PET SOUNDS RECORD
今日のこの1曲 アーカイヴス


  今日のこの1曲 “Achives”

<2009月7月>

当店ペット・サウンズ・レコード店にて、
その日に店内でかけていた曲の中から、
店員の独断と偏見で選んだ“今日のこの1曲”コーナー

2009年7月に更新した“今日のこの1曲”コーナー。
廃盤・生産中止、規格番号の変更など、
情報が古くなっている商品もございますが、ご了承くださいませ。


<最新の“今日のこの1曲”はこちらのページをご覧ください>


2009年7月1日(水) Shorty Long 「Devil With The Blue Dress」

 アラバマ出身のR&Bシンガー、ショーティ・ロングが1964年に発売した「デヴィル・ウィズ・ザ・ブルー・ドレス」は、全米チャート・トップ100の圏外にちょっと登場しただけで、ほとんど知られることなく消えていきました。

 しかし2年半後の1966年秋、ミッチ・ライダー&デトロイト・ホイールズが「デヴィル・ウィズ・ア・ブルー・ドレス・オン&グッド・ゴリー・ミス・モリー」(「悪魔とモリー」)のメドレーにして大ヒットさせ、この曲が生き返ったわけです。

 ミッチ・ライダーのヴァージョンは素晴らしくドライヴ感のあるもので、リトル・リチャードの曲とくっつけたことにより、この曲の魅力が増したような気がします。

 このオリジナルは、モータウン・レコード内のSOULレーベルから出たもので、ブルースっぽいギター・フレーズ以外のサウンドは、モータウンらしい雰囲気が漂っています。森 勉

<1992年に出たCD4枚組BOXセット『HITSVILLE USA・The Motown Singles Collection 1959-1971』(universal 12469-02)がパッケージが新装され輸入盤で再発。その中に収録されています。>

2009年7月2日(木) Smooth Reunion 「BMPD」

 スウェーデン発! 新世代AORの超新星!

 <スティーリー・ダンの影響を受けた新世代AOR>というと90年代だとサミュエル・バーディー、最近だとタルクというグループがAORファンの間では評価が高く、実際に作品の質も高いのですが、今日発売になった“スムース・リュニオン”というユニットのアルバムは、それらを凌駕するくらい素晴らしい1枚でした。(『クリーニング・アップ・ザ・ビジネス』 PCD-93264 \2,415)

 “スムース・リュニオン”は、ジョセフ・メリンとサミュエル・アンドレというスウェーデン出身の2人によるユニット。なんと彼らは1986年&1987年生まれ! わずか20歳過ぎという若さもさることながら、驚くべきはなんといってもその上質な仕上がり内容です。

 国内盤の帯には“スティーリー・ダンに激似”と書かれており、実際にドナルド・フェイゲン&ウォルター・ベッカーに影響を受けたのは間違いないでしょうが、彼らのサウンドはスティーリー・ダンを更にメロウにさせた雰囲気で、先に挙げたタルクよりもオーガニックでスムースな印象。

 声がほんの少しネッド・ドヒニーに似ているところがあったりするので、ネッド・ドヒニーの1st&『ハード・キャンディー』がお好きな方なら絶対気に入ること間違いなし!本当にオススメです。
 ミディアム・メロウな曲もレア・グルーヴ的なアップ・ナンバーもどちらもツボをおさえた演奏が最高! AOR好きのみならず、最近だとウーター・ヘメルやジェイミー・カラムをお好きな方にも是非聴いてもらいたい絶品の1枚ですね。森 陽馬

2009年7月3日(金) Bruce Cockburn 「Train In The Rain」

 今年発売されたブルース・コバーンのライヴ・アルバム(2009年5月9日にこのコーナーでも取り上げました)に収録されているギター・インスト曲「The End Of All Rivers」に深く感銘を受けたので、調べてみたらこんなアルバムも発表されていました。(輸入CD 『Speechless』 Rounder 11661-3250-2)

 タイトル『SPEECHLESS』通り、カナダの名シンガー・ソングライターであるブルース・コバーンが、今までのキャリアの中で録音したギター・インスト・ナンバーを集めた1枚。
 様々な場所・スタジオ、エンジニアや録音された年代も各曲違うものの、不思議と統一感のある作品集で、彼の個性あるギター・テクニックが存分に味わえる全15曲です。

 梅雨時ということで、今日のこの1曲には「Train In The Rain」。
 93年にニューヨークで録音された楽曲で、Tボーン・バーネットがプロデュース。この曲はアコースティク・ギターのみのアップテンポ・ナンバー。晴れ間が広がる直前の天気雨に似合いそうな1曲。

 ジャズともカントリーとも違う“饒舌に囁くギター”の音色が沁みます。さりげないBGMとしてもオススメ。末永く手元に置きたい愛聴盤となりそうです。森 陽馬

2009年7月4日(土) yusuf (Cat Stevens) 「The Rain」

 東京は心地良い晴れ間が広がりましたが、昨日に続いて“Rain”のつく1曲。

 アーティスト名義は“yusuf”となっていますが、70年代に活躍したあの名シンガー・ソングライター、キャット・スティーヴンスが素晴らしい作品を届けてくれました。(『roadsinger』 island 602527050522)

 70年代後半にイスラム教へ改宗し、音楽活動からは遠ざかっていたようですが、ここ最近はyusef名義で作品を発表。今日紹介するこのアルバム『roadsinger』は、声も楽曲の雰囲気も昔と変わらず、彼のソングライターとしての魅力が凝縮された感動的な内容でした。

 ジャケットにキャンピング・カーと自身がギターを弾いている写真が使われているように、タイトル“roadsinger”通り、“旅”がテーマになっている作品。宗教的な押し付けもほとんどなく、ナッシュビルでも録音されているように、アコースティックを基調にした穏やかなサウンド。

