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  今日のこの1曲 “Archives”

<2022月2月>

当店ペット・サウンズ・レコード店にて
その日に店内でかけていた曲の中から、
店員の独断と偏見で選んだ“今日のこの1曲”コーナー

2022年2月に更新した“今日のこの1曲”コーナー


廃盤・生産中止、規格番号の変更など、
情報が古くなっている商品もございますが、ご了承くださいませ。

<最新の“今日のこの1曲”はこちらのページをご覧ください>


2022年2月1日(火) POCO 「Heart Of The Night」

カントリー・ロックの名バンド、POCO。
2021年はラスティ・ヤング、ポール・コットンが相次いで亡くなり、ファンにとっては悲しい1年でした。

逝去したその二人を追悼する意もあるのでしょう。
ナッシュビルBELCOURT THEATREで2004年5月20日に行われたPOCOのライヴがCDとLPで再発されました。

POCO『One Night In Nashville』
(輸入CD PURPLE PYRAMID RECORDS CLO2559/輸入LP 限定ブルーカラー盤)

オリジナル・メンバーのラスティ・ヤング、ポール・コットン、ジョージ・グランサムに、リッチー・フューレイも加わり、素晴らしい歌声と演奏が良質な音質で楽しめるライヴ音源です。

今日のこの1曲は、ラストに収録されているポール・コットン作「Heart Of The Night」を。

ちなみに、本作は『Keeping The Legend Alive』というタイトルで2004年に発売されたCD+DVDと同内容。
ジャケットが新装されての再発売(LPは初)ですので、すでにお持ちの方はご注意を。森 陽馬


2022年2月2日(水) COCO 「Empty Beach」

愁いを帯びた現代版ソフト・ロックとでも表現したくなるような、ゆったりとしたメロディ、三声のハーモニーが心地良い1枚です。

COCO『COCO』
(国内CD 解説・歌詞・対訳付 HYCA-8033 2,420円税込)

COCO(ココ)は、2018年からダーティ・プロジェクターズのメンバーとしても活動し、3月頃にはソロ作をリリース予定の女性シンガーソングライター、マイア・フリードマンを中心にアメリカのインディーシーンで活躍するダン・モラト、オリヴァー・ヒル(Pavo Pavo)の3人で結成された男女ユニット。

2021年10月にデジタル・リリースされた彼らの1stアルバムが、HAYABUSA LANDINGSから日本盤<解説・歌詞・対訳付>でCD化されました。

オープニングを飾る「Empty Beach」から、リバーブをきかせたような美しく浮遊感のある音の響きに引き込まれます。

60年代ポップスな雰囲気の「Knots」、ストリングスを加えた「Come Along」、マイアの物憂げな歌声が存在感ある「Hard To Say Hello」など、詞も切なくて物想いに耽りたい時に聴きたくなります。

マルチ・インストゥルメンタリストであるそれぞれの手腕を活かしつつ、歌とハーモニー、空間を大事にした音作りでこれからも作品を作り続けて欲しいなと思います。東尾沙紀


2022年2月3日(木) Delvon Lamarr Organ Trio 「I Wanna Be Where You Are」

JAZZの雪ジャケ、と言えば、オーネット・コールマン・トリオ『At The Golden Circle Stockholm』でしょうか。

そのVol.2のジャケットを彷彿とさせるこのアルバム。
ジミー・スミス、ソウライヴなどのオルガン・ジャズお好きな方にオススメです。

Delvon Lamarr Organ Trio『Cold As Weiss』
(輸入CD Colemine Records CLMN12029/輸入LPもあり)

デルヴォン・ラマー・オルガン・トリオは、2015年頃シアトルで結成されたソウル・ジャズ・バンド。
本作は、良質な新世代ソウルを多く輩出している信頼のレーベル、Colemine Recordsからの2022年作。
デルヴォン・ラマーによるグルーヴィーなオルガンが魅力的な1枚です。

今日のこの1曲は、リオン・ウェア作の3曲目「I Wanna Be Where You Are」を。
マイケル・ジャクソンやマーヴィン・ゲイのヴァージョンが有名なキラー・チューンのインスト・カヴァー♪
ヴィンテージ感あるオルガンの音色とソウルフルな演奏に、心も体も自然と温まってきますね。森 陽馬


2022年2月4日(金) MAKAYA McCRAVEN 「When Your Lover Has Gone」

昨日に続き、新世代ジャズの注目盤この1枚。

マカヤ・マクレイヴン『Deciphering The Message』
(国内CD 日本語解説付 UCCQ-1148 2,860円税込)

マカヤ・マクレイヴンはアメリカ/マサチューセッツ出身、1983年生まれのドラマー/ビートメイカー。
2021年暮れに発売された本作は、ブルーノートのジャズ楽曲を彼が“再構築”した1枚。

