PET SOUNDS RECORD
今日のこの1曲 アーカイヴス


  今日のこの1曲 “Achives”

<2012月4月>

当店ペット・サウンズ・レコード店にて、
その日に店内でかけていた曲の中から、
店員の独断と偏見で選んだ“今日のこの1曲”コーナー

2012年4月に更新した“今日のこの1曲”コーナー。
廃盤・生産中止、規格番号の変更など、
情報が古くなっている商品もございますが、ご了承くださいませ。

<最新の“今日のこの1曲”はこちらのページをご覧ください>


2012年4月1日(日) ライチャス・ブラザーズ 「ひき潮」(Ebb Tide)

 昨年からフィル・スペクター関連のうれしい再発が続いています。

 3月28日にはライチャス・ブラザーズが1965年にフィレス・レーベルから立て続けに発表した3枚のアルバム『ふられた気持ち』、『ジャスト・ワンス・イン・マイ・ライフ』、『バック・トゥ・バック』、アイク&ティナ・ターナー1966年発表作『リヴァー・ディープ・マウンテン・ハイ』、チェックメイツ・リミテッド1969年発表『黒い涙』(原題:Love Is All We Have To Give)、そしてフィル・スペクターの最重要ソングライターであるエリー・グリニッチ1973年発表ソロ作『ビー・マイ・ベイビー』(原題:Let It Be Written, Let It Be Sung...)の6枚が最新リマスター&紙ジャケで発売されました。

 その中から今日はライチャス・ブラザーズ。
今回出た3種類はオリジナルLPレコードで発売された形(ジャケット及び曲目)をほぼそのまま再現したもの。1965年に出て以来今までオリジナル・ジャケットでは一度も再発されたことがなかったので快挙と言っていいと思います。
 それにステレオ&モノラルの2イン1ですし。解説・歌詞・対訳付ですし。

 とにかくライチャスのこのジャケットが再発になったのがうれしい。

 この『バック・トゥ・バック』の裏ジャケには興味深い写真が載ってます。
(国内CD SHM-CD仕様 UICY-75149 解説:長門芳郎 2,800円)

 フィル・スペクターが袖口にフリルをあしらったなんとも派手なシャツを着て、犬猿の仲となってしまうことになるビル・メドレーとにこやかに並んでいる写真です。このアルバムが出た頃はもうこの二人が険悪な関係になっていたと思われるので、こんな親しげなフィルとビルの写真をよく使ったなぁと思ってしまいます。

 「ひき潮」は、「アンチェインド・メロディ」同様、ボビー・ハットフィールドのハイトーン・ヴォーカルが魅力の1曲。

 この曲でフィル・スペクターが試みた美しいストリングスの響きは、ビートルズ「ロング・アンド・ワインディング・ロード」の荘厳なストリングスに活かされていくんですね。森 勉

2012年4月2日(月) THE SHINS 「Fall Of '82」

 USインディー・ポップ界で90年代半ばから活動、コンポーザーとしてグラミー賞受賞経験もあるジェイムズ・マーサー率いるザ・シンズ。

 デンジャー・マウス(ナールズ・バークレーetc)とのユニット、ブロークン・ベルズのアルバムを挟んで約5年ぶり4作目となる新作『Port Of Morrow』が先日リリースされました。(国内CD SICP-3449 2,520円)

 今作で共同プロデューサーを務めるのは、イナラ・ジョージとのユニット、ザ・バーズ・アンド・ザ・ビー/音楽プロデューサーとして活躍するグレッグ・カースティン。最近だとフォースター・ザ・ピープルを手掛けた事でも知られています。

 バンドメンバーが脱退しジェイムズ一人で完成させた今作は、ブロークン・ベルズのエレクトロニカ/シンセ・ポップ的なオープニング曲「The Rifle's Spiral」と、「Fall Of '82」(なんとなくビートルズっぽい)のようなシンズ本来のひねたポップ・センスが合わさった一枚です。東尾沙紀

2012年4月3日(火) 赤い靴 「小さな薔薇のバレッタ」

 女性シンガー・ソングライター東川亜希子と、若き奇才ドラマー神谷洵平によるユニット、赤い靴。

 昨年7月発表された1stアルバム『コマドイルの旅』(2011年12月2日にこのコーナーで紹介)は当店でロングセラー。大橋トリオファンから女性ヴォーカル好きの方まで好評の1枚です。

その赤い靴が新作『サラバトーゲの街』をリリースしました。
(PWSR-1031 2,000円)

 ジャケット・イメージ同様、前作の流れを引き継ぐ独特なポップ・センスとサウンド・アレンジ。
 サラバトーゲという架空(?)の街を舞台にした幻想的な世界観は、まるで絵本のサントラのよう。

 1曲目「小さな薔薇のバレッタ」は、大橋好規(大橋トリオ)がウッド・ベースを担当。大橋トリオのほとんどの歌を手掛けているmiccaが作詞、そしてコトリンゴがピアノで参加しています。

 なおSpecial Thanks欄に<神谷生花店の人々>と記載があるので、神谷洵平のご実家は花屋なのでしょう。この曲以外にも7曲目「コスモスの便り」に花が登場しますね。森 陽馬

2012年4月4日(水) 大橋トリオ 「Polly」(ニルヴァーナのカヴァー)

 僕らの世代(アラフォー)にとって、ニルヴァーナはやはり痛烈な存在のバンドでした。

 91年発表『ネヴァーマインド』は、当時洋楽ロックを聴いていた人ならマストな1枚でしたし、カート・コバーンがニール・ヤング「ヘイ・ヘイ・マイ・マイ」の歌詞「錆びつくより燃え尽きたい」を引用した遺書を残しライフルガンで自らの頭を撃ち抜いたのも衝撃的でした。

