PET SOUNDS RECORD
今日のこの1曲 アーカイヴス


  今日のこの1曲 “Achives”

<2008月3月>

当店ペット・サウンズ・レコード店にて、
その日に店内でかけていた曲の中から、
店員の独断と偏見で選んだ“今日のこの1曲”コーナー

2008年3月に更新した“今日のこの1曲”コーナー。

廃盤・生産中止、規格番号の変更など、
情報が古くなっている商品もございますが、ご了承くださいませ。


<最新の“今日のこの1曲”はこちらのページをご覧ください>


2008年3月1日(土) Janet Seidel 「Dear Heart」

 先月のバート・バカラック来日公演。どの曲も良かったのですが、後半の映画音楽メドレーは特に良かったですねー。演奏された曲が使われている映画すべてを見ているわけではないのですが、映画用に作られた曲というのはどことなく叙情的でいいですよね。

 今日紹介するオーストラリア出身の女性ジャズ・シンガー、ジャネット・サイデルの新作『シャレード』は、ヘンリー・マンシーニの楽曲をカヴァーした作品集。(MZCF-1145 \2,520)

 “現在、最高の女性シンガー!”
と、ジャズ評論家の寺島靖国氏も大絶賛のジャネット・サイデルだけに、その歌声はとにかく素晴らしいの一語。決してでしゃばらないバックの演奏と、ジョー・チンダモというオーストラリアのピアニストによる奏も彼女の美しい歌声を引き立てています。

 1964年作映画『ディアハート』の主題歌、アンディ・ウィリアムスなどの名唱で有名なこの「ディアハート」もロマンチックな仕上がりで、冒頭1分30秒以上に及ぶエレガントなピアノのソロからジャネットの歌に入る瞬間はしっとりと心を暖かくさせてくれます。

 ちなみに、このジャネット・サイデルが来日決定。5月下旬から6月にかけて秋吉敏子らと共に全国でツアーするそうです。 ジャズ・ファンは是非チェックしてみてください。森 陽馬

2008年3月2日(日) ソウル・サヴァイヴァーズ 「エヴリシングス・チェンジング」

 ソニーから続々と紙ジャケで洋楽の素晴らしいCDが出ています。キャロル・キング、ローラ・ニーロ、カーラ・ボノフの女性シンガー・ソングライターものや、グローリーズ、ヴァイヴレーションズ、ルー・コートニーなどの渋いソウルものがとても好評です。
 2月はチャド&ジェレミー、マーク・リンゼイ、ラスカルズなどの60、70年代ロック・ポップスもののシリーズに気をひかれますね。その中から、ソウル・サヴァイヴァーズ。

 彼らはいわゆるブルー・アイド・ソウルのグループ。1967〜8年にもヒットを飛ばしましたが、その後一時解散。1973年にヴォーカル担当のチャーリー&リッチーのイングィ兄弟を中心に再結成され、60年代からつき合いがあるケニー・ギャンブル&レオン・ハフのプロデュースのもと、この名盤『ソウル・サヴァイヴァーズ』(EICP-920 限定紙ジャケ \1,890)を発表しました。

 フィラデルフィアのTSOPレーベル(ザ・サウンズ・オブ・フィラデルフィアの略)からの発売ということで、ボビー・マーティンがアレンジに加わったゴージャスでシャレた演奏の「シティ・オブ・ブラザリー・ラヴ」にしようと思ったのですが、ニール・ラーセンのピアノがフィーチャーされた「エヴリシングス・チェンジング」。ニール・ラーセンは曲作りもし、お得意のオルガンをたっぷり聴かせてくれる曲もあります。

 そう言えばこのアルバム、シュガー・ベイブ時代の山下達郎が1975年ごろのライヴハウスで「絶対聴いた方がいいよ!」とみんなにすすめていたことを想い出しました。森 勉

2008年3月3日(月) Style Council 「Long Hot Summer」

 今年は8月9&10日に行なわれるサマーソニックの第一弾アーティストが先日発表されたのですが、その中にポール・ウェラーの名があり、鼻血が出そうなほど興奮してしまいました!(笑)
 どんなかたちにしろ約2年振りの来日、嬉しい限りです。
 
 他にはセックス・ピストルズ(!)、復活ザ・ヴァーヴ、コールドプレイ、ジーザス&メリーチェイン、DEVO、アリシア・キーズなどなど、なかなか面白いラインナップ...かなと思うのですが、皆様はいかがでしょうか?
 