ここでいう“再構築”とは、単なるサンプリングやカヴァーではない、のがミソ。
オリジナルの演奏を活かしつつ、自身が叩くドラムのビートを足したり、印象的な楽器のフレーズをループさせたりして、有名曲ではない古き良きジャズ・ナンバーに新たな解釈を加えています。
複雑な思いを感じるジャズ好きの方もいるかもしれませんが、クールでかっこいい仕上がりですね。

今日のこの1曲は、3曲目「When Your Lover Has Gone」。
オリジナルは、アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ。
リー・モーガンによるトランペットのフレーズをループさせ、それをイントロ部分に組み込み、独特なグルーヴ感を新たに作り出しています。森 陽馬


2022年2月5日(土) Terry Gibbs Quartet 「OGE」

村上春樹のラジオ番組『村上RADIO』
2022年1月30日(日)の放送回は、<ジャズ奥渋ストリート>特集でした。

有名曲ではないけれど、味わい深いジャズ・ナンバーが色々かかってよかったですね。
村上春樹が店主のジャズ・バーがもし今あったら...と想像しながら、楽しんで聴けました。

その放送で紹介していたアルバムが、お買い得価格で最近CD化されたので、ピックアップしましょう。

テリー・ギブス『Take It From Me』
(国内CD 生産限定盤 日本語解説付 UCCU-8225 1,100円税込)

テリー・ギブス(本名:ジュリアス・グベンコ)は、1924年ニューヨーク生まれの男性ヴィブラフォン奏者。
本作はケニー・バレル(ギター)、サム・ジョーンズ(ベース)、ルイス・ヘイズ(ドラムス)によるカルテット編成。
1964年1月ニュージャージー録音、インパルス・レーベルからリリースされたアルバムです。

今日のこの1曲は、美しくも切ないメロディーが沁みるテリー・ギブスのオリジナル曲「OGE」を。森 陽馬


2022年2月6日(日) Stan Getz And The Oscar Peterson Trio 「Bronx Blues」

村上春樹はビーチ・ボーイズ好きとして知られていますが、スタン・ゲッツの大ファンでもあります。

スタン・ゲッツの伝記本『スタン・ゲッツ -音楽を生きる-』(新潮社 ドナルド・L・マギン著 村上春樹訳)を翻訳したこともありましたが、これを読むと、スタン・ゲッツという人はかなりの破天荒だったようですね。
ゲッツ・ジルベルト「イパネマの娘」で聴ける穏やかなサックスの音色とは対照的に、気難しく麻薬中毒で...。

さて、『村上RADIO』の昔の放送回で紹介していた、スタン・ゲッツの隠れた名盤を挙げておきましょう。

スタン・ゲッツ・アンド・ジ・オスカー・ピーターソン・トリオ『Stan Getz And The Oscar Peterson Trio』
(国内CD 生産限定盤 日本語解説付 UCCU-8188 1,100円税込)

オスカー・ピーターソン(P)、スタン・ゲッツ(Sax)、ハーブ・エリス(G)、レイ・ブラウン(B)。
ドラムレスの布陣で、1957年10月アメリカ/ハリウッドにて録音されたセッション。

「ここには素晴らしい雰囲気が満ちている。これまでで一番楽しめる録音だった。」
とスタン・ゲッツ本人が語っているように、伸び伸びとした演奏が楽しめる味わい深い1枚です。

今日のこの1曲は、アルバムラストの「Bronx Blues」を。
村上春樹絶賛のスタン・ゲッツのソロ、そしてレイ・ブラウンのベースを、じっくりご堪能ください。森 陽馬


2022年2月7日(月) Ben Watt 「That's The Way Love Is」

ベン・ワットが2020年に発表した4thアルバム『Storm Damage』(2020年2月23日今日のこの1曲で紹介)は、身近な人を失った悲しみや怒りが込められた作品でした。
でも、彼の歌はただ繊細で物悲しいだけではなく、内に秘めた熱や強さが滲み出ているところがとても好きです。

2021年リリース『Storm Shelter』は、『Storm Damage』の番外編ともいえる、ピアノ弾き語りミニ・アルバム。
シンプルだからこそ際立つ美しいピアノの音色とソウルフルな歌声。
静寂の中に温もりが感じられる作品です。

Ben Watt『Storm Shelter』
(輸入LP UNMADE ROAD ROAD016V)

『Storm Damage』から3曲、2016年発表の3rd『Fever Dream』から1曲、カヴァー2曲の全6曲。
ハウスの80'sヒットを穏やかなアレンジでカヴァーしたTen City「That's The Way Love Is」をはじめ、「Winter's Eve」、「Summer Ghost」など自身の楽曲もより力強い歌に惹き付けられます。
(カヴァーもう1曲は、シャロン・ヴァン・エッテン「Comeback Kid」)

