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  今日のこの1曲 “Archives”

<2013月9月>

当店ペット・サウンズ・レコード店にて
その日に店内でかけていた曲の中から、
店員の独断と偏見で選んだ“今日のこの1曲”コーナー
2013年9月に更新した“今日のこの1曲”コーナー。


廃盤・生産中止、規格番号の変更など、
情報が古くなっている商品もございますが、ご了承くださいませ。

<最新の“今日のこの1曲”はこちらのページをご覧ください>


2013年9月1日(日) Alex Chilton 「All We Ever Got From Them Was Pain」  

 ボックス・トップス脱退頃~ビッグ・スター結成前の間に録音されたアレックス・チルトンのソロ・アルバムが、未発表デモやモノ・ミックスなど6曲をプラスし再発になりました。
(国内仕様CD 英文解説対訳付 『フリー・アゲイン~1970 セッションズ』 MSIG-873 2.940円)

 1969年に録音されたもののお蔵入りとなってしまい、1996年にようやく『1970』の名で発売された今作。

 ストーンズ「Jumpin' Jack Flash」(かっこいい!)、アーチーズ「Sugar Sugar」(へヴィなアレンジ!)のカバーほか、ビートルズ風やカントリー、のちのビッグ・スター的なポップなものまで。

 各曲の完成度は高いので、今まで聴いたことがなかった方にもオススメです。

 今日の一曲は未発表曲の中から「All We Ever Got From Them Was Pain」。

 アコースティック・ギターとハーモニーが美しい心洗われる一曲です。

 ちなみに、ビッグ・スターのドキュメンタリー映画サントラと称した未発表音源集『ナッシング・キャン・ハート・ミー~OST』も国内仕様盤が同時発売されました。

 そのビッグ・スターの映画、日本公開もしくはDVDでリリースされたら是非観てみたいですね!東尾沙紀


2013年9月2日(月) くじら 「ふたこぶらくだに会ったら」

 東京ローカル・ホンクのメンバーもリスペクトしている杉林恭雄を中心とした古豪バンド“QUJILA”(と書いて“くじら”)。

15年ぶりとなる新作『ふたりのラジオを鳴らそうよ』(TGC-36 2,500円)。

 長きに渡ってくじらのベースを務めていた松永孝義が昨年他界。

 『23550655』に参加した杉林恭雄、新生キリンジに加入したことでも知られる楠均、あまちゃんバンド・メンバーでもある近藤達郎。
 上記3名にヤプーズの中原信雄が加入し、入魂の傑作が出来上がりました。

 ロック、ジャズ、ソウル、昭和歌謡など様々なジャンルを呑み込んだバック演奏。

 そのサウンドに乗せて語られる杉林恭雄のクール&ソフトでいて内に秘めた強さを感じさせる歌声が、短編小説を読んでいるかのようにじんわりと耳に、そして心に入ってきます。

 今日のこの1曲は、独特なタイム感と音の隙間が味わい深い⑦「ふたこぶらくだに会ったら」。
(次曲⑧「ロンド」も沁みますね)

 なお、当店のみの特典として、杉林恭雄書下ろしイラスト・ポストカードを先着でプレゼントしています。森 陽馬



2013年9月3日(火) 村田和人 「未来への記憶」

 9月に入っても東京は暑い日が続いていますが、この暑さのせいか、家の冷蔵庫が壊れてしまいました。

 当たり前のように毎日使っているものは、壊れて初めてありがたみを実感しますね。

 さて、涼しくなっている(と思われる)9月下旬発売予定の楽しみなアイテムを紹介しておきましょう。

 猫好きによる、猫好きのための、猫をテーマにした作品集。
『猫と音楽の蜜月』。(9月25日発売予定 VSCD-1746 2,500円)

 山田稔明、杉真理、村田和人、玉城ちはる、uncle-jam(伊藤銀次&黒沢秀樹)、椎名純平×大石由梨香ほか、猫好き日本人ミュージシャンが曲を持ち寄り完成した素敵なオムニバス・アルバムです。

 ほぼ全曲、このCDのための書き下ろし新曲・新録音!
猫への愛情溢れた心和む全12曲♪

 どの曲も注目ですが、ラスト12曲目に入っている村田和人さんの新曲「未来への記憶」は沁みますね。

 このコンピを監修した土橋一夫さん作詞の1曲で、村田さんファンは必聴!

 晩夏に是非聴いてもらいたい1曲です。森 陽馬



2013年9月4日(水) ボビー・フラー・フォー 「アイ・フォート・ザ・ロウ」

 ワーナー・ミュージック・ジャパン『マスター・オブ・ポップ1000』シリーズ、第2弾が9月4日発売されました。

 今回もシェルビー・フリント、フレディ・キャノン、ヤング・ラスカルズ、モンキーズ、ジェイムス・ダーレン、ヴォーグス、『サンセット77』、『ダイナー』(オリジナル・サウンドトラック)など、魅力的なラインナップです。

 これが解説・歌詞付、そして最新リマスターされて1,000円ですから、うれしい限りです。

 その中から日本初CD化、ボブー・フラー・フォーを今日は紹介したいと思います。
(国内CD WPCR-27836 1,000円)

 軽快なギター・ストロークが印象的な曲「アイ・フォート・ザ・ロウ」は、1966年全米でヒットしている際に、日本のラジオでも時々耳にしました。

 この曲がヒット・チャートに昇ったのはこのボブー・フラー・フォーが初でしたが、オリジナルはバディ・ホリーとも関係の深い1960年クリケッツのヴァージョン。

 そしてカヴァーで一番有名なのは、やはりクラッシュのヴァージョンでしょうね。
CMなどにも使われましたしね。

 とにかく、ボビー・フラー・フォーの日本初CD化を讃えたいと思います。

 低価格ですが、あの勇壮な馬のデザインがプリントされたレーベルを見るだけでも大感激です。森 勉



2013年9月5日(木) ズクナシ 「Like Sun Shower」

 大西ゆかりさん曰く、“平成のスクーターズ”!

