PET SOUNDS RECORD
今日のこの1曲 アーカイヴス


  今日のこの1曲 “Achives”

<2009月9月>

当店ペット・サウンズ・レコード店にて、
その日に店内でかけていた曲の中から、
店員の独断と偏見で選んだ“今日のこの1曲”コーナー

2009年9月に更新した“今日のこの1曲”コーナー。
廃盤・生産中止、規格番号の変更など、
情報が古くなっている商品もございますが、ご了承くださいませ。


<最新の“今日のこの1曲”はこちらのページをご覧ください>


2009年9月1日(火) Kate Taylor 「Fair Time」

 台風一過で今日は暑くなるな、と思いきや、9月に入ったせいか東京は過ごしやすい陽気でした。近くにある小山台高校からは秋恒例・運動会応援練習が聞こえてきて、穏やかな秋風と共に夏の終わりを感じさせます。

 そんな秋のBGMとして今年ヘビー・ローテーションとなりそうなのがこの1枚。ジェイムス・テイラー、リヴィングストン・テイラーを兄弟に持つ女性シンガー・ソングライター、ケイト・テイラー久々の新作『Fair Time!』。(輸入盤 \2,400)

 一般的な知名度は兄ジェイムスよりありませんし、このCDもいかにも自主制作といった作りの装丁ではありますが、内容はアメリカン・ルーツ・サウンドと彼女の歌心が見事にかみあっていて、すごく良いアルバムですね。

 音の雰囲気も全体的に良い感じで、すぐ目の前でライヴをやってくれているかのような臨場感あるスタジオ録音。バックの演奏もアコースティックを基調したカントリー・ポップ調でとても聴きやすいです。

 特にタイトル曲D「Fair Time」。夏の“Fair Time”(催し&お祭り的なフェア)での思い出を穏やかなカントリー・バラッドで聴かせる沁みる1曲。
 他にも、故郷キャロライナで兄弟と共に過ごした回想が歌に込められたE「Sun Did Shine (on Carolina)」、リトル・フィート的A「Things i Carry」、宇宙飛行士のことを歌ったと思われるK「Cholene」などイイ曲が多くてオススメです。森 陽馬

2009年9月2日(水) Peter Gallway 「JT & The Stranger」

 昨日ケイト・テイラーを紹介したので、今日はジェイムス・テイラーに繋がりがある1曲をピックアップ。

 ジョン・リンドと組んでいた伝説の名バンド、“フィフス・アヴェニュー・バンド”、そして70'sアメリカン・シンガー・ソングライター・ファンの間でも人気の高い“オハイオ・ノックス”を経て、現在はソロで活動しているピーター・ゴールウェイの新作アルバムが日本語解説付の国内仕様で発売。(『Freedom Is』 ATOZ-1 \2,625)。

 2007年発表の前作『Rhythm & Blues』(2007年5月11日にこのコーナでも取り上げました)は、バックの演奏が基本的にラリー・ジョン・マクナリーによるギターのみで、シンプルな音作りでしたが、今作はリズム隊も少し入ったバンド・サウンド。しかしながら一時期の消化不良な音ではなく、程よいシンガー・ソングライター的な隙間のあるものなので、彼の変わらない味わい深い歌声が生かされた作品に仕上がっています。

 全曲彼のオリジナルですが、3曲目に「JT & The Stranger」というタイトルの曲が収録。
 ニューヨークはロングアイランド出身のピーター・ゴールウェイはフィフス・アヴェニュー・バンドを結成する前、グリニッジ・ヴィレッジに移り住み、そこでストレンジャーズというグループ名で活動。その時ラヴィン・スプーンフルのジョン・セバスチャンやジェイムス・テイラー等とも交流があり、この曲はその時の回想が元になっているようです。

 全体的に落ち着いた雰囲気のアルバム。ベテラン・シンガー・ソングライター・ファンは要チェックの1枚ですね。森 陽馬

2009年9月3日(木) ジャン&ディーン 「ノルウェイの森」

 ビートルズのリマスター盤発売日、20009年9月9日がだんだんせまってきています。

 盛り上がっているかい? イェー!!
ということもあり、今日はビートルズの曲をカヴァーしたものを。
 ちょっと変わり種ですが・・・。

 ジャン&ディーン1966年のヒット曲「ポプシクル」をフィーチャーした同年発表アルバム『ポプシクル』の中に収録されている「ノルウェーの森」です。(国内CD 高浪敬太郎による解説付 VSCD-5413 \2,625)

 ジャン&ディーンらしいコーラスも入り、ヴォーカル部分は普通なのですが、演奏がなんか変な感じ。ビートルズのヴァージョンでいうと、シタールが入っている所をギターで奇妙な音を出しているのです。
 ちょっとずっこけてしまうようなリフになっているし、とにかく印象に残るカヴァーです。森 勉

★2009年9月9日は、9日0時(8日の夜中24時)から1時間限定で店を開けて、ビートルズのリマスター盤を販売いたします。お近くお住まいで、いち早く聴きたい!という方はお立ち寄りください。

2009年9月4日(金) Todd Snider 「Good Fortune」

 “猫ジャケ本”が発売されるなどして、近年は猫ブームですが、“犬ジャケ”を集めている方にオススメなのがこの1枚。

 トッド・スナイダーはナッシュビル在住の男性シンガー・ソングライター。
 ローリング・ストーンズ90年代の作品(『ヴゥードゥー・ラウンジ』など)やエルヴィス・コステロのアルバムのプロデュースを手掛けていたドン・ウォズがプロデュース、ということもあって、ロック色の強い作品かな?と思って聴いてみたら、アコースティック・サウンドを基調にした超渋いアメリカン・ルーツ作品でした。

 彼の武骨な歌声、名スライド・ギタリスト、グレッグ・リーズが弾くドブロ&スライド、ジム・ケルトナーのツボを押えたドラミングも味があって良い感じ。

 愛嬌ある黒い犬の表ジャケットもNice!ですが、内ジャケットの雑多に散らかった机の写真もいい雰囲気をだしてます。他にも犬ジャケットの作品でオススメがあったら是非教えてください。森 陽馬

