PET SOUNDS RECORD
今日のこの1曲 アーカイヴス


  今日のこの1曲 “Achives”

<2010月1月>

当店ペット・サウンズ・レコード店にて、
その日に店内でかけていた曲の中から、
店員の独断と偏見で選んだ“今日のこの1曲”コーナー

2010年1月に更新した“今日のこの1曲”コーナー。
廃盤・生産中止、規格番号の変更など、
情報が古くなっている商品もございますが、ご了承くださいませ。


<最新の“今日のこの1曲”はこちらのページをご覧ください>


2010年1月1日(金) ビーチ・ボーイズ 「オール・ディス・イズ・ザット」

 新年あけましておめでとうございます。
本年もペット・サウンズ・レコードをよろしくお願い致します。

 久し振りにビーチ・ボーイズを。
 彼らは、1962年のアルバム・デビューからベスト盤・編集盤を除いても、実に31枚ものアルバムを発表しています。(ライヴ及びクリスマスなどの企画盤も含む。ただしカラオケの『スタック・オー・トラックス』は含まず)

 そんなに出していると、一般的にはほとんど知られていないアルバムもあるわけで、ファンとしてはそんなアルバムにも、たまには光を当ててあげたくなるのです。

 ということで、今日は1972年発表の『カール&ザ・パッションズ〜ソー・タフ』からの1曲。(TOCP-54099 \1,500)
 アル・ジャーディン、カール・ウィルソン、マイク・ラヴの共作で、この3人がパート・パートでリード・ヴォーカルをとっています。地味ですが昔から好きな曲で、イントロを聴くといつも1975年の10ccのヒット「アイム・ノット・イン・ラヴ」を思い出してしまいます。

 ビーチ・ボーイズの中では、もしかしたら一番マイナーなアルバムかもしれない『カール&ザ・パッションズ』ですが、この曲以外にもデニス・ウィルソンのバラード「メイク・イット・グッド」、「カドル・アップ」、ブライアン・ウィルソンのライヴでもよく歌われる「マーセラ」なども入っていて、それなりに注目してもらいたいアルバムなのです。

 1972年の発売の時、アメリカではこのアルバムだけでは、心もとない、セールス・ポイントがない、キャッチーなシングル曲がない、と判断され、レコード会社の独断に近い形で『ペット・サウンズ』をおまけに付けたような2枚組として出たなんてこともありました。

 多くの人には受け入れられないサウンドだとしても、僕にはこれも大切なビーチ・ボーイズの歴史の1枚であり1曲なのです。森 勉

2010年1月2日(土) 相川 理沙 「こころにあるもの」

 あけましておめでとうございます。
 今年もよろしくお願い申し上げます。

 皆さんは年末年始いかがお過ごしでしょうか?
 31日閉店後、僕はTVで紅白歌合戦を見ていましたが、矢沢永吉の出演にはビックリしましたね。
(一番視聴率が良さそうな嵐の出番の後にサプライズで出てくる、それもNHKホール内通路を歩いてくる演出、というのは“矢沢永吉本人によるプロデュース”なのでしょうか? 映画『E YAZAWA ROCK』も年末に見ていたので、そう勘ぐってしまいましたが、その演出力は見事でしたね。)
 31日に取り上げた木村カエラ「バタフライ」も聴けましたし、“日本語の歌の良さ”を再認識した紅白歌合戦でした。

 さて、その日本語による歌、で最近よく店でかけているのがこの1枚。
 相川理沙『my life』(BDCU-1008 \1,800)。

 相川理沙は福岡出身の女性シンガー・ソングライター。
 村田和人さんも大推薦しているシンガーで、昨年12月には当店地下のアゲインにて、テキーラ・サーキットの西海孝さんとジョイントでライヴもやっていただきましたが、本当に素晴らしい歌声!

 歌の上手い女性シンガーは現在たくさんいますが、彼女の歌声はまた特別で、アン・サリーのような聴く人全ての心を震わす魅力があります。

 このアルバム『my life』は2007年に発表した作品。
 彼女の美声とソングライティングを引き立たせたアコースティック調のシンプルなバックの演奏も聴きやすいアレンジなので、女性シンガー好きの方に是非とも聴いてもらいたい1枚。
 アン・サリー、寺尾紗穂さんなどの女性ヴォーカル好きの方に大推薦! 要チェックのシンガーです。森 陽馬

2010年1月3日(日) 「野ばら」 映画サントラ『海角七号/君想う、国境の南』より

 3日は18時閉店だったので、2007年一昨年、に引き続き閉店後映画を見に行きました。今年は銀座シネスイッチで上映されている台湾映画『海角七号/君想う、国境の南』

 2008年台湾で空前の大ヒットを記録した音楽映画。
 映画の内容自体はかなり大味で、超ベタベタな恋愛描写やら無理矢理なストーリー展開も気にはなりましたが、話のテンポはとても良く、楽しく見ることができました。

 中孝介が実名で出演していることでも注目で、セリフは三流ながらその素晴らしい歌声は劇内でも披露されています。
 台湾と日本の歴史的背景も物語にリンクするように描かれており、音楽映画としてだけではなく、心温まる人間ドラマとしても楽しめる台湾娯楽映画ですね。

 台湾の恒春という場所が舞台になっているので、音楽も台湾のバンド&音楽が中心ですが、日本では唱歌としても親しまれている楽曲、「野ばら」が映画内の重要な場面で使われています。

 「野ばら」は元々はシューベルト作曲の歌曲。
 しかしながら映画内では日本語による歌唱で印象的に登場。ある意味、映画のキーポイントにも繋がる1曲ですね。

 サントラ盤(DQC-400 \2,500)や唱歌集以外では、童謡のうたを歌ったアルバムを多くリリースしている由紀さおり&安田祥子の作品(TOCT-26789 \3,000)にも収録されていますので、映画をご覧になって気になった方はそちらもチェックしてみてください。森 陽馬

2010年1月4日(月)フラッシュバックあの人 「DOWN TOWN」(シュガーベイブ・カバー)

 本日月曜日、仕事始めの方も多かったのではないでしょうか。お疲れ様です。
 昼間、パルム商店街の中では太鼓がドコドコと鳴り響いていて、今日はまだ少しだけお正月モードに浸ることができました。
 
 年末年始は、70〜90年代を中心とした名曲、ヒット曲を振り返る“年忘れにっぽんの歌”的な特別番組がいつも楽しみで色々見て過ごしました。昔、そういう番組を見ながら懐かしいわ〜と曲を口ずさむ両親の気持ちが段々わかるようになってきた気がします...。
 
 さて今日の一曲ですが、このユニットの曲を聴いて古き良き時代にタイムスリップ?!
 一風変わったユニット名である“フラッシュバックあの人”は、テリー&フランシスコのテリー福山こと福山輝彦さんと、男女ユニットのアオヤマなどで活動している山口洋輔さんによる新シティ・ポップユニット。
 
