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  今日のこの1曲 “Archives”

<2017月11月>

当店ペット・サウンズ・レコード店にて
その日に店内でかけていた曲の中から、
店員の独断と偏見で選んだ“今日のこの1曲”コーナー

2017年11月に更新した“今日のこの1曲”コーナー


廃盤・生産中止、規格番号の変更など、
情報が古くなっている商品もございますが、ご了承くださいませ。

<最新の“今日のこの1曲”はこちらのページをご覧ください>


2017年11月1日(水) トリプルファイヤー 「野球選手になるために」

全世界数千人のトリプルファイヤーファン皆々様、お待たせしました!
待望の4作目『FIRE』が遂に発売!

トリプルファイヤー『FIRE』
(国内CD 初回限定盤のみライヴCD付 WAVE-04 2,000円+税)

トリプルファイヤーは2006年結成、吉田靖直(Vo)・鳥居真道(g)・山本慶幸(b)・大垣翔(dr)による4人組。
テレビ番組『タモリ倶楽部』に吉田靖直が時々出演しているので、最近知ったという方も多いかもしれませんね。

2015年発表3作目『エピタフ』(
2015年10月22日今日のこの1曲で紹介)は聴き込むほどクセになる傑作でしたが、今作『FIRE』はサウンド面でも更に進化。
吉田靖直のナンセンスな詞だけでなく、楽曲&演奏アレンジも魅力タップリの仕上がりです。

今日のこの1曲は、4曲目「野球選手になるために」。
ニューオリンズ的な変則リズムと、ツッコミどころ満載な歌詞が最高な1曲。

初回限定盤のみ2017年9月8日渋谷O-nestでのライヴを収録したボーナスCD付。
更には、当店のみの先着特典として、"あなたの心も燃やす!?"FIREライタープレゼント中!


彼らの存在をキワモノと捉えるか、はたまた日本音楽界の救世主ととるか。
是非その耳で確かめてみてください。森 陽馬


2017年11月2日(木) シリア・ポール 「夢で逢えたら」

ナイアガラ/大滝詠一関連商品がリリースされる毎年恒例の3月21日。
2018年3月21日発売タイトルが発表されました!

なんと!!!
シリア・ポール『夢で逢えたらVOX』!!!
(2018年3月21日発売 2LP+2EP+4CD 全8枚組 SRJL-1112 20,000円+税/通常盤2CD 3,000円+税)

女性シンガー、シリア・ポールが大瀧詠一プロデュースで1977年発表した名盤が待望の復刻です。

プロデューサー大瀧詠一が異なるスタジオでミックスダウンした3つのマスターテープを軸に、シングル・ヴァージョン、ライヴ音源、アウトテイク、プロモ、カラオケ、CM音源ほか未発表を多数収録した究極のコレクターズ仕様!

2枚組LPはロンドン/メトロポリス・スタジオにおける最新ハーフスピードカッティングマスター180g重量盤仕様。
NIAGARA 45RPM VOXには入らなかった『夢で逢えたら』アナログEP&プロモ・シングルも収録!
更に、シリア・ポールの近況や綿密な取材に基づいて構成された原稿・未公開写真含む豪華ブックレット付!

まさに『夢で逢えたら』セッションの全貌が刻み込まれたナイアガラファン垂涎のBOXとなりそうです。

このVOXを2CDに凝縮した通常盤(3,000円+税)、CD3枚組『夢で逢えたら SONG BOOK』も同時発売予定。
来年春が楽しみになりましたね。絶賛予約受付中です。森 陽馬


2017年11月3日(金) 鈴木茂 「微熱少年」

2017年11月3日<レコードの日>。
開店時からお越しいただいたお客様、通販でお買い上げいただいた方、皆々様ありがとうございました。

東京では深夜降り続いていた雨も朝方には上がって、絶好のレコード日和になりましたね。

レコードの日記念として、当店にて2,000円以上お買い上げの方にロゴ入り特製タオルをプレゼント中です。

レコードの日関連商品以外でも、2,000円以上お買い上げならば先着で差し上げております。
店頭ではなく通販お買い上げでもお付けできますので、よろしければ是非。

さて、様々なジャンルのアナログ盤が出ましたが、当店一番人気はこの1枚でした。

鈴木茂『BAND WAGON』
(国内LP CRJ-1012 3,800円+税)

はっぴいえんど、キャラメルママ、ティンパンアレー、そしてソロとして現在も活躍中の名ギタリスト、鈴木茂。
1975年アメリカ西海岸にてタワー・オブ・パワー、リトルフィートのメンバーを迎え録音した大名盤です。

松本隆が全曲の作詞を担当。
その中から、松本隆の長編小説処女作のタイトルとなった「微熱少年」を今日のこの1曲に。

なお、このアナログ・レコードは、オリジナル盤と同じく非常に高いカッティング・レベルで収録されているとのこと。
針圧調整機能が付いていないプレイヤーだと音飛びする可能性もあるそうなので、ご了承ください。森 陽馬


2017年11月4日(土) Squeeze 「Rough Ride」

1stアルバムを発表してから、2018年で40周年を迎えるイギリスのバンド、スクイーズ。

前作『Cradle To The Grave』から、約2年ぶりの新作『The Knowledge』がリリースされました。
(輸入CD LVCRCD004)

還暦を迎えてもますますパワフルなグレン・ティルブルックと、全曲の詞を手掛けるクリス・ディフォードのコンビを中心に、今作では新たに女性ベーシストのヨランダ・チャールズ(ポール・ウェラーのバック他)、ダーティ・ヴェガスのスティーヴ・スミス(パーカッション担当)の2人が加入。
前作にも参加したメルヴィン・ダフィー(ウォーターボーイズ)やデニス・グレイヴス(ナイン・ビロウ・ゼロ)の名も。

