PET SOUNDS RECORD
今日のこの1曲 アーカイヴス


  今日のこの1曲 “Achives”

<2008月2月>

当店ペット・サウンズ・レコード店にて、
その日に店内でかけていた曲の中から、
店員の独断と偏見で選んだ“今日のこの1曲”コーナー

2008年2月に更新した“今日のこの1曲”コーナー。

廃盤・生産中止、規格番号の変更など、
情報が古くなっている商品もございますが、ご了承くださいませ。


<最新の“今日のこの1曲”はこちらのページをご覧ください>


2008年2月1日(金) AC/DC 「Back In Black」

 DVD3枚組他が入ったボックスや、7年振りに国内盤が紙ジャケで復活など何かと盛り上がっているAC/DC。
 来月16〜22日、シアターN渋谷にて期間限定レイトショー『哀悼ボン・スコット フィルムコンサート』が上映されるそうです。

 なんと入場無料!(といっても紙ジャケいずれか1枚を持参しないといけないみたいですが...) 全日ではないですがトーク・ゲストなどが登場するイベントもあるそうです。

 上映期間中の19日はボン・スコット28回目の命日。やっぱりAC/DCのヴォーカルはブライアン・ジョンソンよりボン・スコットだ!という方は観に行きましょう。

 最近はこういうパワーリフ系のバンドがあまりいないかな〜と思うので、聴いていてとてもスカッとしますね。これを爆音&大きい画面で観たら更に気持ち良さそうです。東尾沙紀

★ジャケットは世界的大ヒット!の『BACK IN BLACK』(ボン・スコットが亡くなってからのアルバムですが...)。限定紙ジャケット仕様で再発になりました。(SICP-1707 \2,520)

2008年2月2日(土) LACK OF AFRO 「When The Sun Goes Down」

 新世代FUNK、CLUB MUSIC界で今一番要注意なのが、UK発の“FREESTYLE”というレーベル。まだリリース・タイトルはそれほど多くはないのですが、質の高い現代FUNKやブレイクビーツ系のCLUB MUSICを色々と出していて、どの作品もとてもかっこいいのです。

 今日紹介するLack Of Afroというユニットのアルバム『Press On』(FSRCD-34)も、その“FREESTYLE”というレーベルから発売された1枚で、強烈に押しの強いインスト・ファンクを聴かせてくれるイカした作品です。
 どの曲も70'sレア・ファンク臭がプンプンしているドス黒いハイテンションFUNKで、ニューマスターサウンズやレフティー・ソウルコネクションが気に入っている方なら必聴の1枚。

 さて、このアルバムで最も意外だったのが「When The Sun Goes Down」。この曲はサマーソニックなどでトリも務めた人気UKロック・バンド、アークティック・モンキーズのカヴァーなのですが、これがオリジナルを完全に超越したかっこいいインスト・ファンク・カヴァー! 是非ロックしか聴かないようなアークティック・ファンにも聴いてもらいたいクールな仕上がりです。森 陽馬

2008年2月3日(日) Chicago 「Look Away」

 今年の節分、東京は一日中雪でした。さすがに寒かったですね。(と言いつつ、先日北海道からいらっしゃったお客様が、寒い日だったにも関わらず「東京は暖かいですね」とおっしゃっていたので、これくらいの寒さではまだまだなのかもしれませんが・・・)

 さて、ポリス、TOTO&ボズ・スキャッグス、と1980年代ロックの名アーティスト来日が近づいてきましたが、それに続く豪華組み合わせの来日公演が決定したようです。なんと!“シカゴ” & “ヒューイ・ルイス&ザ・ニュース”!(リンク先はウドーのHP)

 これはまた凄い組み合わせですよねー。どちらが先に出てくるのでしょうか?(おそらくキャリア的にヒューイ・ルイスが先かな?)
 値段もそれなりで14,000円。まあドームではなく、東京国際フォーラム、パシフィコ横浜だからしょうがないのでしょうが、ホント最近、このクラスの来日公演は1万円越え当たり前になってきましたよね。この2バンドが見れる、というだけでも素晴らしいのですが、ただその分、演奏時間も各々半分ずつになってしまうわけですから、チケット価格高騰もそろそろ打ち止めにしてもらいたいものです。

 ちなみに今日のこの1曲、シカゴ「Look Away」は1988年発表『シカゴ19』に収録されたNo.1ヒット。初期のブラス・ロック時代ももちろんかっこよくて好きですが、大ヒット曲「素直になれなくて」を筆頭に中〜後期もいい曲たくさんあって僕は好きです。森 陽馬

2008年2月4日(月) Stevie Wonder 「Ribbon In The Sky」

 現在、店内入ってすぐの中央特設コーナーは、短期的ながら“バレンタイン・デーに聴きたいLOVE SONG特集”を設置。ジャンル問わず、スタッフお気に入りのラヴ・ソングをベタではありますが展示しています。

 「一番好きなLOVE SONGは?」ともし僕が聞かれた場合、ちょっと悩んでしまいますがこの曲は必ずベスト3に入りますね。スティーヴィー・ワンダー「リヴォン・イン・ザ・スカイ」。

 スティーヴィーのオリジナル・アルバムには収録されておらず、ベスト盤に入ることも少ないながらライヴでは定番となっており人気も高いこの曲。昨年ボーイズUメンが発表したモータウン・カヴァー・アルバムでも取り上げていたのが記憶に新しいです。1990年代に日本でも行なったオーケストラ公演での名演が忘れられません。