本作は、コロナの影響でキャンセルとなってしまった来日公演を含む2020年のツアー中に発売予定だったそうですが、2021年4月に配信/ストリーミングで発表され、11月にはRSD BLACK FRIDAY 2021のアイテムとしてフィジカル化されました。東尾沙紀


2022年2月8日(火) ハンバートハンバート×COOL WISE MAN 「おなじ話 総天然色バージョン」

<90年代以降の作品/CD発売のみだった人気盤の初アナログ化>、が最近多くなりました。

アナログ化は、埋もれていた良作が改めて評価されるきっかけになりますから、喜ばしいことですね。
(購入する側としては、うれしい反面、同じ内容の作品が増えてしまう、というのが困りものですが...)

さて、先日発売されて好評のアナログLP化作品がこの1枚!

ハンバートハンバート×COOL WISE MAN『ハンバート・ワイズマン!』
(国内LP 完全限定盤 PROT-7158 3,630円税込)

夫婦フォーク・ユニットのハンバートハンバートと、スカ・バンドのCOOL WISE MAN。
2011年6月に下北沢で行われたライヴで意気投合し制作された2012年発表5曲入りミニ・アルバム。
異色の組み合わせと思いきや、最高にゴキゲンな仕上がりの本作がこの度アナログLPで復刻されました。

今はここにいない君への会話を綴った、切ない歌詞が心に残るナンバー「おなじ話」。
リズミカルなスカ・アレンジで聴かせるこの“総天然色バージョン”が、僕は大好きです。森 陽馬


2022年2月9日(水) フリーボ 「すきまから」

1990年代日本ロックの隠れた名盤、フリーボ『すきまから』がアナログ・レコードで復刻されました。

フリーボ『すきまから』
(国内LP 松永良平、田口史人による解説&メンバーへのインタビュー掲載 12EB-120 4,180円税込)

フリーボ(Freebo)は、女性シンガーの吉田奈邦子とギタリスト石垣窓を中心に、前身バンドを経て1995年に結成された日本人4人組ロック・バンド。
高円寺の名店、円盤(現:黒猫)の店主である田口史人氏がディレクターを務めた1996年6月発表の1stアルバム『すきまから』は、当時CD発売のみでしたが、この度リマスタリングで飛躍的に音質を向上させて初アナログ化。

ダブル・ジャケットに、詳細なライナーノーツ掲載のブックレットも付いた、とても丁寧なリイシューです。
本作を好きだった方のみならず、フリーボを聴いたことがなかった方々にも手にとっていただきたいですね。

今日のこの1曲は、タイトル曲のA面1曲目「すきまから」。
近年流行のシティ・ポップや、90'sフォーク・ロックという安易な言葉では括ってほしくないような、深みのある歌とサウンドが心に残ります。

ちなみに、バンド名は、マリア・マルダーやボニー・レイットのセッションで知られるミュージシャン、Freebo(本名Daniel Friedberg)が由来で、ジャケット写真の元ネタは、ニック・ドレイク『Bryter Layter』だそうです。森 陽馬


2022年2月10日(木) ラリー・リー 「ロンリー・フリーウェイ」(原題:Don't Talk)

私は誰でしょう?

①1970年代中期に活躍したカントリー・バンドをやっていました。
1975年に全米3位まで上昇したヒット曲を放ちました。

②ミズーリ州出身のシンガー・ソングライターです。
1982年に全米81位という地味なヒット曲があります。

③ビートルズの遺伝子を感じさせるバンドで、ナッシュビルを拠点に活動。
2002年と2005年にアルバムを発表しました。

私の名前は、ラリー・リーといいます。

オザーク・マウンテン・デアデヴィルズというグループの1975年の大ヒット曲「ジャッキー・ブルー」を作り、リード・ヴォーカル&ドラムスを担当していました。

全米で2週間だけ100位以内にチャートインした「Don't Talk」を収録した1982年発表のソロ・アルバム『Marooned』は、日本では『ロンリー・フリーウェイ』というタイトルでAORの隠れた名盤になりました。

それから20年後、ヴィニール・キングスという名で、ビートルズやビーチ・ボーイズのサウンドを感じさせてくれる作品を発表。日本盤として発売された『ベスト・オブ・ヴィニール・キングス』(
2021年12月22日今日のこの1曲で紹介)は、マニアに拍手喝采を浴びました。

ということで、今日は、ラリー・リーの唯一のソロ・アルバムを。森 勉

ラリー・リー『ロンリー・フリーウェイ』
(国内CD 片寄明人の解説付 SICP-4896 1,100円税込)