 結成10年を越える女性4人組ソウル・バンド、ズクナシ。

 今夏にリリースされた3枚目となる新作『SING』。(ZUKU-6 2,500円)

 「Heat Wave」をベースとした①「Like Sun Shower」に始まり、歌心溢れるバラードあり、ゴスペルあり、ファンクあり、インストあり...etcと、盛り沢山な日本語ソウル/ポップス・アルバム!

 岐阜の山小屋カフェにて、仕切りもない部屋で全員で輪になりほぼ一発録り!
3日間で録音されたという本作。

 シンプルなバンド・サウンドからライヴの楽しさが伝わってきます♪

 歌も演奏も本格派ながら、カゴにはネギ、ママチャリをかっ飛ばす姿が目に浮かぶポップな「ママバイセコー」や、恋の仕方を忘れてしまったのに...と女性の複雑な心情を歌ったバラード「恋の仕方」など、等身大の女性らしい詞にとても親しみが湧きました。東尾沙紀


2013年9月6日(金) Davell Crawford 「Fire And Rain」

 隔月発行誌“ブルース&ソウル・レコーズ”の最新号は、“ニューオリンズの今”特集。

 アラン・トゥーサン、ドクター・ジョン等古豪ミュージシャンも健在だけれど、現役バリバリ!イキのいい次世代・新世代組も頑張っているんだぞ!というのが伝わってくる記事&アルバム・レビュー。

 そのレビュー作品からピックアップされた10曲収録サンプラーCDも付いて1,680円。

<ガンボが食べられるお店>コーナーとか、吾妻光良さんのコラム、昨日紹介したズクナシのインタビューなども面白いですね。ニューオリンズ好きの方は買っておいて損なしだと思います。

その特集には掲載されてませんが、最近リリースされたニューオリンズ産アルバムでオススメなのがこの1枚。

 ダヴェル・クロフォード『My Gift To You』。(輸入CD BASIN STREET BSR-1402-2)

ドクター・ジョンで有名な「IKO IKO」の元歌「JOCK-A-MO」オリジネイターであるジェイムズ・シュガーボーイ・クロフォード。
 その孫がこのダヴェル・クロフォードで、僕が90年代ニューオリンズに行った時はジャケット写真のようなかわいいピアノ少年でしたが、現在は中年デブおじさんな風貌・・・。

 しかしながら、ピアノ・プレイはもちろん、作品としての仕上がりも深みが増していて、今作は素晴らしい出来!

 歌声は中性的でミシェル・ンデゲオチェロのような雰囲気。

 ドクター・ジョン、ニコラス・ペイトン他客演の活躍もありますが、1枚のアルバムとして完成度が高いですね。

 今日のこの1曲は、ジェイムス・テイラー「Fire And Rain」の沁みるカヴァーを。森 陽馬



2013年9月7日(土) Terence Higgins' Swampgrease Ⅱ 「Funny Funk Ha Ha」

 昨日話題に挙げた“ブルース&ソウル・レコーズ”誌、“ニューオリンズの今”特集に載っている1枚。

 ニューオリンズFUNKYドラムが聴けるオススメ盤!
テレンス・ヒギンス『Rage 'tin Sunrise』。(輸入CD Gris Gris Bag Entertainment GGB-002)

 現代ニューオリンズの良心ともいえる白人キーボード奏者/ヴォーカリスト、ジョン・クリアリーのバック・ドラマーとしても活躍している彼のリーダー作。

 いやー、このリズム感あるドラミングはかっこいい!

 ニューオリンズ特有のタメの効いたグルーヴが持ち味かと思いきや、スパッと切れ味鋭いフィルや爆発するようなソロを聴かせるなど変幻自在。

 黒人ながら乾いた音色のスネアで、重さを感じさせないファンキーなサウンド。
 フレッシュな他メンバーとの絡みも素晴らしいですね。

 今日のこの1曲は、ジャム・セッションの延長線上のようでいて、クールなファンクに仕立て上がっている⑤「Funny Funk Ha Ha」。

 ちなみにインスト中心のアルバムですが、6曲目「Soul 45」ではジョン・クリアリーがヴォーカル参加しています。森 陽馬



2013年9月8日(日) ビーチ・ボーイズ 「ふられた気持ち」(未発表)

昨年から噂されていたビーチ・ボーイズのヒストリー・ボックス・セット『カリフォルニアの夢』が発売になっています。
(国内仕様CD 完全限定盤 6枚組CD TOCP-71591 16,800円)

 卒業アルバムのような豪華なハード・カヴァー本仕様に掲載されている数々の秘蔵写真、メンバーのコメント、『ペット・サウンズ』アルバム・ジャケット撮影秘話など、ブックレットも興味津々ですが、なんといっても50年に及ぶビーチ・ボーイズの歴史的音源が6枚組CDに全174曲、タップリ味わえるのがミソ。

 ディスク1から5の途中までは、最新リマスター音源で彼らの重要ヒット曲を聴きつつ、珍しい楽曲も楽しめる作りで、ビーチ・ボーイズ50年の足跡ここにあり!という内容。

 ディスク5の後半は今まで公式発表にはなっていなかったライヴ音源が15曲、そしてディスク6はほとんど未発表レア音源集になっています。

 今日はそのディスク6から現在気に入っているベスト5を選んでみたいと思います。

 まず3曲目に入っている「ドント・ウォリー・ベイビー」。
ブライアン・ウィルソンのリード・ヴォーカルが別テイクで、エンディングの♪アーアーウッウ・・・♪がいいですね。

