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  今日のこの1曲 “Archives”

<2018月8月>

当店ペット・サウンズ・レコード店にて
その日に店内でかけていた曲の中から、
店員の独断と偏見で選んだ“今日のこの1曲”コーナー

2018年8月に更新した“今日のこの1曲”コーナー


廃盤・生産中止、規格番号の変更など、
情報が古くなっている商品もございますが、ご了承くださいませ。

<最新の“今日のこの1曲”はこちらのページをご覧ください>


2018年8月1日(水) イトウサチ 「静かな夜に」

イトウサチさんがアルバムを制作している、と話を伺ったのは数年前のことだったと思います。

東京ローカル・ホンクの新井健太さん(B)&井上文貴さん(G)と組んだイトウサチ&ブンケンバレエ団。
ライヴは不定期に行っていたものの、CD作品はなかったので僕はずっと楽しみにしていました。

そして、2017年末発売が決定!発売記念ライヴも行われることとなりましたが、、、。
そのレコ発ライヴまでに完成へ至らず、アルバム発売は2018年へ持ち越しに。
2018年も季節は夏、そして、そして遂に!やっと!7月31日発売が決まり僕の手元にアルバムが届きました!

イトウサチ&ブンケンバレエ団『きぼうのうた』
(国内CD KZNK-0001 2,300円+税)

この1枚、この1曲が完成するまで、様々な苦悩、思案、そして“希望”が交錯しただろうな。

彼女のまっすぐな歌と、それを支えるバック演奏のアンサンブル。
さりげない一音一音、更には音の隙間からも、3人の気持ちが伝わってくるようです。

今作の発売記念ライヴも以下決まりました。
8月18日(土)高円寺JIROKICHI、8月29日(水)武蔵小山アゲイン、9月1日(土)新高円寺STAX FRED。

僕が出したCDではないのですが、このCDを手に取って聴いていただけたら本当にうれしいですね。森 陽馬


2018年8月2日(木) ハンバートハンバート 「永遠の夕日」

当店が選ぶ2017年ベスト>にも選出した佐野遊穂&佐藤良成夫婦デュオ、ハンバートハンバート。

2018年で結成20周年! フォークをコンセプトにほぼ2人だけで録音したアルバム第2弾を発表しました。

ハンバートハンバート『FOLK2』
(国内CD 初回限定2017年9月9日日比谷野音ライヴDVD付 DDCB-94021 3,000円+税)

モンゴル800「小さな恋のうた」、森高千里「渡良瀬橋」、荒井由実「ひこうき雲」、加川良「教訓1」カヴァーから、「ホンマツテントウ虫」、「おいらの船」、「虎」、キセルをゲストに迎えた「おなじ話」等セルフ・カヴァー含めた全12曲。

60~70年代フォークの良心を引き継ぎつつ、ハンバート流の新時代フォークを表現した1枚です。

今日のこの1曲は、唯一のオリジナル新曲「永遠の夕日」を。

歳をとり髪も白くなった"僕"が昔の恋人を想い出し、夕焼けの色へその想いを馳せるナンバー。
今まで2人が歩んできた道筋と出会ってきた楽曲への想いが、この歌へ込められているように感じます。森 陽馬


2018年8月3日(金) Lack Of Afro feat.Nick Corbin 「Home」

2017年お気に入りのこの1枚で選んだ、イギリスのバンドNew Street Adventure
次世代のポール・ウェラーかも!?と好きになったバンドでしたが、2017年12月のライヴを最後に活動停止...。

バンドが無くなり非常に残念でしたが、フロントマンNick Corbinは既にソロとして動き出しており、近いうちに発表されるであろうソロ作への期待に胸が高まってます。
その彼がソロとなって初の音源となる参加作を今日はご紹介します。

現行英国ファンク/クラブ・シーンで活躍中のコンポーザー/DJ、Adam Gibbonsによるユニット、Lack Of Afro。

2007年発表1stから、約2年ごとのペースでアルバムを発表している彼が、6枚目となる新作『Jack Of All Trades』を自身のレーベルLOA RECORDSからリリースしました。

Lack Of Afro『Jack Of All Trades』
(輸入CD LOA014CD)

初期作品のアフロ・ビートを取り入れたファンキーなインストというイメージがありましたが、新作はほぼ全ての曲でヴォーカリストをフィーチャーし、60~70'sソウル・ファンの方も楽しめる歌ものアルバムとなっています。

Elliott Cole、Juliette Ashby、Wax、Herbal Tなど、Lack Of Afroとのコラボでお馴染みのアーティストのほか、Nick Corbinもヴォーカルで2曲参加。
Nickの穏やかな歌声が郷愁を誘うフォーキーなナンバー「Home」(沁みる良い曲です)を今日の1曲に。東尾沙紀


2018年8月4日(土) ボズ・スキャッグス 「On The Beach」(ニール・ヤングカヴァー)

先週7/29フジロック・フェスでのこと。
ボブ・ディラン公演後、余韻を引きずりながらGreensky Bluegrassを見るためフィールド・オブ・ヘヴンへ移動。
そのヘヴンでは、ボズ・スキャッグス「Lowdown」が場内でかかっていました。

都会的なサウンドが魅力であるこの曲、ミラーボールの光が舞う山奥で聴いても不思議とマッチしていましたね。

さて、そのボズ・スキャッグスが2018年新作『アウト・オブ・ザ・ブルース』を発表しました。
2013年発表『メンフィス』、2015年発表『ア・フール・トゥ・ケア』に続く<ルーツ3部作>ラストは“ブルース”!