2022年2月11日(金) triosence 「your nearness」

みぞれ雪降り注ぐ厳しい寒さからうって変わり、青い空が広がった今日は、優しい陽射しに春が少しずつ近づいているのを感じ取れましたね。

本日紹介する作品は、春の到来を心待ちにしながら聴きたいこの1枚。

triosence『giulia』
(輸入CD Sony Music 19439934262/輸入LPもあり)

トリオセンスは、1979年生まれのドイツ人ピアニスト、Bernhard Schuler(ベルンハルト・シューラー)が中心となり、1999年に結成されたジャズ・ピアノ・トリオ。

通算9作目、イタリア録音の本作は、美しく繊細なヨーロッパ・ジャズの魅力に加え、初期の名盤『When You Come Home』(2008)を彷彿とさせる、穏やかで牧歌的な雰囲気も兼ね備えた仕上がりのアルバム。
ビル・エヴァンスお好きな方にも聴いていただきたいジャズの新譜オススメ盤です。

今日のこの1曲は、6曲目「your nearness」を。
イタリアのトランペット奏者Paolo Fresuが参加し、温もり伝わるトランペットの音色を添えています。森 陽馬


2022年2月12日(土) 村田和人 「一本の音楽」 (ギター:山本圭右)

レコード・コレクターズ2022年3月号は、<究極のギター・ソロ 日本のロック編>特集。
(2022年2月発売 ミュージック・マガジン社 880円税込)

1960~90年代日本人ギタリストの名演を、寺内タケシ、加山雄三、鈴木茂から、坂本慎太郎、松本孝弘(B'z)等近年のアーティストまで、幅広い人選と楽曲で色々と紹介しています。
聴いたことがない曲がたくさんピックアップされていて、知っている曲も記事を読むと改めて聴きたくなりますね。
皆さんの好きなギター・ソロが入った楽曲は何ですか?

さて、10日後の2月22日は、村田和人さんの命日。
2022年で7回忌になります。

2月23日には、1983年発表2ndアルバム『ひとかけらの夏』が、2022年最新リマスタリングされ発売。
村田和人さんが歌う永遠の夏を、大きな音で感じたいですね。

今日のこの1曲は、村田和人「一本の音楽」を。
太陽のように熱く、雄々しい歌に優しく寄り添うギター・ソロは、山本圭右さんによる名演です。森 陽馬


村田和人『ひとかけらの夏』+2
(2022年2月23日発売 SACDハイブリッド仕様 WPCR-13369 2,860円税込)


2022年2月13日(日) 原みどり 「Yes, I Do」

歌、曲、音、そして、ジャケット。
そのすべてが、作り手の魂となり表現され、聴き手へ直に伝わってくる1枚。

原みどり『Living Dreams』
(国内LP+同内容のCD付 400枚限定プレス HMLP1225 3,500円税込)

原みどりは、1987年に財津和夫with原みどり「償いの日々」でコロンビアからデビューし、ソロ作『Mido』等を発表。90年代には菊地成孔、河野伸と共にSPANK HAPPYを結成し活動していた女性シンガー。
現在は福岡/久留米へ移住し、studioOTOを開設。そしてこの度、素晴らしい新作を完成させました。

パートナーMannyのサウンド&楽曲プロデュースによる本作は、全曲英語詞のコンセプト・アルバム。
マスタリングを『ビートルズMONO BOX』を手掛けたアビーロード・スタジオのショーン・マギー氏が行っており、彼女の爆発した感情そのものが、音楽に刻まれている入魂の作品です。

今日のこの1曲は、心の扉が開放するような歌が響く1曲目「Yes, I Do」を。
なお、本ジャケットのために制作した印象的なカバーアートの廃材年輪作品『年輪宇宙~om mani padme hung』は、2021年第77回現展(現代美術展覧会)に入選し、国立新美術館に展示されたそうです。森 陽馬


2022年2月14日(月) SPINN 「Billie」

甘酸っぱくて疾走感あるキラー・チューン満載!
UKギター・ポップ/ロック、ネオアコお好きな方も注目のリヴァプール発男性4人組バンド、SPINN(スピン)。
約2年半ぶりとなる2ndアルバムがリリースされました。

スピン『アウトサイド・オブ・ザ・ブルー』
(国内CD ボーナス・トラック2曲収録 RIMO-059 2,200円税込)

Jonathon Quinn(g,vo)を中心に2015年に結成。学生時代に活動を始めた彼らは現在20代前半。
2018年10月には日本限定発売のデビュー・ミニ・アルバムをリリースし、初来日公演を行っています。