 当日はガツンとしたロックもいいですが、この曲も歌ってほしいです! スタイル・カウンシルの夏の曲といえば「Long Hot Summer」。
 エレピで演奏してくれたら最高です。和やかな感じで一緒に歌いたいです。♪シュルドゥル〜ドゥルルポップ〜♪
 
 掲載ジャケットは橋本徹氏選曲のフリーソウル・シリーズ、ポール・ウェラー編。(なお、こちらに収録されているのはオリジナルとはバージョン違いの「Long Hot Summer89」 UICY-1390 \2.500) 東尾沙紀

2008年3月4日(火) カットマン・ブーチェ 「VERSE BOOK」

 2006年、2007年と2年連続でフジ・ロックに出演。ライヴを見て一気に彼らのファンになった方も多いと思いますが、とにかくイイッ! 大阪出身の男性3人組ロック・グループ、“カットマン・ブーチェ”が結成6年目にして遂に1stフル・アルバムを発表しました。(『Permanents』 RDCD-2001 \2,500)

 デビュー当時は“日本のG・ラヴ、ジャック・ジョンソン的”なんて言われ方もしていたことがありましたが、今作ではよりグルーヴィーに、よりブルージーに、そしてよりロックになったサウンドと歌を聴かせてくれます。

 グイグイと前に進んでいくような高揚感をあおるような演奏と、魂こもった歌声は不思議な魅力を持っていて、一度聴くと頭の中でリフレインするような力が歌にあるのです。

 エゴ・ラッピンやスペシャル・アザーズ、G・ラヴなどスピリッツある音楽お好きな方なら絶対に気に入るハズ! ありきたりな3ピース・バンドとは一線を画した“ソウル”あるロック・バンド、“カットマン・ブーチェ”。是非名前だけでも憶えておいてください。森 陽馬

2008年3月5日(水) Karla Bonoff 「Someone To Lay Down Beside Me」

 年初の空気公団やバカラック、先日見たスティーヴ・ジャンセンfeat小山田圭吾から、アゲインでのNOWというバンドのライヴなど、今年はまだ2ヶ月しか経っていませんがいいライヴを色々と見ることができています。ポリスやビョークは行けませんでしたが、観に行った人の話を聴くと皆が絶賛! やはりライヴはいいものなのだな、と再認識している今日この頃です。

 レディオヘッド、ポール・ウェラーやチャカ・カーンなど大物の来日決定や、フジロックの出演者も第一弾が発表(マイブラ再結成!)など心躍るニュースも入ってきていますが、僕が個人的にこっそり楽しみにしているのがこの人、カーラ・ボノフの来日公演。

 カーラ・ボノフは1970年代に活躍した女性シンガー・ソングライター。リンダ・ロンシュタットが彼女の曲を多く歌いヒットさせたことで有名ですが、彼女自身の作品もいいアルバムが多いのです。
 今日のこの1曲は、1977年発表の彼女の1stアルバム1曲目に収録されている曲ですが、リー・スクラー(B)、ラス・カンケル(B)、ワディ・ワクテル(G)のツボを心得たバック演奏がいいですね。彼女が弾くピアノもセンチメンタルで素敵です。

 楽しみにしている、とか言いつつまだ予約していないのですが、たぶん売り切れることはないですよね。彼女が在籍していたブリンドルというグループのケニー・エドワーズ(この作品のプロデュースも手掛けてます)も一緒に来日するといいなあ。森 陽馬

2008年3月6日(木) Kenny Rankin 「Haven't We Met」

 「ケニー・ランキンのシルヴァー・モーニングってCD出ていますか?」
この問い合わせ、本当に多く受けました。

 長年CDで出ていなかったものの、数年前にケニー・ランキンの自主レーベルから再発。しかしながら、その自主盤はインターネット通販のみの流通で日本では入手困難となっていたのです。(売っている店もありましたが、4,000円を越えた値段での販売でしたので、手に取りにくいものでした。)

 ですが、この度ビデオアーツ社から、この『シルヴァー・モーニング』含め彼の作品群がめでたく正規再発! 音もリマスターされて聴くことができるようになりました。

 他の作品ももちろん良いのですが、この『シルヴァー・モーニング』(VACM-1348 \2,625)は彼の1974年発表で最高傑作と評判の1枚。ビートルズ・カヴァー「Blackbird」、「Penny Lane」で聴けるフォーキー&ジャジーなアレンジから、バーデン・パウエル作「ビリンバウ」などのブラジリアンな魅力、そして彼のソフト&スモーキーな歌声が心地良い名作です。

