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  今日のこの1曲 “Archives”

<2022月8月>

当店ペット・サウンズ・レコード店にて
その日に店内でかけていた曲の中から、
店員の独断と偏見で選んだ“今日のこの1曲”コーナー

2022年8月に更新した“今日のこの1曲”コーナー


廃盤・生産中止、規格番号の変更など、
情報が古くなっている商品もございますが、ご了承くださいませ。

<最新の“今日のこの1曲”はこちらのページをご覧ください>


2022年8月1日(月) Joni Mitchell 「Both Sides Now」(青春の光と影)

気が滅入るような酷暑&コロナ禍が続いていますが、先週はうれしいニュースがありました。

難病を患い再起不能とまで言われていたジョニ・ミッチェルが、ニュー・ポート・ジャズ・フェスティヴァルに出演!
13曲も披露したそうです。(「Just Like This Train」ではギターも弾いた!)

奇跡というかなんというか、こんなこともあるんですね。
アップされている動画を観て、とても感動しました。
周囲のサポートが大きいと思いますが、ジョニ自身の音楽への情熱と魂こそが、人の心を動かすのでしょう。

今日のこの1曲は、アカデミー賞受賞映画『コーダ あいのうた』でも印象的に使われた「Both Sides Now」。

「人生を両側から眺めてみる。勝つこともあれば負けることもあるだろう。
でもそれは、人生の幻影かもしれない。人生の本当の姿はわからない。」(「Both Sides Now」歌詞より)

今のジョニが歌う「Both Sides Now」からは、人生の“光”が伝わってきます。森 陽馬

★掲載ジャケットは、ジョニ・ミッチェルのベスト盤。
(ジョニ・ミッチェル『永遠の愛の歌』 国内CD WPCR-26237 1,430円税込)


2022年8月2日(火) 大滝詠一 「FUN×4」

大滝詠一関連の新しい7インチ・シングル限定盤が2種類本日入荷しました。
どちらも、2022年最新カッティングのアナログ盤です。

・大滝詠一『夢で逢えたら/FUN×4』(SRKL-3052 1,980円)
・NIAGARA TRIANGLE「A面で恋をして」/金沢明子「イエローサブマリン音頭(特別変)」(SRKL-3051 1,980円)

「夢で逢えたら/FUN×4」の方は、SideB「FUN×4」のジャケット・イラストで思わずニヤリ。
(手に取ってからのお楽しみ♪)
更に、開封してうれしいサプライズ! 表記はありませんが、クリア・カラー盤でした。

今日のこの1曲は、「麒麟発酵レモンサワー」2022年CMソングの「FUN×4」(フォー・タイムス・ファン)を。

曲名は、ビーチ・ボーイズ「Fun Fun Fun」からで、曲後半にもオマージュ的コーラスが入りますが、それ以外にもキャデラックス「Zoom」、ドナ・リン「ビートルズ・カットのボーイフレンド」等々、たくさんのオールディーズソングが下敷きとして織り込まれている楽しい1曲。

なお、「散歩しない?」の一節は太田裕美。ドゥーワップ・ソングThe Willows「Church Bells May Ring」の一節はシャネルズ。後半で月に吠える男は五十嵐浩晃が担当しています。森 陽馬


2022年8月3日(水) プラチナム900 「Platinum Airways」

7月31日の今日のこの1曲に続き、本日もプラチナム900の再発盤を紹介したいと思います。
1997年に発表された最初の作品です。

プラチナム900『プラチナム900航空900便』
(国内CD MHCL-30728 2,200円税込)

メンバー監修による2022年リマスタリングされた音です。
ファースト・ミニ・アルバム、全7曲収録。
今回の再発CDには、メンバーの坂田直子によるコメントが掲載されていますが、それによると、プラチナム900はレコーディングにお金をかけ過ぎたためにプロモーション費がなく、1990年代だったらありそうなプロモーション・ビデオもないとのこと。
でも、それはそれで潔い感じがします。たしかにレコーディングのクオリティーはこだわりが感じられますし、素晴らしい音に仕上がっています。

このアルバムはドラムスは生でなくプログラミングされたものですが、とても自然な音で打ち込まれています。
キーボード担当の飯星裕史の手腕が光ります。
その飯星をサポートしていたのが、橋本茂昭(山下達郎の最新作『SOFTLY』でも大活躍したコンピューター・プログラマー)。7曲中5曲に参加しています。

今日の1曲は、フェンダー・ローズによるエレクトリック・ピアノの音色が気持ちいい6曲目「プラチナム・エアウェイズ」を。森 勉


2022年8月4日(木) ORIGINAL LOVE 「ブロンコ」

今週末8月6日(土)に、アナログ・レコードのイベント<CITY POP ON VINYL>が開催!
シティ・ポップ系の名盤や新譜がアナログ・レコードで色々と発売されます。

その中で、僕がリリースを一番心待ちにしていたのがこの1枚!

ORIGINAL LOVE『RAINBOW RACE』
(2022年8月6日発売 国内LP PCJA-102 5,500円税込)

田島貴男率いるORIGINAL LOVEがポニー・キャニオンへ移籍し1995年に発表した名盤『RAINBOW RACE』。
当時はLP発売がなかったので、今回が初アナログ・レコード化です。

1994年発表作『風の歌を聴け』も素敵なアルバムですが、本作は想い入れがあって好きなんですよね。
シングル曲「夢を見る人」、沁みる「流星都市」、中盤から盛り上がっていく「ミッドナイト・シャッフル」、etc...。
でもやはり、今日のこの1曲は「ブロンコ」でしょう!