 5曲目「ゲス・アイ・ダム」はブライアンがグレン・キャンベルに提供した曲のインストゥルメンタル・トラック。
なんとも魅力あるオケです。

 8曲目「ディス・ホウル・ワールド」。
アルバム『サンフラワー』収録曲ですが、ここではヴォーカルだけを抜き出したアカペラ・ヴァージョンが聴けます。
 カール・ウィルソンのハリのあるクリアトーン・ヴォイスがたまりません。

 9曲目「ホエア・イズ・シー」は完全未発表曲。
1969年頃の録音で、ブライアンのリード・ヴォーカル。

 16曲目「バーンヤード・ブルース」。
1974年頃に録音された未発表のデニス・ウィルソン作で、アーシーなロック・ナンバー。

 18曲目はライチャス・ブラザーズの「ふられた気持ち」をカヴァー。
『15ビッグ・ワンズ』~『ラヴ・ユー』あたり、ブライアンズ・バック時代の録音。
 ブライアンの昔のカンを取り戻してもらおうという時期なので、ブライアンお気に入り楽曲のカヴァーを色々と録音した頃の未発表音源。ブライアンの声の状態がいい時らしく、この時期としてはツヤのある声が聴けます。

 さて、ベスト5と言っておきながらもう6曲も選んでいますが、まだまだ注目の未発表音源はあります。
その紹介はまた日を改めて、ということで、今日は失礼いたします。森 勉

★当店にてビーチ・ボーイズBOXお買い上げの方には、もれなく特製トートバックをプレゼント!
←今回のBOXの大きさに合わせて新たに作成したオリジナル・トート・バックです♪
更に追加で、当店オリジナル・ロゴ入りクリアファイルもお付けしています。


2013年9月9日(月) James Taylor 「Sweet Baby James」

 9月8日、SASAKLA&John John Festivalのライヴを吉祥寺キチムで見てきました。

 “現代日本のジェイムス・テイラー”!笹倉慎介さんと、アイリッシュ・ミュージックを奏でる3人ユニット、ジョン・ジョン・フェスティヴァルの素敵な融合。

 先日発売された共作アルバム『Trek Trek』(
8月23日に紹介)録音時の和気藹々とした雰囲気が伝わってくる心温まるライヴでしたね。

 4人の演奏も素晴らしかったけれど、笹倉さん1人の弾き語りセットも良かったなぁ。

 ジェイムス・テイラー「スウィート・ベイビー・ジェイムス」のカヴァーもやってくれて、ジェイムス・テイラーがグリニッジ・ヴィレッジにいた頃はこんな感じで歌っていたんだろうな、と思えるくらい感動しちゃいました。

 そんなSASAKLAのライヴが10月14日渋谷BYGにて、林立夫さんをバックに従え行なわれるそうです。
これは楽しみですね。

 ということで、今日のこの1曲は、ジェイムス・テイラー「スウィート・ベイビー・ジェイムス」。

 今作に入っている「サニー・スカイズ」や、僕の大好きな『オクトーバー・ロード』収録曲もいつかやってもらいたいな。森 陽馬

★掲載ジャケットは、ジェイムス・テイラー1970年発表作「スウィート・ベイビー・ジェイムス」。
現在、限定価格1,380円で国内盤が出ています。(国内CD 解説・歌詞・対訳付 WPCR-78045 1,380円)



2013年9月10日(火) キース・ジャレット 「Fire And Rain」

 シンガー・ソングライター名盤、というより迷盤?!

 名ジャズ・ピアニスト、キース・ジャレットが自作の歌を歌った1968年発表アルバムが再発されました。
(国内CD 『レストレーション・ルーイン』 WPCR-15116 解説・歌詞・対訳付 1,200円)

 歌だけでなく、演奏も全てキース・ジャレット1人で多重録音!

ピアノはもちろん、ギター、ベース、ドラム、タンバリン、サックス、更にはリコーダー、ハーモニカ、ボンゴまで!

 1960年代後半ですから、やはりボブ・ディランの影響でしょう。

 2曲目「All Right」は全編にハーモニカが入っていて、ディランとティム・バックリーとドノヴァンが合わさった雰囲気ですね。

 ピアノはやたらリリカルでかっこいいのに、ドラムはかなりバタつき気味・・・。
でも、ギターは3曲目後半のソロ含めかなりいい感じ。
4曲目の唐突なサックス・ソロも不思議だけどいい感じ。だけどタンバリンは・・・。

 というようにツッコミどころ満載ですが、シンガー・ソングライターブームが到来する前ですし、フォーク好きの方は聴きものの1枚だと思います。

ちなみに7曲目「Fire And Rain」はジェイムス・テイラーの名曲とは同名異曲です。あしからず・・・。森 陽馬



2013年9月11日(水) 東京ローカル・ホンク 「ブラック里帰り」

 今週は当店ペット・サウンズ・レコードも絡んだイベントがアゲインにて二つ。

12日(木)はGOMES THE HITMANの山田稔明さんを招いてトーク&ライヴ。(1部で森陽馬と山田稔明さんがトーク)

 16日(月・祝)は、東京ローカル・ホンクによるトーク&ライヴを行います。

 ホンクの方は、1部で森勉とホンク・メンバーがトークし、ライヴも色々な曲をやってもらう予定。
久々のホンクアゲインライヴ、楽しみですね。

 また、2011年末『さよならカーゴカルト』発売の時に当店で作成したホンク新聞を久々に作成しております。

 メンバー各々にアンケートで“思い出のホンクライヴは?”など伺いました。
イベントでは懐かしい話も色々と聞けると思いますので楽しみにしていてください。

 ちなみに、僕が思い出に残っているホンクのライヴは、やはり2005年1月15日、当店旧店舗が立ち退きになる直前にビル4階で行なっていただいたコンサートですね。感慨深かったです。