 その『ネヴァーマインド』の楽曲を日本人アーティストがカヴァーしたトリビュート・アルバムが発売。(『NEVERMIND TRIBUTE』 UMCF-1072 2,890円)

 ONE OK ROCK、9mm Parabellum Bullet、Back Drop Bombなどに混じって異色なのがなんと大橋トリオ。

 激しいロック/パンク的アレンジが多い中、大橋トリオはウーリッツァーを中心としたアコースティックなアレンジで、カート・コバーンの光と影、両面を表現した「Polly」をカヴァーしています。(過激な詞ですが実際にあった事件を元に反レイプを意とした歌です)

 なお、お買い上げの方に先着で差し上げているブックレットには、参加ミュージシャンのインタビューが各々掲載。それによると大橋さんは高校生時にやっていたバンドでニルヴァーナをカヴァーしていたそうです。森 陽

2012年4月5日(木) エリー・グリニッチ 「And Then He Kissed Me」

 キャロル・キング『つづれおり』が1971年に発表され大ベストセラーを記録したことによって、1960年代にソングライターとして活躍した人たちがソロ・アルバムを続々と発表したのが、1970年代前半でした。

 バリー・マン、ジェリー・ゴフィン、ポール・ウィリアムス、チップ・テイラー、ピーター・アンダース(アンダース&ポンシア)、そして、このエリー・グリニッチ。

 彼女が1973年にヴァーヴ・レーベルから発売した『Let It Be Written, Let It Be Sung』が待望の再CD化となりました。(国内CD 限定紙ジャケ&SHM-CD仕様 UICY-75152 2,800円)

 「メイビー・アイ・ノウ」(レスリー・ゴーア)、「ビー・マイ・ベイビー」、「ベイビー・アイ・ラヴ・ユー」(ロネッツ)、「チャペル・オブ・ラヴ」(ディキシーカップス)、「トゥデイ・アイ・メット・ザ・ボーイ・アイム・ゴナ・マリー」、「ボビーが帰ってくるまでは」(ダーレン・ラヴ)、「アイ・キャン・ヒア・ミュージック」(ロネッツ/ビーチ・ボーイズ)、「リヴァー・ディープ・マウンテン・ハイ」(アイク&ティナ・ターナー)など、エリー自身が1960年代に書いた名曲がオリジナルとは違った趣向のアレンジで楽しめるのが今作です。

 「アンド・ゼン・ヒー・キスト・ミー」は1963年クリスタルズがヒット、ビーチ・ボーイズでも「ゼン・アイ・キスト・ハー」のタイトルでカヴァーしていますが、ここではエリーのコーラス・アレンジメントの妙が聴きものです。森 

2012年4月6日(金) ポール・ウェラー 「Study In Blue」

 本国イギリスでは初登場1位となったポール・ウェラーのソロ11枚目となる最新作『ソニック・キックス』国内盤が今週リリースになりました。

 NEU!にインスピレーションを受けたという@「GREEN」のデジタルなビートに、従来のソウルフルでロックなイメージをお持ちの方は度肝を抜かれる事間違い無し!

 今作もここ3作でタッグを組むサイモン・ダインとの共同プロデュースです。

 エレポップ、ダブ、サイケ...全体の印象としては80年代ぽく、スタイル・カウンシル後期を彷彿とさせる楽曲がちらほら。アレンジの好みはあるかと思いますが、ショーン・オへイガンがストリングス・アレンジを施したアコースティック・バラードや、彼のこども達がコーラス参加した父性溢れるソウル・ナンバーもあり、近作の中では一番トータルアルバムとして充実した作品だと思います。

 ダブを取り入れた「Study In Blue」では、妻ハンナとデュエット。彼女の美しい歌声が華を添えています。

 デラックス・エディション(国内CD UICO-9062 4,800円)には、ビデオクリップ、本人による曲解説インタビューなど約50分の映像を収録したDVD付き。更にCDのみ通常盤より2曲多い4曲のボーナストラック入りです。東尾沙紀

2012年4月7日(土) ショコラトル 「MAGIC」

「甘やかだけど、すっと溶けて、ほろ苦くて、後味はすっきり。その名のごとくスパイスの効いたホット・チョコレートみたいな彼女達です。」(土岐麻子)

 帯に記載されている上記推薦文のように、超ポップなメロディーと女性ヴォーカルが魅力の3人組ユニット、ショコラトル。3作目となる新作『Toi Toi Toi!!!』が発売になりました。(SRCD-2 2,000円)

 2009年発表1st『コピ・ルアック』(2009年1月30日に紹介)、2010年ベストにも選出しようか最後まで迷った傑作2nd『tot』。

 どちらも当店では大好評で、僕自身今でもよく聴いているくらい気に入っているのですが、待望の新作も期待通りの素晴らしい仕上がり! クラムボン、マイクロスターお好きな方にもオススメしたい1枚です。

 前作までプロデュースはパリスマッチの杉山洋介が担当していましたが今作はセルフ・プロデュース。でも彼女達のポップ・センスは変わっていません。

 弾けるような1曲目「laughin' monster」に続く2曲目「MAGIC」。
ヴォーカルazuがデビュー前最初に作った楽曲がこの曲だそうで、素晴らしいアレンジを加えて遂にお披露目。タイトル通り、イノセントなMAGICに包まれたポップ・チューンです。森 陽馬

2012年4月8日(日) 曽我部恵一バンド 「街の冬」

 ニール・ヤングの新作が6月に発売決定しました。

 今回はニール・ヤング&クレイジー・ホース名義!
2003年『グリーンデイル』以来、本当に久々のタッグ!
 『アメリカーナ』というタイトルで、アメリカに代々伝わっている名曲をカヴァーした作品のようです。楽しみですね。

 さて、今日は“日本のクレイジーホース”を目指している感もある曽我部恵一バンドの新作3rdアルバムからこの1曲。(ROSE-129 2,500円)

 正直言うと、今までの曽我部恵一バンドは<サニーデイとは違ったロック・バンド>という印象しかなかったのですが、3年という制作期間が費やされたこの入魂作は本当にかっこいい!