ボズ・スキャッグス『Out Of The Blues』
(国内CD ボズ自身による解説&日本語解説・歌詞付 ボーナス・トラック2曲追加 UCCO-1196 2,600円+税)

レイ・パーカーJr、チャーリー・セクストン、ウィリー・ウィークス、ジム・ケルトナー、ジム・コックス他参加。
影響を受けたと公言しているボビー・ブランドの楽曲やオリジナル含め、ボズ流ブルースを聴かせます。

その中にあって意外な選曲、ニール・ヤング「On The Beach」カヴァーを今日のこの1曲に。

ライナーノーツによると、ボズの息子とその友人による音楽制作&コンサートにてニール・ヤングを取り上げており、その息子達の薦めもあってマイナーブルース調なニール「On The Beach」をカヴァーしたそう。
なお、この曲のギター・ソロはドイル・ブラムホールⅡが弾いています。森 陽馬


2018年8月5日(日) Tim Bernardes (チン・ベルナルデス)「recomeçar」

<カエターノ・ヴェローゾ×ブライアン・ウィルソン>
<21世紀のブラジリアン・ソング・サイクル>

国内盤帯に記載されている上記の宣伝文句につられて購入した1枚。

チン・ベルナルデス(Tim Bernardes)『ヘコメサール (Recomeçar)』
(国内CD 日本語解説・歌詞・対訳付 THCD-538 2,300円+税)

シンガー/サックス奏者マウリシオ・ペレイラの息子として1991年1月に生まれたチン・ベルナルデス。
サンパウロ発ロック・バンド、O TERNO(ウ・テルノ)のシンガー&ギタリストだった彼の初ソロ作です。

ギター、ベース、ドラムス、各種キーボード&ピアノを全て一人で多重録音。
そのベーシック・トラックに、管弦楽器奏者を迎えストリングスを加えて制作された全13曲。

なるほど、ヴァン・ダイク・パークスからの影響を感じますね。
歌い方や楽曲に関して、ジェフ・バックリィを想起させられました。

今日のこの1曲はラストに収録されているタイトル曲「Recomeçar」(ヘコメサール・・・再出発の意)。
「キャロライン・ノー」を意識したような内省的・繊細な世界観が、弦楽器の美しい奏で表現されています。森 陽馬


2018年8月6日(月) DYGL 「Bad Kicks」

東京発男性4人組ロック・バンド、DYGL(デイグロー)。

国内にとどまらず、アジアやヨーロッパでも精力的にツアーを行っている彼ら。
2018年2月に配信でリリースされた新曲「Bad Kicks/Hard To Love」が、先日7インチで発売されました。

DYGL「Bad Kicks/Hard To Love」
(国内EP HEA-005 1,500円+税)

UKのミュージシャンRory Attwellをプロデューサーに迎え、イギリスで録音された2曲を収録。

切れ味鋭いギター、Nobuki Akiyamaの歌声がこれまで以上に熱い「Bad Kicks」、
DYGL「Happy Life」(『Say Goodbye to Memory Den』(2017)収録)を彷彿とさせるまったりとした「Hard To Love」。
オープンリールを使用したアナログ録音によるザラついた音が、70年代パンクみたいでかっこいいです。

7インチ・シングルは1,000枚限定です。お早めに!東尾沙紀



2018年8月7日(火) アールズ 「リメンバー・ミー・ベイビー」

苦節○十年、山下達郎監修・選曲・解説によるドゥー・ワップのコンピレーションCD『ドゥー・ワップ・ナゲッツ』3種が遂に発売になりました。

『Vol.1』、『Vol.2』は山下達郎コンサート会場でライヴが始まる前に流れているBGM用音源をCDにしたものです。
「ドゥー・ワップは自分自身の心の音楽」という山下達郎が選んだヒットはしていないけれど大好きだ!というドゥー・ワップ・ナンバーが並んでいます。

2008年から2017年のツアーで流れた曲の中から『Vol.1』に25曲、『Vol.2』に26曲が収められています。
『Vol.3』は山下達郎が一人多重録音で作り上げた『オン・ザ・ストリート・コーナー』(Vol.1~3)でカヴァーした楽曲のオリジナル、又は山下達郎が聴いていたヴァージョン全22曲収録されています。

今日はその『Vol.3』から1曲選んでみたいと思います。

山下達郎のおかげでドゥー・ワップとかアカペラという言葉が多くの人々に伝わり、その音楽自体の素晴らしさも理解されるようになり、たくさんのドゥー・ワップ名曲及び隠れた名曲を教えてくれました。

アールズ「リメンバー・ミー・ベイビー」はバリー・マン&シンシア・ワイル作品でしたが、1980年に『オンスト』が出る前まではほとんど知る人がいない曲でした。
しかし、達郎のナイス・カヴァーにより白人ドゥー・ワップ・グループ、アールズの名が達郎ファンの間では一気に認知されるようになりました。

『ザッツ・マイ・ディザイアー ~ドゥー・ワップ・ナゲッツVol.3』
(国内CD 山下達郎監修・選曲・解説、鈴木啓志曲目解説、歌詞付 WPCR-18042 1,852円+税)

Vol.1、Vol.2も順次紹介したいと思っています。森 勉


2018年8月8日(水) ザ・コルヴェアーズ 「トゥルー・トゥルー・ラヴ」

今日は<ドゥー・ワップ・ナイト第2夜>ということで、『ドゥー・ワップ・ナゲッツVol.2』から選んでみたいと思います。

『ユア・テンダー・リップス ~ドゥー・ワップ・ナゲッツVol.2』
(国内CD 山下達郎監修・選曲・解説、鈴木啓志曲目解説、歌詞付 WPCR-18041 1,852円+税)

そもそも、ドゥー・ワップという音楽に僕がどうして惹かれるようになったかというと、『アメリカン・グラフィティ』サントラ盤の存在が大きかったと思います。

そこには、ティーンエイジャース「恋は曲者」と、リジェンツ「バーバラ・アン」が入っていて、その2曲をビーチ・ボーイズがカヴァーしていたので曲は知っていましたが、オリジナルは『アメグラ』サントラ盤で初めて聴いたのだと思います。
(ドゥー・ワップではありませんが、ボビー・フリーマン「踊ろよ、ベイビー」もこれで初めて耳にしました)