 それと同じくらい不思議と記憶に残っているのが、2005年発表『東京ローカル・ホンク』アルバムが出た後、神楽坂にある小さいライヴハウスで行なったライヴ。

 対バンは毛色の異なるバンドが多くアウェイな雰囲気でしたが圧巻の演奏!
アルバム中では5分ほどの曲もジャムバンドのような長尺アレンジにして、約1時間でわずか4~5曲! かっこよかったですね。

ということで、今日のこの1曲は、2005年発表アルバム『東京ローカル・ホンク』(MONA-008 2,500円)から、歌詞が面白い「ブラック里帰り」を。森 陽馬



2013年9月12日(木) James Skelly & The Intenders 「Love Undercover」

 2002年にデビューし、現在までにミニ・アルバム含む6枚のアルバムを発表しているリヴァプール出身フォーク/サイケ・ロック・バンド、ザ・コーラル。

 意外にも初となるメンバー各々のソロ作を昨年から順に発表。

 今日紹介するのは、デビュー時(19歳位だったと思うのですが...)から少しハスキーで味のある歌声が素敵なフロントマン、ジェームズ・スケリーの『LOVE UNDERCOVER』を。
(輸入CD James Skelly & The Intenders 『Love Undercover』 COOKCD589)

 1曲目はポール・ウェラーとの共作で、ウェラーが歌ってもハマりそうなシュプリームス風のポップ・ナンバー♪

 他にも「Stand By Me」を彷彿とさせる曲や、ブルース・ロック、郷愁を誘うフォーキーなバラードなどなど、バンドのイメージとは離れたシンプルなメロディ&サウンドで紡がれた一枚。

 コーラルを知らない方もぜひ!

 ソロといいつつも、弟でドラマーのイアンが共同プロデュース。

 クレジットを見るとコーラルのメンバー全員の名前が。

 なんだか微笑ましく思えました。東尾沙紀



2013年9月13日(金) Kim Richey 「London Town」

 9月12日山田稔明さんを招いてのイベント“月明かりのナイトリスニング”、ご来場いただいた方ありがとうございました。

 第1部インタビュー&トークにて、<秋に聴きたいオススメの1枚>のお題に、山田稔明さんがニール・ヤング『ハーヴェスト』を選んでくれてうれしかったです。

 第2部のライヴでは、山田さんが歌うジャクソン・ブラウン「These Days」、R.E.M「Man On The Moon」等、レアなカヴァーが聴けて良かったですね。

 また今年中に第2回目を行いたいと思ってますので、よろしくお願いいたします。

 さて、僕がこの秋オススメしたい1枚は、Kim Richey 『Thorn In My Heart』。(輸入CD YEP-2320)

 Kim Richeyは1990年代中盤から活動しているアメリカ/オハイオ出身女性シンガー・ソングライター。

 今作は7枚目くらいだと思いますが、いいですねー。これは。

 ジャケットの見た目ほど、フォーク/カントリーっぽくなく、程よいアメリカン・ルーツ・サウンド。

 『ハーヴェスト』のようなシンプルなリズムに絶妙な味付けがされたバック・サウンド。
そして彼女の凛とした歌声が沁みます。
 ウィルコのパット・サンソンやトリーシャ・イヤウッドなども参加。

 今日のこの1曲は、『ハーヴェスト』1曲目「Out On The Weekend」のリズムを踏襲したかのような②「London Town」を。森 陽馬

(蛇足ですが、永遠の秋オススメ盤は、今日のこの1曲コーナーで最初に紹介したこの1枚、ジェイムス・テイラー『オクトーバー・ロード』です)



2013年9月14日(土) オーリアンズ 「ダンス・ウィズ・ミー」

 オーリアンズは1970年代アメリカン・ロックを好んで聴いていた人々の中では、かなりの知名度があったグループだったのではないでしょうか。

 とりわけ1975年の大ヒット曲「ダンス・ウィズ・ミー」は様々なカヴァー・ヴァージョンも含めて、一度はどこかで聴いたことがあるのでは、と言える有名曲かもしれません。

 2本のアコースティック・ギターが絶妙なアンサンブルを奏でるイントロから、ジョン・ホールとラリー・ホッペンが見事なハーモニーを聴かせてくれるこの曲の出だしは、いつ聴いても本当にぞくぞくしてきます。

 このCDは「ダンス・ウィズ・ミー」収録1975年発表作『Let There Be Music』(邦題:歌こそすべて)と、1976年発表作『Walking And Dreaming』(邦題:夢のさまよい)の2枚のアルバムを1枚のCDに収めたもの。
(国内仕様CD 日本語解説付 CRCD-3411 2,500円)

 もう1曲の大ヒット「スティル・ザ・ワン」も収録されています。森 勉


2013年9月15日(日) スピッツ 「ランプ」

 スピッツ、約3年ぶりオリジナル・アルバム『小さな生き物』が先日発売。
(通常盤 UPCH-1946 3,059円)

 草野マサムネらしいメロディー&歌声は変わらず健在。

 最近のJ-POPバンドのリズム・アレンジを意識したような曲(⑧「scat」)があるかと思えば、「君が思い出になる前に」を彷彿とさせるような懐かしいスピッツ節が聴ける曲(④「ランプ)もあるなど、新旧のスピッツ・ファンが満足できる仕上がりですね。

 ただ、近年のアルバム同様、キンキンと耳が痛くなるほど高い音圧/ミキシングには、個人的に疑問を持っています。
 『フェクファー』の頃のような耳にやさしい音にはならないのでしょうか・・・。

 あと、今回はDVD付、ブルーレイ付など数種類の初回限定盤を同時発売したことにも疑問を感じます。
(ライヴ&クリップ2DVD付、同じく2ブルーレイ付、クリップ3曲DVD付、同じくブルーレイ付、通常盤、そして公式サイト&会場限定アナログ盤含め計6種類。初回限定盤はDVDorブルーレイが付いているだけでなく、通常盤より曲が1曲多いという狡い仕様)

 ファンが複数枚買ってくれて売り上げ枚数が伸びるとでも思っているのでしょうかね?