 かっこつけようとしたかっこよさ、ではなく、彼の内面から吐き出された歌詞が情熱的で武骨な演奏に乗って胸に響いてきます。

 フォーク調で歌われるラスト「満員電車は走る」や先行7インチ曲「ロックンロール」もいいのですが、グッときたのは6曲目「街の冬」。

 札幌で実際に起きた姉妹の孤独死を題材にした楽曲。
疾走感ある演奏/叫ぶように歌われるこのロック・チューンを聴いて、ボブ・ディラン「ハリケーン」、ニール・ヤング「クライム・イン・ザ・シティ」を思い出しました。森 陽馬

2012年4月9日(月) 大津美子 「ここに幸あり」

 日本の音楽と外国の音楽、どちらが好きか?と問われれば、やはり外国の方、と答えるのが常ではあります。

がしかし、日本の音楽にも好きな曲がそれはそれはたくさんあります。

 今日その中からとても古いこの1曲を。

 大津美子「ここに幸あり」。昭和31年の大ヒット曲です。

 小学校に上るか上がらないかの頃、ラジオで聴いて覚えたのでしょう。(その頃わが家にはまだテレビはありませんでした)

♪ 嵐も吹けば 雨も降る 女の道よ なぜ険し 君を頼りに 私は生きる ここに幸あり 青い空 ♪

大きな声で歌っていると母親から、「子どもがそんな歌、歌うんじゃありません!」と怒られたことを思い出しますね。

 今でもなんとなく心の琴線にふれるメロディーなんですね。森 勉

★掲載ジャケットは「ここに幸あり」収録ベスト盤。(KICX-3117 2,500円)

2012年4月10日(火) America 「Ventura Highway」(LIVE)

♪ 太陽の光あふれるヴェンチュラ・ハイウェイ
昼が長く夜の闇が月の明かりより強いところ ♪
(アメリカ 「Ventura Highway」歌詞より)

ヴェンチュラとは、カリフォルニア南部西海岸沿いにある都市の名称。

 ジェリー・ベックリー、デューイ・バネル、ダン・ピークによるバンド、“アメリカ”が1972年に発表した名曲「ヴェンチュラ・ハイウェイ」は、デューイ・バネルがイギリス在住時、10代の頃住んでいたカリフォルニアを懐かしんで書いた曲だそうだ。

 今日紹介するこのアルバムは、そのヴェンチュラにあるMajestic Ventura Theatreで2005年に行われたコンサート音源が収録された1枚。(輸入CD America 『Ventura Highway with special guests Andrew Gold & Stephen Bishop』 SFMCD-252)

 昨年6月に亡くなったアンドリュー・ゴールド(もちろん「Lonely Boy」!)、そしてスティーヴン・ビショップのライヴ音源も一緒に収録。

 約30年の時を経て歌声は各々変わったが、ヴェンチュラの観客による温かい声援と拍手に胸が熱くなってくる好ライヴ盤だ。森 陽馬

2012年4月11日(水)「Peppy And George」 音楽:ルドヴィック・ブールス

満開の桜が豪雨で風花となって散る中、映画『アーティスト』を観に行きました。

今年のアカデミー賞で作品賞・監督賞・主演男優賞・衣装デザイン賞・作曲賞を受賞した現代の“白黒サイレント”映画。
かなり前から前売鑑賞券を購入し楽しみにしていましたが、その期待以上!本当に素晴らしい映画でした。

映画の主人公と言っても過言ではない愛犬のかわいい演技や、コメディ/人間ドラマ/愛憎劇などの要素が絡みながらテンポ良く見せる展開、見終わって心が温かくなるストーリーなど感動した点はたくさんありますが、一番は“音楽”の素晴らしさ。(ここでいう“音楽”とは映画内の音楽だけでなく総称としての“音楽”ですね)

サイレントなので、会話どころか日常に溢れる音(車のエンジン音やコップをテーブルに置く音など)も無く、絶えずバックでは音楽がかかっています。

 その音楽が主人公の心情を代弁したり、その場の雰囲気を見事に演出していて、「“音楽”というのはやはり素晴らしいものなんだな」と実感させてくれました。

 なおパンフレットに記載されているように、チャップリン作品や昔のサイレント映画へのオマージュがそこかしこに込めらています。
 小津安二郎監督映画で使われている「サセレシア」が使われていたり、ラストがタップ・ダンスで有名なあの名優をイメージさせたり、映画内の映画ポスターが名作をイメージさせるものだったり。

 白黒映画ながら現場ではカラーフィルムで撮影、現像の段階で白黒に変換する手法を用いたり、通常とは違い1秒22コマで撮影することによって昔の映画っぽい臨場感を出すなど、他にも手の込んだ工夫が為されているようです。

 もう一度映画館へ行って見たくなる作品でしたね。森 陽馬

★掲載ジャケットはサントラ盤(国内CD SICP-3486 2,520円)。

2012年4月12日(木) エミ・マイヤー 「What Kind」

 日本人の母とアメリカ人の父の持つ、アメリカを活動拠点としている女性シンガーソングライター、エミ・マイヤー。

これまでもテレビCMなどで彼女の歌声を聴く機会も多く、先日リリースされたミニアルバムにもTOYOTA『プリウス』CM曲として現在オンエア中の「On The Road」(ポップで春らしい一曲!)や、キューピーライトCM使用曲「lol」他全5曲が収録されています。(国内CD 『LOL』 VITO-111 1,575円)

