PET SOUNDS RECORD
今日のこの1曲 アーカイヴス


  今日のこの1曲 “Achives”

<2010月8月>

当店ペット・サウンズ・レコード店にて、
その日に店内でかけていた曲の中から、
店員の独断と偏見で選んだ“今日のこの1曲”コーナー

2010年8月に更新した“今日のこの1曲”コーナー。
廃盤・生産中止、規格番号の変更など、
情報が古くなっている商品もございますが、ご了承くださいませ。


<最新の“今日のこの1曲”はこちらのページをご覧ください>


2010年8月1日(日) CLUB 8 「ISN'T THAT GREAT?」

 95年からスウェーデンのストックホルムを拠点に活動しているヨハン(g.syn)とカロリーナ(vo)による男女ユニット、CLUB 8。

 柔らかい女性ヴォーカルと洗練された雰囲気のポップ・サウンドで、これまで6枚のアルバムを発表してきた彼らですが、先日リリースされた7作目となる新作『THE PEOPLE'S RECORD』(QRCP-82 \2,462)は、テーマが“カーニヴァル”というだけあり、パーカッションを全面に押し出したリズミカルなサウンドが、夏の陽気にぴったり合いそうな作品です。

 ラテンやアフリカン・ビートを取り入れた賑やかなアレンジと、本来ユニットの持ち味である爽やかなギター・サウンド&カロリーナの歌声がうまく融合してます。

 中でも「Isn't That Great?」は、エコーのきいたコーラスとギターがトロピカル・ムード満点の一曲。

 ファーフィサ・オルガンのちょっとチープな音やサックスなどバックの演奏やコーラスも色々と凝っていて聴き応えがあって、オススメの一枚です。東尾沙紀

2010年8月2日(月) ジョン・フォガティ 「オー・プリティ・ウーマン」

 7月31日(土)フジ・ロック・フェスティバルに行ってきました。
 7時くらいに東京を出ましたが、関越道が断続的に渋滞していて途中SAで休みつつのんびり向かったせいもあり、湯沢ICに着いたのが11時半近く。会場入りしたのは13時頃となってしまいました。

 でも小坂忠&鈴木茂&中野督夫に間に合って良かったです。(鈴木茂さんによる「花いちもんめ」、中野督夫さんによるセンチの名曲「雨はいつか」も聴けました)

 僕のスケジュールは、
小坂忠→シアター・ブルック→ジェイミー・カラム→ジョン・フォガティ→スーザン・テデスキ&デレク・トラックス、という流れ。
 なんといってもこの日はジョン・フォガティですね。

 「これが本場のアメリカン・ロックだ!」という咆哮が聞こえてきそうなくらいに、65歳(!)には見えない若々しいステージングのジョン・フォガティはCCRの名曲を連発! ソロ楽曲も織り交ぜ、「センターフィールド」という曲では一部歌詞を♪イチロー♪に変えて歌うなどスペシャルなパフォーマンスを見せてくれました。

 ジョン本人がほぼ全曲のギター・ソロを弾くのに、他にサイド・ギターが3人(ステージ上にはジョン入れてギターが4人)もいたり、ドラマーがレイザーラモンのようなハード・ゲイ的風貌でこれでもかっっ!ていうくらいスネアを強く叩いていたり、と色んな意味で見ていて楽しかったです。

 ちなみに、天気は夜までカンカン照りにならず雨も降らず、と絶好のフジロック日和。今まで参加した中でも一番快適?なんて思ってましたが、やっぱり降りましたねー、どしゃぶりが。
 ジョン・フォガティが終わる直前あたりから凄い雨が降り出し、まさに「雨を見たかい」&「フール・ストップ・ザ・レイン」! (「雨を見たかい」はライヴ中盤あたり、「フール・ストップ・ザ・レイン」は3曲目に披露。とても盛り上がりました)

 何故か「雨を見たかい」の次に、ロイ・オービソン「プリティ・ウーマン」のカヴァーを披露していたのが印象に残っています。森 陽馬

★掲載ジャケットは、ロイ・オービソン「オー・プリティ・ウーマン」収録の2CDベスト盤。(BVCM-37710 \3,360)

2010年8月3日(火) シアター・ブルック 「お尻をひっぱたけ!」

 約2年間の活動休止から復活し、5年ぶりとなるオリジナル新作『intention』(ESCL-3450 初回DVD付 \3,780)を発表したシアター・ブルック。フジロックのフィールド・オブ・ヘブンで、久々にライヴを見ることができました。

 佐藤タイジの伸び伸びとしたギター・ソロ、淡々と弾きまくる中條卓のベース、沼澤尚のグルーヴィーかつロックなドラミング、エマーソン北村のクールなキーボード・プレイ。いい意味で変わりなく、シアターらしいステージングを楽しめました。

 ライヴ定番「ドレッドライダー」などももちろん良かったですが、新作からの楽曲もロックしててかっこよかったです。

 特に「お尻をひっぱたけ!」。

 ♪大統領は変わっても日々の暮らしは変わんねえ 〜
 理想の低い政治家の悪いお尻をひっぱたけ! ♪
とシャウトされる歌詞と、ボ・ディドリー調リズムのロック・サウンドがライヴ映えするナンバーでした。

