PET SOUNDS RECORD
今日のこの1曲 アーカイヴス


  今日のこの1曲 “Achives”

<2009月12月>

当店ペット・サウンズ・レコード店にて、
その日に店内でかけていた曲の中から、
店員の独断と偏見で選んだ“今日のこの1曲”コーナー

2009年12月に更新した“今日のこの1曲”コーナー。
廃盤・生産中止、規格番号の変更など、
情報が古くなっている商品もございますが、ご了承くださいませ。


<最新の“今日のこの1曲”はこちらのページをご覧ください>


2009年12月1日(火) Brian Eno 「By This River」

 今年も残すところあと1ヶ月となりました。
 2009年が終わる、ということは、2000年代から2010年代になる、ということですよね。

 1960年代から70年代、70年代から80年代、80年代から90年代、そして90年代から2000年代。それぞれの年代ごとに色々な出来事があって、象徴的な音楽があって、様々な人が亡くなり・・・。

 皆さんにとって“2000年代”はどんな10年でしたでしょうか?
 ブライアン・イーノの「By This River」を聴きながら、ふとそんなことを考えてしまいました。

 ちょうど2000年代が始まった頃に制作(2001年公開)されたイタリア映画『息子の部屋』。
 平和に暮らしていた家族に突然息子が事故死する悲劇が起きる、というストーリーで、物語自体は全編悲しみに包まれたまま淡々と進んでいくのですが、その映画内で印象的に使われていたのがこの曲。

 物悲しいピアノ/キーボードの響きとブライアン・イーノの語りかけるような歌声。派手さは全くない3分弱の短い歌ですが、不思議と心に残る1曲です。

 ちなみに、僕も小学校時代仲が良かった友人が若くして亡くなった経験があったので、なんともやるせない切ない気持ちでこの映画を見た記憶があります。(現実はもっと暗く悲しいはずだ、と映画の描写をやや否定的に感じた記憶もあります)
 月並みではありますが、日々健康で生活できることの大切さをこの曲を聴いて改めて実感しました。森 陽馬

★ブライアン・イーノ「By This River」は、1977年発表作『Before And After Science』に収録。このアルバムが1,500円という廉価で本日再発CD化されました。(TOCP-54177 \1,500 3ヶ月期間限定価格だそうです。)

2009年12月2日(水) Looking Glass 「Who's Gonna Sing My Rock'n'roll Song」

 ルビナーズやレッド・ホット・チリ・ペッパーズがカバーしている事でも知られる名曲「Brandy」は、60年代後半から70年代前半に活動していたニュージャージー州出身のルッキング・グラスというバンドがオリジナルです。

 「Brandy」は72年の彼等唯一のNo,1ヒット曲で、中心人物エリオット・ルーリー(g,vo)の鼻にかかった感じの低く黒っぽい歌声とホーン・アレンジがかっこいい一曲です。
 一発屋として語られる事も多いようですが、今回再発された2in1CD(1stアルバム『Looking Glass』(72年)と2ndアルバム『Subway Serenade』(73年)が1枚のCDに収録  WOU-1320 \1,990)には、「Brandy」以外にも沢山良い曲が入っています。

 今回は2ndに注目してみました。
 プロデュース、ホーン&ストリングス・アレンジを手掛けたのはアリフ・マーディン。

 エレピの音が心地良いAOR路線の「Sweet Somethin'」、その次の曲「Who's Gonna Sing My Rock'n'roll Song」は今年初めて聴いて個人的にグッときた曲のひとつです。

 この曲を書いたのはキーボードのラリー・ゴンスキー。
 書いた本人が歌っているのかどうかは情報が少なくてわからないのですが、クセの無い優しい歌声とピアノの音色、ストリングスが美しいナンバー。メンバーそれぞれがリードを取れるだけあり、コーラスも聴きものです。

 70年代アメリカン・ロック、ポップ・ロックお好きな方は是非聴いてみて下さい。東尾沙紀

2009年12月3日(木) Jerry Douglas 「Maui Christmas」

 昨日、六本木TOHOシネマズで矢沢永吉のドキュメンタリー映画『E.YAZAWA ROCK』を鑑賞。
 “マイケルの『THIS IS IT!』より面白い!”という声もチラホラ聞いていたので前売鑑賞券も買っていたのですが、今週末で早くも上映終了、ということで慌てて見て来ました。

 率直に言って、すごく面白かったですね。
 矢沢永吉の音楽が好きか嫌いか、というのは関係なく、彼の真っ直ぐな人間性、音楽&ファンへの真摯な姿勢が見ていてとても気持ち良かったです。ライヴ映像はもちろんだけれど、リハーサル映像も見所十分で、“歌手”としてよりも“プロデューサー矢沢永吉”を存分に堪能できた映画でした。

 話変わって、映画ついでにフラッと寄って見た六本木のクリスマス・イルミネーションが想像以上に綺麗だった(特に東京ミッドタウン裏・芝生広場のイルミネーションは凄かった!これは一見の価値ありかも)ということもあって、個人的にすっかりクリスマス・モードに。
 これからクリスマス作品を少しずつ紹介していきたいと思います。

 今日の1枚は、カントリー界の名ギタリスト、ジェリー・ダグラスによる新作クリスマス・アルバム『Jerry Christmas』。(E1MUSIC KOC-CD-2021)

 ドブロ・ギター/ラップ・スティールによるインスト・クリスマス・アルバムで、これがかなりイイ感じ。ドブロ・ギターの独特な音色が、意外にもクリスマス曲の旋律にピッタリ♪
 ギター好きの方にオススメしたい1枚ですね。

 今日のこの1曲には、ジェリー・ダグラス・オリジナルの小品的インスト「Maui Christmas」を選びましたが、ヴァイオリンとの絡みが素敵なスタンダード・カヴァーも良いアレンジです。森 陽馬

2009年12月4日(金) Barry Manilow 「Silver Bells」

 一聴してガツンとくるようなロックばかり聴いていた学生時代は、「バリー・マニロウなんて軟弱な奴が聴く音楽だ」なんて、どうしようもない偏屈な考えを持っていました。
 
 しかしながら最近は、軟弱になったせいか、音楽を聴く耳が成長したせいか、はたまたただ単に歳をとったせいかはわかりませんが、ポピュラー・ボーカルの良さを再確認。バリー・マニロウの歌声も大好きです。
 アンディ・ウィリアムスやペリー・コモなど安心して聴けるヴォーカルものって、演奏も良質な曲が多いですしやっぱり良いですね。