先行シングルである1曲目「Innocence In Paradise」がマイナー調の曲だったので、全体的に地味かなと想像していたのですが、コーラスやアレンジも前作以上に作り込まれ、スクイーズらしい少しひねくれたポップな曲が並んでいます。

救急医療、政治、男性の体のこと、フリートウッド・マックがテーマらしい「Albatross」という曲があったり…。
ポップなメロディとは裏腹に詞には辛辣さや毒気が含まれていたりするので、やはり歌詞対訳を読みたいですね。

今日の1曲は、オペラのような女性コーラス&子供コーラス、ディスコティックなノリの良いナンバー「Rough Ride」。
ライヴで盛り上がりそうです。

2016年4月にはスクイーズとして久々に来日、とっっっても楽しいステージを披露してくれました。
来年またバンドで来てくれると嬉しいです。もし来日が決まったら是非お見逃しなく!東尾沙紀


2017年11月5日(日) ブルース・ブラザーズ 「監獄ロック」

1980年製作映画『ブルース・ブラザーズ』は何回観ても楽しめる傑作コメディ映画であり音楽映画だと思います。

ハチャメチャでありながら、随所に絶妙のくすぐりと音楽ファンを唸らせるレジェンド(ジェイムス・ブラウン、アレサ・フランクリン、レイ・チャールズ、ジョン・リー・フッカー、キャブ・キャロウェイ)を登場させる演出は拍手喝采ものです。

脚本を書いたのは監督でもあるジョンランディスとエルウッド役で主演も兼ねているダン・エイクロイド。
人気TV番組『サタデー・ナイト・ライブ』を豪華に発展させたストーリーですが、そもそもの発想が素晴らしいですね。

ジョン・ベルーシとダン・エイクロイドでブルース・ブラザーズ!
スティーヴ・クロッパー、ドナルド・ダックダン、マット・マーフィーなど本物のミュージシャンを配するこだわり。

今日はその映画サントラ盤からこの1曲。
ド派手なカーチェイスの末、結局刑務所に戻って歌う「監獄ロック」。

このシーンで囚人の1人としてなんと、ジョー・ウォルシュが出演しています。

この映画にはその他にもちょい役の有名人が多数出演しているんですよね。
パトカーに乗る警察官役のスティーヴン・ビショップとジョン・ランディス。
サウナで出会う大物にスティーヴ・ローレンス。
エルウッドがナンパしようとする妖艶な美女にツイッギー。
役所の受付人スティーヴン・スピルバーグ・・・などがさりげなく出ています。

本当に楽しい映画です。森 勉

★掲載ジャケットは『ブルース・ブラザーズ・オリジナル・サウンドトラック』
(国内CD 完全生産限定価格盤 解説・歌詞・対訳付 WPCR-28516 1,000円+税)


2017年11月6日(月) かせきさいだぁとザ・なつやすみバンド 「Quiet School」

先週末11月4日、第12回東京蚤の市へ行ってきました。

京王多摩川駅にある競輪場、東京オーヴァル京王閣の敷地内全体で行われるマーケット市。
天候にも恵まれ、たくさんの人で賑わっていました。

有形な<モノ>に価値が見出されなくなり、無形な対象が重宝されるようになった現代。
多くの来場客が目を輝かせて、様々な<モノ>を手に取っている光景を見て、レコード・CDを販売している僕としては、心が洗われ勇気づけられる思いでした。
(レコードを扱っている店が少なかったのは残念でしたが、、、)

この東京蚤の市は入場料500円ですが、場内ステージでミュージシャンのライヴも行っていて、僕が行った日は栗コーダーカルテット、ビューティフル・ハミングバード、Drakskip Trio、ザ・なつやすみバンド等が出演。

最後に登場したザ・なつやすみバンドは、「S.S.W(スーパーサマーウィークエンダー)」の歌詞♪毎日が夏休みだったらいいのになぁ~♪のところを、♪毎日が蚤の市だったらいいのになぁ~♪と変えて歌ったりして素敵なライヴでしたね。

今日のこの1曲は、そのザ・なつやすみバンド関連最新リリースから。
かせきさいだぁとザ・なつやすみバンド「Quiet School」
(国内アナログEP TRRD-1004 1,500円+税)

なお、蚤の市ライヴ時は、かせきさいだぁのRAP部分をMC sirafuが頑張ってやっていて良かったです。森 陽馬


2017年11月7日(火) ザ・フロント・ロウ 「ただ逢いたくて」

2016年2月に逝去した村田和人さん。
先生であり、父であり、ブラザーであり、そして太陽のような存在でしたね。

人それぞれ、様々な感じ方があるでしょうが、いなくなってからの方が村田さんのことを想う機会が増えました。
村田さんだったらこうおっしゃるだろうな、歌っていただろうな、etc...。

そのような村田さんへの皆の大切な想いを受け止め、彼が残した未発表楽曲へ紡いだこの1枚。

ザ・フロント・ロウ『この空の向こうに』
(国内CD IMCT-0008 2,315円+税)

ザ・フロント・ロウは、村田和人さんの一番弟子であり親友であった川崎太郎(Vo&G)と佐藤正彦(G)、人見欣幸を中心に、村田さんの実息子である村田彼方(Dr)、そして山本耕右(B)を新メンバーとして迎えた5人組バンド。

村田さんが生前録音し残した41個の音楽Files(メロディー)。
それを託された川崎太郎さんが、歌詞を付け完成させた①「この空の向こうに」、⑩「七色のクレヨン~41 files~」。
そして湯川トーベンと村田和人による1990年代の共作曲「雨の日には」カヴァー以外のオリジナル楽曲にも、そこかしこに村田和人さんを感じられる全10曲。