こういう売り方を続けていると必ずしっぺ返しが来るので、そろそろ止めた方がいいと思うのですが・・・。森 陽馬


2013年9月16日(月) VAGABONDO cpa 「Manhattan Minuet」

 昨日のこのコーナーにて、近年音楽業界で常態化している複数仕様リリースのことを書きましたが、初回仕様がない1種のみの発売で売り上げを伸ばした作品が今夏ありました。

 それは、なんと!マキシマム・ザ・ホルモン!

 今や日本を代表するヘヴィー・ロック・バンドとなった彼らの最新作は、リーダーのマキシマム亮君のこだわりが爆発した解説本&漫画付仕様で2,889円。
 同レーベルから同時期出たバンプ・オブ・チキンのベスト盤に負けず劣らずの売れ行きなのです。

 何故にこのアルバムが売れているのか?
それは、内容もさることながら、<配信・CDレンタル全面禁止作品>と銘打たれていることも要因だと思います。

 聴きたければこのCDを買うしかない!というわかりやすさ。
更にその作品コンセプトが、アーティストの想いが詰まったものであるならば、普段はダウンロードやレンタルで済ませているファンも買って納得するはずでしょう。

 握手券などの付加価値を必要とするアイドルは別として、音で勝負するミュージシャンならば、1人のファンに複数枚買わせようとするのではなく、多くのファンが確実に購入し満足してもらえるような作品リリースをこれからはしていってもらいたいですね。

 駄文が長くなりましたが、今日のこの1曲は、今年リリースされた作品中で最もこだわりと作り手の熱意が伝わってきたレイモンド・スコット・ソングブックより。(国内CD LI'L DAISY LDCD-1 5,250円)

 このBOXの監修・解説・製作者である岡田崇さんによるプロジェクト、VAGABOND cpaが奏でるレイモンド・スコットカヴァーを。森 陽馬


2013年9月17日(火) ジミー・ウェッブ 「マッカーサー・パーク」 feat ブライアン・ウィルソン

 心待ちにしていたジミー・ウェッブの新作が発売されました。
(国内CD ジミー・ウェッブ本人による楽曲解説・歌詞・対訳付 VICP-75109 2,835円)

 タイトルは『Still Within The Sound Of My Voice』。
2010年発表前作『ジャスト・アクロス・ザ・リヴァー』に続き、彼が今まで作った楽曲を豪華ゲストを迎えてセルフ・カヴァーした新録アルバムです。

 今回はナッシュビル録音。往年の名曲をバンジョーやマンドリン、フィドルなどを取り入れたカントリー的なサウンド・アレンジで聴かせます。

 美しい歌声が魅力的なルーマーをfeatしたタイトル曲⑤他、デヴィッド・クロスビー&グラハム・ナッシュ、カーリー・サイモン、アメリカ、アート・ガーファンクル等も参加。

 その中でも聴きものは、ビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンをfeatした「マッカーサー・パーク」!

 リンダ・ロンシュタット「アディオス」を彷彿とさせるブライアンの美しいコーラス。
更に、後半転調&テンポ・アップしてから、カントリー・フレーヴァー溢れるギター・ソロを交えた演奏もかっこいい!

 ジミー・ウェッブ本人による解説も、ブライアンにある楽器をプレゼントしたエピソードなど興味深い話が多く楽しめます。今秋じっくり聴き込みたい1枚ですね。森 陽馬


2013年9月18日(水) The Strypes 「Heart Of The City」(ニック・ロウ・カバー)

 当店地下カフェ・アゲインで隔月開催されている、音楽ライター水上徹さんとマイクロスターのジャケットを手掛けたデザイナー高瀬康一さん主催の音楽&トーク・イベント『Good Old Boys』。

 一週間後の9月25日(水)は、11月初旬に来日するニック・ロウ特集!

 ペット・サウンズ・レコードのお客様であり、GOBに過去2回出演されているオールディーズ&ニック・ロウLOVEの高橋千賀さんと共にゲストとして参加させて頂く事になりました。

 あんな曲こんな曲をかけながらのお話、私も楽しみです。

ニック・ロウファンの方もそうでない方も、お時間、ご興味のある方は是非ご参加下さい。

今日のこの1曲は、アイルランド出身平均年齢16歳(!)の4人組、ストライプスの1stアルバム『スナップショット』(国内CD 初回DVD付 ボーナス・トラック4曲追加 UICR-9035 3,200円)から。

 まだ幼さの残るかっこかわいい4人ですが、今作にはボ・ディドリー、ソニックス他渋いカバーが沢山収められています。

 なんとその中にニック・ロウ「Heart Of The City」のカヴァーも!