 『父と子』、『ティーザー・アンド・ザ・ファイアーキャット』などがお好きだった方なら絶対のオススメの沁みる1枚です。森 陽馬

2009年7月5日(日) Jess Roden 「Deeper In Love」

 70年代を中心に活動し、アイランド・レコーズから数枚の作品をリリースするも、ヒットに恵まれなかったイギリスのブルーアイドソウル・シンガー、ジェス・ローデン。
 アイランド・レコーズ50周年に合わせて...かどうかは不明ですが、アイランドに残した音源から18曲を収録した彼のキャリア初となるベスト盤『The Best Of JESS RODEN』が、Lemonレコーディングス(Cherry Red CDLEM-126)からリリースされました。

 CDの裏にはレーベルメイトだったポール・ロジャース、ロバート・パーマー、スティーヴ・ウィンウッドなどと並ぶシンガーだ...的な事が書いてありますが、この3人に比べると知名度はグッと低く、残念なほどに昔のアルバムもCDで出たものは現在は廃盤。未CD化のものも沢山あります。
 歌唱力も文句無しなのですが、明確な個性がなかったから?実力があるのに売れないというのは、今も昔も変わらないという事でしょうか。

 選曲は、アラン・トゥーサン、ミーターズがサポートした74年のソロ1st『Jess Roden』から、AORファンからも評価が高いらしい80年の『Stonechaser』までの5枚から。ソロ〜ジェス・ローデン・バンド(全員白人)名義のものが中心です。(ソロ以前、60年代のAlan Bown Set、70年代初頭のBronco、Butts Band、90年代のものは入ってません)

 殆どが自身やバンドメンバーが作った曲ですが、レイ・チャールズの「Lonley Avenue」、テンプテーションズ「Can't Get Next To You」、ランディ・ニューマン作のカバーも収録されています。
 カバーなのか彼の為に書かれた曲なのか調べたところわからなかったのが、Mark James作の「Deeper In Love」(『Stonechaser』収録)という曲です。オージェイズに似たようなタイトルがありますがそれも違いましたし、エルヴィスの「SUSPICIOUS MIND」で有名な同名の作曲家、シンガーその人かどうかも結局わかりませんでしたが、これがストリングスが絡む都会的な雰囲気漂うかっこいい曲なんです。

 ブックレットにはこれまでの経緯が書いてあり、写真も色々載っていて結構充実しています。もっと詳細なクレジットが載ってると尚よかったのですが。このベスト盤もあっという間に無くなりそうなので、せっかくだからアイランドに眠っている未CD化のアルバムも再発して欲しいところ。

 あと余談ですが、ストーンズの「ロックンロール・サーカス」のDVDに彼らしき人が映ってるのを発見した事があります。実際そうなのかはわかりません。
以上、すごくどうでもいい話でした。東尾沙紀

2009年7月6日(月) Daniel Andersson 「In My Mind」

 先日2日に紹介したスウェーデン発の新世代AORユニット“スムース・リュニオン”は、個人的にかなりの大ヒット作品で、店頭でもしょっちゅうかけているのですが、それに次いで気に入っているのがこの1枚。

 こちらもスウェーデン発。1980年生まれの新世代シンガー・ソング・ライター、ダニエル・アンダーソンのデビュー・アルバム『デイズ・イン・LA』。(PCD-93260 \2,415)

 AORとウエスト・コースト・サウンドを合わせた感じのジェイ・グレイドン的ポップ・サウンドで、歌声はビル・チャップリン、もしくはビル・キャントスに似てますね。
 どの曲もちょっぴり切ないメロディ・ラインとフックの効いたサビを持っているので、80'sのシカゴやTOTO、はたまたティモシー・シュミットやデヴィッド・フォスター系ミュージシャンお好きの方なら、一聴してビビッとくることうけあい。

 特に3曲目「In My Mind」は、2007年のベスト5にも選んだローレンス・エルダーを彷彿とさせるような切ないピアノとサビの歌い回しが印象的。久々にツボにはまった1曲です。森 陽馬

2009年7月7日(火) ジョージ・ハリスン 「Blow Away」

 ジョージ・ハリスンの『Let It Roll』というCDが出ました。
 日本タイトルは『オールタイム・ベスト』となっていますが、一般的に言うシングル・コレクションのようなベストとは、ちょっと違う選曲になっています。(TOCP-70790 \2,600)

 CDの背表紙に書いてある『Songs By George Harrison』という大枠の中から選ばれた全19曲。どれもジョージらしい慈愛に満ちた作品ばかりです。

 「ブロー・アウェイ」は1979年2月発表のシングル曲。
 ジョージ独特のスライド・ギターの音がゆったりと心に沁みてくる名曲です。

 色々なことがあったパティと1977年に離婚が成立して、1978年にオリヴィアとの間に初めての子供・ダニーが生まれるという、ジョージにとっては嬉しく明るい話題が、歌詞にも反映されています。
 イヤなモヤモヤ、飛んでいけ・・・。Blow Away Blow Away・・・。森 勉

2009年7月8日(水) EPO 「たったひとつの」

 「ダウンタウン」のカヴァーや「土曜の夜はパラダイス」、「う、ふ、ふ、ふ」、「12月のエイプリル・フール」(コレ名曲!)など、1980年代に活躍した女性シンガー、EPO。
 ここ最近は、ヒーリング/ホスピス系などの活動が中心で、新しい作品はしばらく発表していませんでしたが、久々にNEWアルバム『AQUA NOME』を自主レーベル“eponika Record”よりリリースしました。(XQGR-1001 \3,150)

 美しくも力強い意志が感じられる歌声は健在。
 サウンドは往年のポップ・サウンドとはちょっと違って、アコースティック・ギターとシンプルなストリングスを中心にした音作り。楽曲もスロー・テンポなもので占められ、ゆったりとした穏やかな気持ちで聴ける“癒し”の1枚です。

 オーガニックな自然をテーマにした曲や人間の根源的な“愛”を真摯な姿勢で見つめ直した歌詞には、彼女の生への祈りのようなものも感じられ、やさしい歌声の中にしっかりとその思いが込められています。

 歌や楽曲のタイプは違いますが、大貫妙子さんの『ピュア・アコースティック』がお好きな方におすすめ。笹子重治さんのアコースティック・ギターが彼女の美声を引き立たせているのが印象的です。森 陽馬