 さて、そのバリー・マニロウが新作となるクリスマス・アルバムを発表しました。(『イン・ザ・スウィング・オブ・クリスマス』 SICP-2455 \2,520)

 マット・ハスコウィッツ・トリオとランディ・カーバー・トリオという2つのジャズ・ピアノ・トリオをバックに、トム・スコットなどホーン隊も加わり、タイトル通りスウィンギーなアレンジのクリスマス作品に仕上がっています。伸びやかな彼の歌声と、かっこいいピアノ・トリオの演奏が活き活きとしていますね。

 そのスウィンギーなアレンジとは別に、個人的に一番気に入ったのが1曲目「シルバー・ベルズ」。
 この曲のみバリー・マニロウ自身が歌を多重録音したアカペラ・アレンジで、彼の歌声の魅力が凝縮された素晴らしい出来!
 山下達郎『オン・スト』やシンガーズ・アンリミテッドなどアカペラお好きな方、この曲の多重コーラス・アレンジは絶対聴きものですよ。森 陽馬

2009年12月5日(土) Four Lovers 「You're The Apple Of My Eye」

 ニューヨーク/ブロードウェイでのミュージカル『Jersey Boys』が大ヒットしたことにより、その物語の主人公であるフォーシーズンズのアルバムが、ここ数年でアメリカでは色々とCD化されました。日本とアメリカでの人気に差異があるため、なかなか日本盤として発売されないのが残念ですが・・・。

 フォー・ラバーズはフランキー・ヴァリがリード・ヴォーカルを担当していたフォー・シーズンズの前身グループ。

 1955年頃に結成。RCAから発売された「You're The Apple Of My Eye」は1956年に全米チャート62位と、ちょこっとヒットしました。

 この当時18歳くらいのフランキー・ヴァリの強烈なファルセットが印象的な1曲です。森 勉

★掲載ジャケットはTARAGON Recordsからリリースされた全14曲収録の編集盤。(輸入CD TARCD-1107)

2009年12月6日(日) Jason Mraz 「Traveler / Make It Mine」

 ここ最近、毎日のように店で聴いているお気に入りの1枚がこれ。ジェイソン・ムラーズのライヴ・アルバム『ライヴ・オン・アース』(国内CD+DVD WPZR-30359 \3,480)。

 ジェイソン・ムラーズは、アメリカ・ヴァージニア州出身の新世代シンガー・ソングライター/ポップ・シンガー。
 昨年「I'm Yours」(アイム・ユアーズ)という曲が、日本でもFMラジオでたくさんかかってヒットしたので、ご存知の方も多いと思いますが、その彼のライヴ盤、すごく良いんです!

 “シンガー・ソングライター”と書くと、やや内向きな暗いイメージを持ってしまいますが、彼の場合はその真逆で、外側に光をビンビン放つようなオーラを感じさせてくれるシンガー。
 バックの演奏も、生音ながら“新しい風”を感じさせる清々しい勢いに満ちていて、とにかくかっこいい! 全体的にポップなんだけれど、ホーン隊も入ってグルーヴ感も満点。曲を知らなくても聴いていて引き込まれること間違いなしのライヴです。

 何故かライオネル・リッチー「オール・ナイト・ロング」のカヴァーなんかもやっていますが、それ以外はほぼ全曲オリジナル。
 特にオープニングから繋がる3トラック目「Traveler」から「Make It Mine」へなだれ込む瞬間は何時聴いても鳥肌ものです。

 ちなみにこのアルバムには、ほぼ同じ内容のライヴDVD(約130分収録!)も付いていて超お買得価格。これ見聴きしたら次の彼の来日公演は絶対見逃せないですね。森 陽馬

2009年12月7日(月) ソンドレ・ラルケ 「I CANNOT LET YOU GO」

 もう日が迫っているのですが、以前今日の一曲で取り上げたノルウェーのシンガーソングライター、ディラン・モンドグリーンが来日するそうです。
 13日の東京公演(渋谷Tokyo Family Restaurant)を皮切りに、金沢、大阪、神戸の会場を奥さんと二人パフォーマンスして回るようですよ。興味のある方は是非チェックしてみて下さい。

 先日、同じくノルウェーからまた素敵なポップアルバムが届きました。
 82年生まれのSSW、ソンドレ・ラルケがニューヨークに拠点を移し、レーベル移籍第一弾となる新作『ハートビート・レディオ』(UCCU-1258 \2,500)をリリース。

 これまでにジャズ・セッション・アルバムなど5枚の作品をリリースしています。ノルウェーのみならず、海外でも高い評価を受けている彼の作品は、エルヴィス・コステロや80年代ギター・ポップに影響を受けた爽やかなメロディーと、ストリングスを多用し、様々なジャンルを取り入れたアレンジ・センスの良さが魅力です。

 一曲目から、ストリングスの力強くドラマチックな音色にググッと引き込まれます。
 新作でもストリングスを多用しており、アルバムの中の3曲のアレンジをハイ・ラマズのショーン・オへイガンが担当しています。

 他にもポール・マッカートニーっぽいメロディーラインの曲や、もろにプリファブ・スプラウトな「I CANNOT LET YOU GO」(過去にプリファブの曲をカバー)はギターポップ好きの心を鷲掴みする事間違いなしの一曲です。

 過去の作品はCCCDだったり、国内盤は出ていなかったりと遡って聴くには少し不自由な状況なのが少し残念ですが、新作を引っ提げての来日を期待したいですね。東尾沙紀

2009年12月8日(火) 曽我部恵一 「LOVE」

 先日事業仕分け会場に内田裕也が見に来た際、「何故いらしたのですか?」というメディアからの質問に対して、「俺はROCKだから。ジョン・レノンに笑われちゃうから。」というような発言をしていました。

 普通だったら笑っちゃうところかもしれませんが、僕は不思議と「ああ、そうだよな」と思ってしまいましたね。
 相変わらずのタラ・レバですが、もしジョン・レノンが生きていたら、アフガンへの増派に関して何らかのアクションを起こしていたでしょうし、政治を皮肉った歌をもっと作っていたかもしれないですし・・・。