 シュガーベイブ「ダウンタウン」のカバーから始まるアルバム『摩天楼と、蜃気楼』(COAR-55 \2,000)は、セルフ・プロデュースによるデビュー作。70年代のシティ・ポップス+打ち込みなど現代的なアレンジを上手くミックスさせたサウンドは、懐かしくも新鮮に響きます。
 
 小沢健二の「さよならなんて云えないよ」のカバー(こちらのカバーも良い!)も収録した全10曲。キリンジなどがお好きな方も要チェックです。東尾沙紀

2010年1月5日(火) 20th Century Steel Band 「Lazy Days」

 2010年、早くも5日が過ぎてしまいました。

 毎年1月5日には競馬で金杯というレースがあって、これが終わると正月気分も終了ー、という感じなのですが、なかなかすぐにはシャキッ!としないものです。
(ちなみに今年の金杯は、シェーンヴァルトという穴馬の複勝を買っていたものの、小差の5着で惜しくも撃沈)

 ということで、今日の気分はこの曲「Lazy Days」。

 20th Century Steel Bandは70年代にイギリスを中心に活動していた9人組スティール・ドラム・バンド。
 演奏/メロディーはスティール・ドラム中心ですが、通常のドラムの音も入っているのでリズミカルなサウンド。インストだけでなく曲によってはヴォーカルも入っているので、ポップ&ファンキーな面もあり、聴いていてとてもゴキゲンな気分になれますね。

 初CD化された今作『Warm Heart Cold Steel』(PCD-17328 \2,625)は1975年に発表されたアルバム。
 レア・グルーヴ・ファンからは、グランドマスターフラッシュがブレイク・ネタとして使用した「Heaven &Hell」が収録されていることで人気の盤だそうですが、この曲以外にも、アイザック・ヘイズ「シャフト」、バリー・ホワイト「Love's Theme」、テンプテーションズで有名なモータウン・ナンバー「Papa Was A Rolling Stone」など、ソウル・ファン好みのカバー選曲。
 ワールド・ミュージック/スティール・ドラムに馴染みない方でも楽しめる1枚です。

 その中にあって、4曲目に収録されているこの「Lazy Days」という曲はラヴィン・スプーンフル「デイ・ドリーム」を想起させるような1曲。
 Alan Davidという人が書いた曲のようですがオリジナルかな?
 まさに“レイジー”な雰囲気のゆったりポップ・ナンバーです。森 陽馬

2010年1月6日(水) パイロット 「ジャニュアリー」

 新しい年の1月、ということでベタですが「1月」という曲を。

 スコットランド出身のパイロットが1975年1月に発表したシングル曲で、全英チャートNo.1の大ヒットになりました。

 日本でもその当時東芝EMIより発売になり、ラジオでよく耳にした曲でした。アルバムとしては、セカンド・アルバム『セカンド・フライト』に収録された名曲です。

 中心人物であるデヴィッド・ペイトン作の快心のポップ・チューンで、ビートルチックでセンスのいいメロディが魅力です。印象的なギター・フレーズもこの曲の特徴になっていますね。

 このCD(ATOZ-8 日本語解説付 \2,100)にはボーナス・トラックとして、「ジャニュアリー」のデモも収録。そのギター・リフがまだ付いていない貴重な初期ヴァージョンを聴くことができます。森 勉

2010年1月7日(木) 小坂 忠 「しらけちまうぜ」

新宿高島屋タイムズスクエアにあったHMVが昨日で閉店したようです。

 その広すぎる売り場面積から、坪売上はいくらくらいなんだろう?利益は出ているのだろうか?、とオープン当初から察していましたが、数寄屋橋店、池袋店に続いての閉店。後のテナントにはどうやらユニクロが入るようで、なんとも時代を感じますね。

 2009年の音楽業界は、ビートルズ、マイケル・ジャクソンが奇跡的に売れてくれたおかげで、そこそこ盛り上がっていたように外からは見えたかもしれませんが、実質的には大不況の真っ只中。
 90年代はミリオン・ヒットが数多くありましたが、今は10万枚売れれば大ヒット! 1万枚でもヒットと言って過言ではないと思います。

 ただこれが不況だからではなく、普通だと思ったほうがいいでしょうね。将来的にこれ以上売上枚数が上昇することはまずないですし、元々CD・レコードがこの島国で100万枚売れること自体がありえないことなのですから。
 より良い音楽をより多くの人に届ける、という原点を、作り手も売り手も改めて見つめ直す時期なのだと深く実感しています。

 このように書いてくると、時代を経て悪いことばかり起きているようですが、もちろん良いこともあります。
 マスタリングの技術が向上し、昔の音源・音質が格段に良くなって聴けることはその一つだと言えるでしょう。

 小坂忠さん75年発表名作『ほうろう』のマルチ・トラックが発見され、その16chマルチを生かし、更に歌を新たに録音してMIXした盤が、3月24日に発売されることが決定しました。(『HORO 2010』 MHCL-20080 \3,000)

 サンプル音源が届いたのですが、とにかく素晴らしいですね!
 細野晴臣、鈴木茂、林立夫、松任谷正隆、矢野顕子、吉田美奈子、山下達郎、他による研ぎ澄まされた演奏がより輝きを放って生まれ変わり、更に35年を経て新たに吹き込まれた忠さんの歌声もいぶし銀の味! 当時のティンパン・サウンド好きの方は要チェックのリリースです。森 陽馬

2010年1月8日(金) 在日ファンク 「ダンボール肉まん」

 今や大人気?の摩訶不思議インスト・グループ“サケロック”。
 その摩訶不思議さの魅力を体言しているトロンボーン奏者の浜野謙太(通称:ハマケン)が新バンドを結成しました。その名も“在日ファンク”!(PCD-4399 \1,980)

 サウンドも歌もモロにジェイムス・ブラウン・マナー。
 ハマケン自らによる破天荒な日本語詞、ヘヴィーなファンク・サウンドをバックに、JBばりにシャウトしまくるその1曲1曲に最初は失笑&爆笑・・・。でも聴き込むほどになんか味が出てきて、妙に感心&楽しめるこれまた不思議な1枚です。

 特に、6曲目「罪悪感」、7曲目「ダンボール肉まん」の歌詞は強烈ですね。女性には理解不能と思われるEの詞はハマケンにしか書けない男性必聴のナンバー! ある意味ホント最高です。

 F「ダンボール肉まん」も最初は訳がわからないハマケン・ワールドながら、聴き込んでくると実は深い意味が根底にありそうに感じてくる、真に“ダンボール肉まん”な1曲。

 こうやって書くと単なるおちゃらけファンク・グループのようですが、インタビューなどを読むと、実はバンド・サウンドは結構考えて作っているようです。いやはや、ハマケンおそるべし! 森 陽馬

