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  今日のこの1曲 “Archives”

<2022月10月>

当店ペット・サウンズ・レコード店にて
その日に店内でかけていた曲の中から、
店員の独断と偏見で選んだ“今日のこの1曲”コーナー

2022年10月に更新した“今日のこの1曲”コーナー


廃盤・生産中止、規格番号の変更など、
情報が古くなっている商品もございますが、ご了承くださいませ。

<最新の“今日のこの1曲”はこちらのページをご覧ください>


2022年10月1日(土) あがた森魚 「赤色エレジー」

2022年11月11日金曜日に、東京・中野サンプラザ・ホールにて、<ベルウッド・レコード50周年記念コンサート>が行われます。

ベルウッド・レコードが50周年というのは感慨深いものがありますね。

URCレコードのアーティストに興味があったので、1972年にベルウッド・レコードが発足した時も、自然にベルウッドから発売されるレコードに関心を持ちました。
高田渡、加川良、西岡恭蔵、大瀧詠一、etc...。

今日の1曲は、ベルウッド・レコードの最初のシングル・レコードとして発売されたあがた森魚の「赤色エレジー」です。

この曲が大ヒットしたことによって、ベルウッド・レーベルも会社として順調にスタートできたのではないでしょうか。
当時、テレビにもよく出演していたこの曲を歌うあがたさんの姿を忘れられません。
11月11日、あがたさん、もちろんこの曲を歌ってくれることでしょう。

あがた森魚監督による映画のサントラ盤にも収録されているので、今日はそこから。森 勉

★『僕は天使ぢゃないよ』サウンド・トラック あがた森魚・大瀧詠一(国内CD KICS-2634 1,870円税込)



2022年10月2日(日) 江藤有希 「drip coffee days」

武蔵小山駅前に某大手コーヒーチェーンが新規オープンしました。
武蔵小山には初出店ということもあり、連日賑わっていますね。

他にも様々なコーヒー・ショップが周辺にありますが、僕のお気に入り店は、アマメリア・エスプレッソです。
持ち帰りでアメリカーノ(時々カフェモカ)を注文し、天気の良い日は野外でのんびりと、少し贅沢な気分でいただくのが至福の時間です。オリジナル・ブレンドのコーヒー豆もオススメですよ。

さて、今日のこの1曲は、“コーヒー”が曲名に付いた江藤有希「drip coffee days」を。

江藤有希『memor』
(国内CD HRBR-023 2,530円税込)

江藤有希は、笹子重治&黒川紗恵子とのコーコーヤ(
2022年3月24日今日のこの1曲で紹介)や、EPO、アン・サリーなどのバックで知られる女性ヴァイオリン奏者。

ドリップ・コーヒーの温もりが伝わり、心の奥底に残っている美しい記憶が呼び覚まされるようなインスト・ナンバーです。森 陽馬



2022年10月3日(月) ブッカー・T&MG's 「グリーン・オニオン」

今日はソウル・インストの名盤を。

ブッカー・T&MG's『グリーン・オニオン』
(国内CD WPCR-27512 1,047円税込)

この盤は今年で発売60周年という年回りになりますね。

1962年夏に発売されたシングル「グリーン・オニオン」は、あれよあれよという感じでチャートを上昇し、9月には全米ポップ・チャートの第3位に。ちなみに、R&BチャートではNo.1ヒットになっています。

大ヒットの裏には何か原因があったのでしょうが、残念ながら詳しいことはわかりません。
しかし、とにかく曲がかっこよかったということでしょう。
そして、それを多くの人が好きになって、シングル・レコードが売れたことは確かだと思います。

当時のメンバーは、ブッカー・T.ジョーンズ、スティーヴ・クロッパー、アル・ジャクソン、ルイス・ステインバーグ。
この4人がこの曲の作曲者としてクレジットされています。
ブッカー・Tのクールなオルガン、そしてスティーヴ・クロッパーのソリッド感あるギターが魅力です。

アルバムの中には、クロッパーのギター・ソロが聴ける「アイ・ガット・ア・ウーマン」(レイ・チャールズのヒット曲をカヴァー)なども収録されています。森 勉



2022年10月4日(火) 松任谷由実 「Anniversary」

1972年に荒井由実名義のシングル「返事はいらない」でデビューしてから50年。
ラジオ・リスナーからのリクエストを基に選曲された、松任谷由実50周年記念ベスト・アルバムが発売されました。

松任谷由実『ユーミン万歳! 松任谷由実50周年記念ベスト・アルバム』
(3CD+BD UPCH-29441 5,280円税込/3CD+DVD UPCH-29442 4,730円/3CD UPCH-20629 3,850円税込)
各々の初回仕様盤には、アリーナツアー2023チケット最速先行予約抽選シリアルコード封入

ブックレットには、各曲毎にラジオ・リスナーのエピソード・コメントが掲載され、とても興味深い内容です。
これを読みながら、曲を聴き、そして改めて歌詞を追っていくと、歌の深みがより増してきます。
(特に「Hello, my friend」のコメントは、まさにドラマのようなエピソードですね。)

新曲「Call me back」は、現在のユーミンと、最新のAIで再現された荒井由実の歌声で構成された話題曲。
松任谷正隆がプロデュースした白石まるみ1982年のユーミン作楽曲「恋人がいても」のデモを基に制作したそう。

なお、世界的エンジニアGOH HOTODAの2022年最新リマスタリングと、松任谷正隆が手掛けた新たなリミックスによって、70年代の古い楽曲と最近の曲が違和感なく洗練された音質で並んでいるのも、本作のポイントと言えるでしょう。