 さて、今日はジョン・レノンの命日ということでジョンのカヴァー。
 「LOVE」が収録されている曽我部恵一の新リリース作『Sings』はカヴァー・アルバム。2008年末にツアー会場限定で販売されていた作品でしたが、この度一般発売されました。(ROSE-70 \2,500)

 全体的に弾き語りを主体にしたアレンジ。
 「Love」以外では、大滝詠一「サイダー'73」、マドンナ「ライク・ア・ヴァージン」、ジャックス「時計をとめて」、トラッシュ・キャン・シナトラズ「How Can I Apply...?」、オジー・オズボーン「Goodbye To Romance」、ビートルズ「Yesterday」、ベン・E・キング「スタンド・バイ・ミー」、ミスフィッツ、ギャラクシー500など、曽我部恵一らしい幅広いルーツからの選曲。

 個人的には、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド「サンデー・モーニング」が良かったですね。曽我部恵一は、かなりニール・ヤング好きらしいので、ギターや声の出し方とかもアコースティックのニールを意識している印象。

 来年はサニーデイ・サービスとして作品を出す、という噂もありますが、どんな楽曲になるのでしょうね。森 陽馬

2009年12月9日(水) Neil Young 「War Of Man」

 ニール・ヤングの1992年アコースティック・ライヴ盤がいきなり(といっても秋頃インフォメーションがきていましたが)発売になりました。(『Dreamin' Man LIVE '92』 輸入CD reprise 511277-2)

 1992年というと、ニールの後期アコースティック名作『ハーヴェスト・ムーン』が発売になった年。
 1991年初旬はクレイジー・ホースを率いて轟音ライヴ・ツアーを行ない、耳を悪くしてしまったため“動”から“静”へ。また1972年発表名作『ハーヴェスト』からちょうど20年を経たこともあり、1992年はソロ・アコースティック・ツアーを中心に活動していました。

 この度発売されたライヴ音源はそのソロ・ツアーの音源。
 弾き語り中心で、選曲も初期人気曲ではなく『ハーヴェスト・ムーン』収録曲中心なので、ちょっとコア・ファン向けのライヴ盤かもしれません。
 でも隙間のあるニールのギターと呟くような歌声は初冬の夜、じっくり聴くのにピッタリ♪ 聴くほどに沁みてきます。

 今作ラストに収録されているのは「War Of Man」。

♪耳元にはまだ昨日までの爆撃音 疲れた兵士が空に向けて銃口を少し高くかまえる 〜
 誰も勝つものなんかいない それは愚かな男たちの戦い♪
と歌われるこの曲は、ニールが湾岸戦争に触発されて作った反戦歌。

 ちなみに今作はDVD付など違う仕様は出ない予定。国内盤は12月23日発売予定になっています。森 陽馬

2009年12月10日(木) Shepherd Sisters 「Deeply」

 オーストラリアのRare Rockin' Recordsというレーベルから、『Rare Bacharach 〜 The Early Years 1958-1965』という全32曲入りのバート・バカラック作品集が発売になりました。(RRRSMS-1027)

 今までCD化されていなかった貴重なシングル盤音源が満載で凄いものがでました。(未発表デモ録音曲も2曲含まれています)

 様々なレーベルの曲が集められているので、契約上の問題は?・・・と思ってしまいますが・・・。
 それにしても企画・監修した方々は相当なコレクターなのでしょうね。あえてヒット曲ではないバカラック作品をこんなに集めたのですから。

 聴いたことがない曲がほとんどですが、さすがはバカラック!
 埋もれた中にも名曲数知れず、といった感じです。

 シェパード・シスターズは1957年に「アローン」(フォー・シーズンズ、山下達郎のカヴァーでも有名)のヒットを放った4人姉妹のコーラス・グループ。
 この曲は1961年ユナイテッド・アーティスツ・レーベルからのシングルで、プロデュースはジェリー・リーバー&マイク・ストーラーです。(ドリフターズがバカラックの曲を取り上げた時の組み合わせ) 森 勉

2009年12月11日(金) ラストショウ 「天国の扉」

 インターネットで様々な情報が手に入るようになった昨今、“ライナーノーツ”(アルバムに付いている解説)は、輸入盤の流通が多くなってきたこともあり重要度が薄れてきている感がありますが、このラストショウの再発に付いていたライナーノーツはとても面白かったですね。

 ラストショウは、元々泉谷しげるのバック・バンドであった松田幸一(Harp)、徳武弘文(G)、村上律(Pedal Steel)等が中心となって結成したグループ。
 まさに“日本産ナッシュビル・サウンド”で、アメリカ南部のルーツ音楽を軸に日本語詞と融合し、カントリー/ロック/ジャズ的なかっこいい演奏を聴かせてくれる超絶技巧派バンドです。

 永らく入手困難となっていた77年発表1stと78年発表2ndが、この度ボーナス・トラック追加&紙ジャケ&デジタル・リマスターでめでたくCD化。
 特に1st『アリゲーター・ラジオ・ステーション』(RATCD-4334 \2,625)は、はっぴいえんど、ムーン・ライダーズ、はちみつぱいお好きな方、ハーモニカ/ペダル・スティール好きの若い方に是非とも聴いてもらいたい1枚ですね。(ちなみにタイトルは、アメリカ南部の架空ラジオ局をイメージして付けられたそうです。)

 ムーン・ライダーズ「ヒデとルージュとバルコニー」のカヴァーや、歌謡曲的/フォーキーな歌声とナッシュビル・サウンドが絶妙にブレンドされた「天国の扉」(松田幸一作のオリジナル曲です)など、アルバム各曲ももちろん素晴らしいのですが、徳武弘文氏自ら書いたライナーノーツが、70年代の音楽シーン&ミュージシャン同士の温かな交流が伝わってきて、本当に楽しく読めました。

 邦楽・洋楽関係なくこれからの国内盤CDには、こういうネットの情報では得られないような読み物としてのライナーノーツをちゃんと付けていくべきだと思いましたね。森 陽馬

2009年12月12日(土) 湯川潮音 「I Want You Back」

 湯川潮音さんが『灰色とわたし』以来約1年半ぶりとなる新作『Sweet Children O'Mine』をリリース。(TOCT-26922 \2,100)

