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  今日のこの1曲 “Archives”

<2017月4月>

当店ペット・サウンズ・レコード店にて
その日に店内でかけていた曲の中から、
店員の独断と偏見で選んだ“今日のこの1曲”コーナー

2017年4月に更新した“今日のこの1曲”コーナー


廃盤・生産中止、規格番号の変更など、
情報が古くなっている商品もございますが、ご了承くださいませ。

<最新の“今日のこの1曲”はこちらのページをご覧ください>


2017年4月1日(土) リアノン・ギデンズ 「At The Purchaser's Option」

アメリカン・ルーツ・ミュージック界で今最も注目されている女性シンガー、リアノン・ギデンズ。

ノースキャロライナ発男女3人ブルーグラス・バンド、Carolina Chocolate Dropsを経て、2015年発表した1stソロ・アルバム『Tommorrow Is My Turn』(
2015年4月22日今日のこの1曲で取り上げました)はロングセラーを記録。
更には2016年3月来日公演も大好評だった彼女の2ndアルバムが発売されました。

リアノン・ギデンズ (RHIANNON GIDDENS) 『フリーダム・ハイウェイ』
(国内CD ボーナス・トラック追加収録 解説・歌詞・対訳付 WPCR-17676 2,400円+税)

T・ボーン・バーネットプロデュースだった1stに比べ、リアノン自身&ダーク・パウエル共同プロデュースである今作の方が、彼女の心奥から湧き上がってくるような情熱が直に伝わってきます。

息を呑むほど研ぎ澄まされたバンジョー、フィドル、ギター、そして崇高な歌声。
サウンドはカントリー/フォーク/アメリカーナながら、この上なくソウル(魂)を感じさせるのです。

今日のこの1曲は、CSN&Y「ohio」を彷彿とさせるリフが耳に残る1曲目「At The Purchaser's Option」。

“新世代のサイモン&ガーファンクル”ことMilk Carton Kids(
2013年5月3日今日のこの1曲で紹介)のジョーイ・ライアンとの共作曲。
19世紀アメリカで実際にあった「若い女性の奴隷を売る広告」記事からインスパイアされ書かれたナンバー。

アフリカ系アメリカ黒人が歩んできた苦悶の過去を引き受け、自由と言う名のハイウェイへ新たな一歩を踏み出さんと願うように歌われます。

2017年アメリカン・ルーツを代表する1枚、そして、後世に残るべき作品と言えるでしょう。森 陽馬



2017年4月2日(日) New Street Adventure 「What's So Good About Happiness?」

2015年2月4日今日のこの一曲で取り上げたACID JAZZ発/ロンドンのバンド、ニュー・ストリート・アドヴェンチャー。

先日リリースになった2017年新作2nd『Stubborn Sons』は、個人的に2017年ベスト・アルバムに入れたい!くらい、今お気に入りの1枚です。(輸入CD AJXCD 408)

イギリスらしいポップさと、ソウル/ファンクを下敷きにしたグルーヴィーなナンバー、哀愁漂うミディアム・バラードなどメロディ主体の楽曲がどれも良く、若いバンドらしい熱量が感じられる完成度の高い作品です。

疾走感あるリード曲で今作のオープニングを飾る「What's So Good About Happiness?」、
フロントマンNick Corbinの歌声にグッとくる「One & The Same」、
スタイル・カウンシルを彷彿とさせるポップな「If I Had You Back In My Life」等、
80~90年代、ポール・ウェラー、マット・デイトン(Mother Earth)お好きな方に是非聴いていただきたいです。
(Suchmos聴かれる方にも良いかもしれません。)

UKソウル/ロックを盛り上げていく存在になることを期待!
しばらくリピートが止まらなさそうです。東尾沙紀


2017年4月3日(月) 伊藤銀次 「こぬか雨」

PET SOUNDS RECORD2016年ベストに選出した伊藤銀次さん率いるココナツ・バンク新作。

2017年に入っても大好評ロングセラー中ですが、こんなCDも5月発売が決定いたしました。

伊藤銀次『デッドリイ・ドライブ 40周年記念デラックス・エディション』
(2017年5月24日発売予定 2枚組高音質SHM-CD仕様 WPCL-12639 3,704円+税)

1977年発表名作1stソロ・アルバム『デッドリイ・ドライブ』オリジナル・マスターから、伊藤銀次本人監修による新ミックス&新リマスターを施し、更に新たにミックスしたインスト・バックトラックを追加収録。

ボーナス・ディスクには、各曲数テイクある一発録りテイクから本人自ら厳選した未発表アウトテイクを7曲。
また「King King」SEとして制作されたジャングル音やエンジン音、「風になれるなら」と「デッドリイ・ドライブ」のシングル・ヴァージョン、そしてスペシャル・ボーナス・トラックとして「風になれるなら」と「こぬか雨」の弾き語りライヴ・ヴァージョンも収録と、充実の2枚組全27トラック決定盤!