 なお新作の初回盤には、2009年12月27日恵比寿リキッドルームにて行われたライヴ映像収録のDVDが付いています。森 陽馬

2010年8月4日(水) Al Jardine 「And I Always Will」

 ビーチ・ボーイズのアル・ジャーディン、ソロ・アルバムが発表されました。

 タイトルは『ア・ポストカード・フロム・カリフォルニア』。
 自主制作CDRで番号も付いていないという流通のものですが、まずは形になったことを喜びたいと思います。

 収録曲は全12曲。新曲、未発表曲、ビーチ・ボーイズが発表した曲のリメイクとアルの色々な魅力が味わえる作りになっています。

 彼の人柄の良さが表われたゲストの顔ぶれにも注目です。
 ブライアン・ウィルソン、ニール・ヤング、デヴィッド・クロスビー、スティーヴン・スティルス、グレン・キャンベル、ジェリー・ベックリー&デューイ・バネル(アメリカ)、スティーヴ・ミラー、マイケル・“フリー”・バルザレー(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)などの有名どころが参加してこのアルバムに華を添えています。

 それにしてもアルの清涼感ある伸びやかな歌声が印象に残ります。
 ビーチ・ボーイズのメンバーの中では一番昔の声に近いというか維持しているのがアルだと言えます。

 この曲「And I Always Will」はアルバム・ラストに入っているアルの新曲。いい声に美しいメロディでアルバムを締めてくれます。森 勉

2010年8月5日(木) LUCKY SOUL 「Woah Billy!」

 2007年にリリースされた1stアルバム『The Great Unwanted』(邦題:恋はゴージャス!)が、オールディーズ/ガール・ポップ・ファンの間でも好評だった、イギリス発現代の6人組ガール・ポップ・グループ、“ラッキー・ソウル”が約3年ぶりに新作をリリースしました!(『A COMING OF AGE』 輸入盤 RUF26CD)

 ジャケットの雰囲気は随分と変わった気がしますが、心弾むメロディーは変わらず、ポップな楽曲が満載です。

 軽快なハンドクラップが印象的なリードトラック@「Woah Billy!」に始まり、紅一点ヴォーカルAliが出演しているPVがとてもかわいいモータウン風のA「White Russian Doll」、イントロのギター・カッティングが良いB「Up In Flames」、ジャクソン5を連想させるC「LOVE3」、カントリーっぽいアレンジのD「Upon Hilly Fields」などなど、ストリングスもコーラスも盛り沢山♪
 前作がお好きな方にも勿論オススメの一枚です。

 この最新作からのシングル・カット「Woah Billy!」、前作からの「LIPS ARE UNHAPPY」、「Add Your Light To Mine,Baby」など限定7インチも5種類同時に入荷致しました。買い逃したという方、お早めに! 東尾沙紀

2010年8月6日(金) 奥田 民生 「音のない音」

 奥田民生の新作『OTRL』(KSCL-1616 初回DVD付 \3,465)は、まさに“ひとりカンタビレ”。

 <ライヴハウスにお客さんを入れ、そこで奥田民生自身が全楽器を演奏。→簡単なミックスも含めレコーディング工程を披露しながら新曲1曲を完成。→その日の夜にネット配信>
という今春に行われた画期的ツアー“ひとりカンタビレ”で生まれた楽曲を集めたアルバム。

 凄腕ミュージシャンと作り上げていた今までの作品と比べると演奏力で見劣るかな、と思いきや、聴いているうちにそんな懸念はどこかへ吹っ飛ぶほど快心の仕上がりでした。 かえってシンプルかつ味のあるリズムがとても魅力的。

 一人多重録音、それも一日で、とは思えないほどバンド感ある音の雰囲気で、各曲のギターもロックしててかっこいいですね。

 初回限定盤に付いているDVDには2010年5月7日渋谷AX(「ひとりカンタビレのテーマ」)での公演ダイジェストや各会場での質問コーナーを収録。

 ちなみに名ドラマー、スティーヴ・ジョーダンが奥さんとやっているバンド、The Verbsに奥田民生が正式加入。ピノ・パラディーノ(B)も伴って10月には来日公演も開催されるそうです。森 陽馬

2010年8月7日(土) クリフ・リチャード 「サマー・ホリデイ」

 学生の方々は、長い長い夏休みの真っ只中ですね。
 7月下旬から8月がまるまる全部休みになるんですから、やはり長いですよね。

 自分が学生の時は、その長い夏休みのありがたさが全然わかっていなかったような気がします。社会人になって、そのありがたさがわかったのですが、もう若き日は戻ってこないんですね。特に50を越え、体力も落ちてくると、夏の暑さを物ともせずに海や山や街で遊んでいた10代のありあまる体力が羨ましく思ってしまいます。

 さて、夏休みといえばこの曲。
 そのものズバリですが、「サマー・ホリデイ」。

 ハンク・マーヴィンのイントロのギターが聴こえてくると、遠い日の夏休みが思い出されます。

 シャドウズのスマートな演奏、タイミング良く入ってくるノリー・パラマー・オーケストラのストリングス、そしてクリフのソフトな歌声。
 完璧な60'sポップスです。

 このジャケットはオールド・ファンには懐かしいものです。
 60年代に日本で発売されたベスト盤LPにボーナス曲を加えて紙ジャケット化したもの。ご丁寧に当時の帯もオマケで付いています。(TOCP-70175 \2,600) 森 勉

2010年8月8日(日) 久保田 麻琴 「Rainbow」

  今日8日は、“ロック・イン・ジャパン・フェス”、“サマー・ソニック”、“ワールド・ハピネス”と3つの野外フェスが重なっていました。
 見に行かれた方、楽しめましたでしょうか? 天気もカンカン照りにならずちょうどいい感じでしたね。