2009年9月5日(土) Superfly 「やさしい気持ちで」

 ここ最近はJ-POP新譜の売行きが伸び悩んでいますが、今週発売になったスーパーフライの2ndアルバム『Box Emotions』(初回DVD付 WPZL-30158 \3,500)は好調に売れています。

 スーパーフライは女性ヴォーカルの越智志帆による一人ユニット。(元々は多保孝一との二人ユニット。彼は旧メンバーではありますが、作曲や編曲などを今でも手掛けています。)
 ローリング・ストーンズなどのクラシック・ロック/ソウルを土台にした楽曲・サウンドはとてもポップで、熱唱系ヴォーカルながら、そこまで暑苦しくない彼女の声質も嫌味がなく親しみやすいのがNice!更にキュートなビジュアルも人気の要因でしょうね。

 今作も前にどんどん出てくるようなサウンドが特徴的で、“勢い”を感じさせる出来。ラヴ・サイケデリコがブレイクした時の雰囲気に似ているような気がします。

 さて、そんなイキのいい楽曲の中で、“ナイアガラ”的な1曲があるのです。6曲目「やさしい気持ちで」。
 この曲だけ明らかに他の楽曲とは違う色を発しており、イントロ部分からモロに“ナイアガラ”的ストリングス! ティンパニやタンバリンの音も入っており、曲自体のコード進行や歌いまわしも完全に“ナイアガラ”な味を感じさせてくれるのです。

 ストリングス・アレンジを手掛けているのは蔦谷好位置。(変換ミスではなく、こう書くのです)
 NATSUMENなどジャム・バンドのキーボーディストから、エレファント・カシマシやYUKIの作曲・編曲など幅広く活動しているミュージシャン。Superflyの1stアルバムにも彼が手掛けた「Ain't no cry baby」というナイアガラ的楽曲が入っていたこともあり、ナイアガラーにとってはこれからも彼のプロデュース・ワーク、要チェックですね。森 陽馬

2009年9月6日(日) プリファブ・スプラウト 「Horsin' Around」

 マイケル・ジャクソンを筆頭に、ソニーから80年代の作品が色々と紙ジャケで再発されています。

 そのうちの一組、プリファブ・スプラウトの名盤2nd『スティーヴ・マックイーン』(EICP-1244 \1,890)と、スティーヴィー・ワンダー、ピート・タウンゼントが参加した4th『ラングレー・パークからの招待状』(EICP-1245 \1,890)が、紙ジャケ&2009年最新リマスターで再発されました。

 特にボーナストラックが入っているわけではなく、『スティーヴ・マックイーン』に至っては、2007年に2枚組のデラックス・エディションが出ているので、すでにお持ちの方はそれで十分かと思いますが、興味はあるんだけどまだ聴いた事が無いという方にはおすすめの一枚です。

 ギター&ヴォーカルと曲を手掛けるパディ・マクアルーンが手掛ける楽曲は、ネオアコの爽やかさと、ソウルっぽさが合わさって、曲の展開も一癖あり、80年代の音ではあるものの良い曲がとても多いです。紅一点のウェンディの透き通った歌声によるコーラスも、気持ち良い秋の風を運んできてくれるようです。
 
 パディ・マクアルーンの最近の写真を見たのですが、長い髭をたくわえてすっかり風貌が変わっていました。
 そのパディがプリファブ・スプラウト名義で8年ぶりの新作をリリース予定。海外では今月古巣キッチンウェア・レーベルから、国内盤は10月20日の予定です。(1stなど他の作品も紙ジャケで、新作と同時リリース予定です。) 東尾沙紀

2009年9月7日(月) ザ・ビートルズ 「ノルウェイの森」

 ビートルズの発売日(09.09.09)が近づいてきましたね。
 これを書いている7日夜の時点ではまだ商品が入ってきていませんが、明日8日には入荷してくる予定・・・。
 でもEMIからのお達しで、今回のビートルズ再発は<9月9日店頭出し厳守>となっているため、8日中は店頭にて販売できません。あらかじめご了承ください。

 ただそのかわり、9日の0時、つまり8日深夜24時から1時間だけ店を開けて、販売開始することにいたしました。
 直前になって予約が結構入ってきたため、わざわざご来店いただいたのに在庫が切れてしまっていたら申し訳ないので、もし購入が決まっている方がいらっしゃったら、ご予約いただければ確実にキープしておくようにいたします。メールでも電話でも大丈夫ですので、お気兼ねなくご連絡ください。

 なお、輸入盤はすでに予約いっぱいで店頭販売分ございません。
 確認したところ、なんとEMIでもすでにMONO BOX輸入盤は完売! 国内盤も在庫残り少々、ということですから、発売後オーダーが殺到したら今週中にもMONOはメーカー品切れになる可能性大ですね。
(今のところMONO輸入盤の再入荷は予定がないそうです。輸入盤がない、ということは国内盤も在庫限り、ということになるでしょうからMONO BOX購入検討している方は早めに決断された方がいいと思います。)

 ということで、発売前からすでに大盛り上がりのビートルズ。そのMONO BOXは高いものの魅力あるこだわりがタップリ。

 『ヘルプ!』から『ホワイト・アルバム』まではモノ・ヴァージョン初CD化ですし、『ヘルプ!』&『ラバー・ソウル』には更にオリジナル・ステレオ・ミックスも追加収録されるとのこと。ステレオBOXは永久仕様ですから、MONO BOX、やっぱり要チェックです。
 『ラバー・ソウル』収録の「ノルウェイの森」もMONOヴァージョンには、ステレオには入っていない誰かが咳ばらいする音が入っているなど違いが色々あるようです。森 陽馬

2009年9月8日(火) 遠藤 賢司 「きみにふにゃふにゃ」 (ティンパン参加)

 本日(8日)、22時で一度閉店した後、24時から店を1時間開けて、ビートルズのリマスター盤を販売しました。
 地元の方からやや遠くにお住まいの方まで、数名ではありますがわざわざご来店いただき、本当にありがとうございました。

 実際に入ってきた商品の“見た目”の感想としては、
・ステレオBOXの大きさに少しビックリ。
・ステレオ初回のみのエコなスペシャル・パッケージ、出来がかなりイイ感じ!
・MONO BOXが思ったよりコンパクトな大きさ。
・バラの各種の帯の色が赤と青にわかれており、若干安っぽい印象もあり。
・『パスト・マスターズ』の帯のみグリーンで、印象良し。
まずはこういったところでしょうか。