ただ、「Anniversary」は、リミックスによってユーミンの歌声はクッキリしたものの、リズム・トラックが穏やかになりすぎた印象で、以前のヴァージョンに比べ、後半の盛り上がりが大きく欠けてしまったように僕は感じました。
昔聴き込んでいた音が脳裏に残っている場合、リミックスの好みは人によって分かれるかもしれませんね。
まあでも、格段に音質が向上した楽曲も多いので、同じ曲を昔のCDと聴き比べる楽しみもあると思います。森 陽馬



2022年10月5日(水) Tommy McLain 「No Tomorrows Now」

1966年に「Sweet Dreams」(ドン・ギブソン作/エミルー・ハリスやエルヴィス・コステロ等もカヴァー)をヒットさせている、知る人ぞ知るルイジアナ出身シンガーソングライター、トミー・マクレイン。

<スワンプ・ポップのレジェンド>と称される御年82歳のマクレインが約40年ぶりに新作をリリース。
失礼ながら主役の事はよく知らず、参加メンバーに惹かれ手に取った1枚でしたが、再生ボタンを押してすぐ...少ししゃがれた張りのある歌声に魅了されてしまいました。

トミー・マクレイン『夢から醒めて(I Ran Down Every Dream)』
(国内CD 日本語解説・歌詞付 MSIG-1504 3,300円税込)

エルヴィス・コステロ、ヴァン・ダイク・パークス、ジョン・クリアリー、アイヴァン・ネヴィル、エド・ハーコート、オーギー・メイヤーズ、ニック・ロウ、ニックの息子ロイ、今作のプロデューサーC.C.アドコックらが共作、アレンジ、演奏で全面サポート。

旧友ボビー・チャールズ作楽曲など過去のレパートリー再録、ニック・ロウ共作「The Greatest Show On Hurt」、ヴァン・ダイクが手掛けた柔らかな管弦アレンジが印象的な「California」、コステロ共作/ヴォーカル参加曲「I Ran Down Every Dream」ほか自身のペンによる味わい深いオリジナル曲が並ぶなか、本日はアルバムのオープニングを飾る「No Tomorrows Now」を今日の1曲に。

トゥワンギーなギターの心地良い響きと、第一声でグッとくるソウルフルな歌声が沁みる曲です。東尾沙紀



2022年10月6日(木) Lake Street Dive 「Nick Of Time」

ボニー・レイットが39歳を迎えた1989年に発表し、グラミー賞を受賞した名作アルバム『Nick Of Time』。
そのタイトル曲「Nick Of Time」は、子供がいない女性の切実な心境や、老いた両親を眺めながら同じく年をとっていく自らの不安な気持ち、そして、そんな時に出逢った大事な愛する人のことが歌われていた。

2022年で37歳となったレイク・ストリート・ダイヴのレイチェル・プライスは、ふとしたきっかけでこの歌をじっくりと聴き返し、感情が込み上げ涙が溢れてきたそうだ。

Fantasyレーベルへこの度移籍したレイク・ストリート・ダイヴは、カヴァー・アルバム『Fun Machine:The Sequel』を発表。キャロル・キング「So Far Away」、クランベリーズ「Linger」、ポインター・シスターズ「Automatic」、バカラック作「Anyone Who Had A Heart」等に加え、ボニー・レイット「Nick Of Time」のカヴァーが収められている。

Lake Street Dive『Fun Machine:The Sequel』
(輸入CD Fantasy/Concord 00888072461413)

力強く、憂いを帯びたレイチェル・プライスの歌声には、言葉以上の様々な気持ちが込められているようだ。
ポップなアレンジが施され、人生への励みと、愛することの大切さが伝わってきた。森 陽馬



2022年10月7日(金) 松任谷由実 「夕涼み」

10月4日に発売されたユーミンのベストが好調に売れています。

どのくらい売れているかというと、「メーカーで在庫が品切れとなり、封入の応募抽選特典に応募できない人が多数出てくることを想定し、応募期間を10月24日まで延期します」、という通達が本日急遽出されるほど。
1972年にデビューしてから50年間、ほぼ休みなくずっと、多くの人に響く音楽を作り続けてきたからこそ、でしょうね。

さて、ユーミン旧譜キャンペーンの特典クリアファイルがまだ少し残っているので、大好きな名盤も取り上げましょう。

松任谷由実『PEARL PIERCE』
(国内CD TOCT-10646 2,619円税込)

1982年発表の本作は、バック・サウンドの心地良さが特に感じられる1枚ですね。
松原正樹、鈴木茂のギター、高水健司のベース、林立夫、島村英二のドラム、Jake H Conception他ホーン隊含めた全体の音が、オーガニックに調和しています。

今日のこの1曲は、過ぎてしまった夏を惜しんで、じんわりと沁みる「夕涼み」を。
安西水丸のイラストがブックレットに使用されているのも、お気に入りアルバムであるポイントの1つです。森 陽馬



2022年10月8日(土) Bobby Hackett Jack Teagarden 「That's A Plenty」

書籍『文學界』2022年11月号は、『JAZZ×文学』特集。
村上春樹へのインタビュー<モダン・ジャズ以前のジャズについて聞く>が掲載されています。

村上春樹が20代前半にアルバイトしていた水道橋のジャズ喫茶『スイング』は、モダン・ジャズをかけない店だったそうで、その頃の想い出話を中心に、モダン/ハードバップ以前のジャズについて色々と語っています。

彼が当時一番好きになったのは、テディ・ウィルソンとのこと。
レスター・ヤング、アール・ハインズ、ミルドレッド・ベイリー、クロード・ソーンヒルも話題に上がっていました。
昭和のジャズ喫茶へ想いを馳せながら、ジャズの魅力をより深堀りしたい方は、チェックしてみてください。