本作を当時聴いた時、最初に耳に飛び込んできた「ブロンコ」の高揚感は忘れられませんね。
後半の♪トゥルトゥットゥッ♪コーラスは、CSN「組曲:青い眼のジュディ」へのオマージュを感じます。

ちなみに、美しいジャケットは、アート・ディレクションの信藤三雄さんが、名写真家ノーマン・パーキンソンによる写真「bird island」(1973)を使用して手掛けたもの。レコードの大きさで手に取るのが楽しみです。森 陽馬


2022年8月5日(金) 東北新幹線 「Summer Touches You」

8月6日(土)は<CITY POP ON VINYL>! シティ・ポップ系のアナログ・レコードが色々と発売されます。
昨日紹介したORIGINAL LOVEに続き、当店でオススメしたいのがこの1枚♪

東北新幹線『Thru Traffic』
(2022年8月6日発売 国内LP PROT-7192 4,180円税込/国内CD RATCD-4399 2,547円税込)

東北新幹線は、鳴海寛と山川恵津子による2人ユニット。
鳴海寛さんは、山下達郎『PERFORMANCE1988~89』のツアー・ギタリストに抜擢され、その素晴らしいギタープレイは『JOY』の「蒼氓」などで聴くことができます。
山川恵津子さんも山下達郎「氷のマニキュア」、「月の光」にバック・コーラスとして参加していますね。

本作『Thru Traffic』は、この2人の“東北新幹線”が1982年に発表した唯一のアルバム。
甘く切ないメロディーとAORサウンドが見事に融合した傑作です。

今日の東京は、最高気温が27℃前後で東北地方のように涼しく過ごしやすい1日でしたが、真夏の陽射しと爽快な風を運んでくれる「Summer Touches You」を今日のこの1曲に。
心地良くも、心をギュッと掴まれるような切なさを感じるナンバーです。森 陽馬


2022年8月6日(土) kiss the gambler 「台風のあとで RHION Ver.」

東京は暑くなく、天気も良くて買い物日和でしたね。ご来店のお客様皆々様ありがとうございました。

ここ数日は<CITY POP ON VINYL 2022>のアイテムで、再発盤のオススメLPを続けて紹介しましたが、新曲・新録音の作品もリリースされています。

中でも、日本で3本指に入るくらいアナログにこだわりを持っている本秀康さん主宰のレーベル<RHION(雷音レコード)>から、2タイトルがエントリー♪

・℃-want you!『Don't Poy Me!/愛のナンバー』(国内7inch 限定盤 RHION-29 1,760円)
・kiss the gambler『台風のあとで/「台風のあとで」のあとで』(国内7inch 限定盤 RHION-28 1,760円)

今日のこの1曲は、kiss the gambler(キス・ザ・ギャンブラー)の「台風のあとで RHION ver」を。

kiss the gamblerは、2018年頃から活動している女性シンガー・ソングライター。
2022年5月に配信リリースした楽曲「台風のあとで」を、今回の7inch化のために、谷口雄(元・森は生きている/魔法バンド他で活躍中のキーボード奏者)をプロデューサーに迎え、新たにレコーディングしたのがこのトラック!
はっぴいえんどやキャラメルママっぽい空気感あるサウンド・アレンジに仕上がっています。

ゴールド色の下地が美しいジャケに、モコゾウ(本秀康さんの愛犬)もさりげなく映っていますね。森 陽馬


2022年8月7日(日) Neil Young+Promise Of The Real 「I've Been Waiting For You」(Live)

「マネージャーのエリオット・ロバーツは、わたしのやることなすこと全てについて、重要な役割を担っている。エリオットとは最低でも1日に5回話をする。彼はわたしが取る動きのひとつひとつに、アドヴァイスを与えてくれる。(中略) だからこそわたしは今のわたしでいられるのだ。」
(書籍『ニール・ヤング自伝Ⅱ』 「生涯の友人たち」の項より)

エリオット・ロバーツはジョニ・ミッチェルをマネージメントし西海岸へ移住したのを機に、バッファロー・スプリングフィールド、そしてニール・ヤングと出逢って、彼のマネージャーとなりました。
その後、長きにわたりニールを支えましたが、2019年6月21日に逝去しています。享年76歳。
ニールも大きなショックを受けたでしょうね。

本作は、エリオット・ロバーツの死から約2週間後、2019年6月29日から7月14日まで、ニール・ヤングがルーカス・ネルソン(ウィリー・ネルソンの息子)率いるプロミス・オブ・ザ・リアルをバックに引き連れ計9回行ったヨーロッパ・ツアーの音源が収められています。

ニール・ヤング+プロミス・オブ・ザ・リアル『Noise & Flowers』
(国内CD 解説・歌詞・対訳付 WPCR-18538 2,860円)

エリオットとの想い出を胸に、そして、音楽と共に生きた彼のために演奏された楽曲の中から、2001年フジ・ロック来日公演を想い出させてくれる「I've Been Waiting For You」を今日のこの1曲に。森 陽馬


2022年8月8日(月) ボズ・スキャッグス 「ゼン・シー・ウォークト・アウェイ」

ボズ・スキャッグスと言えば、1976年発表の『シルク・ディグリーズ』が有名ですが、翌1977年に出た『ダウン・トゥ・ゼン・レフト』もなかなかいいアルバムです。

シングル・カットされた「ハード・タイムス」と「ハリウッド」は地味なヒットに終わりましたが、アルバム全体の評価はとても良かったですし、売上的にも良かった記憶が残っています。

ボズ・スキャッグス『ダウン・トゥ・ゼン・レフト』
(国内CD 日本語解説付 SICP-4841 1,100円税込)

