかった「イエロー・サブマリン音頭」を。タイトル通り、ビートルズの「イエロー・サブマリン」を松本隆が訳詞をつけて音頭にした“大滝詠一音頭モノものの金字塔”作品です。森 陽馬

・掲載ジャケットは、『大滝詠一SONGBOOK 2』(VICL-2154 \2,039)

2008年1月3日(木) 鈴木慶一とムーンライダース 「スカンピン」

 正月三が日は18時閉店だったので、昨年に引き続き(リヴェンジも兼ねて)3日は映画を見に行きました。今年観に行ったのは、三木聡監督・脚本、オダギリジョー/三浦友和主演の『転々』

 いやー、これがとっても面白くて楽しめる映画でしたね。映画を簡単に一言で説明すると、“東京ロード・ムーヴィー”ということになるのかもしれませんが、そこかしこに三木聡さんのこだわりっぷりが散りばめられていて、ワンカットワンカットに小ネタが満載! シリアスな内容の場面にもコメディーセンスがふんだんにあるので、観ていて飽きませんでした。

 この『転々』劇内で印象的に使われているのが、鈴木慶一とムーンライダースの「スカンピン」と「髭と口紅とバルコニー」(1976年発表『火の玉ボーイ』に収録)。これが映画にピッタリと合っていて良かったです。ムーンライダーズ・ファンの方も是非!

 ちなみに映画のサウンド・トラック(UICY-1393 \2,000)は、三木聡作品のサウンドトラックのほとんどを手掛けており、また日本随一のバート・バカラック研究家でもある坂口修さんが手掛けていらっしゃいます。森 陽

2008年1月4日(金) thief 「Hold On, Hold On」

 新世代シンガーソングライターの中では、エリオット・スミス、ギリアン・ウェルチ、ベン・テイラーなどが好きな僕にとって、ここ最近は今ひとつ、グッとくる作品が少なかったのですが、このthiefというグループのアルバムは昨年末からよく聴いている1枚です。

 シーフは、CLUB MUSIC界では広く名が知れ渡っているJAZZANOVA(ジャザノヴァ)というイギリス人ユニット2人が参加しているフォーク/ポップス・プロジェクト。
 CLUB MUSICの人気作を色々とリリースしているSonar Kollectiv(ソナー・コレクティヴ)からのリリースなのですが、これがなんともいい雰囲気のフォーキー・ポップな作品なのです。

 ホセ・ゴンザレスやフィンクほど暗くないものの虚ろかつドリーミーな肌触りのサウンドで楽曲も良く、ヴォーカルやコーラスの配置もUKらしいオシャレなセンス。基本的に生バンド形式であまりエレクトロニカを使用していないのも好感が持てます。ジャケットもいい感じですね。

 ジャンルとしては、ロック/ポップスになると思うのですがCLUB MUSIC好きの方でも気に入ってもらえそうな1枚。ちなみに3曲目に収録されている「Hold On, Hold On」は、ジェリー・ベックリー在籍のアメリカの曲(特定はできないのですが・・・)に雰囲気が似ている1曲です。森 陽馬

2008年1月5日(土) 空気公団 「思い出俄爛道」

 空気公団が主催するイベント“空装”を観て来ました。

 池袋にある東京芸術劇場小ホールで行なわれたこのイベントは単なるライヴではなく、“空気公団による音楽ライヴ”、“名イラストレーター&絵本作家の荒井良二によるライヴ・ペインティング”、“珍しいキノコ舞踊によるダンス・パフォーマンス”、そして、“楽曲に合わせた映像構築(ビデオ・クリップ的なもの)”が交互一体となって進んでいく催し。

 開演前から演者の緊張感と鑑賞側の期待感が混ざったような独特な空気に会場内は包まれていましたが、その三位一体となったステージは本当に感銘を受けました。
 空気公団の音楽ももちろん良かったのですが、荒井良二さんのペインティングの過程、<珍しいキノコ舞踊団>の“生きた”踊りは、何物にも換えがたい“ライヴ感”を実感させてくれました。

 時間は約1時間10分ほどと短かったのですが、“モノづくり”の原点における純粋な気持ちを改めて思い起こさせてくれた素晴らしいイベント。6日(日)は2回公演で、当日券もあると思うので興味ある方は是非御覧になってみてください。強くお薦めします。森 陽馬

★ジャケットは2007年12月19日に発売になった空気公団の最新アルバム『空気公団作品集』(BNCL-30 \3,000)。

2008年1月6日(日) エンニオ・モリコーネ 「アマポーラ」
 (映画サントラ『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』より)

 ねずみ年の新春にふさわしい曲を何か・・・、と思ったのですが、これといったものが思いつきません。
なので、流麗なストリングスとメロディーがお正月っぽいかと思いこの曲を。

 1984年に公開されたセルジオ・レオーネ監督の映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』で印象的に使われた「アマポーラ」は、1920年代にスペイン人のJosepf M. Lacalleが書いた古い曲。

 音楽監督であるエンニオ・モリコーネがこの映画のために書いた新しい曲ともうまく溶け込んで、この大作に花を添えていました。

 長い映画でしたがまた観たくなりました。ギャングの虚しさ、寂しさを好演したロバート・デニーロ、良かったなあ。
 そして、「アマポーラ」が流れるシーンのジェニファー・コネリー。可憐でした。森 勉