 さて、野外フェスといえば、昨年10月に川崎・東扇島東公園で行われた久保田麻琴さん主宰の“京浜ロック・フェスティバル”が、今年も10月10日に同じ川崎で行われることが決定しました。

 なんと、今年は入場無料!(というか投げ銭制!)
 昨年も出演したあがた森魚さんや東京ローカル・ホンクに加え、今大人気のSAKEROCK、トクマルシューゴ、原田郁子、そして鈴木茂やシナロケなど多彩な顔ぶれ。「体育の日」の前日ゆえ雨は大丈夫でしょう! 皆さん是非チェックしてみてください。

 さて、その久保田麻琴さんの一番新しい作品といえばこのアルバム。(『スパ・アジア』 DLDH-1847 \1,890)

 癒し系なタイトルですが、麻琴さんがサウンド・プロデュースをしているだけあって、単なるヒーリング・サウンドになっていないところがミソ。
 ベトナム、バリ、インドなど様々なアジア音楽の要素と自然音がうまく融合し、独特な空気感が伝わってくる1枚です。落ち着いたアジアンなラウンジ・アルバムとしても楽しめます。森 陽馬

2010年8月9日(月) スール・スーリール 「ドミニク」

 ビートルズが日本のラジオで盛んにかかり始めた1964年2月頃にこの曲も流行っていました。

 ♪ドミニク、ニク、ニク・・・♪
というフレーズも憶えやすく、素朴で清く澄んだ女性の声も印象的でした。

 アーティスト名は“シンギング・ナン”。
その当時のラジオの解説によると、「歌う尼さん」という意味で、本当に修道院のシスターが歌っているとのこと。そんな曲がヒットしてしまうんだぁ〜、という驚きもありましたが、素直に憶えやすいメロディーに好感が持てた曲でした。
 それにフレンチ・ポップスが日本で本格的に受け入れられるきっかけになったようなほんわかしたフランス語の語感も新鮮さを感じました。

 そんな大ヒット曲「ドミニク」に、こんな裏話があったのかあ、とびっくりしたのが映画『シスター・スマイル 〜 ドミニクの歌』でした。

 1964年当時は、ただ「ドミニク」という曲を聴いていたのですが、ドラマティックな出来事や映画ネタになってしまう事実が、この曲を作って歌った彼女に起こっていたとは。映画としても楽しめるものでした。

 映画の中では「ドミニク」以外にも彼女の歌が使われ、実にいい雰囲気でした。彼女のヒストリーのようなこの作品集(『ベスト・オブ・スール・スーリール』 RBCX-7389 国内仕様2CD \2,940)には、波瀾万丈のその後を含めて、興味深い曲がタップリ詰まっています。

 スール・スーリールはフランス語で、英語にすると、“シスター・スマイル”という意味だそうです。
 アメリカでは、“シンギング・ナン”というアーティスト名でした。森 勉

2010年8月10日(火)Marvin gaye 「Wie Schon Das Ist」(「How Sweet It Is」ドイツ語ヴァージョン)

 ここ最近、韓国アイドルに日本語で歌わせてCDをリリースするパターンが多くなってきました。
 以前から東方神起を中心に男性ミュージシャンが日本語で歌うことはありましたが、本日発売のKARA、少女時代など女性アイドルものも増えてきています。

 2010年4月12日のこのコーナーでも取り上げたRobert Lester Folsomをリリースした“RIVERMAN MUSIC”、ソフト・ロック系を多く出している“beatball records”は韓国のレーベルで、韓国にも音楽マニアがいるようですから、アイドルだけではなく“韓国のブライアン・ウィルソン”みたいな人を発掘して、是非日本で紹介して欲しいですね。

 さて、日本語曲は入っていませんが、他国語で歌われている面白い楽曲を集めたCDがアメリカのHIP-Oレーベルから限定で発売になりました。(V.A 『Motown Around The World』 HIP-O 13187-02)

 タイトル通り、モータウンのミュージシャンがヒット曲を他国語で歌った珍しいヴァージョンを集めた2枚組CD。

 スティーヴィー・ワンダー、シュープリームス、ミラクルズ、マーヴィン・ゲイ等モータウンを代表するミュージシャンが、イタリア語、ドイツ語、フランス語、スペイン語で当時歌っていた貴重音源をまとめて38曲収録。
 オケは同じだと思われますが、歌のイントネーションが面白いので全曲楽しんで聴けました。モータウン好きの方は持ってて損なしの1枚でしょう。

 特にマーヴィン・ゲイ「How Sweet It Is」のドイツ語ヴァージョン。
 ジェイムス・テイラーのカヴァーでも有名ですが、魅力ある独特な節回しはドイツ語になっても変わっておらず、メロディーの良さを再確認できた1曲でした。森 陽馬

2010年8月11日(水) The Miracles 「You've Really Got A Hold On Me」

 昨日に続いて、HIP-Oレーベルからの限定CD。
こちらもモータウン/ソウル好きの方に超オススメの1枚です。

 「トラックス・オブ・マイ・ティアーズ」、「ウー・ベイビー・ベイビー」のヒットで有名なスモーキー・ロビンソン&ミラクルズの初期、まだ“ミラクルズ”名義であった1961〜63年発表オリジナル・アルバム5作品全曲を2枚組CDに収録し、更に貴重音源を追加した素晴らしい編集盤。(『Depend On Me - the early albums』 HIP-O B0012855-02)

 初CD化音源も多数収録されており音質もNICE! 当時のオリジナルLP5作のイラストを繋げたCDサイズのカードも封入されています。ブックレット内には当時の写真が掲載されており資料価値も十分ですから、ソウルに詳しくなくてもスモーキーの歌声がお好きな方なら、とりあえず買っておいて損はないでしょう。