 以前来日した際ライブで演奏したそうで、今作に収録されているヴァージョンも、ロックパイルのライブver.を踏襲したとってもエネルギッシュなアレンジ♪

 スクイーズのディフォード&ティルブルック作「モンキー」などパブ・ロックファンもウズウズしてしまう選曲ですね。
 勿論オリジナルもかっこいいですよ。

 クリス・トーマス・プロデュース。
若さとセンスと高い演奏力で突っ走ってほしいバンドです。東尾沙紀

2013年9月19日(木) 原めぐみ 「マイ・ボーイフレンド」

音壁ガール・ポップスの女王、原めぐみのニュー・アルバム『WORDS OF LOVE』が発売になりました。
(VSCD-1750 2,800円)

 新曲10曲にプラス、タイトル曲のモノラル・ミックスを含めて全11曲。
すべてが音壁スタイルというその筋のサウンド好きにはたまらない内容になっています。

 プロデュースは今回も中村俊夫。
オールディーズ・テイストの音壁制作に関しては、ハズレなしの作品を作ってくれる信頼度バツグンのプロデューサーです。

 どの曲も甘酸っぱい60'sポップスの味付けがなされておりグッときてしまうのですが、今日はサリー久保田作品「マイ・ボーイフレンド」を。

 この曲はデヴィッド・ゲイツ作品でガールフレンズが歌った「マイ・ワン・アンド・オンリー・ジミー・ボーイ」を感じさせてくれるのですが、キュートな原めぐみのヴォーカルを最大限に活かしたアレンジになっていると思います。

 1曲目のインスト「プレリュード」にビーチ・ボーイズ・テイストを感じたり、ロネッツの楽曲を感じる曲があちこちにあったり、あのリリーズがバック・コーラスで参加していたり、他の曲もとにかく色々な面で練られた作品になっています。

 今なら当店のみの特典で、コーラスの美しさも楽しめる「恋のはじまり」(WHEN LOVE BEGINS)アカペラ・ヴァージョンを収録したスペシャル・ボーナスCDRを先着でプレゼント中です。森 勉



2013年9月20日(金) グレン・キャンベル 「Postcard From Paris」(Alternate Mix)

 アルツハイマー型認知症のため、2011年発表作『Ghost On The Canvas』(2011年9月19日のこのコーナーで紹介)が最後のアルバム、と言われていたグレン・キャンベル。

 自身が歌っていた名曲をセルフ・カヴァーした新作が発売されました。
(国内CD 長門芳郎解説・歌詞・対訳付 VICP-75110 2,835円)

 病気を乗り越え新録音?、と思いきやそうではなく、2010年頃に録音していたヴォーカル・トラックを元に、プロデューサーのデイヴ・ダーリング&デイヴ・カプランがカントリー・ルーツな演奏を後から付け足し作成したアルバム、とのこと。

 しかしながら、力強いグレンの歌声はオリジナル以上に味わい深く、バックのサウンドも彼のヴォーカルを引き立てたアレンジ。

 「ウィチタ・ラインマン」、「恋はフェニックス」、「ガルヴェストン」、「ジェントル・オン・マイ・マインド」、「ラインストーン・カウボーイ」など代表曲を新しいアレンジにより噛みしめて聴ける1枚です。

 今日のこの1曲「Postcard From Paris」は、ジミー・ウェッブ作でジョン・デンバーが1990年作で歌っていた曲のカヴァー。

 ♪親愛なる友よ ~ きみが今ここにいないのが残念だ ~ きみがここにいればと思う♪
と歌われるジミー・ウェッブ作らしい郷愁のナンバー。

 本編4曲目に収録されていますが、国内盤ボーナス・トラックに収録されている13曲目Alternate Mixの方が、リズムが強調されたバンド・アレンジで僕は好きですね。

 ちなみに国内盤ライナーノーツは長門芳郎さんが手掛けています。森 陽馬


2013年9月21日(土) Robert Randolph & The Family Band 「Born Again」

 今年4月4日の今日のこの1曲でスライド・ブラザーズのアルバムを取り上げ、<ロバート・ランドルフにもこういうアルバムを作ってほしい>というようなことを書きましたが、その願いが通じたのか痛快な新作を出してくれました。

 Robert Randolph & The Family Band 『Lickety Split』。(輸入CD BLUE NOTE 05099998408023)

 T・ボーン・バーネットがプロデュースした2010年発表作『We Walk This Road』は地味な印象でしたが、今作は彼らしい豪放なスライドが爆発!

 サンタナやトロンボーン・ショーティが参加したり、ヤング・ラスカルズで有名な「Good Lovin'」カヴァーを豪快にキメたり、話題性も色々ありますが、とにかく1曲目冒頭スライドの爆音でKO確実! かっこいいですね!

 今日のこの1曲は、2曲目「Born Again」。

 スティーヴン・スティルス「Love The One You're With」に似ているな~、と思ったら、作曲者クレジットにその曲を下敷きにした旨がちゃんと記載されていました。

 歌詞は違いますが、“ロバート・ランドルフ版「Love The One You're With」ブルース・ロック・アレンジ”、といったところでしょうか。

 ペダル・スティール・ギター、ブルース・ロック好きは必聴の1枚ですね。森 陽馬


2013年9月22日(日) The Rides 「Rockin'In The Free World」

 昨日話題に上がったスティーヴン・スティルス。

 約5年前前立腺がんから復活し、CSN&Y再結成、CSNツアー、BOXセット発売と活動してきた彼が、バリー・ゴールドバーグ、ケニー・ウェイン・シェパードと組んで新作を発表しました。

 ユニット名は、ザ・ライズ。
(The Rides 『Can't Get Enough』 国内CD COCB-54074 2,415円)

 スティルスのトリオ・ユニットというと、アル・クーパー&マイク・ブルームフィールドと組んだスーパーセッションが思い出されますが、そこまでの緊張感はなく、和気藹々と楽しみつつスタジオでレコーディングしているのが伝わってくるようなオヤジ・ロック・アルバムです。

 イギー・ポップ「サーチ&デストロイ」、ニール・ヤング「ロッキン・イン・ザ・フリー・ワールド」のカヴァーもやっていて、オリジナルに比べるとやや生ぬるい感もありますが、まあこれはこれでそれなりにかっこいいからいいのかな。

 ドラムはスティーヴィー・レイ・ヴォーンでお馴染みのダブル・トラブル在籍、クリス・レイトン。
ベースはCSNのバックで活動しているケヴィン・マコーミック。
 そして元トーキング・ヘッズのジェリー・ハリスンがプロデューサーとして参加してます。森 陽馬