 中身に関しての話はまた明日以降、ということで、今日はビートルズ以外の9月9日新譜で気になったアルバムをご紹介。

 遠藤賢司さんデビュー40周年を記念として制作されたアルバム『君にふにゃふにゃ』(MDCL-1498 \3,150)。
 その1曲目タイトル曲のバック演奏をしているのがなんとティンパン!(鈴木茂(G)、林立夫(Dr)、細野晴臣(B)の3人組ユニット)

 それもイントロからいきなり、謹慎明けの鈴木茂さんのギター・ソロが入っていて、エンケンさんらしい計らいを感じましたね。
 今年はじめ、鈴木茂が薬物所持で逮捕された時はショックでしたが、是非本格復帰して、ライヴなど表舞台にも今まで以上に出てきて欲しいものです。森 陽馬

2009年9月9日(水) ビートルズ 「恋する二人」 (リマスター・ステレオ盤より)

 ビートルズのリマスターCDが9月9日に発売になるというインフォメーションが出されたのが、約5ヶ月前の4月7日頃のことでした。
 その時はかなり先のことだな、と思っていたのですが、待ち遠しい物事というのはわりとすぐにやってくるものなのですね。

 さて、今回リマスター盤と以前出たCDの一番の違いは、初期4枚がすべてステレオになっている点ではないでしょうか。

 モノラルかステレオか、どちらが好きかはいろいろな個人的な経験とか思い入れとかがあり見解が分かれるところだと思います。
 僕の場合は『ア・ハード・デイズ・ナイト』のステレオ盤が懐かしい音との再会となりました。

 「恋する二人」を初めて聴いたのは1964年8月、東銀座にあった<松竹セントラル>という映画館でした。
 映画『ア・ハード・デイズ・ナイト』の挿入歌として2回流れるので、特に印象に残った曲でした。

 その後9月にLP(ステレオ)が出て、レコードで初めて聴いたわけですが、映画で聴いたのとちょっと感じが違っていたのです。
 イントロ5秒あたりのハーモニカの音がブレイクするのです。

 映画の中ではブレイクがなかったのに・・・、どうして?
 昔はモノとステレオでヴァージョンが違うなんてことを全く知りませんでしたから、何か新しい発見をしたような気分を味わったものでした。

 ともあれ、ビートルズのリマスターCDで当分の間、色々と楽しめそうです。森 勉

2009年9月10日(木) 忌野 清志郎 「激しい雨」(2006.5.14 Private Session)

 昨日発売日だったビートルズのリマスター盤。売れております。
 BOXに関しては国内盤も輸入盤も、そしてステレオもMONOもすでにEMIで品切れとなっていて、MONOは再入荷の予定無しのため店頭在庫のみ。国内盤ステレオBOXも店頭在庫はありますが、これから発注する分は次回入荷が連休明け(9月25日くらい?)になるそうで、売行きによっては近々品切れしてしまうかもしれません。
 (ただ、ステレオBOXは限定ではなく、収納されているCDのスペシャル・パッケージも永久仕様だそうです。各種CDのバラは初回終了だとプラ・ケースに切り替るのに何故? マニアがプラケースも買ってくれるから? BOXのサイズが要因かな。)

 さて、話題は変わって、ラフォーレ原宿で行なわれている『個展 忌野清志郎の世界』を先日見てきました。

 思っていたよりも充実していて、忌野清志郎が描いた絵画だけでなく、貴重なポスターや写真、自転車などの私物も展示され、更にこの展示会でしか流していないスペシャル映像も上映。
 チラッと見ていこうかな、と思ったら貴重なライヴ映像などに釘付けとなってしまい、結局約30分見入ってしまいました。(その映像作品は曜日によって内容が変わっているそうです)

 その映像の中で興味深かったのが、最後のオリジナル・アルバム『夢助』に収録された名曲「激しい雨」についての発言。

 ♪RCサクセションが聴こえる〜♪という歌詞が印象的な1曲ですが、この歌は、チャボ(仲井戸麗市)がニール・ヤングの「バッファロー・スプリングフィールド・アゲイン」(2000年作『シルバー&ゴールド』に収録)という曲からインスピレーションを受け、「清志郎の歌から“RCサクセション”という単語が出てくるのを聴きたい」、ということから作られた楽曲だったそうです。

 発売されたときから気に入っていたこの1曲がニール・ヤング繋がり(?)だったとは・・・。
 まあとにかくもこの清志郎の個展は9月13日までだそうなので、お近く寄った方は見ておいて損はないと思いますよ。森 陽馬

★掲載ジャケットは死後リリースされた最新シングル「Oh! Radio」(UMCC-5020 \1,100)。2曲目に「激しい雨」のデモ・ヴァージョンが収録されています。

2009年9月11日(金) Beverly Warren 「Let Me Get Close To You」

 60'sガール・ポップスがお好きな方にはたまらないCDがACEレーベルからまた出ました。
 タイトルは『The LAURIE RECORDS Story Vol.3 〜 Girls & Girl Groups』。(ACE CDCHD-1231)

 有名どころはシフォンズくらいで、あとはマニアが喜ぶ名前がずらっと・・・。サミッツ、デルロンズ、チーズ・ケイクス、グロリア・デニス、バーナデッド・キャロル、レス・ガールズ等。
 ローリー・レーベル、そしてRUSTレーベルの珍しい音源が全24曲入っています。

 その中から3曲目に入っている1965年に発表されたビヴァリー・ウォーレンの「レット・ミー・ゲット・クロース・トゥ・ユー」を選んでみました。

 曲を作ったのはキャロル・キング&ジェリー・ゴフィン。スキーター・デイヴィスの軽快なヴァージョン(“ジャケガイノススメ・シリーズ”で好評発売中)も良いのですが、このビヴァリーのヴァージョンは黒人シンガーらしいフィーリングもあり、バックの演奏も重厚感があって、聴き応え充分なのです。森 勉

2009年9月12日(土) エディー・リーダー 「New York City」

 昨日11日、エディー・リーダーの来日公演を観てきました。

 これが本当に感動的な素晴らしいライヴで、天使のような彼女の歌声は神々しいほどに心の奥まで響いてきました。
 男性5人のバック・メンバーもツボを心得た演奏で、特にアコーディオンの音色が温かい和やかな雰囲気を演出していて良かったですね。