 この新作は洋楽カバー・アルバムで、タイトル曲のガンズ・アンド・ローゼズ、ジャクソン・ファイヴ「I Want You Back」、ボビー・マクファーリン「Don't Worry,Be Happy」の他、オアシス、レディオヘッド、Mr.BIG、エアロスミス、プリテンダーズなど彼女が歌うには意外すぎるともいえる選曲。
 しかしながら、どの曲もゆったりとしたフォーク、カントリー調のアレンジで歌われています。

 プロデュースは前作と同じ、クマ原田氏。
 全曲ロンドン・テムズ川近辺のスタジオ録音で、バックは原田氏以外現地のミュージシャンが参加。彼女のきれいな歌声がひきたつ、心地良い演奏を聴かせてくれています。(中にはフェアグラウンド・アトラクション〜エディ・リーダーのバックで来日経験もあるGraham Hendersonがギター、アコーディオン、コーラスなどで殆どの曲に参加しています。)

 最後にはライブでもお馴染みだという1曲がシークレット・トラック(?)として収録されています。

 全体的に誰もが耳にした事がある有名曲を取り上げていますが、パッと聴くとこの曲なんだったっけ?というほどガラッと変わっているのが面白いです。逆に原型に近い演奏に彼女の声がのるとどうなるのだろうなと想像するのもまた楽しい好カバーアルバムです。東尾沙紀

2009年12月13日(日) ポール・マッカートニー 「サムシング」

 今年2009年の音楽界の最大の話題といえば、ビートルズのリマスター盤が発売になったことでしょうか。
 発売日の9月9日周辺は、テレビ、ラジオ、出版業界を巻き込んで盛り上がりましたしね。

 限定の『モノ・ボックス』はすぐに品切れになり、急遽再プレス。音楽ファンの間では、『モノ・ボックス』という言葉があちこちで口にされ、流行語大賞にノミネートされても良かったと思うくらいでしたね。

 さて、そんな話題から無理矢理関連づけて、ポール・マッカートニーの最新ライヴ盤が発売されました。(『グッド・イヴニング・ニューヨーク・シティ』 UCCO-3015 \3,800)

 今年7月にニューヨーク・シティ・フィールド(ビートルズが1965年にライヴをしたシェア・スタジアムに替わる新しい球場)で行なわれたライヴの模様がCD2枚+DVDで3,800円(!)とお買得価格。音楽業界も完全にデフレ傾向です。

 CDは曲間のナレーションをカットして音楽に専念して聴ける気遣いがうれしいですね。もちろんDVDも、67歳とは思えない若々しいポールが確認できますし、この曲「サムシング」のように、リヴァプール時代にジョージ・ハリスンとのちょっとしたエピソードが語られたりと、聴き所・見所も満載。

 「アイム・ダウン」では、このポールのライヴとビートルズのシェア・スタジアム・ライヴがリンクした映像で楽しめます。森 勉

2009年12月14日(月) He 6 「Dance To The Music」

 最近になって知った遅耳情報ですが、来月中旬(2009年1月16〜23日)、スライ・ストーンがまたブルー・ノートにやってくるそうです。

 今回の来日はスライ&ザ・ファミリー・ストーンではなく、“RUFUS feat Sly Stone”という名義。
 ルーファスは1970年代にチャカ・カーンが在籍していたことでも有名なファンク・バンドで、現在はトニー・メイデンとケヴィン・マーフィーという男性二人を中心としたユニットだそう。
 昨年9月、ある意味衝撃(?!)だったライヴからたった約1年半で、またすぐ来日するとはよっぽど日本での待遇が気に入ったのでしょうか。

 チケット情報をチェックするとまだ全然余裕がありそうですが、来月はビーチ・ボーイズの来日もあることですし悩みますね・・・。本音としては、こんなにすぐ来られてもちょっとありがた味がないな、というのが正直なところ。
 果たしてスライは1週間もの間、ちゃんとステージングを務めるのでしょうか? (詳細ページではスライのところが<ヴォーカル、キーボード、ギター、ハーモニカ>と書いてあるけど、こんなに出ずっぱりで演奏するのかな?)

 さて、スライ・ネタということで今日は、スライのコアなカヴァー・アルバム『MESSIN' WITH SLY』(LSD-007)から1曲。

 このHe6は韓国で1970年代に活動していたロック・バンドだそうで、日本で言うゴールデン・カップスのような存在なのでしょうか。
 ファンクというよりサイケ・ロック的な演奏・アレンジですが、いかにも70'sっぽい音をしていて雰囲気出ています。森 陽馬

2009年12月15日(火) Adam Carroll 「Grandmother's Christmas 1927」

 クリスマスまで早くもあと10日となってしまいましたね。
 暖かい日が続いているせいか、まだクリスマス気分に浸れない今日この頃・・・。

 さて、そんな僕が今冬、部屋でよく聴いているのがこの『A Piano Christmas in the 1920s』というタイトルのCD。ソロ・ピアノによる古いクリスマス曲を集めた1枚です。(LYRCD-6012 \2,280)

 クリスマスものというと、演奏がやや大仰なものが多いのですが、これは歌もなくピアノのみ。シンプルにメロディーが奏でられるので、ゆったりとノスタルジックな気分で夜を過ごしたい時にピッタリです。

 よくわからないアメリカのインディーズからで、裏ジャケもやや印刷が粗いのですが音はGood!
 ピアノ好きの方にオススメのX'masアルバムですね。森 陽馬

2009年12月16日(水) Swissy 「how it all started」

 神戸のレコード店ディスク・デシネさんのレーベル、プロダクション・デシネから、女性シンガー/アコースティック・ポップをお好きな方注目の一枚がリリース。

 フィリピン生まれ、オーストラリア育ち、現在は母国で活動中のスウィッシーの2008年デビュー作『シー・スマイルズ』(VSCD-9366 \2415)です。

 ギター・ポップを基本に、ソウル、ジャズ、AORや彼女が好きだというカーディガンズなどの北欧ポップの要素、彼女がオーストラリアにいた時に聴いていたであろうクラウデッド・ハウスの影響も感じられる軽やかなアレンジと、かわいらしさも漂う透明感のある歌声が印象的。

 作詞作曲、プロデュースは彼女自身が手掛け、フィリピン、オーストラリアで録音された本作は、最後の曲「aniya」(多分フィリピン語かと思われます)を除いて全て英語詞で歌われています。
 