メモリアル・ブックレットには、土橋一夫氏渾身のライナーノーツ再掲に追加新解説文。
更には牧村憲一氏による解説文の掲載されるとのこと。

当店のみの特典も制作する予定です。
ナイアガラ、山下達郎ファンも是非チェックしてくださいね。

今日は春の到来を告げるような雷雨(スコール)がありましたが、雨は雨でも「こぬか雨」を今日のこの1曲に。

山下達郎が歌っていることでも知られる名曲「こぬか雨」。
5/24発売40周年盤には、インスト・ヴァージョンと弾き語りライヴ音源も追加収録される予定です。森 陽馬


2017年4月4日(火) ボブ・ディラン「青春の思い出」(When The World Was Young)

2016年ノーベル文学賞を受賞。
2017年4月1日ツアー先のストックホルムにて正式に授与されたことで話題のボブ・ディラン。

通算38作目となるスタジオ・アルバム『トリプリケート』を発表しました。
(国内3CD トム・ピアッツァ、菅野ヘッケル、萩原健太解説・歌詞・対訳付 SICP-5302 4,000円+税)

2015年『シャドウズ・イン・ザ・ナイト』、2016年『フォールン・エンジェルズ』に続き、フランク・シナトラがレパートリーとして歌っていた楽曲を中心にしたスタンダード・カヴァー集。

「センチメンタル・ジャーニー」、「スターダスト」、「時の過ぎゆくままに」(As Time Goes By)、「P.S.I Love You」。
3枚組全30曲、ジャズをご存知でない方でもどこかで聴いたことがある定番曲は、名エンジニアのアル・シュミットが手掛けたことで、温もりあるモダンな音感に仕上がっています。

来日する直前2016年2~3月に録音されたようで、その来日公演でも感じたことですが、ディランは歌詞の一語一語を噛みしめるように大事に歌っているのが印象的。

バックの演奏も音数を極力絞ったアレンジ。
ジャズ愛好家にこそ聴いてもらいたい1枚ですね。

エディット・ピアフで知られるシャンソン名曲にジョニー・マーサーが英語詞を付けた名曲「青春の思い出」。
情感込めて歌うディラン。味わい深い歌唱が沁みるナンバーを今日のこの1曲に。森 陽馬


2017年4月5日(水) 加川良 「ラブ・ソング」

加川良さんが2017年4月5日朝、急性骨髄性白血病で逝去しました。(享年69歳)

♪命はひとつ 人生は1回 だから命は捨てないようにね あわてるとついフラフラと 御国のためなのと言われるとね 青くなってしりごみなさい にげなさいかくれなさい♪(加川良「教訓Ⅰ」歌詞より)

反戦の歌であり、命の大事さを歌った名曲「教訓Ⅰ」で1971年デビュー。

CDでしか彼の歌を聴いたことがなかった僕は、<教訓Ⅰのフォーク・シンガー>という印象しかなかったのですが、2013年10月13日寺尾紗穂さん主催フェス『りんりんふぇす』にて加川良さんのステージを初めて拝見し、温かで包容力があって、そして一本芯が通ったその人柄と歌に、本当の意味で感動したものでした。

人に対してはもちろん、自分に正直でいることの大切さを教えてもらいました。
ありがとうございます。加川良さん。

今日のこの1曲は、鈴木茂、佐藤博、田中章弘、林敏明が参加しハックルバック結成のきっかけになった1974年発表名作『アウト・オブ・マインド』から大好きな1曲。(CD KICS-2583 1,429円+税)

♪どこか知らない街で 流れ星になるといいね♪と歌われる「ラブ・ソング」。森 陽馬



2017年4月6日(木) 『明日に向かって撃て』サントラより 「サウス・アメリカン・ゲッタウェイ」

映画のサウンド・トラック盤で好きなものは?
という質問があったら、、、どう答えようか、、、。

いろいろ迷いはありますが、アイウエオ順に考えていくとまずは、
『明日に向かって撃て!』サントラかな、と答えようと思います。
(国内CD 完全限定盤 UICY-78159 1,000円+税)

1969年20世紀フォックス配給、ジョージ・ロイ・ヒル監督。
ポール・ニューマン、ロバート・レッドフォード、キャサリン・ロス出演。
原題は『Butch Cassidy And The Sundance Kid』。
音楽はバート・バカラックが担当。
主題歌「雨にぬれても」(Raindrops Keep Fallin' On My Head)を歌ったのはB.J.トーマス。

僕が初めて映画を観たのは、高校を卒業するちょっと前、1970年2月か3月。
日比谷のどこかでのロードショウだったと思います。

印象的なラストシーン、『卒業』に続いてキュートなキャサリン・ロス。
そして、すてきな音楽が心に残りました。

サントラLPもすぐ買ってよく聴きました。
バート・バカラックという作曲家をより強く意識した1枚です。

LPではA面ラストに入っていた「サウス・アメリカン・ゲッタウェイ」(自由への道)が特にお気に入りです。

躍動感溢れるコーラス隊のスキャットともの悲しい雰囲気のソロでのスキャットの対比が見事な1曲です。
アレンジャーとしてのバカラックの腕前に感服。森 勉


2017年4月7日(金) ビートルズ 「ゲッティング・ベター」

そろそろ発売になる頃だと思っていましたよ、50周年記念盤。

ビートルズ『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』
1967年6月1日、イギリスで発売されて今年で50年。(アメリカでは6月2日発売とのこと)

日本では7月5日と約1か月遅い発売でしたが、当時は英米での発売日がはっきりとファンに認識されていたわけではないので、遅いという印象はありませんでした。
あくまでも日本盤発売日が日本人一般ファンにとってビートルズの新しい曲がレコードで聴ける日だったのです。

さて、2017年5月26日に発売が決定した50周年記念エディション。CDとしては3種類。
価格の安い順番に紹介すると、
① ジャイルズ・マーティン(ジョージ・マーティンの息子)を中心に行われた最新リミックス盤『2017ステレオ・リミックス』。もちろん、オリジナル・マスターテープ使用。2,600円+税(1CD)。

② ①に別テイク・ディスクを加えた2枚組CD。別テイクはオリジナル曲順通りに並べられ、アルバムの前にシングル発売された「ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー」、「ペニーレイン」の最新ステレオ・ミックスと別ヴァージョンも収録。3,600円+税(2CD)。

③ ①にプラスしてレコーディング順に別テイク・ヴァージョンをいろいろ収録したCDが2枚と、モノラル・ミックスにこだわったCDが1枚、そしてサラウンドやハイレゾ・オーディオ及び制作時のドキュメンタリー・フィルム映像などが楽しめるブルーレイ&DVDを含めた6枚組。144ページ・ブックレット&ポスター等付完全生産限定スーパー・デラックス・エディション。18,000円+税(4CD+ブルーレイ+DVD)