 みなさんの一番好きなLOVE SONGは何ですか? 森 陽馬

★掲載ジャケットはスティーヴィー・ワンダー『バラード・コクレション』(UiCZ-1115 \2,243)。ライヴ盤『ナチュラル・ワンダー』(POCT-1080 \3,873)のヴァージョンもオススメです。

2008年2月5日(火) モダーン今夜 「橙」

 本日は6日新譜(ダブルのベスト盤、ブラフマン新作、KAT-TUN新曲、木村カエラ新曲、ジャック・ジョンソン新作、パット・メセニー新作など)が入荷。その中でも“モダーン今夜”の新作アルバム『天気の存在する理由』(RDCB-1018 \2,310)が素晴らしく良かったので、早速ヘヴィー・ローテーション中です。

 モダーン今夜は、ソロ・デビューも果たした女性ヴォーカリストの永山マキ、キーボード奏者のタムを中心としたグループ。前作まで11人編成だったそうですが、今作は7人編成とシェイプアップ。しかしながら、ハンズ・オブ・クリエイションの小池龍平などのゲストや、ストリングスも導入し、よりグレードアップしたサウンドを聴かせてくれます。

 弾むようなポップ・ナンバー@「かもめ島」、ロックでかっこいいA「オトナ」、ガラッと雰囲気変わって70'sレアグルーヴ的なB、ブルージーなG「ちょっと酔ってただけなのさ」(これイイっす!)、レゲエ調Fなど、様々なジャンルを呑み込みながら、ポップな魅力は全曲に詰まっていて聴き応えのある力作に仕上がっています。

 その中でも9曲目「橙」はブラジリアン・フュージョン・ポップなサウンドと爽やかながらも心に残るメロディー、そして印象的な日本語詞がNICEな1曲。ちょっと早いかもしれませんが、春先に聴きたい切ないグルーヴィー・ナンバーです。日本人グループ、女性シンガーお好きな方は是非チェックしてみてください。森 陽馬

2008年2月6日(水) 高田 みち子 「TOKYO GIRLS TALK」

 ナイアガラ・山下達郎関連情報ページ通販コーナーにも掲載しましたが、3/21発売『ナイアガラ・カレンダー 30th Anniversary Edition』の詳細が決定いたしました。先着特典もございますし、連動企画としてなんと!大瀧詠一さんが監修した書籍『フィル・スペクター 甦る伝説』の増補版、更には『音壁JAPAN』という面白いコンピも発売決定いたしました。ナイアガラーの方々は是非そちらもチェックしてくださいね。

 さて、こちらも発売はまだなのですが、2月20日発売予定の高田みち子さんの新作アルバム『TOKYO GIRLS TALK』(SICL-179 \2,940)。音資料が届いたので拝聴させていただいたのですが、これがとにかく素晴らしい作品だったので一足早くこちらで取り上げることにしました。

 高田みち子さんは、ソニー・ジャズから2004年にメジャー・デビューしている女性シンガーで、黒沢健一&萩原健太によるアコースティック・カヴァー・ユニット、“健'z”への客演でも知られる実力派のヴォーカリストです。

 今作はサウンド・プロデュースに松木恒秀氏、バックにWhat is Hip?(岡沢章:Bass、渡嘉敷祐一:Dr's、野力奏一:Key、松木恒秀:Gt)、ゲストに日野皓正という強力な布陣を従え、美しい歌声をいかんなく発揮。グルーヴィーなナンバーからしっとりとしたテイストの曲まで、聴く者の心にしっとりと色鮮やかな彩りを与えてくれます。

 声や歌い方が竹内まりやさんにすごく似ているときがあって、更にバックがWhat is Hip?ですから、竹内まりやさんや山下達郎さんがお好きな方なら絶対に気に入るハズ! 発売前後には試聴機にも入れる予定ですし店頭でもお聴かせできますので、気になる方は是非! 森 陽馬

★更に3月20日には当店地下のアゲインにて、<森 勉の音楽寄席>と共に高田みち子さんの弾き語りライヴが行なわれる予定です。

2008年2月7日(木) トッド・ラングレン 「I Saw The Light」

 今までラヴ・ソングというものを意識していなかったせいか、「好きなラヴ・ソングは?」と聞かれてもパッと出てきませんでした...。
 
 この曲は初めて聴いた時から好きだったのですが、今まで歌の意味を意識せず聴いていたので(「瞳の中の愛」なんてタイトルが付いているのも知りませんでした...)、それじゃいかんと詞を読み返してみました。
 
♪誰よりも君を愛している〜(中略)僕にとっての君はほかのどんな娘とも違う 〜 (中略) 僕の瞳にきらめく愛の光が見えるだろう〜♪
 
 意外にも(?)直球な歌詞、でもそれが本当に素敵です。
 他にも「Be Nice To Me」、「所詮は同じこと」、ラヴ・ソングでは無いかもしれませんが、「甘い想い出」など、彼の曲を聴くとなんだか甘酸っぱいというか、なんとも言えない切ない気持ちになります。東尾沙紀

★ジャケットは、トッド・ラングレンのベスト・アルバム(VICP-60254 \2,520)。

2008年2月8日(金) 斉藤 誠 「哀しみのボート」

 日本人男性シンガーで今オススメしているのが、斎藤誠さんの新作アルバム『POP ROCK SHOP』(NFCD-27049 DVD付 \3,990)。

 斎藤誠さんというと、やはり“サザンオールスターズ/桑田佳祐のサポート・ギタリスト”として有名ですが、この作品では、“シンガー・ソングライター”として、味わい深い滋味溢れた楽曲が並び、心にじんわり沁みる1枚に仕上がっています。