太郎さんのフェイヴァリットであるアイズレー・ブラザーズや日本シティ・ポップ等への音楽愛、そして村田愛。
2014年作『出会えてよかった』と比べ、より温もりや優しい眼差しを感じさせます。

今日のこの1曲は、エレクトリック・シタール的な音色とメロウな楽曲が沁みる「ただ逢いたくて」。森 陽馬


2017年11月8日(水) 大橋トリオ 「Amy Said」

9月末から順次公開されている日本映画『Amy Said (エイミー・セッド)』を先日鑑賞しました。

大学の映画研究会のマドンナだったエミが亡くなって20年。
その命日に久し振りに集まった仲間8人が、思い出話に花を咲かせつつ、彼女の死によってそれぞれ抱えてきた想いがぶつかりあっていく...ほぼバーでの会話劇でみせる<大人の青春映画>です。

嫉妬だったり、後悔だったり...渦巻く心情を掻き立てるようなjan and naomiの音楽も良く、ある大事なシーンでのギターにぞわぞわしました。

ラストには、本人役で少し出演している大橋トリオが映画と同タイトルの主題歌「Amy Said」を弾き語るシーンも。
それまでシリアスなシーンが多めですが、大橋さんの穏やかなメロディと、フィルムのあたたかな映像が重なり、パーっと霧が晴れていくような気分になりました。

映画や俳優の名前も会話の中に色々登場するので、洋画に詳しい方も楽しめるかと思います。東尾沙紀

★掲載ジャケットは、「Amy Said」(作詞:Emi Mayer 作曲:大橋トリオ)収録の限定7インチ・アナログ盤。
2017年春ライヴ会場でCD販売され、即完売したナンバーをアナログ化したものです。
(国内アナログEP TYO7S-1002 1,500円+税)


2017年11月9日(木) 細野晴臣 「Angel On My Shoulder」

細野晴臣のニュー・アルバム『Vu Ja De』(ヴ・ジャ・デ)が11月8日発売になりました。
(国内CD 初回限定 写真満載34ページブックレット付 細野晴臣解説付 VICL-64872 3,300円+税)

待望です。
前作『Heavenly Music』が2013年5月発売でしたから、4年6カ月ぶりということになります。

今回は2枚組。
収録時間的には1枚のCDに入る分量ですが、コンセプト別にディスクを分けてあります。

ディスク1は『エイト・ビート・コンボ』と題されており、細野晴臣お気に入りの外国曲が8曲選ばれ、独特な味付けでカヴァーされています。

ディスク2は『エッセイ』と題され、細野晴臣のオリジナル曲が12曲。
Eテレ『2355』テーマ曲、いろいろなCM曲や石川さゆり、中川翔子への提供曲をセルフ・カヴァーしたものなどに加え、新曲「州埼パラダイス」も収録。
この曲の解説を読むと、大滝詠一同様細野も10年ほど前、昭和の古い映画に誘われて撮影された場所を訪ね歩いたとのこと。はっぴいえんどのこの二人のこだわりは同じ方向に向いていることが多いんですね。

そんなことも発見できた自身の書き下ろしライナーノーツもこのアルバムの魅力のひとつです。

今日のこの1曲は、ディスク1から選んでみました。
1961年にボビー・ヴィーでチャートに登場し、1980年レオ・セイヤーがカヴァーして大ヒットした「モア・ザン・アイ・キャン・セイ」もいいと思ったのですが、低音の魅力が強調された「エンジェル・オン・マイ・ショルダー」を。

1960年発表のシェルビー・フリントの清楚なヴァージョンとは違うやさぐれ感が耳に残ります。森 勉



2017年11月10日(金) Chris Hillman 「Wildflowers」

2017年10月2日急逝したアメリカン・ロックの雄、トム・ペティ。

彼が関わった仕事/プロデュース・ワークとして、これが最後の作品かもしれません。

Chris Hillman『Bidin' My Time』
(輸入CD rounder 1166100249)

ザ・バーズのオリジナル・メンバー、フライング・ブリトー・ブラザーズ、マナサス在籍で知られるクリス・ヒルマン。
2017年発表、久々のソロ・オリジナル・アルバムです。

サウンド・プロデュースをトム・ペティが担当し、ベンモント・テンチやマイク・キャンベル等トム人脈から、デヴィッド・クロスビー、ロジャー・マッギン、ハーブ・ペダーセンといった古くからの盟友も参加。

彼が辿ってきたカントリー・ロックの道をじっくり楽しめる全12曲です。

今日のこの1曲は、アルバム・ラストに収録されているトム・ペティ作「Wildflowers」カヴァーを。森 陽馬


2017年11月11日(土) Neil Young 「Throw Your Hatred Down」

2017年11月12日はニール・ヤング72歳の誕生日!
おめでとう!ニール!!

ニールは年初オーストラリアツアーから待望の来日がほぼ確定していたものの急遽全キャンセル。
更にRock&Roll Hall Of Fame 2017(ロックの殿堂)授賞式にて、パールジャムのプレゼンターを務める予定がこれも病気のため直前で辞退。
秋に1976年録音未発表作『ヒッチハイカー』をリリースしたものの、ファンからは体調不良を心配されていました。

しかしながら先日、2017年12月新作オリジナル・アルバム『Visitor』を発売すると公式サイトで突然の発表!
Neil Young & Promise Of The Real『Visitor』

いや~、さすがニール・ヤング! 凄いなあ。
「錆びつくより燃え尽きたい」と歌ったニールも72歳。
錆びつこうが、周りがどう言おうが、燃えている限り歌い続けて欲しいですね。