さて、インタビューで「好きだった」と話し、村上春樹著『ポートレイト・イン・ジャズ』にて紹介されたこの1枚は、現在お買い得な価格で国内盤が発売されています。

ボビー・ハケット~ジャック・ティーガーデン『コーストコンサート』
(国内CD 日本語解説付 UCCU-8267 1,100円税込)

ボビー・ハケットによるコルネット(トランペットを小さくしたような管楽器)のほのぼのとした音色と、ジャック・ティーガーデンによるトロンボーンの掛け合いがとってもゴキゲンな、ディキシーランド・ジャズ1955年録音の名盤です。

ボビー・ハケットは、ジャッキー・グリースンの作品やリー・ワイリー『ナイト・イン・マンハッタン』の名演でも知られていますが、本作で聴ける小粋で陽気な雰囲気がとっても素敵ですね。森 陽馬


2022年10月9日(日) Steve Pilgrim 「Don't Let The Mirror Break You」

2008年からポール・ウェラーのバンドでドラマーとしても活躍している1979年生まれ・リヴァプール出身のシンガーソングライター、スティーヴ・ピルグリム。

2000年代初頭The Standsのドラマーとして活動したのち、他アーティストのサポートや、ソロ・シンガーとしてもこれまでに5枚のアルバムを発表しています。

近年ウェラー来日公演のアコースティック・セットでも素敵な歌声を聴かせてくれた彼が、ポール・ウェラーのプロデュースで6作目をリリースしました。

Steve Pilgrim『Beautiful Blue』
(輸入CD MLRCD006)

ウェラーの作品でお馴染みハンナ・ピールがアレンジを手掛ける美しいストリングスに彩られたフォーキーなシンガーソングライター作品。
アコースティック・ギターで奏でる叙情的なメロディと穏やかな歌声は、ウェラー・バンドの屋台骨を支えるパワフルなドラマーのイメージとはまた違った魅力を放っています。

本日はフリューゲルホルンの音色が心地良く、爽やかな風を感じさせる「Don't Let The Mirror Break You」を今日の1曲に。この曲の他、全12曲中5曲をウェラーと共作、演奏でもほとんどの曲に参加しています。東尾沙紀



2022年10月10日(月) ジミー・ラフィン 「恋にしくじったら」

ブルース・スプリングスティーンの新しいアルバム『オンリー・ザ・ストロング・サヴァイヴ』が、11月11日発売予定になっています。

通算21作目のスタジオ録音盤で、カヴァー・アルバムだそうです。
メーカーの宣伝文句(キャッチ・フレーズ)は、<2年ぶり新作はボスが謳うスウィート・ソウル・ミュージック>。

ボスはこう語っているそうです。
「今作に収録されているこの輝かしい音楽から多くのインスピレーションを得たんだ。私が初めて聴いたときからそうであったように、現代の聴衆にもその美しさと喜びを体験してもらうことが私の目標だ。私が愛したように、みんなにもこれらの曲を聴いて気に入ってもらえるといいな。」

ブルース・スプリングスティーンは1949年生まれ。僕より2つ年上ですが、ほぼ同世代。
今回のカヴァー・アルバムは、発売前からとても気になる存在です。
現在発表になっている情報によると全15曲。ほぼ1960年代の曲で、なかなか渋くてかっこいい選曲だと思います。
アルバム・タイトル曲はジェリー・バトラー、その他、ベン・E・キング、チャック・ジャクソン、フォー・トップス、テンプテーションズ、ダイアナ・ロス&シュプリームス、ウィリアム・ベル、タイロン・デイヴィス、等の楽しみな曲が並んでいます。

フランキー・ヴァリがオリジナルで、ウォーカー・ブラザーズでヒットした「太陽はもう輝かない」も楽しみです。いったいどんなヴォーカル、サウンドになっているのでしょうか? ワクワク・・・。

今日の1曲は、ジミー・ラフィンが歌って1966年にアメリカではトップ10ヒットとなった「What Becomes Of The Brokenhearted」(邦題:恋にしくじったら」)を。
テンプテーションズのデヴィッド・ラフィンのお兄さんです。
当時、この曲が大好きで、LPレコードを買い、今でも大事に持っています。
今日はモータウンのオムニバスCDで。
『モータウン60』(国内3枚組CD UICZ-1704 2,750円)

ボスのカヴァー楽しみ。早く聴きたいな。森 勉



2022年10月11日(火) Shabason, Kragovich & Harris 「Philadelphia」

秋風が爽やかに吹いている夕まぐれ。
この上なく心地良いのに、どこか切なくて、物悲しい気持ちが去来する...。

何気なく歩いていると、そういう思いに、ふと襲われる時があります。
郷愁とも違う、胸がキュッとする刹那の哀しみ。
そんな時に、日々の幸せ、一瞬一瞬の大事さを強く感じるのです。

シャバソン・ケルゴヴィッチ&ハリスの音楽は、そのような想いを優しく包んでくれます。

シャバソン&ケルゴヴィッチ『At Scaramouche』
シャバソン・ケルゴヴィッチ&ハリス『Philadelphia』
(国内2枚組CD 日本語解説・歌詞・対訳付 epcd130 2,750円税込)

本作は、カナダのジョセフ・シャバソンとニコラス・ケルゴヴィッチによる2022年最新作『At Scaramouche』と、クリス・ハリスを加えたトリオでの2020年作『Philadelphia』をカップリングした日本限定2枚組CD。
キングス・オブ・コンビニエンスをレイ・ハラカミが音響アレンジしたようなアンビエント・サウンドな1枚。