ザ・スミス、ザ・キュアーなどの影響を滲ませるギター・サウンドが特徴的!
聴く者をグッと引きつける卓越したメロディ・センスを持ったバンドだなと思います。

良い曲ばかりで迷いますが、本日はYumi ZoumaのChristie Simpsonをフィーチャーした疾走感ある「Billie」を。
2018年、スピン来日公演でサポート・アクトを務めたLuby Sparksを想起とさせる1曲です。

いつか2度目の来日があるとしたら、DYGLとのツーマンというのも観てみたいなと思いました。東尾沙紀


2022年2月15日(火) HARPERS BIZARRE 「Me, Japanese Boy」

バーバンク・サウンドの雄であるところのハーパース・ビザールは、1967~1970年の間にワーナー・ブラザーズ・レーベルで、4枚のLPと15枚のシングルを発表しました。
そのすべての曲を収めたのが、この4枚組CDです。

HARPERS BIZARRE『Come To The Sunshine ~ The Complete Warner Brothers Recordings』
(輸入4枚組CD El/Cherry Red QACME356CDX)

・『Feelin' Groovy』(1967)
・『Anything Goes』(1967)
・『The Secret Life Of Harpers Bizarre』(1968)
・『4』(1969)
この4枚のアルバムに、未収録だったシングル曲をボーナス・トラックとして追加した全63曲。

今日はこの中から、3枚目のアルバムに入っていたバート・バカラック&ハル・デヴィッドの曲「ミー、ジャパニーズ・ボーイ」を。

ソフト・ロック・マニアからも近年もてはやされているハーパース・ビザールならではのハーモニーが、ニック・デカロの絶妙なアレンジの中で映えています。森 勉


2022年2月16日(水) いまみちともたか 「-AREEGATO- あり~がとう」

バービー・ボーイズのギタリスト、いまみちともたかさんのソロ・アルバムが本日発売されました。

いまみちともたか『Uta-MONO Tomotaka IMASA Imamichi』
(国内CD DSKH-2106 3,000円税込)

ロック・ギタリストであり、ソングライターであり、ヴォーカリストであり、そして一人の“男”。
そんな、いまみちさんの人間味が伝わってくるオリジナル楽曲で構成された1枚です。

エレキ・ギターが炸裂するかっこいいロック・ナンバー含め全13曲。
その中から今日のこの1曲は、味わい深く沁みる4曲目「-AREEGATO- あり~がとう」を。

鈴木慶一と佐野元春を合わせたような武骨な歌声には、男の強さだけでなく、優しさや弱さも内包されています。
聴いていて何度も心にグッときました。森 陽馬


2022年2月17日(木) Janis Joplin 「One Night Stand」

英国ACEレーベルの人気シリーズ、ミュージシャン/ソングライターのワークスを独自の選曲で纏めたコンピCD。
そのトッド・ラングレン編が発売されました。

V.A『THE STUDIO WIZARDRY OF TODD RUNDGREN』
(輸入CD ACE CDTOP-1609)

1960年代はNAZZに在籍、ソロになってから「I Saw The Light」、「Hello It's Me」等のヒットを放ったトッド・ラングレンが、プロデューサーとして関わった楽曲を集めたオムニバス・アルバムです。

NAZZから始まり、ニューヨーク・ドールズ、チープ・トリック、パティ・スミス、XTC、ホール&オーツ、グランド・ファンク、フェリックス・キャヴァリエ、ルビナーズ、スパークス等々、ラストはUtopiaで締める全22曲。

プロデューサーの中には、ミュージシャンに寄り添いその特性を引き出す人もいれば、主役を自分色にすっかり染めてしまう人もいますが、トッド・ラングレンに関しては完全に後者でしょうね。
どの曲もポップで華やか、弾けるような魅力が全体に満ち溢れています。

今日のこの1曲は、ジャニス・ジョプリン「One Night Stand」を。
彼女が亡くなる数か月前の1970年に録音、1982年発売の未発表音源作品『Farewell Song』(邦題:白鳥の歌)で陽の目をみたナンバー。本CDには1993年発売3CD編集盤『Janis』のヴァージョンが収められています。森 陽馬


2022年2月18日(金) The Temptations 「When We Were Kings」

「マイ・ガール」等のヒット曲で知られるソウル・グループ、テンプテーションズ。
デビュー60周年を記念した新作オリジナル・アルバムが発売されました。

The Temptations『60』
(輸入CD Universal Music 34312-02)

テンプテーションズは、この60年間で26人もメンバーが入れ替わったそうですが、現在唯一のオリジナル・メンバーOtis Williams(現80歳)を中心にずっと活動を続けてきました。
本作は、その60年の歩みをじっくり味わうような内容で、1曲目は現代的なHIP HOPながら、それ以外は彼ららしい見事なコーラス・ワークを随所に聴かせてくれる全12曲が収められています。