 今日のこの1曲「Haven't We Met」はアン・サリーが『ムーン・ダンス』でカヴァーしていて、そのヴァージョンもオススメです。森 陽馬

2008年3月7日(金) ヴァイブレーションズ 「マイ・ガール・スルーピー」

 白人でありながら黒人音楽の良き理解者であり、作り手であったバート・バーンズの作品集が発売されました。(『バート・バーンズ・ストーリー Vol.1』 MSIG-459 \3,150)

 ジェリー・リーバー&マイク・ストーラー、ドク・ポーマス&モート・シューマン、キャロル・キング&ジェリー・ゴフィンのソングライター・シリーズやフィル・スペクター、ジャック・ニッチェものの良質なコンピレーションをリリースしているイギリスのACEレーベルがまたいいものを出してくれました。

 “バート・バーンズ”はプロデュースをする時に使った名前で、ソングライターとしては“バート・ラッセル”名義でクレジットされていることが多いようです。
 また歌手としてレコードを出した時は、このアルバムにも収録されていますが、“ラッセル・バード”という名前を使ったりしていました。

 全26曲、どれもR&Bフィーリングにあふれていながら、ポップな味付けがなされている魅力ある楽曲です。その中から今日は、マッコイズが1965年に全米No.1ヒットにした「ハング・オン・スリーピー」の原曲「マイ・ガール・スリーピー」。
 歌っているヴァイブレーションズはロサンゼルス出身の5人組ヴォーカル・グループで、彼らがアトランティック・レーベル在籍時に出した1964年のヒット曲です。擬似ライヴ(?)仕立ての作りがゴキゲンです。森 勉

2008年3月8日(土) Beach Boys 「God Only Knows」

 すでに本屋さんで購入・ご覧になられた方も多いかもしれませんが、ジム・フジーリ著、村上春樹が訳した『ペット・サウンズ』本がやっと当店ペット・サウンズにも入荷いたしました。

 大型本屋さんなどではチャートに入っている店もあるようで、“○位 ペット・サウンズ”などと書かれているとハッとしてしまうのですが、純粋にうれしいですね。まだ全部を読んでいないのですが、訳者あとがきが珍しく長くて13ページほどもあり、村上春樹さんがそこで気合の入った文章を書いているので、それだけでも必読です。

 こんなご時世なのに実は『ペット・サウンズ』の国内盤CDがここ最近ちゃんと出ていなくて、困ったものだな、と思っていたのですが、さすがにEMIも書籍の売上好調の報を受けてか、『ペット・サウンズ』の1,500円盤を再プレスし、当店にも再入荷いたしました。

 あとがきで村上さんが、<聴いてみてください。聴く価値のあるアルバムです。そして何度も聴き返す価値のあるアルバムです。>と書いてあるように、現在は本(\1,680)よりも安い値段でCDが出ているので、是非ためしにでもいいので聴いてみてもらいたいものです。
 それが気に入ったら『ペット・サウンズ』だけでなく、他のビーチ・ボーイズ名作アルバム(ベスト盤でもいいかも)も聴いてもらいたいですね。森 陽馬

2008年3月9日(日) Bill Medley 「California Goodbye」

 ビル・メドレーとボビー・ハットフィールド、白人男性二人のデュオであったライチャス・ブラザーズの低音ヴォーカル、ビル・メドレーが昨年2007年に発表した新作『Dawn Near Righteous』(輸入盤のみ WESTLAKE WLV-3574)。

 ビーチ・ボーイズの名曲「In My Room」をカヴァーしていて、そのトラックにはなんと!ブライアン・ウィルソンとエヴァリー・ブラザーズのフィル・エヴァリーもコーラスで参加! 盟友と共に味のある低音ヴォーカルが魅力的な1曲ですが、それ以上にグッとくるのが、ラストに収録されているこの曲「California Goodbye」。

 ブックレットのクレジットに"For Bobby"と記されているように、この曲は2003年に急死したボビー・ハットフィールドに捧げられており、今は亡き相棒に向けての哀悼の歌詞が、シンプルなピアノのバックと相まって泣けます。

 なお、インタビュー映像を中心としたDVDも付属。オールディーズ・ファンは是非チェックしておいてください。森 陽馬

2008年3月10日(月) JAMES TAYLOR QUALTET 「胸いっぱいの愛を」(レッド・ツェッペリンのカバー)