やっぱり③でしょうね。
くわしくはまた、、、。

今日のこの1曲は「ゲッティング・ベター」。
50年前、初めて聴いた時の第1印象で1番気に入った曲でした。森 勉


2017年4月8日(土) Aimee Mann 「Good For Me」

キャリア35年。今年で57歳(見えない!)となるアメリカの女性シンガー・ソングライター、エイミー・マン。

前作から約5年ぶり新作となる9thアルバム『メンタル・イルネス』が発売になりました。
(国内CD ボーナス・トラック追加収録 解説・歌詞・対訳付 SICX-77 2,400円+税)

ポップな前作から一転、ジェイ・ベルローズのドラムや、ストリングスを交えながら新作はシンプルなアコースティック作品に回帰。

アルバム・タイトルの『メンタル・イルネス』=''心の病''。
薬物中毒、虚言癖、人間関係など何かしら心に問題を抱える人々が抽象的に描かれています。

重くなりそうなテーマではありますが、サウンドやメロディは穏やか。
彼女の芯があり、温か味もある歌声のおかげで聴きやすい作品になっています。

制作時よく聴いていたというブレッドやダン・フォーゲルバーグなど70年代ロックの影響もあってか、さりげないハーモニーを聴かせる曲も。

美しいコーラスが耳に残る「Good For Me」を今日の1曲に。東尾沙紀


2017年4月9日(日) カエターノ・ヴェローゾ 「ククルクク・パロマ」

映画『ムーンライト』を日比谷シャンテ(現TOHOシネマズシャンテ)にて鑑賞。

『ラ・ラ・ランド』と競ってアカデミー作品賞を受賞した黒人映画。
貧富の差、ドラッグ、いじめ、同性愛などをテーマにし、決して明るい作品ではないけれど、不思議と映画の中に入りこめたヒューマン・ストーリーでした。

というのも、若き黒人監督バリー・ジェンキンスは、ウォン・カーウァイ監督1997年映画『ブエノスアイレス』を大のフェイヴァリットに挙げているとのこと。

見た目だけでなく人間の内省的な部分を繊細な描写・優しい目線で表現していたと思います。

(ただ、共感し難い重いテーマを扱っているため、好き嫌いは分かれそう。
ミニシアター系人間ドラマお好きな方向けかな。)

多くはないけれど、音楽の使い方も印象的でした。

映画『ブエノスアイレス』冒頭でかかっていたカエターノ・ヴェローゾが歌う「ククルクク・パロマ」。
映画『ムーンライト』後半でも、バリー・ジェンキンス監督のオマージュが込められ使われています。
この曲を聴くと、鳥のように羽ばたいて旅へ出たくなるのは僕だけでしょうか。

なお、『ムーンライト』内でもう1曲、印象的に使われている楽曲があるのですが、それはまた後日に。森 陽馬


★掲載ジャケットは、カエターノ・ヴェローゾ「ククルクク・パロマ」収録。
映画に関わったカエターノ楽曲を集めた編集盤『シネマ・カエターノ』。
(国内CD 全16曲収録 中原仁による選曲・解説付 PHCY-1001 2,427円+税)


2017年4月10日(月) バーバラ・ルイス 「Hello Stranger」

昨日に引き続き、映画『ムーンライト』で印象的に使われていたこの1曲。

バーバラ・ルイス「Hello Stranger」。

1943年ミシガン出身黒人女性シンガー、バーバラ・ルイス自身の作詞・作曲による名曲。
1963年5月ビルボード・シングル・チャート3位、R&Bチャート1位を記録した大ヒット・ナンバーです。

映画内で使われた場面の時代背景は比較的近年なので、主人公や映画スタッフはリアルタイムで聴いていたわけではないはずですが、バリー・ジェンキンス監督にとって思い入れのある楽曲だったのかもしれませんね。

映画の最後の方、ジュークボックスからかかるこの曲はとてもロマンティックに響きます。
(男性同士の恋愛ではありますが、、、)

ちなみに「Hello Stranger」が収録されているバーバラ・ルイス1966年発表アルバム『Baby, I'm Yours』。
(国内CD 完全限定盤 解説・歌詞付 WPCR-27631 952円+税)

1曲目のタイトル曲「Baby, I'm Yours」はヴァン・マッコイ作による1965年シングル・ヒット。
大滝詠一「幸せな結末」最後の方では、この♪Baby I'm Yours♪が織り込まれていましたね。
アメリカン・ポップス・ファンにもオススメの作品です。森 陽馬


2017年4月11日(火) Good Harvest 「Charly」

<スウェーデン発・女性版サイモン&ガーファンクル+ニック・ドレイク+クランベリーズ>!?

女性シンガー新譜作品で最近気に入っている1枚。

Good Harvest『In A Life And Place Like This』
(輸入CD Space Station 12/BMG 7320470210017)

Good Harvestはスウェーデン出身、Ylva RrikssonとHanna Enlofによる女性シンガー2人ユニット。

2014年にEP『Bottom Dollar』でデビュー。
今作『In A Life And Place Like This』が1stアルバムになります。

アコースティック・ギターを基調にしたサウンドに、女性2人のハーモニー・アレンジが魅力。
北欧的なメロディーとフォーキーなブレンドもいい感じですね。

今日のこの1曲は、ギターとハーモニーがまさにサイモン&ガーファンクルを彷彿とさせる7曲目「Charly」。

なお、ラスト15曲目にはジョニ・ミッチェル作、CSN&Yで有名な「Woodstock」カヴァーのライヴ音源が収録。
軸がブレることなく、ルーツに根差しながら新たな音楽活動を続けていって欲しいニューカマーです。森 陽馬