 今日のこの1曲には、ローラ・ニーロが名作『ゴナ・テイク・ア・ミラクル』でもカヴァーした「You've Really Got A Hold On Me」。1962年にシングル・ヒットしビルボード・チャート16位まで上った1曲。

 他にもスモーキー・ロビンソン本人のペンによるイイ曲がいっぱい。ドゥーワップ好きの方も必携盤ですね。森 陽馬

2010年8月12日(木) Tift Merritt 「Live Till You Die」 エミット・ローズのカヴァー

 昨年一番よく聴いたアルバム、といえば、ティフト・メリット『Another Country』。

 個人的にものすごく気に入った1枚(今年2月12日のこのコーナーでも取り上げました)で、今夏も時々聴いているくらい大好きなアルバムです。
 その彼女の新作が発売になりました。(『See You On The Moon』 Fantasy 0888072319653)

 前作『Another Country』はジェイホークスやズートンズで知られるGeorge Drakouliasによるプロデュース。開放感ある楽曲とアレンジが爽快でしたが、今作はTucker Martineがプロデュースを担当。
 前作に比べかなりルーツ色、シンガー・ソングライター色が強まった印象で、ルシンダ・ウィリアムス的な武骨なサウンドになりましたね。僕は前作の音の雰囲気の方が好きですが、今作も力作だと思います。

 その中でなんといってもビックリしたのが、エミット・ローズのカヴァーG「Live Till You Die」。

 “ポール・マッカートニーの分身!”とまで評されたこともあるエミット・ローズのソロ1st名作『EMITT RHODES』(窓ジャケ名盤、としても有名ですね)に収録されているこの曲を、ほぼ完コピながらロックなアレンジで力強くカヴァーしています。

 ♪死ぬまで生きていくんだ
 生き残るために戦うのさ 〜
 君は死ぬまでしっかり生きるんだ ♪

 生への意欲を失った友人への激励、もしくは自らを奮い立たせるようなメッセージ・ソング「Live Till You Die」。
 調べてみたら一応シングル・カットされたこともあるようですが、何故ティフト・メリットはこの曲を取り上げたのでしょうね。

 昨年リリースされたライヴ盤『Buckingham Solo』(2009年9月13日のこのコーナーで紹介)では、ジョージ・ハリスンの未発表曲だった「I Live For You」をカヴァーしていました。
 彼女がカヴァーする楽曲には、単なる模倣ではなく、“生”への強い意志と熱い想いが込められているようです。森 陽馬

2010年8月13日(金) アウト・キャスト 「ロング・トール・サリー」

 真に悶絶のカヴァー曲であります。
 ビートルズのポール・マッカートニーの熱唱でも有名なリトル・リチャードの「ロング・トール・サリー」がこんなヴァージョンに・・・。

 やっているのは1960年代後半、日本のグループ・サウンズ・ブームの最中にデビューしたアウト・キャスト。

 通常は甘い声のリード・ヴォーカリストである轟健二が歌っているのですが、この曲のヴォーカルは他のメンバーが担当していると思われます。LPだからたまにはいいか、という感じだったのでしょうか?

 それにしてもこの気合の入り方というかヤケクソさはハンパではありませんね。歌っているご本人はとても真面目に歌に取り組んでいると思うのですが・・・。それが今ではちょっとおかしさを醸し出してしまうということが往々にしてあるんですね。

 この曲が収録されているのは、イギリスで編集された日本のグループ・サウンズのコンピです。(『GS愛してる1』 国内仕様 ライナー対訳付 CDSOL-7352 \2,520)

 近年再発レーベルとして確固たる信頼を築いているACEレーベル傘下の<BIG BEAT>が1996年に発売したものです。ヒット曲以外のエグイGSサウンドが聴きたい方にオススメです。森 勉

2010年8月14日(土) Peter Wolf 「The Green Fields Of Summer」

 東京ローカル・ホンクのドラマー田中邦雄さんから、「イイよっ!」と教えてもらった1枚。

 元J.ガイルズ・バンドのピーター・ウルフ、2010年発表ソロ作『Midnight Souvenirs』。(輸入CD Verve B0013896-02)
 これが本当にかっこいいアルバムで、超ヘビー・ローテーション中です。

 “アメリカン・ロック”の王道をそのまま塊にしたようなサウンドと武骨な歌声がシビれます。

 トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの新作を気に入った方なら、絶対に聴いてもらいたいオススメ盤ですね。

 豪放なA「I Don't Wanna Know」にグッときましたが、ニーコ・ケースとのデュエットで聴かせるスローナンバーE「The Green Fields Of Summer」もじんわり沁みていい感じ。
 シェルビィ・リン、ラリー・キャンベルなども参加しています。森 陽馬

2010年8月15日(日) JAMME 「Poor Window」

 ママス&パパスのジョン・フィリップスがプロデュース、ダンヒル・レーベルからデビューしたKeith & Don Adey兄弟を中心としたグループ“JAMME”(ジェイム)の68年発表のアルバムが、デモやモノ・バージョンなどボーナストラック8曲を追加し、初CD化されました。(輸入盤 Now Sounds CRNOW-18)

 カリフォルニアのグループながら、ビートルズ〜バッドフィンガー的なブリティッシュの雰囲気漂うポップなメロディーと、男性版ママス&パパスのような美しいハーモニーが心地良い楽曲が並びます。