スモーキー・ロビンソンがリード・ヴォーカルも担当した3曲目「Is It Gonna Be Yes Or No」も聴きものですが、今日のこの1曲は、テンプスの歴史を綴った2曲目「When We Were Kings」を。
ナラダ・マイケル・ウォルデンがプロデュース&アレンジを手掛けており、「マイ・ガール」的なイントロから始まって、「Papa Was A Rollin' Stone」他、彼らが今までに歌った曲名を歌詞に織り込んでいるのが印象に残りました。

ちなみに、ビーチ・ボーイズも60周年ですから、こういう新作を出してくれたらうれしいですね。森 陽馬


2022年2月19日(土) The Courettes 「R.I.N.G.O.」

ザ・ロネッツ風のジャケットも目を引く、ポップでガレージな新世代ウォール・オブ・サウンド♪

ブラジル人のフラヴィア(vo,g,p)、デンマーク人のマーティン(ds,per)のコーレ夫妻によるベースレス・ユニット。
海外では2021年に発表、日本のポップス・ファンの間でも注目を集めたアルバムが待望の国内盤化。

ザ・コーレッツ『バック・イン・モノ』
(国内CD ボーナス・トラック2曲収録 萩原健太氏による解説・歌詞・対訳付 HYCA-8035 2,420円税込)

60'sガール・ポップ、フィル・スペクター・サウンドのオマージュが散りばめられたオリジナル曲の中は、いずれもポップでワイルド!リンゴ・スター讃歌その名も「R.I.N.G.O.」、トゥワンギンなギターが印象的なガレージ・ナンバー「Hop The Twig」などなど、爆音で聴きたい1枚です。

今作のミックスを手掛けたのはマイクロスター佐藤清喜さん。
佐藤さんがミックスを手掛けたSOLEILのクリスマス・ソング「Twinkle Heart」をコーレッツが聴いてオファーしたのだそう!素敵な巡り合わせですね。東尾沙紀


2022年2月20日(日) HONDELLS 「Little Honda」

1964年4月に録音されたブライアン・ウィルソンとマイク・ラヴの共作曲「リトル・ホンダ」は、ビーチ・ボーイズとしてはシングル発売されませんでした。(日本では、1964年10月にシングルとして出ました。)

それを知ったブライアンの知り合いだったゲイリー・アッシャーが、ホンデルズという架空のグループを作り、この「リトル・ホンダ」をヒットさせたのは1964年秋のことでした。全米チャート・ベスト・テンに入る大ヒットとなりました。

ホンダのオートバイのことを歌った「リトル・ホンダ」だから、グループ名はホンデルズ。
このわかりやすさがいいですね。

ホンデルズのリード・ヴォーカルは、これもブライアンの知り合いのチャック・ギラード。
ブライアンが作った隠れた名曲「アイ・ドゥ」を歌ったキャステルズのリード・ヴォーカリストでした。

HONDELLS『Go Little Honda & The Hondells』
(輸入CD T-Bird TBIRD0020CD)

本CDは、ホンデルズが発表した2枚のアルバムを1枚のCDに収録したもの。全24曲入り。
ブライアンとゲイリー・アッシャーが作ったセカンド・ヒット「マイ・バディ・シート」も入っています。森 勉


2022年2月21日(月) マーヴィン・ゲイ&タミー・テレル 「You're All I Need To Get By」

映画『コーダ あいのうた』を鑑賞。
フランス映画『エール!』(2014)のハリウッドリメイク作で、歌が大好きな女学生と、耳が聞こえない家族の物語を描いた音楽映画。(タイトルのCODAは音楽用語かつ、Children Of Deaf Adults<聴覚障害の親をもつ子供>の意)

先が予想できてしまうストーリー展開ながら、エミリア・ジョーンズ演じる主人公ルビーの素晴らしい歌声と、実際に聾唖者である俳優たちの演技に心動かされました。
ルビーが歌うジョニ・ミッチェルのカヴァー「Both Sides Now」(邦題:青春の光と影)も感動的でしたね。

印象に残ったのは、マーヴィン・ゲイ&タミー・テレルのデュエット名曲「You're All I Need To Get By」のカヴァーを、ルビー達が歌っている場面で、突然全てが無音になるところです。
耳が聞こえない人のことをわかっているつもりで、全然わかっていなかったんだな、と実感し、ハッとさせられると共に、胸がギュッと締め付けられるような気持ちになりました。

なお、映画内ではクラッシュ、シャッグスなどの曲もかかるので、音楽ファンはチェックしてみてください。

ちなみに、ルビーが恋心を寄せる男子学生マイルズ役を、映画『シング・ストリート』の主演だったフェルディア・ウォルシュ=ピーロが演じています。今回も水へ飛び込むシーンがあり、思わずニヤリとしてしまいました。森 陽馬