今日のこの1曲は、シャバソン・ケルゴヴィッチ&ハリスの2020年作タイトルになっている、ニール・ヤング「フィラデルフィア」のカヴァーを。
オリジナルとほぼ同じような静かなピアノをバックに、語りかけるように歌っています。森 陽馬



2022年10月12日(水) The A's 「Go To Sleep My Darling Baby」

小鳥がさえずるように軽やかに。
アカペラやヨーデルを駆使した穏やかなハーモニーを聴かせるアメリカの女性デュオ、The A's(ジ・エーズ)

インディー・シーンで活躍する女性3人組フォーク・ユニットMountain ManのメンバーであるAmelia Meath、Alexandra Sauserの2人の<A>が結成したデュオが1stアルバムをリリースしました。

The A's(ジ・エーズ)『フルーツ』
(国内CD 日本語解説・歌詞・対訳付 ボーナス・トラック1曲 HYCA-8040 2,420円税込)

ポップな音が飛び出してきそうなカラフルで可愛らしいジャケットですが、彼女達が今作で取り上げているのは殆どが昔から歌い継がれてきた伝統歌や子守唄、フォーク・ソングなどの古い曲。

映画『ポパイ』(1980)の中で歌われた「He Needs Me」のまったりした雰囲気も良いし、アカペラで歌われる「Why I'm Grieving」のヨーデル歌唱は見事且つとっても楽しく、子守唄「Go To Sleep My Darling Baby」は素敵な夢が見られそう...。

アコースティック・ギターをメインとした最小限の演奏と、気持ちをフワッと軽くさせてくれるような2人のハーモニーが心地良い1枚です。
氷の破片やボトル、自分の髪や靴紐などを身の回りのものを用いた遊び心溢れるアレンジを意識しながら聴くのもまた面白いですよ。東尾沙紀



2022年10月13日(木) William Bell 「Crying All By Myself」

山下達郎氏が、「今年出たコンピで毎日のように聴いている」とラジオで話していたオススメの1枚。

William Bell『Never Like This Before ~ The Complete 'Blue' Stax Singles 1961-1968」
(輸入CD KENT SOUL/ACE CDTOP-510)

スタックスの黄金期を支えた黒人男性シンガー、ウィリアム・ベル。
本作は、1960年代に彼がスタックス・レーベルから発表したシングル音源を全て収録した編集盤CDです。
初CD化音源含む全28曲が、ACEレーベルらしい良質な音で収録。

今日のこの1曲は、達郎さんも「初期で一番好きな曲」という1965年発表「Crying All By Myself」を。

何時聴いても心がほっこりと温かくなる、優しく沁みるソウル・バラードです。森 陽馬



2022年10月14日(金) Red Hot Chili Peppers 「Eddie」

4月1日に発売された『アンリミテッド・ラヴ』(2022年4月5日今日のこの1曲で紹介)からほぼ半年。
レッチリのまた新しいアルバムが本日発売されました。

レッド・ホット・チリ・ペッパーズ『Return Of The Dreem Canteen』
(国内CD 日本盤ボーナス・トラック1曲追加 解説・歌詞・対訳付 2,860円税込/輸入LPもあり)

前作に引き続き、リック・ルービンによるプロデュース。
自然と身体が揺れるようなグルーヴィーかつロックな楽曲が全17曲収録(日本盤は18曲)。
充実感をタップリ味わえる1枚です。

今日のこの1曲は、4曲目「Eddie」を。
2020年10月にガンで逝去したエディ・ヴァン・ヘイレンへ捧げられたナンバー。
ジョン・フルシアンテによる後半のギター・ソロに、心が熱くなりました。森 陽馬

★掲載ジャケットは国内盤CD。輸入盤CD&LPはジャケットのイラストが異なります。



2022年10月15日(土) Peter Gabriel 「Here It Is」

「May everyone live. And may everyone die. Hello, my love. And my love, Goodbye.」
(みんなが生きますように。みんなが死にますように。こんにちは、恋人よ。恋人よ、さようなら。)
<レナード・コーエン作「Here It Is」歌詞より>

多くのミュージシャンに影響を与えたカナダ出身の詩人/シンガー・ソングライター、レナード・コーエンのトリビュート・アルバムがブルーノート・レーベルから発売されました。

『Here It Is : A Tribute To Leonard Cohen』
(国内CD 天辰保文氏による素晴らしい解説・歌詞・対訳付 UCCQ-1170 2,860円税込)

彼の友人であったラリー・クラインによるプロデュース作で、ノラ・ジョーンズ、ジェイムス・テイラー、イギー・ポップ、メイヴィス・ステイプルズ、サラ・マクラクラン、グレゴリー・ポーター他が参加。

トリビュート・アルバムは往々にして、参加アーティスト各々のバンドや録音で構成されバラつきあることが多いのですが、本作は全曲同じバック・バンドで構成されており、全体的に統一感がある点がとても良いですね。
ビル・フリゼール、グレッグ・リーズ、ラリー・ゴールディングス、ネイト・スミス、ケヴィン・ヘイズ、スコット・コリー、と腕達者な面々が名演を支えています。

今日のこの1曲は、ピーター・ガブリエルが渋い声で語るように歌う2曲目「Here It Is」を。
冒頭の歌詞のフレーズが、印象深く胸の奥底へ響いてきます。森 陽馬



2022年10月16日(日) 加藤和彦 「オーブル街」

加藤和彦『メモリーズ~加藤和彦作品集』
(国内CD TOCT-10895 2,619円税込)

このCDの帯には、加藤和彦自身のこんな言葉が綴られています。

「私にとって、これは単なる思い出に過ぎないが、思い出が人生にとって重要な、そして意味のあるものになる時がある。だから、皆さんが、私のこれらの思い出を共有してくださることに感謝を覚える。」