 ライヴが行なわれたビルボード・ライヴ東京は、夜景が広がっているステージ後ろ窓部分が、ライヴ中にはカーテンが閉まるようになっています(音の面もありますが、あのカーテンには携帯電波を遮断する機能もあるようで、カーテンが閉まるとそれまで通話できる状態だったのが圏外になるのです)が、3曲目くらいにカーテンを開けるようにエディー・リーダーが指示。「この美しい夜景がニューヨークっぽいでしょ?」と言って、「New York City」をやりました。

 MCでは特に明言しませんでしたが、昨日は9.11。
 8年前の同時多発テロで哀しみを背負うこととなったニューヨークの人々へ向けて、♪ニューヨークで立ち直っていこうとしている♪(「New York City」歌詞より)というメッセージも込められていたと思います。

 もちろん、フェアグランド・アトラクション時の名曲「ハレルヤ」、「パーフェクト」なども披露。最新作に収録されていたブライアン作「Sweet Mountain Of Love」(2009年8月23日のこのコーナーでも取り上げました)はやりませんでしたが、ライヴ終了後のサイン会でその話をしたら、一節目の前で歌ってくれてとても嬉しかったです。森 陽馬

掲載ジャケットは「New York City」が収録されている最新アルバム『Love Is The Way』(VICP-64749 \2,625)。

2009年9月13日(日) Tift Merritt 「I Live For You」 (ジョージ・ハリスンのカヴァー)

 今週は、まさに“ビートルズ・ウィーク”でしたね。

 9月9日0時からの発売から始まり、メディア報道やNHKでの特番、各所でのイベント、オリコン・チャート上位(9/9付けデイリー・チャートはステレオBOXが3位、MONO BOXが6位)に入り、BOXがすぐにメーカー品切れ、など、音楽業界はビートルズを中心に回っているかのような1週間。

 売れることは良いことではありますが、業界的にはこれはあくまで一過性の現象と考えた方がいいでしょうね。
 忌野清志郎、マイケル・ジャクソン、ビートルズ、とすでに現在はいなくなってしまったミュージシャン達がメディアで取り上げられ話題を引っ張っている、というのはあまり良い傾向ではないと僕は思っています。

 現在進行形のミュージシャンで、こういう風に一般人やメディアで大きく注目され、CDもそれなりに売れるようなアーティストが少しずつでも出てきて、各々が末永く活動を続けていけるといいんですけれどね。(まあこれが一番の課題というか、新しい人を売り出すことが今非常に難しい時代になっているのが問題でもあります)

 さて、ビートルズ絡みということで今日はこの1曲。
 最近イーサン・ジョーンズ繋がりで知り、個人的に集めだしてよく聴いている女性シンガー、Tift Merritt(ティフト・メリット)。

 アメリカの女性ロック・シンガーで、シェリル・クロウを更にポップにしたようなサウンドと歌声が魅力。国内盤は出ていないので日本での知名度は皆無ながら、良質な女性アメリカン・ロックお好きの方にオススメです。
 その彼女の今のところの最新作であるソロ・ライヴ作『Buckingham Solo』(Fantasy 7231452)。

 彼女の他の作品に比べて、とても地味な弾き語りライヴ作ですが、11曲目に「I Live For You」という曲名を発見!
 もしや!?、と思って聴いてみたら、やはりジョージ・ハリスン作でした。

 ジョージ作の中でも特に大好きな1曲!、といってもこれは結構マニアックなナンバーで、2001年に出た『オール・シングス・マスト・パス〜ニューセンチュリー・エディション』にボーナス・トラックとして収録された、ジョージの未発表楽曲なのです。(2005年5月24日のこのコーナーでもこの曲のことを取り上げていました。)

 いやー、こんな曲をライヴで取り上げているなんて、地味なアレンジではありますが素晴らしく良いセンスですね! ペダル・スティールを配したバンド・ヴァージョンのカヴァーも是非オリジナル・アルバムでやってほしいです。森 陽馬

2009年9月14日(月) Jason Falkner 「Y.E.S」

 くるりのレーベル“Noise McCartny Records”からの第2弾となる新作『All Quiet On The Noise Floor』(BNCP-167 \2,400)をリリースしたジェイソン・フォークナー(元ジェリーフィッシュ)。

 今作は2年半というマイペースな彼にしては短い期間でのリリースとなりました。
 前作『I'm OK...You're OK』との間には、ロジャー・ジョセフ・マニングJr.等と組んだTV EYES、昨年はフジロックに出演し、マニングやくるりとの共演などそれなりに話題も多く、ファンを喜ばせました。
 彼のファンであるくるりの熱心な働きかけもあるのでしょうね。11月にはまた単独来日する予定です。

 音に関してはマイペースな彼らしく、ビートルズ、ELO好きが伝わるアレンジ&メロディ・ラインは相変わらずで、プロデュースも自分自身でしているので、特に真新しい事はしていませんが、ボーナストラックを除いた最後の曲ではコーラスが美しいインストゥルメンタルが収録されていています。
 Be Bop Deluxe「Jet Silver And The Dolls Of Venus」のカバーも収録されています。

 新作には期間限定で応募ハガキが付いており、昨年フジロック来日と共に行なわれた一日限りのライブ映像を収録したDVDを応募者人全員にプレゼント!だそうです。東尾沙紀

2009年9月15日(火) 斉藤 和義 「Phoenix」

 昨年デビュー15周年でリリースされたベスト盤が現在でもロングセラーとなっている斉藤和義。オリジナル・アルバムとしては2年ぶり13作目となる新作『月が昇れば』が本日入荷。(初回 VICL-63400 \3,150)

 これが本当に素晴らしい“力作”で、今年の邦楽ベスト3内確定!と絶賛したくなる1枚でした。

 今作もほぼ全曲の全楽器・コーラス・作詞・作曲を斉藤和義本人が担当。(映画『フィッシュストーリー』のエンディングテーマだった「Summer Days」という曲にフジファブリックのギタリスト山内総一郎と100sのドラマー玉田豊夢が参加)