★映画サントラ盤は、現在スペシャル・エディションとして未発表曲も追加され発売されています。(VACK-1265 \2,100)

2008年1月7日(月) エモーションズ 「心の合鍵」

 本日FAXで案内が届いたのですが、2005年に再発になったものの即完売しプレミアが付いていたグローリーズ他、エンチャントメント、ジョニー・ロビンソンなど、“Glorious Soul Gems”シリーズのソウルCDが、1月23日に再CD化されることになったそうです。

 特に世界初CD化であったグローリーズは本当にすぐに店頭から消えてしまって、中古市場では1万円近い値段が付いていたので嬉しい再発ですね。今回も限定紙ジャケでの再発らしいので、探していた方は買い逃しのないようご注意。(ちなみにグローリーズのジャケットはこちら↓)


 さて、女性ソウル3人組で人気のグループといえば、やはりエモーションズでしょうか。アース・ウインド&ファイアーのモーリス・ホワイトがプロデュースし大ヒットした「ベスト・オブ・マイ・ラヴ」など、1970年代後半のディスコ・シーンでヒットを飛ばしたこともあり、“ディスコ”で語られることが多い彼女たちですが他にもいい曲がたくさんあります。

 今日のこの1曲「心の合鍵」(原題:Key To My Heart)は、1977年発表『Rejoice』に収録されている隠れた名曲。これもEW&Fのモーリス・ホワイトによるプロデュースなのですが、甘いスローなバラード曲で、上品なアレンジとコーラスがとてもいい雰囲気を醸し出しています。森 陽馬

★掲載ジャケットは入手しやすいお得なベスト盤(MHCP-344 \1,785)

2008年1月8日(火) ジョン・コルトレーン 「セイ・イット」

 新年早々、落語界からビッグ・ニュース! なんと、志ん朝師匠のDVD BOXが3月26日発売決定いたしました。(上記リンクは販売元ソニーのHP)

 志ん朝師匠が亡くなってから今年で早7年。CDは何種類も出ていたのですが、不思議とDVDに関しては全く発売されていなかったのです。しかしながら、この度TBS『落語研究会』に出演していた時の映像をまとめたDVD8枚組(\31,920)というかたちでリリースが決定! 今秋には下巻も発売になるそうですので、今年は心ゆくまで志ん朝師匠の動く姿・往年の名人芸を楽しむことができそうです。

 さて、志ん朝師匠はJAZZ好きだったそうですので、今日のこの1曲はジャズの定番アイテムから選んでみました。

 ジョン・コルトレーン1962年録音、永遠の名作『バラード』の1曲目「Say It」。ロマンチズム溢れるやさしく切ないメロディーを、ジョン・コルトレーンが真に歌うようにテナー・サックスで奏でます。

 アルバム中、テイクを重ねた楽曲も何曲かありますが、ほとんどの曲は軽い音合わせをしただけで即興&一発録りで録音したそうです。落語と同じようにそういう独特な緊張感が、切ないゆったりとしたメロディー&バラードに内包されているからこそ、長年多くの音楽ファンに親しまれているのでしょうね。森 陽馬

2008年1月9日(水) キャロル・キング 「Song Of Long Ago」

 2008年、早くも一週間が過ぎました。私はその間、店長に借りた、キャロル・キングがモデルの主人公が登場する映画『グレイス・オブ・マイ・ハート』のビデオを鑑賞しました。

 キャロル・キングがお好きな方なら誰でも知っている映画だと思いますが、私は今まで存在を知らず、今回初めて観て、使用されているオリジナル楽曲、ストーリー共に新鮮で楽しい映画でした。劇中でも主人公が歌い、エンディングでも流れるエルヴィス・コステロ&バート・バカラックの「God Give Me Strength」も聴いて改めて心に沁みました...。
 
 映画を観終わった後、本物が見たくなったので同時に鑑賞したのが昨年発売されたキャロル・キング『リヴィングルーム・ツアー』のDVD。そういえば“動くキャロル”は初めてだなと思いながら、力強い彼女のパフォーマンスに感激! なんだかとっても清々しい気持になりました。

 彼女を見て私も今年こそ何か始めたい!なんて...。そう思っただけで一年終わらないようにしたいな、と思います(笑)。 東尾沙紀

★掲載ジャケットは「Song Of Long Ago」収録、1971年発表の名作『MUSIC』(EICP-843 \1,890)。

2008年1月10日(木) Neil Young 「Lookin' For A Leader」

 オバマ候補とヒラリー・クリントン候補によるアメリカ大統領予備選挙は、ここ日本でも多く報道されているように白熱化していますね。これからの世界情勢を決めるともいえるアメリカのリーダー選び、果たしてどうなるのでしょうか。

 さて、今日のこの1曲、ニール・ヤング「Lookin' For A Leader」は2006年5月発表アルバム『Living With War』に収録されている1曲。
 「リーダーを探しています この国を取り戻すための」という出だしで始まるシンプルなロック・ナンバーですが、その歌詞の中で、
♪誰かリーダーを探しています 若くて頑張れる人を。 (中略) もしかしたら女性かも それとも黒人かもしれない。そうさ、たぶんオバマかも?
という一節が出てくるのです。