 アルバムタイトルにもなっている「lol」、メールの文末などに付いているのを見かけた事がありますが、「Laugh Out Loud=声を出して笑おう!」という意味がある事を初めて知りました。
 スライドギターをフィーチャーしたゆったりと流れるようなこの曲は、友人の出産祝いに作られた曲だそう。

B「Still」、C「What Kind」では、アルバート・チャングという男性シンガーとコラボレーション。

 彼女が創作活動を始めた頃に刺激を受けた地元の友人だそうで、スモーキーヴォイスといった感じの良い声をしていて、素敵なデュエットを披露しています。東尾沙紀

2012年4月13日(金) Al Jardine 「Waves Of Love」 

 再結集ビーチ・ボーイズ、ツアー開始が近づいてきました。

 グラミー賞や大リーグのドジャースの球場で数曲パフォーマンスしていますが、正式なライヴとしては4月27日ニューオリンズのフェスが最初。どんな曲をやってくれるんでしょうか。8月の来日が楽しみですね。

 さて、2010年にCDRプラケース仕様で発売されたものの、一般流通していなかったアル・ジャーディンの最新オリジナル・アルバム『A Postcard From California』が、やっと正規盤としてリリースされました。(輸入CD Waterfront RRAJ-1)

 紙ジャケット仕様でバーコードもジャケ裏側に印刷されており、盤もちゃんとプレスCDになっています。

 2011年2月アル・ジャーディン来日公演の会場で売っていたCDも紙ジャケット仕様だったので、同じかな?と思ったら、なんとなんと!3曲も多い!

 12曲目にママス&パパス「California Dreamin'」カヴァー。
(デヴィッド・クロスビー&グレン・キャンベルがゲスト参加)

 14曲目に「Waves Of Love」という曲。

そしてラスト15曲目に「Sloop John B (A PIRATE'S TALE)」が収録。
(約7年前上記同タイトルで発売された絵本洋書に付いていたCDと同じヴァージョン。子供向けアレンジで歌詞も違う)

 注目は14曲目「Waves Of Love」。
アトランタのMerv Griffin's Resortsで録音されており、年代はわかりませんが参加メンバーにカール・ウィルソンの名前があることからかなり前の録音のようです。

 ただ楽曲自体はいかにもアルらしい快活なナンバーで、ビーチ・ボーイズのアルバムにピッタリな感じの1曲。
 せっかくなので、国内盤も出して欲しいですね。森 陽馬


ベストヒットUSAでビーチ・ボーイズの映像が流れるそうです。
(BS朝日4月17日23時より。テレビ朝日4月19日深夜3時40分より。)

2012年4月14日(土) 村田 和人 「太陽のPrecious」

 “夏”といえばこの人を忘れてはいけません! 村田和人!

デビュー30周年となる今年、待望の新作が5月23日発売されます。

 タイトルは『ずーーっとずっと、ずっと夏。』。

 2009年発表『ずーーっと、夏。』、2010年発表『ずっーーとずっと、夏。』に続く“夏三部作”ラストとなる今作。
 東芝家庭用太陽光発電システムCMソングとして昨年TVCMで流れた「太陽とPrecious」含む新曲10曲に、ムーン・レコード時代の名曲「一本の音楽」、「電話しても」、「終らない夏」の新録ヴァージョンを加えた全13曲。

 更に、良心のレーベル“FLY HIGH RECORDS”から、ずーーっと生産中止になっていた村田さんのムーン・レコード時代5作品が、新規ボーナス・トラックを追加し最新リマスター&紙ジャケSHM-CD仕様で同時発売されることも決定しました。

どちらも各々、当店のみの特典を製作する予定ですので乞うご期待!
(新作はオリジナルペンの予定。再発5Wは後日告知します。そしてもちろんオリジナル・リーフレットも製作しますよ。) 森 陽馬

通販ページに収録曲の情報などをアップしました。

2012年4月15日(日) リー・リトナー with エリック・ゲイル 「トゥモロウ」

 1977年夏にL.Aで録音されたこのアルバム『シュガー・ローフ・エクスプレス』は、当時のフュージョン・ファンにとって夢のようなアルバムでした。(国内CD NCS-787 2,100円)

 アメリカ西海岸代表:ギターの若大将リー・リトナーと、東海岸代表:スタッフで引く手あまた、いぶし銀のギター・プレイが評判だったエリック・ゲイルの共演が実現。

 一発録りのダイレクト・カッティング・レコードでの発売だったこともあり、緊張感あるセッションが聴きものです。

 ふたりのギタリストのバトルを支えるバックのメンバーは、ハーヴィー・メイスン(ドラムス)、エイブラハム・ラボリエル(ベース)、パトリース・ラッシェン(キーボード)、スティーヴ・フォアマン(パーカッション)という布陣。

 この曲は1976年にブラザース・ジョンソンが発表したバラード・ナンバーのカヴァーで、作曲はジョージ&ルイス・ジョンソン。

 リトナーとゲイルのメロウなギター・プレイがたっぷり7分間楽しめます。森 勉

2012年4月16日(月) JO MAMA 「Sailing」

レコード・コレクターズ誌最新号(創刊30周年記念2012年5月号)は、<20世紀のベスト・ギタリスト100>特集。

 30名の選定者が各々ベスト20を選び、編集部で集計・調整の上決定したベスト100ギタリストの順位&レビューが掲載されています。

 1位は予想通り(?)あの人。
ローリング・ストーン誌やギターマガジン誌でのベスト・ギタリスト特集でも1位だったので順当といえば順当か。

 個人的には、ダニー・コーチマー、ジョー・ウォルシュ、ヨーマ・コウコネン、ブルース・コバーン、ボニー・レイット、ワディ・ワクテルが100位以内に入っていなかったのが残念。

 特にダニー・コーチマー(以下クーチ)は、キャロル・キング&ジェイムス・テイラーの来日公演があった2010年頃にこの特集をやっていたら、おそらくランクインしていたのではないでしょうか?