 シングル曲やタイアップ曲以外にもイイ曲が満載で、♪サージャントペッパーのポスター 笑うジョン、ポール、ジョージ、リンゴ、ミック、ディラン・・・♪という歌詞が出てくる「Summer Days」を今日のこの1曲にしようかな、とも思ったのですが、歌詞がより印象的だった8曲目「Phoenix」を選んでみました。

 この曲は忌野清志郎への追悼歌。
 歌詞の中に清志郎の名前が出てくるわけではありませんが、単なる追悼ではなく、力強いメッセージも感じられる1曲です。
♪そっちはどうです? ジャムってますか? ジミヘンとですか? オーティスとですか? こっちは今日も争いが始まりました。見えてるんでしょう? 愛し合います!♪

 RCのカヴァーではなく、オリジナル曲で清志郎へのメッセージ/ミュージシャンとしての決意を示したのが、“シンガー・ソングライター斉藤和義”らしいな、思いました。森 陽馬

2009年9月16日(水) 斉藤 和義 「映画監督」

 相変わらず今日も斉藤和義をヘヴィー・ローテーションでかけていたので、気に入っている曲をもう1曲ピックアップ。

 3曲目「映画監督」。
 ♪ボクがもし映画を撮るなら アナタをヒロインにする
 冴えない男の夢を アナタが叶える話♪
という空想・妄想のラヴ・ソングで、アップ・テンポな楽曲でもバラードでもないのですが、どこか心に引っ掛かるメロディーを持っているのです。

 楽曲の雰囲気としては、エリオット・スミスの「waltz #2 (XO)」に少し似ていて、哀愁あるオルガンの独特な音色とリフが印象的。

 ついつい何度もリピートしてしまう不思議な魅力を持ったナンバーです。森 陽馬

2009年9月17日(木) テンポス 「シー・ユー・イン・セプテンバー」

 1966年にアメリカで大ヒットしたハプニングスのデビュー・ヒット「シー・ユー・イン・セプテンバー」は、その当時からカヴァーだということは音楽雑誌の記事で知っていたのですが、実際にそのオリジナルを聴いたのは1973年になってからでした。

 映画『アメリカン・グラフィティ』のサントラ2枚組LPは1973年に発売。
 それまで日本ではなかなか聴くことができなかったオールディーズの名曲が全41曲収録。バディ・ホリー、チャック・ベリー、ファッツ・ドミノ、ジョニー・バーネットなどのロックンロール・レジェンドに加えて、クレスツ、フラミンゴス、ファイヴ・サテンズ、デルヴァイキングス、スカイライナーズ、スパニエルズなどのコーラス・グループが一度に楽しめる夢のようなレコードでした。

 その中の1曲として、ハプニングスのオリジナルであるテンポスの「シー・ユー・イン・セプテンバー」が入っており、当時大感激した記憶があります。

 テンポスはピッツバーグ出身、白人4人組のコーラス・グループで、クライマックス・レーベルから発売の1959年全米23位を記録したこの曲が唯一のヒット・ナンバー。
 いかにも50's後半の正統派コーラス・グループという雰囲気の曲です。

 彼等は、キャップ、リズム、パリス、フェアモント、アスコット、カンタベリーなどのレーベルからもシングルを出しているようで、それもいつかどこかで聴けたらいいな。森 勉

★掲載ジャケットは『アメリカン・グラフィティ』のサントラ盤CD。(国内盤は長門芳郎氏の解説付 UICY-3558 \3,262)

★今度の9月20日(日)気まぐれ音楽寄席はカヴァー特集。ビートルズのカヴァーを中心にかける予定です。Againにてお待ちしております。

2009年9月18日(金) Patti Smith 「Summer Cannibals」

 8月19日発売の新譜が本日入荷。(嵐ベスト盤、電気グルーヴ新作、山下達郎新曲、ウッド・ストック40周年記念BOXなど)
 この中で特に問い合わせが多かったのが嵐のベスト初回盤。すでに予約完売の状態で、在庫の有無をここ最近では珍しいくらいよく聞かれましたね。

 ジャニーズ系商品の限定盤や人気初回盤の一部は、セールス配分というのがあって、その店の規模や仕入れ額などに応じて入荷枚数が制限されてしまうことが多々あるのですが今回の嵐もそういう配分があり入荷は本当に少なかったです。全国的にみてあと20万枚とか追加で作っても全然売れそうな感じですが、あえて初回盤を品切れさせて話題性を作ろう、というのがプロダクション側の考えのようです。(レコード・メーカーは作りたかがっているようです)

 この不況の最中に売れるものをわざと作らず、音楽業界は何を考えているんだ?と他業界からバカにされそうですが、今はレコードを“売る”時代ではなくて、あくまでレコード(CD)はそのアーティストの“話題性を作るための道具”にすぎなくなってしまった、ということでしょうね。
 CDを本当に欲しがっている人には供給されず、ネット通販専門の業者に多く出荷され転売屋に渡り、オークションに高値で出品、という構図は、CDに限らずコンサート・チケットも含め、転売に関する法規制をしないといつまで経っても解決しないでしょう。困ったものです。

 さて、前置きが長くなってしまいましたが、今日よく店内でかけていたのがこの新譜。安達久美クラブパンゲア『L.G.B』(VAZS-3 初回DVD付 \3,675)

 日本屈指の女性ギタリスト、安達久美を中心として、則竹裕之(dr)、河野啓三(key)、清水興(b)という凄腕メンツによるインスト・ユニットで、ブルージーなロック・ナンバーからフュージョン曲、ジェフ・ベックを彷彿とさせるオリジナル楽曲を聴かせてくれます。
 彼女のギターがかっこよくて、早弾きギターとはまた違ったグイグイ引っ張っていくフレーズが魅力的。松原正樹、今剛、Tスクエアなどの作品お好きな方にもオススメです。

 オリジナル曲の充実ぶりも聴き所ですが、アルバム最後にはスティーヴィー・ワンダー作でシリータが歌った名曲「Cause We've Ended As Lovers」(邦題:哀しみの恋人達)のカヴァーが収録。有名なジェフ・ベックによるカヴァー・ヴァージョンが下敷きになっているようです。森 陽馬