今日はこの中から「ゼン・シー・ウォークト・アウェイ」を。
ジェイ・グレイドンのギターがフィーチャーされますが、今日の聴き所はイントロのピアノです。
マイケル・オマーティアンが弾いています。

実はこのイントロの部分がNHK FM『洋楽グロリアス・デイズ』(D.J.片寄明人。毎週日曜日午後16時から1時間の放送)のジングルとして使われているんです。

この番組には他にも、グレン・フライやエルヴィス・コステロの曲の断片がジングルとしてうまく使われています。
片寄くんのセンスの良さには脱帽です。
もちろん、彼の選曲やD.J.自体も素晴らしく、放送をまだお聴きでない方は日曜日の午後16時はNHK FMにチューンアップしてください。リクエストも受け付けているので、皆さんも70's、80's、90'sの中から気になる曲を是非。森 勉

2022年8月9日(火) Little Feat 「Dixie Chicken」~「Tripe Face Boogie」

今日紹介するライヴ盤は、冷房のきいた部屋で聴いていても、室温と湿度が上がってしまう傑作です。

リトル・フィート『Waiting For Columbus』(Super Deluxe Edition)
(国内仕様8枚組CD 英文ライナー訳・歌詞・対訳付 WPCR-18518 14,300円税込)

リトル・フィートというと、ニューオリンズ的な粘っこいリズムに、アメリカン・ルーツなサウンドのイメージが強いかもしれませんが、1978年発表のライヴ盤『ウェイティング・フォー・コロンブス』はその印象がガラッと変わる名盤として、ファンの間でも人気の高い作品でした。

この度新たに発売された『ウェイティング~』のスーパー・デラックス盤は、オリジナルのリマスター音源2CDに加え、1977年に3会場で録音されたライヴ音源を演奏順に収録している6枚のCDが追加!
リトル・フィートの絶頂期ライヴ音源が、未発表曲51曲(!)を含む全73曲、高音質で堪能できます。

ローウェル・ジョージ&ポール・バレルのギターはもちろん、リッチー・ヘイワードのドラムス、ケニー・グラッドニーのベース、ビル・ペインのキーボード・プレイが強烈! 更に、タワー・オブ・パワーのホーン隊5人が加わった演奏は、グルーヴィーなジャム・バンドという感じで、とにかく圧巻です。

特に、「Dixie Chicken」から「Tripe Face Boogie」へ繋がって、どんどんペースアップしていく瞬間が最高!
この部分を別会場で3公演分、違うテイクで聴き比べできて楽しいですね。森 陽馬


2022年8月10日(水) Marci 「BB I Would Die」

スウィートな歌声の女性ヴォーカリスト、ジェーン・ペニーを擁するカナダ・モントリオールの男女4人組インディー・シンセポップ・バンド、TOPS(トップス)。

2017年にバンドに正式加入し、キーボード/コーラスを担当するもう一人の女性メンバー、マルタ・シコイェヴィッチがMarci(マルシ)名義で2022年ソロ・デビュー作をリリース。日本のみのCD化です。

マルシ『マルシ』
(国内CD 解説・歌詞・対訳付 日本独自CD化 ARTPL-177 2,420円税込)

スタイル抜群(&口元のほくろがセクシー)なルックスもさることながら、彼女のペンによる大人の恋愛を描いた楽曲は80年代ポップス、AOR、R&Bの要素も内包されていて、メロディもレトロかつキャッチーで良い雰囲気です。

今作で彼女を全面バックアップするTOPSのデヴィッド・カリエールのギター、シンセサイザー、ローズ・ピアノ、フルート、魅力的なウィスパー・ヴォーカル、ハーモニーなどすべてがソフトタッチでずっと繰り返し聴きたくなります。

本日は清涼感のあるギターとローズの音色が心地良く絡む「BB I Would Die」を今日の1曲に。東尾沙紀


2022年8月11日(木) 大木彩乃 「Yes-No」

2021年7月に発売され好評だった大木彩乃のカヴァー作品『タイムトラベル』(2021年7月22日今日のこの1曲紹介)。
その第2弾アルバムが、明日2022年8月12日発売になります。

大木彩乃『タイムトラベル2』
(2022年8月12日発売 国内CD 全6曲収録 2,000円税込)

「DOWN TOWN」(シュガー・ベイブ)、「プラスティック・ラブ」(竹内まりや)、「ピンク・シャドウ」(ブレッド&バター)、「WOMAN(Wの悲劇より)」(薬師丸ひろ子)、「CARNIVAL」(カーディガンズ)、「Yes-No」(オフコース)。
彼女の音楽ルーツである70~80年代の楽曲を中心に選曲された6曲を、オリジナルの良さを引き継ぎナイス・カヴァー。

今日のこの1曲は、彼女の真っ直ぐで澄んだ声で歌われる小田和正の歌詞に、ドキッとさせられた「Yes-No」を。

ちなみに、秋田在住の彼女のライヴが東京で今週あります。(8月12日南青山マンダラ、8月14日下北沢lete)
お時間ある方はチェックしてみてください。森 陽馬


2022年8月12日(金) カラパナ 「こころ焦がす愛」(The Hurt)

1977年の夏、その当時勤めていた某有名レコード店の御茶ノ水店(明治大学の正門の斜め前にあった店)での、想い出の1枚です。
サウンドが気に入ったので、ロック担当者としてプッシュしたところ、他の店に比べて凄く売れた、ということがありました。

都内の一部の輸入盤専門店のみで1976年に話題になっていたのが、ハワイのグループ、カラパナのファースト・アルバム『KALAPANA』(本国では1975年発表)でした。
1977年なって、トリオ・レコードより『ワイキキの青い空』というタイトルで発売され、日本盤も売れるようになった1枚でした。(原盤はAbattoirというマイナー・レーベルで入手が困難な状況だったので)