その他、クローヴァーズ「恋の特効薬」、オリオールズ「涙のチャペル」、スカイライナーズ「シンス・ドント・ハヴ・ユー」、モノトーンズ「ブック・オブ・ラヴ」等、ドゥーワップ(この頃はまだその言葉を知らなくて、黒人ヴォーカル・グループと総称していたかもしれません)の名曲がたくさん収録されていて、一気にこういった音楽のファンになってしまったわけです。

ドゥー・ワップという言葉は、おそらく1970年代中頃にスペシャリティー・レーベルから発売されていたオムニバス・レコード『doo wop』から自分の中でポピュラーな言葉になったと思います。

前置きが長くなりましたが、『Vol.2』は山下達郎コンサートの開場から開演までの間、会場内で流れているドゥー・ワップの曲を集めたコンピ。達郎自身が気に入った曲だけを集めて構成された保証付ものです。

みんなイイ曲ばかりですが、今日は19曲目に入っているコルヴェアーズ「トゥルー・トゥルー・ラヴ」を。
ベース・パートのヴォーカリストが大活躍するゴキゲンなアップ・テンポの曲です。森 勉


2018年8月9日(木) チャーツ 「デザリー」

<ドゥー・ワップ・ナイト第3夜>です。

シュガー・ベイブ解散後1976年7月31日、東京・下北沢ロフトで山下達郎のライヴが行われました。
ファースト・ソロ・アルバム『サーカス・タウン』をアメリカへ録音しに行くちょっと前ということになります。

のんびりした雰囲気の中、山下達郎が歌ったのは彼の好きなアメリカン・ポップスの名曲たちでした。
「オン・ブロードウェイ」、「モンキー・タイム」、「スパニッシュ・ハーレム」、「グルーヴィン」など。

そして後半、「同じリズムで何曲でも歌えちゃうんだよね」と言い歌ってくれたのがドゥー・ワップのメドレーでした。
「アース・エンジェル」(ペンギンズ)、「デヴィル・オン・エンジェル」(クローヴァーズ)、「シンシアリー」(ムーングロウズ)、「ストーリー・アントールド」(ナッツメグス)、「アイム・ソー・ヤング」(ステューデンツ)、「イン・ザ・スティル・オブ・ザ・ナイト」(ファイヴ・サテンズ)、「ディザリー」(チャーツ)などを一節、二節歌うメドレー。
コーラスはないもののライヴで聴くドゥー・ワップの名曲に興奮したことを想い出します。

少ない限られた観客の前でしたが、すでに1976年の時点でこんなドゥー・ワップ曲をステージ披露していた山下達郎はやはり尊敬に値するミュージシャンです。

山下達郎が「人生最高の1曲」という「デザリー」も1976年7月31日に歌っていたんですね。
ということで、今日はそのオリジナル、チャーツ「デザリー」を聴いてみましょう。

『デザリー ~ドゥー・ワップ・ナゲッツVol.1』
(国内CD 山下達郎監修・選曲・解説、鈴木啓志曲目解説、歌詞付 WPCR-18040 1,852円+税)

この「デザリー」、我々の世代はローラ・ニーロ1971年発表名作アルバム『ゴナ・テイク・ア・ミラクル』の中のカヴァーで知った方も多いと思います。

最後に、この『ドゥー・ワップ・ナゲッツ』シリーズを企画したワーナーの宮治淳一さん、本当に御苦労さまでした。
あなたの根気強い権利許諾交渉がなければ、この素晴らしいコンピCDは我々の手元に届かなかったでしょう。
ありがとうございました。森 勉


2018年8月10日(金) ジェイソン・ムラーズ 「Love Is Still The Answer」

憎悪や怒りに対して、見て見ぬふりをするのは簡単なこと。
拳を振り上げるのは難しいことかもしれません。

ただ、本当に必要なのはその拳を振り下ろすのではなく、愛で包み込もうとすることだ、と気づかさせてくれる1枚。

ジェイソン・ムラーズ『Know.』
(国内CD ボーナス・トラック2曲追加全12曲 解説・歌詞・対訳付 2,457円)

1977年生まれ男性シンガー・ソングライター、ジェイソン・ムラーズ。
オリジナルとしては6枚目となる2018年発表作が本日発売。

2016年アメリカ大統領選挙後、彼が書いた曲には悲しみ・怒り・不満が詰まっていたとのこと。
それは怒りの火に油を注ぐだけで何の意味もない、と感じた彼が新たに書いたのが「Love Is Still The Answer」。

♪質問はなぜ? なぜ僕らはここにいるの?
ハローと言って、さよならを言って、そして消えていくため?
素晴らしいこの人生、その目的は?
学ぶためかな、平和の成就を。あるいは戦争の成就を?♪

こう問いかけて、彼はこう結びます。
「やっぱり、答えは愛。愛こそがその答えなんだ」と。森 陽馬


2018年8月11日(土) ルビナーズ 「I Only Have Eyes For You」

過去4度来日公演を行っているアメリカのポップ・バンド、ルビナーズ。

2017年11月に行われたジャパン・ツアー最終日の9日。
カヴァー曲限定というスペシャルなライヴを収めたCDが今週発売になりました。

ルビナーズ『ナイト・オブ・オール・カヴァーズ』
(国内CD 解説・歌詞付 WSBCD-007 2,500円+税)

さすがルビナーズ!
ロック、ポップスのあんな曲こんな曲を、抜群の演奏力&ハーモニーで楽しませてくれます。

コーデッツ「Mr.Sandman」に始まり、バッドフィンガー「恋の嵐」、続けてビートルズ「抱きしめたい」、ザ・フーの「The Kids Are Alright」、ポール・リヴィア&レイダース「Kicks」、ベンチャーズ「Walk,Don't Run」、ラモーンズ「シーナはパンク・ロッカー」、エンニオ・モリコーネ作の「続・夕陽のガンマンのテーマ」なんてのもあり、全13曲。

