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  今日のこの1曲 “Archives”

<2024月1月>

当店ペット・サウンズ・レコード店にて
その日に店内でかけていた曲の中から、
店員の独断と偏見で選んだ“今日のこの1曲”コーナー

2024年1月に更新した“今日のこの1曲”コーナー


廃盤・生産中止、規格番号の変更など、
情報が古くなっている商品もございますが、ご了承くださいませ。

<最新の“今日のこの1曲”はこちらのページをご覧ください>


2024年1月1日(月) ブロッサム・ディアリー 「フィーリング・グッド・ビーイング・ミー」

新しい年を迎えました。
2024年もよろしくお願いいたします。

ペット・サウンズ・レコードのスタッフ3名が選んだ
2023年ベスト・アルバムのページはご覧になっていただけましたでしょうか?
私、
森勉が選んだ5枚の中からの1枚を紹介し、今日のこの1曲としたいと思います。

ブロッサム・ディアリーは、アメリカ/ニューヨーク出身のシンガーであり、ピアニストであり、ソングライターでもある女性ミュージシャン。一般的には、ジャズ歌手という範疇の人ですが、そこから飛び越えた活動を続けた人でした。
そんな彼女が1966~70年にイギリスのフォンタナ・レーベル時代に録音していた未発表音源集が出ました。

ブロッサム・ディアリー『フィーリン・グッド・ビーイング・ミー:ザ・ロスト&ファウンド・ロンドン・セッションズ』
(国内2枚組CD 全27曲 英文ライナーの日本訳付:CDブックレット32ページに及ぶ翻訳 UCCU-1671 3,520円税込)

海外では6枚組CD BOXセットで発売された彼女のフォンタナ・イヤーズですが、日本ではそのレアな部分を2枚組CDに切り取った形で発売されました。今まで聴けなかった部分だけ聴けるものです。

ピアノ・トリオ形式で録音されているものが多く、彼女のウィスパー・ヴォイスがより映えて聴こえます。
未発表音源といっても、未完成とか音質が不完全というものではなく、たまたま当時レコードにならなかった、ちゃんとした音源ばかりです。

バカラック、ジミー・ウェッブ、アントニオ・カルロス・ジョビン、ジョージ・ハリスンなどのカヴァーも魅力的ですが、今日は彼女のソングライターとしての才能も感じられる自作曲の「フィーリング・グッド・ビーイング・ミー」を。森 勉



2024年1月2日(火) ルラル 「夢みがちクローバー」

1月1日石川県能登半島地震の被害に遭われた方々、お見舞い申し上げます。

石川県といえば、ルラルのメンバー4人の出身地です。
メンバー及びご家族のご無事を祈るばかりです。

「幸せのクローバーはいつも私の胸の奥にあって」
(ルラル「夢みがちクローバー」歌詞より)

夢・幸せは自分の胸の奥にある、ということを教えてくれたこの歌を、今日は改めて繰り返し聴きました。

音楽を楽しめる日常に感謝したいですね。森 陽馬

★掲載ジャケットは、ルラル『ねぇ、ダーリン!!/夢みがちクローバー」
(7インチ+4曲入CD PET-001 1,980円税込)



2024年1月3日(水) ニーナ・シモン 「Feeling Good」

ヴィム・ヴェンダース監督、役所広司主演の映画『PERFECT DAYS』を109シネマズ二子玉川にて鑑賞。

太陽の光が射す木漏れ日のように、同じようで違う日々の生活が、かけがえのないものだと実感できました。

また、音楽は人の心を動かすものだ、ということも感じられて、うれしかったですね。

今日のこの1曲は、印象的な場面でかかるニーナ・シモン「Feeling Good」を。
「Feeling Good」の歌詞が、この映画そのものを表している、といっても過言ではないと思います。

トム・ウェイツ「Innocent When You Dream」を聴くと映画『スモーク』を想い出すのと同じように、ニーナ・シモン「Feeling Good」を聴くと平山(役所広司)の顔が浮かび『PERFECT DAYS』を回想することに今後なりそうです。

ちなみに、僕が下北沢へ行ったら必ず寄る、あのレコード屋さんが映画に出てきました。
レコード店/古本屋巡り、銭湯へも行きたくなりましたね。森 陽馬

★掲載ジャケットは、ニーナ・シモン「Feeling Good」収録の1965年発表アルバム『I Put A Spell On You』。
(国内CD 解説・歌詞付 UCCU-41024 1,980円税込)



2024年1月4日(木) 浅川マキ 「朝日のあたる家」

昨日話題に挙げた映画『PERFECT DAYS』は、ニーナ・シモン以外にも良い音楽が色々かかります。

アニマルズ、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド、ルー・リード、パティ・スミス、オーティス・レディング、ヴァン・モリソン、キンクス、金延幸子、etc...。
ヴィム・ヴェンダースらしい選曲、そして、その曲がかかるシチュエーションも興味深いものでしたね。

どのような場面で、何の曲がかかるか?
それはご覧になってのお楽しみですが、1曲ネタバレしてしまいましょう。

「朝日のあたる家」(原題:The House Of Rising Sun)が違うヴァージョンで2回使われていました。
特に、紅白にも毎年出ている女性歌手が「朝日のあたる家」の日本語ヴァージョンを歌う場面は良かったですね。

なお、「朝日のあたる家」の日本語詞は浅川マキが手掛けており、ちあきなおみの歌唱でもよく知られています。

今日のこの1曲は、浅川マキ自身が歌っている「朝日のあたる家」を。
浅川マキの2作目『MAKI Ⅱ』に、1971年6月15日新宿・花園神社でのライヴ音源が収録されています。森 陽馬