2017年4月12日(水) Ethan Gruska 「What Are You Thinking Of?」

昨日紹介したGood Harvestは太陽の降り注ぐ昼に聴きたい新星作品。

対して今日紹介するのは、深夜静けさの中でひっそり聴きたいシンガー・ソングライター新譜この1枚。

ETHAN GRUSKA『SLOWMOTIONARY』
(輸入CD Sire/Warner 558583-2)

イーサン・グルスカはカリフォルニア/アメリカ出身男性シンガー・ソングライター。
祖父は名映画音楽家John Williams、父はTV音楽を多く手掛けているJay Gruskaという血筋のミュージシャン。

姉Barbara GruskaとのTHE BELLE BROTHERSで2011年デビュー。
今作『SLOWMOTIONARY』がソロ・デビュー作になります。

最初聴いた時、女性シンガーが歌っていると思ったくらい中性的な歌声。
その歌声がポツリポツリと空間を漂うように紡がれるシンプルな楽曲と、独特の間を配したサウンド・センス。
とても不思議な魅力を持ったアルバムです。

アラバマ・シェイクスなどのプロデュースで名を広く知られるようになったギタリストBlake Mills、姉のBarbara Gruskaも参加している2曲目「Me Who Wasn't Trying」も魅力ですが、静寂の彼方へ吸い込まれるような一人多重録音の9曲目「What Are You Thinking Of?」を今日のこの1曲に。森 陽馬


2017年4月13日(木) YASMINE HAMDAN (ヤスミン・ハムダン) 「DOUSS」

ジム・ジャームッシュ監督2013年公開映画『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』
<現代に生きる吸血鬼の日常と音楽と恋愛>を描いた物語。
公開時映画館で観たものの、恥ずかしながらストーリー展開をほとんど憶えていないのですが、映画後半に出てくるヤスミン・ハムダンが歌うシーンは印象に強く残っています。

その場面は物語と直接関係ないのに、主人公男性が彼女の歌声を聴いて、「素晴らしい。彼女はきっと成功する。」というセリフまで出てくるのです。

そのヤスミン・ハムダンがソロ2ndアルバム『アルジャミラ~美しきもの (AL JAMILAT)』を発表しました。
(国内CD 解説・歌詞・対訳付 ボーナス・トラック追加 HSE-6386 2,400円+税)

ヤスミン・ハムダンは1976年レバノン生まれ女性シンガー。
Soapkills(アラブのマッシヴ・アタック、と評されていたらしいバンド)、Y.A.S.(フランス/パリ在住時ユニット)を経て2013年ソロ・デビュー。
4年ぶり2ndとなる今作はデペッシュ・モード等を手掛けた英国人ルーク・スミスがプロデュースを担当。

エレクトロニカを大胆に配したサウンドメイクな楽曲もあり、はっきりいって、プロデュース過多な感があります。
しかしながら、東京にいながら異国の地へ誘われるような、彼女の歌に秘めた求心力は伝わってくるはず。

<アラブの春>(2010年前後アラブでの大規模反政府デモ)について歌った①「DOUSS」を今日のこの1曲に。森 陽馬


2017年4月14日(金) Wouter Hamel 「When All The Bars Have Closed Again」

2007年1st作をリリースし、2017年でちょうどデビュー10周年となるオランダのポップ貴公子、ウーター・ヘメル。

3年ぶり5枚目となる新作『アモリー』がリリースになりました。
(国内CD 本人による各曲コメント・歌詞・対訳付 VICP-65419 2,500円+税)

今作は、UKソウル・バンドMamas Gun中心人物で、AORユニットYoung Gun Silver Fox等でも活躍するアンディ・プラッツが参加&共同プロデュースを務めています。

シンプルな詞に<性別関係なく、本当の自分で...>という深いテーマを込めて高らかに歌うリード曲「Hey Now」、AORテイストの「Incurable」、サビが激キャッチー「Soul Sold」など、近作の中では最もポップで、ソウルフルで充実のアルバム!

今日の一曲は、歌とアンディのピアノのみのデモを採用したという「When All The Bars Have Closed Again」。
アート・ガーファンクルを彷彿とさせるバラード、本編終盤の感動的な1曲です。

日本盤ボーナス・トラックには、盟友ベニー・シングスとの共作「Wiser Now」、日本のインディー・ポップ・バンド、LUCKY TAPESとのコラボ曲「So Much Better」が収録。

5月31日(大阪)、6月1日(東京)には、ビルボード・ライヴでの来日公演も予定されています。東尾沙紀


2017年4月15日(土) Neil Young 「Don't Be Denied」

ノラ・ジョーンズ2017年来日ツアー、日本武道館公演見に行きました。

老若男女幅広いファン層ですが、男性よりも女性客が中心、ノラよりも年上の人が多かったですね。
スタンディングになることなく、最後まで落ち着いた雰囲気で座って観ることができました。

あと、武道館とは思えないほど、ビックリするぐらい音が良かったです。
ノラのPA・音響スタッフが優秀なのでしょうね。

大阪・福岡・広島・名古屋公演が残っているので詳細は控えますが、セットリストは日々変わっているようです。

でも最新作『デイ・ブレイクス』収録のニール・ヤングカヴァー「Don't Be Denied」は必ず歌っているんですよね。

公演が始まる前の場内BGMでニール・ヤング「Journey Through The Past」がかかったり、(ちなみに公演後にはC&N「Southbound Train」がかかってた)、ノラのバンドPUSS N BOOTSは以前アルバムで「Down By The River」カヴァーしてたし、彼女は本当にニール・ヤング好きなんだな、と感じました。