2009年9月19日(土) The Thorns 「Blue」

 先々月(7月25日)にこのコーナーで紹介したマシュー・スウィート&スザンナ・ホフスのカバーアルバム第2弾の国内盤が発売になりました。輸入盤と国内盤の違いといえば、デジパックだったものがプラケースになったのと、なんとボーナス・トラックが5曲も追加になっています。
 エルヴィス・コステロ&アトラクションズ「Peace,Love & Understanding」、ジェームス・テイラー「You Can Close Your Eyes」の他、クイーン、ラモーンズ、ブロンディ...と、こちらもオリジナルに忠実なカバーを聴かせてくれています。
 
 今日はマシュー・スウィート関連で、秋が近づくと聴きたくなるちょっと懐かしい一枚を。

 ザ・ソーンズ(SICP-412 \2,520)。
 マシューがショーン・マリンズ、ピート・ドロージと、それぞれソロで活動していた3人が組んだユニットです。

 プロデュースはブレンダン・オブライエン、ドラムはジム・ケルトナー、ギターはマシュー&スザンヌ作品でも弾いているグレッグ・リーズなど。
 2003年にリリースされたこのアルバムは、“ハーモニー”に重点を置いたというだけあり、CSN&Y、アメリカ的な3人の素晴らしいコーラス&演奏を堪能できる作品です。
 
 殆どが3人の共作曲ですが、カバーを1曲、マシューが親交のあるジェイホークスの「BLUE」(『Tomorrow The Green Glass』収録)を取り上げています。
 どの曲もメロディーが素晴らしく、優しい雰囲気漂うアルバムです。カバー集も良いですが、ソーンズとしての第2弾もいつか出してくれる事を期待したいですね。東尾沙紀

2009年9月20日(日) Leslie Mendelson 「Be My Baby」

 ダイアン・バーチ、エディ・リーダー、ルシアーナ・ソウザ...etc。
 ここ最近、洋楽女性シンガーもので良質な作品が続いて出ていますが、その中でも特に気に入って、よく聴いているのがこの1枚。

 ニューヨーク在住の女性シンガー・ソングライター、レスリー・メンデルソンのメジャー・デビュー作『Swan Feathers』。(輸入盤 RYKO RCD-10918)

 先月8/26に心臓発作で急逝したエリー・グリニッジ作による名曲「ビー・マイ・ベイビー」(ロネッツで有名。ブライアン・ウィルソもお気に入りの1曲)をカヴァーしている、ということで購入&聴いてみたのですが、他のオリジナル曲も素晴らしい出来。
 ラルフ・マクドナルドやランディ・ブレッカー等も参加したバック・サウンドは、全体的にアコースティックな生演奏で、穏やかながらもポップなアレンジが聴いていてとても心地良いです。

 歌声は土岐麻子さんとakikoさんを足して2で割った感じ? キュートな中にも芯がある歌で、邦楽・洋楽問わず女性シンガー好きの方にオススメ。

 今日のこの「ビー・マイ・ベイビー」のカヴァーは、エレクトリック・ピアノの弾き語りを基調にしながらスロー・ナンバーにアレンジされていますが、曲本来の良さがより引き立っているようにも感じられるナイス・カヴァー! エレピの音色に温か味があって、やさしく歌と歌の隙間を埋めています。

 この1曲だけでも買い!の1枚ですね。森 陽馬

2009年9月21日(月) クレール・エンジエール 「上を向いて歩こう」

 「上を向いて歩こう」のカヴァーを徹底的に集めよう!、なんて一時期思っていましたが、あまりにも数が多すぎて手に負えない状態になりそうだったので、断念したことがありました。
 でも興味深いカヴァーがあれば自然に耳はそちらの方に・・・。

 若手シャンソン歌手、クレール・エンジエールの新作『パリ、愛の歌 第2楽章〜永遠のシャンソン名曲集〜』(RES-155 \2,500)のラストに、何故か「上を向いて歩こう」が収録されています。
 シャンソンの名曲「さくらんぼの実る頃」、「ドミノ」、「モンマルトルの丘」などにまじって、フランス語で歌われています。

 間奏には三線が使われていたり、坂本九ヴァージョンにある印象的なピアノ・リフが入っていたりと、個性的なアレンジが光る名カヴァーといえるのではないでしょうか。

 エンディングが日本語で「ひとりぼっちの夜〜♪」と歌われて、センチメンタルな気分に・・・。森 勉

2009年9月22日(火) 一十三十一 (ヒトミトイ) 「風立ちぬ」

 “一十三十一”と書いてヒトミトイ。
 今までにアルバムも何枚か出していますがそれを聴いたことがなくても、以前TV番組で大貫妙子さんと共演したり、流線形の作品で女性ヴォーカルを担当していたことでご存知の方がいらっしゃると思います。
 その彼女が喉ポリーヴ除去手術、結婚、出産を経て、久々のアルバムを発表。コンセプト・カヴァー・アルバム『Letters』(GRRC-10002 \2,800)。

 『Letters』というタイトル通り、“手紙”がテーマになったJ-POP楽曲をカヴァーした全10曲で、宇多田ヒカル「Letters」、酒井法子「Love Letter」(尾崎亜美作)なんて曲も入っていますが、全体的には彼女のルーツでもある70〜80'sシティ・ポップスが中心の選曲。

 シュガーベイブ「蜃気楼の街」、山下達郎「STORM」、大貫妙子「春の手紙」、荒井由実「返事はいらない」等を、曽我部恵一プロデュースによるシンプルな心地良いサウンド・アレンジでカヴァーしています。

 その中でも印象的だったのが松田聖子「風立ちぬ」のカヴァー。
 秋に愛する人への別れを手紙にしたためるテーマの歌詞は松本隆。作曲は大瀧詠一。1981年の大ヒット曲です。
 曽我部恵一ランデブーバンドの横山裕章によるエレピ、オータコージによるパーカッションを配した穏やかなアレンジも、秋の爽やかな陽気に合っていますね。森 陽馬

2009年9月23日(水) リタ・クーリッジ 「Love Has No Pride」

 今日は素敵なカヴァー曲を紹介したいと思います。

 フェアーグラウンド・アトラクションのエディー・リーダーの新しいアルバム『Love Is The Way』(国内盤ボーナス・トラック2曲追加 VICP-64749 \2,625)を聴いていたところ、6曲目に聴き覚えのあるメロディーが・・・。
 すぐにはなんの曲か思い出せないでいたのですが、サビのところの歌詞がタイトルをコールしてくれるので思い出しました。