2024年1月5日(金) 星野源 「光の跡」

本来は収録されたものをオンエアする予定だったのが、ご本人の希望で急遽生放送へと変更になった1月2日深夜の<星野源のオールナイトニッポン>。
いつも通りのくだらないお便り(笑)を交えつつ、被災されたリスナーさん達の声をたくさん届け、真摯に言葉をかける彼の温かい人柄が伝わる放送でした。
寺尾聰さんとのほっこりするエピソードをメインに、昨年末の紅白歌合戦の裏話も色々聴けて楽しかったですね。

その紅白歌合戦で披露された「生命体」(TBS『世界陸上』アジア大会テーマ曲)を含む待望の最新シングルが、2023年12月27日にリリースされました。

星野源『光の跡/生命体』
(国内CD 初回ブルーレイ付 VIZL-2282 4,950円税込 / 初回DVD付・通常盤もあり)

CDリリースは2021年6月発売のシングル「不思議/創造」以来、約2年半ぶり!
現在公開中の『劇場版 SPY×FAMILY CODE:White』主題歌「光の跡」、躍動感溢れる前述の「生命体」、オードリーのオールナイトニッポンin東京ドーム主題歌「おともだち」、UCC COFFEE CREATIONテーマ曲であるインスト「Beyond the Sequenece」の全4曲入りです。

1曲目「光の跡」は、昨年金沢をひとり旅で訪れた際、街並みや景色に大きな刺激を受け作られたのだそうです。
温かさと切なさが去来する穏やかなメロディーと歌声。聴いていると美しい情景が目に浮かんできます。

初回盤付属のブルーレイ/DVDには、オーディオ・コメンタリーも楽しめるライヴ映像やドキュメンタリーなど127分の特典映像が収録されています。東尾沙紀


2024年1月6日(土) 障子久美 「TRUTH」

シティ・ポップの人気盤は、1970~80年代に出た作品が多いのですが、90年代の作品も近年再評価されています。

最近再CD化された90年代のアルバムの中で、僕が気に入ってよく聴いているのがこの1枚♪

障子久美『MOTION & MOMENT』
(国内CD 生産限定盤 解説付 VICL-77044 2,420円税込)

松任谷正隆主宰の音楽学校マイカ・ミュージック出身で、彼のプロデュースにより1990年ビクターからデビューした女性シンガー・ソングライター、障子久美。
本作『MOTION & MOMENT』は、彼女が1990年11月21日に発表した2ndアルバムです。

今日のこの1曲は、青い空の下で聴きたい、心弾むようなグルーヴィー・ポップ・チューン①「TRUTH」。
ハワイ発の名フュージョン・バンド、シーウインドのトランペット&フリューゲルホルン奏者で、マイケル・ジャクソン『スリラー』のホーン・アレンジも手掛けていたジェリー・ヘイによる編曲がとても華やかでいいですね♪

ちなみに、今回再発されたCDの帯はピンク色ですが、帯を裏返してみると・・・。
お買い上げされた方は是非ご覧になってみてください。森 陽馬


2024年1月7日(日) 竹内まりや 「Brighten Up Your Day!」

竹内まりやの新曲「君の居場所」が2023年12月に発売されました(2023年12月20日今日のこの1曲で紹介)が、そのカップリング曲もすてきな曲です。

「ブライトゥン・アップ・ユア・デイ!」

テレビ朝日『大下容子ワイド!スクランブル』の2023年4月からメインテーマとして使われている曲です。
テレビではちょっとしか聴こえないので、よくわからなかったのですが、CDで聴くとかなりイイ曲だということがわかりました。1曲目の「君の居場所」と同じくらいインパクトのある楽曲だと思います。
曲調としては「毎日がスペシャル」と何かの曲(特定できず、スミマセン)が合わさったように感じました。

まりやさんの優しく包み込んでくれるヴォーカルと、山下達郎の曲を最大限に活かす絶妙なアレンジのツープラトン攻撃(プロレス用語でスミマセン)を受けたような、心地良い振動が伝わってきます。森 勉

★竹内まりや「君の居場所」 c/w「Brighten Up Your Day!」
(国内CD その他2曲プラス全4曲のカラオケを収録 WPCL-13527 1,650円税込)


2024年1月8日(月) NONA REEVES 「Bluebird」

2023年に読んだ本で印象に残っているのは、西寺郷太さんが書いた小説『90'sナインティーズ』です。

この本は、後にNONA REEVESを結成する西寺郷太さんが青春時代を回想した自伝的小説。
下北沢のライヴハウスへ通い、音楽を通じて様々な人と繋がった1990年代の情景が綴られています。

僕も彼と同じ世代で、1996年頃に下北沢のディスクユニオンでアルバイトをしていました。
小説内には、当時のヒット曲やサブカルネタ、下北沢の店名(みん亭、ハンバーグ店のマック等)、高円寺の名店や高田馬場ジェリージェフなど、懐かしい名前が色々出てきて、楽しく読むことができましたね。

ビーチ・ボーイズに関する会話も物語に何度か出てきました。
90年代に20歳を迎え、その時代の音楽や文化を通過している方は是非チェックしてみてください。

今日のこの1曲は、西寺郷太さんの青春時代に深く関わった人物として小説に何度も登場する“ワクイさん”(湧井正則)が制作に参加し、ベースも弾いているNONA REEVES「Bluebird」を。
この「Bluebird」は、ギルバート・オサリバン、トッド・ラングレンに影響を受けた楽曲だそうです。森 陽馬