 アシッド・ジャズ・レーベル最大のヒットアルバムのひとつ、ジェイムス・テイラー・カルテットの95年作「イン・ザ・ハンド・オブ・ジ・インエビタブル」(PCD-17178 ¥2,625)がボーナストラック入りで再発されました。(当時、日本先行発売の際にプラスされたボーナス曲とはまた違う曲が追加されています。)
 
 曲目を見て、やはり目を引くのはレッド・ツェッペリンの「胸いっぱいの愛を」のカバーでしょうか。オルガン、ブラスが入ったインスト・ナンバー。ボーカルが無いので、オルガンがボーカル・メロディをなぞるように演奏されています。
 当時唯一シングルカットされ、彼等のバージョンは、イギリスの人気音楽番組「トップ・オブ・ザ・ポップス」のテーマにも使われていたそうです。(最近は番組を見てないのでわかりませんが、今はまた本家のバージョンが使われているのでしょうか?)
 
 リリースされてから13年経っていますが、現在聴かれているものとさほど変わりなく、やはり洗練されていてかっこいい! 最近のミュージシャンのCDしか聴かないという方にも是非聴いて欲しい一枚です。東尾沙紀

2008年3月11日(火) Susan Carter 「Illinois」

 先月ソニーから再発された西海岸の女性シンガー・ソングライター、スーザン・カーターの1970年発表ソロ・アルバム『Wonderful Deeds And Adventures』(EICP-921 \1,890)。

 ジャケットの雰囲気などから、落ち着いたアコースティックな音感の作品かな、と思っていたら、ブラッド・スウェット&ティアーズのメンバーがバックを務めていることもあって、思ったよりもロックなサウンドが目立つ1枚でした。

 その中で、聴いていて、「アレッ?」と思ったのが9曲目に収録されているこの曲「イリノイ」。

 この楽曲が、クラムボンの原田郁子さん2004年発表ソロ1stアルバム『ピアノ』の1曲目「たのしそうかなしそう」にそっくりだったのです。
 前奏のピアノのパターンだけでなく、中間部分にテンポダウンするところや歌いまわしも結構似ていて、この曲を下敷きにしたのだな、ということが窺えます。

 ランディー・ニューマン作(ランディ・ニューマン本人は歌っていないっぽい)で、エヴァリー・ブラザーズも取り上げていたことがある曲なので、他の人のヴァージョンも今度調べて聴いてみようと思っています。森 陽馬

2008年3月12日(水) 山下 達郎 「Angel Of The Light」

 人気テレビ・ドラマの主題歌、テレビのニュース・ヴァラエティーのエンディング・テーマ、そして、CMソングと豪華3曲入りCDが、山下達郎約30ヶ月ぶりのシングルとして発売されました。(WPCL-10463 初回盤のみライヴ応募ハガキ封入 \1,200)

 その中から今日は、ニコンのCMソングとして使われている英語詞の「Angel Of The Light」。名曲です。

 1999年(もうこんな前?!)に出た「Love Can Go The Distance」を思い出させてくれる雰囲気を持った曲で、アカペラ曲ではありませんが、アラン・オデイの詞も沁みてきます。

 このアラン・オデイという人は、近年は達郎の英語詞担当という感じですが、全米No.1ヒットを出したこともあるシンガー・ソングライターなのです。
 1977年の「アンダーカヴァー・エンジェル」がその曲。ということで今日は“エンジェル”繋がりのお話でした。森 勉

2008年3月13日(木) yanokami 「montauk」

 本当に不思議なグループだと思う。矢野顕子とレイ・ハラカミによるユニット、“ヤノカミ”。
 そのヤノカミの1stアルバムに収められていた曲を英語詞にし、更に新曲やライヴ音源を追加した“English Version”のyanokamiがリリースされました。(『yanokamick』 YCCW-10045 \2,625)

 2004年発表作『ホントのきもち』で矢野顕子がエレクトロニカ・アーティストのレイ・ハラカミとコラボした時には、「あんなに素晴らしいピアノを弾くのに、なんでテクノ/エレクトロニカなサウンドを取り入れるのだろう?」と、最初は否定的に捉えていたのですが、回を重ねるごとにこんなにも素敵な融合がなされていくとは本当に意外でした。(ライヴなどでは相変わらず、MCが噛み合っていないけれど・・・)