 シングルカットされた「天気雨」や小谷美紗子がfeatされた「Delicate」、矢野真紀参加「バースデー」、バラード・ナンバー「別に奇跡なんかじゃないから」などもいい曲ですが、僕が気に入っているのは5曲目「哀しみのボート」。

 ちょっと切ないスロー・ナンバーですが、サザンのサポートでも知られる片山敦夫さんのハモンド・オルガンがとてもいい味を出していて、温もりのある音色が渡辺等(B)、成田昭彦(Dr)のバック演奏、そして誠さんの歌声と合わさって、やさしい温もりを与えてくれます。

 先日50歳となった誠さん、今年はデビュー30周年となるサザンとしての活動が中心になるかもしれませんが、是非これからも“ソングライター斎藤誠”としてのソロ活動を続けていってほしいですね。森 陽馬

2008年2月9日(土) Carole King 「Love Makes The World」

 ハッピー・バースデイ! キャロル!

 2月9日、キャロル・キングは66歳の誕生日を迎えました。
 まだ昨年11月のライヴの素晴らしい余韻が想い出される今日この頃ですが、今日は2001年に発表されたこの名曲を。

 名作アルバム『つづれおり』など1970年代前半に作られた曲たちにも匹敵するいい内容の歌です。
 「彼女の紡ぎ出すメロディーはまだまだ自分を感動させてくれる」 − 発売当初に思ったファンの方も多かったのではないでしょうか。

 2007年発売のライヴDVDの中で歌われた「Say Goodbye Today」などの新曲も良かったし、ソングライター時代だけでなく、シンガー・ソングライター時代になってからのベスト・ソングもどんどん膨らんでいきます。

 来日公演ではこの曲を日本語で、「愛が地球を回しています」と紹介した彼女の笑顔、忘れられません。森 勉

★掲載ジャケットは、アルバム『Love Makes The World』にボーナスCDが付いた限定エディション。今のところ輸入盤でしか発売されていません。

2008年2月10日(日) Shanti 「A Case Of You」

 ShantiことShanti Snyder(シャンティ・スナイダー)は、逗子生まれの新世代女性シンガー。サディスティック・ミカ・バンドの再結成コンサートでコーラス参加するなど活動の幅を広げてきた彼女がソロ・アルバム『Share My Air』(HAY-33 \2,500)を発表しました。

 “シャンティ・スナイダー”という名前を聞いて、ピンッときた方は鋭い! 彼女はゴダイゴのドラマーであり、KUWATA BANDとも関わりがあったトニー・スナイダーの娘さんなのです。

 このアルバムが素晴らしい出来の1枚で、単なるポップスではなく、ジャジーな雰囲気を持ち合わせたソウルフルな作品に仕上がっており、音を詰め込みすぎた最近の音楽にウンザリしている方にもオススメできる、安心して聴ける女性シンガー・アルバムになっています。

 今日の1曲にはアルバム中唯一のカヴァー曲、ジョニ・ミッチェルの「A Case Of You」カヴァーを選びましたが、他のオリジナル曲も質がとても高くて、ブラジリアン・ジャズ的な@「Wake Up To The Sun」、70'sレアグルーヴ的なエレピの音が最高にクールでかっこいいA「Sacred Souls」(父のトニー・スナイダーも参加)など、全体的にしっとりと心地良く聴ける1枚。

 女性ジャズ・ヴォーカルお好きな方だけでなく、AORファン、オーガニック・ソウル好きの方にも是非聴いてもらいたいアルバム。先日モーション・ブルーで行なわれたライヴも観に行ったのですが、バックの演奏もとても良かったので、CD聴いて気に入った方は是非ライヴもチェックしてみてください。森 陽馬

2008年2月11日(月) アンディ・ウィリアムス 「ダニー・ボーイ」

 先日、立川志の輔師匠の新作落語を映画化した『歓喜の歌』を鑑賞。落語とは違い、映画化に際した脚色が過ぎる感もありましたが、小林薫の演技の秀逸さもありそれなりに楽しめました。

 “歌”がテーマとなっている映画なので、落語とは違った魅力として歌の場面をもっと増やしてもよかったのではないか(合唱場面はあるのですがその場面ごとの映像が短いのです)と思いましたが、映画内に出てくるその歌の場面で印象的だったのが、片方のママさんコーラス隊が「ダニー・ボーイ」を歌うシーン。

 舞台女優として活躍している平澤由美演じるママさんが中間でソロをとって歌う場面は、この曲を知らない方、もしくはあまり歌に興味がない人でも感動するはずの名シーン! この映画のハイライトといっても過言ではないでしょう。

 「ダニー・ボーイ」は昔から伝わるトラディショナル・ソングとして、数多くのアーティストに歌われていますが、僕個人としては定番ではありますがアンディ・ウィリアムスのヴァージョンがお気に入り。ちなみに村上春樹の88年発表書籍『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』の文中でもキー・ポイントで使われています。森 陽馬

