トップページ        今日のこの1曲アーカイヴス



  今日のこの1曲 “Archives”

<2016月9月>

当店ペット・サウンズ・レコード店にて
その日に店内でかけていた曲の中から、
店員の独断と偏見で選んだ“今日のこの1曲”コーナー

2016年9月に更新した“今日のこの1曲”コーナー


廃盤・生産中止、規格番号の変更など、
情報が古くなっている商品もございますが、ご了承くださいませ。

<最新の“今日のこの1曲”はこちらのページをご覧ください>


2016年9月1日(木) Brian Wilson and friends (feat Mark Isham) 「Half Moon Bay」

ブライアン・ウィルソン2016年来日公演から約5か月が経ちました。

早いようでもっと昔のような感じもしますが、あの時の感動は今もしっかりと心に刻まれています。

その言葉にならない感慨を呼び覚ましてくれる作品が出ました。

Brian Wilson『Brian Wilson and Friends』
(輸入CD+DVD Soundstage/BMG(US) 538218620)

2014年12月行われたブライアン・ウィルソンのコンサートを収めたCD+DVD。

ブライアン2015年4月発表傑作『No Pier Pressure』発売前のライヴながら、その作品に収録された楽曲やビーチ・ボーイズ名曲の数々をアル・ジャーディンやブロンディ・チャップリン等ゲストと共に披露しています。

WOWOWでも放映されたことがありましたが、映像にはボーナス2曲&インタビュー映像等も追加。
(リージョン・オールですから日本の再生機でもご覧になれます)
CDにはDVDには収録されていない「California Girls」と「California Saga」音源も収録。
ビーチ・ボーイズ/ブライアン・ファンは必聴&必見ですね。

今日のこの1曲は『No Pier Pressure』収録の美しいインスト・ナンバー「Half Moon Bay」。

マーク・アイシャムによるトランペットがとにかく素晴らしい!
「Don't Talk」へ続く流れは、晩夏に切なく響きます。森 陽馬


2016年9月2日(金) Kenny And The Cadets (The Beach Boys) 「Barbie」

2016年夏の想い出は、親戚がいる秋田/大舘へ行った時のこと。

大舘に唯一残っている映画館、
御成座(オナリ座)で映画を観ることができました。

1952年開館、2005年に閉館するも2014年再開され、名画座として現在も営業を続けている映画館。
僕が訪れた日は台風直撃の平日午前中だったため観客は少なかったのですが、古くからやっているその場所の息遣いが感じられましたね。

上映されていた映画『野生のなまはげ』も予想以上に面白くて印象深かったのですが、おそらく一生忘れることはないであろう奇跡的な出来事が、開演前オナリ座館内へ入った時起きました。

なんと、館内でビーチ・ボーイズ『PET SOUNDS』がかかっていたのです!

古き良き映画館の中で聴く『PET SOUNDS』。
感動しましたね。

またいつか、この映画館へ来なければ、と強く感じた次第です。

さて、今日のこの1曲は、新しく発売されたビーチ・ボーイズ超マニア向けCDから、約55年前録音された1曲。

Beach Boys『Becoming The Beach Boys:The Complete Hite & Dorinda Morgan Sessions』
(輸入2枚組CD OMNIVORE OVCD-186)

ビーチ・ボーイズがキャピトル契約以前1961~62年に録音していた貴重音源をタップリ詰め込んだ2CD。
「Surfin'」、「Luau」、「Surfin' Safari」、「Surfer Girl」等のリハーサル音源やテイク違いを収録。

Kenny And The Cadets「Barbie」はブライアンがリードを取り、カール・ウィルソン、アル・ジャーディン、ウィルソン兄弟の母オードリー・ウィルソンもコーラス参加しているビーチ・ボーイズ関連超初期隠れ名バラード。
シングル/アルバム・ヴァージョン、別テイクも収録されています。森 陽馬


2016年9月3日(土) リンダ・ロンシュタット/ストーン・ポニーズ 「悲しきロック・ビート」

リンダ・ロンシュタットがソロ・デビューする前、ストーン・ポニーズ名義で出したアルバム3枚が紙ジャケット仕様で再発CD化されました。

・『リンダ・ロンシュタット・ウィズ・ストーン・ポニーズ』(1967年1月発表)
・『エヴァーグリーン』(1967年6月発表)
・『リンダ・ロンシュタット、ストーン・ポニーズ&フレンズ Vol.3』(1968年4月発表)

キャピトル・レーベルから、ニック・ベネットのプロデュースによりこの3枚のアルバムが出たわけですが、この頃リンダはまだ20歳そこそこだったんですね。

ストーン・ポニーズはロバート(ボビー)・キンメルと、ケニー・エドワーズのソングライティングもできる二人に、リンダが加わった3人組。

トラディショナルなフォークを基調にポップ・テイスト、カントリー・テイストをうまくブレンドしたサウンドは、当時新鮮に感じたものです。

フォーク・ロック・ブームの流れで、ママス&パパス、ウィファイヴ、サンシャイン・カンパニー、シーカーズなどがヒットを出していましたが、ストーン・ポニーズは1967年11月セカンド・アルバムに収録されていた「悲しきロック・ビート」(Diffrent Drum)をシングル・カット。
これが全米で大ヒットを記録し、リンダ・ロンシュタットの名は日本でも知られるようになりました。

なお、この曲はモンキーズのマイク・ネスミスの作品。
ということで、今日は若くて愛くるしいリンダの写真が印象的なセカンド『エヴァーグリーン/ストーン・ポニーズ第2集』(国内CD 完全限定盤 2016年リマスター 解説・歌詞・対訳付 UICY-77829 2,667円+税)からです。森 勉


2016年9月4日(日) John Cunningham 「We Get So We Don't Know」

爽やかなネオアコ名曲「Backward Steps」で89年にデビュー以降、寡作ながら作品を発表してきた、リヴァプール出身の男性シンガーソングライター、ジョン・カニンガム。

彼の14年ぶりとなる新作『Fell』、日本盤が先日リリースになりました。
(国内CD 解説付 PCD-24533 2,400円+税)