タイトルは、他人へ提供した曲などが入ってそうな『作品集』になっていますが、すべて加藤和彦のオリジナル歌唱です。

本来は『ベスト』という文字が入ってもいい内容です。
東芝レコード所属時代のフォーク・クルセイダーズ、サディスティック・ミカ・バンド以前までの音源全21曲。
「悲しくてやりきれない」、「僕のおもちゃ箱」、「9月はほうき星が流れる時」、「雨の糸」、「家をつくるなら」、「青年は荒野をめざす」、「あの素晴らしい愛をもう一度」、「シンガプーラ」、etc...。

今日は、フォークル時代の名曲「オーブル街」を。
すてきなメロディーです。
バック演奏が逆回転になっているところも、加藤和彦の先鋭さが出ていますね。森 勉



2022年10月17日(月) フライダーズ 「Tell Me Why」

ニール・ヤングをお好きな方、必聴!
当店オススメの日本人バンド、フライダーズが新作アルバム『Long Time Ago』を発表しました。

フライダーズ『Long Time Ago』
(国内CD HYCA-8042 2,640円税込)

フライダーズは、佐藤ユウキ(Vo.G)を中心に結成し、相馬智(B)、青木利文(G)が加わったロック・バンド。
2019年4月発表1st『Flyders』(
2019年4月22日今日のこの1曲で紹介)に続く、約3年半ぶりの2ndアルバムで、夏秋文尚(ジャック達/ムーン・ライダーズ)がプロデュースを担当。武川雅寛、駒沢裕城、秘密のミーニーズも参加しています。

全曲の作曲・作詞を手掛けている佐藤ユウキは、本作を録音していた頃、ニール・ヤングの名作『ハーヴェスト』(1972)を深く聴き込んでいたとのこと。
ニール・ヤング的なエッセンスが、曲調やアレンジ、アルバム全体のサウンドに表現されていますね。

今日のこの1曲は、ニール・ヤング「アラバマ」(『ハーヴェスト』収録曲)を彷彿とさせる②「Tell Me Why」を。
山中湖にある音楽スタジオの温かな雰囲気もじんわりと伝わってきます。森 陽馬



2022年10月18日(火) Neil Young 「Words (Between The Lines Of Age)」

ニール・ヤングが1972年に発表した名盤『ハーヴェスト』の50周年盤が発売決定いたしました。

Neil Young『Harvest : 50th Annversary Edition』
(2022年12月21日発売 国内盤3CD+2DVD+ブックレット WPCR-30937 14,300円税込)
(2022年12月2日発売 輸入3CD+2DVD/輸入2LP+7inch+2DVDもあり)

ニール・ヤングにとって唯一の全米No.1シングル曲「Heart Of Gold」(邦題:孤独の旅路)が収録され、このアルバム自体も全米No.1となった彼の代表作です。
『アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ』(1970年発表作)と並んで、個人的にも大好きなアルバムですね。

ナッシュビル録音の楽曲が多く、アコースティックな印象が強い『ハーヴェスト』ですが、後半に入っているエレクトリックな2曲「Alabama」、「Words (Between The Lines Of Age)」が、作品の魅力を押し上げていると僕は思っています。

バック・バンドであるストレイ・ゲイターズ(ジャック・ニッチェ、ベン・キース、ケニー・バトレー、ティム・ドラムンド)の演奏には独特なタイム感があって、どこか違う世界へ誘ってくれるような情感を与えてくれるのです。

今日のこの1曲は、アルバムラストに収録されている「Words」(邦題:歌う言葉)を。
なお、今回の50周年盤には、1971年BBCコンサートの音源&映像に加えて、2時間に及ぶ当時のレコーディング風景を中心としたドキュメンタリー映像DVDが付属される予定で、とても楽しみですね。
ニールが監督した映画『Journey Through The Past』でも映像が使われていた「Words」の演奏シーンが、新たな形で観れることを期待しましょう。森 陽馬



2022年10月19日(水) 高田漣 「フランク・ロイド・ライトに捧げる歌」

高田渡の息子で、名ギタリストとして活躍している高田漣さん。
同じ年代でニール・ヤング好き、ということで、面識はないのですが僕は勝手にシンパシーを感じています。

その彼が2022年でソロ・デビュー20周年を迎え、この度新作『CONCERT FOR MODERN TIMES』を発表しました。

高田漣『CONCERT FOR MODERN TIMES』
(国内CD FJ234 3,300円税込)

<建物のモダニズムが高田漣の文学性を引き出した。
名演奏家の奥に芽生えていた静謐なコンチェルトが聴ける。細野晴臣>

CD帯に記載されている細野さんの推薦文にあるように、20世紀を代表するモダニズム建築家、フランク・ロイド・ライトの設計による自由学園明日館の講堂にて、バンド編成によるライヴ形式で一発録音された作品です。

そのバンドは、高田漣、伊藤大地、伊賀航、ハタヤテツヤ、伊藤彩、吉田篤貴、三木章子、村中俊之の8人。
優雅な室内楽的なサウンドで、伝統的なその場の空気と相まり、温もりある質感の音が心地良く響いてきます。

今日のこの1曲は、ラスト10曲目に収録されているサイモン&ガーファンクルのインスト・カヴァー「フランク・ロイド・ライトに捧げる歌」を。
ちなみに3曲目「オーランドー」の編曲は、ニール・ヤング『バーン』に影響を受けているそうです。森 陽馬