 本来のレコード・ジャケットにはAdey兄弟の二人だけが写った写真のようですが、今回再発されたCDには今作に作曲や演奏で携わったミュージシャン3人の写真が追加されています。

 曲によってはジョン・フィリップスも12弦ギターで参加。
 今日の一曲「Poor Window」と他数曲にジム・ゴードンとラリー・ネクテルの名前もクレジットされています。

 ハーモニー・ポップ、ソフトロックなどお好きな方にもおすすめです! 東尾沙紀

2010年8月16日(月) アントニオ・カルロス・ジョビン 「波」

 涼しい風を運んでくれる曲をたくさん聴きたくなる夏ですね。

ということで今日は、ブラジル/ボサノヴァ音楽の巨匠、アントニオ・カルロス・ジョビンの聴くと涼しくなったような気分にしてくれる名曲です。

 1967年にクリード・テイラーが主宰するCTIレーベルより発表した全編インストによるアルバム『波』(UCCU-9713 \1,500)。1曲目に収録されている「波」(Wave)がその曲。

 ジョビンのピアノとつま弾きギターに、クラウス・オガーマンによるオーケストレーション・アレンジが絶妙にブレンドされ、ゆったりと波間を漂っているような雰囲気作りをしてくます。森 勉

2010年8月17日(火) 大滝 詠一 「カナリア諸島にて」

 レコード・コレクターズ最新号<日本のロック・アルバム・ベスト100 80年代編>の広告欄でご存知の方もいらっしゃると思いますが、1981年大名盤、大滝詠一『ロング・バケイション』が来年3月に30周年盤として、初回限定2枚組で発売予定だそうです。(更に『ナイアガラ CD BOOK 1』というBOXも同時発売予定!)
 詳細は後日発表。どういう内容か気になりますね。

 さて、そのレココレ<日本80'sベスト100特集>で見事1位になった『ロン・バケ』から今日の1曲「カナリア諸島にて」。
 当時超多忙だった松本隆が、まだ行ったことがなかった“カナリア諸島”を想像して書き下ろした歌詞、というのは有名な話ですね。
 当時シングル・カットもされていて、この曲は「君は天然色」のB面。アルバム『ロン・バケ』と同時発売でした。

 ちなみに今年8月29日(日)、大滝詠一さんの故郷である岩手県江刺で、“大瀧詠一音楽祭”というイベントが開催されます。(公式ブログはちら

 市民中心の音楽イベントで、大瀧さんの様々な楽曲を演奏するという画期的なフェスティバル。
 入場無料(ただし入場整理券あり)だそうですので、東北お住まいの方やナイアガラーの方は是非チェックしてみてください。森 陽馬

2010年8月18日(水) カウリスマキ 「キラー・ポイント」

 “フリッパーズ・ギターがジプシー・スウィングしている感じ”!?

 “カウリスマキ”は加勢明を中心に2007年に結成されたギター、アコーディオン、バンジョー、ウッドベースで構成されたマヌーシュ・スウィング・バンド。(『ナイトプール』 EASTERN-4520 \2,205)

 ジャンゴ・ラインハルト的スウィングに日本語詞を乗せ、ジプシー・スウィングの古風な雰囲気とポップ感覚が絶妙にマッチ。独特な空気感あふれる1枚に仕上がっています。

 早弾きバンジョー、アコーディオンのソロも各曲聴きもの。
 なおリミックス・エンジニアは、クラムボンやスペシャル・アザーズの作品にも参加している星野誠が担当。
 
 ちなみにバンド名は、『レニングラード・カウボーイズ』や『浮雲』などの映画を手掛けたフィンランド出身奇才映画監督、アキ・カウリスマキからとったそうです。森 陽馬

2010年8月19日(木) The Bunch 「When Will I Be Loved」

 リチャード・トンプソン関連作品(『モリス・オン』やリンダ・トンプソンとの夫婦デュエット作『ホーキー・ポーキー』など)がSHM-CD紙ジャケ仕様で再発されました。

 その中の一枚、72年発表作“The Bunch”(ザ・バンチ)の『Rock On』(UICY-94611 SHM-CD仕様限定紙ジャケ ボーナス・トラック3曲追加 \2,800)は、元フォザリンゲイのトレヴァー・ルーカスを中心とし、サンディ・デニー、リチャード・トンプソンなど元フェアポート・コンヴェンションのメンバー、今作録音後リチャードと結婚するリンダ・ピータースなど、イギリスのミュージシャンが多数参加した50〜60'sロックンロール/カントリー・カバー集。
 気楽にセッションを楽しむ様子が伝わってくるアルバムです。

 サンディーが歌うバディ・ホリー「That'll Be The Day」、トレヴァーが歌うゆる〜いエルヴィス・プレスリー「冷たくしないで」、リンダがリード・ヴォーカルの「ロコモーション」、リチャードによる「ジャンバラヤ」の他、チャック・ベリー、ジェリー・リー・ルイスなどが録音されています。

 今日の一曲はサンディー&リンダによる、エヴァリー・ブラザースの「When Will I Be Loved」。のんびりと心落ち着くカバーです。

 以前も紙ジャケットでリリースされたことがありましたが、その時よりも更にディテールの凝った特殊紙ジャケット仕様。より忠実に英国初回盤LPのデザイン&日本初回盤LP帯をCDサイズで再現しています。東尾沙