★掲載ジャケットは、映画『コーダ あいのうた』オリジナル・サウンドトラック。
(国内CD UICU-1337 2,750円税込)


2022年2月22日(火) 鈴木雅之 「Tシャツに口紅」 (Solo Ver) with 大滝詠一

大瀧詠一作曲/松本隆作詞の楽曲「Tシャツに口紅」は、シャネルズから改名したラッツ&スターが1983年9月1日にシングル発売し、シングル・チャート18位のヒットを記録しました。

後に、クレイジー・ケン・バンド、ハナレグミがカヴァーし、大滝詠一自身の歌唱ヴァージョンも『DEBUT AGAIN』(2016)で発表されましたが、この度、大滝詠一のコーラス入りトラックを使った鈴木雅之によるセルフ・カヴァーが実現!
鈴木雅之のカヴァー・ベスト・アルバムにめでたく収録されました。

鈴木雅之『DISCOVER JAPAN DX』
(初回限定盤3CD+DVD+BD ESCL-5640 7,000円税込/通常3CD ESCL-5645 4,500円税込)

この「Tシャツに口紅」(Solo Ver)、曲が始まる前に、大滝詠一の声が「ワン・ツー~、ワン・ツー」と入っています!
バックの演奏自体は、『DEBUT AGAIN』と同じ感じですが、『DEBUT AGAIN』の音質はくっきりしていたのに比べ、こちらの音質はやや大人しい印象かな?
でも、大滝詠一によるカウントと、大滝コーラスをバックに雄々しく歌う鈴木雅之のヴォーカルは聴きものですよ。

ちなみに、初回盤のDVD/Blu-rayには、ダイジェストMVに「幸せな結末」with 松たか子も入っています。森 陽馬


2022年2月23日(水) 大滝詠一 「趣味趣味音楽」

大滝詠一、ナイアガラ・レーベルに興味ある方へ、お知らせしておきたいと思います。

<霧の中のメモリーズ>さんによって、
「日本コロンビアの谷川恰と大滝詠一」というサイトが、2021年10月25日から始まっています。

現在、『第15回ガールシンガー、シリア・ポール登場』という回まで進んでいます。
日本コロンビアという大きな組織の中での若いディレクターであった谷川さんと、『ロンバケ』以前の大滝さんの関係が語られてゆく、今までにない貴重な記録となっています。

<霧の中のメモリーズ>さんが、谷川さんへインタビューした貴重な話を、読みやすく、やわらかい文体で読むことができます。

なお、谷川恰さんの恰は、つとむと読むそうです。
字は違いますが、同じ名前なので、なんとなく親近感がわいてきます。

今日の1曲は、発売が延期になりながらも、1976年10月にどうにか発売にこぎつけた『ゴー・ゴー・ナイアガラ』から、「趣味趣味音楽」を。

<霧の中のメモリーズ>さん、これからも期待しています。よろしくお願いします。森 勉


2022年2月24日(木) 西村ケント 「Everybody Wants To Rule The World」

アコースティック・ギター・インストお好きな方は必聴の1枚!

西村ケント『フィンガースタイル・ソロ・ギター・ソングス』
(国内CD 作品解説&本人による演奏上の注意点解説付 SLCD-1534 2,500円税込)

西村ケントは、2003年生まれ大阪出身の男性ギタリスト。
12歳の時に『First Step』(2015)でキャリアをスタート。近年は自身のyoutubeチャンネルにて、アコースティック・ギター・ソロで様々な名曲をカヴァーした動画が話題を呼び、多いもので300万回以上の再生回数を記録しています。

本作は、その彼が2021年10月に発表した4thアルバム『フィンガースタイル・ソロ・ギター・ソングス』。
この度一般流通が開始され、当店でも販売させていただけることになりました。

「Africa」(TOTO)、「Lady Madonna」(ビートルズ)、「Human Nature」、「Thriller」(マイケル・ジャクソン)、「Feel Like Makin' Love」等、美しいメロディーを持った全15曲(彼のオリジナル曲「Midnight In Bogota」含む)を、超神業テクニックかつ歌心あるソロ・ギターで聴かせるインスト・アルバムです。

今日のこの1曲は、ティアーズ・フォー・フィアーズ「Everybody Wants To Rule The World」のカヴァーを。
当店ロングセラーの告井延隆ビートルズ・カヴァー・アルバムを気に入った方にもオススメです。森 陽馬


2022年2月25日(金) Tears For Fears 「Rivers Of Mercy」

「街路に火の手が上がり始めた。あちこちの町で騒乱が起きている。
悪魔が遊び場で好き放題しているようだ。間違いない。僕は涙ぐんだ目で世界を見つめてばかりいる。」
<Tears For Fears「Rivers Of Mercy」歌詞より>