2009年7月9日(木) naomi & goro 「Super Boots」

 心地良いブラジリアン・サウンドを奏でる伊藤ゴローさんと布施尚美さんのユニット、naomi&goroが昨年の『Bossa Nova Songbook 1』に続くボサノヴァ・スタンダード集第2弾をリリース。(『Bossa Nova Songbook 2』 RZCM-46215 \3,000)
 
 7枚目となる新作は初のリオデジャネイロ録音で、現地の腕利きのミュージシャンと制作されたアルバム。(坂本龍一と以前ユニットを組んだジャキス・モレレンバウムも1曲ゲスト参加)
 
 お2人のアルバムはアコースティック・ギターのごくシンプルなサウンドというイメージがありましたが、ピアノ、チェロ、フルートなどを交えたジャジーな雰囲気の曲も多く、バックの演奏、goroさんの絶妙なアレンジも楽しめる一枚。naomiさんの歌声も涼しげでとっても素敵です。
 
 選曲はアントニオ・カルロス・ジョビン、マルコス・ヴァーリ、カエターノ・ヴェローゾなどに、一曲だけオリジナル曲「Super Boots」をリアレンジされたものが収録されています。
 
 ボサノヴァは勿論、ジャズなどお好きな方にもオススメの一枚です。東尾沙紀

2009年7月10日(金) ジウリア・イ・ロス・テラリーニ 「バルセロナ」

先日、ウディ・アレン監督の新作映画『それでも恋するバルセロナ』を鑑賞。

 ここ最近は、今ひとつ恋愛映画を見る気にならなくて敬遠していたのですが、これはホント、楽しんで見ることができましたね。ウディ・アレンらしい面白い“バルセロナ恋愛道中”で、役者たちも楽しんで演じているのが伝わってくる映画でした。(メディア的には、ペネロペ・クルス&スカーレット・ヨハンセン中心にプロモーションされていますが、プレイボーイ役のハビエル・バルデム、堅物女役のレベッカ・ホールが良かったですね)

 バルセロナが舞台ということもあって、音楽はスペインのバンドと、スパニッシュ・ギターが中心。主題歌となっている「バルセロナ」は、イタリア出身の女性アコーディオン奏者、ジウリア・テラリーニを中心とした“ジウリア・イ・ロス・テラリーニ”という最近のグループの曲。

 そのバンドの関係者が、ウディ・アレンがバルセロナを舞台に映画を撮りに来ている、というのを知り、ウディが泊まっているホテルのドア前にCDを置いていって、それをウディが気に入り主題歌に抜擢された、とのこと。(何事も積極的にプロモーションする、ということは大事ですね。ちょっとジプシーっぽい雰囲気もあるので、そこにウディは惹かれたのかも)

 なお、映画内に登場した、男性が女性を口説くために連れて行った夜の野外スパニッシュ・ギター演奏の曲も収録。実際に映画でも演奏していたエミリオ・デ・ベニートによる「グラナダ」というナンバーで、なかなかにロマンチックで甘いスパニッシュ・ギターの音色です。森 陽馬

★サントラ国内盤は各楽曲の日本語解説付(UCCT-2074 \2,500)。

2009年7月11日(土) ブルース・スプリングスティーン 「ザ・レスラー」

 プロレス・ファンの間で話題の映画『レスラー』も先日鑑賞。
 ミッキー・ロークが気合の入った演技で悲哀に満ちたベテラン・プロレスラーを好演。独特な感性で見るものを惹きつけるダーレン・アノロフスキー監督(『π』、『レクイエム・フォー・ドリーム』など)による臨場感あふれる映像も、プロレスの迫力を見事映画に表していました。

 主題歌はブルース・スプリングスティーンが歌っていますが、低予算映画だったため、ミッキー・ローク自らがブルースに手紙を出し、ノーギャラで主題歌を書き下ろしてもらったとのこと。映画のストーリに準じた歌詞と武骨なブルースの歌声がラスト〜エンドロールのBGMにぴったりと合っています。

 たしかに“映画”としてとても面白くて、“プロレスというエンターテイメント”の本質的な部分も描かれており、ミッキー・ロークの復活劇と合わせてよくできた映画だとは思うのですが、約1ヶ月前プロレスラーの三沢光晴がリング上で亡くなる事故があった後だけに、やや複雑な後味も残りました。

 プロレスの裏側ではこんな苦労がある、という意味合いもありプロレス初心者の人には観て欲しいな、と思う反面、生死を懸けてリングに上がるプロレスラーの体調管理や引退後の保障問題などを考えさせられるストーリーでもありました。

 余談ですが、映画『オンリー・ユー』、『忘れられない人』など学生時代に観て好きだった女優マリサ・トメイが、もう40過ぎなのにストリッパー役で大胆なヌード&踊りを披露。美しい肢体ではありましたが、個人的にちょっとショッキングでしたね。森 陽馬

★ブルース・スプリングスティーンが今年1月に発表した新作『ワーキング・オン・ア・ドリーム』(SICP-2136 \2,520)に収録。

2009年7月12日(日) フランソワ・ド・ルーベ 『冒険者たち』サントラより

想い出の名画の中でも、特に印象深い映画が『冒険者たち』です。

 ロベール・アンリコ監督による1967年フランス作品。
日本でも1967年に公開され、高校生の僕を大いに刺激してくれました。

 出演はアラン・ドロン、リノ・ヴァンチュラ、そしてこの映画を観た男どもがみんな惚れてしまったジョアンナ・シムカス。スレンダーなボディにさりげないロングヘアーが本当に素敵でした。

 音楽もフランス映画らしい味わいを感じさせてくれるもので、品のあるメロディとアレンジがぴったり画面にハマっています。
 「航海日誌」は鋭いタッチのピアノと哀愁を感じる口笛が交互に出てくる、“冒険者のテーマ”とも言うべき曲。
 「愛しのレティシア」はアラン・ドロン自身のヴォーカルが聴ける曲で、フランス公開時は映画の中で使用されませんでしたが、日本公開時はエンド・タイトルのバックに流されていたそうです。