ちなみにそのニール・ヤング。
先日行われたRock & Roll Hall Of Fame2017式典にパールジャムへのプレゼンターとして出演予定が、病気のため直前で出演中止。年初からのツアーが全て白紙になった上にこのキャンセル、とても心配です。
病状は明らかにされていませんが、また元気な姿を見せてほしいな。ガンバレ!ニール!願復活!森 陽馬


★掲載ジャケットはニール・ヤング「Don't Be Denied」収録、1973年発表アルバム『Time Fades Away』。
1973年ツアーを収めたライヴ盤、今まで一度もオフィシャルでCD化されていません。
近年アナログ盤で再発されたので、近々単体でCDも出ると思われます。
(『Time Fades Away』が入った『NEIL YOUNG OFFICIAL RELEASE SERIES DISCS5-8』は5月CD化予定)


2017年4月16日(日) Vikki Carr 「He's A Rebel」

また注目のガール・ポップものです。

『Love Charms ~West Coast Hits and Rarities From California Girls And Groups 1957-1962』
(輸入CD jasmine JASCD-963)

1957年から1962年に発表されたカリフォルニア周辺発ガール・ポップのあまり有名ではないけれどイイ曲に、ちょっとヒットした曲をまぶした全33曲を収録。なかなかイイ内容だと思います。

・ダーレン・ラヴ在籍ブロッサムズのチャレンジ・レーベル時代の4曲。
・テディ・ベアーズ紅一点だったキャロル・コナーズのエラ・レーベル2曲。
・マーシャル・リーブ(テディ・ベアーズ)がプロデュースして1962年全米81位のヒットとなった「エイント・ゴナ・キス・ヤ」を出したリボンズ。
・ジャック・ニッチェがアレンジしたセリナ・マリー。
・エリー・グリニッチ作品を歌っているキャシー・キャロール。
等、詳しいことを知らなくても、普通に聴いて楽しめる曲揃いです。

ヴィッキー・カー「ヒーズ・ア・レベル」は、クリスタルズが全米No.1を獲得した盤とほぼ同時期にリバティー・レーベルから発売されたのですが、残念ながらこちらは全米100位以内にチャートインできませんでした。(全米115位)

しかし、プロデュースはスナッフ・ギャレット、アレンジはアーニー・フリーマンなので、決して悪い出来ではありません。
ヒットしなかったのは時の運ということだと思います。

ジャケットも気に入りました。
水着女性の写真ではなく、左右端のピンクやオレンジ色のストライプ柄が、です。
1970年代前半アメリカの廉価盤会社ピックウィックから出たビーチ・ボーイズのLPジャケを思い出しました。森 勉


2017年4月17日(月) The Beach Boys 「Good Vibrations」

初夏のような陽射しだった週末が終わり、今日は夕方過ぎから風雨が強くなってきました。
東京の桜は先週半ばあたりから葉桜が目立ってきましたが、この風雨でほとんど散ってしまうことでしょう。

「散る桜残る桜も散る桜」(良寛の句より)
命あるものは全て散ってしまう運命とはいえ、桜の花のそれは本当にあっという間ですね。

さて、2005年にペット・サウンズ・レコード旧店舗前から千葉へ移植された桜の木を先週見てきました。
(桜の木の今までの経緯に関してはコラム・コーナー『武蔵小山駅前にあった桜の物語』をご参照ください)

←武蔵小山駅前/当店旧店舗前にあった時の桜(2004年撮影)

←千葉の土気へ移植された桜(2017年撮影)

2度の移植を経た老木ながら、昨年以上に枝を伸ばし桜の花も広がっていました。
害虫が付いていたのが心配ですが、命ある限りは美しい花を咲かせて欲しいと願っています。

この桜の木を見て思い出すのは、ブライアン・ウィルソン『スマイル』とその2005年来日コンサート・ツアー。
あの時聴いた「Good Vibrations」は忘れられないですね。

その「Good Vibrations」も2016年で発売50周年ということもあり12inchアナログが発売されました。
(輸入LP The Beach Boys『Good Vibrations』 Capitol/universal 00602557041781)

40周年盤CDと同じ収録曲をアナログ化。
太陽のような赤と黄色のマーブル・カラー盤仕様、当時の日本盤EPをLPの大きさに拡大したリトグラフ封入。
針を落とすと、50年という時の流れと年輪の深さを実感させられます。森 陽馬


2017年4月18日(火) ジェフリー・フォスケット 「JODY」(山下達郎カヴァー)

<街のレコード店へ足を運び、レコードを聴いて音楽を楽しもう>
という主旨の元、2008年頃からアメリカで始まったイベント
RECORD STORE DAY

2017年は4月22日(土)に行われます。
RYUTist×The Pen Friend Club、バニラビーンズ×The Pen Friend Club、フェイ・ウォン、Kan Sano、村八分、一十三十一、Predawn、INO hidefumi、Yogee New Waves、カジヒデキ、Luv Master X、Syunsuke Ono、台風クラブ、スチャダラパー他、メジャーからビートルズやトッド・ラングレンの限定アナログも発売。
2017年リリース作品はこちらのページ参照)

当店通販ページRECORD STORE DAYコーナーに入荷予定商品掲載しました。
輸入盤も色々入荷予定ですが、店着が4月22日以降になる商品もあると思われます。ご了承くださいませ。

さて、レコード・ストア・デイ2017注目盤の中から今日のこの1曲。

ビーチ・ボーイズの現メンバー、ジェフリー・フォスケットによる山下達郎「JODY」カヴァー!
完全限定500枚プレス。オレンジ・カラー盤仕様!(ちなみにB面はジェフ・ラーソン作隠れた名曲)
(4/22発売 国内EP ジェフリー・フォスケット『JODY/You Remind Me Of The Sun』 VSEP-826 1,500円+税)