2022年10月20日(木) Young Gun Silver Fox 「Freak Flag」

一年のうちにママズ・ガン、ヤング・ガン・シルヴァー・フォックスどちらも新作が聴けるなんて♪

アンディ・プラッツ(ママズ・ガン)と、ショーン・リーによるAOR~ブルー・アイド・ソウル・ユニット、ヤング・ガン・シルヴァー・フォックス。
2人とも各々の活動も忙しくしているなか、約2年半ぶり、4枚目となる充実の新作が発売されました。

ヤング・ガン・シルヴァー・フォックス『チケット・トゥ・シャングリラ』
(国内CD 日本語解説・歌詞付 PCD-25349 2,750円税込)

<音楽的にもリリック的にも、あなたを別の場所へ連れてってくれるようなポイントがたくさんあると思う。>
(ブックレットのアンディのコメントより)
グルーヴィーなAサイド、スロウなBサイド、そして最後は爽快なポップ・ナンバー「Freak Flag」で締めくくられる今作。
アルバム・タイトルの通り、最高に心地良い別世界へと誘ってくれる1枚です。

日本盤ブックレットにはアンディ&ショーンの各曲コメントも掲載。
「Simple Imagination」は元々ダイアナ・ロスの新作用に書かれた曲(!)など、曲をより楽しめる興味深い話が色々書かれていますので是非チェックしてみてください。東尾沙紀


2022年10月21日(金) 原由子 「初恋のメロディ」

「針を落とせば蘇る 青春が弾けそうな真夏の夜 二人で聴いた古いレコードが 優しく時の流れ 巻き戻す」
<原由子「初恋のメロディ」歌詞より>

近年、再び人気となっているアナログ・レコードの魅力とは何でしょうかね?
「温かい質感の音質」、「ジャケットの大きさ」、とよく言われますが、色々な要因があって、レコード盤に音が刻まれているのと同様に、思い出もその音楽に刻まれやすいからかな、と僕は考えています。

そんなことを実感させてくれたのが、原由子さんの新作『婦人の肖像』収録曲「初恋のメロディ」です。

原由子『婦人の肖像 Portrait of a Lady』
(完全生産限定盤A Blu-ray付 VIZL-2110 6,380円/完全生産限定盤B DVD付 VIZL-2111 6,380円/通常CD VICL-65730 3,300円/生産限定アナログ盤 VIJL-60290 4,400円)

NHKみんなのうた使用曲「千の扉」、ドラマ『プリズム』主題歌「ヤバいね愛てえ奴は」、エリック・クラプトンのことを歌った「スローハンドに抱かれて(Oh Love!!)」、「鎌倉物語」の続編的な「鎌倉 On The Beach」等、イイ曲がたくさんありますが、ラスト10曲目「初恋のメロディ」は特に感動的な1曲でした。

イントロ部分には、レコードへ針を落とす音や、チリチリと鳴るスクラッチ・ノイズが意図的に入っています。
宝物のような大事な想い出が、音楽と繋がっているのは素敵なことだな、と改めて思いました。森 陽馬


2022年10月22日(土) 片岡知子 「Cat's Scat」

<楽しくて可愛くて ヘッポコで、ちょっぴり切ない。音楽家・片岡知子による“ネコード”登場!!>

インスタント・シトロンや、NHK Eテレ『みいつけた!』の音楽を手掛けた片岡知子さんによるネコ企画アルバムが、彼女の3回忌(2022年10月20日)に、10インチ・アナログ盤とCDで発売されました。

片岡知子『ネコとミーシャのアルバム L'album de Minet et Micha』
(10inchアナログ 完全限定盤 LDLP-016 3,520円税込)
(国内CD 一部店舗のみの販売 LDCD-017 2,750円税込)

1940~50年代に多くのレコード・ジャケットを手掛けたジム・フローラの原画を、片岡知子さんは所蔵しており、本作のジャケットはその素敵なイラスト原画を使用したデザインです。

そのデザイン&制作を手掛けた岡田崇さんによるライナーノーツがブックレットに掲載。
更に10インチ・アナログ盤には、片岡知子さんが2010~11年に同人誌『月刊てりとりぃ』に執筆したコラム「すこぼこネコ談義」全6篇掲載のリーフレットも同封されています。

アナログ・レコードの魅力を実感できるのと同時に、手に取ると知子さんの在りし日の姿が目に浮かんできて、胸がキュンとなるような切なさも覚える1枚ですね。

今日のこの1曲は、愛猫グリちゃんも大活躍♪ 某お菓子メーカーのCM用に制作されたという、約39秒のゴキゲンなジングル的ナンバー「Cat's Scat」を。森 陽馬


2022年10月23日(日) Daniel Lanois 「Sunday Asylum」

「このレコードを作ることで、キューバ、メキシコ、ジャマイカを旅することができた。エリック・サティやオスカー・ピーターソン、ハロルド・バッドの亡霊に会いに行くこともできた。ブライアン・イーノやケイト・ブッシュ、エミルー・ハリスとのコラボレーションにも時間をさかのぼることができた。私のスタジオから出ることなく。」(ダニエル・ラノワ)

ボブ・ディラン『オー・マーシー』、U2『ヨシュア・トゥリー』等の名作をプロデュースし、ニール・ヤングの奇盤『ル・ノイズ』を手掛けたカナダ人のダニエル・ラノワは、ソロ作やユニット含め、独特な音作りが個性的ですよね。

その彼が、ピアノ・インスト・アルバムを発表しました。

Daniel Lanois『Player, Piano』
(輸入CD Modern Recordings/BMG 5053-883763/輸入LP 5053-883737)

1940~50年代のような繊細なサウンドをイメージして、弦をタオルで和らげたり、ヘッドにフェルトパッドを付けるなどピアノの改造を重ね、更にヴィンテージのリボン・マイクを裏側に配置し録音が施された1枚。
『ル・ノイズ』のような不穏さはなく、美しく深遠な音世界がノスタルジックな気分にさせてくれます。