 サントラを聴いていると、映画の場面が頭の中にフラッシュ・バックしてきます。前半に書いたレティシア役のジョアンナ・シムカスも魅力的でしたが、アランとリノが演じたマヌーとローランの男の友情の描き方も忘れられない映画です。森 勉

★サントラ盤が国内盤で発売。(『サムライ』/『冒険者たち』サウンド・トラック UCCM-4095 \2,200)

2009年7月13日(月) 今 剛 「Mandolin Dream '09」

 最近うちの店で、ひそかに売れ続けている人気盤がこの1枚。

 1980年代に林立夫、松原正樹などと共に活動していた名フュージョン・グループ、“パラシュート”のメンバーであり、その後も井上陽水、角松敏生、矢沢永吉、宇多田ヒカルなど、数多くの作品にセッション・ギタリストとして活躍してきた名ギタリスト、今剛(コンツヨシ、と読みます)が29年ぶり(!)となるソロ・アルバム『2nd ALBUM』を発売。(IOCA-20284 \3,150)

 雄大なイメージを感じさせるギター・フュージョン曲から、寺尾聡が歌うボズ・スキャッグス「Sierra」のカヴァー、アコースティック・インストなど様々なタイプの楽曲が収められていますが、全体的に“大人なギター・アルバム”に仕上がっています。
 ブックレットには、各曲に使用したギター/ベースが写真付、及び機材の解説まで付いていて、ギター・マニアの方なら必聴、必読の作品ですね。

 4曲収められているボーカル曲(笠原弘子、マーク・キャス)も良いですが、個人的に気に入ったのは9曲目のマンドリンを中心にした1曲。
 この曲では今剛がマンドリン&ギターの多重録音だけでなく、ベースとキーボードも自ら弾いています。山木秀夫によるドラミングもクールでNice!他の楽曲では井上鑑(key)、森俊之(key)、高水健司(B)なども参加しています。森 陽馬

2009年7月14日(火) BABADU 「Words To A Song」

 ここ数日の東京は30度越えの真夏のような陽気。
 暑くなってくるとやっぱりハワイものが聴きたくなりますね。ということで、今日のこの1枚は、ハワイ・ポップス/AORの隠れた名盤をご紹介。

 BABADU(ババドゥ)はハワイ・オアフ島出身のシンガーで、このアルバム『Babadu!』は1979年にリリースされた作品。オリジナルのLPはオークションで10万円以上(!)という超高値だったそうですが、この度セレスト・レーベルから正規CD化されました。(CMYK-6227 \2,415)

 僕は今回初めて聴きましたが、心地良いメロウ・グルーヴが最高にゴキゲンな1枚で、それもそのはず。カラパナのキーボード奏者でありレムリアを手掛けたカーク・トンプソンがプロデュースを担当。
 “マッキー・フェアリーとスティーヴィー・ワンダーの融合”とも評されているようですが、まさにその通りで、マッキー・フェアリーをもっとソウルフルにした雰囲気のサウンドです。

 オススメの2曲目「Words To A Song」は、ハワイ出身ロック・ポップス・バンド、カントリー・コンフォートに在籍していたビリー・カウイ作、極上・爽快なAORポップ・ナンバー。
 同じくハワイ・ポップの隠れ人気盤、テンダー・リーフお好きだった方、カラパナやセシリオ&カポノお好きな方なら絶対に気に入ること間違いなし!の1枚です。森 陽馬

2009年7月15日(水) サイモン&ガーファンクル 「ボクサー」

 サイモン&ガーファンクル、日本武道館公演を観てきました。

 いやーー、感動しました!予想以上に良かったですね。
 今年で68歳になる2人の歌声は、さすがに絶頂期のような澄んだ高い声ではないものの、年輪を重ねた深みのある歌声で、切ない旋律の楽曲により馴染んできているよう。僕はかえって、70歳に近づいた2人のその“今の歌声”に心動かされましたね。

 バック演奏は、思ったより大所帯で総勢10名。リズム隊(ドラム、ベース)が黒人で、アコーディオン、数曲ギター参加する人も黒人。スティーヴ・ガッドなどが参加していた頃のバンドに比べると演奏力的にやや落ちる印象もありましたが、各楽曲アレンジを変えて演奏するなど工夫も少し感じられました。

 まだ札幌ドーム公演が残っているのでネタバレはしちゃいけないのかもしれませんが、1曲だけ紹介しちゃいましょう。
 ♪ライラ・ライ♪という歌詞が印象的な名曲「ボクサー」。この曲の間奏部分で、なんと!テルミン・ソロがあるのです。
 ペダル・スティールの音かな、と思ったら、大画面ヴィジョンにテルミンを弾いている映像が映し出されて、どよめきと拍手がおきました。テルミンはこの曲しか登場しないのですが、「ボクサー」でテルミンを使う、というのが意外だけれど面白かったです。

 ということで、北海道お住まいの方。武道館は2万円でも安い、と思えるくらい素晴らしかったので、札幌公演絶対見に行った方がよいですよ。森 陽馬

★掲載ジャケットは先日発売になった1969年(40年前!)の未発表ライヴCD。(『ライヴ1969』 SICP-2249 \2,520)

2009年7月16日(木) 村田 和人 「ビートルズを聴いてはいけません」 

 東京は梅雨も明け、カンカン照りの毎日が続いています。
 夏到来ということで、夏男!村田和人の新作が出ました。(『ずーーっと、夏』 UPCH-20161 \3,000)

 昨年の『ナウ・レコーディング』は、アマチュア時代に書いてあった未発表曲を今の村田が歌ったら、というコンセプトの新作でしたが、今回は完全な新曲によるニュー・アルバムなのです。どの曲も村田カラーたっぷりで、昔からのファンの一人としても大満足の1枚に仕上がっています。