レコード・ストア・デイ商品はご予約できません。
通販も在庫がある場合のみ5月初旬頃からとなります。
4月22日以降店頭でお早めにどうぞ。森 陽馬


2017年4月19日(水) DYGL 「Let It Out」

2017年大注目!洋楽ロック・ファンの方にもオススメの東京発男性4人組バンド、DYGL(デイグロー)。

2016年ベスト・アルバムに選出した1stミニ・アルバム『Don't know where it is』(2016年8月25日の今日のこの1曲で紹介)、7インチ・シングルを経て、待望の1stフル・アルバムが本日リリースになりました。
(国内CD 『Say Goodbye To Memory Den』 HEC-004 2,500円+税)

今作のプロデュースを手掛けたのはザ・ストロークスのアルバート・ハモンドJr.。
ザ・ストロークスとの仕事で知られるガス・オバーグがエンジニアを務めています。

一貫して全編英語詞(日本語訳付き)、ギター/ベース/ドラム/歌のみ、余分なものは入れないシンプルなロックンロール。

ロックの初期衝動を感じさせるバンドの若いエネルギーと、キャッチーなメロディに満ちた渾身の1枚♪

ミニ・アルバム収録曲「Let It Sway」等も再録。ギターの尖った音がまた違った味わいでかっこいいです。

今日のこの1曲は、PVも公開されている「Let It Out」。
まずこの1曲を聴いてみてください!

お買い上げの方先着で特典ポストカード付きです。東尾沙紀


2017年4月20日(木) エリック・バードン&アニマルズ 「サンフランシスコの夜」

1967年ビートルズが2月にシングル『ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー c/wペニー・レイン』、そして6月にアルバム『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』を発表したことにより、音楽界は一気にサイケ化していったような気がします。

エリック・バードン&アニマルズ『ウインズ・オブ・チェンジ』は、1967年9月発売になったとってもとってもサイケなアルバムです。
(国内CD エリック・バードン&アニマルズ『ウインズ・オブ・チェンジ』 限定盤 UICY-93374 2,571円+税)

「朝日のあたる家」、「悲しき願い」の頃とはエリック・バードン以外ガラッとメンバーは変わり(1966年から参加した元ナッシュヴィル・ティーンズのドラマー、バリー・ジェンキンスはそのまま在籍)、サウンドも時代の変化と共に新しい手法をどんどん取り入れて作られています。

このアルバムのB面1曲目に収められたのが、1967年夏に大ヒットした「サンフランシスコの夜」。

エリック・バードンのサンフランシスコへ捧げるというナレーションから美しいアコースティック・ギターのつま弾きが印象的な<サマー・オブ・ラヴ>時代を代表する1曲です。森 勉


2017年4月21日(金) ビートルズ 「ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー」

2017年4月22日(土)はRECORD STORE DAY

<街のレコード店へ足を運び、レコードを聴いて音楽を楽しもう>
という主旨で、その日限定のレコードが色々と発売されます。

通販は発売1週間後まで禁止されており、予約・お取り置きもレコード・ストア・デイ当日はできません。
是非、店舗へ足を運んで、その店独自の品揃えやオススメもチェックしてみてくださいね。

なお、PET SOUNDS RECORDは4月22日が開店記念日(2017年で36周年!)ということもあり、店舗にてお買い上げの方先着で当店ロゴ入りオリジナル・コースターを差し上げます♪
 

なお、RECORD STORE DAYのイラストを毎年手掛けている永井博さんデザインによるスペシャル・グッズも当店では販売いたします。(タンブラー、ポスター、カンバッチ、ポストカード)
ご来店心よりお待ちしております。

さて、2017年のレコード・ストア・デイは邦楽だけでなく洋楽も注目アイテムが粒揃い!

中でも、『サージェント・ペパーズ・~50周年盤』発売を来月控えているビートルズ!
「ストロベリー・フィールズ・フォーラヴァー」と「ペニー・レイン」スペシャルEPが超限定で発売!
(国内EP 日本初回盤シングルのジャケットを復刻封入 解説・歌詞・対訳付 PROT-7017 1,850円+税)

ジャイルズ・マーティン&サム・オケル最新リミックスをこの盤で一足早く確認してみてください♪ 森 陽馬


2017年4月22日(土) ビートルズ 「ペニー・レイン」

2017年レコード・ストア・デイ!おめでとう!

日陰者になっていたレコードが奇跡の復活劇を見せてくれたのは、アナログ世代としてはうれしい限りです。

そして近年は、レコードが音楽ソフトの中心ではなくなった以降から音楽を聴き始めた世代が、新しい感覚でレコードを愛してくれているのがいいですね。

さて、RECORD STORE DAY2017もいろいろな限定レコードが出ましたが、まずはこれに反応してしまいました。

ビートルズ「ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー c/wペニー・レイン」のシングル・レコードです。
(国内EP 日本初回盤シングルのジャケットを復刻封入 解説・歌詞・対訳付 PROT-7017 1,850円+税

5月26日発売予定の50周年記念盤『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』の景気づけのような感じですが、このシングルも発売から今年50周年になります。(英米では1967年2月、日本では3月15日発売)

音はジャイルズ・マーティン&サム・オケルによる最新リミックス、英国初回盤のスリーヴを再現し、それに1967年当時の日本盤シングル・ジャケを封入。解説・歌詞・対訳も付いているスペシャルな日本仕様レコード・ストア・デイ限定7インチ・シングルです。

昔のシングル盤も持っていますが、やはりこれも欲しくなりますね。
この2曲に関してはいろいろと語りたいことがあるので、最新リミックスの音を聴いた感想と共に後日また、、、ということで。森 勉