ということで、今日は僕の大好きなニール・ヤングの曲から今日のこの1曲。

1995年発表、パールジャムをバック・バンドに従え4日間で録音したアルバム『Mirror Ball』(輸入CD Reprise/Warner)から、疾走感あるバック演奏を不屈の魂で吹き飛ばすような「Throw You Hatred Down」を。森 陽馬


2017年11月12日(日) ダン・ペン&スプーナー・オールダム 「アイム・ユア・パペット」

1966年全米チャートベスト10に入る大ヒットとなったR&Bデュオ、ジェイムス&ボビー・ピュリファイ「アイム・ユア・パペット」は、当時から大好きな1曲でした。

ドラムスのビートとソウルフルなヴォーカルが適度にポップな雰囲気を運んでくれ、中学生にもわかるイイ曲だったのです。

その時はまだこの曲を作った人たちのことは何も知りませんでした。
それから10年ほど過ぎて、ダン・ペンとスプーナー・オールダムの名前をやっと認識して、コンポーザーとして注目するようになったわけです。

ということで、今日はダン・ペン&スプーナー・オールダム『コンプリート・デュオ・レコーディング』から1曲目に入っている「アイム・ユア・パペット」を。(国内仕様CD+DVD MSIG-1024 3,200円+税)

1998年の名作ライヴCDにプラスして、2006年のライヴDVDをパッケージしたお徳用盤です。

ダンのアコースティック・ギターとリード・ヴォーカル、スプーナーのエレクトリック・ピアノとハーモニー・ヴォーカルだけの音作りなのに、なんと豊潤な音の世界が繰り広げられるライヴなんでしょう。
CDは14曲、DVDは22曲収録されています。森 勉


2017年11月13日(月) Bruce Cockburn 「3 Al Purdys」

2017年11月13日朝、東京含め今季一番の冷え込みとなりました。
寒いのが苦手な僕にとっては、辛い季節がやってきたなぁ、、、と早くも春の訪れを切望している今日この頃です。

しかしながら、寒くなると聴きたくなる音楽というのもありますね。

カナダ出身男性シンガー・ソングライター、ブルース・コバーンも冬に聴きたくなるミュージシャン。
(1971年発表2nd『雪の世界』(
2008年1月21日今日のこの1曲で紹介)のイメージも大きいかもしれませんが。)

そのブルース・コバーン2017年発表オリジナル作『Bone To Bone』から今日のこの曲。
(輸入CD True North TND678)

同じくカナダ出身コリン・リンデンプロデュースにより、ルーツに根差したバンド編成でレコーディングされた1枚。

20世紀カナダを代表する詩人Al Purdyへ捧げた⑤「3 Al Purdys」から、⑥「looking And Waiting」を挟み、彼らしいアコースティック・ギター・インスト⑦「Bone To Bone」へ続く流れを堪能しながら、冬支度するとしましょう。森 陽馬


2017年11月14日(火) アレサ・フランクリン 「リスペクト」(2017ニュー・ヴァージョン)

アレサ・フランクリンのすてきなアルバムが出ました。

アレサ・フランクリン・ウィズ・ロイヤル・フィルハーモニック・オーケストラ『ア・ブラン・ニュー・ミー』
(国内CD ワーナー WPCR-17925 解説(吉岡正晴)・歌詞・対訳付 2,200円+税)

アレサがアトランティック・レコードへ移籍して今年で50周年。
このアルバムは1960年代後半から1970年代前半のアレサの楽曲中から14曲を選び、ヴォーカル部分とバック演奏の一部を抜き出したトラックに、ロイヤル・フィルハーモニック・オーケストラの演奏を新たに加えたものです。

原曲ももちろん良かったのですが、オーケストレーションされ新しく甦った楽曲たちは新鮮な感覚に溢れています。

映画『ブルース・ブラザーズ』でも歌われた「シンク」、バカラック作品を大胆にアレンジした「アイ・セイ・ア・リトル・プレイヤー」、ジェリー・ゴフィン&キャロル・キング作の名曲「ナチュラル・ウーマン」、カーティス・メイフィールド作「ピープル・ゲット・レディ」、語りが沁みる「エンジェル」など全14曲。どれも聴き応えがあります。

今日は彼女の最大ヒットとなった1967年「リスペクト」を選んでみました。

オーティス・レディングとテッド・ホワイトの共作。
スウィート・インスピレーションズのコーラスとの掛け合う迫力のヴォーカルはそのままですが、思わせぶりなイントロのストリングスが加わり、ドラムスのビートが強調されなんとも魅力的なヴァージョンに仕上がっています。森 勉


2017年11月15日(水) Lucinda Williams 「Something About What Happens When We Talk」

2018年1月で65歳を迎えるアメリカの女性シンガーソングライター、ルシンダ・ウィリアムズ。

最新作『This Sweet Old World』が、今年の夏頃にリリースされています。
(輸入CD H2005)

新作は、92年に発表された4作目『Sweet Old World』の25周年記念盤として、再レコーディングされたもの。
曲順も少し並び替えられ、4曲のボーナス・トラックが追加されています

近年サポートを務めるスチュアート・マティス(g/ex.The Wallflowers)、ブッチ・ノートン(dr/EELS)、デヴィッド・サットン(b)、今作のエンジニアでもあるデヴィッド・ビアンコ(Key)、グレッグ・リーズ(g,lap steel)が参加。

瑞々しい12弦ギターのイントロから始まる「Six Blocks Away」、今作で最もロックな「Hot Blood」の重厚感、苦味のある歌声が沁みるバラード「Something About What Happens When We Talk」...。