2010年1月9日(土) ベンジャミン・ハーマン 「DURBAN POISON」

 昨年の東京JAZZでバンドとしては初めての来日を果たしたオランダのクール・ジャズ集団、ニュー・クール・コレクティヴ。

 そのリーダーでセッション・プレイヤーとしても活躍しているサックス奏者、ベンジャミン・ハーマンがソロ10作目となる新作『Blue Sky Blond』(国内盤はボーナス・トラック3曲追加収録 PCD-93310 \2,415)をリリース。

 意外にもソロ作品に関しては、オランダ以外の国で正式リリースされるのは今回が初だそう。本国盤はキレイなブルーのジャケットでそちらも素敵でしたが、日本盤の渋いモノクロ写真もかっこいいですね。

 全編インストの作品で、まずグルーヴィーなオープニング曲「DURBAN POISON」が凄くかっこいい!(ボーナストラックにはこの曲のC-MON&KYOSKIによるリミックスを収録、こちらも良いです)
 疾走感のあるファンキーな曲は割と少ないのですが、彼がフルートを吹くヘヴィなロック・ナンバーや、ギタリストのジェシ・ヴァン・ルーラーが参加したムーディーな雰囲気の曲など実験的なアレンジも面白い、様々なタイプの曲が収録されています。

 ちなみにポール・ウェラーがギター、キーボード、共作等で4曲に参加しています。

 2人はウェラーのカバー作品「Studio 150」からのお付き合いで、オファーもしていないのにウェラー自ら参加を申し出たそう。ウェラーとは違うセッションですがデーモン・ミンチェラ(トリオ・ヴァロアー/元ウェラー・バンド)もベースで参加しています。東尾沙紀

2010年1月10日(日) アン・バートン 「時の流れに」

 明日11日は成人の日。
 僕の成人式の思い出は、大井町きゅりあんの大ホールで、加藤登紀子さんのステージを見たことです。

 久々に会う友人と旧交を温めたりで、始終騒がしかった成人式。
 そんな式中行なわれた加藤登紀子さんのコンサートでしたが、彼女の神々しい歌声と真摯なメッセージに万雷の拍手が起こったのが印象に残っています。(そこでギターを弾いていたのが告井延隆さんだった、と知ったのはかなり後でしたが・・・)
 あれから約16年。時が経つのは早いものです。

 今日のこの1曲は、ポール・サイモンの名曲カヴァー「時の流れに (原題:Still Crazy After All These Years)」。

 アン・バートンは60〜80年代にかけて活躍したオランダ出身の女性ジャズ・シンガー。
 69年発表『BALLADS & BURTON』が代表作として人気ですが、昨年末CD化された1977年発表の今作『雨の日と月曜日は』がオススメです。(MZCF-1209 紙ジャケット仕様 歌詞・解説付 \2,600)

 77年に来日した際、招聘元オールアートの石塚貴夫氏のプロデュースにより東京のスタジオで録音された作品で、全編シンプルなピアノ中心の演奏(ケン・マッカーシー(P)、稲葉国光(B)、大隈寿男(Dr))をバックに、アン・バートンがしっとりと歌い上げています。

 タイトル曲のポール・ウィリアムス&ロジャー・ニコルス作「雨の日と月曜日は」、イーグルス「ならず者」、ヘレン・メリルで有名な「You'd Be So Nice To Come Home To」のカヴァー等も良いですが、ポール・サイモン作のこの曲は特に沁みますね。(ちなみに彼女は89年に癌で亡くなっています)

 夜聴く女性ヴォーカル・アルバムとして大推薦の1枚です。森 陽馬

2010年1月11日(月)Four Freshmen 「Their Hearts Were Fall Of Spring」

 今日は、DJイベントの告知を兼ねた1曲で失礼いたします。

 1月18日(月)夜19時30分より、御茶ノ水のウッドストック・カフェにて、私、森 勉がDJをやらせていただくことになりました。

 特集はウッドストック・カフェには似合わない(?)ビーチ・ボーイズです。店主の阿部さんのリクエストもあり、<ビーチ・ボーイズとそのルーツを探る>という感じの選曲及び話にしようかと計画しております。(イベントは限定12人、要予約です)

 ということで、ビーチ・ボーイズと言えばフォー・フレッシュメン!
 彼等のコーラス・ハーモニーに若き日のブライアン・ウィルソンがノックアウトされ、嫌がる弟たちを巻き込み3兄弟で練習し始めたのが、ビーチ・ボーイズ・ハーモニーの原点だと思います。

 この曲は「ルート66」なども書いたボビー・トゥループ作で1961年発表。フォー・フレッシュメンならではの、清らかな泉から湧き出てくる水のようなヴォーカルの世界が味わえる曲です。
 ビーチ・ボーイズはオリジナルの歌詞、及び別詞(「A Young Man Is Gone」)でもカヴァーしています。森 勉

★追加イベント情報:<気まぐれ音楽寄席>はいつものように当店地下アゲインにて、1月20日(水)に行ないます。特集は、キャラメル・ママ&ティンパンアレイです。そちらもよろしくお願いいたします。

2010年1月12日(火) ラヴ・サイケデリコ 「Here I Am」

 昨日メディアで話題となっていた、北アイルランド自治政府首相の奥さんによる不倫スキャンダル
 あるTVワイドショーでこのニュースを取り上げているとき、バックにサイモン&ガーファンクル「ミセス・ロビンソン」が使われていました。

 かかったのはほんの僅かな時間でしたが、見事な選曲ですね!
 この首相の名前はピーター・ロビンソン、そして奥さんの名前はアイリス・ロビンソン。まあベタではありますが、TVの音響ディレクターは歌詞の内容もちゃんとわかっていてこの曲を使ったのでしょうね。

 さて、サイモン&ガーファンクルとの関連で今日の1曲。

 ラヴ・サイケデリコ、5枚目となる新作アルバム『Abbot Kinney』(VICL-63480 \3,045)が本日入荷。この3曲目「Here I Am」のイントロが、サイモン&ガーファンクル「冬の散歩道」のイントロにとても似ているのです。

 メロディーが全く同じ、というわけではありませんが、「冬の散歩道」を知っている方ならきっと反応するでしょう。アルバムの中でもハイライトといえるかっこいい1曲。

 ちなみに、サイモン&ガーファンクル「ミセス・ロビンソン」と「冬の散歩道」は、『ブックエンド』というオリジナル・アルバム(もしくはベスト盤)に収録されています。森 陽馬

2010年1月13日(水) 古川ロッパ 「東京オリムピック」

昭和初期に映画、演劇、漫談などで活躍した日本喜劇界の重要人物、“古川ロッパ”が歌手として出した貴重なSP音源を20曲収録したCDが1月16日に発売になります。

 『古川ロッパ傑作集』がそれです。(NEACH-4568 \2,500)
 4年前の2006年『バートン・クレーン作品集』を出して話題を呼んだ“Neach Records”からの発売です。