 ダニー・クーチといえば、キャロル・キングと共に結成したシティや、リー・スクラー&ラス・カンケルらと組んだ“セクション”としての活動(ジェイムス・テイラー等の名作に参加)、そしてもちろんソロ作もリリースしていますが、彼のいいプレイが聴けるオススメ作品といえば、やはりジョーママでしょう。

 ジョーママは、キャロル・キングの元夫チャールズ・ラーキーとクーチが中心となって結成した白人5人組バンド。紅一点アビゲイル・ヘイネスの伸びやかな歌声と、ファンキーかつルーツ色豊かなバック・サウンドが魅力です。

 中でも70年発表1stに収録されている「Sailing」は大好きな1曲!

朝焼けの太陽が水平線に当りキラキラと輝いている様子が浮かんでくるイントロから、♪夢の海へと船出して行こう♪と歌われる歌。そしてクーチの見事なギター・ソロ。

 前向きな船出の曲ながら、不思議と郷愁をも感じさせるメロディと展開が素敵なナンバーです。森 陽馬


★掲載ジャケットは、その1stと72年発表2ndが一緒に入ったお得盤。(国内仕様CD CDSOL-7537 2,520円)

2012年4月17日(火)ロジャー・ニコルズ&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズ「ドント・テイク・ユア・タイム」(モノラル)

 ロジャー・ニコルズの作品の素晴らしさを一番理解しているのは、日本人かもしれません。

 1968年に発表されたアルバム『ロジャー・ニコルズ&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズ』を1987年初CD化以来ずっとCDとして発売し続けているのは日本だけですし、2007年の約40年ぶり2ndアルバム『フル・サークル』は日本先行発売でしたし、アナログ盤までプレスされました。

 そんなスモール・サークル・オブ・フレンズをこよなく愛する日本人のために、またマニアックなアイテムが日本企画としてユニバーサル・ミュージックから発売になりました。(国内CD 完全限定盤 UICY-75172 3,800円)

 今回は<デラックス・エディション>と題された2枚組CD。
通常のステレオ・ヴァージョンに加えて、初CD化となる幻のモノラル・ヴァージョン(これが聴きもの!)、そしてシングルのみの楽曲及びシングル・ヴァージョンを更に追加。

 発売当初はアルバムには未収録だったあの名曲!「ドリフター」ももちろん収録されています。

 「ドント・テイク・ユア・タイム」のモノラル・ヴァージョンは、今までのCDを聴いてきた方にも、新鮮な驚きの1曲となると思います。(アルバムのモノ・ミックス、すべてそうなんですけれどね) 森 勉


★ちなみにブックレットも超充実! ライナーノーツは読み応えたっぷり。
当時ゴーゴーナイアガラでオンエアしていた大滝詠一さんがいつロジャー・ニコルズのLPを手に入れたかなど、大滝さんに関わる記述もあるので、ナイアガラ・ファンの方も必読です。

2012年4月18日(水) Michael Kiwanuka 「I'll Get Along」

 ソウルのレア盤再発かと思わせるような古めかしいジャケット。
イギリスでは2012年最も活躍が期待されている新人シンガーソングライター、マイケル・キワヌカ。今年3月にリリースされた彼のデビュー作『Home Again』です。(輸入CD polydor 2796207)

 昨年アデルのツアーでサポートを務め注目されたノースロンドン出身の24歳。国内盤の予定は今のところはありませんが、フジロック'12での来日が決まっており、日本でもジワジワと注目を集めています。

 古めかしいのはジャケットだけではなく、音の方も!
プロデューサーのポール・バトラー(The Bees)の手腕によるものか70年代ソウルの空気を感じさせる音作りがされています。

 彼のルーツであるビル・ウィザースやテリー・キャリアーなど、フォーキーなソウルがお好きな方にオススメです。

 デラックス・エディションには、ジェイホークスなど沢山のミュージシャンを手掛けてきた名プロデューサー、イーサン・ジョンズとのセッション5曲を収録したボーナス・ディスク付。

 ディスク1,2両方に収録されている「I'll get along」という曲。
個人的に「ドッグ・オブ・ザ・ベイ」を想起させる一曲です。東尾沙紀

2012年4月19日(木) 鈴木祥子 「愛と幻想の旅立ち」

 今週末4月21日(土)は、RECORD STORE DAY。

 CDやアナログ・レコード、そして音楽の素晴らしさをレコード・ショップに行って楽しもう!と、アメリカで数年前から始まった祭典です。

 レコード・ストア・デイ限定のアイテムが毎回発売されますが、今年は日本人アーティストの限定盤(鈴木祥子3タイトル、ムーン・ライダーズ限定ピクチャーLP、キノコホテル限定LP、カーネーション限定EP)も発売。

 中でも注目は鈴木祥子さんのEP+2CD仕様盤『(To) my Sweetest Fantasy』。(BERD-9 3,800円)

 2012年2月18日サラヴァ東京の公開レコーディング・ライヴ(演奏の多重録音&歌入れを公開し、1曲が出来上がるレコーディング・プロセスを見せる画期的ライヴ)で録音され入場者のみに販売された新曲「愛と幻想の旅立ち」が、アナログEP&CDとして収録されています。

 これが超ポップなキラーチューン!