本日はドゥーワップ・ナゲッツに乗っかりまして、フラミンゴスの名曲「I Only Have Eyes For You」を。
4人の素晴らしい歌声&ハーモニーが堪能できる1曲です。東尾沙紀


2018年8月12日(日) PERFECT YASAI PLUCK 「PARADISE」

猛暑続きの中、今日の東京はやや一段落、と思いきや、気温では測れない蒸し暑さでした。

“悲しき夏バテ”な感じですが、そんなグッタリしている時でも心地良く聴ける最近のお気に入り盤をご紹介。

PERFECT YASAI PLUCK『キミョウな休暇』
(国内CD DSB-32 2,400円+税)

PERFECT YASAI PLUCK(パーフェクト・ヤサイ・プラック)は新世代日本人ジャズ・バンドBlu-Swingの中村祐介(key)、小島翔(G)、蓮池真治(B)、宮本"ブータン"知聡(Dr)によるインスト・プロジェクト。

インストといっても、ジャズではなく、ロックでもなく、イージー・リスニングでもなく。
メロウ・グルーヴとバレアリック、フュージョンとチルアウトの対角線上的インストです。

言葉にするのは難しいのですが、とにかくもオーガニックなサウンドが気持ち良い全9トラック。

今日のこの1曲は、ギター・カッティングがゴキゲンなアーバン・グルーヴ・チューン⑦「PARADISE」。
シティ・ポップ好きの方にも是非聴いてもらいたいナンバーですね。

なお、この「PARADISE」と④「RADIANT」をカップリングしたアナログEPも発売されています。森 陽馬


2018年8月13日(月) GREENSKY BLUEGRASS 「Run or Die」

楽しかったフジロック2018から早くも2週間が過ぎました。

ボブ・ディラン出演が話題でしたが、ベストアクトは文句なしにこれっ!
2000年ミシガン州カラマズーで結成した5人組ブルーグラス・バンド、GREENSKY BLUEGRASS!

最終日3日目夜、フィールド・オブ・ヘヴンのトリというシチュエーションも良かったですね。
木々で囲まれた野外にて、ミラーボールの光が縦横無尽に周り照らし続ける中、繰り出される超絶演奏。

デッドとPHISHを足してブルーグラスで割ったようなジャム・バンド的白熱のライヴ!
あの一夜のあの場所へタイムスリップしたいなぁ~。

ということで、GREENSKY BLUEGRASS2016年発表アルバムからフジロックでも披露されたこの1曲。

マンドリン&ヴォーカルのPaul Hoffmanが中心に楽曲を制作しており、この曲も彼のペンによるもの。
マムフォード&サンズお好きな方にもオススメですね。森 陽馬


2018年8月14日(火) PUNCH BROTHERS 「Jungle Bird」

現在最も人気あるブルーグラス・バンドが新作を出したので、今日はそちらを取り上げましょう。

PUNCH BROTHERS『ALL ASHORE』
(輸入CD Nonesuch 571873-2)

ニッケル・クリークのマンドリン奏者であったクリス・シーリーを中心に2006年結成。
従来のブルーグラス/アメリカン・ルーツ音楽を引き継ぎながら、ロック、ジャズ、クラシックなど様々な音楽ジャンルの要素を取り入れつつ進化を続けてきた5人組バンド、パンチ・ブラザーズ。

オリジナル・アルバムとしては2015年発表『The Phosphorescent Blues』(邦題:燐光ブルース)以来となる作。
2017年12月発売クリス・シーリーのソロ新作『Thanks For Listening』(
2018年1月4日今日のこの1曲で紹介)が素晴らしい出来だったので、パンチ・ブラザーズの方も期待して聴いたのですが...。

うーん、僕の聴き込みが足りないせいか、ちょっとまだピンと来ないんですよね。

今作はセルフ・プロデュースということで原点回帰的な部分と新味の融合も意図されていたと思います。
ただ、喜怒哀楽でいうと、喜と楽の部分があまり感じられないせいでしょうか。
もっと心弾む楽曲があればなあ、というのが正直な感想です。

まあでも、ライヴで聴いたら印象がガラリ一変しそうな感じもありますから、再来日を期待しましょうかね。
ということで、今日のこの1曲は今作中最も痛快に聴かせるインスト・チューン⑦「Jungle Bird」を。森 陽馬


2018年8月15日(水) エリック・バードン&アニマルズ 「スカイ・パイロット」

2018年8月5日(日)TOKYO FMで放送された『村上RADIO』、みなさん聴きましたか?

村上春樹が初めてラジオでディスク・ジョッキー(曲をかけてそれにまつわることをおしゃべりする)をしました。
DJの声を聴いたのは初めてでしたが、あまり違和感はなく感じました。

オンエアーされた曲はランニングをする時に聴く音楽という縛りをもうけていろいろかかりましたが、ブライアン・ウィルソンが最初に紹介されたのはやっぱり嬉しかったですね。

ウィルソン3兄弟やビーチ・ボーイズに関してのコメントがあり、村上春樹が一貫したビーチ・ボーイズ愛を持ち続けていることに感激しました。

一番驚いた選曲はエリック・バードン&アニマルズ「スカイ・パイロット」でした。
「朝日のあたる家」や「悲しき願い」のヒットを出していた頃のアニマルズとは、ヴォーカルのエリック・バードン以外全員違うメンバーでの1968年夏のヒット曲です。

7分以上の長い曲なのでシングルAB面でパート1、パート2に分かれている話もしてくれました。
このCDでは続けて聴けるアルバム・ヴァージョンと、ボーナス・トラックとしてパート1パート2に分かれているモノラル・シングル・ヴァージョンも収録されています。森 勉

エリック・バードン&アニマルズ『野生の若者たち』
(国内CD 完全限定盤 解説・歌詞・対訳付 UICY-93375 2,571円+税)