 仕掛人・企画立案は、カフェ・アゲインの石川茂樹マスター!
 今回もバートン・クレーン同様、初CD化音源多数・充実のライナーノーツで、音&ブックレット両方で日本の大衆芸能の歴史を堪能できる内容の濃さ。関係者の心のこもった作りに感謝です。

 この「東京オリムピック」は、1936年(昭和11年)の作品。

 4年後の1940年に夏のオリンピックが東京で開催されることが決まったことを祝う明るいイメージの歌です。
 「トランランラン・・・♪」というフレーズが印象に残ります。

 オリンピックは日中戦争が始まってしまうために、東京での開催は中止になってしまうのですが、そんな社会情勢も含めて、ロッパさんの歌で昭和10〜20年代の日本がタップリ味わえるCDです。お試しあれ。森 勉

★当店にてお買い上げの方には、先着で“ロッパdeリッパ”バッチを先着で差し上げます。

2010年1月14日(木) Neil Young 「When You Dance I Can Really Love」

 レコード・コレクターズ最新号(2010年2月号)の第一特集は、2009年リイシュー・アルバム・ベスト10。そして第二特集では、ニール・ヤング『アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ』が取り上げられています。

 何故に今更『アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ』?、という感じもありますが、実はこの作品1970年発表なので、今年で40周年なのです。
 ニール・ヤングの代表作として、ニール・ファンの間でも一番好きなアルバムに挙げる方が多いこの名作。僕もニール・ヤング作品の中で一番よく聴いた1枚ですね。

 ロックな「Southern Man」、アコースティックな「Only Love Can Break Your Heart」、「Tell Me Why」、「Birds」、カバーも多いタイトル曲などが一般的には人気曲でしょうが、僕がアルバム中で一番好きな曲は9曲目「When You Dance I Can Really Love」。

 「Southern Man」ほど長いギター・ソロがあるわけでもなく、歌詞も特別深みはないのですが、“いかにもニール・ヤングらしい1曲”で、ロックなニールを聴きたいときは必ずこの曲をリピートで聴いてしまいます。

 ただ、昨年末にニール・ヤングの初期4作品が新リマスターで再発されたのですが、この最新リマスター盤(WPCR-75489 \1,800)に収録されている「When You Dance 〜」は途中でフェイドアウトしてしまう3分44秒の短い別ヴァージョンなのです。

 ジャック・ニッチェのピアノ、ニールのギターが交錯する後半の演奏が男臭くてかっこいいだけに、貴重な別ヴァージョンではなく、4分4秒の通常ヴァージョンで収録してもらいたかったですね。森 陽馬

2010年1月15日(金) Bobby Charles 「Small Town Talk」

 「スモール・タウン・トーク」などの名曲で知られるシンガー・ソングライター、ボビー・チャールズが亡くなったそうです。(享年71歳)

 ソウルの名門レーベル“ハイ・レコード”の重鎮であったウィリー・ミッチェル逝去の報など、ここ最近訃報が多く伝わってくるようになりました。
 もう2010年。60〜70年代から40〜50年が経っているわけですから当然のこととはいえ、よく聴いた作品のミュージシャンが亡くなる、というのは寂しいものがありますね。

 追悼の意も込めて、『ベアズヴィル・ボックス』(VICP-70131 \10,000)から今日のこの1曲。

 “ウッドストック・サウンド”を象徴する“ベアズヴィル・レーベル”。
 トッド・ラングレンやポール・バターフィールドなども名曲を多数出しましたが、やはり“ウッドストック・サウンド”はボビー・チャールズのこの曲に集約されている、と言っても過言ではないでしょう。

 ほのぼのしたサウンドに朴訥とした歌声。
 いかなる時でもこれを聴くと、時間をゆるやかにしてくれる不思議な魅力を持った1曲です。森 陽馬

2010年1月16日(土) The Velvets 「Lana」 (愛しのラナ)

 日本においてこの曲は60歳前後の洋楽ファンの方には、とても記憶に残っている曲ではないでしょうか。

 1963年暮れから1964年初めにかけて、ラジオのヒットパレードでかなりヒットし、レコードも売れたようですし。(中古屋でこのシングルをよく見かけるのでそう思うのですが)

 ヴェルヴェッツはアメリカ、テキサス州出身の黒人5人組のコーラス・グループ。ハイスクールの仲間4人とその先生がメンバーという構成で1961年に2曲のヒットを出し、アメリカでもそれなりに知られた存在だったようです。

 その2年後の1963年、日本で彼らが有名になった仕掛け人は、亀渕昭信さんでした。

 亀渕さんの提案でB面だった「Lana」をA面にして、「愛しのラナ」という邦題をつけて発売したところ、ラジオでのプッシュもあり、大ヒットになったというわけ。
 この秘話は、1981年に日本だけでヴェルヴェッツの全曲集LP(再発監修は大瀧詠一)が出た時の解説文に書いてありました。

 この曲の作者はヴェルヴェッツと同じレコード会社所属だったロイ・オービソンで、彼自身のヴァージョンもCD化されています。

 なおこのCD(『The Complete Velvets』 ACE CDCHD-625 \2,415)には、「夢のお月様」【原題:Tonight (Could Be The Night)】も収録の全30曲入り。彼らの全音源がいい音で楽しめます。森 勉

2010年1月17日(日) THE TAKEOVER UK 「Evelyn」 

 ポップでイキのいいバンドをご紹介します。
The Takeover UK=''英国乗っ取り''というバンドです。

 彼等の1stアルバム『Running With The Wasters』の輸入盤が日本でも人気となったのは約1年前のことだそうで、もう紹介し尽されている事とは思いますが、先日未発表の新曲3曲がプラスされた国内盤がリリースされました。(歌詞・対訳付 DLCL-10012 \1,985)

 サウンドやジャケットの雰囲気も含め、非常にイギリスのバンドっぽいのですが、実際はアメリカ出身のバンドだったというのが意外でした。
 元々はパンク・バンドとしてスタートしたという事もあり、パンキッシュな曲もいくつかありますが、どれもメロディーがポップで親しみやすいものばかりです。

 若いパワーを感じる疾走感のある楽曲は聴いていて爽快ですし、そういう曲の間にはアコーディオンを交えたカントリー調の曲など穏やかな曲が収録されているのがとても良いなと思いました。
 「Evelyn」の歌詞は少し青臭いですが、彼等がコーラスを大事にしているという事がわかるメロディーがキレイな一曲です。

 ホーンやストリングス、グロッケンなどを交えたアレンジはファーストでセルフ・プロデュースとしては上々すぎるくらいの出来...といっては褒めすぎでしょうか。
 パワーポップ好きの方にもオススメの一枚です。東尾沙紀