当時のアレンジよりシンプルながら音に重みが増し、フォーキーな曲はより枯れた雰囲気に。
60代の今だからこそ出せる深味を堪能できる1枚。かっこいいです。東尾沙紀


2017年11月16日(木) Fitness Forever 「Tonight」

ウワノソラ『陽だまり』、大好評発売中です。

そのウワノソラのサウンド・プロデュース&アレンジを一手に担っている角谷博栄さんが先月ご来店。
最近気に入っているアーティスト/作品は?と質問したら、「Fitness Forever」という返答でした。

Fitness Foreverは、<ナポリの渋谷系>とも評されるイタリア/ナポリ出身男女混成7人組ポップ・ユニット。
彼らの2017年録音最新オリジナル・アルバム『Tonight』が超ゴキゲンだったので、そこから今日のこの1曲。

Fitness Forever『Tonight』
(輸入CD Elefant records ER-1221)

スペインのインディー・レーベル、Elefant recordsからの今作は80'sPop/Discoの素敵な要素を散りばめた1枚。

マイクロスター「Tiny Spark」を聴いた後に作ったのでは?と思えるようなタイトル曲①「Tonight」他全9曲、ウワノソラ角谷さんがフェイヴァリットに挙げたのも頷ける見事なサウンド・アレンジ。

今秋ヘビロテ中のラッキー・ソウル『HARD LINES』に続く、2017年ディスコ・ポップ愛聴盤となりそうです。森 陽馬


2017年11月17日(金) ブルー・ペパーズ 「ふたりの未来を」feat.佐々木詩織

福田直木、井上薫による新世代シティ・ポップ/AORユニット、ブルー・ペパーズ。

お互いに作詞・作曲、マルチ・プレイヤーである2人がデビューして約2年。
待望の1stフル・アルバム『レトロアクティヴ』が今週リリースされました。
(国内CD VSCD-3196 2,500円+税)

今作には7曲の新曲に加え、2015年発表デビュー作『ブルー・ペパーズEP』から佐々木詩織のヴォーカルをフィーチャーした名曲「6月の夢」、「汗は甘い口づけ」の2曲、2017年7月に7インチ・シングル(CD付)で発表された「ずっと feat.佐々木詩織」とカップリングの「秋風のリグレット」も収められています。

新作でありながら、ベスト盤ともいえる内容の濃い1枚♪

今日の1曲は、ブルー・ペパーズ・サウンドに欠かせない存在となっている佐々木詩織さんを再度フィーチャーした「ふたりの未来」を。
彼女の溌剌な歌声がのると曲がいっそう華やかになりますね。とてもポップで良い曲です。

もう1人のゲスト・ヴォーカル、星野みちるさんがほんのりと歌い上げるセンチメンタルな「コバルトブルー」もオススメです。
70~80年代ロック~AORを踏襲したサウンドはもちろんですが、聴くと口ずさみたくなる良いメロディが詰まっていて嬉しくなります。東尾沙紀


2017年11月18日(土) アート・ガーファンクル 「Perfect Moment」

2017年11月17日アート・ガーファンクル、渋谷オーチャードホールでの公演を観に行きました。

温もりある歌声に心がほっこりする至福のライヴでしたね。

アートは今年で76歳。
2010年以降声帯の不調により高い声は出にくくなりましたが、サイモン&ガーファンクル時代の歌からソロでの人気曲、ランディ・ニューマンやジョージ・ガーシュウィン作カヴァーなど、心を込めて唄ってくれました。

そう、彼の歌は単なるヒット曲ではなく、その時代を象徴する曲というのでもなく、老若男女それぞれの人生に優しく寄り添ってきた歌であり、その様々な人生での想い出をそっと優しく差し出してくれたように感じました。

2014年来日時はサポート・メンバーがアコースティック・ギタリストだけでしたが、今回はキーボード奏者も加わり、僕が大好きなジミー・ウェッブ作による隠れた名曲「Skywriter」(
2016年8月14日今日のこの1曲で紹介)を生で聴けてとてもうれしかったです。

個人的に最も感動した1曲は「Perfect Moment」。
2002年発表アルバム『Everything Waits To Be Noticed』(邦題:心の散歩道)収録。
バディ・モンドロックとピアース・ペティスというソングライターによる共作曲。

美しい心に残る瞬間。
瞼から離れないあの日の記憶。
アートの歌は、胸に去来する想い出を夢見させてくれました。森 陽馬


★掲載ジャケットは「Perfect Moment」収録、2012年リリース2枚組ベスト盤CD『シンガー』。
(国内CD 解説・歌詞・対訳付 SICP-20426 3,800円+税)


2017年11月19日(日) YUSUF (Cat Stevens) 「I'm So Sleepy」

アート・ガーファンクルと同じように、この人の歌声を耳にすると心洗われるような気持ちになります。

英国出身シンガー・ソングライター、キャット・スティーヴンス。
イスラム教へ改宗した後、Yusuf名義で作品を発表している彼の2017年発表アルバム『Laughing Apple』。
(輸入CD DECCA/CAT-O-LOG B0027220-02)

これが素晴らしいアルバムで、聴く度に感動しています。

1970年発表名作『Tea For The Tillerman』(邦題:父と子)と同じくPaul samwell-Smithプロデュース。
また、当時参加していたギタリストAlun Daviesも参加。

付属ブックレットには、キャット自身による絵が各楽曲毎描かれ、歌詞カードは絵本のような仕様。
まさに『Tea For The Tillerman』(父と子)を引き継ぐようなコンセプト的作品です。

今日のこの1曲は、アルバム・ラスト11曲目「I'm So Sleepy」。
祈るような彼の歌声、センチメンタルなメロディーが子守唄のように優しく響きます。森 陽馬


2017年11月20日(月) Jim Kweskin 「The Way You Look Tonight」

2013年1月26日ヴァン・ダイク・パークスが来店した時のこと。(詳細はこちらのビルボードHPをご参照下さい)