 2曲目に入っている「ビートルズを聴いてはいけません」は田口俊作詞による我々の世代には実感のあるテーマが歌われています。
 ビートルズが来日して武道館でコンサートを行なった1966年、学校ではビートルズが好きだと<不良>扱いを受けたりしたものでした。実際僕の学校でも、「ビートルズのコンサートに行く者は手をあげろ」と名簿にチェックを入れられたりしたことがありましたし、髪が少し耳にかかる長さだったり、ズボンの裾がちょっと細いというだけで、職員室に呼ばれたりもしました。

 そんな興味深い歌詞の内容を村田メロディーにのせて、素晴らしいノドを聴かせてくれる曲なのです。森 勉

2009年7月17日(金) 東京ローカル・ホンク 「お手紙」

 佐野元春がDJを務めるラジオ番組『元春レイディオショー』。(NHK-FM 毎週火曜 23時〜24時)
 7月14日の放送でなんと!我らが東京ローカル・ホンクの曲「お手紙」がかかりました! それも<国内アーティスト・リクエスト特集>にて、佐野元春さんご本人のリクエスト曲としてオンエア! いやーーー、うれしいですね。

 “佐野さんがホンクの作品をすごく気に入っているらしい”という噂は聞いていたのですが、自らが選曲・構成するラジオ番組で、はっぴいえんどや伊藤銀次などと共に紹介してもらえるなんて! これがきっかけで、色々な音楽ファンの方にホンクの音楽を聴いてもらえたらいいなあ。

 ちなみに佐野さんにかけていただいた曲「お手紙」は、オリジナル・ヴァージョンとしては2005年に発表したアルバム『東京ローカル・ホンク』(MONA-8 \2,500)の1曲目に収録されていますが、彼らのライヴでも定番の1曲で、昨年末に発表したライヴ・アルバム『クワイエット・ロックンロールの世界』(MR-002 \2,100)にライヴ・ヴァージョンが収録。

 特にライヴでは、サビの歌詞部分♪おーーーい、君は元気かい?♪のコーラスに毎度感動させられてしまうキラーチューンなのです。森 陽馬

★来週21日(火)、午前10時〜11時に再放送があります。

2009年7月18日(土) パオロ・ヌティーニ 「Chamber Music」

 18歳の時にアトランティックと契約、2年ぶりに新作『Sunny Side Up』(WPCR-13510 \2,580)をリリースしたスコットランド出身のシンガー、パオロ・ヌティーニ。

 まだ20歳という年齢と、アイドル的な容姿に似合わないちょっと枯れた歌声は、新作では一層渋さが増し、また楽曲も、甘さやポップ感が抜けて、グッとシンガーソングライター色が強くなった感じです。

 リコ・ロドリゲスが参加した陽気なスカ・ナンバーや、ホーン・アレンジされたソウルフルな曲、フォーク、カントリー、ライブの賑やかさをそのまま詰め込んだような楽曲等々。曲は全て彼のペンによるものです。
 そして今作で彼を全面的にバックアップしているのが、ジェイホークス、レイ・ラモンターニュなどのプロデュースで知られるイーサン・ジョーンズ。ミックスを手掛ける他、様々な楽器で参加しています。
 
 今日の一曲は、前半ボブ・ディランぽい弾き語りから、1分を越えたところで歌が終わり、アコーディオン、ティンホイッスルなどが郷愁を誘うメロディを奏でる「Chamber Music」。

 彼は昨年に続き、サマーソニックでコステロなどと同じステージに出演が決まっています。今回は''太陽''の下ではありませんが、行かれる方で何を観ようかまだ迷っている方は是非! とってもかっこいいライブが観られると思いますよ。東尾沙紀

2009年7月19日(日) Antonio Carlos Jobim 「Double Rainbow」

 今日夕方18時過ぎ、東京の空では虹が見えました。個人的にも35年生きてきてこんなに7色クッキリと見えた虹は初めて!というくらい綺麗に見えましたね。(それも二つ並んで!) 

 “レインボー”、“虹”のつく曲で今日のこの1曲を・・・、と思い、色々と考えました。
・佐野元春 「レインボー・イン・マイ・ソウル」
・カーペンターズ 「レインボウ・コネクション」
・アメリカ 「レインボー・ソング」
・デニス・ウィルソン 「Rainbows」
・高野寛 「虹の都へ」
・中村晃子 「虹色の湖」 (これは渋い)
大定番曲「オーヴァー・ザ・レインボウ」も含め、思ったより“虹”がテーマになっている曲ってたくさんありますね。(なかなか見ることができない虹に自らの叶わぬ想いを重ね合わせる、ということかな?)

 さて、珍しく二つ見れたので今日は「ダブル・レインボー」という曲を。
「イパネマの娘」などボサノヴァの名曲を多数手掛けたブラジルの名作曲家/ピアニスト、アントニオ・カルロス・ジョビンの曲で、1980年発表『Terra Brasilis』という作品に収録されている楽曲。穏やかなストリングスと繊細なジョビンのピアノが心地良いインストです。

 皆さんオススメの“虹”曲、是非色々と教えてください。森 陽馬

★掲載ジャケットは、「ダブル・レインボー」が収録されているサバービアの橋本徹氏が選曲・監修したジョビンのコンピCD『ジョビン・フォー・カフェ・アプレミディ』(UICY-1382 \2,500)。

2009年7月20日(月) Tina Mason 「Any Way That You Want Me」

 ACEレーベルからの大好評ソングライター・シリーズ、新しいCDが出ました。今回は“チップ・テイラー”。(『ワイルド・シング〜ソングス・オブ・チップ・テイラー』 国内仕様CD MSIG-593 \3,150)

 キャロル・キング、バリーマン、エリー・グリニッチなどに比べると知名度では負けますが、曲の質はどれも高くいい曲が満載です。
 チップ・テイラーで一番有名な曲というと、このコンピのタイトルにもなっている「ワイルド・シング」でしょうか。トロッグスが1966年全米No.1に押し上げたあの曲です。チップ・テイラーの名を一躍有名にしたなんとも刺激的な曲ですが、今日の1曲には別の曲を取り上げたいと思います。