 冒頭を飾る「rainy days」、リード・トラック「how it all started」などほどよくメロウな雰囲気のものから、ジャジーな「in my rooms」など全体的に穏やかで何度もリピートしたくなる作品です。
 コリーヌ・ベイリー・レイ、ボニー・ピンク、ビック・ルンガなどお好きな方にもおすすめの一枚です。東尾沙紀

2009年12月17日(木) Deep Street Soul 「Kick Out The Jams」

 一時期の新世代ジャズ・ファンク・ブーム(ニュー・マスターサウンズやスピードメーターの作品がよく売れていたのは2004年前後だったから約5年前くらいかな)の頃は、一聴してオオッ!と思えるバンドが多くて、結構ジャズ・ファンク系に散財することが多かったのですが、ここ最近はリリースも減ってきた印象。

 でももちろんかっこいいバンドも色々とあって、気になるバンド名や面白い曲をカヴァーしていたりするとついつい買ってしまいますね。

 今日紹介するバンドはオーストラリア出身のファンク・バンド。
 その名も“Deep Street Soul”!(Freestyle FSRCD-62)

 70年代的なサウンドながら、イキのいいグルーヴィーな演奏は90'sアシッド・ジャズの影響も感じさせますね。ハモンド・オルガンの入ったファンクお好きな方にもオススメです。

 今日のこの1曲は、MC5のロック名曲「Kick Out The Jams」の爆裂ファンク・カヴァー。女性シンガーTia Hunterをfeatして、ワイルドな雰囲気にポップな魅力も加味させています。
 インスト曲では、レゲエ/ロック・ステディの雄、ジャッキー・ミトゥの「Get Up & Get It」カヴァーHもイイ感じです。森 陽馬

2009年12月18日(金) ダイアン・バーチ 「フォーギヴネス」

 ダイアン・バーチのジャパン・ツアー・ライヴ最終日(といっても大阪1日、東京2日の計3日間だけでしたが)、12月10日渋谷クラブ・クアトロに行ってきました。

 今年発売されたデビュー・アルバム『バイブル・ベスト』(TOCP-66901 \2,200)はとても気に入ったアルバムだったので、とても楽しみにしていたライヴでした。
 アルバム1枚しか出ていない状態で日本でライヴが見れるというのも、ある意味貴重な体験であり、かなりのワクワク感を持って出掛けたライヴだったのです。

 1曲目はアルバムの中でも一番渋めの曲「フォーギヴネス」から始まりました。

 ジャケットやブックレットに使われていた写真と同じようにキュートな顔立ち&スレンダーな容姿から発せられる、今風の印象とは違った古風で流行りに媚びない歌声がいきなり響き渡ります。
 スタンディングで満員の会場も、これは本物という雰囲気が漂い、期待通りというかそれ以上のパフォーマンス。黒のグランド・ピアノと真っ白なローズのエレクトリック・ピアノを交互に弾きながら、時折顔をゆがめてシャウトする様もなかなか絵になっていました。

 ギター、ベース、ドラムス、トランペットによる4人のバックも非常にフィット感があり、あくまでダイアンの弾き語りが中心という出過ぎず沈み過ぎず、の良いバランスでした。

 曲の途中でビートルズの「アイヴ・ガッタ・フィーリング」を織り込んだり、アンコールではクリスマスも近づいてきたからと言って、「ジングルベル」をソウルフルにカヴァーしたり、と自作以外の曲もきちんと個性を主張できるグルーヴを感じさせてくれました。
 2009年デビューの新人! これからも楽しみです。森 勉

★今年最後の気まぐれ音楽寄席は、20日(日)13時半から始めます。昼からになりますので、お越しいただける方はお時間お間違えのないようご注意を。

2009年12月19日(土)Brian Setzer Orchestra 「Let It Snow! Let It Snow! Let It Snow!」

 “クリスマスの映画”というと、皆さんは何を思い浮かべますか?
 僕は結構ベタ(?)に、『ダイハード2』ですかね。

 映画の内容自体は豪快なアクション映画ですが、ハラハラドキドキした本編とは対照的な、ホッとするハッピー・エンディングにかかっていた「Let It Snow」。不思議と印象に残っています。

 映画の中で使われていたのは、1940年代に活動していたヴォーン・モンローという男性シンガーのヴァージョンでしたが、その人のCDは店頭にないので、今日のこの1曲にはブライアン・セッツァー・オーケストラ。

 ヴォーン・モンローやフランク・シナトラのヴァージョンとは全然違って、スウィンギーでかっこいいロック・ヴァージョン。
 他にも何人かこの曲を違うアレンジでカヴァーしていますが、ブライアン・セッツァーのヴァージョンがオーケストラも上手に使っていて、一番斬新かつクールなカヴァーですね。(『クリスマス・ロックス!』 VICP-64637 \2,520)

 他に“クリスマスの映画”で思い出したのは、トム・ハンクス&メグ・ライアン主演の『めぐり逢えたら』。これも直接的に“クリスマス映画”という感じではなかったのですが、カーリー・サイモンが歌ったスタンダード・ナンバーなどが印象に残っています。

 最近はこういう安心して見れる娯楽映画が減っているような気がするのですがどうでしょうか? 今年中に何かもう1本劇場で映画を見ようと思っているので、オススメありましたら是非教えてください。森 陽馬

2009年12月20日(日) ジョン・フォガティ 「Moody River」

 “CCR”こと“クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル”のフロントマン、ジョン・フォガティの新作『ブルー・リッヂ・レインジャーズ・ライズ・アゲイン』が発売されました。(DVD付 UCCB-1035 \3,600)

 今回は企画色の強いアルバムで、全編カントリー・テイストの作りです。

 CCRを解散して翌1973年に発表した実質的なソロ第一弾の名義及びタイトルが『ブルー・リッヂ・レインジャーズ』でした。
 その時はジョン・フォガティがすべての楽器をマルチプレイし、ひとりで全てをレコーディングした形でしたが、今作は様々なミュージシャンを使って録音しています。

 そしてリック・ネルソンのカヴァー「ガーデン・パーティー」ではイーグルスのドン・ヘンリーとティモシー・シュミットが!
 更にエヴァリー・ブラザーズのカヴァー「ホエン・ウィル・アイ・ビー・ラヴド」ではブルース・スプリングスティーンがゲスト・ヴォーカルでフィーチャーされているのが話題になっています。