★掲載ジャケットは、「Bluebird」が収録されているNONA REEVESの1999年発表アルバム『Friday Night』。
(国内CD VSCD-1740 2,619円税込)


2024年1月9日(火) アル・クーパー 「Jolie」

1990年代は洋楽が元気な時代でした。
当時のヒット曲だけでなく、60~80年代の名盤が世界初CD化されたり、フリー・ソウルのムーヴメントがあって、リバイバル・ヒットや日本ならではの人気曲もたくさん生まれましたね。

アル・クーパー「ジョリー」も、90年代に日本でより広く知られることになった名曲です。

その「ジョリー」が収録されたアル・クーパー1972年発表アルバム『Naked Song』(邦題:赤心の歌)が、国内盤帯付きアナログ・レコードで2023年12月6日に再発売されました。

アル・クーパー『赤心の歌』
(国内LP 完全限定盤 渡辺亨氏による当時の解説文・歌詞・対訳付 SIJP-1093 4,180円税込)

アル・クーパーは、Blues Project、Blood Sweat & Tearsに在籍し、スティーヴン・スティルス&マイク・ブルームフィールドとの『フィルモアの奇蹟』や、ボブ・ディラン「Like A Rolling Stone」で印象的なオルガンを弾いていることで知られているミュージシャン。更に、ゲイリー・ルイス&ザ・プレイボーイズのヒット曲「恋のダイアモンド・リング」を書いた名ソングライターでもあります。

「ジョリー」は、彼が当時恋をしていたクインシー・ジョーンズの娘(ジョリー・ジョーンズ)のことを歌っており、彼らしいメロディアスなソングライティングが情熱的に活かされた名曲。
『赤心の歌』が日本で1992年に世界初CD化→橋本徹さん選曲コンピ『フリー・ソウル カラーズ』(1994年)に収録→コーザ・ノストラが同年カヴァーしヒット、という流れがあって「ジョリー」は多くの人に聴かれることになりました。

『赤心の歌』世界初CD化から約30年。
今度はアナログ・レコードで再発されるとは、不思議なものですね。森 陽馬


2024年1月10日(水) Nate Williams 「I Can't Dance」feat.Steve Winwood

ジャミロクワイのバンドや、スティーヴ・ウィンウッドのサポート等でも活躍するUKのシンガーソングライター/マルチ奏者/プロデューサー、ネイト・ウィリアムズ。

彼が敬愛するスティーヴィー・ワンダーの影響を滲ませるグルーヴィー&メロウな楽曲、洗練された歌と演奏を聴かせる2023年発表作が、日本デビュー盤としてCDリリースされました。

ネイト・ウィリアムズ『チャプターズ』
(国内CD 解説付 PCD-26106 2,860円税込)

2023年3月10日の今日のこの1曲で紹介したホーン・ハウスのアルバムに、ヴォーカル/楽曲提供などで客演。
今作ではホーン・ハウスの2人が全面的に参加! オープニングからキレのある管の演奏で本作を盛り上げます。

カナダのギタリスト、アリエル・ポーゼンをフィーチャーした曲、同郷ウェールズの女性シンガーMaredとのスウィートなデュエット、LAの女性シンガー、ラケル・ロドリゲスとの掛け合い...実力派ゲスト陣とのコラボにも注目で、中にはスティーヴ・ウィンウッドの名も♪
体が自然と動き出す「I Can't Dance」にハモンド・オルガンで参加! かっこいいソロも聴きものです。

ブックレットには、ウィンウッドとのバンドに参加することとなった経緯をはじめ、ご本人による各楽曲のコメントも掲載されています。東尾沙紀


2024年1月11日(木) ネッド・ドヒニー 「I Know Sorrow」

レコード・コレクターズ誌2024年2月号『この曲のピアノを聴け!ロック/ポップス特集』が本日入荷しました。
(ミュージック・マガジン社 930円)

新年号恒例の記事『リイシュー・アルバム・ベスト』、『私の収穫2023』も掲載されています。
連載『矢野誠の点と線』は、“大滝詠一との点と線”と題されていて興味深い話でした。

さて、今日のこの1曲はレコ・コレの特集に合わせて、ピアノが入ったロック/ポップスの好きな曲を選びました。
ネッド・ドヒニーが1973年に発表した1stアルバムに収録されている「I Know Sorrow」です。

ネッド・ドヒニー『ネッド・ドヒニー ファースト』
(国内CD 解説・歌詞・対訳付 WPCR-18022 2,750円税込)

ネッド・ドヒニーは『ハード・キャンディ』(1976)が有名ですが、青春の輝きが弾けるような本作に僕は惹かれます。

特に2曲目「I Know Sorrow」。
後半3分30秒を過ぎてからの流麗なピアノは、何時聴いても切なさで胸が締め付けられますね。
なお、この曲でピアノを弾いているのは、Jimmy Calireというミュージシャンです。森 陽馬


2024年1月12日(金) アート・ガーファンクル 「Lena」

ジェイムス・テイラーの4月6日(土)来日公演は、バック・メンバーも注目です。

スティーヴ・ガッド(ドラムス)、ジミー・ジョンソン(ベース)、そしてディーン・パークス(ギター)!