2013年9月23日(月) YeYe 「パレード」

 YeYe(イエイエ)こと橋口のりこさんは、1989年滋賀生まれ京都在住。
2011年にデビュー作『朝を開けだして、夜をとじるまで』をリリースした女性シンガー・ソングライター。


 ほんわか、ほのぼのとした佇まいの彼女ですが、作詞作曲、楽器演奏、プロデュースをすべて1人でこなすマルチプレイヤーであり、CM楽曲制作や他アーティスト作品でのゲストヴォーカル参加など、多方面で活躍されています。

 先日発売された新作『HUE CIRCLE』(RYECD-190 2,500円)では少しスタイルを変えて、ライブでのサポート・メンバーも演奏に参加。
 田辺玄さん(WATER WATER CAMEL)がエンジニアを担当しています。

 心弾むリード曲「パレード」(PVもかわいい)。
 音のコラージュが楽しい「Miserable」。
 キングス・オブ・コンヴィニエンスやアディティア・ソフィアンを連想させるアコースティック・ナンバー「あるある言いたい」。

 様々な音の重なりと彼女の透き通る歌声がとても耳に心地良く、聴いていると不思議な空間に連れて行ってくれる一枚です。

 思わずジャケ買いしたくなるアートワークは、ceroなどのジャケットを手掛けている惣田紗希さんによるものです。東尾沙紀


2013年9月24日(火) ミシェル・ファイファー 「メイキン・ウーピー」

 様々なジャンルの内容の良い名盤が低価格でどんどん再発売されています。

今日はユニヴァーサル・ミュージックが先週発売した『永遠のサントラ999ベスト&モア』から紹介しましょう。

 ユニヴァーサル社が権利を持っている洋画サントラ75タイトル、邦画サントラ29タイトル、計104タイトルが一挙に発売されました。

 なんと1枚999円!(2枚組は1,499円)

その中から、1990年秋日本公開された『恋のゆくえ』(原題:The Fabulous Babker Boys)を。
(国内CD UCCU-90002 999円)

 ボー&ジェフ・ブリッジスの本当の兄弟が映画の中でもジャズ・ピアノ兄弟デュオ・グループを組んでいる、という設定で、当時旬な女優だったミシェル・ファイファーが歌手役としてそれに加わり、三角関係があったりして物語が展開していくというストーリー。

 サントラCDは、デイヴ・グルーシンがプロデュースを担当。
映画内で使用された彼のピアノが魅力的なインスト曲も多数収録されています。

 しかし、注目はなんといってもミシェル・ファイファーの歌が2曲入っていることでしょう。

 「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」と「メイキン・ウーピー」。

 ジェフ・ブリッジスのピアノ(実際に弾いているのはデイヴ・グルーシン)をバックに歌うミシェルの「メイキン・ウーピー」。なんとも色っぽい名シーンです。森 勉


2013年9月25日(水) シェリル・クロウ 「Easy」

 シェリル・クロウは1995年初来日公演(新宿リキッドルーム!)も見に行きましたし、デビュー時から好きな女性シンガーです。(輸入盤シングルとかも集めてたなぁ)

 ただ、最近はアルバムが出て購入してもあまり聴きかえすこともなく、熱が冷めてしまってましたが、新作『フィールズ・ライク・ホーム』はとっても良い雰囲気の1枚!
(国内CD ボーナス・トラック1曲追加 解説・歌詞・対訳付 WPCR-15189 2,580円)

 まず音の抜けがいいですね。
ナッシュビル録音で開放感ある演奏とサウンド。

 それほどカントリーっぽくもなく、ほど良いポップな味付けがされていて、秋風を感じながら心地良く聴ける仕上がり。

♪今年の夏はカンクーンに行こうって話してたけど、ビーチなんてどうでもいい。
~中略~ メキシコなんて必要ないわ、家にいましょうよ。
芝生に椅子をおいて、ホースから水を出して。
ジャック・ジョンソンを聴くの、彼は現代のドン・ホーね。♪ (②「Easy」歌詞より)

 彼女も今年で51歳。力みのないリラックスした歌声で、アルバム・タイトル『Feels Like Home』通り、くつろいで聴ける全13曲です。森 陽馬


2013年9月26日(木) ジャック・ジョンソン 「I Got You」

 昨日取り上げたシェリル・クロウ「Easy」の歌詞に登場しているジャック・ジョンソン。

 約3年ぶりとなる新作『From Here To Now To You』を発表しました。
(国内CD ボーナス・トラック1曲追加 解説・歌詞・対訳付 UICU-1245 2,300円)

 2010年発表前作『To The Sea』は、父の死を受けての作品だったためやや内省的な作風でしたが、今作はジャケットのイメージ同様開放感ある仕上がり。

 2nd『On And On』、3rd『In Between Dreams』を手掛けたマリオ・カルダートJrがプロデュース、ということもあり、ザック・ギル(ALO)など参加メンバーは基本的に変わりませんが、初期の雰囲気が戻ってきた感じですね。

 今日のこの1曲は、1曲目「I Got You」。

 冒頭から超ゴキゲンな口笛イントロ。

これだけで目の前がハワイのジャック・ジョンソン・ワールドに早変わり♪

 全13曲中アップ・ナンバーも適度に入っており、全体的に愛に溢れたイイ作品ですね。

11曲目「Change」ではベン・ハーパーが参加。渋いワイゼンボーンのスライドを聴かせます。森 陽馬


2013年9月27日(金) ドン・ホー 「タイニー・バブルズ」

 一昨日のシェリル・クロウ「Easy」歌詞内で、ジャック・ジョンソンを“現代のドン・ホー”と例えてました。

そのドン・ホーのアルバムがオールディ-ズ1,000円シリーズで日本初CD化されたので紹介しておきましょう。

 ドン・ホーはハワイ/オアフ島出身、1960年代中盤から活動している男性シンガー。

 1966年発表シングル「タイニー・バブルズ」が全米57位のヒット。
今作はその「タイニー・バブルズ」を収録したオリジナル・アルバムです。
(国内CD 解説・歌詞付 WPCR-27821 1,000円)