★掲載ジャケットは、アンディ・ウィリアムスの2枚組ベスト盤。(MHCP-299 \3,780) いい曲タップリ入っています。

2008年2月12日(火) Herbie Hancock 「A Case Of You」

 記念すべき第50回グラミー賞。予想通り(?)、エイミー・ワインハウスが主要4部門を受賞しましたが、「タトゥー入りの新人娘に独占は許さんっ!」とグラミー選考委員が言ったか言わなかったかはさておき、彼女の主要部門独占受賞を阻止したのが、このアルバムだったというのは意外でした。

 ハービー・ハンコックの新作『RIVER』(UCCV-1100 \2,500)は、女性シンガー・ソングライター、ジョニ・ミッチェルへのトリビュート・アルバム。トリビュート作で最優秀アルバム賞受賞というのもちょっと皮肉なような気がしないでもないですが、功労賞的な意味合いもあるのかもしれませんね。

 ノラ・ジョーンズ、ティナ・ターナー、コリーヌ・ベイリー・レイ、ルシアーナ・ソウザ、レナード・コーエン、そしてジョニ・ミッチェル本人もfeatヴォーカルとして参加していますが、僕が一番気に入っているのは、地味ですがラストに収録されているこの曲「A Case Of You」のインスト。

 ちょうど一昨日のこのコーナーでもシャンティのヴァージョンで紹介しましたが、ハービーのこのカヴァーは極力音数が少なく、シンプルでいながら、それでいてとてもエモーショナルかつ美しい「ケース・オブ・ユー」です。
 永遠に続いて欲しいと思わせる約8分・感動の演奏ですが、なーーーんと、この曲は国内盤のみのボーナス・トラックなので、グラミー受賞アルバムということで大型店にもたくさん輸入盤が並ぶと思われますが、購入しようと思った方は是非国内盤でGETしてください。

 ちなみに地味ながら、“Best Pop Instrumental Performance”という部門で、ジョニ・ミッチェルの最新アルバムの中の曲「One Week Last Summer」も受賞されていました。(祝!)
 昨年2007年9月25日のこのコーナーで取り上げたことがあったように、とても気に入っていた1曲だったので、今日の「A Case Of You」と続けて聴いて、改めて沁みる2作品だな、と実感した次第です。森 陽馬

2008年2月13日(水) ALO 「Valentine's Day」

  メンバーのザック・ギル(Vo)が参加しているジャック・ジョンソンの新作発売日と共にリリースされたのが、昨年ホームページ上でも幾度かご紹介したカリフォルニア出身バンド、ALOの初国内盤化作品(でも歌詞・対訳ついてません!)&ボーナス・トラックを2曲追加した2002年発表2ndアルバム『タイム・エクスパンダー』(LBCY-429 ¥2,500)です。(ちなみに日本デビュー作は2005年発表の3rd。)
 
 60〜70年代ルーツロックの懐かしい雰囲気漂う最新作「ローゼス&クローバー」とはまた趣が違い、ファンク、ソウル色が強く、軽く7分を越えるものも多く、ジャム・バンドのような演奏を聴かせるタイプの曲が多い感じです。
 
 今日の一曲はヴァレンタインも近いという事で、どんな歌詞かはわかりませんが、タイトルだけで選ばせていただきました(笑)
 
 他にも、後に脱退してしまいますがこの頃在籍していた黒人ドラマーのかっこいいドラムソロや、客演ですがニューオリンズ風のファンキーなトロンボーンが聴ける曲があったりと、今のシンプルな作風とはまた違った黒い魅力満載の一枚です。東尾沙紀

2008年2月14日(木) Paris Match 「Mr. サマータイム」

 お気に入りのユニット、パリスマッチの新作『Flight 7』(ASCM-6010 \3,000)が発売。

 前作『After Six』が素晴らしい作品だった(個人的には2006年ベスト・アルバムでした)ものの、メジャーとの契約が切れて今作はインディーズからのリリース。タイアップなどがなかったためどのような内容か気がかりでしたが、それも全くの杞憂で、やはりパリスマッチはパリスマッチ。

 洗練された都会的なサウンド構成&相変わらず打ち込みとは思えない生感覚なリズム・トラックに、松原正樹のクールなギター・ソロが冴える音作り。今回はコーラスの重ね方を重視した感もあり、ミズノマリさんの歌声もよりセクシーに響く快作に仕上がっています。

 オリジナル曲ももちろんですが、唯一のカヴァー曲として収録されているこの曲「Mr.サマータイム」が極上の出来。1978年サーカスが日本語カヴァーしヒットさせたミシェル・フーガン作が、見事にパリスマッチ色に染められています。
 ここ数日は毎朝聴いているこの1枚。一足早く春〜夏を感じさせてくれるアルバムです。森 陽馬

2008年2月15日(金) Jill Sobule With John Doe 「Down By The River」

 ニール・ヤング大ファンの僕が今週超ヘヴィー・ローテーションなのがこの1枚、『Cinnamon Girl : Woman Artists Cover Neil Young For Charity』(American Roundromat Records ALR-12)。

 女性ミュージシャンによるニール・ヤング・カヴァー・アルバムで、2枚組全21曲すべてニール・ヤング作。正直言って参加している女性ミュージシャンはあまり有名でないアーティストばかりですが内容はGOOD!