2018年8月16日(木) ルーマー 「Aretha」

2018年8月16日閉店後、アレサ・フランクリンが膵臓がんで逝去した、というニュースが入ってきました。

享年76歳。
「アレサの歌を聴く」という歌い出しから始まる曲で追悼することにしましょう。

パキスタン生まれ英国育ちの女性シンガー、ルーマー。
彼女が歌う「Aretha」は2010年発表1stアルバム『Seasons Of My Soul』に収録。

ルーマー『シーズンズ・オブ・マイ・ソウル』
(国内CD 解説・歌詞・対訳付 ボーナス・トラック「Come Saturday Morning」収録 WPCR-13995 2,457円+税)

幼少の頃から不遇な環境で育った彼女が、アレサ・フランクリンを聴き想う心情を歌に託した名曲。

なお、このルーマー「アレサ」は「I Got The Blues」と歌われる一節があり、マイクロスター2016年発表名作『She Got The Blues』タイトルの元になった楽曲でもあります。森 陽馬


2018年8月17日(金) スピッツ 「ハートが帰らない」

本日8/17発売、雑誌『ケトル Vol.44』ゼロ年代特集に、当店スタッフ東尾沙紀の記事が掲載!
←ケトルVol.44 (表紙はアジカン後藤正文。太田出版 900円+税)

「ゼロ年代の日本の音楽で、今聴くなら?」という質問に対して、東尾沙紀が選んだ1枚は?
是非雑誌を手に取って、確認してみてください。

ゼロ年代(2000~2009年)邦楽のこの1枚。
今でもよく聴いている作品ということで、僕ならばこのアルバムを挙げたいと思います。

スピッツ『ハヤブサ』
(国内CD UPCH-1680 3,048円+税)

スピッツ2000年発表9作目となるオリジナル・アルバム『ハヤブサ』。
スクーデリア・エレクトロの石田小吉がプロデュース、寺田康彦がエンジニアを担当。

ライヴ定番曲「8823」、人気曲「ホタル」。
そして、不思議なインスト曲⑧「宇宙虫」から⑨「ハートが帰らない」への流れ。

五島良子と草野マサムネのハーモニーは、あの夏のときめいたハートがそのまま帰らず、そこにいることを実感させてくれるのです。森 陽馬


2018年8月18日(土) セルジオ・メンデス&ブラジル'66 「マシュ・ケ・ナダ」

勢いのあるピアノのフレーズに導かれて、♪オワリイヤーヨ・・・♪と聴こえる女性の声。

セルジオ・メンデス&ブラジル'66「マシュ・ケ・ナダ」はいつ聴いても充分なインパクトを持ったイントロだなぁと思ってしまいます。

セルジオ・メンデス&ブラジル'66『マシュ・ケ・ナーダ』
(国内CD 限定盤 解説・歌詞付 UCCU-90039 1,000円+税)

ボサノヴァに心地良いビートをプラスしたサウンドと二人の女性シンガーが色を揃えたヴィジュアル。
プロデューサーはハーブ・アルパート、実にA&Mらしいレーベル・カラーを持ったグループです。

アルバム全体としても素晴らしく、発売から52年経った現在でも、全く飽きのこない感覚で聴ける1枚なのです。

ジョルジ・ベン作「マシュ・ケ・ナダ」をはじめ、リトル・アンソニー&ジ・インペリアルズでヒットしたテディ・ランダッツォ作「君に夢中~Going Out Of My Head」、ビートルズ「デイトリッパー」等、セルジオ・メンデスのアレンジが冴え渡っています。

これが発売された1966年、セルメンは25歳の若者だったんですね。森 勉


2018年8月19日(日) Neil Young 「ハーベストムーン」

遅ればせながら、的場文男騎手、地方競馬最多勝記録更新7152勝!
おめでとうございます!

中央競馬(JRA)ではないため、一般的に軽視されている感ありますが、コレ本当に凄い記録なんですよね。
<ちなみに、武豊はJRA通算3989勝。(2018年8月19日現在) これも凄い!>

続けること、そして1勝することの大変さを実感しているからこその大記録。
2018年9月で62歳。ケガに気を付けて末永く騎乗してほしいですね。

ということで、というかその大記録が達成される約1か月前。大井競馬場へ行ってきました。
レジェンド的場文騎手が乗っていることもありましたが、実はこんな馬名の馬が出走していたからでもあります。

ハーベストムーン!
 

ニール・ヤング1992年発表名曲「Harvest Moon」と同じ馬名!
シナモンガールという馬もいました(
こちらのコラムに掲載 2005年)が、この馬はJRAで結構強いのです。

戸崎騎手騎乗ということで期待しましたが、、、残念ながら9着。
ちょっと疲れていたのかなー。リフレッシュして秋以降頑張ってほしいですね。

♪もう1度君が踊る姿を見せておくれ。だってまだ僕は君に恋しているんだから。♪
(Neil Young「Harvest Moon」歌詞より) 森 陽馬


2018年8月20日(月) Young Gun Silver Fox 「Just A Man」

8月18日ビルボード・ライヴで行われた、ヤング・ガン・シルヴァー・フォックス来日公演へ行ってきました。

2018年2月ママズ・ガンでも来日した''ヤング・ガン''ことアンディ・プラッツ(vo,key)、銀髪の''シルヴァー・フォックス''ことショーン・リー(g,cho)によるAOR/ブルーアイドソウル・ユニットです。

当店でもロングセラー中の新作2nd『AM Waves』(2018年5月)を引っ提げた、このユニットとしては初の日本公演。
新作からは「Kingston Boogie」を除く全曲と、1stからも殆どの曲が演奏され約90分。
想像以上にたっぷり聴かせてくれました。

アンディは曲毎にグランドピアノとエレピを弾き分け、ショーンは時折ボンゴを叩きつつ、コーラスをしながら1本のギターで様々な音色を奏でていました。(「Lolita」のアイズレー・ブラザーズ風ギターソロもっと弾いて欲しかった!)