中期ビートルズを彷彿とさせる「Let go of those dreams」で幕を開ける今作。
ポール・マッカートニーやブライアン・ウィルソンが奏でる内省的な面を切り取ったような繊細なメロディ、温もりのある歌声は、暑さでバテ気味の心と体にスーッと沁み渡っていくような心地良さがあります。

センチメンタルな「I can fly」、ちょっとひねたメロディがハイ・ラマズを想起させる「For the love of money」や、後半インストへと展開していく③「We get so we don't Know」は今作のハイライト。

ほぼ自身による多重録音ながら、生のストリングスも交えた豊かなアレンジも聴きもの。

シモン・ダルメ等がお好きな方にもオススメです。東尾沙紀

2016年9月5日(月) 小坂忠 「フロム・ミー・トゥ・ユー」

忠さんの新しいアルバムが発表されました。

小坂忠『Chu Kosaka Covers』
(クラウン CRCP-40477 3,000円+税)

タイトル通りカヴァー集ですが、自らのルーツとなった洋楽名曲を気持ち良く聴かせてくれる作品になっています。

選ばれた曲は10曲。
R&B、カントリー、ゴスペル、ジャズ、ビートルズ・ナンバーなどヴァラエティーに富んだスタンダードです。

バックは鈴木茂、佐橋佳幸、Dr.Kyon、小原礼、屋敷豪太、小林香織、Asiahの面々が、シンプルにがっちり固めています。

今日はブルージーにビートルズ初期ヒットを歌った「フロム・ミー・トゥ・ユー」を。森 勉


2016年9月6日(火) リヴィングストン・テイラー 「Here You Come Again」

1999年5月、ニューオリンズ旅行の帰りに、友人が留学しているサンフランシスコへ寄ったときのことです。

友人のホームステイ先に荷物を置かせてもらい、地元紙をなんとなくパラパラめくっていると、リヴィングストン・テイラーのライヴ告知記事を発見。
電車で数駅とほど近い場所でその当日に行われる事実を知り、友人と旧交を温める予定だった夕食をキャンセル(あの時はゴメン!)して、LIVのライヴへ急遽見に行ったことがありました。

バークレー駅から徒歩10分ほどの小さいライヴハウス。
観客は地元民と思われる年配の方々が中心、その中に若い日本人が1人で観に来ている、
という状況もあってか、終演後LIVの方から僕に話しかけにきてくれたのです。

「Life Is Good」から始まり「Grandma's Hands」で終わる素晴らしいライヴ・パフォーマンス。
そして話しかけてくれた時の彼の温かい眼差しは、僕にとって一生の良き想い出として心に刻まれています。

あれから約17年経った2016年9月5日。
ビルボード・ライヴのステージに立った彼の優しい歌声は昔と全く変わっていませんでしたね。

17年前へタイムスリップしたかのような、「Life Is Good」から始まり「Grandma's Hands」で終わる構成。
兄のジェイムスと歌声は似ているけれど、僕らの目線により近い包容力ある歌心。
忙しい日々の中で忘れかけていた大事な何かを想い出させてくれたような気がします。

終演後、1999年サンフランシスコで一緒に撮った写真を渡すことができました。

憶えているわけはないだろうけれど、温もりある表情で再び微笑みかけてくれたLIV。

帰り道は秋の気配を感じました。森 陽馬


★今日のこの1曲は、バリーマン/シンシア・ワイル作カヴァー「Here You Come Again」。
掲載ジャケットは上記曲が収録されているリヴィングストン・テイラー2014年発表アルバム『ブルー・スカイ』。
(国内仕様CD 日本語解説付 OM023 2,500円+税)

2016年9月7日(水) エルヴィス・コステロ 「アイ・ウォント・ユー」

9月6日東京・昭和女子大学人見記念講堂にて、エルヴィス・コステロのライヴを実に楽しく体験してきました。

毎回趣向を凝らしたステージを見せてくれるコステロ。
・アトラクションズをバックにツンツンにとんがったライヴの初来日
・ジェイムス・バートン、ジェリー・シェフなどのサポートでアメリカン・ルーツをコステロなりに昇華したグッド・ミュージックで聴かせてくれたライヴ
・ブロードスキー・クァルテットとジョイントしたクラシカルなステージ
・奇才ギタリスト、マーク・リボーをバックにした武道館ライヴ
・スティーヴ・ナイーヴのピアノだけをバックにバート・バカラックとの共同制作『ペインテッド・フロム・メモリー』からたくさん披露してくれたステージ
・曲目を書いた大きなルーレットをまわして、演奏曲を決めるという大胆企画(ゴーゴーダンサーや秘書?ジョセフィーンも登場しました)などなど
案を出すコステロも凄いけれど、それを実現してしまうスタッフのヴァイタリティにも感服です。

さて、今回も随所に工夫があって、ソロ・ライヴとはいえ凄いステージ・パフォーマンスでした。

まず、オープニングアクトの20代半ばの姉妹デュオ、Larkin Poeが良かったなぁ。
今回はなるべく予習をしないようにしていたので、彼女達のしっかりとした歌と演奏はビックリ。
妹がヴォーカル&ギター&バスドラ、姉がスライド・ギター&コーラス。ビジュアル的にも惹かれるものがありました。シェールの「バン・バン」のカヴァーも良かった。

15分間の休憩でいよいよ御大コステロの出番。
ステージ中央には大きな昔風のテレビのセット。(そこに様々な映像が映し出される。開演前の客入れ時間には、コステロのプロモーション・ビデオが流されていました。)

その下にギターが5本並び、左側にはグランド・ピアノ、右側には椅子があり、その横に更に2本のギターとウクレレ、小道具として大きなメガホン。そのセットを観ているだけでも期待が高まり、いよいよコステロ登場。

数曲毎にギターをチェンジし、ループ・マシーンも駆使。
「シップビルディング」をピアノで弾き語ったり、「エヴリデイ・アイ・ライト・ザ・ブック」は斬新なアレンジで、「アクシデンツ・ウィル・ハプン」は初来日時の銀座ゲリラ・ライヴの写真をバックに歌ったりと、代表曲をうまく挟みながら、前半のラストは「アイ・ウォント・ユー」でした。(同名異曲が多いタイトルですが、これはコステロのオリジナル)  <→ 続く> 森 勉

★掲載ジャケットは「I Want You」収録、エルヴィス・コステロ初期ベスト盤。
(国内CD 完全限定盤 解説・歌詞・対訳付 UICY-77789 1,389円+税)