 オリジナルに忠実なアレンジで、なおかつニール・ヤングの原曲の良さを活かしたカヴァーが多く、それでいて各々の個性はちゃんと発揮されているので、コア・ファンにもニールを知らない人にもオススメです。

 「Heart Of Gold」や「Ohio」、「Only Love Can〜」など選曲も有名曲が中心で聴きやすい作品集。その中で気に入ったのがJill Sobule with John Doeというアーティストによる「Down By The River」。
 オリジナルはニールのエレキ・ギター・ソロが魅力の1曲ですが、編曲がオリジナルとほぼ同じながら、その中間のギター・ソロ部分は、Jill Sobuleによるバンジョーのソロとなっているのがミソ。元来この曲が持つ危うい魅力と独特なカントリー・テイストが合わさった面白いカヴァーに仕上がっています。

 他にもJulie Peelというアーティストによるエレキ・ヴァージョンの「I Believe In You」などもかっこよくて、ニール・マニアにとっても聴き応えがあるコンピ。今年出る、と噂されているニール・ヤングのアーカイヴBOX発売まではこれで楽しめそうです。森 陽馬

2008年2月16日(土) バート・バカラック 「世界は愛を求めてる」

 本日16日は、バート・バカラックの日本公演初日があり、それを御覧になる方、もしくはそれを御覧になった方がわざわざお店に立ち寄ってくれました。(スミマセン・・・。私はまだ見ていません・・・。)

 ただ、帰りに寄っていただいた方の話だと、ものすごく良かった!とのことです。 公演はまだ、17日(日)東京、20日(水)相模大野、そして22日(金)大阪、と3公演残っており、当日券もあると思うので、時間に余裕のある方はこれは是非見ておいた方がいいですよー!これホント。

 ということで、来日記念、そして生誕80周年記念スペシャルとして、バカラックの新しいベスト盤が発売になりました。(『バカラック・ベスト』 UICY-4472 2CD \3,500)

 日本一のバカラック研究家である坂口修さんが監修を手掛けているので、選曲はもちろん、ブックレットの詳細な解説から、歌詞・日本語訳もちゃんと付いていて内容は抜群! 監修者の愛情も伝わる充実のコンピで、バカラック初心者の方からコアなファンの方にも超オススメしたい作品集です。

 この今日の1曲は原題が「What The World Needs Now Is Love」、1965年にジャッキー・デシャノンが歌い全米7位のヒットとなったバカラック定番の楽曲。このコンピではバカラック本人の2ndアルバムからのヴァージョンが収録されています。森 陽馬

2008年2月17日(日) Ivy League 「My World Fell Down」

 アイヴィー・リーグは1960年代中期に活躍したイギリスのグループ。しかし日本では当時ほとんど話題になっていませんでした。グループ名を初めて耳にしたのは、1967〜8年にフラワーポットメンの「花咲くサンフランシスコ」が日本でも少しヒットした頃に、<曲を書いたジョン・カーターとケン・ルイスはアイヴィー・リーグというグループをやっていた>というような記事を雑誌で読んだのが最初だったような気がします。

 この「マイ・ワールド・フェル・ダウン」は、初めて聴いたのがサジタリアスのヴァージョンだったので、カート・ベッチャーかゲイリー・アッシャーの曲だと思っていたら、ジョン・カーターの曲だったのですね。ずいぶん経ってから知りました。

 それにしても、1966年にこんなサウンドを作り上げていたなんて驚きです。ビーチ・ボーイズやフォー・シーズンズに影響を受けたブリティッシュ・ビートもまた良し。森 勉

2008年2月18日(月) Roman Andren 「Let's Live Forever, Love」

 早くも今年のベスト・アルバム候補が登場!(褒めすぎ?)

 ロマン・アンドレンはスウェーデンのキーボーディスト/サウンド・クリエイター。先月発売になった彼のアルバム『JUANITA (ファニータ)』(PCD-93064 \2,415)の帯に、“スウェーデンのデオダート”なんて形容詞が付いていますが、まさに21世紀のブラジリアン・フュージョンを聴かせてくれる最高の1枚です。

 収録曲の大半で女性コーラスを配していて、それらの楽曲は“ロジャー・ニコルス&スモール・サークル・オブ・フレンズをデオダートがプロデュースした雰囲気”! 特に1曲目に収録されているこの「Let's Live Forever, Love」はロジャニコとセルメンを合わせてブラジリアン・グルーヴィーに料理したようなかっこいいナンバー。ブラジリアン・ジャズ好きの方だけでなく、ソフト・ロック好きの方、はたまた、CLUB MUSICファンにも超オススメのトラックです。

 全体的にアナログの質感を持った音作りにこだわっているいるようで、エレピの音も暖かみを持ちつつも独特なクールな響きなのが印象的。コーラス&メロディーが美しい曲もNiceですが、僕個人的には9曲目「O Mundo e Seu - The World Is Yours」のカオス&超絶なブラジリアン・ファンク・ジャムな楽曲も気に入っています。
 繰り返し聴く度に、本当によくできている作品だと実感できる作品。スウェーデン恐るべし。森 陽馬

2008年2月19日(火) 伊藤 銀次 「Deadly Drive」

 本日は20日新譜が入荷。(伊藤由奈新作、ブリリアント・グリーンベスト盤、くるりライヴ盤、鈴木慶一新作、高田みち子新作、須藤薫再発、マイケル・ジャクソン『スリラー』デラックス盤、スーザン・カーター、ミレニウム、ラスカルズ、チャド&ジェレミーなどソニー再発もの色々、宇多田ヒカル新曲、嵐新曲、平井堅新曲etc...。) 
 ちょっと入荷処理に手間取ってしまいましたが、その作業中にずっと聴いていたのが同じく今日発売になったこの1枚。伊藤銀次が1977年に発表した名作1stアルバム『Deadly Drive』(WPCL-10455 \2,500)。