 特に特筆するような曲ではないかもしれませんが、ニールらしい豪放なロック・ナンバーで、約2年前からまさにこの大統領予備選挙での激しい対決を予期していたかのような1曲ですね。

 ちなみに海外在住ニール・ファンの方のこちらのサイトでこの作品の日本語全訳詞、及びストリーミング、ミュージック・ビデオなどを御覧になることができます。興味ある方は是非チェックしてみてください。森 陽馬

2008年1月11日(金) The Shadows Of Knight 「Gloria」

 “シャドウズ・オブ・ナイト”はシカゴで結成された白人5人組。今、このグループを説明する時は、<ガレージ・ロック・グループ>と呼ぶことが多いようですが、昔はサイケ系の扱いをされていたように思います。うまい演奏ではないけど、勢いはあるって感じでしょうか。

 「グロリア」のオリジナルは1965年ヴァン・モリソンがリード・ヴォーカルをやっていたゼムのヴァージョンですが、それはあまりヒットせず、1966年にこのアメリカの若者バンドがカヴァーしたら、全米で大ヒットしてしまいました。

 ムーングロウズとマクガイア・シスターズの「シンシアリー」、ファッツ・ドミノとパット・ブーンの「エイント・ザット・ア・シェイム」など、1950年代によくあった、黒人のオリジナルより、白人のカヴァー・ヴァージョンがヒットするパターンを思い出します。(ヴァン・モリソンは黒人ではありませんが、R&B色が強いということでの例えです。)

 世の中、多少口当たりのいい普通のものが好まれるということなのですね。しかし当時の多くの音楽ファンは、シャドウズ・オブ・ナイトによってこの「グロリア」を知ったわけで、「G−L−O−R−I−A」とタイトルをコールするところと、ギターのリフはいつ聴いてもカッコよさ100%!

 ちなみに“シャドウズ・オブ・ナイト”というグループ名は、「グロリア」の歌詞の中からの一節です。森 勉

2008年1月12日(土) 羊毛とおはな 「falling」

 年初の新譜というのは毎年少ないのですが、今年店内でヘヴィー・ローテーション、かつオススメしているのが、“羊毛とおはな”という日本のグループの新作アルバム『こんにちは。』(LRTCD-21 \2,520)。

 “羊毛とおはな”は、ギタリスト:市川和則と女性ヴォーカリスト:千葉はなによる二人ユニット。2007年11月に発売された前作『LIVE IN LIVING'07』(KRTCD-20 \2,100)はカヴァー中心の作品でしたが、今作は全曲オリジナル曲。ある意味真価が問われる作品だと思っていましたが、心地良い穏やかな楽曲が並び、やさしい心持ちで聴ける1枚に仕上がっています。

 特に1曲目「falling」は、“第2のノラ・ジョーンズ”とも呼ばれているあのコリーヌ・ベイリーレイが楽曲を作曲。冨田ラボこと冨田恵一がプロデュースを担当し、アン・サリー似の美しい千葉はなの歌声と相まって、“羊毛とおはな”としての見事な世界観を確立しています。

 寒い日が続いていますが、3〜4月頃暖かくなってから聴くと、また違った横顔を見せてくれそうな1枚。女性ヴォーカル好きの方には是非聴いてもらいたいアルバムです。森 陽馬

2008年1月13日(日) EISA DAVIS 「I See My Beauty In You」

 1曲目、静かにピアノの音が流れ、彼女が歌い始め、アコースティック・ギターの音色が聴こえてくると、パーッと世界が広がっていく感じが素敵な作品。
 黒人である彼女が綴る実体験であろう恋愛の詞を、白人女性的であまり黒すぎないヴォーカルで感情豊かに歌っています。

 ニューヨークを拠点に女優、劇作家として活躍しているイーサ・デイヴィス。今作『Something Else』(DDCF-6002 \2,500)はミュージシャンとしての彼女のデビュー作となります。

 私が良い曲だな、と思ったのがアルバムの一番最後に収録されているこの曲「I See My Beauty In You」。アルバム全体としては基本的には彼女のピアノ、エレピがメインなのですが、この曲はアコースティック・ギターの弾き語りのみで歌われている優しい曲です。
 冬らしい寒さになってきた今日この頃・・・。静かな夜に聴きたい1枚。東尾沙紀

2008年1月14日(月) Neil Young 「Oh, Lonesome Me」

 当店で作成しているニール・ヤング新聞の新しい号がやっと完成したこともあり、個人的には新年早々からニール・ヤング・モードです。(1年中だろ、というツッコミもあるかもしれませんが・・・)

 ニールは今何をしているか?というと、昨年末突如発売された新作『クローム・ドリームス2』のツアーをやっていて、2007年10月から12月中旬までアメリカ・ツアーだったのですが、今年は2月から3月にかけてヨーロッパ・ツアーを予定。