 “ティナ・メイソン”なんて、まったくの初耳ですが、曲はリヴァプール・ファイヴ、トロッグス、アメリカン・ブリード、イーヴィ・サンズなども歌っている「エニイ・ウェイ・ザット・ユー・ウォント・ミー」。こんな人も歌っていたんだ、というレアなシングルをチョイスしてくれました。さすがはACEレーベル。

 ブックレットにはチップ・テイラーへのインタビューを基にした詳細な曲解説(日本語対訳付)が付いているので、勉強にもなりますし、曲のイメージがふくらんで、よりこのCDを楽しめます。

 全25曲の収録曲でよく知っている曲は、「ワイルド・シング」(トロッグス)、「アイ・キャント・レット・ゴー」(イーヴィ・サンズ)、「エンジェル・イン・ザ・モーニング」(メリリー・ラッシュ)ぐらいしかなかったのですが、チップ・テイラーの隠れた名曲を多く知ることができたうれしい1枚となりました。
 ちなみにジャケット写真の右側がチップ・テイラーです。(左側はアル・ゴルゴーニ) 森 勉

2009年7月21日(火) George Harrison 「What Is Life」(美しき人生) 

 早いもので、サイモン&ガーファンクル武道館公演を見に行ってから1週間経ちましたが、余韻がまだ残っています。

 2005年に発売されたサイモン&ガーファンクルの2003年ライヴ・ツアー映像『オールド・フレンズ:ライヴ・オン・ステージ』(SIBP-50 \4,935)と同じような選曲・流れ。中間にエヴァリー・ブラザーズに影響を受けたというMCをはさんで「ビー・バップ・ア・ルーラ」をバック演奏も交えてやったり、「ミセス・ロビンソン」から切れ間なく「ノット・フェイド・アウェイ」になだれ込んだり、と、ただ単に人気曲を演奏するだけでなく、遊び心も組み込まれていて良かったですね。(各々のソロ・コーナーも短いながらありました)

 あと、「スカボロー・フェア」の中間部分にチェロのソロがあったのも印象的でした。チェロの響きが彼らの切ない楽曲とうまくマッチしていました。

 他にも感動した曲はたくさんありましたが、個人的に強く印象に残っているのが、コンサート終了後、場内でかかったこの曲。ジョージ・ハリスン「What Is Life」(邦題:美しき人生)。
 意外?な選曲でしたが、“コンサートを見終わった後、御年を召された老夫婦が微笑みながら帰宅の途につく”、というシチュエーションにピッタリでしたね。本編ももちろんですが、終演後の場内音楽も重要だな、と感じた1曲でした。森 陽馬

2009年7月22日(水) JAY & THE AMERICANS 「Cara, Mia」

 ジェイ&アメリカンズの『The Complete United Artists Singles』という全66曲入り、3枚組のCDが出ました。(Collector's Choice CCM-2036)

 全盛期の1960年代(くわしくは1961〜71年)に所属していた“ユナイテッド・アーティスト”レーベルでのシングルA・B面をすべて収録した、60'sアメリカン・ポップス・ファンにはありがたい編集です。ファンは<コンプリート>という言葉に弱いものなんですね。

 フィル・スペクター絡みの貴重なプロモーション音源「Things Are Changing」をはじめ、リーバー&ストーラー、エリー・グリニッチ、ヴァン・マッコイ、バリー・マン、バート・バカラック、ボイス&ハート、アンダース&ポンシアなど、アメリカン・ソングライターの佳曲がたっぷり聴けるという点でも、価値あるベストCDだと思います。

 僕が彼らの曲の中で一番好きな曲は、この「カラ・ミア」。
 なんといっても、リード・ヴォーカルのジェイ・ブラックの声量に圧倒されます。いつか山下達郎にカヴァーしてもらいたいなー、と密かに思っているのですが・・・。森 勉

2009年7月23日(木)友部正人 feat 東京ローカル・ホンク 「気球に乗って」

 明日からフジ・ロック開催、ということで今頃前夜祭をやっている頃でしょうか? 今年は興味深い出演者が多く、僕も見に行くことを検討しましたが結局不参加。行かれる方は是非存分に楽しんできてください。

 さて、野外フェスといえば、まだかなり先ですが“京浜ロック・フェスティバル”の開催も発表されました。<10月12日(月・祝日)、川崎の辺境にある東扇島東公園にて行なわれます。>
 アクセスは不便ですが、久保田麻琴さんが総合プロデュースのフェスということで、細野晴臣、あがた森魚、鈴木慶一、オレンジ・カウンティ・ブラザーズ、友部正人、そして東京ローカル・ホンクも出演予定。“大人のロック・フェス”といった趣きになりそうなので、興味ある方は是非チェックを。

 さて、その京浜ロック・フェスにも出演予定の友部正人さんが、THE BOOMのカヴァー・アルバム『BOOMANIA』(VFCV-44 2CD全22曲 \3,500)に参加していました。

 奥田民生、絢香、キマグレン、モンゴル800、BEGIN、スカパラなどの人気メジャー・アーティストに混じって、渋い歌声&ハーモニカを披露していますが、そのバックを務めているのが、なんと!東京ローカル・ホンク。 まさに“ボブ・ディランのバックをやっているザ・バンド”といった雰囲気の演奏で見事にハマっています。(マスタリングはあの吉野金次さんが担当)

 友部さんの新作アルバムは、全体的にこの曲のこういう雰囲気で1枚作ってもらいたいですね。森 陽馬

2009年7月24日(金) Bill Evans 「Polka Dots And Moonbeams」

 もう2日前の話になってしまいますが、皆さんは皆既日食、ご覧になれたでしょうか? (東京は朝から曇り空でしたが、一時見ることができたようですね。僕は見逃してしまいましたが・・・)

 当店のお客様でも、新婚旅行で奄美大島へ見に行かれた方や、上海まで遠征された方もいらっしゃいましたが、見れたor見れなかった、ということよりも、この記念すべき年に立ち会えたということ、そして太陽&月を含む宇宙の神秘を改めて実感できただけでも良かったのだと思います。
 次に日本で皆既日食を見れるのは26年後の2035年9月。その時も元気で空を見上げられるといいですね。