 そのハーモニーの妙が聴ける2曲もいいのですが、今日の注目は8曲目「涙のムーディー・リバー」です。

 1961年、パット・ブーンによって全米No.1になったオールディーズ・ファンにはお馴染みの曲をカヴァーするなんてちょっと意外でしたが、いい雰囲気に仕上がっています。
 実はこの曲、パット・ブーンもカヴァーで、オリジナルはカントリー・シンガー、チェイス・ウェブスターという人だそうです。
 元々カントリー畑の曲だったわけで、このアルバムでジョンが取り上げる理由がちゃんとある曲だったのですね。森 勉

追記:一緒に付いているDVDには、アルバム録音秘話が聞けるインタビュー、及びライヴなど40分ほどの映像が入っています。

2009年12月21日(月) 浜田真理子 「ひそやかなうた」

 島根県出身、今現在も松江市在住で普段はOLをしている女性シンガー・ソングライター、浜田真理子の約3年ぶりとなる新作『うたかた』(SFS-15 \2,625)が本日発売。

 4枚目となるオリジナル・アルバムは、初のセルフ・プロデュース作。
 どんな音作りになるのかな、と思っていましたが、基本的に今までとほぼ変わらずで、そこにあるのは彼女の歌とピアノ。
 女性として、また人間としての強さと弱さが同居した“心の歌”が今作も胸を打ちます。

 珍しくエレクトリック・ピアノを弾いている曲があったり、コントラバス&アコースティック・ギターが入っている曲もありますが、その楽器音も浜田真理子の歌にそっと寄り添っている感じ。

 以前ライヴ・ハウスで彼女の歌をカヴァーして歌っている女性シンガーがいて、その女性シンガーは歌がとても上手かったのですが、どこかしっくりこなかったことがありました。
 どのアーティストにも当てはまることかもしれませんが、“浜田真理子の歌”というのは、彼女の歌・ピアノで発せられるからこそ“浜田真理子の歌”になるのだな、というのをその時強く実感。

 浜田真理子にしか歌えないひそやかな“心の歌”。
 寒い冬の夜、じっくり噛みしめるようにして聴きたい1枚です。森 陽馬

★今日のこの1曲「ひそやかなうた」は、TVのCM『国境なき医師団』で使われていました。

2009年12月22日(火) Rod Stewart 「Rainy Night In Georgia」

 ボブ・ディランの来日が決定しましたね。それもライズハウス・ツアー!

 3/12から大阪4日、名古屋2日、そして東京は3/21から6日間。
 東京公演はバート・バカラックの来日(3/26、27、28)とモロにかぶってますねー。3月は他にもAC/DCの来日があって、4月にはキャロル・キング&ジェイムス・テイラー、ジェフ・ベックも控えていて・・・、とホントお金がいくらあっても足りないですよ。(でもディランとバカラック、CK&JTは行く予定。ちなみに2010年3月で新店舗3周年を迎えます。賑やかかつ慌しい月になりそうですね)

 さて今日は、1/1新譜や細かいものを除けば実質的な2009年最後となる新譜発売週ということで<12月23日新譜>が色々と入荷。(いきものがかり、布袋、flumpool、ユニコーン、関ジャニ、ニール・ヤング、メアリー・J・ブライジ等)
 その中で、予想以上によかった新譜がロッド・スチュワート『ソウル・ブック』でした。(SICP-2504 ボーナス・トラック収録 \2,520)

 手にとったときは、「これまたベタな企画だよな・・・」と思いましたが聴いてみたら、思いのほか素晴らしい内容!
 それというのもこのアルバム、スティーヴ・ジョーダン&スティーヴ・タイレルがプロデュースしているのです。

 映画『キャデラック・レコード』でも音楽を担当したスティーヴ・ジョーダンがプロデュースだけでなくほぼ全面ドラムも叩き、当店でも大推薦している男性ジャズ・ヴォーカリスト、スティーヴ・タイレルがストリングス・アレンジやヴォーカル・プロデュースも担当。なので、サウンドは悪いわけがありません。ロッドの歌もソウルフルでかなりイイ感じ♪

 ちなみにトニー・ジョー・ホワイト作のこの曲「Rainy Night In Georgia」は違う人がドラムを叩いているのですが、それがなんと、ラス・カンケル! ベースを弾いているのがリー・スクラー!
 この二人、ダニー・クーチと共にキャロル・キング&ジェイムス・テイラーの公演で来日するのが確定したらしいです。キャロルとジェイムスの共演ももちろんだけれど、彼等のバック演奏も楽しみですね。 森 陽馬

2009年12月23日(水) 鈴木祥子 「ムーンダンスダイナーで」

 冬や雪が出てくる歌で何かないかなと考えていたら、鈴木祥子さんの「ムーンダンスダイナーで」が思い浮びました。
(オリジナルは89年の『水の冠』に収録。現在は初期作品集『SHO-CO-SONGS vol.1』で聴く事が出来ます。)

♪誰かを待ってるシェパード 鼻先にちらつく雪♪、
♪ゴミ箱のツリーに積もる この冬最初の雪♪、
サビの♪しばらくは泣いていいよ 頬杖ついて♪
と、川村真澄さん作詞のこの曲はちょっと哀しげな雰囲気。

 ライブ厳選集『I WAS THERE,I'M HERE』(WRCD-13 \3,500)で聴ける、サックスが絡むピアノの弾き語りが絶品!
 色っぽい歌声に大人のムードが漂っていて、ライブ盤の中でも特に好きな曲です。

 ハッピーなイメージのクリスマス・シーズンに、この曲を聴いて切ない雰囲気に浸るというのもあり...でしょうか?