 祥子さんが曲解説で「バチェラー・ガール」、「ウォーキング・イン・ザ・レイン」等を引き合いに出しているように、ナイアガラ・ファンやオールディーズ好きの方もにんまりしてしまうような1曲!(達郎さんの「ヘロン」っぽい雰囲気も?)

 プレミアムなアイテムとなること間違いなしですのでお早めに。森 陽馬

2012年4月20日(金) Levon Helm 「When I Go Away」

 1999年にニューオリンズ旅行した際、リヴォン・ヘルムの店へ。(彼の店は数年後ウッドストックに拠点を移したが、その時はまだニューオリンズにあった)

 その時すでに喉頭ガンだったそうですが、声は出ずともステージ上で元気にドラムを叩いて、娘のエイミー・ヘルム他仲間のバンドと楽しそうに演奏していました。

 演奏が終るとリヴォンはお酒を片手に客席をウロウロしながら談笑。近くに来たものの緊張して話しかけられずにいたら、「お前どこから来たんだ?」ってな感じで気さくに話してくれて、快く一緒に写真を撮ってもらったりしたのも今ではいい思い出です。

 ここ数年は声も出るようになって、再びアルバムを発表したり、来日の噂が出たりしていたのですが、残念ながら4月19日逝去。71歳。

 自身の名義によるオリジナル・アルバムとして最後となってしまった2009年発表作『エレクトリック・ダート』(国内CD SICP-2366 2,520円)は、ラリー・キャンベルのプロデュースで、まさにいぶし銀な1枚でした。

今日のこの1曲は、ラリー・キャンベル作の9曲目「When I Go Away」(邦題:この世を去る時)。合掌。森 陽馬

2012年4月21日(土) サンドパイパーズ 「インチ・ワーム」

A&Mレーベルらしい60'sソフトサウンディングを全面に押し出したサンドパイパーズのCDが、なんと6枚も紙ジャケットで再発になりました。

L.Aで結成された男性3人組のコーラス・グループ、“サンドパイパーズ”。
1966年に「グァンタナメラ」を大ヒットさせて名を知られるようになり、70年代前半までコンスタントにアルバムを発表し活動しました。

 彼らのアルバム・ジャケットはほとんど女性の写真がフィーチャーされていますが、この1967年発表2ndアルバムもそんな感じで、メンバーは右下に小さく写っているだけのデザインになっています。(国内CD 完全限定盤 UICY-75167 2,800円)

 この「インチ・ワーム」は1950年代に作られたスタンダード曲で、最近ではポール・マッカートニーがカヴァーしていました。

 このアルバムもポールのもどちらもトミー・リピューマによるプロデュースです。

 それにしてもサンドパイパーズが6種も出るなんて・・・。
もう2度とないことだと思うので、コーラス・ファン、ソフト・ロック・ファンの方はこの機会に是非。森 勉

2012年4月22日(日) ゲイリー・バーツ 「ラヴ・バラッド」

 昨日21日はレコード・ストア・デイでした。

 <レコード屋さんを訪れCD/レコードを実際に手にとることによって音楽の楽しさを再認識してもらおう>という趣旨があるのですが、まだまだ認知不足なのかな、という感があります。

 そのレコード店自体の魅力低下も主因だと思うので、もっと僕らが面白い店作りにしなくてはいけないんですけどね。

 今回の明るい材料としては鈴木祥子さん、ムーンライダーズなど、日本人アーティストの限定盤も出ました。次回からは是非メジャー・メーカーも協力して、アナログ盤でなくてもいいから、ファンが喜ぶような商品を出してもらいたいですね。

 さて、メジャー・メーカーからの限定盤といえば、昨年からリリースされ好評だったEMIからの“JAZZ名盤 999円シリーズ”。
 その全270タイトルが今月末で出荷停止になるそうです。

 チェット・ベイカー『シングス』などの定番から、珍しいレア盤含めかなり面白いラインナップ。僕も何枚か購入しましたが、もう一度リストを見直して今のうち買っておこうかな、と思っています。

 今日のこの1曲は、マイルス・デイヴィス・グループやマッコイ・ターナーのグループにいたサックス奏者、ゲイリー・バーツの1977年発表作『ミュージック・イズ・マイ・サンクチュアリ』から。(国内CD TOCJ-50251 999円)

 ジャクソン5のヒット曲やドナルド・バードのファンキーな人気作を手掛けたことでも知られるマイゼル・ブラザーズがプロデュースを担当。

 デヴィッド・T・ウォーカー、ワーワー・ワトソン、ジェイムス・ギャドソンも参加し、ファンキー&グルーヴィーなソウルお好きな方にもオススメの1枚。

 シリータの歌声が魅力的なB「ラヴ・バラッド」。
L.T.Dの1976年ヒット曲のカヴァーですが、デヴィッド・Tのギターの音色がメロウでイイ感じです。森 陽馬

2012年4月23日(月) ローリンド・アルメイダ 「Here's That Rainy Day」

 昨日紹介したEMIジャズ999円シリーズ。
もうすぐ出荷停止ということで、これも今なら999円!