2010年1月18日(月) Daryl Hall & John Oates 「You Make My Dream」

 音楽好きの間でも話題になっている映画『(500)日のサマー』を先日鑑賞。

 いやー、これは本当に面白い映画でしたね。
見ている間ずっと飽きずに楽しんで見ることができました。

 主人公の女の子“サマー”が最高!で、ビートルズの中ではリンゴ・スターが一番好きという設定。「オクトパス・ガーデン」がNo.1曲だと言い張り、カラオケではガール・ポップの人気曲(あえて伏せておきましょうかね。見てのお楽しみ♪)を歌ったかと思いきや、ブルース・スプリングスティーン「ボーン・トゥ・ラン」を本当は歌いたかった、と話す、かわいいけれどちょっと風変わりな女の子なのです。

 一言で言えば“ポップな恋愛映画”なのですが、平凡な日々の中にもたくさんの幸せが転がっている、というような多幸感が各ショットに散りばめられているのが、僕はとても気に入りました。
 映画内に悪い人が一人も出てこない!、というのも良かったですね。
映像や編集もとても凝っているので、恋愛映画は苦手、という方にもオススメの映画です。

 さて、その映画内にはいい音楽が色々と使われていますが、一番印象的だったのはやはりこの曲でしょう。
 “サマー”との仲が良くなって心がウキウキ! 恋が始まった時の夢見るような心情が、ミュージカル的な映像とこの曲で見事に表現されていました。ホール&オーツの1980年発表アルバム『VOICES』に収録されていた楽曲です。森 陽馬

★掲載ジャケットは、ダリル・ホール&ジョン・オーツの限定BOX『Do What You Want Be What You Are』(BVCP-40150 \8,400)。代表曲に未発表ヴァージョン&ライヴ音源などもプラスした4枚組CDのBOXセットです。

2010年1月19日(火) Corinne Bailey Rae 「Little Wing」(ジミ・ヘンドリックスのカヴァー)

イギリス:リーズ出身の女性シンガー・ソングライター、コリーヌ・ベイリー・レイ。
 “英国の黒いノラ・ジョーンズ”と称され各方面から絶賛された2006年発表の1stアルバム以来、約4年ぶりとなる待望の新作2ndアルバム『あの日の海 (原題:The Sea)』が本日入荷。(国内盤のみボーナス・トラック2曲追加 解説・歌詞・対訳付 \2,300)

 アル・グリーン2008年発表作など客演は色々とあったものの、自身の新作はどうして出さないのかな?と思っていたら、どうやら結婚していた夫が2008年初頭に亡くなっていた、とのこと。(この夫はJason Raeという名で、1stアルバムにサックス&フルートで参加していました。)
 しばらく音楽活動を休止していましたが2009年から曲作りを再開。悲劇を乗り越え作り上げたのがこのアルバムです。

 前作に比べ、ややロック的な味付けの曲が目立ちますが、彼女のシルキーな歌声は健在でキュートなソウルフル・ヴォイスにより深みを増した印象。
 ノラ・ジョーンズが2009年発表作『ザ・フォール』で新たなバンド・メンバーによりネクスト・ステージに上ったのと同じように、彼女も今作を完成させたことによって新たな一歩を踏み出した、といえる1枚です。

 意外だったのは、ラスト12曲目&13曲目の国内盤ボーナス・トラック。
 デレク&ドミノスでも有名なジミ・ヘンの名曲「Little Wing」と、ニーナ・シモンの「It Be's That Way Sometime」のカヴァーが入っており、これが素晴らしい出来なのです。

 アルバム全体的にはもっとソウルフルなアレンジにして欲しかったな、とも思いましたが、歌詞は内省的ながらイイ曲もあるので、これからジックリ聴き込んでいこうと思っています。森 陽馬

2010年1月20日(水) ピーター・ゴールウェイ 「テイキング・イット・イージー」

 今日は、ビーチ・ボーイズ来日公演の初日。
 ビルボード・ライヴ大阪へ見に行かれた方、いかがでしたか?

 ご覧になられた方からの報告によると、1日2回公演の1回目と2回目でかなり選曲が違っていたそうです。予想よりかなり良かった!とのこと。いやー、とても楽しみですね!

 さて、今日のこの1曲は、ピーター・ゴールウェイが1989年に来日公演を行なった際、FM東京のスタジオにて行なわれたセッションの模様を収録したアルバム『ピーター・ゴールウェイ・トーキョー・セッションズ1989』。(RATCD-4280 名古屋ボトム・ラインでの来日公演の映像DVD付 \3,990)

 これが約20年前とは思えない素晴らしい音源で本当にビックリ!
 フィフス・アヴェニュー・バンドのマレイ・ウェインストック(key)に加え、当時28歳だった佐橋佳幸がバンマスを務め、湯川トーベン(B)、野口明彦(元シュガーベイブ、現センチのサポート・ドラマー)、田島貴男、鈴木祥子、ブレッド&バター、中山努が参加。

 ほぼ全曲ワンテイクながらも、オリジナルを凌ぐような完成度で、ピーター・ゴールウェイ往年の名曲に新たな命を吹き込んでいます。
 どの曲も聴きものですが、今日のこの1曲には個人的に聴き親しんだオハイオノックスのアルバム1曲目「Taking It Easy」のセルフ・カヴァー。

 オハイオノックスは、フィフス・アヴェニュー・バンド解散後、ピーター・ゴールウェイがロスで作ったユニット名。71年発表のアルバム1枚しか出していませんが、ピーターらしい楽曲が詰まっていて、フィフス・アヴェニュー好きの方なら必聴の作品です。

 ちなみにブックレットも充実していて、ピーター、マレイ、佐橋さん他参加メンバーの回想から、プロデューサーであった長門芳郎氏のライナーノーツは一読の価値あり! 読んでから聴くとより深みが増して、このセッションの素晴らしさを実感できると思います。森 陽馬

★当店にてお買い上げの方には、佐橋佳幸も参加した渋谷クワトロでの秘蔵ライヴ音源2曲が入ったCD-Rを先着で差し上げております。

2010年1月21日(木) 岡林 信康 「東京キッド」

 若い時に1970年の中津川フォーク・ジャンボリーに行った者としては、やはり岡林信康は特別な存在なのです。

 ここ数年、廃盤で入手困難だった彼の過去の作品が、各社から続々と再発となり、昔からのファンとしては嬉しいかぎりです。

 そんな岡林信康の新録音アルバム『レクイエム〜我が心の美空ひばり〜』が1月20日に発売されました。(TOCT-26935 \3,000)
 ジャケットが1975年の古い写真なので、昔の作品と思っている方もいらっしゃるようですが“新作”です。

 美空ひばりが歌った曲を岡林がカヴァーする、というのがこのアルバムのコンセプト。
 1949〜66年の作品が11曲、1975年に岡林が美空ひばりに提供した曲が2曲、そして35年前、岡林への手紙に美空ひばりが添えた詞に、新しく岡林が補作詞を書き作曲した新曲「レクイエム〜麦畑のひばり」の全14曲が収められています。