<ヴァン・ダイクが選んだCDをプレゼント!>というビルボード・ライヴの企画で、当店にてそのCDを選んでいただいたのですが、ヴァン・ダイクが一番最初にピックアップしたのが、ジム・クウェスキンでした。

「クウェスキンは、アメリカのルーツ・ミュージックには欠かせない人物だ。」(ヴァン・ダイク・パークス談)

ジム・クウェスキンは1940年アメリカコネチカット州スタンフォード生まれ。
1960年代前半フリッツ・リッチモンド、ジェフ&マリア・マルダー等とジム・クウェスキン&ザ・ジャグ・バンドを結成。
2013年4月、結成50周年を祝し来日公演を行ったのも記憶に新しいですね。

2017年で77歳となったそのジム・クウェスキンがソロ・アルバムを発表しました。

Jim Kweskin『Unjugged』
(輸入CD ジム本人による楽曲解説付 Homebeam Recordings HBR-0005)

タイトル通り“ジャグしていない”今作は、Bonnie Dobson、Ben Paley、Tali Trow、Bill Dentonと共に、1930年代から伝わるトラディショナルなルーツ・ナンバー等全15曲をフォーキー&小粋なアレンジで聴かせる1枚。

今日のこの1曲は、12曲目「The Way You Look Tonight」(邦題:今宵の君は)。
オリジナルはフレッド・アステア主演ミュージカル映画『Swing Time』(有頂天時代)の主題歌。

味わい深い歌とギターに郷愁を覚える心持ちになります。森 陽馬


2017年11月21日(火) 竹内まりや 「OH NO, OH YES!」

竹内まりやが1987年8月に発表したアルバム『リクエスト』の30周年エディションが発売になりました。

2017年最新リマスター、そしてボーナス・トラックが6曲追加されています。
山下達郎、能地祐子による曲目解説もブックレットに掲載され、ミュージシャン・クレジットもわかるようになっています。

竹内まりや『リクエスト』30th Anniversary Edition
(国内CD 山下達郎・能地祐子による解説・歌詞付 WPCL-12756 2,200円+税)
先着でポストカード&当店作成発売記念リーフレットプレゼント。

ボーナス曲はサックス・ソロやコーラスが違う「テコのテーマ」シングル・ヴァージョン。
ミックス違いの「夢の続き」('89CDシングル・ミックス)。
歌詞などが違う「時空の旅人」初期ヴァージョンである「Good Bye」。(今回初めて発表される未発表音源)
そして、「恋の嵐」、「元気を出して」、「駅」のカラオケ含む6曲。

オリジナル・フォーマットの10曲はベスト盤『エクスプレッションズ』に収録されリマスターされた曲もありますが、アルバム『リクエスト』としては1999年以来のリマスターになるので、とても新鮮な音質になっています。
ソフトで優しい抜けのいい音とでも表現しましょうか、とても耳ざわりがいいのです。

『リクエスト』の中で一番よく聴いてしまうのは2曲目に入っている「OH NO, OH YES!」です。

80'sブラコン・テイストのオケがいい効果をあげていると思います。
アレンジャー山下達郎としても「凝りに凝った自信作のアレンジ」(今回の解説より)だそうです。森 勉


2017年11月22日(水) Nick Heyward 「I Can See Her」

2017年夏頃に発表され評判となっている、ニック・ヘイワードの約20年ぶり新作『ウッドランド・エコーズ』。
国内盤が本日発売になりました。
(国内CD 多屋澄礼氏による解説・歌詞・対訳付 HYCA-3065 2,400円+税)

ヘアカット100のメンバーとしてデビューし、2017年で35年...。
現在56歳。前作から随分間も空きましたが、枯れゆくどころか、メロディも歌声も以前にも増して瑞々しさに溢れていて、まさに<エヴァーグリーン>という言葉がぴったりな1枚♪

流行りに捉われない、メロディを重視した音作りは健在です。
カントリーやジャズなどのテイスト、温かみのあるハーモニーも取り入れ、彼らしい爽やかサウンドで楽しませてくれます。

今日の1曲は、♪彼女こそ僕にとって唯一の人~♪ゆったりとした「I Can See Her」。
この曲に限らず、今作の曲の情感豊かでロマンチックな詞には、ラヴやハッピーな空気が漂っています。

さらにもう1枚、ボーナス・トラックを収録したディスクが付いた2枚組!
こちらはロック・サイドともいえる「Angelfish」と「Make It Happen」、ウクレレが印象的な「Back Together Again」の3曲が収められています。東尾沙紀


2017年11月23日(木) ビージーズ 「イン・ザ・モーニング」(1966年ヴァージョン)

バリー、ロビン、モーリスのギブ兄弟はイギリス/マンチェスター生まれ。

1958年に父親の仕事の関係でオーストラリアへ移住、
1963年にレコード・デビューし、オーストラリア、ニュージーランドでは徐々に人気者になっていきました。

1967年イギリスへ戻り、ビージーズとして世界デビューを果たし、その年だけでも「ニューヨーク炭鉱の悲劇」、「トゥ・ラヴ・サムバディ」、「ホリデイ」、「マサチューセッツ」と連続してヒットを出す人気グループになりました。

ビージーズ『アンソロジー1963~1966』
(国内CD 解説・歌詞付 テイチク TECI-27721 2,500円+税)

このCDは彼らのオーストラリア時代の貴重な音源を全27曲収録しています。

全27曲中バリー・ギブ作品22曲、ロビン・ギブ作品2曲、カヴァー3曲という内訳で、十代の頃からバリーの作曲能力が非凡なものだったことがわかります。(ロビンの2曲も)