 そのツアーなのですが、セットリストが凄いことになっていてマニア狂喜の選曲! 「今年こそ発売!?」と長年噂になりながら、ずっと出ていない未発表曲を多数収録した『アーカイヴBOX』の布石のように、マニアしか知らないような未発表曲を色々とやっていて、極めつけはバッファロー・スプリングフィールドを結成する前にニールが在籍していたスクワイアーズというバンド時代の超レア・ナンバー「Saltan」(CD化にはなってません)まで登場する始末。いやー、見たいけれど日本にはまず来なそうな感じなのが残念。

 さて、その最新ツアーで意外にも毎回やっているのがこの曲「オー・ロンサム・ミー」。オリジナルはカントリー界の大御所ドン・ギブソンが1958年にヒットさせた曲ですが、ニールの1970年発表名作『アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ』に収録されているヴァージョンの方が有名かもしれませんね。

 この曲をツアーでやっているなんてホント珍しい。更には、当時愛用していたギター“ホワイト・ファルコン”(!)を持って「Winterlong」をやったりもしているらしいので、完全にニールは“アーカイヴ・モード”なのかもしれません。今年こそは『アーカイヴBOX』、本当に出るかも? 森 陽馬

2008年1月15日(火) フォー・ペニーズ 「ジュリエット」

 毎月当店地下のイヴェントカフェ<アゲイン>でやらせてもらっている、自分の好きな曲をかけてそれについて勝手におしゃべりする『気まぐれ音楽寄席』も今月でなんと第10回目になります。

 それを記念してビーチ・ボーイズ関連ものと並んで僕が愛してやまないリヴァプール・サウンドを特集します。(本来は“60'sブリティッシュ・ビート”と呼ぶべきなのですが、我々の世代にはお馴染みのこの呼び方で今回はやらせてください)

 ビートルズの同期にはいい曲を残したグループがたくさんいました。そのイヴェントに向けて選曲をしていますが、現在40アーティスト、約100曲をリストアップしています。今日はそのリストにも入っているランカシャー出身の4人組の1964年イギリスでNo.1を獲得した名バラード「ジュリエット」。ぽっこりこんな編集盤(『No.1ブリティッシュ・ビート』 UICY-4166 2枚組CD \2,980)に入っていました。

 イヴェント『気まぐれ音楽寄席』は毎月20日にやっているのですが、今回は1月21日月曜日、19時30分よりスタートとなります。途中入場及び退場も自由ですので、お気軽に。
 1ドリンク付、1,500円。ヒミツのおみやげ付きです。今年もよろしくお願いいたします。森 勉

2008年1月16日(水) Bob Dylan 「Shelter From The Storm」

 先日、新宿末広亭二之席を観に行った。(寄席の11日から20日までの興行を、通常は“中席”というが、1月のみ“二之席”という。)

 一般的には正月気分も過ぎた時分だが、お正“月”というくらいなので寄席では1月中は“正月”。恒例である獅子舞もめでたく踊る。客席もどことなくリラックスした雰囲気で、噺を聴きに来た、というよりも末広亭の二之席に来た、という安心感のような和やかな場が寄席を包んでいる。

 トリは志ん朝師匠亡き後、柳家小三治師匠が務めている。楽しい正楽師匠の紙切りが終わり小三治師匠が高座に上がると、もうそれだけで寄席全体がガラッと雰囲気がかわり、ピーーーンと空気が張り詰める。そして客が皆、小三治師匠の一挙・一言を固唾を呑んで見守っている。これこそ正に小三治師匠独特の“間”だ。

 この日の演目は、その“間”の唯一無二の奥深さを存分に見せつける“睨み返し”。物言わずともその眼光のみで語る鬼気迫るような小三治師匠の“睨み”。落語の真髄に酔った今年の“二之席”であった。

 さて、その“睨み”で思い出したのが、ボブ・ディラン2001年の来日公演。
 普通のライヴの場合、終演後はアーティストがカーテン・コール、もしくは「Thank You!」とMCなどして頭を下げるものだが、このツアー時のディランは違った。
 曲が終わると、MCをするでもなく、頭を下げるでもなく、ギターを置いてただ数分間ステージ上に立ち、客席に向かって”睨み”をきかせていたのだ。客の拍手&スタンディング・オベーションを無表情で受け止め、”睨み”をもって感謝の意を表すそのディラン流儀にロック・ファンは誰もが痺れたものだった。

 種類こそ違えど達人のこの“睨み”。是非また死ぬまでにお目にかかりたいものである。森 陽馬

2008年1月17日(木) K T タンストール 「Through The Dark」

 スコットランド出身の女性シンガー、KTタンストール。
 最初は続々と出てくるシンガーの一人に過ぎないだろうなんて素通りしていましたが、最近になって2005年発表の1stアルバム『Eye To The Telescope』(TOCP-66562 \1,980)が気に入ってよく聴いています。
 
 彼女といえば映画『プラダを着た悪魔』に「サドゥンリー・アイ・シー」という曲が使われ、CMでもかかっていたので、曲だけでもご存知の方が多いと思いますが、この曲がパティ・スミスのデビュー作『ホーセス』のジャケットにインスパイアされて書かれた曲だということは、興味のある人以外にはなかなか伝わらない事柄だったりします。
 