2016年9月8日(木) エルヴィス・コステロ 「アリスン」

9月6日東京・昭和女子大学人見記念講堂で行われたエルヴィス・コステロ。
ライヴ・リポートのような形に昨日はなってしまいましたが、その続きです。

今回のバック・バンドなしのソロ・ツアーは『DETOUR』と題され、コステロ自身のルーツを垣間見ることができる映像と共にライヴが進んでいく、というものでした。

とにかくコステロのヴォーカルが力強くて、歌に説得力がありました。

昨日紹介した「アイ・ウォント・ユー」は歌の途中から会場に降りてきて、生ギターを持ちながら完全アンプラグド状態で後方の通路まで歌いながら歩き、ほぼ会場を一周してステージに戻ってくる、という離れ業を見せてくれました。

後半はオープニング・アクトのLarkin Poeの二人を交えて盛り上がり、アンコールはステージ中央のテレビのスクリーンを取り払い、コステロがテレビの中にいるというシャレた演出。

しかも、持っているギターが初期愛用していたフェンダー・ジャズ・マスター。
歌う曲が「アリスン」、「パンプ・イット・アップ」という大興奮の場面でした。

再度のアンコールでは再びLarkin Poeと一緒に「ピース、ラヴ&アンダースタンディング」で見事にラストを占めてくれました。

オープニング・アクト:Larkin Poe 35分
休憩 15分
本編 2時間25分
大大大満足のステージでした。森 勉

★掲載ジャケットは「アリスン」収録、エルヴィス・コステロ1977年発表デビュー作『マイ・エイム・イズ・トゥルー』。 (国内CD UICY-20210 1,714円+税)


2016年9月9日(金) ビートルズ 「オール・マイ・ラヴィング」(1964ライヴ)

ビートルズ唯一の公式ライヴ音源、ハリウッド・ボウルでのライヴCDが本日発売になりました。

ザ・ビートルズ『ライヴ・アット・ザ・ハリウッド・ボウル』
(国内CD 解説・歌詞・対訳付 UICY-15566 2,600円+税)

ハリウッド・ボウルはアメリカ/L.Aにある野外ホールで、はっきりした収容人数は不明ですが、ビートルズが1964年8月23日にコンサートを行った時は17,200枚ほどのチケットが売り出され、即完売してしまったそうです。

このアルバムはその1964年の音源と、その翌年1965年にも行われたハリウッド・ボウル公演の模様を収録した全17曲入り。

当時は現在に比べるとPAシステムもきちんとしていないし、モニターもないし(ブックレット内の写真を参照してください)、観客の熱狂的な黄色い声援は凄いし、ツアー日程は激タイトだし(ちなみに1964年8月19日に始まった北米ツアーは、サンフランシスコ→ラスヴェガス→シアトル→バンクーバー→LAと連日移動しながらライヴを行っていました)。

そんな良いライヴ環境が整っていない時代の音源ですが、そこはジョン、ポール、ジョージ、リンゴ、われらのビートルズ!
初期の臨場感溢れる歌と演奏は、何物にも代えがたい魅力に満ちたものばかりです。

ということで今日は1964年録音音源から「オール・マイ・ラヴィング」を選んでみました。

ポールのリード・ヴォーカル曲ですが、間奏後ジョージがヴォーカルに加わってポールとのデュオになる部分が聴きどころです。
ジョージの声が割と大きめにミックスされているのが、ジョージ・ハリスン・フリークとしてはうれしいんですよ。

ご参考までに、1964年8月23日ハリウッド・ボウルでの演奏曲目(全12曲中今回8曲収録)
「ツイスト&シャウト」/「ユー・キャント・ドゥ・ザット」/「オール・マイ・ラヴィング」/「シー・ラヴズ・ユー」/「今日の誓い」/「ロール・オーヴァー・ベートーヴェン」/「キャント・バイ・ミー・ラヴ」/「イフ・アイ・フェル」/「抱きしめたい」/「ボーイズ」/「ア・ハード・デイズ・ナイト」/「のっぽのサリー」

1965年分は後日また。森 勉


2016年9月10日(土) マイクロスター 「東京の空から」

PET SOUNDS RECORD presents マイクロスター『She Got The Blues』発売記念イベント at アゲイン。

ご出演いただいたマイクロスター佐藤清喜さん&飯泉裕子さん、デザイナー高瀬康一さん。
そしてご来場のお客様皆様、本当にありがとうございました。

貴重なマイクロスター1996年発表作CDのオマケ付!
マイクロスター1998年の超レアライヴ映像鑑賞!!
そして、マイクロスターお二人の出会いから最新アルバム制作秘話等の濃いトーク。
更に更に!ラストにはスペシャル生ライヴ!!!(&グッズ抽選会もあり)

マイクロスターお二人揃うだけでもありがたいことなのに、飯泉裕子さんの生歌が聴けるとは感無量でしたね。
(人前で歌うのは約16~17年ぶり!?今世紀初!とのこと。
佐藤清喜さんギター伴奏の際、メガネを外されたのもレアでしたね。)

歌っていただいたのは「My Baby」(2016年作『She Got The Blues』5曲目)。
アンコールに応えていただき「東京の空から」。(2008年作『microstar album』9曲目)

お二人が結婚された2001年以降(ちなみに偶然にも本日9月10日が結婚記念日だったそう!)、子供ができる前に作っていた「My Baby」制作秘話を伺った後でもあり、CD版「My Baby」とはまた違った深みを感じました。

そしてアンコールはなんと!僕の大好きな1曲「東京の空から」!!
歌詞の内容でこの歌を選んでくれたのかな? とにかく感動的でした。

ちなみに「東京の空から」収録、2008年発表『microstar album』は販売元VIVID SOUNDでも長期品切中ですが、9月中旬再プレスが決まったそうです。

『microstar album』当店にてお買い上げの方には、スペシャル音源収録CDR付♪
『She Got The Blues』を先に聴いたという方にも是非聴いてもらいたい00年代奇跡の1枚です。森 陽馬


2016年9月11日(日) 金延幸子 「時にまかせて」

CASSETTE STORE DAY JAPAN 2016(カセット・ストア・デイ 2016)、2016年10月8日開催決定いたしました。

毎年4月に行われているレコード・ストア・デイはアナログ盤ですが、このカセット・ストア・デイはその名の通りカセット・テープを聴いて楽しもう!というイベント。
2013年イギリスでスタート、日本での開催は今年が第1回目となります。

そのイベント当日リリースされる限定カセット・テープのタイトルが発表されました。

never young beach『fam fam』、サニーデイ・サービス『透明 DANCE TO YOU』など新譜カセットに加え、金延幸子『み空』、大貫妙子『SUNSHOWER』という70年代女性シンガー名作のカセット盤も発売決定!