 なんと、ブライアン・ウィルソンが携わった女性グループ、“スプリング”。1972年発表唯一のアルバムに収められている曲でした。

 その当時、ブライアン・ウィルソンの奥さんだったマリリンとその姉ダイアンの二人による“スプリング”(イギリスに同名のグループが存在していたので、“アメリカン・スプリング”と呼ばれることが多い)は、やはりビーチ・ボーイズ・ファンには必須科目のひとつと言えるでしょう。
 残念ながら、現在は以前出ていたスプリングのCDが入手困難な状態になっていますが、いつかまた再発してもらいたいものです。

 それにしても、「スウィート・マウンテン」(オリジナルはこのタイトルです)を取り上げるなんて、本当にいい趣味しています。

 近年エディー・リーダーの連れ添いであるトラッシュキャン・シナトラズのジョン・ダグラスによるサジェスチョンでしょうか?
 アルバム全体としても素晴らしい出来で、「パーフェクト」ぐらいしか知らないフェアーグラウンド・アトラクションのファンの方にもオススメです。

 もちろんブライアン・ウィルソンのコア・ファンは一度は是非お耳に。森 

2009年9月24日(木) マイクロスター 「feelin'!」

 音楽配信・着うたなどが一般的になってきた昨今、ジャケット・デザインの重要性をより感じるようになってきました。

 音楽好きのいちリスナーとしてはもちろん、「音が良ければそれでいいや」ではなくてジャケット・デザインとその音楽の連動性をより意識するようになりましたし、CD店の店員としても、お客様方が“音”だけではなくて、CD(もしくはレコード)という1枚の完成形を求めて購入している、というのが以前にも増して実感するようになりました。

 音楽業界の売上不振&制作費のコスト問題もあり、作る側は大変だと思いますが、購入する側の純粋な“音楽愛”を忘れずに、是非質の高い作品をこれからも作り上げていって欲しいですね。

 さて、そのデザインという点で、当店が大いに応援&オススメしたいグラフィック・デザイナー/イラストレーター、高瀬康一さんのHPが先日やっと開設しました。

 昨年リリースされ、当店でも大推薦していたマイクロスター『microstar album』(VSCD-3382 \2,625)のデザインを手掛けたのが彼。
 他にも様々なCDジャケットイラストWEBサイトを手掛けていますし、音楽&映画ネタ満載のブログも毎日更新されていて楽しいHPですので是非ご覧になってみてください。

 今日の1曲にはそのマイクロスターの1曲目「フィーリン!」。
 ソフト・ロック名曲、スパイラル・ステアケース「More Today Than Yesterday」的リズミカルなナンバーで、聴いていてわくわくしてくる1曲です。森 陽馬

2009年9月25日(金) マイクロスター 「東京の空から」(森達彦MIX)

 マイクロスター・ファン要チェック♪のコンピCD『ORDINARY MUSIC 〜 compilation album from hammer label』(VSCD-3392 \2,310)が出ました。

 “Hammer Label”(ハンマー・レーベル)というのは、森 達彦さんというクルーエル・レーベル関連作品(ラヴ・タンバリンズやカヒミ・カリィなど)やムーンライダーズなどのエンジニアをされていた方が主宰されているレーベル。

 マイクロスターの佐藤清喜も大リスペクトしている名エンジニアで、その彼がデンマークのポップ・ロック・グループ、ギャングウェイを当時日本でリリースするために設立した“ハンマー・レーベル”をこの度復活させ、第一弾リリースとして発表したのがこのアルバムです。

 日本のブライアン・ウィルソン・フォロワーとして知られる辻睦詞、ポータブル・ロックの変名バンドMarblefudge、更にマイクロスターの未発表音源2曲を含む全12曲収録。
 渋谷系お好きだった方やネオアコ系ポップ、そしてマイクロスター好きの方には是非とも聴いてもらいたい1枚ですね。

 なお、マイクロスターの未発表音源2曲は、1999年にリリース予定ながらお蔵入りとなってしまったマイクロスター幻の名曲「Good Luck」の1998年録音未発表デモ(スゴクいい曲!)と、昨日紹介した1stフル・アルバム『microstar album』の中でも一番人気だった「東京の空から」の別ヴァージョン(森達彦さんMIX)! どちらも聴きものです。

 ちなみに、当店にてお買い上げの方には、2002年にリリースされながらも廃盤となってしまっていた森達彦さん監修によるコンピCD『studio LAB』を先着でもれなくプレゼント。購入予定の方はお早めに♪ 森 陽

2009年9月26日(土) MIKA 「DR.JOHN」

 2007年のデビュー時には歌い方がフレディ・マーキュリーにそっくりだ!と、最近のファンのみならず、クイーン世代のファンの人達の間でも話題となったイギリスのポップ・シンガー、MIKA。
 2枚目となる新作『ザ・ボーイ・フー・ニュー・トゥー・マッチ』(UICI-9039 \1,980)も、ジャケットに描かれた世界観そのままのカラフルなポップ・ソングを聴かせてくれています。

 厚みのあるコーラスがクイーンを思い出さずにはいられないオープニング・ナンバー「We Are Golden」からMIKAワールド炸裂!
 今回はそこに80〜90年代エレクトロ・ポップと、これまた懐かしい要素が加わった楽曲や、ストリングスを交えたあったりと様々です。女性シンガー、イモージェン・ヒープも1曲ひっそりと参加。

 今日の一曲はタイトルで反応してしまいました、「DR.JOHN」。
 歌詞を読む限りではあのドクター・ジョンの事を歌っているのかわかりませんが、「oh〜Dr.John〜♪」と呼びかけるようなサビが印象的な曲です。

 共同プロデュース、演奏でも大々的に参加しているグレッグ・ウェルズという人は、これまでルーファス・ウェインライト、ミシェル・ブランチ、最近だとケイティ・ペリーなどいわいる売れ線系のミュージシャンも多く手掛けてきており、今風なアレンジに好みはわかれるとは思いますが、1stはスルーしていたけれど...という方是非聴いてみてください。東尾沙紀