2010年8月20日(金) Stephen Bishop 「The Same Old Tears On A New Background」

 スティーヴン・ビショップ、幻のアルバムが今秋発売になるそうです。

 その幻の作品は、1985年香港のみで発売された『Sleeping With Girls』というタイトルのアルバム。(何故にアメリカやヨーロッパではなく香港のみの発売だったのでしょうか?)
 マニアの間では○万円以上で取引されていたそうで、BISHファンのみならずAOR好きの方にも、まさに垂涎の1枚でした。

 シンコーミュージックから出ているAORガイドブックに掲載されて初めて知りましたが、僕はまだ一度も現物を見たことがありません。かなり良い内容!と噂だったのでいつか聴きたいと思ってました。発売日や価格など詳細は決まっていませんが秋が楽しみですね。

 ということで、今日のこの1曲。村田和人さんも大のフェイヴァリット!に挙げている76年発表名盤1stアルバム『ケアレス』(MVCM-18509 \1,835)から、切なく聴かせるラストK「The Same Old Tears On A New Background」。アート・ガーファンクルもソロ2nd『愛への旅立ち』で取り上げているちょっぴり哀しい落涙のナンバーです。

 ちなみに、この一家に一枚の『ケアレス』、SHM仕様限定紙ジャケット仕様で11月24日に再発される予定になっています。森 陽馬

2010年8月21日(土) 黒木 真由美 「恋人と呼ばれて」 「北極回り」

 【PERFORMANCE 2010】ツアーが始まったり、8月14日には30年ぶりに夏フェス参加したりと話題の山下達郎。
 僕は8月6日初日の厚木市文化会館に行ってきました。

 まだツアーが始まったばかりなので、ネタばれしないようなことしか話せませんが、内容は本当に素晴らしかったです。
 声は相変わらずよく出ているし、カッティング・ギターもますますキレがいいし、バックの演奏がこれまた凄いグルーヴをたたき出してくれるし、ひさしぶりのあの曲もやってくれたし、で、見終わった後、またすぐにもう一度見たくなるライヴでした。

 さて、今日はその山下達郎がシュガーベイブ時代に黒木真由美に提供した曲を。

 彼女は日本テレビのオーディション番組『スター誕生!』出身で、1975年にキング・レコードからデビューしました。同年11月にデビュー・アルバムが出た際に収録されたのがこの2曲です。

 編曲も山下達郎が担当し、バック演奏とコーラスはなんと!シュガーベイブが担当しているという貴重な録音です。

 「恋人と呼ばれて」、「北極回り」、共に山下達郎フリークには今でもその良さが十分に伝わってくる名曲です。
 黒木真由美のアイドルながらしっかりした歌唱も魅力で、山下にはこんなストレートなガール・ポップスをまた書いてもらいたいな、と思ってしまいました。森 勉

★掲載ジャケットは上記2曲も収録されている先日再発された『パーフェクト・ベスト』(KICS-1575 \1,980)。

2010年8月22日(日) マジック・ナンバーズ 「The Pulse」

 当店店長の“2007年ベスト・アルバム”に選出された一枚、ストッダート兄妹&ギャノン兄妹による男女4人組グループ、マジック・ナンバーズの2nd『ゾーズ・ザ・ブロークス』から約3年。彼らの3枚目となる新作『ザ・ランナウェイ』(HSE-70105 \2,490 ボーナス・ディスク付き2枚組)が先日リリースされました。

 前作ではバック・コーラスが多かった女性陣がメインの曲もあり、またポップなメロディーは変わらずもよりフォーキーで幻想的で、幾重に重なるコーラス&サウンドも厚みを増した感じがします。

 ニック・ドレイクやエルヴィス・コステロ作品等でストリングス・アレンジを手掛けたロバート・カービィが、前作に続き今作でも4曲アレンジを担当しています。

 特に壮大なリード曲@「The Pulse」での旋律は、とても美しくて聴いた瞬間に惹きつけられました。最後の曲が終わった後、アルバムを締めくくるのも彼の旋律です。

 残念ながら彼は昨年10月に亡くなられたそうで、メンバーから“友人であるロバートに捧げます”と言葉が贈られています。(ちなみにポール・ウェラー『ヒーリオセントリック』(2000年作)にも参加しています。こちらのアレンジもとても素晴らしいものでした。)

 ボーナス・ディスクには新作の曲を演奏したライブ音源4曲が収録されており、アルバム本編とはまた違った雰囲気を楽しめます。東尾沙紀

2010年8月23日(月) ローリンド・アルメイダ 「コール・ミー」

 一週間前にアントニオ・カルロス・ジョビンを取り上げ、暑気払いをしましたが、今日も涼しい風を感じさせてくれるような音楽を紹介したいと思います。

 ローリンド・アルメイダが1967年に発表したアルバム『男と女』(TOCP-67983 \2,500)から「コール・ミー」です。

 ローリンド・アルメイダはブラジル出身のジャズ・ギタリストで、主にガット・ギターを使用し、ソフトで端整な音を一音一音紡いでいくようなサウンドが特徴です。

 このアルバムでは当時活躍していた若手アレンジャー、レックス・デ・アゼヴェドによる清らかな流れのようなオーケストラの音がギターの音を優しく包み込んでいるようで、本当にゆったり気分にさせてくれます。

 「コール・ミー」は我々の世代には、クリス・モンテス1966年のヒットとして記憶に残っているトニー・ハッチの名曲です。森 勉

2010年8月24日(火) ジミー・ウェッブ 「美しき若葉の頃」(原題:In Cars)

 最近のお気に入りといえば、なんといってもジミー・ウェッブの新作『ジャスト・アクロス・ザ・リバー』。(7月27日のこのコーナーでも取り上げました)
 多彩なゲストも魅力ですが、ジミー・ウェッブ特有の哀愁あるメロディーは、何度聴いても切なく心に沁みますね。