アレンジも含めて曲全体の完成度という点では、世界デビュー後の作品と比べると若さが出ていますが、兄弟ならではのハーモニーはもうこの頃からその片鱗を感じさせてくれるものが多くあります。

今日のこの1曲は、映画『小さな恋のメロディ』でも使われ、日本ではシングルとしてもヒットした「イン・ザ・モーニング」の1966年録音初期ヴァージョンを。森 勉


2017年11月24日(金) 鈴木祥子 「Stand Up! Gurls」(Demo2010)

2018年でデビュー30周年(祝!)となる鈴木祥子さん。
彼女の新アイテム、2012年発表クリスマス・アルバムのComplete Editionが本日入荷しました。

鈴木祥子『Merry Christmas from BEARFOREST RECORDS ~ベアフォレストのクリスマス~』 Complete Edition
(国内CD2枚組 20ページブックレット付属 BECD-018 3,500円+税)

入手困難になっていたクリスマス作にボーナス・トラックを多数追加。
更に、今回付属されたディスク2に珍しい音源が多数収録されてます。
(高校3年生の時に組んでいた女の子バンド、メルティ・マーブルの1983年デモ音源も!
瑞々しいメロディーと祥子さんのドラミングはファン必聴ですね。)

今日のこの1曲は、ディスク2の1曲目に収録されている「Stand Up! Gurls」(demo2010)。

2010年鈴木祥子さんが坂本真綾さんへ書き下ろした楽曲「Stand Up! Girls」を自身で多重録音している貴重音源。

大滝詠一ラジオ『ゴーゴーナイアガラ』のジェフ・バリー&エリー・グリニッチ特集でかかったThe Exciters「Do Wah Deddy」に触発され書かれた楽曲とのことで、♪ドゥ・ワ・ディディ♪のフレーズも織り込まれているナンバー。
祥子さんの大滝詠一愛、ジェフ&エリー愛が伝わってきますね。

なお、今作のヴァージョンは、アレックス・チルトンへの敬意を表し、「Girls」が「Gurls」になってます。
(ブックレットの鈴木祥子さん本人による解説参照) 誤字ではありませんのでご承知のほど。

ちなみに、
当店のみの先着特典として、ジャケットとは別デザイン写真のバッチ2種!

そして、
鈴木祥子さんへの最新インタビュー・リーフレットも差し上げています。

そのインタビューでは、大滝詠一カヴァー集を何があっても絶対作る!と宣言。2018年が楽しみです。森 陽馬


2017年11月25日(土) Neil Young 「One Of These Days」

毎年4月にあるRECORD STORE DAY、その秋版と言える11月BLACK FRIDAY限定アナログが入荷。

アレサ・フランクリン名曲群にロイヤル・フィルハーモニック・オーケストラの演奏を新たに加えたアルバム(2017年11月14日今日のこの1曲で紹介)からの7インチ・カット「Respect」、新緑クリスマス・オムニバス作『HOLIDAYS RULE VOL.2』からポール・マッカートニー「Wonderful Christmas」新ヴァージョンの7インチ・カット、クイーン「We Are The Champions」12インチ等。

その中から、個人的にうれしくて即購入したこの1枚。

Neil Young『Harvest Moon』
(輸入LP REPRISE 563181-1)

ニール・ヤング名盤『Harvest』(1972)から20年を経た1992年に発表された人気作『Harvest Moon』。
レコードからCDへ移行した時期であったため、発売当時アナログがほとんど流通しなかった作品。

発売から25年を経た2017年、アメリカ/カナダでは初!2枚組アナログLPで復刻されました。

アコースティックのニールの良さを堪能できる素晴らしいアルバムなんですよね。
ホント、この季節にピッタリな感じ。

特に好きな曲は「One Of These Days」。
♪今までに出会った大切な友人たちへ長い手紙を書こう。そう先のことじゃなく、きっとそのうちに...♪
という内容の歌詞がまた良いのです。

ちなみに今回の2枚組LP、実際に音が収録されているのはディスク1~3で、ディスク4(2枚目ディスクの裏面)には、ジャケットに映っているニールのシルエットがエッチングで描かれた仕様になっています。森 陽馬


2017年11月26日(日) Xavier Boyer 「Cherry Cloud Panic」

タヒチ80のフロントマン、グザヴィエ・ボワイエが<アックス・リヴァーボーイ>名義でソロ作を発表したのが2007年。

ソロとしては実に10年ぶりとなる新作『サム/エニー/ニュー』が先日リリースされました。
(国内CD 本人による曲解説・歌詞・対訳付 VICP-65478 2,500円+税)

アックス・リヴァーボーイ『チュ・チュ・トゥ・タンゴ』は、シンプルなバンド・サウンドを主とした和やかなポップ・アルバム。
新作もポップですが、そちらに比べると内省的な雰囲気が漂い、シンセやプログラミング、多重コーラスを駆使し、どこかフワフワとした浮遊感あるアレンジが印象的です。

ウクレレの軽やかな音が心地よい「Stockholm Syndrome」、メロディ・ラインにトッド・ラングレンを感じる「Cherry Cloud Panic」の冒頭2曲がお気に入りです。

「Cherry~」を最初に聴いていから、新作のタイトルは、トッド・ラングレンの『サムシング/エニシング?』を意識したのかな?なんて勝手に想像を膨らませています。

アックス・リヴァーボーイの日本盤ボーナス・トラックには、マッコイズの「If You Tell A Lie」のカヴァーが収録されていましたが、今回はスティーヴン・ビショップ作「Under The Jamaica Moon」のカヴァーが追加されています。
友人が送ってくれたニック・デカロ『イタリアン・グラフィティ』がきっかけだったようです。
サイケなギターが鳴る怪しげな世界観のアレンジです。東尾沙紀