エイドリアン・ミーハン(drs)、コーラスもできるデヴィッド・ペイジ(b)をサポートに加えての4人編成。
スタジオ盤では殆どの楽器を2人で演奏しているので、バンドでの演奏はまた違った魅力を放っていました。

アンコールの「Long Way Back」(1st収録曲)でヒートアップしていく力強いドラム、アンディの熱唱もかっこよかったですし、ちょっと切ないバラード「Just A Man」(2nd収録曲)のショーン&ベーシストによる時間差コーラス(?)にもウットリしてしまいました...。

写真は『AM Waves』の輸入盤LPです。
曲数など内容は同じですが、日本盤とジャケットが異なります。東尾沙紀


2018年8月21日(火) 小坂忠 「上を向いて歩こう」

小坂忠さんが2018年3月5日ビルボード・ライヴ東京で行った感動のコンサートがCD化されました。

小坂忠『ほうろう 2018 SPECIAL LIVE』
(国内CD 解説・小倉エージ COCB-54264 3,200円+税)

約1年前の2017年8月、ガンが見つかり緊急手術、そして長期入院した忠さんが復活。
鈴木茂、小原礼、Dr.kyon、屋敷豪太、斎藤有太、Aisaが集い、1975年作『ほうろう』を全曲再現したライヴ。
2018年3月5日今日のこの1曲でその時のことを拙文で紹介)

このCDでそのライヴを追体験し、改めて素晴らしい演奏&歌だったな、と実感できました。

鈴木茂が中心となってヘッドアレンジされたこの日の『ほうろう』は、活き活きとしたグルーヴ感に溢れています。
屋敷豪太&小原礼のリズム隊が特に素晴らしい!

当日ライヴへ見に行っていた方はもちろん、スタジオの『ほうろう』お好きな方にも是非聴いてもらいたいですね。

なお、アンコールでは「You Are So Beautiful」(ビリー・プレストン)、「上を向いて歩こう」(坂本九)、「Forever Young」(ボブ・ディラン)が歌われました。CDには「上を向いて歩こう」が収録されています。森 陽馬


2018年8月22日(水) アラゲホンジ 「秋田大黒舞 (秋田民謡)」

寺尾紗穂さんが発起人&実行委員として2010年から行っているイベント、りんりんふぇす。
第9回目が2018年10月27日(土)外苑前・梅窓院 祖師堂にて行われます。
りんりんふぇす 『The BIG ISSUE』 Suport Live Vol.9

『THE BIG ISSUE』は路上生活者である販売員が売上の約6割を収入とできる仕組の雑誌。
音楽を楽しみながら、その雑誌の意義&皆の生活・仕事・将来について考えよう、という催しです。

出演者、スタッフ、観客、参加している皆1人1人の優しい眼差し、手作り感が伝わってくるイベント。
ご興味ある方は是非足を運んでみてください。

Vol.9の出演者は、坂口恭平、ふちがみとふなと、マレウレウ、東郷清丸、アラゲホンジ、寺尾紗穂&ソケリッサ。
高校野球での金足農(祝!準優勝!)/秋田旋風に乗って、アラゲホンジを紹介しておきましょう。

アラゲホンジは秋田県出身シンガー齋藤真文を中心に2007年結成した7人組バンド。
日本各地の民謡や伝統歌とロック、ソウル、ジャズ、レゲエ等様々な音楽要素をブレンドして聴かせます。

今日のこの1曲は、現代的にアップデートされた「秋田大黒舞」(秋田民謡)を。(限定アナログEPのB面収録)

アラゲホンジ『十万人の橋/秋田大黒舞(秋田民謡)』
(国内EP 限定アナログ盤 GLREAL006 1,400円+税)

民謡クルセイダーズ気に入った方も要チェック!森 陽馬


2018年8月23日(木) Stone Foundation 「Carry The News」

ポール・ウェラーがプロデュース&参加した『Street Rituals』(2017年3月30日今日のこの1曲紹介)から約1年半。
UKブルー・アイド・ソウル・バンド、ストーン・ファンデーションの新作が発売になりました。

ストーン・ファンデーション『エヴリバディ・エニワン』
(国内CD 解説・歌詞付 PCD-24752 2,400円+税)

前作と同じくウェラー所有のBlack Barn Studiosでの録音。
ストーン・ファンデーションらしい渋味、哀愁を帯びたソウル・ナンバーの数々の中に嬉しい共演が♪

新作収録曲「Carry The News」では、ポール・ウェラー、ミック・タルボット、スティーヴ・ホワイトの元スタイル・カウンシルの3人が参加しています。
(事前に公開されたこの曲のミュージック・ビデオでも、同じ画面には映らないものの、3人がスタジオで演奏している姿が収めらています。)

中盤で熱く展開していく「Carry The News」...
スティーヴ・ホワイトによるキレのあるドラミングにスタカンの面影をみました。

元アヴェレイジ・ホワイト・バンドのヘイミッシュ・スチュワート、ザ・ブロウ・モンキーズのDr.ロバート、リヴァプールの女性シンガー、キャサリン・ウィリアムズなどもゲスト参加しています。東尾沙紀


2018年8月24日(金) Amy Helm 「Freedom For The Stallion」

今年2018年は1968年からちょうど50年。
ということで、ザ・バンド1968年発表1st『ミュージック・フロム・ビック・ピンク』50周年盤が来週8/31発売予定。

ザ・バンド『ミュージック・フロム・ビック・ピンク』(50周年記念エディション)
(スーパーデラックス盤 CD+2LP+EP+Blu-ray+ブックレット 16,000円+税/通常CD 2,500円+税)

名エンジニア、ボブ・クリアマウンテンによる新ステレオ・ミックス、そして新ボーナス・トラックが楽しみですね。

その発売1週間前となる本日、ザ・バンドファンにも注目の新譜が発売されました。

故レヴォン・ヘルム(ザ・バンド名ドラマー)の娘、エイミー・ヘルム。
2015年発表ソロ1st『Didn't It Rain』(
2015年9月17日今日のこの1曲紹介)から約3年ぶり、ソロ2作目となるアルバム『This Too Shall Light』。