 “ジャケガイノススメ”シリーズとして以前限定紙ジャケット仕様で発売され好評だった1枚。ローリンド・アルメイダ『男と女』。(TOCJ-50102 解説付 999円)

 ブラジル/サンパウロ出身のギタリスト、ローリンド・アルメイダ。
1940年代後半からアメリカに渡り活動。スタン・ゲッツと共にボサノヴァ・ブームの立役者となったミュージシャンです。

 その彼が1967年に当時ヒットしていた楽曲を落ち着いたイージー・リスニング・アレンジでインスト・カヴァーしたのがこのアルバム。

 フランス映画『男と女』のテーマ曲、ビートルズ「ミッシェル」、トニー・ハッチ作「コール・ミー」、セルメンでヒットしたジョルジ・ベン作「マシュ・ケ・ナダ」他全11曲。今日は一日中雨が降っていたので、ちょっと渋いスタンダード曲を。

 ちなみにこのEMI999円シリーズ。
来月5月23日からロック編が始まります。

 その第一弾がなんと!“サーフィン&ホット・ロッド”!
ジャン&ディーンやファンタスティック・バギーズのオリジナル・アルバム、更には『シャット・ダウン』、『エンドレス・サマーOST』などが999円で発売されます。こちらも楽しみですね。森 陽馬

2012年4月24日(火) ウィルソン・フィリップス 「Dedicated To The One I Love」

 ウィルソン・フィリップス、快心の新作が出ました!

 タイトル『Dedicated』通り、彼女達の両親(カーニー&ウェンディはブライアン・ウィルソンの娘、チャイナはジョン&ミシェル・フィリップスの娘)が在籍していたビーチ・ボーイズとママス&パパスへ捧げたカヴァー・アルバムです。(国内CD SICP-3485 2,520円)

 「California Dreamin'」、「Twelve Thirty」、「Monday Monday」等のママス&パパス曲、「Wouldn't It Be Nice」、「Don't Worry Baby」、「God Only Knows」等のビーチ・ボーイズ曲を、原曲の良さはそのままに彼女3人のコーラスを活かしたアレンジでナイス・カヴァー。

 特にK「Good Vibrations」はなんと全編アカペラ!
テルミン音までアカペラで表現する気合の入れようです。
(国内盤ボーナス・トラックには更に3曲のアカペラ、そして「Hold On」のライヴ・ヴァージョンも追加収録されています)

 個人的に一番のお気に入りは「Dedicated To The One I Love」(邦題:愛する君に)のカヴァー。

 オリジナルはファイヴ・ロイヤルズで、ママス&パパスはもちろん山下達郎のカヴァーでも有名なこの曲を、キャス・エリオットの娘、オーウェン・エリオットも加えた4人で歌っています。

 そしてなんといってもブックレット!
名盤『ペット・サウンズ』ジャケットの動物園でエサを与えているシーンと、ママス&パパス1stアルバムのバスルーム・ジャケットを再現した3人の写真が掲載されていて、真に“Dedicated”な仕上がり。3人のコメントも愛に溢れています。森 陽馬

2012年4月25日(水) Jason Mraz 「be honest」 feat. Inara George

 アメリカ出身のシンガーソングライター、ジェイソン・ムラーズ。
約3年ぶり4枚目となる新作『ラヴ・イズ・ア・フォー・レター・ワード』がリリースになりました。(国内CD ボーナス2曲追加 WPCR-4456 2,580円)

 全世界で2000万枚以上の大ヒットとなった前作『ウィ・シング、ウィ・ダンス、ウィ・スティール・シングス』、09年発売のライヴ盤『ライヴ・オン・アース』。どちらも素晴らしい内容で当店でもヘヴィー・ローテーションのアルバムでした。

 新作では彼の持ち味のひとつ、躍動感のあるポップ・ナンバーというのは少なめですが、アコースティック・ギターを中心としたゆったりしたグルーヴを感じられる楽曲が詰まった作品となっています。

 今日の一曲は「be honest」。
ヴィブラフォンとチェンバリンを取り入れた柔らかいタッチのバラードです。

 イナラ・ジョージ(The Birds &The Bee、Living Sisters)がコーラスで参加し、心地良いハーモニーを聴かせてくれています。東尾沙紀

2012年4月26日(木) Jeff Larson 「Your Way Back Home」

 ビーチ・ボーイズ、新作スタジオ・アルバムが6月4日世界同時発売!
(リンク先は日本のEMI、ビーチ・ボーイズ特設サイト)

 タイトルは『That's Why God Made The Radio』(邦題:神の創りしラジオ)。
ビーチ・ボーイズがデビューした60年代初期、ラジオにかじりついてロックンロールを聴くウキウキ感が伝わってくるようなナンバー。イイですね!

 新作を出す、というのは年初から告知していましたが、この曲含め全11曲新曲とはビックリ! 来日が本当に楽しみになりましたね。

 さて、ビーチ・ボーイズ新作の前に、ウエスト・コーストな新譜を今日はご紹介♪

 “ウエスト・コースト・ロックの正しき継承者”、ジェフ・ラーソン。
待望の新作です。(輸入CD 『The World Over』)

 ジェリー・ベックリー全面プロデュースだった前作『Heart Of The Valley』は2009年ベストにも選出したくらい個人的に気に入っていたアルバムでしたが、今作はHank Lindermanとの共同プロデュースで、ボブ・ブロズマンがウクレレ&アコースティック・ギターをほぼ全面で弾いていることもあり、比較的リラクシンな雰囲気。

 お馴染みのジェリー・ベックリー&デューイ・バネル(アメリカ)や、ジェフリー・フォスケットも参加していますが、ティモシー・B・シュミットの娘、ジェダー・シュミットが10曲中6曲バック・ヴォーカルを務めているところも注目。

 ジェダー・シュミットの清々しい歌声は、ジェフ・ラーソンのヴォーカル&メロウなメロディーにピッタリですね。森 陽馬

2012年4月27日(金) トービン・マシューズ 「Can't Stop Talking About You」

 キャロル・キング&ジェリー・ゴフィンの作品集が、イギリスのACEレーベルから発売になりました。さすが、本当に多くの名曲を作ったコンビですね。今回が第3弾ということになります。

 2007年に『ソング・コレクション1961〜1967』、2009年に『ハニー&ワイン』、そしてこの『サムシング・グッド』。(国内仕様CD MSIG-786 3,150円)

 3枚目といっても全く残りもの感はありません。
全26曲、キング&ゴフィンらしい60'sポップス満載です。

 シフォンズ「ワン・ファイン・デイ」、アール・ジーン「朝からゴキゲン (I'm Into Something Good)」、フレディ・スコット「ヘイ・ガール」、バーズ「ゴーイン・バック」などの有名曲と、このCDで初めてCD化になるレア曲のバランスもバツグンで、例によってライナーノーツには色々な秘話がいっぱい! 聴いて楽し、読んで楽しです。

 24曲目に入っているトービン・マシューズは、ワーナー・ブラザーズ所属の白人男性歌手。
 1963年暮発売の「Can't Stop Talking About You」は残念ながらヒットしませんでしたが、とてもイイ曲!