今までの古いハワイアンでないハワイ音楽。
軽快で、さわやかで、どこか海の薫りがしてくるようなサウンドは、当時流行り始めていたAORにも通ずるような、美しいメロディーとポップな味付けの演奏がブレンドされた音楽でした。

カラパナ『カラパナ (ワイキキの青い空)』
(国内CD VSCD-4001 2,750円税込)

全11曲、どの曲も注目ですが、やはり1曲目「The Hurt」(こころ焦がす愛)を。
「名前のない馬」、「ヴェンチュラ・ハイウェイ」で有名なアメリカを想わせるアコースティック・ギターのカッティングと、ベース・ギターの演奏が甘い声のヴォーカルとマッチしています。森 勉


2022年8月13日(土) ローリング・ストーンズ 「You Can't Always Get What You Want」(無情の世界)

<ザ・ローリング・ストーンズ結成60年記念&チャーリー・ワッツ追悼公開>
と称して、ローリング・ストーンズの映像作品が
渋谷ル・シネマで劇場公開中!

『チャーリー・イズ・マイ・ダーリン 2Kレストア版』と、『ロックン・ロール・サーカス』を観てきました。
どちらも約60~70分の作品で、ル・シネマでは両方続けて観れるように上映時間が設定されているのです。

『チャーリー・イズ・マイ・ダーリン』は、ローリング・ストーンズ1965年9月のアイルランド・ツアーを追ったドキュメンタリーで、貴重なライヴ映像だけでなく、ホテルの一室でキースが弾くギターに合わせミックがビートルズを歌っている場面など見どころがたくさんあります。ダブリン公演でファンがステージに上がり大混乱となって、ライヴ自体が中断する中、チャーリーだけが延々とドラムを叩き続けている場面が印象的でした。

『ロックン・ロール・サーカス』は今までにビデオやDVDで何度も観ていたのですが、映像が格段にきれいになったせいか、僕の記憶がいい加減なせいか(たぶんこっち)、新しい発見も色々ありましたね。ジェスロ・タル、ザ・フー、ダーティー・マック(ジョン・レノン&エリック・クラプトン&ミッチ・ミッチェル&キース! 
2019年7月14日今日のこの1曲で紹介)、タジ・マハール(動くジェシ・エド・デイヴィス!)等々、かっこよかったなぁ。
とにかくも、60'sローリング・ストーンズの元気な姿を大画面で観ることができて、楽しかったですね。

ちなみに、渋谷ル・シネマは、Bunkamuraの改築により2023年春で長期休館となるそうです。
ヨーロッパ映画を中心に良質な作品をたくさん紹介してくれた思い入れのある映画館なので、休館前にまた足を運びたいと思っています。森 陽馬

★掲載ジャケットは『ロックン・ロール・サーカス』(国内2枚組CD UICY-78953 3,960円税込)


2022年8月14日(日) KOKOROKO 「Soul Searching」

「どこか遠くへ行きたい。」
そういう時、音楽は、心を解放して様々な世界へ誘ってくれる。

本日紹介する作品も、身体と心を浮き立たせてくれる1枚だ。

KOKOROKO『Could We Be More』
(国内仕様CD 日本語解説付 BRBW228 2,200円税込/輸入LP 限定カラー盤もあり)

KOKOROKO(ココロコ)は、アフリカ系のルーツを持ち現在はロンドンを拠点に活動している女性トランペット奏者Sheila Maurice-Grey(シーラ・モーリス・グレイ)を中心にしたUKジャズ・バンド。
今までに配信や12インチで楽曲を出していたが、本作が待望の1stオリジナル・アルバムだ。

ジャイルズ・ピーターソン主宰のレーベル、Brownswood Recordingsからのリリースで、フェラ・クティ系譜のアフロビート・ジャズを基にしながら、洗練されたアレンジが施され、心地良くグルーヴィーに聴かせる。
インスト多め、所々に女性ヴォーカルが入る楽曲もあり、しなやかな流れが美しい。

今日のこの1曲は、魂(ソウル)を探し求めるように躍動する⑥「Soul Searching」を。
なお、KOKOROKOとは、ナイジェリアのウルポポ族の言語に由来し、「強くなる」の意を持つそうだ。森 陽馬


2022年8月15日(月) Mapache 「I Love My Dog」

♪I Love My Dog~♪の一節から始まる、犬好きの方にも聴いてほしい、まったりフォーキー&ポップな1枚♪

Mapache『Roscoe's Dream』
(輸入CD Innovative Leisure CDIL005)

スペイン語でアライグマを意味するMapacheという名で活動しているロサンゼルス出身のClay FinchとSam Blasucciによる男性フォーク/ロック・デュオ。
2022年発表作『Roscoe's Dream』は、彼らの愛犬ロスコー(14歳のボストンテリア)を一部題材としたアルバムです。

ライヴ・ツアーに同行し、2人と一緒に色んな所を旅してきたバンドの一員のような存在であるロスコーに捧げられた「I Love My Dog」、スペイン語の曲「Asi Es La Vida」ではカリカリ(ドッグフード)を食べるような音が聴こえたり、インスト曲「Roscoe's Dream」では鳴き声が入っていたりしてなんだか和みます。

ボ・ディドリー「Diana」、ギャビー・パヒヌイ「Kaua'i Beauty」などカヴァーもオリジナル曲の中に良い雰囲気で溶け込み、ジョージ・ハリスン似の歌声、心地良いハーモニーとアレンジでのんびり楽しめる作品です。東尾沙紀