特に、ディーン・パークスのギターを生で聴けることが楽しみですね。
Dean Parksは、1970年代前半から様々なアーティストのバックで名演を聴かせてくれた職人ギタリスト。
ジェイムスと共に、どんな味わい深いプレイを披露してくれるのか興味深いです。

そのディーン・パークスがギターを弾いている曲を今日は取り上げましょう。

サイモン&ガーファンクルのアート・ガーファンクルが2012年に発表した自選34曲入り2CDベスト『The Singer』。
そこに収録されている2012年録音の新曲「Lena」で、ディーン・パークスが印象的なギターを弾いています。

アート・ガーファンクル『シンガー』
(国内2枚組CD 解説・歌詞・対訳付 4,180円税込)

「Lena」は男性シンガー・ソングライターのランディ・シャープ作で、娘マイア・シャープがプロデュースを担当。
曲後半のディーン・パークスによる泣き叫ぶようなエレキ・ギター・ソロは、歌中の“レナ”の心情を表しているようで、心に刺さります。森 陽馬


2024年1月13日(土) Jimmy Beaumont And The Skyliners 「Our Day Is Here」

サブスクの時代ですが、ジャケットが良いとその作品を所有したくなりますよね。
例えば、大滝詠一『A LONG VACATION』等のジャケット・イラストで知られる永井博さんが手掛けたCDやレコードは、ジャンル問わずついつい手に取ってしまいます。

その永井博さんがソウルの名レーベル、T.K.Recordsからお気に入りのシングル曲を選曲し、更にジャケット・イラストも手掛けたコンピレーション盤が、全23曲入りCDと2種のアナログLPで発売されました。

.『For Lovers Only/Party Freaks - 45s Collection From T.K.(Compiled By Hiroshi"Penguin Joe"Nagai)』
(国内CD 期間限定価格盤 解説付 UVSL-2103 1,980円税込)
(国内LP 『For Lovers Only』 OTS-329 4,378円/『Party Freaks』 OTS-330 4,378円)

マイアミを拠点にしていたT.K.Recordsの華やかなファンキー&メロウ・サウンドが、心地良く体を揺らす1枚。
注目は、全23曲中、クラレンス・リード作「Our Day Is Here」が2ヴァージョン収録されていることですね。

1974年に発表したJ.P.Robinson(22曲目)がオリジナルですが、イントロからエレキ・ギターが印象的に響くJimmy Beaumont And The Skylinersによる1976年発表カヴァー・ヴァージョン(5曲目)を今日のこの1曲に。
歌&アレンジはどちらも良いので、是非聴き比べてみてください。森 陽馬


2024年1月14日(日) スティーヴ・ローレンス&イーディ・ゴーメ 「愛のハーモニー」

スティーヴ・ローレンスとイーディ・ゴーメは1950年代から1960年代に活躍したアメリカのシンガーです。
おしどり夫婦(現在あまり使われなくなった言葉ですね)と呼ばれ、各々のソロとしても夫婦デュオとしてもヒットを放った50's/60'sのポップス・ファンとしては忘れられない人たちです。

このCDは様々なレコード会社から発表した楽曲を自分たちが買い取りレーベルを作って、そこから発売したものです。

Steve Lawrence & Eydie Gorme 『The Greatest Hits Vol.1』
(輸入CD GL Music GL320)

全15曲収録。スティーヴのソロ曲、イーディのソロ曲、そして、スティーヴ&イーディのデュエット曲が各5曲ずつと、バランス良く入っています。
音源はコロンビア、ユナイテッド・アーティスト、RCAなどレーベルを越えて収録されており、この二人の多彩な楽曲が楽しめるCDです。

スティーヴの「ゴー・アウェイ・リトル・ガール」、イーディの「恋はボサ・ノヴァ」など1960年代のヒット曲だけでなく、バカラック作の「愛のハーモニー」(1980年代に録音されたもの)も聴けるのがうれしい。森 勉


2024年1月15日(月) Tamas Wells 「To My Love」

1/14(日)放送されたラジオ『サンデー・ソングブック』新春放談。
山下達郎さんと宮治淳一さんの超マニアックな選曲&トーク、面白かったですね。

知らない曲&レーベルの連発!
オーストラリアには未知のイイ音楽がまだまだたくさんありそうです。

さて、オーストラリアの現行アーティストの新作を今日は紹介しましょう。
メルボルン在住オーストラリア人男性シンガー・ソングライター、タマス・ウェルズ。
2017年作『The Plantation』以来となる約6年ぶりのアルバム『To Drink Up The Sea』を2023年末に発表しました。

タマス・ウェルズ『To Drink Up The Sea』
(国内仕様CD 解説・歌詞・対訳付 LIIP-1555 2,640円税込)

“ニック・ドレイク meets シガー・ロス”という表現もされていますが、自らの声の重ね方やアコースティック・ギター&ピアノのダウナーな雰囲気は、エリオット・スミスorスフィアン・スティーヴンス的な空気を僕は感じました。
実際に、前作から6年の間に父親を亡くしたそうで、死生観が反映されたのかもしれません。

ソフト・ロックなメロディの①「It Shakes The Living Daylights From You」や、ネオアコ・ポップな③「Every Other Day」もオススメですが、今日のこの1曲は、夜遅くに1人でじっくり聴きたい⑩「To My Love」を。森 陽馬


2024年1月16日(火) The Pen Friend Club 「Darlin'」

平川雄一を中心としたバンド、The Pen Friend Clubの新アイテムが本日入荷しました。

新しい女性シンガーNiinaを迎えての新体制でレコーディングされたビーチ・ボーイズ「Darlin'」と、山下達郎「土曜日の恋人」のカヴァーをカップリングした限定7インチ・レコードです。

The Pen Friend Club『Darlin'/土曜日の恋人』
(7inchアナログ・レコード JS7S391 2,090円税込)

The Pen Friend Clubは、「Darlin'」を2014年発表1stアルバム『Sound Of The Pen Friend Club』で、「土曜日の恋人」を2016年発表3rdアルバム『Season Of The Pen Friend Club』ですでにカヴァーしていました。