意外?にも、金延幸子『み空』、大貫妙子『SUNSHOWER』は初のカセット・リリース!

予約受付&通販も可能です。
コレクター・アイテムとしてだけでなく、カセット・テープの温もりある音色として是非お楽しみください。

今日のこの1曲は、金延幸子『み空』に収録されている名曲「時にまかせて」。

和製ジョニ・ミッチェルとも評された美しい歌声。
そして、はっぴいえんど『風街ろまん』&キャラメルママへ繋がるようなバック・サウンド。
シングル・ヴァージョンは大瀧詠一編曲、アルバム・ヴァージョンは細野晴臣が編曲を担当しています。森 陽馬


★(金延幸子『み空』CD発売中 PCCA-50025 2,667円+税。カセットは10/8発売 HRCT002 2,000円+税)


2016年9月12日(月) 星野みちる 「土曜の夜はパラダイス」

9月10日に行ったマイクロスター『She Got The Blues』発売記念イベント、楽しかったですね。
サプライズ生ライヴはもちろん、マイクロスターお二人のトークにもとても感銘を受けました。

新作『She Got The Blues』はEPOさんへのオマージュ的な要素もあるとのこと。
影響を受けたEPOさんの楽曲をかけながら、佐藤清喜さんにその魅力を語っていただき、学生時代によく聴いていたEPOさんの曲を改めて聴き直したいな、と感じました。

今日のこの1曲は、佐藤清喜さんがアレンジ&ミックスを手掛けているEPOさんのカヴァーを。

星野みちる新作アルバム『マイ・フェイヴァリット・ソングス』に収録されている「土曜の夜はパラダイス」。
(CD HCCD-9577 2,500円+税)

オリジナルはEPO1983年発表作『VITAMIN EPO』に収録。(シングルは1982年10月発表)
『オレたちひょうきん族』エンディング・テーマで使われていたのが懐かしいですね。

オリジナルの雰囲気はそのままに、マイクロスター的要素も加わったアレンジがNICE♪

ちなみに星野みちるの今作はカヴァー・アルバムで、山下達郎「ずっと一緒さ」シティ・ポップ風アレンジカヴァーや、松尾清憲作「愛しのロージー」、WACK WACK RHYTHM BANDをfeatした「天国のキッス」等収録。
ジャケットで星野みちるさんが手にしているレコードが、ビーチ・ボーイズ『ペット・サウンズ』というのもGOOD!

なお、BS日テレにて毎週火曜日23~24時放映されている
音楽番組『Hot Dog PRESS TV』
9月13日23時からの放送回に、なんと!マイクロスターが出演しているそうです!

マイクロスターによるスタジオ生ライヴも放映されるとのこと!
ザキヤマにイジられるマイクロスターをお見逃しなく!! 森 陽馬


2016年9月13日(火) 山下達郎 「CHEER UP! THE SUMMER」

山下達郎、待望の新曲「チアー・アップ! ザ・サマー」が発売になりました。

山下達郎『CHEER UP! THE SUMMER』
(CD 初回限定7インチ・ジャケット仕様 PV収録DVD抽選応募ハガキ封入 WPCL-12426 1,000円+税)

2013年10月9日に出た『光と君へのレクイエム』以来ですので、約3年ぶりのシングルです。

3年といえば、1970年代に例えるなら1976年1stソロ・アルバム『サーカス・タウン』から1979年『ムーングロウ』まで5枚もアルバムを出していたわけですから随分と長い間ということになるのですが、現在の感覚と40年前ではかなり違いますからね。
それにライヴ・ツアーが毎年、まりやさんのツアーやアルバム『TRAD』もあったし、達郎ファンを充分楽しませてくれていた3年間だったと思います。

新曲「チアー・アップ! ザ・サマー」はフジテレビ系木曜22時ドラマ『営業部長 吉良奈津子』主題歌に使われているので、毎週耳にしながら、部長として妻として母親として苦境を乗り越えていく松嶋菜々子を応援しております。NHKの『ひまわり』から20年、松嶋菜々子、いい女優さんになりましたね。

さて、新曲ですが、テレビやラジオで聴くより、当たり前ですがCDで聴く音は良いです。

演奏はコンピューター中心に作られていますが、ギター、ウクレレ、グロッケンなど達郎サウンドの細やかな肌ざわりが伝わってきます。もちろんヴォーカルも。

カップリングには「君の瞳に恋してる」(2016年のライヴ)と、「チアー・アップ! ザ・サマー」のオリジナル・カラオケが収録されています。森 勉


2016年9月14日(水) Teenage Fanclub 「Live In The Moment」

2015年でデビュー25周年を迎えたスコットランド・グラスゴー出身の人気バンド、ティーンエイジ・ファンクラブ。

6年ぶり、10枚目となる新作『Here』が先日リリースになりました。
(国内CD 解説・歌詞・対訳付 HSE-5132 2,490円+税)

穏やかなメロディ&ハーモニーが詰まった前作『Shadows』の雰囲気を引き継ぎつつ、よりシンプルで柔らかな音になった印象の今作。

ノーマン・ブレイク、ジェラルド・ラヴ、レイモンド・マクギンリーそれぞれのペンによる緩やかでポップなメロディに乗せ、愛や友情、人生について歌っています。

♪この先、何が待っているかなんて誰にも分からない、だから心から湧き出る思いを追いかけていこう♪
と歌われるのは、ノーマン作によるラヴ・ソング「Live In The Moment」。