 他にも小泉今日子の曲をセルフカバーした「優しい雨」(エレピの音がすごく心地良いです)、リンダ・ロンシュタットのカバー「Adios」なども良く、オススメのライヴ盤です。東尾沙紀

2009年12月24日(木) 原 めぐみ 「トビラ〜エヴァーラスティング・ラヴ」

 キャッチ・コピーは、<伝説の“音壁アイドル”奇跡の復活!>

 1981年トリオ・レコードからアイドルながらもフィル・スペクター・サウンドによる「見つめあう恋」(There's A Kind Of Hush)、C/W「涙のメモリー」のシングルを発売した原めぐみ。
 なんと新曲「トビラ 〜 Everlasting Love」を発表してくれました。
 これが文句なく素晴らしい出来なのです。(CRCD-5017 \1,890)

 ウォール・オブ・サウンド好きにはたまらないエッセンスがタップリと染み込ませてある楽曲で、プロデューサーである中村俊夫氏の執念が感じられる作品となっています。

 全編に響き渡るストリングスとリズムセクションの絶妙なブレンドに、強い主張を持ったカスタネットの音。
 後半、お約束の転調があって、エンディングに飛び出してくるとっておきのCメロ、そしてコーラスとハル・ブレイン風ドラミング、と息もつかせぬ4分40秒!

 もちろん、年月の経過を感じさせないキュートな原めぐみのヴォーカルもGood!
 音壁コア・ファンのために、モノラル及びカラオケ・ヴァージョンも入って、3ヴァージョン楽しめます。森 勉

2009年12月25日(金) Smokey Robinson 「Time Flies」

 皆さんはクリスマスいかがお過ごしでしたでしょうか?

 最近は全体的に“イヴ”の方にシフトしている感じで、クリスマス当日は「もうクリスマスは終わり!」といった様相に人も商店もなってしまっていますね。
 CD店もクリスマス当日にはクリスマスCDがなかなか売れないので、今日はゆったりとしたソウルフルな音楽を中心に店内でかけていました。

 その中で特にヘヴィー・ローテーションだったのが、この1枚。
 スモーキー・ロビンソンの2009年発表新作『タイム・フライズ・ホェン・ユーアー・ハヴィング・ファン』(WRR-5126 \2,625)。

 いやー、これはイイ作品ですよ!
 1960年代からモータウン・レーベルでスモーキー・ロビンソン&ミラクルズとして活動し、ソロ作品も何枚かリリース。2006年にはスタンダード曲をカヴァーしたアルバムも発表していましたが、今回の新作は久々のオリジナル・アルバム。
 でもありきたりなカヴァーなんかよりもオリジナルで良い曲が多くて、バックの演奏もプロトゥールに頼らず生演奏を中心とした暖かいサウンド。彼のベスト5と称してもいいくらい良い出来のアルバムです。

 特に1曲目「Time Flies」。
 スロー&メロウなメロディーにスモーキーのファルセット・ヴォイス、そしてデヴィッド・T・ウォーカーのギターやシルキーなエレピの音色が絡むこの曲はスモーキーの歌声が好きなら絶対に聴きもの!
 ジョス・ストーンやインディア・アリー、サンタナが参加している曲もあり、ソウル・ファンは要チェックの1枚ですね。森 陽馬

2009年12月26日(土) CSN&Y 「Only Love Can Break Your Heart」

 あっという間にクリスマスも過ぎて、今年も残りわずか。
 店内中央特設コーナーも“クリスマス特集”から“2009年当店推薦盤コーナー”にチェンジして、新リーフレットも作成しました。HP上にも“ペット・サウンズ・レコード店が選ぶ2009年ベスト・アルバム”ページを近日中にアップしたいと思っておりますので、気長にお待ちくださいませ。

 さて、2009年に発売された新譜アルバム、という括りではエディ・リーダーの新作『ラヴ・イズ・ザ・ウェイ』がベストでしたが、個人的思い入れ&私的なベスト作という点では、文句無くニール・ヤングのブルーレイ10枚組BOX『ARCHIVE Vol.1』でしたね!

 以前購入を悩んでいるお客様に、CDでも十分楽しめる、というようなことを話したことがありましたが、スミマセン! やっぱりファンならばブルーレイがオススメです!(前言翻してしまい申し訳ございません。ちなみにCDのBOXはもう入荷しないようです。)

 ブルーレイを観れるプレーヤーが必要だったり、はたまた音を聴くためにわざわざTVをつけてブルーレイで聴かなければならない、など最初はめんどくさいな、と思っていたのですが、じっくり深くブルーレイBOXを楽しむと、その情報量&魅力に圧倒!

 うまく言葉で説明できないのがもどかしいのですが、このブルーレイBOXは今までの単なる編集盤やCD BOXなどとは全く次元が違うコンテンツが満載で、ニール本人も言っている通り、音楽業界にとっては本当に画期的な作品だと最近になって実感してきました。

 特にお気に入りなのは、『アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ』が発売になった1970年の音源や映像が入っているディスク6。
 「Only Love Can Break Your Heart」のCSN&Yライヴ・ヴァージョンの音源&映像も見ることができます。
 ニールはもちろんですが、この時代のスティルスも凄くかっこいいので、CSN&Yのフィルモア・ライヴはいつかフルでリリースしてもらいたいですね。森 陽馬

2009年12月27日(日) Madeline Bell 「Mr. Dream Merchant」

 マデリン・ベルは、アメリカよりイギリスでよく知られている女性R&Bシンガー。

 このCD『Bells A Poppin』は彼女の貴重な1967年発表のファースト・アルバム12曲にシングルのみの発表だった8曲をプラスした全20曲入り。(RPM 281)
 イギリスのフィリップス・レーベルで録音されたブリティッシュ60'sの香り漂うサウンドに彼女のソウルフルな声が映えています。

 ソングライター・ファンにはかなり楽しめる内容で、バート・バカラック、チップ・テイラー、ジェリー・ラゴヴォイ、ジェリー・ロス、ケニー・ギャンブル、アシュフォード&シンプソン、レノン&マッカートニーなどの楽曲が収録されています。
 また当時親交があったということで、ダスティ・スプリングフィールド、レスリー・ダンカンがバック・コーラスで参加している曲もあるようです。

 「ミスター・ドリーム・マーチャント」は、ジェリー・バトラーが1967年にヒットさせましたが、マデリン・ベルのこのヴァージョンもほぼ同時期にレコーディングされたようです。
 悠々とした歌い方ながら声の張りが素晴らしく、曲の良さを十分に表現しています。作曲はジェリー・ロス。森 勉

2009年12月28日(月) エレファント・カシマシ 「ハナウタ 〜遠い昔からの物語〜」

 今年もまたベスト・アルバムを選ばせていただきました。

 入れなかったものではエディ・リーダーの『Love Is The Way』!
 新作もライブも本当に素晴らしかったです。

 ウーター・へメルのライブは予想以上に素晴らしかったですし、ライ・クーダー&ニック・ロウ、グレン・ティルブルック&スティーヴ・ナイーヴのそれぞれのライブで、「Peace,Love And Understanding」が生で聴けた事も印象深い出来事です。