2009年9月27日(日) Chico Hamilton 「One Day Five Months Ago」

 先週ユニバーサル社から発売された“STAX DJ MURO セレクション”10タイトル。
 DJ MURO選出によりスタックス・レーベルのちょっと珍しいソウル・オリジナル・アルバムを再発したシリーズで、今までCD化されていなかったような作品もあります。

 その中でも特に、ソウル&ジャズ好きの方のみならず、ロック・ファンにこそ聴いてもらいたいのがこの1枚。

 1950年代から作品を発表し、映画『真夏の夜のジャズ』にも出演しているジャズ・ドラマー、チコ・ハミルトンがスタックス・レーベルから1973年に発表したスタジオ・アルバム『チコ・ザ・マスター』(UCCO-9870 \2,000)。

 解説など読まずCDを聴き始めたら、いきなり聴き覚えのあるスライドの音色が・・・。

 なんと、このアルバムのバック演奏はリトル・フィート! ローウェル・ジョージがいかにも彼らしい武骨なスライドをギュンギュン鳴らしているのです。
 もちろん、ビル・ペイン、ポール・バレルも参加。“ファンク”というより“ロック・ジャム”的なグルーヴィー・インストを8分以上にわたって聴かせる@は圧巻です!

 リトル・フィートの名作『ディキシー・チキン』も1973年発表ですから、ちょうど『セイリンシューズ』と『ディキシー・チキン』の間くらいに録音されたものでしょうか。とにかくも全盛期のリトル・フィート・サウンド好きの方は必聴の1枚ですね。森 陽馬

2009年9月28日(月)ティンカーベルズ・フェアリーダスト 「誓いのフーガ」

 古いポップス・ファンには懐かしいフェアリーダストの「誓いのフーガ」(原題:「Twenty Ten」)がCD化されました。(MSIG-591 日本語解説付 \2,835)

 それもテスト盤しか作られずに幻のLPとなっていたアルバム全13曲が聴ける形での登場です。更に未発表音源を含む貴重なシングル曲などボーナス曲が9曲もプラスされています。

 1968年当時、日本では“フェアリーダスト”だけのグループ名で、シングルがキング・レコードから出ていましたが、本当は“ティンカーベルズ・フェアリーダスト”。
 「誓いのフーガ」という邦題でわかるように、バッハのフーガを基調とした曲ですが、60年代後半ロック界で流行っていたクラシカル・サイケなアレンジがなんとも時代を感じさせてくれます。

 コーラスは意外やアソシエイション風。
 アルバムの中では「ネヴァー・マイ・ラヴ」をカヴァーしたり、その他、ヴァニラ・ファッジ「ユー・キープ・ミー・ハンギン・オン」、ブルックリン・ブリッジ「ザ・ワースト・ザット・クッド・ハプン」(ジミー・ウェッブ作)、スパンキー&アワ・ギャング「レイジー・デイ」、ヤードバーズ(ジェフ・ベック)「ジェフズ・ブギー」など、なかなかヴァラエティーに富んだ選曲で楽しませてくれます。

 ブリティッシュ・ビート&ポップス・ファンは要チェックの1枚だと思います。グレープフルーツというチェリーレッド系のマイナー・レーベルから出ていることもあり、お早めに、という感じです。森 勉

2009年9月29日(火) 浜田 真理子 「純愛」 

 映画『空気人形』を先日鑑賞。

 『歩いても歩いても』、『ワンダフル・ライフ』などを手掛けた是枝裕和監督、独特な魅力を放つ韓国女優ペ・ドゥナ主演、更に一般的な評判も高かったので期待して見に行ったのですが、僕はこの映画、全然好きになれませんでした。
 まあ映画の見方は人それぞれなので、これはあくまで僕の感想ではありますが、はっきりいって、あまりオススメしたくない映画ですね。

 “心を持ってしまった人形と都会の空虚な心を持った人間とのファンタジー映画”ということで、メルヘンチックな切ない恋物語を想像してしまうかもしれませんが、実際の映画は全く違った色合い。
 劇内の衝撃的シーンも映画&原作の流れとして必要だったのかもしれませんが、僕には“心を持つことは悪である”というメッセージにも受け取れ、不快感ばかりが募りました。

 ほぼ全編に出てくるペ・ドゥナのヌードは美しいものの、映画自体に“心”が入っていないせいか、映像に全く“愛”を感じないんですよね。これからご覧になる方はそれなりに覚悟して見に行かれた方がいいと思います。

 映画とは全然関係ないのですが、今日のこの1曲は浜田真理子の名曲「純愛」。

 彼女の歌には、“人間として愛する”ということが、吟味された歌詞一字一句に凝縮されていて、何時聴いても心が震えます。森 陽馬

★掲載ジャケットは2003年録音のライヴ・アルバム『mariko live 〜こころうた〜』(STS-2003 2枚組 \3,675)

2009年9月30日(水) Dylan Mondegreen 「Gang Of Two」

 久々に連日、雨ですね。
 今日は雨宿りでもしにきているのか鳩がひょこひょことやって来て、追い出してもいつの間にか戻ってきたりして..雨には濡れないし、居心地がよかったのでしょうか。お店で流れている音楽につられて入ってきているとしたら面白いんですけどね。

 さて鳩の話から無理矢理つなげます。
 こちらのカモメの群れを写したジャケットは、ノルウェー在住、30代のシンガーソングライターであるボルゲ・シルネースのプロジェクト“ディラン・モンドグリーン”、2枚目となる新作『ザ・ワールド・スピンズ・オン』(FCRD-13 \2,415)。曲は全編英語詞です。

 彼の事はこのアルバムを聴くまで知りませんでしたが、彼自身が大ファンだというトラッシュキャン・シナトラズのような穏やかな雰囲気を持ったギターポップ、ソフトロックなどがお好きな方はきっと気にいると思います。

 ウクレレ、マンドリン、ストリングス、ホーン、グロッケン(鉄琴)などを交えたアレンジや歌声にも瑞々しさがあり、明確の個性はないのかもしれませんが、ちょっとしたオルガン・ソロを挟んでくるこの一曲からも、彼なりのこだわりとセンスを感じました。

 北欧ポップなどお好きな方も要チェックです。東尾沙紀






トップへ
戻る