ハープ、トランペットが取り入れられた新作の中で一番ロックな1曲♪
控えめながら印象的に鳴るトランペット、まっすぐな詞にもグッときました。東尾沙紀



2016年9月15日(木) ジェリー・ベックリー 「TOKYO」

秋のそよ風と共に、ジェリー・ベックリー2016年発表新作ソロ・アルバムが届けられました。

ジェリー・ベックリー『カルーセル』
(国内CD 日本盤ボーナス・トラック1曲追加 金澤寿和氏による解説付 VSCD-3943 2,315円+税)

1970年代英国/ロンドンにてジェリー・ベックリーを中心に結成したバンド、アメリカ。
「名前のない馬」、「金色の髪の少女」等のヒットを出し現在も活動中。
2012年にはビーチ・ボーイズ結成50周年記念ツアー幕張公演オープニング・アクトとして星野源に続き出演し、素晴らしい演奏を聴かせてくれたことも記憶に新しいですね。

そのジェリー・ベックリー、ソロ名義としては2010年『Unfortunate Casino』以来の作品が久々に国内盤で発売。

ジェフリー・フォスケット、ジェフ・ラーソン、彼の息子マット・ベックリー他が参加。
ウエスト・コースト・サウンドとビートルズ直系のグッド・メロディーが合わさったファンの期待を裏切らない仕上がりです。

ジェリー&ザ・ペース・メイカーズ「Don't Let The Sun Catch You Crying」(放題:太陽は涙が嫌い)、ジェリー・ラファティ「To Each And Everyone」等、珍しいブリティッシュなカヴァー曲もありますが、やはり彼らしい切ないソングライティングがいきたオリジナル曲が聴きもの。

今日のこの1曲は、1曲目「TOKYO」。
ビートルズ「Things We Said Today」を彷彿とさせるイントロから、70'sアメリカらしい楽曲展開にわくわくさせられるキラーチューンです。森 陽馬


2016年9月16日(金) ビートルズ 「ディジー・ミス・リジー」(1965ライヴ)

9月9日の今日のこの1曲では、ビートルズ『ライヴ・アット・ザ・ハリウッド・ボウル』(国内CD UICY-15566 2,600円+税)から1964年録音の曲を紹介しました。

今日は1965年8月29、30日公演で録音された曲から選んでみました。

1965年ハリウッド・ボウルでの演奏曲は以下全12曲。
「ツイスト&シャウト」/「シーズ・ア・ウーマン」/「アイ・フィール・ファイン」/「ディジー・ミス・リジー」/「涙の乗車券」/「みんないい娘」/「キャント・バイ・ミー・ラヴ」/「ベイビーズ・イン・ブラック」/「アイ・ウォナ・ビー・ユア・マン」/「ア・ハード・デイズ・ナイト」/「ヘルプ」/「アイム・ダウン」
この内9曲が今回のCDに収録。

1965年夏、ビートルズのメンバーは前年よりひとつずつ年齢を重ねたとはいえ、このライヴの時点ではジョン24歳、ポール23歳、ジョージ22歳、リンゴ25歳という若さ。
その若さを爆発させた初期のステージは悪条件をぶっとばすパワーがあったことが感じられます。

無名時代から培ってきたヴォーカルの説得力。
大歓声の中でもジョンとポールが1本のマイクで見事にハモる「ベイビーズ・イン・ブラック」。
ポールの熱いヴォーカルがバンドのグルーヴをどんどん高めていく感じの「シーズ・ア・ウーマン」。
ジョージが歌って弾いて大活躍の「みんないい娘」。
そしてジョンが♪シェケナ・ベイビー♪と歌えば、ポールとジョージが♪シェケナ・ベイビー♪と応えるテンポアップした「ツイスト&シャウト」。

今日はジョンの圧倒的なヴォーカルに気持ちが引っ張られましたので「ディジー・ミス・リジー」を。
間奏前のシャウト、2回あります。森 勉


2016年9月17日(土) 松浦湊 「トリキシーの秘密」

バックは東京ローカル・ホンク!

酔いどれ女性シンガー・ソングライター、当店オススメ!

松浦湊(マツウラミナト)『レモンチマン』
(CD MKN-001 1,000円+税)

彼女しか歌えないような情念&ユーモアを併せ持った歌世界。
そして、“日本のザ・バンド”東京ローカル・ホンクによる深みのある演奏が素晴らしい全5曲。

今日のこの1曲は③「トリキシーの秘密」。

独特な色気と昭和の香りを漂わせる心の歌。
聴き返すほど、吟醸酒の如く味わいが五臓六腑に沁みわたってきます。

ホンクファン、女性シンガー・ソングライター好きの方は要チェックの1枚。森 陽馬


2016年9月18日(日) 友部正人 「見えないゴール」

昨日のこのコーナーにて<彼女しか歌えないような>という表現を使いましたが、今日紹介する作品は、40年以上にわたって<彼しか歌えない歌>を身を削るように歌い続けてきたミュージシャンによる2016年新作です。

友部正人『ブルックリンからの帰り道』
(TM OFFICE TM-017 2,600円+税)

1950年生まれ、孤高のフォーク・シンガー、友部正人。
山川のりを、新井田耕造、吉森信、川口義之、水谷紹をバックに従えた2016年新作オリジナル・アルバム。
録音・ミックス:永見仁、マスタリング:中村宗一郎が担当。

友部正人さんだからこその詩世界、そして武骨で真っ直ぐな歌声に引き込まれる全9曲。

今日のこの1曲は5曲目「見えないゴール」。

♪まるでゴールが見えてこない♪ という歌い出し。

そして、♪橋をいくつ越えてもその先にはまだいくつもの橋がある
その橋の大きいこと 人生は大きな川に囲まれている♪ と歌われるナンバー。

人生には人それぞれ様々な大きい橋があり、見えないゴールへ皆走り続けているのかもしれませんね。

♪景色が僕を追い抜いて行く ぼくの時間は止まったままだ
風よぼくを動かしてくれ あの木の枝みたいにゆすっておくれ♪

見えないゴールへ向かっていても、止まってしまうことがある。
でも、足と体、そして心だけでも動かし続けるのだ、という熱い気持ちが伝わってきました。森 陽馬


2016年9月19日(月)クルセイダーズ 「ナイト・クローラー」

いろいろあるクルセイダーズのアルバムの中でも、特にキレのある演奏が際立っている1977年発表『旋風に舞う』(原題:Free As The Wind)。
(国内CD UCCU-90187 1,500円+税)