今回はどちらも再レコーディング。基本的なアレンジはほぼ同じながら、「Darlin'」は「I Keep Thinkin' bout My Darlin'」の歌詞を曲後半に付け足して歌っているこだわりのヴァージョンで再録音しています。

そういえば、2023年12月11日に亡くなったジェフリー・フォスケットの2015年来日公演で、The Pen Friend Clubと共演したことがありました。あれからもう8年以上が経つのですね。森 陽馬


2024年1月17日(水) CHO CO PA CO CHO CO QUIN QUIN 「15 Eunomia」

CHO CO PA CO CHO CO QUIN QUIN。
チョコパコチョコキンキン、これがバンド名です。

・細野悠太(細野晴臣の孫、ベース)
・Daido(作曲/映像)
・So(サウンドエンジニア/DJ)
メンバー3人を中心とした本バンドの1stアルバムが発売されました。

CHO CO PA CO CHO CO QUIN QUIN『tradition』
(国内CD CCPQ-2 2,500円税込/国内LP CCPQ-1 4,400円税込)

ここではない何処か。今ではない何時か。
そんな不思議な力を持った音像が、ジャンルを越えて響いてくる音楽です。

今日のこの1曲は、グルーヴィーな4曲目「15 Eunomia」。
現代の空気を震わす、新しい息吹を感じて、久々に心がワクワクしました。

ちなみに、CDのレーベル面にはかわいいイラストが描かれています。森 陽馬


2024年1月18日(木) Eilen Jewell 「Breakaway」

アーマ・トーマスが歌う「ブレイカウェイ」が発表されて2024年で60年になるそうです。

作者であるジャッキー・デシャノン自身が歌ったものをはじめ、様々なアーティストがカヴァーしていますが、やはりトレイシー・ウルマンのバージョンが一番有名でしょうか。
最近ではアメリカの女性シンガーソングライター、イーリン・ジュエルが4年ぶりにリリースした2023年最新作でこの曲を取り上げています。

イーリン・ジュエル『ゲット・ビハインド・ザ・ホイール』
(輸入国内仕様CD 解説付 BSMF-6237 2,750円税込)

元夫でドラマーのJason Beek、ギターJerry Miller(モビー・グレープ)、アップライト・ベースMatt Murphy、ペダル・スティールFats Caplin、今作のプロデュースも手掛けるWill Kimbroughらが集った9枚目も、ルーツ・ロックに根差したブルージーで深みのある作品。

「ブレイカウェイ」原曲の弾むようなアレンジも好きですが、テンポを落とし、レイドバックした味わいある彼女のバージョンもとても良い雰囲気です。(終盤のギターアレンジが印象的です。)
この曲の他、ヴァン・モリソン作/ゼムの「Could You Would You」のかっこいいカヴァーも。Steve Fultonのオルガンが効いています。東尾沙紀


2024年1月19日(金) John Scofield 「Old Man」(ニール・ヤングカヴァー)

音楽ライターの天辰保文さんが運営しているWEBサイトに、<私の、僕のbest3 2023年>が公開されました。

天辰保文さんとサイト読者の方々によるベスト3が紹介された毎年恒例の企画ページです。
「こんなアルバムも出ていたんだ」と新しい発見があったり、「様々な想いを抱えながら、みんな音楽を聴いているのだな」と感じて、興味深く拝見しました。

そのページの一番下、天辰保文さんが2023年ベスト3にこのアルバムを挙げています。

ジョン・スコフィールド『Uncle John's Band』
(国内2枚組CD UCCE-1201 日本語解説・本人よる曲解説翻訳付 3,960円税込)

ジャズ・ギタリストのジョン・スコフィールドが、2023年10月に発表したECMレーベルからの3作目。
ヴィンセンテ・アーチャー(ベース)、ビル・スチュワート(ドラムス)とのトリオ編成で2022年8月に録音。
タイトルはグレイトフル・デッドの曲名「Uncle John's Band」(1970年発表作『Workingman's Dead』収録曲)から取られており、本作のディスク2最後にそのカヴァーも収録されています。

今日のこの1曲は、ニール・ヤングのカヴァー「Old Man」を。

<昔から好きだったニール・ヤングのヒット曲は、今でこそ、より共感できる。彼のオリジナルの6小節のイントロ・パターンを引き伸ばし、ソロを乗せている。>(ジョン・スコフィールドの曲解説より)

ジョン・スコらしい、自由奔放のようでクールかつ理知的なギタープレイに“JAZZ”を感じますね。森 陽馬


2024年1月20日(土) マンハッタン・トランスファー 「バードランド」

1970年代~1980年代のアメリカのヒット・チャートは、実にさまざまな音楽ジャンルの面白さがギュッと詰まったものでした。(それ以前の1960年代もそうでしたが・・・)

例えば、マンハッタン・トランスファーのLPがアルバム・チャートで話題になったり、シングルが全米チャートでヒットしたりした時期がありました。
コーラス好きやドゥワップ・ファンは大拍手でしたね。

ということで、今日はマンハッタン・トランスファーの名作アルバムを。

マンハッタン・トランスファー『エクステンションズ』
(国内CD 解説・歌詞付 UCCO-5631 1,650円税込)

長らく生産中止になっていた1979年発表の名作が、2023年11月に再発されました。

デヴィッド・フォスター、マイケル・オマーティアン、ジェフ・ポーカロ、そしてプロデューサーとしてもクレジットされているジェイ・グレイドンが奏でる見事な演奏に乗って、ティム・ハウザー、ジャニス・シーゲル、アラン・ポール、シェリル・ベンティーンのヴォーカル・ハーモニーが自由奔放に泳いでいます。

今日の1曲は、トップに収録されている「バードランド」を。
ウェザー・リポート1977年の名曲が、スリリングなヴォーカル曲に仕上がっています。森 勉


2024年1月21日(日) ルラル 「ねぇ、ダーリン!!」

ルラル「ねぇ、ダーリン!!」が、アメリカのネット・ラジオでかかりました!