エイミー・ヘルム『This Too Shall Light』(邦題:明日への希望)
(国内仕様CD エイミー・ヘルム自身による解説日本語訳付 MSIG-1230 3,000円+税)

ジョー・ヘンリーがプロデュース。ドイル・ブラムホールⅡ(G)、ジェイ・ベルローズ(Dr)他参加。
アメリカン・ルーツ、ゴスペル、ロック、ニューオリンズ等の要素をブレンドしたサウンド・アレンジで聴かせます。

今日のこの1曲は、ジョー・ヘンリー繋がりでアラン・トゥーサン「Freedom For The Stallion」カヴァーを。森 陽馬


2018年8月25日(土) The Milk Carton Kids 「Younger Years」

昨日8/24紹介したエイミー・ヘルムのアルバムで、3曲目に収録されている「Michigan」はThe Milk Carton Kidsの二人(Kenneth Pattengale、Joseph Edward Ryan)による楽曲でした。

今日はそのThe Milk Carton Kids2018年発表作を取り上げましょう。

The Milk Carton Kids『All The Things That I Did and All The Things That I Didn't Do』
(輸入CD ANTI 87516-2)

The Milk Carton Kidsは、2011年頃から活動しているKenneth Pattengaleとjoseph Edward Ryanの二人ユニット。
<新世代のサイモン&ガーファンクル>とも評されるフォーキーなアコースティック・サウンドと歌声が魅力です。

今作は4枚目となるアルバムで、エイミー・ヘルムと同じくジョー・ヘンリーがプロデュース。
ナッシュビルのハウス・オブ・ブルースThe Sun Roomスタジオでの録音、ジェイ・ベルローズ(Dr)他参加。
ヴァイオリン、チェロ、クラリネット等がフォーキーな楽曲にさりげなく溶け込み、心地良い音感で聴かせます。

今日のこの1曲は2人のハーモニーがまさにサイモン&ガーファンクル的で沁みる③「Younger Years」。森 陽馬


2018年8月26日(日) ライ・クーダー 「荒野をくだれば~Down In The Boondocks」

2018年5月に出たライクーダー新作『ザ・プロディガル・サン』は、昔からのファンにも評判が良く、ロングセラーを続けています。

そんなこともあり、今日は彼の古いアルバムを引っ張り出してきました。

ライ・クーダー1980年発表作『ボーダーライン』
(国内CD 限定紙ジャケット 解説・歌詞・対訳付 WPCR-13693 2,095円+税)

この頃、ライ・クーダーは毎年意欲的なアルバムを発表していましたね。
1976年名作『チキン・スキン・ミュージック』、1977年ライヴ盤『ショウ・タイム』、1978年古いジャズをライ流にうまく料理した『ジャズ』、1979年R&Bルーツを強調した『バップ・ティル・ユー・ドロップ』。そして、この『ボーダーライン』。

前作のフレイヴァーを大切にしつつ、沖縄サウンド風味(このアルバムを録音する前に喜納昌吉&チャンプルーズ『ブラッド・ライン』にライがギター参加したことが影響していると思われます)を加えたライ自身70'sと80'sの橋渡しになった名盤だと思います。

ウィルソン・ピケット、キャデラックスの歌でヒットした「634-5789」、「スピード」のカヴァーに惹かれるものがありますが、今日は白人であるビリー・ジョー・ロイヤルが1965年にベスト10ヒットさせた「荒野をくだれば~Down In The Boondocks」ナイス・カヴァーを。

この曲を作ったのは、アトランタ出身の白人ジョー・サウス。
全米でヒットしていた頃、ライは18歳ぐらい。
きっとこの曲が好きだったのでは、と想像してしまいます。

南部ものには目がないライならではの選曲であり、その出来もさすがな感があります。森 勉


2018年8月27日(月) アルパカ・スポーツ 「Summer Days」

新世代ネオアコ~スウェディッシュ・ポップ新譜おすすめ盤!

アルパカ・スポーツは2011年頃から活動しているスウェーデン出身Andreas Jonssonを中心とした、女性ヴォーカルAmanda Akermanとのユニットです。

爽やかな男女ヴォーカル&胸弾むメロディーは、まさに王道のギター・ポップ♪
英国インディー・シーンで活躍するIan Cattをプロデューサーに迎えた彼らの2枚目となる新作『From Paris With Love』が日本先行でリリースされました。

アルパカ・スポーツ『From Paris With Love』
(国内CD 歌詞・解説付 AW-022 2,300円+税)

拠点をパリへ移し、「Eiffel Tower」(エッフェル塔)なんて曲もあり。
サウンドにより華やかな雰囲気も感じられる今作。

収録曲のすべてをAndreasと共作している、シカゴのガール・ポップ・バンド、ベリー・トゥルーリー・ユアーズのギタリストLisle Minikとの相性もとても良いようです。

3曲目「Summer Days」を聴いていたら、映画『シング・ストリート』が頭に浮かびました。
キラキラとして、疾走感があるこの曲を映画の中の彼らが演奏していたらピッタリかも?!と想像してみたり...。

10cc「I'm Not In Love」風のコーラス&Amandaのウィスパーヴォイスが心地良い「Luxembourg Gardens」もアルバムの中では異色で、彼らの新たな一面をみた気がします。東尾沙紀


2018年8月28日(火) ヴィクター&スポイルズ 「オール・アイ・アスク」

ソフト・ロック・ファンにはうれしいCDがまた出ました。

『陽のあたる大通り~あなたの知らないソフト・ロック名曲選 第2集』
<原題:The Sun Shines On My Street ~Sunshine,Soft & Studio Pop 1966-1970>
(国内仕様CD 安田謙一による解説付 MSIG-1227 3,100円+税)