今日のこの1曲は、夢の中で優しい陽射しが降り注ぐようなラスト13曲目「Sunday Asylum」を。森 陽馬



2022年10月24日(月) Billy Butler & Infinity 「I'm So Hung Up On You」

山下達郎D.J.によるラジオ番組が、10月でなんと30周年を突破しました。

『サンデー・ソングブック』
凄い番組だと思います。達郎さんがリスナーを育ててくれるんですね。30年間ずっと。

知っている好きな曲がかかればうれしいですし、初めて聴く知らない曲でも、いい曲がまだまだいっぱいあるな、と感じることが多いです。
どんなリクエストにも対応できる達郎さんのレコードやCDのコレクションも番組の大きな強味ですね。

さて、今日の1曲は、2022年10月16日放送の時に、リスナーのリクエストで達郎さんがかけてくれた曲です。
ジェリー・バトラーの弟ビリー・バトラーの「アイム・ソー・ハング・アップ・オン・ユー」。
いい曲でした。

プライド・レーベルから1973年に発売されたナイス・シカゴ・ソウルの1枚。

ビリー・バトラー&インフィニティ『ハング・アップ・オン・ユー』
(国内CD 日本語解説付 OTLCD-5411 2,035円税込)

達郎さん、これからも楽しい放送を続けてください。森 勉



2022年10月25日(火) Buddy Guy 「I Let My Guitar Do The Talking」

タイトルは『THE BLUES DON'T LIE』(ブルーズは嘘をつかない)!

2022年で86歳を迎えたバディ・ガイが、2018年作『The Blues Is Alive And Well』(
2018年7月2日今日のこの1曲紹介)以来約4年ぶりの新作アルバムを発表しました。

バディ・ガイ『THE BLUES DON'T LIE』
(国内CD ボーナス・トラック1曲追加 解説・歌詞・対訳付 SICP-6492 2,640円税込)

前作に続き、“白人のウィリー・ディクソン”とも称されるトム・ハンブリッジによるプロデュース。
メイヴィス・ステイプルズ、ボビー・ラッシュ他、意外なところで、エルヴィス・コステロ、ジェイムス・テイラー、ジェイソン・イズベル、ウェンディ・モートンもゲストで参加。
全編活気に溢れていて、その迫力に圧倒される全16曲(国内盤は17曲)が収録されています。

今日のこの1曲は、「ギターに話をさせる」との曲名が印象的な①「I Let My Guitar Do The Talking」を。
自伝的な歌詞<俺がルイジアナを出たのは60年も前のこと>から始まる痛快なブルーズ・ナンバーです。
ブルーズの魂・スピリッツに年齢は関係ないのだな、ということを改めて感じました。森 陽馬



2022年10月26日(水) The Lightning Seeds 「Emily Smiles」

UKポップ&サッカー・ファンの方はそろそろ頭の片隅で「Three Lions」が流れ始める頃でしょうか。

フットボール・アンセムの新バージョンへの期待も膨らむなか、イアン・ブロウディ率いるザ・ライトニング・シーズの約13年ぶりの新作が発売されました。

The Lightning Seeds『See You In The Stars』
(輸入CD BMG 538819032)

胸の高鳴りと呼応するような「Losing You」、テリー・ホール(ザ・スペシャルズ)との共作「Emily Smiles」、先行シングル「Sunshine」など高揚感のある曲をはじめ、コーラスのアレンジが楽しい「Walk Another Mile」、王道ギターポップ「Green Eyes」、ジェームズ・スケリー(ザ・コーラル)との共作「Great To Be Alive」と「Live To Love You」などなど、イアン・ブロウディのチャーミングな歌声、彼らしいキャッチーなメロディが散りばめられた1枚♪

彼らは10月27日から約1ヶ月間のUKツアーがスタート。
初来日公演を行った2019年11月以来となる日本でのライヴも期待したいですね。東尾沙紀


2022年10月27日(木) My Bloody Valentine 「Only Shallow」

映画『クリエイション・ストーリーズ』を渋谷シネクイントで先日鑑賞。
オアシス、プライマル・スクリーム、ティーネイジ・ファンクラブ、ジザメリ、マイブラ等、人気バンドを多数送り出したインディー・レーベル、<クリエイション・レコーズ>の創始者アラン・マッギーを描いた物語。ドキュメンタリーではなく、俳優が実在の人物を演じている映画です。

『トレインスポッティング』を監督したダニー・ボイルが製作総指揮。『トレイン~』の原作者アーヴィン・ウォルシュが脚本を手掛け、『トレイン~』出演のユエン・ブレムナーがアランを演じており、『トレインスポッティング』の外伝的な感じでしたね。(監督は『ロック・ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』の主演ニック・モランが担当!)

アラン・マッギーの破天荒な人生は、現代ならありえないことばかりですが、90年代英国ロックを現体験で聴いていた人は不思議と懐かしい気持ちも込み上げて、楽しめる映画かもしれません。グラスゴーの昔のレコード店が出てくる場面とか、偶然が重なって有名になる前のオアシスを見出すシーンも面白かったです。

あと、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインが『ラヴレス』のレコーディングに2年半を費やし、27万ポンドもの巨額を費やしたため、クリエイションが倒産の危機に陥る逸話も描かれています。
ケヴィン・シールズがレコーディングしているスタジオへ、アラン・マッギーが文句を言いに行くものの、中へ入れてもらえず暴れるシーンでは、轟音ギターが狂気的に渦巻く「Only Shallow」がかかっていました。