David Poonakさんのラジオ番組『The Nice Age』、2023年1月19日の放送で19分後くらいにON AIR!
(上記サイトのPODCASTSから、番組『The Nice Age』を聴くことができます。)

アメリカン・ポップスの夢を追い続けたルラルの音源が、ラジオを通じてアメリカ人の耳に...。
曲紹介でPET SOUNDS RECORDの言葉も出てきましたね。うれしいなぁ。
Davidさんがルラルのレコードを手にする橋渡しをしてくれたCHIKAさん、ありがとうございました!

ルラル『ねぇ、ダーリン!!/夢みがちクローバー』
(国内7インチ・アナログ+4曲入CD PET-001 1,980円税込)

ちなみに、そのラジオでルラルの次にかかったレモン・ツイッグスの新曲「My Golden Years」が、ビーチ・ボーイズっぽくて、これまた最高でしたね。
2023年ベストに選出した『Everything Harmony』は素晴らしいアルバムでしたが、次作も楽しみになりました。森 陽馬


2024年1月22日(月) Paul Weller 「Glad Times (Soul Steppers)」(Remixed Boogie Back)

ポール・ウェラーの6年ぶりの来日がいよいよ今週末に迫り、気持ちが早くもソワソワしてまいりました。
初日1月26日大阪~2月4日東京の5都市全6公演をまわるツアーで、うち4公演はソールド・アウト!

待望の来日を祝してこんなCDが先週発売されました。

ポール・ウェラー『ファット・ポップ・エクストラ』
(国内CD 歌詞・対訳付 UICY-16208 2,750円税込)

今作は、2021年発表のソロ16作目『ファット・ポップ』海外盤デラックス・エディション(CD3枚組)のディスク3に収録されていた本編未収録のボーナス6曲と、ペット・ショップ・ボーイズ、ストーン・ファンデーション他による配信限定リミックス・バージョン8曲(初CD化)で構成された日本独自企画盤です。

海外盤をすでにお持ちだという方も歌詞対訳が本作に付いていますし、配信曲がこうやってカタチになりまとめて聴けるのもありがたいですね。

本日は『ファット・ポップ』楽曲のリミックスの中から激推し曲!
Boogie Backリミックスによる「Glad Times (Soul Steppers)」を今日の1曲に。

ガリアーノをはじめ様々なセッションで活躍してきた黒人ベーシスト/Boogie Back Records主宰Earnie McKoneが、ソウル~AORテイストに仕上げた素晴らしいバージョン♪ 原曲の良さを一層引き出してくれたアレンジに大拍手です。
ウェラー・ファンじゃない方にも是非聴いていただきたい1曲です。東尾沙紀


2024年1月23日(火) 秘密のミーニーズ 「午前0時2分」

1970年代米国ウエスト・コースト・サウンドへの音楽愛を、日本で表現している現在進行形ロック・バンド、<秘密のミーニーズ>の2024年発表新作アルバムが本日入荷しました。

秘密のミーニーズ『Our new town』
(国内CD HYCA-8066 2,750円税込)

2021年発表作『down in the valley』(
2021年6月22日今日のこの1曲紹介)で、女性シンガーの菅野みち子が活動休止しましたが、オリジナル・メンバーだった淡路遼が再加入し、女性シンガーmayugenがサポートで参加。
渡辺たもつを中心に“令和のはちみつぱい”と評される、より結束したバンド・サウンドを響かす1枚になりました。

今日のこの1曲は、2曲目「午前0時2分」を。
♪今夜風が止んだなら 月明かりを纏って 好きな曲かけて出かけましょう♪(「午前0時2分」歌詞より)

月夜の0時頃、静かになった街を抜け、どこかへ彷徨いたくなるナンバー。
後半のコーラスからアウトロの演奏が、黄昏れた余韻を残しますね。

なお、当店にてお買い上げの方には、特典CDRを先着でプレゼント!
PET SOUNDS RECORDオリジナル特典CDRには以下が収録されています。
1.「午前0時2分」ライヴ音源 Recorded At 下北沢440(2023年11月11日)
2.「さすらい人」(レコーディング未発表テイク)

更に、毛塚了一郎氏が手掛けたジャケット・イラストの四角マグネットも差し上げてます。森 陽馬


2024年1月24日(水) 高橋ユキヒロ 「Elastic Dummy」

高橋幸宏のライヴ映像作品『YUKIHIRO TAKAHASHI LIVE 2018 SARAVAH SARAVAH!』を、109シネマズ・プレミアム新宿にて鑑賞。

高橋幸宏さんが1978年に発表した1stソロ・アルバム『サラヴァ!』。
2018年にはヴォーカルのみを新録音した『SARAVAH SARAVAH!』を発売し、同年11月24日東京国際フォーラムCにて、全曲再現するコンサートを一夜限りで行いました。

今回は、その映像をより高音質に調整し、高橋幸宏さんが居を構えていた軽井沢での日々を捉えた映像も追加。坂本龍一が音響監修を手掛けた映画館<109シネマズ・プレミアム新宿>にて期間限定上映しています。