 エルヴィス・プレスリーに影響を受けた感もある歌唱で、ハワイアン・シンガーらしいおおらかさがあっていいですね。

アンディ・ウィリアムスのようなゆったりしたポピュラー・ヴォーカルものお好きな方にもオススメの1枚です。

 ちなみに、サザンオールスターズが1980年に発表したアルバム『タイニイ・バブルス』はこの曲を意識して付けたのでしょうかね。
(日本語カタカナ表記は違いますが英語綴りは同じです)

 “Tiny Bubbles”は英語直訳だと“小さな泡”ですが、ハワイでは“かわいいおっぱい”という隠れた意味もあるそう。
 この曲を好きだった桑田佳祐がその意味を知っていて付けたのかな? 森 陽馬


2013年9月28日(土) ジェフ・リン 「セプテンバー・ソング」

 もうすぐ9月も終わりですが、今日はすてきな9月な歌を1曲。

 クルト・ワイルとマックスウェル・アンダーソンが作ったスタンダードの名曲「セプテンバー・ソング」をジェフ・リンがカヴァーしています。

 今年ひさしぶりに再発された『アームチェア・シアター』(1990年)に収録。
(国内CD SHM-CD紙ジャケット仕様 最新リマスター&ボーナス・トラック3曲追加 MICP-30045 3,000円)

 ジェフ・リンは最新作『ロング・ウェイヴ』でもスタンダードを自分のスタイルにして絶妙なカヴァーを聴かせてくれました。(
2012年11月28日の今日のこの1曲コーナーで取り上げました)

 この『アームチェア・シアター』は自作がメインですが、「セプテンバー・ソング」と「ストーミー・ウェザー」のカヴァーが聴けます。

 「セプテンバー・ソング」はジョージ・ハリスンの印象的なスライド・ギターをフィーチャーしながら、ジェフ・リンならではのサウンド・ワールドが展開される名カヴァーとなっています。森 勉


2013年9月29日(日) 山田稔明 「夢のなかの音楽」

 9月3日の今日のこの一曲でご紹介した、猫好きなミュージシャンによる猫をテーマにした作品集『猫と音楽の蜜月』が今週発売になりました。(VSCD-1746 2,500円)

 山田稔明、村田和人、杉真理、玉城ちはる、uncle-jam(伊藤銀次×黒沢秀樹)、椎名純平×大石由梨香、南波志帆などが参加、しかもほぼ全ての楽曲がこのコンピのために書き下ろされた楽曲!

 猫からの目線、飼い主の目線、仔猫の冒険を描いたインストなどなど、様々な視点で紡がれた猫への愛情溢れる全12曲を収録。

 その中から今日の一曲は、この作品の一曲目を飾る山田稔明さん「夢のなかの音楽」。

 エヴァリー・ブラザーズ「夢をみるだけ (原題:All I Have To Do Is Dream)」の♪Dream Dream Dream~♪のフレーズを織り交ぜたポップな一曲です。

 ジャケ買いしたくなる今作のカバーを飾るのは、人気猫ブログ「ミルキク.net」のミル&キクちゃん。
ブックレットの中にも2匹の可愛い写真が満載です♪東尾沙紀

★当店にてお買い上げの方には特製猫ポストカードを先着でプレゼント中!


2013年9月30日(月) ウェルナー・ミューラー・オーケストラ 「タイプライター」

 最近、タイプライターが出てくる映画を続けて見ました。

 まずは、
『タイピスト!』

 2012年アカデミー賞を受賞した『アーティスト』の制作スタッフが集まり新たに作られたフランス映画ですが、今回も1959年頃の時代設定で音楽やファッション等レトロな雰囲気タップリ。
(長編映画デビュー作という、レジス・ロワンサル監督はこれからも要チェックの監督ですね)

 フランス映画というとシリアスなものが多いイメージですが、この映画はコメディー要素も満載なファンタジー恋愛映画♪ 楽しんで見れて多幸感が心地良い作品でした。

 もう1作は、
『オン・ザ・ロード』

 フランシス・フォード・コッポラ製作総指揮。ロードムービーを撮らせたら現代随一!『モーターサイクル・ダイアリーズ』等で知られるウォルター・サレス監督。
 
ビート・ジェネレーション/ビート詩人好きならバイブルな1冊、ジャック・ケルアック『オン・ザ・ロード』を映画化したアメリカ映画。

 酒、煙草、ドラッグ、窃盗、SEX、同性愛etc...、過激な描写が多く、上映時間も長めなので普通の人にはオススメし辛い映画ですが、独特な疾走感があって面白かったですね。

 あの散文詩的な書籍を1本の映画としてうまくまとめたなぁ、というのが第一印象。
ロードムービー好き/ビート詩人の本に興味ある方なら見ておいて損はないと思います。

 ということで、今日のこの1曲は「タイプライター」。

 
2007年6月23日のこのコーナーで、ルロイ・アンダーソンのオリジナル・ヴァージョンは紹介していましたから、今日はウェルナー・ミューラー・オーケストラによるカヴァーヴァージョンの方を。
(国内CD 解説付 2012年最新リマスター WPCR-14529 1,800円)

 こちらも、タイプライターを打つ音とオーケストラが見事に融合。ゴキゲンな1曲です。森 陽馬






これより以前に掲載した“今日のこの1曲”は、
 “今日のこの1曲 アーカイヴス” コーナーにてご覧になれます。■


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