 どの曲も丹念に歌いこんだヴォーカルが印象的で、じわじわと心に沁みてきます。演奏は曲によって違いますが、いつものエンヤトット・リズムのバンド、山下洋輔トリオなどが参加。

 この曲「東京キッド」では、近年岡林の良き相棒となり、このアルバムでもアレンジャー、サウンド・コーディネイターとしても活躍の平野融(生ギター)、ドラムスも板についてきた我が学友の浜口茂外也(ドラムス)、ひさしぶりに岡林のセッションに参加した御大、細野晴臣(エレキ・ベース)、素晴らしいソロを披露している徳武弘文(エレキ・ギター)の参加で、ゆったりとしたカントリー・ロック調の「東京キッド」が堪能できます。森 勉

2010年1月22日(金) Beach Boys 「Fun Fun Fun」

 本日はビーチ・ボーイズ、東京公演の初日。
 父の勉と東尾が見に行き、僕は店で留守番でした。

 ライヴ終了後に電話があり、「とても楽しかった!」とのこと。東尾はクリスチャン・ラヴ(マイク・ラヴの息子でギタリスト)から、ギターピックまでもらったそうです! おーーー、羨ましい!

 僕は明日見に行きますが、ブライアン・ウィルソンのコンサートより今回のビーチ・ボーイズの方がはっきりいって楽しみですね!
 そりゃ、ブライアン・バンドの方が演奏力やコーラスなども質が高いかもしれないけれど、マイク&ブルースが絶対に“楽しいビーチ・ボーイズ”を見せて聴かせてくれるハズ。

 そう! ビーチ・ボーイズはやっぱり楽しくなきゃ、と思うんです。
 近年『ペット・サウンズ』再評価が進んでから、ビーチ・ボーイズ的なバンド、であるとか、『ペット・サウンズ』的なサウンド、といったキャッチ・コピーのミュージシャンが色々出てきましたが、でもでも全然違うんですよね。

 なんといっても“楽しさ”の伝わり方が天と地の差。
 形態模写のようにビーチ・ボーイズ的なサウンドを奏でてみたところでそれはそれ。本質的なビーチ・ボーイズの魅力は歌や演奏だけではないのです。

 マイクが年老いてブルースの声がほとんど出なくなったとしても、“ビーチ・ボーイズ”は“ビーチ・ボーイズ”! カリフォルニアの素敵な夢を見させてくれるのは、なんといってもビーチ・ボーイズだけでしょう。

 ああ、早くマイク&ブルースに会いたいなあ! 明日が本当に楽しみ♪ 森 陽馬

★掲載ジャケットは、1973年発表名作ライヴ・アルバム『ビーチ・ボーイズ・イン・コンサート』(期間限定価格盤 TOCP-54101 \1,500 \2,600の紙ジャケも店頭にまだあります)。

2010年1月23日(土) ビーチ・ボーイズ 「ヘルプ・ミー・ロンダ」

 昨晩は店長に付いて、初めての生ビーチ・ボーイズを観てきました。

 とにかく、とっても楽しかったです!
 その一言に尽きます。

 思い出すとまた気持ちがウキウキしてきます。
 椅子に座ってじっくり聴くライブも勿論良いですが、ライブならではの楽しさって本来こういうものだな〜と改めて感じました。

 初めてながら、マイク・ラヴに手が届く距離、というなんとも贅沢な体験をさせていただきました。
 手を振ったり、目を合わせたり、終始お客さんに気を配り、歌う姿が印象的でした。
 と、まだ公演が残っておりますので、感想はこれくらいにしまして、店長のレポートをお楽しみにしてくださいね。

 余談ですが、ビーチ・ボーイズの前日21日は、同じくビルボード・ライブ東京で、ロディ・フレイム(アズテック・カメラ)のライブを観に行ったのですが、「明日ここでビーチ・ボーイズがライブをするんだよね」と「I Can Hear Music」を自分の曲に続けて少し歌ってくれました。
 彼はブルースのファンらしく、何かのインタビューで「Disney Girls」が好きだと語っていたのを思い出しました。東尾沙紀

2010年1月24日(日)Beach Boys 「God Only Knows」&「Do You Wanna Dance」

 ビーチ・ボーイズ日本公演最終日。
 ビーチ・ボーイズ・ウィークも今日でおしまいです。もうネタバレもOKでしょうから、23日に見に行った時のレポートを。

 23日はビーチ・ボーイズ・ファン・クラブの方が多くいらっしゃっていたせいか、場内がとても盛り上がっていましたね。ビルボードライヴ東京という場所柄、お堅い雰囲気で進行するかと思いきや、ブルースが立つ曲&座る曲をジェスチャーで指示してくれたので、見ている僕らも皆リラックスして楽しむことができました。

 ブルースが声が出なくなっている、とか、マイク・ラヴの息子クリスチャン・ラヴのギターの歯切れの悪さ&「ココモ」における歌の弱さ(カールのパートを歌う事自体が難しいことではありますが・・・)など、演奏や歌の細かい点からすれば、ツッコみどころ満載だったかもしれません。

 でもそれは全く関係なく、とにかく楽しめましたね! ライヴ中はカリフォルニアへスリップしたような感じ! 演奏の完成度と音楽的感動は必ずしも一致しない、ということが改めて実感できた素晴らしいライヴでした。

 ちなみに1部と2部ではセット・リストがどの日も違っていて、1部のみの曲として「In My Room」、「Cotton Fields」、「When I Grow Up」、「Why Do Fools Fall In Love」、「Then I Kissed Her」、「Rock And Roll Music」、「California Dreamin'」。 2部ではそれが「Getcha Back」、「Darlin'」、「The Warmth Of The Sun」、「Sail On Sailor」、「Dance Dance Dance」、「Do You Wanna Dance」に変更になる、というパターンが多かったようです。(だいたい約80分で全28曲前後でした)

 あと、1部にはなかった演出として、2部では途中で日本人の若いドラマー(ジョン・カウシルの知り合いの日本人という噂)が登場、そして「Barbara Ann」では日本人女性二人がステージ上に登場、ということがありました。

 フジロックとの比較、という点では、ドラムがジョン・カウシルという人(あのカウシルズに在籍していた人)に代わっており、この人が歌もとても上手かったのが良かったですね。
 はっきりいって、彼と、ファルセットで歌えるランデル・カーチ(B)が今のビーチ・ボーイズを支えていると言っても過言ではないと思います。

 もっと頑張ってほしいのが、マイクの息子、クリスチャン・ラヴ。
 見た目はかっこよくて、父マイクと並んでセンターに立っているものの、歌と演奏は正直言って今ひとつの印象。「ホント、これからのビーチ・ボーイズは君の頑張りにかかっているんだよ!」という応援する気持ちで見てしまいました。(いやーー、こういう風に自分もお客様から言われていると思うので・・・。汗が出てきますね・・・)