 さて、“日食”ではないのですが、今日は“月の光”でこの1枚。
 ビル・エヴァンスというと、名ジャズ・ピアニストとして1961年発表の名作『ワルツ・フォー・デビイ』が有名ですが、翌年1962年に発表されたこの『Moon Beams』(UCCO-9067 \1,100)もオススメのアルバムです。

 それまでの彼の名作に関わってきたベーシスト、スコット・ラファロが事故で亡くなり、新たにチャック・イスラエルという人を迎えて制作された作品で、全体的に静かなバラード曲中心。落ち着いたトーンながらどことなく切ないフレーズが印象的なジャズ・ピアノ・アルバムで、一般的にはあまり語られることがありませんが、ジャズに詳しくない方でも聴きやすい素敵な1枚です。

 ちなみに、ジャケット写真の女性は、“ヴェルヴェット・アンダーグラウンド&ニコ”のあの“ニコ”。歌手デビューする前、モデル時代の麗しい表情が魅力的です。森 陽馬

2009年7月25日(土) マシュー・スウィート&スザンナ・ホフス 「BELL BOTTOM BLUES」

 前回好評だったマシュー・スウィート&スザンナ・ホフス(元バングルス)のカバーアルバム第2弾が、約3年ぶりにリリースされました。(『Under The Cover Vol.2』 shout 826663-11306)
 
 前回はビーチ・ボーイズ、ビートルズなど60年代中心の選曲でしたが、今回はグレイトフル・デッドに始まり、ラズベリーズ、リトル・フィート、ブレッド、トッド・ラングレン2曲、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ、ロッド・スチュワートなど70年代の楽曲をカバー。
 
 中でもデレク&ザ・ドミノスの「Bell Bottom Blues」。
 この曲を、スザンナのメイン・ヴォーカルで聴けるのが良いですね。演奏もオリジナルに忠実です。彼女が歌うカーリー・サイモンの「うつろな愛」も良いです。
 
 そしてご本人登場!的に、フリートウッド・マックの曲にはリンジー・バッキンガム、イエスにスティーヴ・ハウ、そしてジョージ・ハリスンの曲には息子のダーニが。それぞれギターで参加しています。
 
 今回は今のところ国内盤が出る予定は無さそうです。次回作は80's?? 気長に待ちましょう。東尾沙紀

2009年7月26日(日) NITEFLYTE 「If You Want It」

 AORの要素を含んだソウル・ミュージックを“アーバン・ソウル”と呼んだりしますが、このナイトフライトはその代表といえるグループではないでしょうか。
 ジャケットはテクノのアルバムのようですが、内容はポップで洗練されたライト・ソウル・フィーリングでいっぱいです。(『ナイトフライト』紙ジャケ BVCM-35277 \2,310 通常プラケースBVCP-7435 \1,835)

 曲作り、アレンジ、ギター、ヴォーカルのサンディ・トレノとリード・ヴォーカルのハワード・ジョンソンの二人で、“ナイトフライト”ですが、このアルバムのバックにはデヴィッド・サンボーン、ランディ&マイケル・ブレッカー、スティーヴ・フェローン、ハーミッシュ・スチュアートなどが参加して、なんとも気持ちの良いシャキッとしたサウンドを聴かせてくれます。

 2曲目に入っているこの「イフ・ユー・ウォント・イット」は1979年のヒット曲。
 イントロのギターに聴き覚えのある方は、タツロー・ファン!?

 山下達郎がこのイントロをよりグレード・アップさせて、スピード感を出しタイトに改良したのが、「スパークル」のイントロになりました。
 2ndアルバム『ナイトフライトU』もオススメです。森 勉

2009年7月27日(月) 45 a.k.a. SWING-O feat Stephanie McKay 「I Believe」

 ここ最近は夏の蒸し暑さもあってか、ソウルものでビビッとくるものが少なかったのですが、今日のこの1曲は聴いた瞬間、これは名曲!と興奮するほどグッとくるイイ曲で、店内でも自宅でも何度も聴き返しているほど気に入っているナンバーです。

 AI、Bird、Kyoto Jazz Massiveなど日本R&B、CLUB MUSICの多方面でプロデューサー/キーボード奏者として活躍しているSWING-O(スウィンゴ)によるユニット、“45”。(『The Revenge Of Soul』 XQDU-1005 \2,625)
 “古き良き45回転のアナログ的ソウル・ミュージックを現代に蘇えさせる”というコンセプトから名付けられたそうですが、その2曲目に収録されているこの「I Believe」はまさに70'sメロウ・ソウル/レア・グルーヴ的アレンジと現代的なポップ・センスが見事に結実している素晴らしい1曲。

 Stephanie McKayの程よい甘さもあるソウルフルな歌声も良いのですが、なんといってもイントロのピアノ&サビのメロディー! ソウル・クラシックのカヴァーかと思わせるようなキャッチーなサビは、フリーソウル/70's好きの方なら一度聴けば耳から離れなくこと必至です。

 なお4曲目には“21世紀のオーティス・レディング”として評判の黒人ソウル・シンガー、ライアン・ショウも参加。日本R&Bファンだけでなく、ソウル・ファン、CLUB MUSIC好きの方も要チェックの1枚ですね。森 陽馬

2009年7月28日(火) ROOT SOUL 「It's The Way」 feat Vanessa Freeman

 昨日紹介した“45”の楽曲にも参加しているベーシスト池田憲一によるユニット、“ROOT SOUL”。今まで沖野修也によるKyoto Jazz Massiveの作品やコンピにも参加していましたが、この度“ROOT SOUL”名義のアルバムが先日発表になりました。(『ROOT SOUL』 GNCL-1214 \2,625)

 ベース・ラインを強調した黒人的ダンス・ビートとCLUB MUSICの要素、ソウルフルなヴォーカルやファンキーなホーンもフィーチャーされたサウンドは、45とはまた違って刺激的な“新世代CLUB SOUL”を感じさせてくれます。