 デジタル・リマスターによって、上原裕(dr)と田中章弘(b)によるリズム隊の音がグッと前に出た感じ。ボーナス・トラックには初CD化となるシングル・ヴァージョンが2曲(「風になれるなら」と「Deadly Drive」)収録されており、更にブックレットには土橋一夫氏による入魂のライナーノーツが掲載されるなど、以前のプラケース盤をお持ちの方にもオススメの紙ジャケ再発盤です。

 ちなみにそのシングル・ヴァージョン、「風になれるなら」の方はアルバム・ヴァージョンに入っている中間のサックス・ソロがカットされていて、その分歌詞が追加されているヴァージョン。「Deadly Drive」の方は車のエンジン音などが更に追加されミックスされたヴァージョンです。

 クレジットを見て初めて知ったのですが、そのインストの「Deadly Drive」。最後の方に入っている短いコーラスはセンチメンタル・シティ・ロマンスによるものだったのですね。たしかにそう言われれば、センチらしいコーラスワークです。森 陽馬

2008年2月20日(水) 須藤 薫 「春の陽射し」

 須藤薫のアルバムの中では、60'sポップス好きが一番ニヤリとする『テンダー・ラヴ』(WPCL-10457 \2,500)が紙ジャケ・リマスターで再発されました。1989年11月にハミングバード・レーベル移籍第一弾アルバムとして発売され早18年。ひさしぶりに聴きましたが、ピチカート・ファイヴ:小西康陽入魂のサウンド作りは、まだまだ<音の玉手箱>を感じさせてくれるのに充分のインパクトを与えてくれました。

 テディ・ベアーズ、ロネッツなどフィル・スペクターを意識したもの、ロビン・ワード「ワンダフル・サマー」を思い起こさせてくれるガール・ポップ風など、いい曲が満載ですが、今日はリズム・ギターの音と後半のギター・フレーズにビーチ・ボーイズ・ファンなら反応せざるをえない3曲目の「春の陽射し」。

 60'sものならのぞむところの須藤薫のヴォーカルもサウンドに溶け込み度100%! 僕がタイトルをアレンジするとこんな感じ・・・。
 「知っているあの娘は春の陽射しを気にしないで」
少し長すぎますね。森 勉

2008年2月21日(木) くるり 「惑星づくり」

 くるりの新しいライヴ盤『Philharmonic or die』(VICL-62751 2枚組 \3,045)が発売。

 1枚目のディスクは、2007年12月11、12日にパシフィコ横浜で行なわれたウィーン・アンバサーデ・オーケストラを率いてのコンサートから12曲。2枚目は同じく昨年の12月6日に京都の名ライヴハウス磔磔から10曲。場所やアレンジは違うものの、どちらもくるりらしいパフォーマンスを楽しめるライヴ盤です。

 特にDisc.1、パシフィコ横浜で行なわれたオーケストラ公演は実際に観に行ったということもあって、感動が甦ってきました。
 最新オリジナル・アルバム『ワルツを踊れ』からの楽曲(一番最初にやった「ブレーメン」をアンコールにもう一度演奏したのが良かった!)ももちろん素晴らしいのですが、「春風」や「WORLD'S END SUPERNOVA」など意外な選曲をオーケストラ・アレンジで聴けたのが印象深いです。

 特に2000年発表2ndアルバム『図鑑』に収録されていた「惑星づくり」。元々シカゴ音響派ジム・オルークと絡んだインスト・ナンバーですが、これがオーケストラと融合し、幻想的な照明と相まって独特な空気感がパシフィコ横浜を包んでいました。あらきゆうこのドラム、佐橋佳幸のギターも冴え渡っています。森 陽馬

2008年2月22日(金) Dave Davies 「Imaginations Real」 

 2004年心臓発作で倒れたキンクス弟、デイヴ・デイヴィスが復活!
 約5年振りのニュー・アルバム(こちらはまだ聴いてません!)と共に、80年代のソロ2作品が紙ジャケ&リマスターで再発されました。
 
 今回はバーコードジャケのボーナストラックが1曲追加された80年発表の1st(『デイヴ・デイヴィス』BVCM-35255 \2,310)を。
 初めて聴きました。これはほぼ彼一人による多重録音。やはり80年代の音には変わりありませんが、AC/DCなどを彷彿とさせるハードロックばりのエッジのきいたギター、意外と甲高い声で歌うスタイルにはびっくり。本当ギター弾きまくりです。

 日本で人気があるらしい「RUN」という曲もいいのですが、私はアルバムの中でもなんだかホッとする、自身でハーモニーもつけている一番ポップなこの曲がいいなと思いました。

 とにかく復帰出来た事はとても喜ばしい事です。レイ兄貴に負けじと次はライブが出来るくらいもっと元気になって欲しいなと祈るばかりです。東尾沙紀

2008年2月23日(土) 鈴木 茂 「砂の女」 

 今日は春一番が吹いたということで、東京では昼過ぎから猛烈な強風! ホント、台風の時を凌ぐくらいの風が吹き荒れて、特に武蔵小山駅前は駅前開発工事ヤードにある砂と小山台高校の校庭の砂が巻き上がったため砂だらけ。自動ドアであるにも関わらず、店内にも砂がどんどんと入ってくるぐらいの強風でした。