 なんかダラダラと書いてしまいましたが、とにかく楽しかったです!
 ビーチ・ボーイズの音楽の“本質”を改めて感じることができました。

 「The Warmth Of The Sun」&「Sail On Sailor」が良かったですが、個人的に印象に残ったのは、ブルース・ジョンストンが苦しそうに歌う「God Only Knows」、かなりリズム・テンポが早かった「Do You Wanna Dance」(これもブルースが頑張って歌ってました)でした。

 値段はより高くなってもいいから、ベンチャーズみたいに毎年来て欲しいですね! とにかくもThank You! Beach Boys! 森 陽馬

2010年1月25日(月) Davis feat Mike and Christian Love 「Peace and Love」

 ビーチ・ボーイズ来日公演が終わってしまい、なんかちょっと寂しい心持ち…。(常夏のハワイから帰国して現実に戻された感じでしょうか。) そう感じてしまうくらい、マイク&ブルースのビーチ・ボーイズは楽しかったですね。

 いいかげんビーチ・ボーイズ・ネタは終わりにしようと思いつつ、今日もビーチ・ボーイズで。

 昨年の年末に発売されたこのアルバム『JDRF:Hope For The Holidays』は、糖尿病患者支援を目的としたチャリティー・アルバム。
 目立たないジャケットですが、マイク&ブルースのビーチ・ボーイズ、CCR(ジョン・フォガティのいない今のCCR)、エリック・アンダーソン、ウィーザーなど著名なミュージシャンが参加。ビーチ・ボーイズでドラムを叩いていたジョン・カウシルによるカウシルズ名義の楽曲や、ランデル・カーチによる「Christmas Love」という曲も収録されており、ビーチ・ボーイズ・マニアとしては見逃せない内容の1枚です。

 上記のように現ビーチ・ボーイズのメンバーが絡んだ曲は多数収録されていますが、その中から17曲目に収録されている「Peace and Love」。

 このチャリティー・アルバムのエグゼクティヴ・プロデューサーであるDr.Lawrence Davisさんが作った楽曲で、彼がメイン・ヴォーカルを取り、マイク・ラヴと息子、クリスチャン・ラヴがコーラスを付けた穏やかな1曲。
 ビーチ・ボーイズ名義の中では、配信限定だったE「Santa's Goin' To Kokomo」がいかにもビーチ・ボーイズらしい1曲ですね。

 ちなみに昨日、クリスチャン・ラヴの悪口を散々書いてしまいましたが、個人的な悪意は全くなく、期待が大きいゆえの叱咤・激励です。
 いつかマイク・ラヴが歌えなくなってしまったとしても、クリスチャンが中心となって、“ビーチ・ボーイズ”は永久に続けていって欲しいのです。森 陽馬

2010年1月26日(火) George Jackson 「Aretha, Sing One For Me」

本日はマイケル・ジャクソンの映画『This Is It!』、DVD&ブルーレイ入荷日。

 どの店もマイケルで盛り上がっているでしょうが、うちの店ではこのジャクソンもオススメです。
 サザン・ソウル、ディープ・ソウル・ファンには密かに人気のソングライター、ジョージ・ジャクソン。

 この人名義のアルバムは当時から出ていないのですが、70年代メンフィスで録音した貴重なシングル音源を中心に未発表音源も含めた全21曲収録の編集盤が、イギリスの名レーベル、ACE傘下のKENT SOULより昨年末リリースされました。(国内盤はP-VINEから1/6に発売 日本語解説・歌詞付 \2,625)

 レコード・コレクターズ2010年2月号・リイシュー・ベスト特集のソウル部門でも見事1位に輝いた1枚で、内容も素晴らしいですね!
 “サザン・ソウル”、“ディープ・ソウル”というと、熱いソウルフルな歌声をイメージしてしまうかもしれませんが、彼の歌声は、マーヴィン・ゲイとサム・クックを足し更にちょっとソフトにした雰囲気。ルー・コートニーとかにも似ているくらい、やさしくてスムーズな味わいある歌声です。

 その上、さすがソングライターだけあって、歌詞が面白い!
 この曲「Aretha, Sing One For Me」は、アレサ・フランクリンのライヴ・ショーをモチーフにした歌詞になっていて、曲の後半には、「I Never Loved Anyone Like I Love You」、「Respect」などアレサの名唱で知られる楽曲が7曲も歌詞に登場。アレサ・ファンも必聴の1曲!

 ちなみに6曲目に収録されている「How Can I Get Next To You?」では、ボビー・ウォマック、アル・グリーン、ジョニー・テイラー、JB、ルーファス・トーマス、マーヴィン・ゲイの名前&曲名が歌詞に織り込まれており、これもスゴくイイ曲!(国内盤には歌詞も付いています)
 この2曲だけでも買い!の1枚ですね。森 陽馬

2010年1月27日(水) ビーチ・ボーイズ 「サーフィン・サファリ」

 2010年もあっという間にひと月過ぎようとしていますが、この1月後半はスペシャルな時となりました。
 それは、22、23、24日と六本木にあるビルボード・ライヴ東京で、ビーチ・ボーイズのライヴがあったからに他なりません。

 来日前までは、14,500円という価格が“?”、
 ビルボード・ライヴというオシャレっぽい場所でどうなの?、
 1時間10〜20分くらいの短い演奏時間じゃ?、
 マイク・ラヴとブルース・ジョンストンしかいないビーチ・ボーイズって?、
と色々と疑問符がついていたのですが、ライヴを見たらそんなものがみんなフッ飛んでいってしまいました。

 実に楽しいライヴでした。
 そして、マイク・ラヴのパフォーマーとしての存在感と観客へのサービス精神に感服しました。ダテに50年近く、ライヴでのビーチ・ボーイズのメイン・キャラクターとしてやってきたわけではなかった、ということが近くで見て、よ〜〜〜くわかりました。
 ということで、今回のビルボード・ライヴでは出だしの怒涛のメドレーで歌われた「サーフィン・サファリ」を今日のこの1曲に。

 ちなみに、1966年の初来日の時も1月だったのです。
 1月7日渋谷公会堂に始まり、23日の新宿厚生年金ホールまで全国をツアーしてくれました。

 その時、僕は中学2年生だったのですが、ライヴを2回見てますますファンになったのを想い出します。

 そう、ブライアン・ウィルソンはライヴ・ツアーには参加せず、L.Aのスタジオでアルバム『ペット・サウンズ』を録音していました。
 1月22日は、「素敵じゃないか (Wouldn't It Be Nice)」のインストゥルメンタル・セッションをやっていた、と記録には残っています。森 勉