 ナイアガラ・ファンはこの曲のサビに注目です。
1分10秒あたりからのメロディを聴くと、
「さぁ、ポーカーならエースのフォーカード、今つきまくった 僕に賭けなよ」という歌詞がきっと浮かんでくるはずです。

 なおこの曲は、スティーヴ・ローレンス&イーディ・ゴーメが「I Can't Stop Talking About You」のタイトルで1964年にスマッシュ・ヒットさせてます。森 勉

2012年4月28日(土) Nick Waterhouse 「Time's All Gone PT.2」

 “レトロ・ヴィンテージ・ミュージック・シーン”
この新しいムーヴメントが広がってきています。

 昨年僕が洋楽で一番愛聴していたキティー・デイジー&ルイスを筆頭に、メイヤー・ホーソン、エレクトリック・エンパイア、昨年急逝したエイミー・ワインハウスなど若いミュージシャンが、50〜70年代のサウンドをルーツにしながらも現代的センスで生み出した音楽ジャンルです。

 今日紹介するニック・ウォーターハウスは、カリフォルニア出身25歳、“レトロ・ヴィンテージ・ソウル”のニューカマー。

 フィル・スペクターの録音でも有名なゴールド・スター・スタジオの機材を使い、50〜60年代南部ソウルの“レトロ”なエッセンスを、現代的かつ“ヴィンテージ”感ある仕上がりで表現した1枚。(輸入CD 『Time's All Gone』 IL2005)

 タイトル曲「Time's All Gone」はラスト10曲目にPT.1、11曲目にPT.2が続けて収録されていて、こういうところにも60'sソウルへのオマージュを感じさせますね。

 歌声はソウルフルながら白人がやっていることもあってか、60'sブリティッシュ・バンドがリズム&ブルースをやっている雰囲気に近いので、モッズ好きの方にもオススメです。森 陽馬

2012年4月29日(日) ジョー・バルビエリ 「見上げてごらん夜の星を」

 ジャケ買い、レーベル買い、ソングライター買い、アレンジャー買い、プロデューサー買い、...etc。

 その作品を買う動機や要素は様々ですが、“ライナーノーツ買い”というのもあります。

 ジャンルや新作・旧作を問わず、その人が解説を書いていたり、推薦文を寄稿していたら迷わず買う、というもの。
 僕の場合、渡辺亨さんが推薦している作品は注目しています。

 今日紹介するこの1枚も、渡辺亨さんが解説を書かれていて、間違いなく良いだろう!と確信し購入。その期待以上に素晴らしいアルバムでした。(国内CD ジョー・バルビエリ 『静かに、息をするように』 YMCP-10023 2,625円)

 ジョー・バルビエリは、イタリア/ナポリ出身のミュージシャン。
“イタリアのカエターノ・ヴェローゾ”の異名を持つように、イタリアン・ボッサ/ジャズの要素に、シャンソン、タンゴ、クラシックなど色々な音楽ジャンルの魅力を凝縮したサウンド・センスが秀でたアーティストです。

 国内盤ボーナス・トラックとしてラストに収録されているのは、日本語で歌われる「見上げてごらん夜の星を」。

 東日本大震災に心を痛めたジョー・バルビエリから日本の歌を録音したい、という申し出があり、そこで渡辺亨さんが推薦した1曲がこの「見上げてごらん夜の星を」だったそう。
 情感込められた美しいカヴァーですね。森 陽馬

2012年4月30日(月)ドゥウェイン・エディ 「(ダンス・ウィズ・ザ) ギターマン」 

 デュアンじゃなくてドゥウェイン!
これがちゃんとした発音に近いカタカナでの表記ということで、これからはドゥウェイン・エディでいきたいと思います。

 1958年から1964年までにアメリカにおいて実に27曲ものチャート・ヒットを放った彼はトワンギー・ギターと言われる音色でファンを楽しませてくれたギタリスト。

 その特徴ある音色というのは、低音弦の魅力をいかしたもの。
ボヨーンとした低音の響きは彼の専売特許と言えると思います。

 1970年代にはB.J.トーマス「ロック&ロール・ララバイ」に、1980年代にはアート・オブ・ノイズ「ピーター・ガン」に、ドゥウェイン・エディのトワンギー・ギターがフィーチャーされ話題になりました。

 このCDは彼が1963年にRCAレーベルから発表した2枚のLP全24曲を1CDに収録したもの。(輸入CD BGO records BGOCD776)

 そしてこの「(ダンス・ウィズ・ザ)ギター・マン」は、1962年秋に全米12位まで上昇したヒット曲。彼とリー・ヘイゼルウッドの共作。ナッシュヴィル録音です。

 この曲はコーラスというかヴォーカルが入ってますが、担当しているのはアニタ・カー・シンガーズ。
 アニタ・カーとドゥウェインの組み合わせは、なんともいちご大福のような美味しいコラボです。森 勉






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