 だから、今日のこの1曲は「砂の女」・・・、というわけではなく、なんと!この「砂の女」が収録されている鈴木茂1975年発表名作アルバム『バンド・ワゴン』が<2008スペシャル・エディション>として、更にアップグレードし再発になるそうなのです。(4月23日発売予定 CRCP-20424 \2,500)

 「えーーーー、2年前にDVD付の“パーフェクト・エディション”っていうのが出たばかりじゃんよーーーー。なにそれーーー」と、突っ込み入れたくなるところですが、今回の新しい盤には<奇跡的に発見されたオリジナル・マルチトラック・テープのトラック全てを鈴木茂自ら丹念にチェックし、リミックス、新たな生命を吹き込んだ。>(クラウン社新譜案内書に記載)となっており、ボーナス・トラックも追加収録とのこと。

 『バンド・ワゴン』のあのバック・メンツの別トラックor未発表音源が入るとしたらやはり魅力的ですね・・・。ちょっとまだ詳細なボーナス・トラックなどはわかっていないのですが、同時発売で76年発表『LAGOON』も同じくスペシャル・エディションとして発売予定。鈴木茂ファンにとってはうれしいながらも悩ましいリリースとなりそうです。森 陽馬

2008年2月24日(日) ディオンヌ・ワーウィック 「恋するハート」

 先日20日、バート・バカラックの来日公演(at グリーンホール相模大野)を見てきました。とにかく素晴らしい公演でしたが、22日の日本最終となる大阪公演も無事終わったようですので、気付いた点を簡単にレポートしたいと思います。

・休憩なしの約2時間、80歳のバカラックは出ずっぱり!

・<1963〜68年頃の人気曲メドレー>、<1962から1990年代までの隠れた人気曲メドレー>、<作家デビュー当時の初期メドレー>、<映画音楽メドレー>という構成。

・間にMCもタップリ。ハーフの美人女性(バカラックお気に入り?)が通訳を担当。

・壮大なオーケストラションが印象的な新曲「For The Children」も披露!(2/20公演の際にはこの曲の演奏中、2度ほど大きなマイク・ノイズが入ったのが残念。でも全体的にこのオーケストラが入ったことによって素晴らしいコンサートになったことは言うまでもない)

・サックスの人の名前がなんと!“デニス・ウィルソン”! 見せ場タップリ♪ イイ味出してました。(他、トランペット、ギター、ベース、ドラム、キーボードが外国人のメンバー。)

・黒人女性ヴォーカル二人、白人男性一人のヴォーカル隊がNice!
(女性ヴォーカル二人は黒人ながら、あまり歌い上げるタイプではなく、ロバータ・フラック&ディオンヌ・ワーウィック的なソフトな歌唱がいい感じでした。男性ヴォーカルの人もとてもうまかったです)

・なんと!バカラック本人がヴォーカルを取った曲もあり!(バカラック本人によるピアノも音がちゃんと入っていて素晴らしい演奏)

・ゲストでトレインチャという女性シンガー登場。印象やや薄。

・バカラック、80歳にして女性を引きつけるフェロモン全開! 終演直前、バカラックが袖に下がる前に女性ファンが大挙ステージ前に花束やプレゼントを持って殺到。

・グッズは特に無し。売っていたのはバカラック関連のCDのみ。

・集客が心配されましたが会場は約9割方埋まってました。

・相模大野公演では終演後、予定セットリストの用紙が会場出口付近に置かれていました。(きめ細かいサービスがうれしいですね)

 とりあえずこんな感じでしょうか。安心して聴ける上品な大人のコンサートで、バカラックの暖かい音楽に包まれた至福の時間でした。

 今日のこの1曲は前半〜中盤に演奏された「Anyone Who Had A Heart」(邦題:恋するハート)。1964年ディオンヌ・ワーウィックのヴァージョンがオリジナルですが、僕個人的にはリンダ・ロンシュタットによるヴァージョン(1993年作『ウインター・ライト』に収録)が好みです。森 陽馬

★ジャケットはワーナーから2001年にリリースされたバカラックの名曲を集めた好選曲コンピ『スウィート・メロディーズ』(WPCR-10978 2CD \3,400)。長らく生産中止状態でしたが今回の来日に際して限定再発されました)

2008年2月25日(月) Anders Osborne 「Summertime In New Orleans」

 新世代シンガーソングライターの中で、僕がベスト3に入るくらい好きなアーティストがこのアンダース・オズボーン。

 彼はスウェーデン生まれでニューオリンズ在住の白人シンガー。10年以上前ニューオリンズへ行った際にライヴを見ていっぺんで気に入り、その後も数年間に1枚出る彼のアルバムを密かに楽しみにしているのです。そんな彼の新しい2007年録音作品がこの『Coming Down』(MC records MC-60)。

 声はヴァン・モリソン似。ニューオリンズ在住ということで今まではファンキーな楽曲もありましたが、今作は極力シンプルな編成で、ブルージーかつ渋い彼のギターと歌声が沁みるシンガーソングライター色の強い仕上がり。

 ハリケーン“カトリーナ”後は作品を発表していなかった(たぶん)のでちょっと心配していたのですが、今作は今まで通りニューオリンズで録音され、「Oh Katrina」、「Summertime In New Orleans」という曲にもあるようにカトリーナ後のニューオリンズへ捧げられています。

 ジャケットも含め地味ではありますが、後々シンガーソングライター名作として語られることとなる1枚になる!と断言したい味わい深いオススメ盤です。森 陽馬

2008年2月26日(火)ドクター・ビート・アンド・クランケwith Sho天野 「ナイト・エンジェル」

 1960年代後半から1970年代前半のロックと言えば、ブルースを基調にしたサウンドが中心にあったような気がします。その時代にたっぷり音楽を聴いた者にとって、現代はそんな音があまりにも少ないのが不満だったりもします。