 そのジミー・ウェッブが80年代に出した唯一のアルバム『エンジェル・ハート』が、2010年リマスタリング、限定紙ジャケット仕様でCD化されました。(SICP-2801 \1,995)

 1982年に発表された作品ですが、金澤寿和さんによる最新書き下ろしのライナーノーツによると、実際の録音は1978年だったとのこと。

 TOTOのスティーヴ・ルカサーによる若々しいギター・ソロ、ジェフ・ポーカロの素晴らしいドラミング、デヴィッド・ペイチのピアノ、リー・スクラーの渋いベースなど、70年代後期の洗練されたクールな演奏は、AORファンにも是非聴いてもらいたい仕上がりです。

 特にアート・ガーファンクルが取り上げたC「美しき若葉の頃」(原題:In Cars)のセルフ・カヴァー。

 “the beached boys”とクレジットされているバック・コーラスは、プロデューサーのマシュー・マッコリー&フレッド・モーリン。更にゲストでスティーヴン・ビショップも参加し、ビーチ・ボーイズ風のコーラスを聴かせます。
 タイトル曲@「エンジェル・ハート」にはジェリー・ベックリーが参加、この曲のコーラスもビーチ・ボーイズ風ですね。森 陽馬

2010年8月25日(水) Brian Wilson 「The Like In I Love You」

 猛暑が続く中、気分がほっと落ち着く素敵な作品が届きました。

 ブライアン・ウィルソンの新作『Reimagines Gershwin』です。(Disney 428902)

 1920年代中頃からミュージカルのための曲を作曲し、それが歌い継がれ、多くの曲が名曲としてスタンダード化している作曲家“ジョージ・ガーシュウィン”の曲をカヴァーしたアルバムです。

 おなじみの「サマータイム」、「スワンダフル」、「ラヴ・イズ・ヒア・トゥ・ステイ」、「アイ・ガット・リズム」、「サムワン・トゥ・ウォッチ・オーヴァー・ミー」などに加えて、ガーシュウィンの未完成・未発表曲をブライアンとブライアン・バンドのメンバーであるスコット・ベネットが捕作して完成させた曲も2曲含まれています。

 今日はそのうちの1曲「ザ・ライク・イン・アイ・ラヴ・ユー」。

 まあ本当によく出来た曲で、ガーシュウィンとブライアンの共作ということだけで、からだの芯が熱くなってくるのに、内容がこれまた素晴らしい! ジーンとくること受けあいです。

 アレンジがまさにブライアンらしいものになっていて、ベース・ラインやパーカッションの音にビーチ・ボーイズ・ファンはニヤリとなるはずです。森 

2010年8月26日(木)バディ・デフランコ&オスカー・ピーターソン 「アイ・ガット・リズム」

 大好評のブライアン・ウィルソン新作『Reimagines Gershwin』。
 国内盤は正式なインフォメーションがまだない状況ですが、年末に発売されるかも?という噂も聞こえてきました。出るとしたら、ディズニー・レーベルと契約し関連CDを多くリリースしているエイベックスからだと思われますが、どうなんでしょうね。

 USのiTunesストアでは、アルバム未収録のガーシュウィン作「Let's Call The Whole Thing Off」がボーナス・トラックとして付くようですので、国内盤CDには、この曲をボーナス・トラックとして追加収録して、更に輸入盤には付いていない歌詞カードを是非入れて欲しいです。

 ちなみに、輸入盤にも色々と種類があって、
・US盤・・・ジャケットのピアノ鍵盤部分が特殊加工で浮き出ている仕様
・カナダ盤・・・特殊加工はされていないデジパック仕様
来月にはUK盤がリリース予定ですが、こちらはどういう仕様かまだわかりません。(なおUS盤は輸出規制がかかったそうで店頭分はカナダ盤になりました。)

 さて、ジョージ・ガーシュウィンはよく知らない、という方にオススメなのがこのコンピ。(『ガーシュウィン・ベスト・コレクション』 UCCD-3677 3CD \3,000)

 3枚組CDに、ガーシュウィンが手掛けたジャズ・スタンダード32曲、クラシック(交響&管弦楽団)7トラックが収録。

 「I Got Rhythm」はバディ・デフランコ(Cl)&オスカー・ピーターソン(p)の1955年録音ヴァージョンと、エセル・マーマン(vo)の1947年録音ヴァージョンが収録。ブライアンのヴァージョンと聴き比べると、よりブライアンのポップ・アレンジが新鮮に響きますね。森 陽馬

2010年8月27日(金) 笹子重治 feat アン・サリー 「おなかいっぱい!」

 アン・サリーが2003年に発表した名作『ムーン・ダンス』は、発売から7年を経た現在でもよく聴いている大好きなアルバム。(「蘇州夜曲」は本当に名カヴァーですね)

 この中のケニー・ランキン名曲カヴァー「Haven't We Met」のバックで、ブラジリアンなかっこいいアコースティック・ギターを弾いているのがショーロ・クラブの笹子重治さんです。
 この度、その彼の初ソロ・アルバム『ONAKA -IPPAI』がリリースされました。(RSCG-1049 \2,100)

 アン・サリー、畠山美由紀、EPO、桑江知子、流線形の新作でヴォーカルを務めた比屋定篤子などがfeatヴォーカルで参加。

 ジャケット&タイトル通り、おいしい食卓が目の前に広がってくるような楽しく和める心地良い音楽が詰まった1枚。
 ブックレット内のセルフ・ライナーノーツなど装丁も素晴らしくて、女性シンガー&アコースティック・ギター好きの方のみならずオススメしたくなる作品です。