長年の仲間だったトロンボーン奏者ウェイン・ヘンダーソンが抜けた後の作品だったので、当時初めて聴くときは、クルセイダーズ大丈夫かな?と思っていましたが、その心配は取り越し苦労に終わり、よりファンキーでパワフルなクルセイダーズを感じさせてくれたアルバムです。

ウィルトン・フェルダーのサックス、ジョー・サンプルのエレクトリック・ピアノ、ラリー・カールトンのギター、それぞれのソロ・プレイもたっぷり聴けますし、ドラムスのスティックス・フーパーとベースのロバート・ポップウェルがなんとも気持ちいい按配のグルーヴを生み出してくれます。

とにかく全8曲がすべて聴き応えありの作品で、今日のこの1曲として1曲を選ぶのにとても迷ってしまいますが、サックスの力強いリフとフェンダーローズのまろやかな音色が印象的な4曲目「ナイト・クローラー」を。森 勉


2016年9月20日(火) ザ・リコッツ 「靑空」

<1960年代ガールズポップ、モータウン、マージービート、GSサウンドに歌謡曲。ジャンルを越えたニュービート! 欲張り「リコッツ」新登場!>(ザ・リコッツCD帯記載文章から抜粋)

RICOさんを中心とした女性シンガー3人と、全曲の作詞・作曲及びアレンジ等を手掛けるケルプ教授含む6名のバンドマンからなるザ・リコッツ。

60'sガール・ポップのスタイル、上記のような音楽エッセンスを織り込み全曲日本語のオリジナル曲で聴かせる日本人グループです。

そんな彼女達の記念すべき1stアルバムが本日入荷しました。

ザ・リコッツ『ガールズビーアンビシャス』
(国内CD DMRD0001 2,000円+税)

オールディーズ・ファンならば聴いたことがあるメロディーが随所に散りばめられていて、ともすればパクリと言われかねない部分もあるかもしれませんが、ザ・リコッツのそれには愛情を感じるんですよね。

今日のこの1曲は10曲目「靑空」。
フィル・スペクター/ウォール・オブ・サウンド、音壁マニアは必聴のナンバー♪

「僕たち私たちは60年代サウンドが大好きなんだー」という思いが、ザ・リコッツの楽曲や歌から伝わってきますね。森 陽馬


2016年9月21日(水) Lisa Hannigan 「We,The Drowned」

今夏から日本でも劇場公開されているアイルランドのアニメーション映画『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』。

アイルランド神話を基に描かれるちょっと切ない家族の物語。
愛らしいキャラクターや海の描写など映像は勿論、今作で声優を務め、メインテーマも担当しているアイルランド出身の女性シンガーソングライター、リサ・ハニガンの歌声が美しくとても印象的でした。

彼女の5年ぶり、3枚目となる新作『At Swim』が今月リリース。
(国内CD 解説・歌詞・対訳付 HSE-3618 2,100円+税)

ロンドンに活動拠点を移したが新しい環境に馴染めず、スランプ状態となっていた彼女に声を掛けたのが今作のプロデューサー、アーロン・デズナー(ザ・ナショナルのギタリスト)。
孤独、愛、死....複雑な心情がそのまま音に表れたかのような深く重みのある音の中で、彼女の美しく繊細な歌声は圧倒的な存在感を放っています。

吐き出すような低い歌い出しから、徐々に高みへ昇っていくような「We,The Drowed」は緊張感があり、何度聴いてもゾクゾクッときます。

続く「Anahorish」(アイルランドの詩人の詩に彼女がメロディをつけたもの)ホッと一息つけるような清々しいアカペラ・コーラスが聴きものです。

前作のプロデュースを手掛けたジョー・ヘンリーとの共作①「Fall」も収録。
ジョー・ヘンリーが帯同しての2012年初来日がとても好評だったので、彼女には新作を引っ提げてまた来日して欲しいなぁと思います。東尾沙紀

2016年9月22日(木) シンガーズ・アンリミテッド 「青春の光と影」

シンガーズ・アンリミテッドは男3人、女1人の4人組コーラス・グループ。

1950年代に人気のあったジャズ・コーラス・グループ、ハイローズのメンバーだったジーン・ピュアリングを中心にアメリカで結成されました。

1970年代に多くの優れたアルバムを発表、ライヴは行わずスタジオで録音したレコードだけで勝負する、という稀有なアーティストでした。

バックに演奏が入るシンガーズ・アンリミテッドのハーモニーも充分個性的ですが、より彼らの特異性が活かされているのは、無伴奏で歌われた時のような気がします。

ということで1971年発表、タイトルもズバリ『ア・カペラ』からこの曲を。
(シンガーズ・アンリミテッド『ア・カペラ』 国内CD UCCU-6087 1,714円+税)

全10曲、みんなイイ曲なので、どの曲でもいいのですが、1曲目「青春と光の影」(原題:Both Sides Now)で今日はいってみましょう。

ジュディ・コリンズの歌でヒットしたジョニ・ミッチェル作品です。

それにしても心洗われるコーラス。
人間の声のアンサンブルっていいね。森 勉

2016年9月23日(金) マーカス・ジョセフ 「One Of These Days」

ワーナーから<AOR1300 BEST SELECTION>シリーズとして、25タイトル再発CD化されました。

70年代後半から80年代のAOR名盤が、新規解説・歌詞・対訳付、SHM-CD仕様で1,300円+税。

クリストファー・クロス『南から来た男』、マイケル・フランクス『スリーピング・ジプシー』等名盤から、国内盤が近年出ていなかったローレン・ウッド、キャロル・ベイヤー・セイガーの女性版AOR作まで、魅惑のラインナップです。

その中でも僕がオススメしたいのはこの1枚!