原盤はマニアックなCDを発売することにかけては、どこにも負けないオーストラリアのティーンズヴィル・レーベルです。
2018年7月3日に紹介したトニー・マコウレイの作品集もそうでしたが、とにかく知られていない曲の中からイイ曲を見つけ出すのがうまいレーベルなのです。耳の肥えたスタッフが揃っているんでしょうね。

このCDには全31曲が収録されていますが、ヒットとは無縁の曲ばかり。しかし耳ざわりの良い曲が並び、サウンド的にも注目したい曲がいっぱいあります。
耳馴染みのないアーティスト名と言えども、ソフト・ロック・ファンは全曲気に入ってしまうのではないでしょうか。
かく言う僕も全31曲、全部気に入りました。

ブライアン・ウィルソンに影響を受けたアザー・フォー、
兄のトリニ・ロペスとは違う魅力があるジェシー・ロペス、
実験的なサウンドながらポップなアプローチが耳に残るシャギー・ボーイズ、
ブリティッシュ・ポップの良い所を引き継いでいるアーモンド・マジパン、
1968年に録音されながら未発表だったソフト・ロック・テイストがあるボビー・ヴィーの2曲など。

その中から今日は5曲目に入っているヴィクター&スポイルズ「オール・アイ・アスク」を。
曲を作ったのはドン・シコーネ、アレンジはジミー・ウィズナー。
ゲイリー・ルイス&ザ・プレイボーイズのサウンドを感じさせてくれる曲です。森 勉



2018年8月29日(水) リトル・アンソニー&ジ・インペリアルズ「ティアーズ・オン・マイ・ピロー」

2018年8月8日ワーナーから発売になった『ドゥー・ワップ・ナゲッツ』は、8月7日付オリコン・アルバム・デイリー・チャートで第6位に入ったり、ウィークリー・チャートでも『Vol.1』、『Vol.2』、『Vol.3』3種ともベスト20以内に入ったりと、痛快な売れ方を記録しています。

ペット・サウンズ・レコードでも本当にたくさんのお客様にお買い上げいただきました。
ありがとうございます。
当店では当然のことながらベスト3独占でした。

やはり、山下達郎監修・選曲・解説という黄門様の印籠のような強力なインパクトがあったとはいえ、これだけ多くの方にドゥー・ワップを楽しんでいただけるのはうれしいですね。

ということで、今日もすてきなドゥー・ワップを聴いてもらいましょう。
リトル・アンソニー&ジ・インペリアルズ「ティアーズ・オン・マイ・ピロー」はいかがでしょうか。

リトル・アンソニー&ジ・インペリアルズ『ウィ・アー・リトル・アンソニー・&ジ・インペリアルズ』
(国内CD 完全限定盤 解説・歌詞付 WPCR-27857 952円+税)

1957年ニューヨーク/ブルックリンで結成された5人組。
この曲は今から約60年前1958年夏から秋にかけて全米で大ヒットした曲です。

18歳のリトル・アンソニーの堂々としたヴォーカルとそれに絡んでくるコーラスが魅力です。森 勉



2018年8月30日(木) ザ・なつやすみバンド「蜃気楼」(TNB×mitsume)

♪毎日が夏休みだったら、いいのになあ~♪
(ザ・なつやすみバンド「S.S.W (スーパーサマーウィークエンダー)」歌詞より)

8月ももうすぐ終わりということで、この歌詞をつい口ずさんでしまう今日この頃です。

そのザ・なつやすみバンドは2018年で結成10周年!
新作CD『映像』が9月5日発売されるのですが、当店のみの先着特典が急遽決定しました。

特典はメンバー4人が映った特製ポストカードになります。
作品内容も原点回帰と言える素晴らしい仕上がり! 乞うご期待!

さて、今日のこの1曲は、ザ・なつやすみバンド9/5発売『映像』からの先行シングルEP曲を。

ザ・なつやすみバンド『蜃気楼』(TNB×mitsume)
(2018年8/29発売 国内EP 完全限定アナログ VB-1050 1,750円+税)

東京発インディー・ロック・バンド、mitsume(ミツメ)とコラボした不思議な魅力を持った楽曲「蜃気楼」。
独特かつ不安定なゆらゆら感が、夏の終わりの心情を象徴するかのよう。
アナログ盤B面には、アルバム未収録となる「蜃気楼」DORIAN Remixが収録されています。森 陽馬



2018年8月31日(金) 村田和人 「終わらない夏」

商店街を歩いていたら、100円ショップでハロウィングッズが売っていました。
更には、来年2019年1月からのカレンダーが早くも販売。
CD・レコード店としては、クリスマス商品&12月発売の新譜案内が、、、。

こんなに暑かった(今も暑い)夏なのに、すっかり忘れて暑さが恋しくなるのでしょうかね。
夏男の村田和人さんだったら、今年の酷暑をどう歌ったのかな。

そんな感傷的な気分の8月最終日、この歌を大音量で聴くとしましょう。

村田和人「終わらない夏」
(1982年発表『また明日』収録 ボーナス・トラック5曲追加全15曲 VSCD-1734 2,600円+税)

記念すべき1stアルバム『また明日』には山下達郎プロデュースのシングル曲「電話しても」が収録。
「Lady September」、「Be With You」等も人気ですが、「終わらない夏」こそ村田さんを象徴している1曲!

♪ 一つ夏が過ぎて大人になる 消えてゆく想い出に "See you again" ♪
(「終わらない夏」歌詞より 作詞:安藤芳彦)

なお、この「終わらない夏」は鈴木茂による編曲。(後半のギター・ソロも鈴木茂)
山下達郎(コーラス)、難波弘之、松任谷正隆、浜口茂外也が参加しています。森 陽馬





これより以前に掲載した“今日のこの1曲”は、
 “今日のこの1曲 アーカイヴス” コーナーにてご覧になれます。■



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