2022年8月16日(火) 寺尾紗穂 「魔法みたいに」

デビュー時から応援している女性シンガー、寺尾紗穂さんが2022年でメジャー・デビュー15周年を迎えました。
当店が現在の場所へ移転した2007年に、記念ライヴをやっていただいたことはとても懐かしい思い出です。
あれから15年、長いようであっという間でしたね。

さて、その15周年を祝して、初期6作の初アナログ化が決定!
関係者による証言を収めたブックレットと、未発表音源をWEBで聴くことができるパスワード特典が付き、6枚組LPレコードBOXとして、11月2日に限定発売されることになりました。

寺尾紗穂『寺尾紗穂 EARLY YEARS LP BOX 2006-2012』
(2022年11月2日発売 国内6枚組アナログ・レコード限定BOX MDJL-1012 27,500円税込)

愛聴していた思い入れの強いアルバムが、ジャケットが大きくなり、レコードで聴けるようになるのはうれしいです。
店頭予約締切は10月7日(金)予定。限定盤ですのでご入用の方はお早めにご予約くださいませ。

今日のこの1曲は、2022年4月からNHK総合にて放送開始された番組『Dear にっぽん』で、テーマ曲として使用されている寺尾紗穂「魔法みたいに」を。
掲載ジャケットは2008年発表アルバム『風はびゅうびゅう』。(国内CD MDCL-1488 3,300円税込)
2007年発表シングル『さよならの歌』の3曲目にも収録されています。森 陽馬


2022年8月17日(水) キャロル・キング 「泣きたい気持ち」(It Might As Well Rain Until September)

ディメンション・レーベルの看板アーティスト3組の曲を各4曲収録してLPにしたのが、『ディメンション・ドールズ』です。
キャロル・キング、クッキーズ、リトル・エヴァの楽曲をそれぞれ4曲収録して、1963年に出ました。

『ディメンション・ドールズ』
(国内CD WPCR-27868 1,047円税込)

このCDは、2014年にワーナーから出たもので、そろそろ入荷しづらい状況になっています。
発売当初、よくぞ出してくれました!と称賛の声があがりましたが、あれからもう8年が経過したんですね。

あれからと言えば、このアルバムのオリジナルLPを大阪の中古レコード店で高嶺(高値)の花になっていたのを見てから、かれこれ32年が経ちました。

1990年にキャロル・キングの初来日コンサートを大阪厚生年金会館大ホール(現:オリックス劇場)で見た次の日、帰京の前に立ち寄った梅田駅近くのレコード店。赤が印象的なあのジャケットが壁に飾ってあるではありませんか。

こんな巡り合わせは・・・、と思い価格を見たところ、かなりの高額盤。
自分の所持金を確認すると、なんともいやはや数千円不足・・・。
購入を断念して帰路についたということがありました。

ということで、今日はキャロル・キングのこの曲を。森 勉


2022年8月18日(木) LEYLA McCALLA 「Dodinin」

ルーツは人それぞれだが、そのルーツに根差した音楽は、人の心を動かす力が宿るものだ。

LEYLA McCALLA『Breaking The Thermometer』
(輸入CD ANTI 879122/輸入LP 879121)

レイラ・マッカラは、リアノン・ギデンズと共にキャロライナ・チョコレート・ドロップスに在籍し、アワ・ネイティヴ・ドーターズでも知られる、1985年生まれの女性シンガー・ソングライター/チェロ奏者。

活動拠点は米国ニューヨーク。ハイチ出身の両親を持つ彼女の本作には、ハイチの風を感じることができる。
ソウルフルな歌声、土着的なリズムと演奏には、ハイチのルーツと魂が込められているのだ。

今日のこの1曲は、6曲目「Dodinin」。
彼女が奏でるバンジョーの音色は、聴く者のルーツを呼び覚まし、触発させる何かを与えてくれる。森 陽馬


2022年8月19日(金) Steve Earle & The Dukes 「Mr.Bojangles」

うまくいかなかったり哀しい出来事が続いたとしても、その日を生きていれば、良いことがあるかもしれない。
そして、笑顔になれる日がくるかもしれない。

スティーヴ・アールの武骨な声で歌われる「ミスター・ボージャングル」を聴いて、そんなことを思った。

Steve Earle & The Dukes『Jerry Jeff』
(輸入CD Exclusive Indie ボーナス・トラック3曲追加盤 NEW WEST CDNW6534XIE)

結婚と離婚を何回も繰り返し、麻薬中毒、刑務所入り、息子がオーヴァードーズで逝去、等々アウトローな人生を歩み続けているアメリカン・ロック・ミュージシャン、スティーヴ・アール。
彼の2022年発表作は、今は亡きジェリー・ジェフ・ウォーカーが書いた曲を歌ったアルバムだ。

The Dukesの渋い演奏とスティーヴ・アールの歌声を耳にすると、広大なアメリカのハイウェイが目に浮かんでくる。

ジェリー・ジェフの代表曲「ミスター・ボージャングルズ」は、若き時分に監獄で出会った、年老いたダンサーのことを歌っているのだが、スティーヴ・アールが歌うと彼のために作られた歌のようだ。森 陽馬


2022年8月20日(土) Josh Rouse 「Apple Of My Eye」

デビューからおよそ25年。今年50歳を迎えたアメリカ・ネブラスカ出身男性シンガーソングライター、ジョシュ・ラウズ。

2006年頃からスペインに拠点を移し、気取らず、力まず、コンスタントに良い作品を発表し続けている彼が、セルフ・プロデュースによる2022年新作をリリースしました。

Josh Rouse『Going Places』
(輸入CD Yep Roc Records YEP-3036)