マーカス・ジョセフ『伝えたかった言葉』(原題:Things I Meant To Say)
(国内CD 金澤寿和氏解説・歌詞・対訳付 WPCR-17416 1,300円+税)

ディアドルフ&ジョセフでも知られる、マーカス・ジョセフの1978年発表1stアルバム。

僕の大好きなソングライター、パーカー・マッギーがプロデュースを担当。
パーカー・マッギー1976年作
(2014年5月14日今日のこの1曲で紹介)をお好きな方には是非聴いてもらいたいセンチメンタルな隠れた名盤です。

今日のこの1曲は、そのパーカー・マッギーとマーカス・ジョセフによる共作曲4曲目「One Of These Days」。
パーカー・マッギーらしい切ないメロディー・ラインが秋風に沁みますね。

デル・シャノン「Runaway」(悲しき街角)が後半に少し歌われ繋がっている2曲目「Nice Guys Finish Last/Runaway」も聴きもの。森 陽馬


2016年9月24日(土)スティーヴン・ビショップ「Send A Little Love My Way(Like Always)」(邦題:愛の贈りもの)

スティーヴン・ビショップと言えば、1976年発表ファースト・アルバム『ケアレス』と、1978年発表セカンド・アルバム『ビッシュ~水色の手帖』が定番になっています。

もちろん、この2枚は何年経っても色褪せない名作ですが、ABC(MCA)レーベルからワーナーに移籍して1980年に発表したサード・アルバム『哀愁のマンハッタン (Red Cab To Manhattan)』も引けをとらない聴き応えのある作品だと思います。

スティーヴン・ビショップ『哀愁のマンハッタン (Red Cab To Manhattan)』
<AOR1300 BEST SELECTION>シリーズ
(国内CD 天辰保文氏解説・歌詞・対訳付 WPCR-17407 1,300円+税)

プロデュースはトミー・リピューマとマイク・マイニエリ。

録音の大半はニューヨーク。
アンディ・ニューマーク、ウィリー・ウィークス、デヴィッド・スピノザ、ドン・グロニックなどの腕利きたちがセンスのいい音を聴かせてくれます。

その中に2曲、ゲイリー・ブルッカー(プロコル・ハルム)、エリック・クラプトン、フィル・コリンズ等が参加したロンドン録音もまじっていますが、アルバムの中では違和感なく流れに溶け込んでいて、1曲1曲がニューヨークを舞台にした短編小説のような歌詞で紡がれ構成されたアルバムになっています。

ということで、スティーヴン・ビショップらしい曲がいろいろ楽しめるアルバムから、今日は4曲目に入っている「Send A Little Love My Way (Like Always)」(邦題:愛の贈りもの)を。

シングル・ヒットではありませんが、それに値する名曲です。

彼のハート・ウォーミング・ヴォーカル全開。
エンディングのドラムスのタムの音がこれまたいい響き。
叩いているのはスティーヴ・ガッド。森 勉


2016年9月25日(日)ラーセン=フェイトン・バンド「今夜はきまぐれ」(Who'll Be The Fool Tonight)

キーボード・プレイヤーのニール・ラーセンと、ギター・プレイヤーのバジー・フェイトンは1960年代後半からアマチュア・バンドで一緒にプレイした仲だそうです。

二人の共演が初めて作品になったのは、1972年発表のフルムーンでした。
このアルバムは一般的にはあまり聴かれることがないまま一時廃盤になっていましたが、一部の音楽好きには評価され、隠れた名盤となり、現在は再発されています。

そんなニール・ラーセン(このジャケットでは右側)と、バジー・フェイトン(左側)が組んで初めてヒット・チャートに顔を出したのが、「Who'll Be The Fool Tonight」(邦題:今夜は気まぐれ)でした。

1980年8月から11月まで全米TOP100に入り、最高位29位を記録。
当時、日本のラジオでもそれなりにオンエアーされていました。

サウンドはブルー・アイド・ソウル的な要素があるロックですが、1980年頃はそれ以前にニール・ラーセンがインストのソロ・アルバムを出していたこともあり、フュージョンのヴォーカルもの的な捉え方をされていたような感じでした。

ということで、このアルバムではバジー、ニールとも味のあるヴォーカルを聴かせてくれます。

ラーセン=フェイトン・バンドの他のメンバーは、アート・ロドリゲス(ドラムス)、レニー・カストロ(パーカッション&バック・ヴォーカル)で、サポート・メンバーとしてウィリー・ウィークスが重量感のあるベースで参加しています。

<ワーナーAOR1300ベスト・コレクション> ラーセン=フェイトン・バンドの同名タイトル・アルバムより。
(国内CD 熊谷美広氏解説・歌詞・対訳付 WPCR-17420 1,300円+税) 森 勉

--------------------------------------------
2016年9月26日(月)
PET SOUNDS RECORD presents“天辰保文 Talking Man Vol.5”

ライヴ・カフェ アゲイン(武蔵小山)
18時半開場 19時半開演 入場料1,500円

PET SOUNDS RECORD企画によるトーク・イベント。天辰保文氏をお迎えしてミュージシャンの魅力を存分に語っていただきます。
第5回目となる今回はビートルズ特集。ビートルズ詳しくないという方も是非お越しくださいませ。



2016年9月26日(月) Sara Watkins 「Young In All Wrong Ways」

活動休止中のニッケル・クリーク。
約1年前
2015年9月16日の今日のこの1曲で取り上げたWatkins Family Hour。
ピーター・バラカンさん主催<LIVE MAGIC!2015>に出演した女性SSW3人組、I'm With Her。

上記ユニットで活躍しているアメリカのシンガー/フィドル奏者、サラ・ワトキンス。
ソロ最新作『Young In All Wrong Ways』が今夏発売されました。
(輸入CD NEW WEST Records NW6351)

8月に来日公演を行い大盛況だったフォーク/ブルーグラス・ユニット、パンチ・ブラザーズのフィドル奏者、ゲイブ・ウィッチャーがプロデュース。

彼女がフィドルを弾く曲は2曲ほどで、今作では歌に専念しているという印象です。
カントリー/フォーク/ロックな演奏に乗せて、ハリのある歌声を聴かせてくれます。

オープニングを飾るタイトル曲では、I'm With Herとして共に活動する、イーファ・オドノヴァン、サラ・ジャローズの2人が控えめながらコーラスで参加。
Tボーン・バーネット仕事で知られるドラマー、ジェイ・ベルローズの重めのドラムがかっこいい1曲です。