2017年11月27日(月) ステイシー・ケント 「Bullet Train」(新幹線)

現役女性ジャズ・シンガーの中で僕が最も好きな歌手はこの人、ステイシー・ケント。

アメリカ/ニュージャージー出身1968年生まれ1997年デビュー、ショートカットと可憐な歌声が魅力的な彼女。
11作目となる2017年発表作は、長年の夢だったというオーケストラを従えてのアルバムです。

ステイシー・ケント『I Know I Dream ~The Orchestral Sessions』
(国内CD 解説・歌詞・対訳付 SICP-5617 2,400円+税)

50名を超える管弦楽団/オーケストラの編曲はトミー・ローレンスが担当。
穏やかなアレンジで、キュートなステイシーの歌声を優しく包み、より引き立てています。

今日のこの1曲は、2017ノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロが作詞を手掛けた新曲「Bullet Train」。

<新幹線>内での独白をテーマに、今作用に書き下ろされたナンバー。
日本語による電車内アナウンスがイントロで使われ、歌詞の中にも♪東京、名古屋♪という地名が登場します。

ちなみに、ラストに収録されている彼女の代表曲「The Changing Lights」もカズオ・イシグロ作。
物語のような歌詞の展開をストリングス・アレンジが見事表現しており、感動的に響きます。森 陽馬


2017年11月28日(火) リズ・ライト 「Seems I'm Never Tired Lovin' You」

昨日紹介したステイシー・ケントの可憐な歌声とは対照的に、ソウルフルに味わい深く聴かせる現代女性ジャズ・シンガーならば、この人。

1980年生まれジョージア州出身、ゴスペルをルーツに持つ黒人女性シンガー、リズ・ライト。

彼女の2017年作は、ジョー・ヘンリーをプロデューサーに迎えた沁みる1枚。

リズ・ライト『GRACE』
(国内CD 解説・歌詞付 ボーナス・トラック1曲追加 UCCO-1192 2,500円+税)

故アラン・トゥーサン晩年の作品に関わってきたジョー・ヘンリーによるプロデュースということもあり「Southern Nights」カヴァーが収録されていますが、ニューオリンズ色が濃いわけでなく、ジェイ・ベルローズやマーク・リボーが参加しているわりにはT・ボーン・バーネットっぽくなり過ぎず。

アメリカーナとゴスペル、そしてジャズとロックが程よく共存している傑作。

ボブ・ディランのゴスペル期隠れた名曲「Every Grain Of Sand」(1981年発表『Shot Of Love』収録曲)カヴァーも聴きものですが、僕の好きなニーナ・シモン『ニーナとピアノ』1曲目を飾っていることで有名な「Seems I'm Never Tired Lovin' You」、寒い夜救いを求めるように歌われるこの歌のカヴァーを今日のこの1曲に。森 陽馬


2017年11月29日(水) ロイ・オービソン・ウィズ・ロイヤル・フィルハーモニック管弦楽団「イン・ドリームス」

11月14日今日のこの1曲で紹介したアレサ・フランクリン・ウィズ・ロイヤル・フィルハーモニック・オーケストラのアルバム同様に、ロイ・オービソンのヴォーカル・トラックはそのままに、バック演奏やコーラスに手を加え新たな感覚でロイの作品を楽しめるようにしたアルバムです。

ロイ・オービソン・ウィズ・ロイヤル・フィルハーモニック管弦楽団『ア・ラヴ・ソー・ビューティフル』
(国内CD 解説・歌詞・対訳付 SICP-5623 2,400円+税)

全17曲、1960年代前半モニュメント・レーベル時代のヒット曲である「オンリー・ザ・ロンリー」、「ランニング・スケアード」、「クライング」、「ドリーム・ベイビー」、「ブルー・エンジェル」、「ミーン・ウーマン・ブルース」、「オー・プリティ・ウーマン」や、ジェフ・リン&トム・ペティ作品でヴァージン・レーベルから発表され1989年大ヒットした「ユー・ガット・イット」等も収録されています。

どの曲も元々のアレンジのイメージを壊さずに、新しい味がうまくブレンドされていると思います。

今日は1曲目に入っている1963年ヒット「イン・ドリームス」を選んでみました。

なお、心暖まるライナーノーツを書いているロイの息子ウエスレー・オービソンは、ロイがボブ・シーガーやZZトップをカーステレオで好んで聴いていたことを明かしてくれています。森 勉


2017年11月30日(木) KASHIF 「PPP I Love You (Part2.1)」

2017年も残り1か月となってしまいました。

PET SOUNDS RECORD恒例の<スタッフが選ぶ年間ベスト・アルバム>。
そろそろ考えなければいけませんね。
(各年のベスト選出は
こちらのコラム・コーナー参照)

今年も良い作品が多く、選抜は悩みそうですが、このアルバムは当確と断言しましょう。

KASHIF『BlueSongs』
2017年5月7日今日のこの1曲で紹介)

ギタリスト&作編曲家として活動している日本人男性ミュージシャン、カシーフ。
彼が全てのサウンド&歌などを自ら手掛けた1stソロ・アルバム。

何度聴いても、というか聴く度に新しい発見もあって、不思議な魅力を放つ1枚です。

今作の限定アナログ盤がこの度発売されました。
(国内LP HBRV-1010 3,000円+税)

永井博氏が近年では珍しく人物を描いたジャケット・イラスト、LPサイズだと映えますね。

今日のこの1曲は、B面1曲目(CDでは6曲目)。
KASHIF自身のアカペラ・コーラス多重録音&ギターで聴かせる名トラック「PPP I Love You (Part2.1)」。森 陽馬




これより以前に掲載した“今日のこの1曲”は、
 “今日のこの1曲 アーカイヴス” コーナーにてご覧になれます。■



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