ローランド・オーザバルとカート・スミスによるユニット、ティアーズ・フォー・フィアーズ。
2004年発表『Everybody Loves A Happy Ending』以来、約17年半ぶりの新作が本日発売されました。

ティアーズ・フォーフィアーズ『The Tipping Point』
(国内CD ボーナス・トラック2曲追加 解説・歌詞・対訳付 UICB-10006 3,300円税込)

ローランド・オーザバルの妻が2017年に急逝するなど、様々な苦難を乗り越え制作された本作『The Tipping Point』(転換点の意)は、彼らが追い求めてきた大切な“音楽”を改めて見つめ直し、切実な願いと魂を込めた感動的な1枚に仕上がっています。

今日のこの1曲は、6曲目「Rivers Of Mercy」を。
力強さと慈愛に満ちた歌、救いと償いを希求するようなコーラス&サウンドに、胸が熱くなりました。森 陽馬


2022年2月26日(土) Jason Mraz 「I'm Coming Over」

最近、営業中及び閉店後もよく聴いているこの1枚。

ジェイソン・ムラーズ『LALALA LOVE SONG』
(国内CD ジェイソン・ムラーズ本人の英文ライナー訳・歌詞・対訳付 WPCR-18496 2,200円)

本作は、2022年でメジャーデビュー20周年を迎えるジェイソン・ムラーズのラヴ・ソング集。

今までに多くのヒットと名作を生み出しているのに、既発曲のみ全11曲と少し寂しい曲数。
屈指の名曲と思っている「Love Is Still The Answer」(2018年8月10日今日のこの1曲
紹介)が未収録。
等々、発売当初は不満点がありましたが、聴き返す毎に、温もりと安らぎをより感じています。

全11曲で約44分。アナログ盤(3月発売予定)を想定した作りなのかもしれませんね。
彼の歌声とサウンドには、明るさと優しさが満ち溢れていて、何時も心を和ませてくれます。

今日のこの1曲は、10曲目「I'm Coming Over」。
2012年ベストに選出したジェイソン・ムラーズ『Love Is A Four Letter Word』に、シークレット・トラックとして収録されていたナンバーです。森 陽馬


2022年2月27日(日) 月の満ちかけ 「RAINY」

今井カズヤ(作曲・鍵盤)、熊谷あすみ(作詞・ボーカル)による2人組ユニット、月の満ちかけ。

とってもポップな新曲7インチ・シングルが発売になりました。

月の満ちかけ「RAINY/運命の人」
(国内EP ダウンロード・コード付 HCR-9715 1,870円税込)

2021年6月のRSD DROPSでリリースされた7インチ「住んでいた街で/ホームタウン」以来となる新曲「RAINY」。
ジャクソン5を想起させる軽快なイントロ、熊谷あすみの伸びやかでキュートな歌声に胸躍る晴れやかなナンバー♪

カップリングには、月の満ちかけのライヴでも披露されたことがある、スピッツ「運命の人」のカヴァーを収録。
エレピの音色が印象的なメロウなアレンジ、サビのWoo Wahコーラスがなんとも心地良い春色なカヴァーです。

アート・ディレクション&デザインはサリー久保田、マスタリングは両曲ともにマイクロスター佐藤清喜(ホーンでも参加)が手掛けています。東尾沙紀


2022年2月28日(月) ビートルズ 「ディグ・ア・ポニー」

<ザ・ビートルズ GET BACK:ルーフトップ・コンサート>
IMAXシアターで観てきました。

映画が始まる前の期待と興奮-本当のライヴが始まるような雰囲気をひさしぶりに味わいました。

1970年8月に有楽町のスバル座で映画『レット・イット・ビー』を観てから、51年と6カ月ぶりの映画館での<ルーフトップ・コンサート>。
あの頃19歳だった自分は、ずいぶん年をとりましたが、スクリーンの中のビートルズはそのままに躍動していました。

大きくてきれいな画面と迫力ある音、堪能しました。

という今日は、<ルーフトップ・コンサート>の音がそのままアルバムに収録された「ディグ・ア・ポニー」を。

ジョン・レノンがローディのケヴィン・ハリントンに歌詞カードを持たせて、それを見ながら歌う姿。
いやぁ、ジョンらしいな。

曲の途中に差し込まれる街頭インタビューがないものも見たい、とか、ルーフトップ・コンサートの次の日のスタジオ風景(「レット・イット・ビー」などの録音映像)は、なくても良かったのでは、とか色々感想はありますが、とにかく、4人揃ったビートルズ、最高でした。森 勉





これより以前に掲載した“今日のこの1曲”は、
 “今日のこの1曲 アーカイヴス” コーナーにてご覧になれます。■



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