2018年コンサートのメンバーは、佐橋佳幸、Dr.kyon、林立夫、矢口博康、有賀啓雄、斎藤有太、ゴンドウトモヒコ、藤井珠緒、重住ひろこ、岡村玄、ツヤトモヒコ。更に、細野晴臣さんもゲスト参加。
卓越した演奏&歌がくっきりと立体的に伝わる音響が凄かったですね。
実際のライヴとはまた違った、素晴らしい映画音響体験ができて良かったです。

今日のこの1曲は、最高にグルーヴィーなナンバー「Elastic Dummy」を。
この曲での、高橋幸宏と林立夫によるダブル・ドラムが最高にかっこよかったなぁ。

なお、109シネマズ・プレミアム新宿は、一般料金4,500円(S席は6,000円)で完全キャッシュレス決済。
高めな値段設定ですが音響最高! ドリンク&ポップコーンは無料。座席は広くてとても快適でした。
映画&音楽に没頭したい作品があれば、またここで観てみたいな、と感じましたね。森 陽馬

★掲載ジャケットは、高橋ユキヒロ『SARAVAH!』
(国内CD KICS-3743 2,530円税込)


2024年1月25日(木) 休みの国 「第五氷河期」

2023年6月21日から、URCレコードの音源がソニー・ミュージックより発売になっています。
11月に発売されたボーナス・トラック入りのはっぴいえんどのCDはここでも紹介しましたが、その他の僕の好きな盤を遅ればせながらいくつか紹介しておきたいと思います。

今日はまず<休みの国>から。

休みの国『休みの国』
(国内CD MHCL-30896 2,000円税込)

休みの国は高橋照幸のひとりユニット。
URCレコードが<アングラ・レコード・クラブ>という会員制でレコードを配布していた1969年6月に、『岡林信康リサイタル』とのカップリングで発売されたのが最初でした。
その時は片面だけなので、現CDの中の7曲だけの収録でしたが、1972年7月に単独でLP化されたのがこのCDです。

高橋照幸の素朴な歌声と彼の作るメッセージ性の強い歌詞が、妙なバランスで耳に入ってきて、いかにも1970年代初頭のURCレコードならではの味をかみしめたくなります。
バックには、当時のジャックスのメンバー、早川義夫、谷野ひとし、木田高介、角田ひろが参加しています。

今日の1曲は、1曲目の「第五氷河期」を。
六角精児『人は人を救えない』でカヴァーされた「追放の歌」のオリジナル・ヴァージョンも入っています。森 勉


2024年1月26日(金) ピエール・バルー 「Samba Saravah」

ウッディ・アレン監督映画『サン・セバスチャンへ、ようこそ』(原題:Rifkin's festival)を新宿ピカデリーにて鑑賞。

スペインのサン・セバスチャン映画祭を舞台にした、ウッディ・アレン監督らしさ全開のロマンス・コメディ映画。
『男と女』、『勝手にしやがれ』、『突然炎のごとく』等、ヨーロッパ映画の古い名作をオマージュした場面が所々に出てきて、監督の映画愛(&社会的テーマの作品に対する皮肉も?)を感じ、とても楽しめました。

なお、本作後の2023年、アレン監督はフランスで全編撮影した新作映画『Coup De Chance』を製作しています。
日本でもいつか上映されるといいですね。

今日のこの1曲は、フランシス・レイが音楽を手掛けた映画『男と女』のサントラ盤から。
(国内CD 「Samba Saravah」収録 COCB-54193 2,037円税込)

なお、1月24日の今日のこの1曲で紹介した高橋幸宏「Saravah!」のタイトルは、幸宏さんが中学生時代に18回も映画館へ通った大好きな映画『男と女』の中で、ピエール・バルーが唄う曲「Samba Saravah」から取られています。森 陽馬


2024年1月27日(土) Marlena Shaw 「California Soul」

2024年1月19日に81歳で逝去した女性シンガー、マリーナ・ショウの楽曲を今週はよく聴きました。

彼女のアルバムでこの1枚、といったら、Blue Noteレーベルから1975年に発表した名盤『Who Is This Bitch, Anyway?』になると思いますが、Cadetレーベルからの1969年発表作『The Spice Of Life』もオススメです。

マリーナ・ショウ『The Spice Of Life』
(国内CD 解説・歌詞付 UCCU-6386 1,650円税込)

1969年はマーティン・ルーサー・キング牧師が暗殺され、公民権運動が過熱していた時期。
マリーナ・ショウ自身が書いた「Woman Of The Ghetto」やビリー・テイラー作「I Wish I Knew (How It Would Feel To Be Free)」等、社会的な内容の歌があるものの、リチャード・エヴァンス&チャールズ・ステップニーが手掛けた編曲はソウルフルかつポップで聴きやすいアレンジになっています。

特に、アシュフォード&シンプソン作の「California Soul」がいいですね。
オリジナルはThe Messengers(1967)で、フィフス・ディメンションやマーヴィン・ゲイ&タミー・テレルも歌っていますが、マリーナ・ショウのヴァージョンはビッグバンドのアレンジが素晴らしくて、何時聴いても心が高揚します。森 陽馬


2024年1月28日(日) Bobby Purify 「My Life To Live Forever」

2023年9月末に4年ぶりの来日公演を行ったダン・ペン&スプーナー・オールダム。
ホーム・コンサートのようなゆる~い雰囲気がいい感じで、80歳を超える2人が揃ってまた元気に来日してくれたことが嬉しかったです。
変わらずいぶし銀な歌声を聴かせてくれたダン・ペン関連のこんなアイテムが先日発売になりました。

Dan Penn『The Inside Track On Bobby Purify』
(国内CD LMCD231)