当店通販ページRECORD STORE DAYコーナーに入荷した一部商品掲載しております。


2017年4月23日(日) INO hidefumi 「Good Night」

<RECORD STORE DAY2017>&当店のオープン36周年記念日だった2017年4月22日。
たくさんのご来店ありがとうございました。

開店直後はレジに人が並ぶという1年に1度あるかないかの賑わいでした。
アメリカ発祥で今年10年目だったRECORD STORE DAY。
音楽ファンに認知されてきた感が伝わってきましたね。

さて、日本人アーティストによるRECORD STORE DAY商品もご紹介しておきましょう。

INO hidefumi『Can't Sleep/Good Night』
(国内EP 700枚限定プレス IREP-010 1,500円+税)

2016年RSDリリースした1st『SATISFACTION』アナログ盤も大好評だったフェンダーローズ奏者INO hidefumi。
2017年発表予定5thアルバムからの先行シングルEPです。

♪ねむれない♪が連呼される一人多重録音ファンキー・ポップなA面オリジナル曲「Can't Sleep」も魅力ですが、ポール・マッカートニー来日公演(4/25~30)が近いということで、メロウ・グルーヴなフェンダー・ローズの音色が映えるビートルズカヴァーB面「Good Night」を今日のこの1曲に。森 陽馬


2017年4月24日(月) Ron Sexsmith 「Who We Are Right Now」

カナダのシンガー・ソングライター、ロン・セクスミス。
約2年ぶりの新作『ザ・ラスト・ライダー』が世界同時発売で先週リリースになりました。
(国内CD 歌詞・対訳・解説付 OTCD-6074 2,300円+税)

新作は、彼のバンドのドラマーでもあり2005年にセクスミス&カー名義で作品も発表しているドン・カーとの共同プロデュース。

録音にはジャケットにも登場しているツアー・メンバーらが参加しており、音からは非常にリラックスした雰囲気が伝わってきます。

愛する人へのロマンチックなラヴ・ソング、過去を想い返しつつも、前を向いている...そんな詞が印象的だったり、ラジオ業界への皮肉を込めた1曲も。

「大事なのは、今の自分達のあり方なんだ。」と歌うのは、「Who We Are Right Now」。

フレンチ・ホルンなどホーンを取り入れた柔らかいメロディが心地よい1曲です。東尾沙紀


2017年4月25日(火) 斎藤誠 「夕陽の交差点」

斎藤誠さんが1996年から行ってきた弾き語りライヴ『ネブラスカ』。

ブルース・スプリングスティーン1982年発表アルバム『ネブラスカ』にちなんで名付けられた御馴染みライヴ・ツアーも2016年で20周年♪
それを記念し、弾き語りで自身の楽曲をセルフ・カヴァーした作品『ネブラスカレコード』がリリースされました。

斎藤誠『ネブラスカレコード』
(CD TECI-1542 2,778円+税)

1983年発表1st『LA-LA-LU』に収められていた「恋のやりとり」から、大・大・大好きな「Waltz In Blue」、2008年発表作『POP ROCK SHOP』収録名曲「天気雨」、2013年発表作『PARADISE SOUL』からのナンバーまで全13曲。

各々の楽曲・雰囲気に合わせて選定されたアコースティック・ギターの音色。
煮え切らない男の切ない心情を歌わせたら日本一♪ マコトさんの歌心が沁みるオススメの1枚です。

今日のこの1曲は、切なく沁みる名曲「夕陽の交差点」のネブラスカレコード・ヴァージョン。

オリジナルは斎藤誠1998年発表『Number 9』収録。
出逢い・別れ・すれ違いを描いたこの歌。本当に何時聴いてもグッとくるイイ曲なんですよね。

なお、今作を当店にてお買い上げの方先着でカンバッチ&発売記念インタビュー・リーフレット付です。森 陽馬


2017年4月26日(水) ジョン・メイヤー 「Still Feel Like Your Man」

♪今でもシャワーのところに君のシャンプーを取ってある。
君が髪を洗いたくなったときのためにね。 ~ 今でも自分が君の男みたいな気がしているから。♪
(ジョン・メイヤー「Still Feel Like Your Man」歌詞より)

昨日のこのコーナーで斎藤誠さんのことを、煮え切らない男の切ない心情を歌わせたら日本一、と書きましたが、世界には上がいるものですね。

ジョン・メイヤーが2014年夏から約3年かけて制作した2017年発表作は真に゛失恋”アルバム。
(国内CD ジョン・メイヤー『The Search For Everything』 解説・歌詞・対訳付 SICP-5193 2,400円+税)

ジョン・メイヤー&チャド・フランスコービアックによる共同プロデュース。
スティーヴ・ジョーダン、ピノ・パラディーノ、ラリー・ゴールディングス、グレッグ・リーズがバックを務め、アル・ジャーディンやシェリル・クロウもゲスト参加。

ルーツ色が濃かった近作に比べ今作のサウンドは、ソウルフルかつリラックスした温もりある雰囲気。

でも歌の内容は、昔の彼女(ケイティ・ペリー?)への未練、想い、半ばストーカー&鬱な感情が徒然と、、、。
歌詞を読んでいるこっちも悶々としてしまいそうなほど重々しい恋心が綴られています。

マーヴィン・ゲイ『離婚伝説』とは境遇が違いますが、ジョン・メイヤー『失恋伝説』と評したくなる1枚。

今まではスーパースター/正統派ギタリストなイメージだった彼。
人間味ある部分が色濃く出た今作を機に、煮え切らない男のブルースを地で行くような更なる飛躍に期待しましょう。森 陽馬


2017年4月27日(木) SANTANA 「Soul Sacrifice」

サンタナ日本武道館公演を見てきました。

2017年で御年70歳となるカルロス・サンタナ。
白いスーツに白いTシャツ、白いズボンに白い帽子&白い靴、という全身白のいで立ち。
白熱の演奏をかき分けるように繰り出される情熱的なギター・フレーズ。