2010年1月28日(木) The Squires (Neil Young) 「Aurora」 

 全米レコーディング芸術アカデミーがスポンサーを務め、ミュージシャンが金銭・健康面で危機的状況に陥った際、援助を行なう団体“MUSICARE”。
 毎年、“Musicare Person Of The Year”が選出されるのですが、今年はニール・ヤングの受賞が決定。明日29日に授賞式&トリビュート・コンサートが開催されます。

 このトリビュート・コンサートの参加予定ミュージシャンが超豪華メンツで、ジェイムス・テイラー、CSN、ジャクソン・ブラウン、ノラ・ジョーンズ、エミルー・ハリス他多数! 更に新メンバーのジョシュ・クリングホッツァーを迎えるレッド・ホット・チリ・ペッパーズ(ジョン・フルシアンテは脱退)が久々活動再開、と華やかな授賞式となりそうです。
 以前に、ブライアン・ウィルソン、ジェイムス・テイラーが受賞した際のトリビュート・コンサートの模様はDVD化されたので、是非今回もソフト化してほしいですね。

 今日のこの1曲「Aurora」は、ニール・ヤングがバッファロー・スプリングフィールド結成前に組んでいたバンド、“スクワイアーズ”が1963年に録音した唯一のEP盤B面曲。

 シャドウズを下敷きにしたインスト・ナンバーながら、これが聴くほどに哀愁伝わるイイ曲なんです。A面曲「The Sultan」は、昨年のツアーでも時々演奏していましたが、こっちの方がギター・ソロにニール・ヤングらしい雰囲気がすでに出ていて僕は好き。

 ちなみに、アーカイヴBOXにはこの曲のフォルダ内に隠し映像が収録。1963年当時ニールが自分自身に封筒と出していたようで、その未開封だった封筒をこの度ニール自身が開封して中身を確認する、というドキュメンタリー的な内容ですが、ちょっと不思議&謎な映像なのです。
 何故かニールの顔が映らなかったり、カメラ位置なども自然すぎて逆に不自然な感じ。あえてBOXセットのドキュメンタリー性を出すために、このような設定で後から撮影した映像なのでしょうか?(深読みしすぎ?)
 ちなみにその自身に宛てた封筒の中には、この曲「Aurora」の譜面が入っていました。森 陽馬

★掲載ジャケットはアーカイヴBOX内のDisc.0。1965年3月21日、Westgat High Schoolで行なったスクワイアーズのライヴ写真が元になっています。
なおニールヤング新聞を久々に作成しました。店頭で無料配布しております。

2010年1月29日(金) マウンテン・モカ・キリマンジャロ 「A Woman Changed My Life」

 埼玉発の日本人6人組インスト・ファンク・バンド、“マウンテン・モカ・キリマンジャロ”。約2年ぶりとなる新作2ndアルバム『ウフル・ピーク』が先日発売。(PCD-25107 \2,625)

 2008年5月19日にこちらのコーナーで紹介した1stアルバムも超ファンキーなかっこいい作品でしたが、押し一辺倒な感があった1stに比べ、新作は味わい深いミディアム〜スローなナンバーから、より深みのあるグルーヴ感も加味。バンド・サウンドの成長を如実に聴き取れる1枚に仕上がっています。

 例えば8曲目に収録されている「A Woman Changed My Life」。
 オルガンとホーンがメロディを奏でるスローなインスト・ナンバーで、ブッカーT&MG'sが「When A Man Loves A Woman (男が女を愛する時)」を演奏しているような雰囲気の1曲。

 世界的に有名な新生ジャズ・ファンク・レーベル、“ジャズマン”から1stアルバムがワールド・リリースされたり、昨年末にはオーストラリア・ツアーも成功させるなど、オーサカ=モノレールと共に日本を代表するファンク・バンドとして、まだまだこれからも活躍の場を広げていきそうです。

 ちなみに、“マウンテン・モカ・キリマンジャロ”というバンド名は、“レッド・ホット・チリ・ペッパーズ”に影響を受けてつけたとのこと。
 最初はそのレッチリのカヴァーなどもやっていたそうですが、そのレッチリのルーツを探っていくうちにJBやミーターズなどに代表される“黒いグルーヴ”に辿り着いたそうです。

 こういうルーツを探求していく若いバンドがこれからもどんどん出てきてほしいですね。森 陽馬

2010年1月30日(土) マイア・バルー 「Asia」

 3年前に知り合いの方に連れてって頂いたピエール・バルーの公演で、当のご本人よりも強く興味を惹かれたのが、サポートで出演されていた娘のマイアさんでした。

 アフリカなどのワールド・ミュージックや日本の島唄などを取り入れた歌唱スタイルと、フルートを吹く姿がすごくかっこよかったのです。

 これまでライブを中心に、ちんどんユニット加入、坂本龍一監修『にほんのうた』シリーズへの参加含め、様々な活動をしてきた彼女が、先日6曲入りのデビュー・ミニ・アルバムをリリースしました。(『地球をとってよ!』 DQC-408 \2,000)

 共にライブ活動を行うトリオの演奏を中心に、4曲にシアター・ブルックの佐藤タイジがプロデュース&ギターで参加しています。

 基本的には日本語(お母さんが日本人)で、フランス語を交えた2曲では父ピエール・バルーの影響もしっかりと感じ取れます。旅した地に根付く音楽を積極的に吸収し、ミックスしたアレンジはマニアックになり過ぎず、とても聴きやすい一枚です。

 「Asia」と書いて“アシア”と歌われるこの曲では、アジアの様々な地名が歌詞の中に登場。民族音楽のような力強い音と、中盤のヒュルヒュルと渦巻くフルートの音色がとてもかっこいい一曲!
 今後注目のシンガー/パフォーマーの一人です。東尾沙紀

2010年1月31日(日) The Bawdies 「Emotion Potion」

 CDショップ店員による投票で決定する“CDショップ大賞”
 第二回の大賞には、The Bawdiesが選ばれました。
(ちなみに第一回大賞は相対性理論)

 僕はサカナクションかスーパーフライが選ばれると思っていたので、ちょっと意外でしたね。(実行委員長の行さん、投票を失念してしまい申し訳ございません・・・。)

 The Bawdies(ボウディーズと読むそうです)は、4人組ロック・バンド。
 ラヴ・サイケデリコのNAOKIが4曲プロデュースで参加しており、サウンドはブルージーな骨太ロック。ストーンズっぽい雰囲気もあって、勢いを感じさせる楽曲です。

 一番の魅力はその歌声で、一聴するだけだと洋楽、それも黒人アーティストと勘違いしてしまいそうなブルージーなダミ声。僕はフーティー&ザ・ブロウフィッシュの黒人シンガーを思い出しました。インパクトもあってかっこいいです。

 ただ、そのインパクトの強さゆえ、これからの作品でどうなっていくかが気になりますね。21世紀に入ってからは短命なバンドが多いので、いい曲を書いて末永く活動していってほしいものです。森 陽馬






トップへ
戻る