 彼女は現在32歳でブルース、フォーク、アメリカのシンガーソングライター等にも影響を受けており、ライナーノーツによると、今日のこの1曲「Through The Dark」は、彼女が大好きだというトム・ウェイツみたいな感じで歌いたいとピアノで作った曲だそうで、ゆったりした曲調と彼女の低めの声がなかなか渋いです。
 
 3月には来日公演が決まっており、特に一人で演奏する時に多く用いられる、彼女の足元に置いてある相棒的存在ループ・ペダルを駆使したパフォーマンスが今から楽しみです。東尾沙紀

2008年1月18日(金) クラムボン 「Good Time Music」

 クラムボン2007年ライヴ・ツアーを追ったドキュメンタリー映画『たゆたう』を先日鑑賞。

 クラムボンは、原田郁子、ミト、伊藤大助、3人によるバンド。一般的な認知度は低いかもしれないが、日比谷野音即刻ソールドアウト、フジ・ロック・フェス/ホワイト・ステージでの1万人以上の驚異的な集客、というように、日本ロック界ではチャットモンチーやサンボマスターに負けず劣らず、今最も旬なトリオ・バンドといっても過言ではないだろう。

 その彼らの2007年ライヴ・ツアー。うまく言葉で表現できないのが歯痒いが、ライヴを生で体験した人にしかわからないような神がかり的なオーラというかパワーがステージ及び客席からも放熱。ライヴ中にメンバー3人、そして観客までもが感極まって号泣しているシーンなどは、映画のスクリーンからはちょっと伝わりにくいかもしれないが、それも頷けるような強烈な磁場が彼らの今回のツアーにはあった、ということをよく表している映像だと思う。

 いきなりミトの子供が生まれるシーン(たしかツアー直前に生まれた)から始まるなど、ファンにしかわかりにくい描写もあるが、ギターレスでありながら実は骨太なロック・バンドである、というのが実感できる演奏シーンがふんだんに盛り込まれているので、クラムボン入門編としても楽しめる一本。

 ちなみに今日のこの1曲は、2007年発表アルバム『Musical』(COCP-51029 \2,625)からの1曲。メジャーでありながら、「いい音楽を多くのファンに感謝を込めて届けたい」という思いから、アルバムの価格を3,000円ではなく2,625円にするなど、その清き精神がある限り、彼らの“Good Time Music”はこれからもより美しく響き続けるだろう。森 陽馬

2008年1月19日(土) Aretha Franklin 「Heavenly Father」

 レコード・コレクターズ誌が選ぶ2007年リイシュー・アルバム・ベスト:ソウル部門でも堂々1位に選ばれた作品、アレサ・フランクリン『レア&アンリリースド・レコーディングス』(WPCR-12797 \2,980)。遅ればせながら本日やっと購入。店内で早速聴きました。(今更〜?なんて言わないでね)

 もうとにかく圧倒されるのがこの絶頂期(1966〜74年)におけるアレサの歌声! いくら言葉で説明してもしきれないような説得力! 一度でもアレサの音楽に触れたことがある方なら是非聴いてもらいたい魂の“歌”が詰まっています。

 特に感動的なのがディスク2のB曲目に収録されている「Heavenly Father」。原曲はエドナ・マクグリフという女性シンガーによる1952年R&Bヒットですが、キャステルズというドゥワップ・グループがカヴァーしており、更には山下達郎氏が自身のアルバム『オン・ザ・ストリート・コーナー3』でもカヴァーしています。(達郎さんはこの曲が昔から大好きだったそうで、レコード・コレクターズ2007年2月号に掲載されている<私の収穫2006>のコラムで、この曲のキャステルズ・オリジナルEPを取り上げています。)

 アレサの歌ももちろんですが、暖かみのあるコーネル・デュプリーの抑えめなギターが素晴らしく、チャック・レイニー&バーナード・パーディのリズム隊もツボを心得た演奏。ホント心に沁み〜るバラードで、この1曲だけでも買いっ!と断言しましょう。 森 陽馬

2008年1月20日(日) The Rascals 「Temptation's 'Bout To Get Me」

 ラスカルズは、活動していた1966年から1972年までの6年間に、アトランティック・レーベルで7枚、コロンビア・レーベルで2枚、計9枚のオリジナル・アルバムを発表しました。
 そのどれもが僕にとっては気になる作品なのですが、一般的な注目はかなり大小ありました。

 1969年暮発表の『シー』(Collector's Choice CCM-805)はいいアルバムなのですが、語られることが少ないですね。ということで、今日はこのアルバムからです。

 フェリックス・キャヴァリエとエディ・ブリガッティの掛け合いヴォーカルが魅力の1曲です。この後、エディがグループを脱退してしまうので、このふたりのデュエットが聴ける貴重な1曲となりました。最後は初心に戻って、ということだったのでしょうか?