 ちなみにSLOW MUSIC SLOW LIVE '10 in 池上本門寺、8月29日(日)のトリとして“アン・サリーfeat笹子重治”で出演します。森 陽馬

2010年8月28日(土) Bill Kirchen & Dan Hicks 「Word To The Wise」

 カントリー、ルーツ・ロック・ギターファンの方にはお馴染みの人かもしれませんが、60年代からコマンダー・コディ&ザ・ヒズ・ロスト・プラネット・エアメンなどで活躍してきた、48年生まれアメリカのギタリスト/シンガー、ビル・カーチェンの2010年最新作『WORD TO THE WISE』国内盤が先日リリースされました。(MSIG-673 \2,940)

 今作にはエルヴィス・コステロ、ニック・ロウ&ポール・キャラック、マリア・マルダー、ダン・ヒックス、コマンダー・コディ、ノートン・バッファロー、クリス・オコーネルなどが参加。

 ニック・ロウ&ポール・キャラックは、マール・ハガードのカバー「Sherry's Winter Love」をエヴァリー・ブラザーズ風にしっとりとデュエット。

 コステロはオルガンが絡むずっしりとしたロック・ナンバーで。同じくマリア・マルダーのために書いたという曲ではジャジーな演奏で洒落たデュエットを聴かせてくれます。

 ダン・ヒックスのために作った、という軽快にスウィングするタイトル曲では、内容はわからずとも歌前の2人の会話に思わず頬がゆるむ楽しい一曲です。

 と、ゲストの事を中心に書きましたが、勿論曲毎に変化するビルのギターも聴きものです。しばらくは頭の中でグワワァァ〜ンと鳴っていそう・・・。東尾沙紀

2010年8月29日(日) 青柳 拓次 「まわし飲み」

 ♪まわし〜〜飲〜み〜〜♪
 一度このフレーズを聴くと後を引きます。

 KAMA AINA、ダブル・フェイマス、リトル・クリーチャーズなど、ワールド・ミュージックを独特なポップ・センスで表現し続けている職人、青柳拓次のソロ2作目『まわし飲み』が発売。(OWLU-2001 \2,625)

 今作は、細野晴臣さんが主宰するデイジー・ワールド・レーベルとリトル・クリーチャーズによるコーディアリー・レーベルとの共同プロジェクト“Label UNITED”からのリリース。

 前作『たであい』は、無駄な音をできるかぎり排除し、彼の歌声とシンプルな音の紡ぎで綴った静かな作品でしたが、今作はギター、ベース、ドラムに中国古筝、二胡、篠笛、太鼓などの楽器が合わさり、沖縄・アジアンな要素が加味された1枚。

 リトル・クリーチャーズのインストに和のテイストが入って、青柳拓次による朴訥とした味のある歌声が乗った雰囲気。日本語にこだわった歌詞も魅力です。

 ちなみに、タイトルや風貌から大酒飲みのイメージがありましたが、青柳拓次はお酒飲めないそうです。森 陽馬

2010年8月30日(月) James & Bobby Purify 「I'm Your Puppet」

 フロリダ出身のジェイムス&ボビー・ピュリファイは1960年代中期に活躍した従兄弟関係のソウル・デュオ。

 ふたりのソウルフルなハーモニーや掛け合いはなかなかスリリングで、サム&デイヴに匹敵するものがあったと思うのですが、日本ではソウル・ファン、もしくは60'sヒット・マニア以外にはほとんど知られていない存在なのが残念です。

 この曲はダン・ペンの作品。名曲です。
 ソウルといっても、わりと親しみやすいメロディで、1966年にビルボード誌ポップ・チャートのベスト10に入ったのも頷けます。

 ミディアム・バラードの曲調にしては、ちょっと強めのドラムスのビートもそんなポップな要素と絡み合って実にいい感じで、かわいらしいグロッケンの音も印象的です。

 この「アイム・ユア・パペット」以外にも、大ヒットではないものの66〜68年にかけて彼らは7曲のチャート・インを持っていますが、このCD(『Shake A Tail Feather! The Best Of James & Bobby Purify』 sundazed SC11096)にはその全部が収録されています。森 勉

2010年8月31日(火) Crooked Still 「You Got The Silver」

 ウィルコやライアン・アダムスなどが活動の幅を広げていた数年前、“ネオ・カントリー”という新しい世代のカントリー・ジャンルが音楽誌で使われたことがありましたが、その“ネオ・カントリー”ともまた違った新しい世代によるカントリー/ブルーグラスのミュージシャンが色々と出てきているようです。

 今日紹介するこのクルックド・スティルというバンドは、ボストンを拠点に活動している男3・女2の5人組。
 バンジョー、チェロ、ウッド・ベース、フィドルに女性ヴォーカル、という編成で、タイトル『Some Strange Country』通り、旧来のカントリー/ブルーグラスに新しい息吹を吹き込んだサウンドを聴かせてくれます。(輸入CD Sigunature Sounds SIG-2029)

 バンジョーの早弾きと女性シンガーの絡みが魅惑的なA「The Golden Vanity」ほか、ドラムレスを感じさせない多彩な楽曲と、チェロ&フィドルの奏が新鮮に響きます。

 ラスト12曲目では、ローリング・ストーンズの名曲を独特なブルーグラス・アレンジでカヴァー。アリソン・クラウスお好きな方にもオススメですね。森 陽馬






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