コロナの影響で2020~21年の間に自宅で書いた曲を地元の友人らとセッションしながら作り上げていった今作。
とてもリラックスした風通しの良いサウンドで、メロディもポップ♪

スペインのミュージシャンをはじめ、ミックスも担当しているブラッド・ジョーンズ、バート・バカラックとのコラボでも知られるダニエル・タシアン、ジェイホークスのゲイリー・ルーリス、管楽器やペダル・スティールにジム・ホークなども演奏やバック・ヴォーカルで参加しています。

本日はゆったりとしたオルガンにナイロン弦ギターの隠し味が効いた①曲目の「Apple Of My Eye」を今日の1曲に。東尾沙紀


2022年8月21日(日) The Explorers Club 「Gimme Little Sign」

配信で先にリリースされていたエクスプローラーズ・クラブの新作が、CD発売されました。

The Explorers Club『Wattage』
(輸入CD Goldstar Recordings GSR-CD008)

本作は1960年代(厳密には1曲のみ1959年)のカヴァー8曲を、ラジオ番組のように仕立てています。
時間は約25分と短めですが、アイディアの勝利!
なかなか楽しいアルバムになっています。

カヴァーされている曲と、オリジナル・アーティストを挙げてみましょう。
・タムス「ビー・ヤング、ビー・フーリッシュ、ビー・ハッピー」(1968)
・ブレントン・ウッド「ギミ・リトル・サイン」(1967)
・ヤング・ラスカルズ「アイヴ・ビーン・ロンリー・トゥ・ロング」(1967)
・フリートウッズ「カム・ソフトリー・トゥ・ミー」(1959)
・リトル・アンソニー&インペリアルズ「ハート・ソー・バッド」(1965)
・フリートウッズ「トラジディー」(1961)
・インプレッションズ「アイム・ソー・プラウド」(1964)
・フォー・トップス「ラヴィング・ユー・イズ・スウィーター・ザン・エヴァー」(1966)

この8曲の間に、ジングルやCMや様々なインフォメーションが入ったりして、60'sのFEN放送を想い出しました。
今日はこの中から、「ギミ・リトル・サイン」を。
これ歌っている人、ブレントン・ウッドの声にかなり似ています。森 勉


2022年8月22日(月) H.I.T. 「Everybody's Boppin」

<日本の“ランバート、ヘンドリックス&ロス”>!?

1950~60年代に活躍したジャズ・ヴォーカル・トリオ、Lambert, Hendricks & Ross(デイヴ・ランバート、ジョン・ヘンドリックス、アニー・ロス)が唄っていた楽曲を、同じスタイルでカヴァーしている日本発の傑作が出ました。

H.I.T.『Diggin' The Sounds』
(国内CD BRIDGE-358 2,750円税込)

H.I.T.(ヒット)は女性シンガーのMaya Hatchと、男性シンガーの伊藤大輔、TOKUによるヴォーカル・トリオ。
ユニット名は各々の名前の頭文字からきています。

あの久保田麻琴がプロデュースを担当!
古き良きジャズの慈しさと温もりを感じられるヴォーカル・ハーモニーが素晴らしい1枚です。

今日のこの1曲は、オリジナルに負けず劣らずのハイテンポなコーラス・ワークが圧巻「Everybody's Boppin」。
H.I.T.を支えるピアノ・トリオ(Jun Miyakawa、Satsuki Kusui、Yoshifumi Nihonmatsu)の演奏もNice! 森 陽馬


2022年8月23日(火) Teresa Bright 「Sunny Side Of The Street」

お盆を過ぎて涼しくなったかな、と思いきや、本日の東京はまだまだ夏本番な暑さでしたね。

音楽で少しでも涼しい気分に、ということで、ジャズ・ヴォーカルの新譜推薦盤を紹介しましょう。

テレサ・ブライト『blue skies』
(国内CD 日本盤ボーナス・トラック追加&インタビュー解説付 AGSJ-001 2,860円税込)

テレサ・ブライトはハワイ出身の女性シンガー/ウクレレ奏者。
ジャズ・スタンダード曲カヴァー中心の本作は、彼女が2005年に録音しながらそのままになっていた楽曲群を、ハワイ発の良質な音源を多数発掘しているレーベル“Aloha Got Soul”が見出し、2020年リリースに至った作品。
これまで配信&アナログ盤での発売でしたが、ボーナス曲を追加し日本のみ限定CD化されました。

ハワイ風味を抑えて、彼女の涼やかで美しい歌声が活かされたアレンジになっているのがいいですね。
今までの彼女の作品を好きな方だけでなく、ジャズ好きの音楽ファンにオススメしたい1枚。

今日のこの1曲は、朝ドラ『カムカムエブリバディ』で話題となった名曲「Sunny Side Of The Street」のカヴァーを。
ちなみにジャケットは、テレサがキャンパスに描いたハワイのビーチと青い空の絵を使用しています。森 陽馬


2022年8月24日(水) Brian Wilson 「Let's Go To Heaven In My Car」

ブライアン・ウィルソンの良き相棒、ゲイリー・アッシャーの作品集がACEレーベルから発売になりました。

V.A『Happy In Hollywood ~ The Productions Of Gary Usher』
(輸入CD ACE CDTOP-1621 24ページ英文ブックレット付)

ゲイリー・アッシャーがプロデュース、又はアレンジ、又は作詞・作曲に携わった楽曲を全24曲集めたCD。
時代的には1960年代中期を中心になかなかのレアものを多数収録したマニアックな選曲がうれしいところです。

ゲイリー・アッシャーが作り出したサウンドは、サーフィン/ホットロッドはもちろん、フォーク・ロック、サイケ、ソフト・ロックと時代の流れにのったものが多く、敏感なプロデューサーだったこともわかります。