ステージ後ろのヴィジョンにウッドストック時の映像が映し出され、現在の姿&ライヴとシンクロした瞬間は感動してしまいましたね。

祈りの仕草をしてからギター・ソロへ入る場面を見て、一音に込める気持ちや熱が伝わってきました。

個人的には、約24~5年前レニー・クラヴィッツのコンサートで見て度肝を抜かれた女性ドラマー、シンディ・ブラックマンが現在はカルロス・サンタナの奥さんになっており、サンタナのドラマーとして昔以上に凄絶なプレイを見せてくれたこともうれしかったです。森 陽馬

★掲載ジャケットはRECORD STORE DAY2017で初アナログ・リリースの1枚。
サンタナがデビュー・アルバムをリリースする直前1969年ウッドストック・フェスでの熱狂ライヴ音源。
(輸入LP SANTANA『WOODSTOCK SATURDAY AUGUST 16,1969』 LEGACY/SONY 888751955551)


2017年4月28日(金) デイル・ホーキンス 「スージー・Q」

「スージー・Q」は我々60'sの音楽で育った者にとっては、1968年ヒットしたクリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァルの長尺ヴァージョンで記憶に残る曲となりました。

CCR「スージー・Q」に関して当時のレコード解説や音楽雑誌記事を見ると、こんなことが書いてあったと思います。

<ローリング・ストーンズも以前歌っていましたが、オリジナルは1957年にヒットしたデイル・ホーキンスというルイジアナ出身の白人です>

これを読んでから友達が持っていたローリング・ストーンズ『NO.2』を借りてストーンズ・ヴァージョンを初めて聴くことができましたが、デイル・ホーキンスの「スージー・Q」はなかなか聴く機会がありませんでした。

それから約10年、1970年代半ばにやっと何かのオムニバスLPでこのオリジナルを聴くことができたわけですが、現在は簡単にCDで聴けるようになっています。しかも安い値段で。

デイル・ホーキンス『スージー・Q ~ベスト・オブ・デイル・ホーキンス』
(国内CD ユニバーサル UICY-77331 1,000円+税)

これも時が随分過ぎてからわかったことですが、この曲のリード・ギターは若きジェイムス・バートンが弾いているそうです。印象的なリフとワイルドな間奏、ロックしています。森 勉



2017年4月29日(土) ウィリー・ネルソン 「Old Timer」

1933年4月29日生まれのウィリー・ネルソン。
2017年の今日で84歳を迎えました。おめでとう!ウィリー御爺さん!

自らの誕生日を祝すように、オリジナル・アルバム『God's Problem Child』(邦題:なんてこったい!』を発表。
これが心和む素晴らしい1枚でした。

ウィリー・ネルソン『God's Problem Child』(邦題:なんてこったい!)
(国内CD 解説・歌詞・対訳付 SICP-5311 2,400円+税)

まず今作で特筆すべきは、日本盤ブックレットでしょう。
手に取って中をご覧なられれば一目瞭然!
萩原健太氏解説文そして歌詞・対訳の活字が、通常ブックレットより明らかに大きいフォントなのです。

<年齢高めで老眼が進んでいる人>という今作CD購入層へピンポイントな作り♪
この字の大きさによるブックレット仕様は他アーティスト作品にも活かしてもらいたいですね。

なお、作品内容はナッシュヴィル系ミュージシャンが参加し、ウィリー・ネルソンらしい穏やかな音感。
カントリー/アメリカン・ルーツ音楽好きの方必聴の全13曲。

中でも2曲目「Old Timer」。
ドニー・フリッツとレニー・ルブランによる共作曲。

この曲だけでも買い!と断言したい、マッスルショールズ系の沁みる極上ナンバーです。森 陽馬


2017年4月30日(日) Ray Davies 「Silent Movie ~ Rock'N'Roll Cowboy」

様々なミュージシャンが参加したセルフ・カヴァー作品『See My Friends』(2011年)をはさみ、オリジナルとしては10年ぶりとなる新作『Americana』をリリースしたレイ・デイヴィス。

レイ・デイヴィス『アメリカーナ』
(国内CD 解説・歌詞・対訳付 SICP-31058 2,600円+税)

同名の自伝本(2013年)のサントラ的作品となっており、初めて渡米した頃の経験、友人との思い出、現代社会へのメッセージを織り交ぜ、アメリカへの憧れも滲ませながら、変わらないレイ・デイヴィス節を聴かせてくれます。

今作でバックを務めているのはアメリカのバンド、ザ・ジェイホークス。
イギリスにあるレイ・デイヴィス所有のコンク・スタジオでレコーディングを行っていた彼らへ声をかけたのだそうです。

演奏、コーラス他、ツアー中では会えない家族を想う自身と妻の目線で歌われる「Message From The Road」では、ジェイホークスの紅一点カレン・グロットバーグがリード・ヴォーカルでも活躍。
レイ・デイヴィス流アメリカーナを体現するのに一役買っています。

他にも、キンクス時代から携わっているキーボーディスト、イアン・ギボンズや、ウォーターボーイズのメルヴィン・ダフィーの名も。

カレンがリード・ヴォーカルを務めたもう1曲のカントリー・ナンバー「A Place In Your Heart」。
重厚感ある「The Mystery Room」。
アレックス・チルトンとのエピソードを語る「Silent Movie」から「Rock'N'Roll Cowboy」の流れは特にグッとくるものがあります。

『Americana』第2弾に向けて、曲も大量に書きためているそう。
73歳まだまだ精力的ですね。東尾沙紀




これより以前に掲載した“今日のこの1曲”は、
 “今日のこの1曲 アーカイヴス” コーナーにてご覧になれます。■



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