今作は、昨年LPで発売されたダン・ペン未発表デモ集『Unheard Demos』(
2023年5月24日の今日のこの1曲でご紹介しました)収録の10曲と、更にそのデモを基としたボビー・ピュリファイの2005年作『Better To Have It』がまるまる追加された全20曲入りのCDです。

ダン・ペンが作曲/プロデュースを手掛け、レジー・ヤング、スプーナー・オールダム、デヴィッド・フッド、ジミー・ジョンソンなど名プレイヤーが集結しナッシュヴィルで録音された『Better To Have It』は嬉しい再発!
ごくごくシンプルなダン・ペンのデモ、味わい深く艶のあるボビー・ピュリファイによる完成版の両方を楽しめる1枚となっています。

ダン・ペン2022年のインタビューや楽曲に関するコメント、当時の写真などを掲載した16ページのブックレットも付いています。最近知ったのですが、このボビーさんは二代目だそうで、本名ベン・ムーア名義でも作品を残し、2022年8月にお亡くなりになっています。東尾沙紀


2024年1月29日(月) マーゴ&マーヴェッツ 「ホエン・ラヴ・スリップス・アウェイ」

ACEレーベルのソングライター・シリーズが近年あまり出なくなっているのが、ちょっと淋しい感じです。

今年は色々出して欲しいですね。
希望としては・・・、
レス・リード、ピート・アンダース&ヴィニ・ポンシア、デニス・ランバート&ブライアン・ポッター、トニ・ワイン、ケニー・ギャンブル&レオン・ハフ、そして、2024年の新春放談で少し話題になったリック・ヘンあたりを出して欲しいな。それから、トム・ベル、ジミー・ウェッブ、テディ・ランダッツォ、ローラ・ニーロ、トニー・ハッチの続編にも期待したいです。

さて、少し前に出たものですが、極上の内容のジェリー・ロス作品集を今日は聴きたいと思います。

『Some Kinda Magic ~ The Songs Of Jerry Ross』
(輸入CD ACE Records CDTOP1475 20ページ英文ブックレット付)

ジェリー・ロスならではのソウル&ポップ・テイストがほどよくブレンドされた全24曲。名曲揃いです。
この中からどの曲を今日の1曲にするか。
ダスティ・スプリングフィールド「ミスター・ドリーム・マーチャント」にしようか、ジミー・ジェイムス&ヴァガボンズ「ヘルプ・ユアセルフ」にしようか迷いましたが、今日は北アイルランドのグループ、マーゴ&マーヴェッツが1967年にパイ・レーベルから出した「ホエン・ラヴ・スリップス・アウェイ」を。

ダスティ・スプリングフィールド似のリード・ヴォーカルの力強さと、メリハリのきいたドラム・ビートがなんともいい感じです。森 勉


2024年1月30日(火) 角銅真実 「Carta de Obon」

2024年、あっという間に1ヶ月が過ぎてしまいましたね。
年始は新たな気持ちで、と一念発起していたものの、モヤモヤした感じで1月が終わろうとしています。

そんな心の曇りを、ゆらゆらと漂いながら解き放つようなアルバムが出ました。

角銅真実『Contact』
(国内CD UCCJ-2233 3,300円税込)

角銅真美は長崎出身で東京藝術大学卒の女性シンガー・ソングライター/打楽器奏者。
ceroのサポートや原田郁子とのくくく等でも活動している彼女の約4年ぶりとなるソロ・アルバムです。

バック・バンドは古川麦、秋田ゴールドマン、光永渉、巌裕美子。更に石若駿、Sam Amidon他も参加。
メキシコのヘラルド・バスガスが描き下ろしたジャケットのように、水に潜っている音表現が作中にありますが、通して聴くと、白昼夢に空の彼方へ昇華していくような気持ちにさせられる1枚です。

今日のこの1曲は、10曲目「Carta de Obon」を。
あの世へ旅立った人と“Contact”をとろうとする想いが伝わってきます。森 陽馬


2024年1月31日(水) ベベウ・ジルベルト 「E PRECISO PERDOAR」(許してあげよう)

「思い出っていうのは過去のことですよね。でも、それが未来で待っている。」

これは、現在劇場公開されている
角野栄子さんのドキュメンタリー映画『カラフルな魔女 角野栄子の物語が生まれる暮らし』で、角野栄子さんが語った言葉です。

『魔女の宅急便』の原作者で、童話の名作を多数手掛けている角野栄子さん。
2024年1月で89歳を迎えた彼女の話には含蓄があって、たくさんの気付きがありました。

映像も彼女の日常を追ったドキュメンタリーながら、とあるブラジル人と62年の時を経て再会する場面は、壮大な美しい物語を観ているようで感動しましたね。

今日紹介する曲は、映画とは直接関係ありませんが、ブラジル繋がりで選びました。

ベベウ・ジルベルト『ジョアン』
(国内仕様CD PIASR5165CDJ 2,860円税込)

ベベウ・ジルベルトが2019年に亡くなった父ジョアン・ジルベルトの歌をカヴァーした2023年発表アルバム。
Thomas Bartlettがプロデュースを手掛けたシンプルなボサノヴァ作ながら、味わい深い1枚です。
今日のこの1曲は、「許してあげよう」という意を持つ3曲目「E Preciso Perdoar」を。

ちなみに、角野栄子さんの娘リオ(名前の由来はブラジル!)は、母の作品を一度も読んだことがないそうです。
ベベウも父の曲を歌うことが少なかったのですが、リオさんも向き合う時がいつかくるかもしれませんね。森 陽馬



これより以前に掲載した“今日のこの1曲”は、
 “今日のこの1曲 アーカイヴス” コーナーにてご覧になれます。■



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