 この曲は1965年黒人デュオのナイト・ブラザーズのカヴァー。ほぼオリジナルに忠実にカヴァーしていますが、黒人音楽に憧れ、それを昇華させた彼らならではの味わいを感じさせてくれます。森 勉

2008年1月21日(月) ブルース・コバーン 「雪の世界」

 今日(21日)は東京でも雪の予報でしたが降らなかったですね。寒いのは苦手なのですが、それでも、朝起きたときに外を見たらこのジャケットのような景色が広がっていたらいいなあ、と心の片隅で思っていたので少し残念。

 ブルース・コバーンは現在でも活躍しているカナダ出身の男性シンガー・ソングライターで、この美しいジャケットの作品『雪の世界』(原題:High Winds White Sky)は1971年にリリースした彼の2ndアルバム。

 ジャケットだけでなく内容も素晴らしくて、静寂の中から浮き出てくるような透明感のある音色が印象的なフィンガー・ピッキング・スタイルのギターと朴訥ながらじんわり沁みる歌声は、シンガーソングライター好きの方なら愛聴盤になること間違いなし!の1枚です。

 ちなみに再発されたこの紙ジャケット仕様CD(AIRAC-1413 \2,730)には、当時の初回盤LPにのみ入っていた20ページ・ブックレットも復刻されていて、更にデジタル・リマスター&ボーナス・トラック(当時のライヴ音源2曲)も収録。この冬にしんみりと聴きたいオススメの1枚です。森 陽馬

2008年1月22日(火) ヒットメイカーズ 「ストップ・ザ・ミュージック」

 全国の「ストップ・ザ・ミュージック」ファンの方に朗報です。

 当店でも昔から問い合わせが多い曲である「ストップ・ザ・ミュージック」が手頃な価格(5枚組CD! \3,980)で手に入る全100曲入りのボックス・セットの中に収録されました。

 これを歌っているヒットメイカーズはデンマークの4人組。日本では1966年にシングル盤だけで発売になりました。LPは出なかったと思います。
 ヨーロッパではかなり人気があった、ということですが、あまり情報がなく、1964年にビートルズがデンマーク公演を行なった際に前座として出演したぐらいしかわかっておりません。
 しかし曲は本当にいい曲で、演奏のグルーヴ感もなかなかのものです。

 ヒットメイカーズの他にも、この「ストップ・ザ・ミュージック」という曲は、当時テイチクのユニオン・レーベルから出していた、レーンとリー・キングスというスウェーデンのグループがカヴァーしていましたが、出来は少し落ちるような気がします。(個人的な見解です)

 とにかくうれしいCD化です! 他の選曲もいいので、重なったとしても100曲も入っているのでお買得、ということで。
 マジョリー・ノエル「そよ風にのって」、「春のときめき」、P.F.スローン「孤独の世界」、ミリー・スモール「マイ・ボーイ・ロリ・ポップ」、ガス・バッカス「恋はスバヤク」、サーファリーズ「カレン」、ウィッシュフル・シンキング「ピーナッツ」なども収録されています。森 勉

(『ベスト・ヒット100 60's』 UICY-4434 \3,980)

2008年1月23日(水) The Vibrations 「Everybody Loves A Lover」

 ソニーから本日発売となった“グローリアス・ソウル・ジェムズ・シリーズ”。ソウルの名作を最新リマスター&限定紙ジャケット仕様、そしてタイトルによってはボーナス・トラック追加収録、というかたちで再発するシリーズですが、これがイイッ!
 特にこのヴァイブレーションズ! これはビックリするくらい良かったです。

 元々は1950年代にロスで結成したグループだそうですが、この作品『ニュー・ヴァイブレーションズ』(EICP-891 \1,890)は1966年発表。時代的に泥臭そうなイメージもあるかもしれませんが、アップもミディアムも程よく洗練されていて、ノーザン・ソウル好きの方には特にオススメな1枚です。

 アップ・ナンバーでかっこいい曲が多く、それが顕著なのが1曲目に収録されている「Everybody Loves A Lover」。最初のホーン部分がモロにオーティス・レディング!(というか「I Can't Turn You Loose」そのまんま!) でも重たくなくて聴きやすく、リズミカルな1曲に仕上がっています。

 他にもルビー&ロマンティックスで有名な「燃える初恋」(Our Day Will Come)や、ビートルズ「And I Love Her」、ビリー・スチュアート「Secret Love」のカヴァー、更にはボーナス・トラックではエロール・ガーナーで有名な「ミスティ」なども歌っていて聴き所満載! 60年代の作品ということを感じさせないくらいリマスターで音も良くなっているので、ソウル・ファンの方なら絶対買い!でしょう。1,890円と値段も安いしネ。森 陽馬

2008年1月24日(木) Paul Weller 「Country」(デモ・ヴァージョン)

 昨年末のツアーなどを終えて、今頃何しているのかな〜と思っていたところに、春頃のリリースに向けて、新作の準備をしているとのニュースが...。(2枚組になるとも...そ、それはどうなんだ?!) 気が付けば前作から3年近く。遅くとも秋にはなんとかリリースされそうです、嬉しい...。
 
 昨年ですが、93年のソロ2作目『WILD WOOD』に、デモ、ライブ、未発表曲、BBCセッション、ボーナストラックなど28曲が追加された2枚組デラックス・エディションが発売されました。(UICY-7332 \3,600)
 イギリスではあまりヒットしなかった1stに比べ、今作は米南部を意識した骨太な音作りで人気が再燃、最高位2位の大ヒット。ファンの中でも人気のあるアルバムの一枚、勿論私も大好きなアルバムです。
 