キャステルズ、ホンデルズ、サーファリーズ、バーズ、ジーン・クラーク、サジタリアス、チャド&ジェレミー、etc...。
中には耳慣れないグループや歌手もいますが、ゲイリー・アッシャー印の音が感じられるものがほとんどです。

どの曲を選ぶか迷うところですが、やはりこの人、ブライアン・ウィルソンの曲。
イントロに自動車のエンジン音が入っている「Let's Go To Heaven In My Car」を。

1987年に発表されたシングル曲です。
映画『ポリス・アカデミー4』に使用され、サントラ・アルバムにも収録されました。
1988年に出たブライアンのファースト・アルバムに収録される予定もあった曲だと思うのですが、いい出来です。
60'sに「409」、「イン・マイ・ルーム」等を共作したコンビが、ブライアン・ウィルソン復活と共にリュニオンしたわけですね。

なお、このCDには、1976年カート・ベッチャーとの共同作業、カリフォルニア名義「ハッピー・イン・ハリウッド」も入っています。森 勉

2022年8月25日(木) Charles Aznavour(シャルル・アズナヴール) 「Hier Encore」(帰り来ぬ青春)

坂本龍一さんのエッセイ『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』が、月刊の『新潮』に6月から連載されています。

自身の病気について、音楽について、親友について、20代前半に大貫妙子さんと同棲していたこと等々、プライベートな話も打ち明けており、興味深い内容です。

印象に残ったのは、ガン治療で入院中の辛い時期に、「音楽に心奪われる瞬間だけは病気のことを忘れることができた」と書かれている箇所でした。

彼の息子がポストしていた曲、カントリー歌手のロイ・クラークが歌う「Yesterday, When I Was Young」を何気なく聴いたら、涙が止まらなくなってしまったそうです。

「Yesterday, When I Was Young」(邦題:帰り来ぬ青春)は、フランスの名歌手シャルル・アズナヴールによる1964年発表曲「Hier Encore」がオリジナルで、多くの人にカヴァーされている名曲。
最近では、ウィリー・ネルソンが2020年作『First Rose Of Spring』で唄っていたヴァージョンも良かったですね。
2020年8月17日今日のこの1曲掲載)

シャルル・アズナヴールは40代でこの歌を作ったわけですが、自分の人生について思い返すことが多くなるにつれ、心に沁みてくる歌なのかもしれません。森 陽馬

★掲載ジャケットは、シャルル・アズナヴール「Hier Encore」(帰り来ぬ青春)収録のベスト・アルバム。
(国内2枚組CD UICY-15535 3,769円税込)


2022年8月26日(金) Tedeschi Trucks Band 「Soul Sweet Song」

テデスキ・トラックス・バンドの4部作に連なる新作『アイ・アム・ザ・ムーン』、ラスト4作目が本日発売されました。

テデスキ・トラックス・バンド『I Am The Moon: Ⅳ・Farewell』
(国内CD ピーター・バラカン氏による解説・歌詞・対訳付 UCCO-1238 2,860円税込)

4部作を通して感じたのは、今まで以上にバンド・メンバーが結束し作り上げた作品だ、ということ。

デレク・トラックス&スーザン・テデスキ夫妻が中心であることは変わらないものの、この二人だけではないバンドの魅力が各曲に散りばめられていました。
デレクのギターをもっと聴きたい!、という気持ちも正直ありますが、1つの作品としてサウンドが見事に調和しており、ライヴでどのように変化していくか体感できることを楽しみに待ちたいと思います。

今日のこの1曲は、デレクらしいギター・ソロが炸裂する「Soul Sweet Song」を。

ちなみに、4部作の収録時間は各々約30分前後です。
これは、デレクのスタジオにメンバーが集まった時、録音の合間にメンバーお気に入りのレコード(ジミヘンやジョン・コルトレーンなど)を聴いて寛ぐそうですが、それらはだいたい35分前後の長さであることから、自分達の本作も聴きやすいように配慮しアルバム制作したそうです。森 陽馬


2022年8月27日(土) Silk Sonic (Bruno Mars・Anderson Paak)「Blast Off」

2021年ベストに選出したシルク・ソニックのアルバムが、アナログ・レコードで遂に発売されました。

Silk Sonic(Bruno Mars・Anderson Paak)『An Evening With Silk Sonic』
(輸入LP Atlantic 075678642135)

CD発売された2021年11月から、アナログ盤の問い合わせがとても多かった1枚です。

全世界的に配信が進んだデジタル全盛のこの時代に、ヴィンテージ感溢れる本作が生まれ、グラミー賞最優秀レコード賞&楽曲賞を受賞し、そして、そのアナログ盤を店頭で、レコードを原体験していない若い世代が購入していく。
・・・悲観的な状況の音楽業界において、奇跡的な出来事のように僕は感じています。

70'sソウルなマナーながら、古臭さを感じさせず、現代の空気を震わせる力を持った素晴らしい作品。
何はともあれ、メディアを問わず、聴いて楽しんでいただきたいですね。

今日のこの1曲は、感動的なラストの名曲「Blast Off」を。
ちなみに、アナログのA面はCDの1~5曲目「Smokin Out The Window」まで。
B面は6曲目「Put On A Smile」からラスト「Blast Off」まで、という振り分けでした。森 陽馬


2022年8月28日(日) ビル・エヴァンス 「マイ・フーリッシュ・ハート」

昔、友人と、「もしタイムマシーンがあったら、過去のどのライヴを見に行きたいか?」という話をしたことがありました。

要するに、ライヴ盤が出ているものの中で、そのライヴが録音された日、その場所に、ということです。

仮定の話題ですが、音楽好きにとってはとても盛り上がる話の1つだと思います。
魅力的なライヴは色々とありますが、そんな時、僕が隠し玉のように、行ってみたかったライヴとして挙げたのが、この盤です。