ベンモント・テンチ、ジョン・ブライオン、パンチ・ブラザーズのメンバー等も参加しています。東尾沙紀


2016年9月27日(火) ビートルズ 「In My Life」

9月26日PET SOUNDS RECORD presents 天辰保文氏トーク・イベント『Talking Man Vol.5』ビートルズ特集。

ご来場いただいたお客様皆様、ありがとうございました。

天辰保文さんというと、アメリカン・ルーツ・ロック/シンガー・ソングライター系作品の評論で有名ですが、
「それを前後にして自分の何かが変わった決定的な出来事があるとすれば、中学2年生の時ラジオでビートルズ「プリーズ・プリーズ・ミー」を聴いた瞬間だったと思う」
とおっしゃっていたように、リアル・タイム世代ならではのビートルズ愛溢れる話をたくさん伺うことができました。

藤本国彦さんにゲストとして急遽ご登壇いただき、映画『ビートルズ~EIGHT DAYS A WEEK』に関するお話しもしていただいて、それも興味深い裏話満載で楽しかったですね。
(映画本編に続いて上映されているシェイ・スタジアムでのコンサート映像は、権利関係等が複雑なため、今後発売される映画DVDには収録されないそうです。是非劇場でご覧になってみてください。)

さて、今日のこの1曲は、天辰さんが最も好きなビートルズのアルバム『ラバー・ソウル』から、僕の大好きな1曲「In My Life」。

ビートルズが活躍していた1960年代と今現在の2016年。
生活環境や社会的・思想的、音楽を取り巻く状況にも様々な変化があり、音楽を巡るテクノロジーも大きく進化しましたが、
「音楽と個々の接点、音楽を聴いたときの驚きとか、理由もなく悲しくなったり、淋しくなったり、胸騒ぎがしたり、そういう個々の感情は変わっていないと思う」
という天辰さんの発言には、音楽の力を信じ音楽に携わる仕事をしている者として、温かく勇気づけられる想いがしました。森 陽馬


2016年9月28日(水) ジゼリ・ヂ・サンチ 「The Fool On The Hill」

先週の涼しさはどこへやら。東京は夏に戻ったような蒸し暑い1日でしたね。

でも、真夏の暑さともまた違って、秋の薫りがほのかに感じられました。

今日のような晩夏/初秋にピッタリなこの1枚。

ジゼリ・ヂ・サンチ(Gisele De Santi)『カーザ』(Casa)
(国内CD 歌詞・解説付 VSCD-9827 2,400円+税)

ジゼリ・ヂ・サンチはブラジル南東部ポルト・アレグレ出身、現在はサンパウロで活動中の女性シンガー。

今作『Casa』(ポルトガル語で“家”の意)は2016年発表彼女の3作目となるアルバム。

穏やかで心地良いジャズ・ボッサな作品。
ゆったりとした女性ボサノヴァ・ヴォーカルお好きな方にオススメです。

今日のこの1曲はビートルズ名曲カヴァー「The Fool On The Hill」。

セルジオ・メンデス&ザ・ブラジル'66でも有名なこの曲を、しっとりと聴かせてくれます。森 陽馬


2016年9月29日(木) KT Tunstall 「Two Way feat. James Bay」

「Suddenly I See」(映画『プラダを着た悪魔』挿入曲)のヒットで知られるスコットランド出身、現在41歳の女性シンガーソングライター、KT タンストール。

約3年ぶり、5枚目となる新作『KIN』が今月リリースになりました。
(輸入CD 2547994783)

アリゾナ録音のアーシーな前作(
2013年6月28日の今日のこの1曲で紹介)から一転。
トニー・ホッファー(ベック、ベル&セバスチャン、フラテリス他))をプロデューサーに迎え、ポップ/ロック路線に回帰した1枚に。

リード曲に相応しい高揚感のあるロック・ナンバー「Maybe It's A Good Thing」(かっこいい♪)や、ストリングスを取り入れたフォーキーなタイトル曲など、彼女らしいメロディが詰まったアルバムになっています。

元ASHの女性ギタリスト、シャーロット・ハザレイが11曲中3曲でギターを弾いている他、イギリスの男性シンガーソングライター、ジェイムス・ベイがロック・バラード「Two Way」に参加。

ソウルフルなKTのヴォーカルと、繊細なイメージのジェイムスの意外にも相性の良いハーモニーが聴けるロック・バラード。
トニー・ホッファーによるギターソロも聴きものです。東尾沙紀


2016年9月30日(金) ヴァン・モリソン 「Every Time I See A River」

ヴァン・モリソンの魅力は何でしょうか?

1964年結成したバンド、ゼムで「グロリア」をヒットさせたのが1965年。
以来50年超にわたって、多くの人を魅了してきたアイルランド/ベルファスト出身シンガー、ヴァン・モリソン。

ソウルフルな歌声。
味わい深いサウンド・アレンジ&演奏。
枯れることのない優れたソングライティング。
深遠な詞世界。

その全てが独自の魅力であるのは確かですが、僕が彼の音楽を好きな理由の1つは<哀>の表現です。

「Take Me Back」(『オーディナリー・ライフ (Hymns To The Silence)』収録)における純粋な心への<哀>。
「Cyprus Avenue』(『アストラル・ウィークス』収録)における郷愁の<哀>。
「Crazy Love」(『ムーン・ダンス』収録)の狂おしい愛を表した<哀>。

ヴァン・モリソンが描く喜怒哀楽の中の<哀>には、聴く毎に心揺れ動かされるものがあるのです。

本日入荷したヴァン・モリソン36作目となるアルバム『Keep Me Singing』は、その<哀>と<愛>が見事に表現された素晴らしい1枚。
(国内CD 大鷹俊一氏による解説・歌詞・対訳付 ステッカー封入 HSU-10092 2,490円+税)

特に名作詞家ドン・ブラックとの共作による2曲目「Every Time I See A River」。

♪川を見るたび 電車の音を聞くたび 悲しい歌を聴くたび ふたりがむかし持っていたものを思い出す
~もうこれ以上耐えられない 痛みに耐えられない あの場所へ戻ったような気がして 川を見るたびに♪
(「Every Time I See A River」歌詞より)

今はいなくなってしまった愛する人への切ない想いが綴られた<哀>。
淋しいけれど、心の中にある温かな何かが刺激される名曲。森 陽馬




これより以前に掲載した“今日のこの1曲”は、
 “今日のこの1曲 アーカイヴス” コーナーにてご覧になれます。■



トップページ