 28曲の中にはスモール・フェイセス等のカバー数曲、デモには2005年の『AS IS NOW』収録曲の原型となるものがあったり...。
 特に気に入ったのがアルバムの中でも最も地味な曲「Country」のデモ。アコースティック・ギターで歌われるシンプルな曲なのですが、デモの方は音の悪さが逆に古めかしい雰囲気を出していて、音に厚みがあって元の曲よりかっこいいのです。

 普段デモなど入っているCDなどを買っても一回聴いて終わりってのが多いのですが、このデモ曲は繰り返し聴いています。東尾沙紀

2008年1月25日(金) Lou Courtney 「I Will, If You Will」

 一昨日にもこのコーナーで紹介した“グローリアス・ソウル・ジェムズ・シリーズ”、イイですネ。全買いしてしまいそうな勢いです。
 さて、ヴァイブレーションズと同じくらい気に入ってよく聴いているのがニューヨーク出身のソウル・シンガー、ルー・コートニー。

 このアルバム『I'm In Need Of Love』(EICP-893 \1,890)は1974年に発表された彼の1stアルバムなのですが、74年とは思えないほど洗練されたグルーヴィン・メロウなソウルを聴かせてくれる作品で、マーヴィン・ゲイの中〜後期をお好きな方には特にオススメしたい1枚。

 プロデュースは、ジェリー・ラゴヴォイ(昨年夏に山下達郎さんがサンデー・ソングブックでも3週にわたって特集しましたね)が手掛けており、60年代に彼が関わったジャニス・ジョプリンなどのようなディープな魅力とはまた違った、フィリー・ソウル的な雰囲気も持ち合わせた作品に仕上がっています。

 今日のこの1曲「I Will,If You Will」はデヴィッド・スピノザのギターがいい味出していたので選びましたが、個人的には8曲目「I Don't Need Nobody Else」もお気に入り。ボーナス・トラック2曲もなかなかいい曲だったので、今度ドライブする時には持っていこうと思っています。森 陽馬

2008年1月26日(土) Jose James 「Winter Wind」

 「こういう素晴らしいシンガーはもう誕生しないのかと思った。でも違った。ホセ・ジェイムズを聞くと僕達がなぜこんなにも音楽を愛するのかを思い起こさせてくれる。15年にひとりの逸材だ。」
と英国の名DJ、ジャイルズ・ピーターソンが大絶賛している(“15年にひとり”、という表現がちょっと中途半端?な気がしないでもないですが・・・)のが、このジャズ・シンガー、ホセ・ジェイムス。

 アメリカはミネアポリス出身、現在はニューヨークを拠点に活動している黒人シンガーだそうですが、“21世紀のテリー・キャリア”といった雰囲気の歌声が、アーバン&スムーズでとてもいい感じです。

 先日発売された1stアルバム『The Dreamer』(TRCP-21 \2,520)は、1曲目「Love」こそ中盤からCLUB MUSIC的なビート感あるアレンジの演奏になりますが、全体的にはとてもしっとりとした楽曲が並び、ジャジーで上品な演奏がCool!な仕上がり。

 黒人でありながらあまり気張らない歌唱で、なおかつジェントルな暖かみのある歌声が印象的。ストリングスは入っていませんが、あえて例えれば、“黒いマイケル・ブーブレ”でしょうか。夜のお供にピッタリです。森 陽馬

2008年1月27日(日) Aretha Franklin 「This Is」

 再びアレサのレア音源集『レア&アンリリースド・レコーディングス』(WPCR-12797 \2,980)より。

 Disc.2の5曲目に収録されている「This Is」という未発表曲。作曲・作詞者も不明となっている楽曲なのですが、これがめちゃくちゃイイ曲なのです!

 1973年発表アルバム『Hey Now Hey』をレコーディングしているときのアウト・テイクということで、クインシー・ジョーンズがプロデュース。そして、ビリー・プレストンが参加している、ということだけがわかっているのですが、そのビリー・プレストンの中間のキーボードがなんとも感動的! ミディアム・スローでのアレサの熱唱と印象的なピアノの音色、そして切ないメロディー・ラインも含めて、アレサの新たな代表曲!と断言してもいいほどの楽曲です。何故に未発表のままだったのか不思議でなりません。

 他のバックのメンツも不明でわからないのですが、これと同じメンバーで録音されている11曲目「That's The Way I Feel About Cha」(これもイイ曲!)のラストで聴けるギター・ソロを聴くかぎり、おそらくこのセッションでのギターはデヴィッド・T・ウォーカーでしょう!