 しかし、突然現れたこの新譜。ドクター・ビート・アンド・クランケwith Sho天野『Great Rock City』(BOZA-1001 \2,500)。そんなブルース・ロック・テイストにあふれているのです。

 このアルバムを作ったドクター・ビートこと伊藤知治(ともはる)は、なんと伊藤銀次の弟であり、普段は歯医者として生活している人物。アマチュアながら熱意だけでなく、きちんと自分の好きなサウンドをバンドのメンバーとともに形にしたのは素晴らしいことだと思います。

 参加しているのは、関西で活躍中の年季の入った連中で、骨太かつタイトな演奏で盛り上げてくれます。ヴォーカルは布谷文夫を彷彿とさせてくれるSho天野で、声の枯れ具合がサウンドにぴったりはまっています。

 アルバム・プロデューサーである伊藤銀次による、アルバム制作事情がよくわかるライナーノーツ付。
 すべてのギター・ソロは伊藤知治という、さりげないクレジットにこのアルバムへの熱い気持ちが伝わってきます。この曲だけでなく本当にいいギター・ソロが多いのです。森 勉

2008年2月27日(水) Swing Out Sister 「Butterfly」

 学生の時から大好きでよく聴いていた思い入れのある名ポップ・ユニット、スウィング・アウト・シスターが久々の新作『Beautiful Mess』(AVCD-23449 \2,548)を発売。

 2004年発表の前作『Where Our Love Grows』があまりにも素晴らしい1枚だった(2005年1月5日のこのコーナーでも取り上げたように、旧店舗が閉店する間際によく聴いていました)ので、今作は期待と不安が半々だったのですが、今までと変わらない魅力的な作品で安心しました。

 ジャケットも含め90年代初期にタイムスリップしたかのようなスタイリッシュなポップ・サウンドが健在で、コリーン・ドリューリーの澄んだ歌声も心地良く響きます。特に3曲目「Butterfly」はコーラスの重ね方や曲構成がとても凝っていて、さりげなく完成度の高いポップスに昇華されているのがさすが! まだちょっと寒い日が続きますが、今年の春はこのアルバムを聴きながらのんびりドライヴでもしたいものです。

 ちなみにこの新作アルバム、今のところ日本でしか発売になっておらず、本国イギリスでもリリース予定になっていないそうです。もったいない。(ただ、アルバムのラストにボーナス・トラック的に収録されているRemixは蛇足に感じました) 森 陽馬

2008年2月28日(木) Elliott Smith 「The White Lady Loves You More」

 武蔵小山商店街内にある本屋のひとつが先週閉店し、昨日新しい本屋がオープンしていました。(什器が“ペット・サウンズ・カラー”(?)の緑色をしていて、通りかかった時についつい反応してしまいました。) 音楽業界だけでなく出版業界も大変だそうですので、末永く頑張ってもらいたいものです。

 さて、最近は色々なものが国内盤で再発されるようになりましたが、エリオット・スミスの1995年発表、隠れた名作2ndアルバムがP-VINEより発売になりました。(『Elliott Smith』 PCD-20024 \2,100)

 同時発売された『イーザー/オア』は以前に一度国内盤も出ていたことがありましたが、今作は初日本盤化だと思います。輸入盤LPでは持っていて、内省的ながらも美しくやさしい作品だな、と思って聴いていたのですが、今回の国内盤化にあたって訳詞を読んでビックリ。かなり直接的なクスリ(麻薬)に関する歌詞が多くて、やはり当時から中毒だったのだな、と感じました。(エリオット・スミスは2003年に麻薬中毒で自殺しています)

 落ちそうになりながらもギリギリ綱渡りをしているような危うさが彼の魅力の一部でもあったのですが、やや複雑な気持ちになった1枚でした。(ちなみに今日の1曲に挙げた曲名の“White Lady”というのはヘロインの俗称だそうです) 森 陽馬

2008年2月29日(金) The Pearlfishers 「London's In Love」

 今まで知らなかったのが勿体無い!と思うほど聴けば聴くほどにハマるグラスゴー出身のシンガーソングライター、デヴィッド・スコット率いるパールフィッシャーズ。(実際は一人なのかも?)
 
 本作『Up With The Larks』(Marina MA-69)は2007年の5作目のオリジナルアルバム。ティーンエイジ・ファンクラブのノーマン・ブレイクも数曲参加。
 中の写真には京都の地図の前で撮られた白髪の彼の写真が載っているのですが、彼の音楽活動を総括すると約30年!現在BMXバンディッツのメンバーとしても活動中だそうです。(2年前には両名義で来日。)

 アルバムの中には「The Umbrellas Of Shibuya」なんて曲もあり、日本が好きなのかな?と、今まで知らなかったのになんだか親近感が湧いてしまいます。でも今作含め、近年のアルバムは国内盤が出ていないようです...残念。
 
 彼の声は店長曰く、プリファブ・スプラウトのパディ・マクアルーンやアメリカのジェリー・ベックリー似。どれもメロディがたっていて、本当に良い曲ばかりなので、ハーモニー・ポップ、UKインディー、ネオアコ、ビーチボーイズ等など、ポップ好きな方には是非聴いて頂きたい一枚!東尾沙紀




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