ちなみに、映画序盤アランの生い立ちが紹介されるところでは、デヴィッド・ボウイとセックス・ピストルズが当時の若者へ与えた影響の大きさも実感しましたね。それと、ナポレオン14世「狂ったナポレオン、ヒヒ、ハハ」が何故か映画中盤で使われていたのが印象に残りました。森 陽馬

★掲載ジャケットは、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインの1991年発表2ndアルバム『ラヴレス』。



2022年10月28日(金) ビートルズ 「イエロー・サブマリン」(ソングライティング・ワーク・テープ/パート1&2)

ビートルズが1966年に発表した7枚目のオリジナル・アルバム『リボルバー』のニュー・リマスターが、本日10月28日に発売になりました。CDは3種類でました。

ビートルズ『リボルバー』
(国内仕様5CDスーパー・デラックス・エディション UICY-80210 21,450円税込)
(国内2CDデラックス盤 UICY-80211 3,960円税込)
(国内通常1CD盤 UICY-16125 2,860円税込)

個人的には迷わず、<5CDスーパー・デラックス盤>にしました。
お値段は少しはりますが、なんてったってビートルズの最重要アルバムですからね。(他にも最重要がいっぱい)
楽曲は多様性を持っているし、テープ・ループに逆回転、シタールに、タブラに、ストリングスに、ブラス・セクション...etc。聴き所満載です。

それを、ニュー・ステレオ・ミックス、オリジナル・モノラル・マスター、2CDに渡る各曲のなりたちの秘密も垣間見ることができるセッションズ、当分の間、どっぷりの状態になりそうです。

それにしても、すべての曲が1966年6月30日~7月2日の日本公演前に完成していた、という事実。
ビートルズの進化は本当に凄かった。

今日の1曲は、いろいろ目移りしますが、ディスク3の10、11曲目に入っている、ジョン・レノンが歌う「イエロー・サブマリン」(ソングライティング・ワーク・テープ/パート1)と(パート2)を。
56年の時を越えて感動しました。

あと、この5CDセットに付いている100ページのブックレット(重い!)が、写真、資料、文章(日本語訳付)共に素晴らしい。1ページ1ページが、ビートルズの歴史を語りかけてきてくれます。森 勉



2022年10月29日(土) 村田和人 「スカイ・ラヴ」

村田和人がムーン・レーベルから東芝EMIに移籍しての第1弾アルバム『GO POP』が、2022年10月26日に再発売されました。(オリジナル発売は1988年10月5日でした。)

村田和人『GO POP』
(国内CD UPCY-90132 1,650円税込)

今回の発売は、シティ・ポップ・ブームの中、ユニヴァーサル・ミュージックが企画した<CITY POP Selections>の中の1枚。

通算では第6作目になるこのアルバムは、1988年というデジタル化が進んでいた時期でもあり、ムーン時代とはサウンドの雰囲気が変化していました。
当時初めて聴いた時は少しビックリしましたが、ヴォーカルや曲全体の出来は前と変わらず素晴らしいものだったので、すぐに新しい村田ワールドに溶けこめました。

今日の1曲は、先行シングル・レコードにもなった「スカイ・ラヴ」を。

隠れた名曲「フライング・サンタ・クロース」も収録。森 勉



2022年10月30日(日) SOY 「夕焼け前」

ユニヴァーサル・ミュージックの<CITY POP Selections>シリーズで、特にオススメの1枚!

SOY『SOY』
(国内CD 完全限定盤 天辰保文氏による解説付 UPCY-90122 1,650円税込)

SOYは、佐橋佳幸&小倉博和のギタリスト二人に、女性シンガー平松八千代が加わった3人ユニット。
本作は1998年に発表された1stアルバムで、永らく入手困難でしたがこの度CDとLPで再発されました。

レコーディングは3人を中心に、有賀啓雄、柴田俊文、鈴木祥子を迎えて行われ、更に、リー・スクラー、ジム・ケルトナー、ビル・ペイン、ニール・ラーセン等が参加したロサンゼルス録音の楽曲も入っています。
サウンドがとっても気持ち良くて、曲&アレンジも素晴らしい隠れた名盤と言えますね。

今日のこの1曲は、鈴木祥子&佐橋佳幸による作詞が印象的な5曲目「夕焼け前」を。
バックはリー・スクラー、ジム・ケルトナー、ビル・ペイン!
スピッツ「空も飛べるはず」を彷彿とさせる、ポップで和やかなアレンジも聴きどころです。

なお、2000年発表2nd『SOY2』も再発売されました。そちらも持ってて損なしの1枚ですよ。森 陽馬



2022年10月31日(月) 村田和人 「夢の遠さ」

先日、ユニヴァーサルの<CITY POP Selections>シリーズから、村田和人『GO POP』が再発になったことを紹介しましたが、同時にもう1枚発売になっています。

村田和人『太陽の季節』
(国内CD 完全限定盤 UPCY-90133 1,650円税込)

オリジナル発売は1987年6月14日。
EMI移籍第2弾ということになります。

『GO POP』と違う点は、バックが村田バンドに戻ったことでしょうか。
山本圭右、湯川トーベン、友成好宏、小板橋博司、向山テツのバンドに、PIPERから島村隆が参加。
そんなメンバー構成もあって、『GO POP』とは一味違うというか、以前に戻ったような雰囲気のアルバムです。

「134号ストーリー」、「SARA!」、「リアルは夏の中」など、その後のライヴでの定番曲が多数収録されています。

今日の1曲はデビュー当時からの知り合い、斎藤誠がアコースティック・ギターで参加した「夢の遠さ」を。森 勉





これより以前に掲載した“今日のこの1曲”は、
 “今日のこの1曲 アーカイヴス” コーナーにてご覧になれます。■



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