ビル・エヴァンス『ワルツ・フォー・デビイ』+4
(国内CD UCCO-5551 1,650円税込)

1961年6月25日、ニューヨークのジャズ・クラブ<ヴィレッジ・ヴァンガード>で録音された名ライヴ盤です。

張り詰めた静寂の中、ビル・エヴァンスの弾くピアノの音が皮膚を通して血管の中にまで沁み込んでくるような感じです。

鍵盤にひれ伏すような形で弾くエヴァンス。
その場にいたかった。-そう思わずにいられない雰囲気がこの盤には漂っています。
曲は1曲目の「マイ・フーリッシュ・ハート」で。森 勉


2022年8月29日(月) Watkins Family Hour 「(Remember Me)I'm the One Who Loves You」

ニッケルクリークのショーン&サラ・ワトキンス兄妹によるユニット、ワトキンス・ファミリー・アワーが、約2年ぶりの新作を発表しました。

Watkins Family Hour『Watkins Family Hour,Vol.Ⅱ』
(輸入CD WFH003CD 国内仕様盤は9月16日発売予定)

元々はロサンゼルスにあるクラブ<Largo>のオファーを受け、2人が2002年スタートしたコラボレーション・ライヴ・ショーが発端となっているワトキンス・ファミリー・アワー。

ショーを始めて20周年を記念したこの3作目には、ジャクソン・ブラウン、フィオナ・アップル、ギャビー・モレノ、ジョン・ブライオン、マディソン・カディンガムらゲスト・ミュージシャンが多数参加し、1940年代のカントリー・ソングから近年の楽曲まで幅広く取り上げカヴァーしています。

ゾンビーズ「The Way I Feel Inside」に始まり、ジャクソン・ブラウンもコーラスで参加「The Late Show」、ベンモント・テンチのピアノでゆったりと歌う「テネシー・ワルツ」、チューン・ヤーズ「Hypnotized」や、イーサン・グルスカ「On the Outside」など近年の名曲のWTH流アレンジもすごく良くて、知らなかった良い曲にも巡り合わせてくれました。

本日は、マリア・マルダーを彷彿とさせるサラの流れるような歌声が印象的なディーン・マーティン「(Remember Me)I'm the One Who Loves You」を今日の1曲に。
フィオナ・アップルがコーラスで参加、グレッグ・リーズのペダル・スティールにも注目です。東尾沙紀


2022年8月30日(火) 竹内まりや 「クワイエット・ライフ」

竹内まりやが1992年に発表したアルバム『クワイエット・ライフ』の30周年記念盤が入荷しました。

最新リマスター音源。CDにはカラオケ音源5曲が追加され、アナログLPも発売されました。

竹内まりや『クワイエット・ライフ』
(国内CD WPCL-13404 2,420円税込/国内2枚組LP WPJL-10162 4,620円税込)
<竹内まりや、山下達郎、能地祐子の解説付>

「アフター・イヤーズ」、「シングル・アゲイン」、「告白」、「マンハッタン・キス」、「家に帰ろう」、「幸せの探し方」と、シングル・ヒット曲満載のアルバムですが、今日はシングルじゃない曲を選んでみました。

アルバム・ラストに入っている「クワイエット・ライフ」です。

DVD/ブルーレイにもなった映画『souvenir the movie~竹内まりやライヴ』での、最初のまりやさんのナレーション後に流れてくるのが、この曲のイントロでしたね。

この曲の魅力はなんといっても、まりやさんのヴォーカルです。
特に、エンディング部分のファルセット、すてきです。
達郎さんも今回のブックレット解説で書いてらっしゃいます。

あと、個人的にうれしかったのは、「家に帰ろう」(マイ・スイート・ホーム)のカラオケ。
達郎さんと共にコーラスを唄う村田和人さんの声がよく聴こえます。森 勉


2022年8月31日(水) Neil Young 「Eldorado」

今日で8月も終わりですね。夏フェスは行かなかったし、夏らしいことをあまりしなかったなぁ、、、という感じですが、大好きなニール・ヤングは相変わらずのリリース・ラッシュで楽しませてくれました。

今日紹介するのは、本国アメリカでは初の単独公式発売となるこの1枚!

Neil Young『Eldorado』
(輸入CD Reprise/Warner 9362489380)

『エルドラド』は1989年発表で、当時は日本、オーストラリア、ニュージーランドのみの発売だった作品。
1988年発表作『This Note's For You』でバックを務めたチャド・クロムウェル(ds)、リック・ローサス(B)とのトリオ・バンドで、ニールの爆音ギターが堪能できる5曲入りミニ・アルバムです。

名盤『Freedom』のヴァージョンより轟音仕様で長い「Don't Cry」や、本作でしか聴けない「Heavy Love」もオススメですが、今日のこの1曲はお気に入りのナンバー「Eldorado」を。

ニールによる独特な間と叙情感溢れるギター・ソロがいいんですよね。
ゆったり、まったり、と進みながら、後半4分40秒頃、ディストーションが効いた爆音がいきなり出てくる(一気に音が大きくなるのでビックリしちゃいます)ところがまたニールらしい!

ちなみに、今回のCD化で音質はかなりクリアになった印象を受けました。
アナログ盤も今週金曜日9月2日に再発されます。森 陽馬




これより以前に掲載した“今日のこの1曲”は、
 “今日のこの1曲 アーカイヴス” コーナーにてご覧になれます。■



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