 全体的にドラムは打ち込み中心で、アッパーなリズム/ビートが多いのでCLUB MUSIC向きな面もありますが、弾むベース・ライン&カッティング・ギターのメロディーがゴキゲンな2曲目「Sky High」、ヴァネッサ・フリーマンのソウルフルな歌声がかっこいい3曲目「It's The Way」などは、新世代ジャズ・ファンク好きの方にも是非聴いてもらいたいナンバーですね。

 なお沖野修也DJ20周年記念の大イベント、“Tokyo Crossover Jazz Festival 2009”(9月11日新木場ageHa)に、SOIL&"PIMP"SESSIONSやクオシモードと共に、ROOT SOULもライヴ出演予定。
 一般的な知名度はありませんが、“ROOT SOUL”自体は日本産ソウルの新旗手として、またこの作品は新世代CLUBソウルの名盤として語り継がれることになりそうです。森 陽馬

2009年7月29日(水) グレン・ティルブルック&スティーヴ・ナイーヴ・バンド 「(What's So Funny'Bout) Peace,Love&Understanding」

 フジロック最終日に出演したスティーヴ・ナイーヴ・バンド(エルヴィス・コステロと長く活動している元アトラクションズのキーボーディスト)に参加する予定だったスティングの息子の代打として出演したグレンティルブルック。
 次の日に1日だけ彼の単独公演があったので行ってきました。

 当初一人でのパフォーマンスの予定でしたが、ステージを見るとピアノやドラム、ベースが置いてあり、もしや?と思ったら2部にはスティーヴ・ナイーヴと若いバンド・メンバー2人が登場し、共にスティーヴの曲を演奏したり、スクイーズ、グレンの新作からの曲も演奏され、嬉しいサプライズとなりました。

 今年リリースされたグレンの新作『Pandemonium Ensues』(6月13日にこのコーナーでも取り上げました)からの曲は意外と少なく残念でしたが、終盤には僕達も大好きな曲だと「(What So Funny Bout) Peace,Love &Understanding」を演奏してくれ、スティーヴが時折腰を上げピョンピョンとリズムに乗りながらピアノを弾く姿にも感激しました。

 ジャケットはエルヴィス・コステロ&アトラクションズの『Armed Forces』。(UICY-60089 \1,600 ボーナストラックとして収録されています) 東尾沙紀

2009年7月30日(木) Quantic And His Combo Barbaro 「New Morning」

 新世代ジャズ・ファンク/ブレイク・ビーツお好きの方なら、名前だけでも耳にしたことがあると思われるQUANTIC(クァンティック)ことウィル・ホランド。
 2003年にQuantic Soul Orchestra名義で発表した『Stampede』は、生音と打ち込みが絶妙に融合したファンキー名作として、CLUB MUSICファンのみならずレア・ファンク・マニアからも絶賛された彼ですが、2007年から南米コロンビアのカリに移り住み、その影響もあってここ最近の作品はラテン・南米色の強いサウンドになってきています。

 先日発売された彼の“QUANTIC And His Combo Barbaro”名義による新作『Tradition In Transition』(BRC-235 \2,200)は、まさにその南米色が強く押し出された内容で、極上の“ワールド・ミュージック・グルーヴ”を感じさせてくれる素晴らしい出来でした。

 ラテン風味な演奏・楽曲ではありますが、アルバム全体を通して躍動感に満ち溢れていて、音楽ジャンルを飛び越えてかっこいい仕上がり。さすが、QUANTIC! 単なるラテン・アルバムではなく、絶妙なスパイスが散りばめられたクールな1枚です。

 特に聴きものが、G「New Morning」。
 キティ・ウィンターの大人気キラーチューンをラテン・ファンク調な味付けでカヴァー! 時折楽曲の合間に挟み込まれる“ハンドクラッピング・ブレイク”(CLUB DJに大人気)の部分は活かしつつ、南米的なホーンやパーカッションを効果的に使用しています。

 ちょっとシャレたグルーヴ感あるワールド・ミュージックを探している方に大推薦の1枚ですね。森 陽馬

2009年7月31日(金) The Soultwisters 「Clyde」

 今年はフジロックに行けず残念でしたが、そのかわり先週休みの日に、ベイカー・ブラザーズ来日公演を見に行ってきました。

 ベイカー・ブラザーズが今年3月に発表したカヴァー・アルバム(『AVID SOUNDS』 TOCP-70707 \2,800 3/28のこのコーナーでも取り上げました)は、今までの彼らの作品よりヴォーカル入りの曲が多かったものの、アレンジ&センスの良さもあって、クールなファンクを聴かせるかっこいいアルバムでしたが、ライヴでは彼ら本来の荒々しいファンク熱も加わって、更に素晴らしい演奏を披露してくれました。
 オラケスタ・デ・ラ・ルスのパーカッショニストなど多方面で活躍しているゲンタさんも全面参加し、更にSLEEP WALKERの中村雅人、PE'Zのメンバーやbirdなどもゲスト参加!会場も凄い盛り上がりでしたね。(前座のクオシモードも短いながら良いステージでした)

 このベイカー・ブラザーズがイギリス出身なのを筆頭に、新世代ジャズ・ファンク界はアメリカよりもヨーロッパのバンドがすごく充実していて、今日紹介するソウル・トゥイスターズも北欧フィンランド出身のグループ。(『SOUL IS HOT』 PCD-93263 \2,415)

 最近のバンドながら、キング・カーティス『ライヴ・アット・フィルモア』を彷彿とさせるような、昔っぽい雰囲気の音&楽曲が多く、まさにそのキング・カーティスの名曲「Memphis Soul Stew」のアンサー・ソングともとれる「Soul Is Hot」や、彼に捧げた「Waltz For King」など、サックスをメインにした60〜70'sファンクを現代的に聴かせてくれます。

 その中で一番グルーヴィーなのがC「クライド」。
 ジェームス・ブラウン・バンドに在籍していた名ドラマー、クライド・スタブルフィールドに捧げられた1曲で、JBマナーな活気あるファンクがNICE! サックス好きの方にオススメしたいかっこいい1枚ですね。森 陽馬






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