 聴き込むほどに様々なイマジネーションと感動を与えてくれる素晴らしい2枚組未発表曲集。ソウル・ファンは騙されたと思って是非聴いてみてください。森 陽馬

2008年1月28日(月) Fairground Attraction 「Do You Want To Know A Secret?」

 彼らは名盤と言われる1988年発表のファースト・アルバム『ザ・ファースト・オブ・ア・ミリオン・キッシズ』(邦題『ファースト・キッス』)を出しただけでその翌年には解散してしまいました。
 それではあまりにももったいない、ということもあり、アルバム未収録のシングル曲を中心に、未発表曲とライヴを各1曲収めて、1990年に発表されたのがこの『ラスト・キッス』(原題:Ay Fond Kiss』 BVCM-37825 \1,890)です。

 編集盤とはいえ曲はどれも素晴らしいもので、彼らの作品が少ないので、セカンド・アルバムといってもいいかも、という内容です。

 この曲のオリジナルはビートルズのファースト・アルバムに入っていたレノン=マッカートニー作品で、リード・ヴォーカルはジョージ・ハリスン。
 そのオリジナルの素晴らしさを損なわないフェアーグラウンド・アトラクションらしいカヴァーに仕上がっています。エディ・リーダーのヴォーカルとマーク・E・ネヴィンのギターは、サウンド的には本当にいい相性でした。森 勉

2008年1月29日(火) Beach Boys 「Forever」

 ビーチ・ボーイズ・マニアの方はもうチェック済かもしれませんが、故デニス・ウィルソンの1977年発表ソロ作『Pacific Ocean Blue』の再発がやっと決まりましたね!(海外billboardのHPにも掲載されています。)

 今回は噂ではなくちゃんと出るようで、LegacyRecordingsというレーベ(日本ではソニー配給)から、4月or5月に発売予定。CDはかなり前に廃盤になっていたため、問い合わせも多かったこの作品。ビーチ・ボーイズ・ファンにとっては待望の再発ですね! (更になんと2枚組!で、2枚目のディスクには未発表アルバム『Banboo』が収録されるとのこと! アナログLPも出るとのことです。)

 なんか久々にビーチ・ボーイズの話題が出てうれしいので、寒い冬にも関わらず店内はビーチ・ボーイズ。デニス・ウィルソン作の名曲「Forever」。何度聴いてもいい曲ですね。

 個人的には、2005年1月、折しも当店が一時閉店するときに来日してくれたブライアン・ウィルソンが、来日公演で歌ってくれた「Forever」は特に印象深いです。森 陽馬

ビーチ・ボーイズ情報ページも、古い情報ばかりではありますが更新いたしました。

2008年1月30日(水) 山沢大洋 presents ジェリー・ベックリー 「Flower Of Love」

 1966年生まれの山沢大洋は本来、歌手の裏方的役割である作曲家・プロデューサーとして活躍しています。
 彼が一般的に知られるようになったのは、2004年、木村カエラのデビュー・シングル、セカンド・シングル、そして大ヒット作となったファースト・アルバム『KAELA』の作曲とプロデュースを手掛けたことによってだと思います。そのことは個人的にもとてもうれしいことでした。

 というのも、彼は開店当時から長年、うちの店のお客さんとして通ってくれたり、1990年代初め頃はアルバイトとして店で働いてくれたこともあった“山沢くん”なのです。

 高校生の頃から作曲家になりたいと、自作曲のデモ・カセットをよく持ってきて聴かせてくれたことを想い出します。その当時から、彼が書くメロディーは素直でポップ・センスがあふれるものが多く、曲のクォリティーもなかなかのものがありました。

 そんな若い時から知っている彼が、コンポーザー、プロデューサー、また曲によってはヴォーカリストとして関わった自分名義のアルバムを発表しました。(『山沢大洋 presents music tree』 COCP-34572 \3,150)
 ゲストとして、木村カエラ、岡村靖幸、近藤房之助、夏川りみがヴォーカルで、デパペペ、佐野康夫、大村真司、フレッド・ウェズリーなどが演奏に参加しています。

 僕はなんといっても、4曲目に収録されたこの曲「Flower Of Love」が気に入ってます。リード・ヴォーカルはなんと、あのアメリカのジェリー・ベックリー。本当にいいメロディーを持った曲で、ジェリーの自作のようなフィット感。山沢大洋が書いた曲をジェリーが歌うなんて、僕も感慨無量です。森 勉

2008年1月31日(木) 山下 達郎 「Paper Doll」

 本日は棚卸し。店を通常通り営業しながらの棚卸しなので、終わったのは深夜になってしまいました。まあ無事なんとか終了して一安心といったところ。と、一息ついたところで、突然入ってきたのが山下達郎ミニ・ライヴのニュース!

 現在、月9のドラマ『薔薇のない花屋』で主題歌として使われている山下達郎さんの新曲「ずっと一緒さ」(WPCL-10463 \1,200)が3月12日に発売が決定したのですが、その初回盤に封入りされている専用ハガキでの応募抽選により、ゴールデンウィーク前後に開催予定のアコースティック・ミニ・ライヴに参加できるそうです。(こちらのオフィシャル・サイトにも情報が掲載されています。)

 かなり小さい会場での開催だそうですので、抽選は倍率がかなり高そうですが、とにかくも久々の達郎さんのライヴ、見てみたいですね。

 さて、僕が達郎さんの曲で個人的に好きなのはこの曲。1978年発表『ゴー・アヘッド!』(BVCR-17015 \2,400)に収録されている「Paper Doll」。
 上原ユカリさんのドラム、田中章弘さんのベース、坂本龍一さんのピアノ、この3方による独特なグルーヴ感ももちろんですが、中間で聴ける達郎さん本人によるギター・ソロが味があって僕は好きです。

 ちなみに2月8日(金)には当店地下にあるアゲインにて、シュガーベイブのギタリストであった村松邦男さんのライヴも予定されています。森 陽馬




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