 今年聴いたもので印象に残った“曲”、色々ありました。
 思い返してみてその中でも好きだった一曲がエレファント・カシマシの「ハナウタ 〜遠い昔からの物語〜」でした。

 田辺誠一&大塚寧々夫妻が出演した焼酎のCMソングとして流れていたのが今年の4月ごろ。(CMも素敵でした〜)
 優しい雰囲気を持った春っぽい曲。

 今年リリースされたアルバム『昇れる太陽』(UMCK-1306 \3,000)にのみ収録で、シングル・リリースされなかった曲ですが、良いメロディー、良い歌声はたった数十秒でも人をひきつけるものなのだなと改めて思いました。そして、この曲に限らず''日本語で歌う''という事がすごく大切だという事も。

 来年もそういう曲に出会える事を願うと共に、いろんなものに耳を傾けていかないといけないなと思いました。東尾沙紀

2009年12月29日(火) Randa and The Soul Kingdom 「Find Your Groove」

 年末年始、皆さんはどのようにお過ごしの予定でしょうか。
 低予算ながら海外旅行する人が増加傾向にあるようですね。

 以前インドやブラジルなどにも行き、旅行好きだった僕もここ最近海外旅行は封印中。パスポートも切れてしまっていますが、次海外に行くとしたらまだ行ったことがない国、トルコやドイツ、もしくは暖かいオーストラリア/ニュージーランドに行ってみたいですね。

 夢想はさておき、今日紹介のRanda & The Soul Kingdomはオーストラリア出身ファンク・バンド。(Freestyle FSRCD-66 \1,980)

 ジャケットの雰囲気だけでなく、サウンドの方も「70年代のグループ?」と思えるほど、オールドスクールなファンク・グルーヴを聴かせてくれます。
 女性ヴォーカルも白人だと思いますが、迫力あるシャウトを随所に聴かせかっこいいです。

 12月17日にこのコーナーで紹介したDeep Street Soulもオーストラリア出身でしたが、数年前にアルバムをリリースしているバンブースというファンク・バンドも含め、オーストラリアはこういう70'sファンクを伝承するバンドが意外と多いようです。

 スピードメーターやニューマスター・サウンズお好きな方は要チェックの1枚。新世代ファンクを多数輩出しているロンドンのレーベル、FREESTYLEからのリリース。森 陽馬

2009年12月30日(水)小坂忠&フォー・ジョウ・ハーフ 「春を待っている私はこたつの中」

トップ・ページにも記しましたが、年末年始も休まず営業いたします。
12月31日(木) 11時〜20時
1月1日(金) 14時〜18時
1月2日(土) 11時〜18時
1月3日(日) 11時〜18時
1月4日(月) 11時〜20時
1月5日(火)以降は、通常通り、11時から22時までの営業。
年始は閉店時間が早くなっておりますのでご注意ください。

 この年末になって、駅ビルの工事が突然進んできました。
 今年の武蔵小山は駅前広場が出来て、以前とは違う雰囲気になりましたが、来年は駅ビルも完成し周辺環境が激変しそうな感じです。

 駅ビルは4階建てで1フロアもかなり広くなりそうですが、どんなテナントが入るのでしょうか。
 ツタヤ? 東急ストア? ユニクロ?

 地元民としては、武蔵小山はもう充分住みやすい街なので、これ以上余計な商店はいらないかな、と感じています。そういう店より、保育園や託児所、郵便局や図書館などが駅ビルにあると便利なのではないでしょうか。
 まあ東急の土地ですから利益追求となってしまうのでしょうが、品川区&目黒区と協力してその街に住んでいる人が本当に望んでいる“街づくり”をしていってもらいたいものです。

 さて、今日の1曲は、小坂忠さんが1972年に発表したソロ2作目『もっともっと』に収録のナンバー。フォー・ジョウ・ハーフ(林立夫、後藤次利、駒沢裕城、松任谷正隆、ゲストとして細野晴臣&鈴木茂)の演奏がレイドバックしていてなんとも味わい深く良いのです。特に駒沢裕城さんのペダル・スティールが極上のイイ味出してますね。

 ちなみに来年3月24日には、小坂忠さんの新作として『HORO2010』(名作『ほうろう』の新ヴォーカル盤!)が発売になるようです。約35年の時を経て新たな魂を吹き込まれた『ほうろう』! とても楽しみですね。森 陽

★掲載ジャケットは『もっともっと』や『ほうろう』など忠さんの魅力がタップリ詰まった8CD+2DVDのBOXセット『Chu's Garden』(MHCL-1480 \22,000)。冬になると忠さんの歌声が聴きたくなるのです。

2009年12月31日(木) 木村カエラ 「バタフライ」

 僕がこのペット・サウンズ・レコード店で正式に働き始めたのが1999年の年末。ちょうど10年が経ったことになります。

 僕にとってこの10年間は、変な言い方ですが、<“ペット・サウンズ・レコード店”に音楽の良さを改めて教えてもらった10年間>でした。

 良い音楽にたくさんめぐり逢えたことはもちろん、音楽を愛する多くのお客様とお会いして、お話を伺い、その人それぞれの“ペット・サウンズ”(お気に入りの音)に触れ合えたことは、本当に素晴らしいことでした。
 ご来店いただいたお客様皆様に御礼を申し上げたい気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。

 今日で2009年、そして00年代は終わり。
 皆さんにとって、この00年代はどんな10年間でしたか?

 今年最後の今日の1曲は、“2009年No.1ソング!”と個人的に思っているこの曲。木村カエラ「バタフライ」。
 シングル・カットはされませんでしたが、ポジティヴに音楽を楽しむことを改めて教えてくれた1曲でした。(2009年6月26日にもこのコーナーで取り上げました。詳細はそちらをご覧ください)

 来年2010年も皆が健康で、Good Musicに出会えますように。森 陽馬

★掲載ジャケットは、「バタフライ」収録のアルバム『HOCUS POCUS』(COCP-35635 \2,940)。2010年2月3日には木村カエラのベスト盤が発売予定で、それにも収録されるようです。






トップへ
戻る