 1曲目に収録されている録り下ろしの新曲「montauk」も不思議な魅力にあふれた1曲で、バック・トラックはレイ・ハラカミが手掛けた『天然コケッコー』映画サントラの延長線上にあるような静寂感に包まれた導入部。それでいながら、矢野顕子の歌とピアノが入ってくると途端に水を吸い込んだ植物のように、曲自体が前に進んでいく感覚がなんとも心地良いのです。

 今週は桑田佳祐、平井堅、柴咲コウベスト、などの新譜が発売になったのですが、それらの作品を聴いた後にこのyanokamiを聴くと、エレクトロニカなのに何故かホッとするような安心感を得られるのだから不思議。おそらくこの独特な安心感と浮遊感は、この二人だからこそなのでしょう。
 1stには収録されていなかったくるり「ばらの花」のカヴァーも収録されているので、すでに1stアルバムを持っている人にもオススメです。森 陽馬

2008年3月14日(金) BLACK CROWES 「EVERGREEN」

 2002年の活動休止などを経て、ブラック・クロウズが7年ぶりの新作(「ウォーペイント」SICP-1768/\2,520)を先日リリースしました。

 90年のデビュー時から、流行りに捉われない自分達のスタイルを貫いてきた彼等ですが、今作もそれは変わらず、70年代ハード・ロック、ブルース、カントリーといった自らのルーツを、40代を迎え、更に渋みを増した歌と演奏で聴かせてくれます。
 
 今作では若干のメンバーチェンジがあり、その内の一人、ボブ・ディランやアレサ・フランクリンなどのプロデュースで知られるジム・ディッキンソンの息子であるルーサー・ディッキンソンがリード・ギタリストとして加入。(自身のバンド、ノース・ミシシッピ・オールスターズと並行した活動になるようですが)。
 クリス&リッチ兄弟は彼から色々と良い刺激を受けているようです。これからは彼個人の活動にも注目したいところ。
 
 冒頭のカラッとしたロックンロールもいいのですが、重厚なギター音がカッコイイこの曲がお気に入りです。爆音で聴きたい一曲。

 復活第一弾としては好スタート! バンドの状態もいいようなので早く来日して欲しいですね。デジパック仕様、ミニポスター付き。国内盤のみボーナストラック収録です。東尾沙紀

2008年3月15日(土) Beach Boys 「Wouldn't It Be Nice」

 本日3月15日は、ビーチ・ボーイズのマイク・ラヴの誕生日、であり、また新店舗オープン1周年の日でもありました。

 音楽業界不況の中、こうやって1周年を迎えることができたのも、お客様皆様方のおかげだと、心より深く感謝したい気持ちでいっぱいです。本当にどうもありがとうございました。

 幸い、14日の荒天も嘘のように晴れわたり、コートがいらない暖かい1日となって、ビーチ・ボーイズが似合う季節になってきました。

 “街のCD店”というスタンスでやっているので、実際にいらっしゃっていただき、「こんな程度のお店か」と感じられる方も多いとは思いますが、“ペット・サウンズ精神”だけは失わず、いつまでも人それぞれのいい音楽“PET SOUNS”を提供していきたいな、と思っております。これからも末永くよろしくお願い申し上げます。森 陽馬

2008年3月16日(日) マッキン・アンド・ザ・ニューミュージック・スタッフ 「TRIPPIN'」

 “現代のティンパン”と称したくなるようなユニット、“マッキン&ザ・ニューミュージック・スタッフ”。

 このグループは、ベーシストの松木俊郎がアレンジやプロデュースを全面的に手掛けているユニットで、この度発売になったアルバム『FIRST SONG』(SLMN-1009 \1,890)が2ndアルバム。

 70'sティンパン的なシティ・ポップ好きの方にはもちろん、最近のモプシー・フロプシーやアオヤマなどの女性ヴォーカルもの、高田みち子さんのアルバムを気に入った方には是非とも聴いてもらいたい1枚です。

 特に1曲目に収録されている「TRIPPIN'」は、その筋のサウンドお好きな方ならシーナアキコ(key)によるフェンダー・ローズから始まるイントロで即ノックアウト必至!
 ジャケットがなんとなくリンダ・ルイスの『ラーク』に似ている(?)雰囲気ということもあり、フリーソウル/70'sレア・グルーヴ的なグルーヴィーな演奏も魅力。

 3月4日にこのコーナーでも紹介したカットマン・ブーチェと共に、今月イチ押しの“日本人ミュージシャンこの1枚!”です。森 陽馬

2008年3月17日(月) ロジャー・ニコルス&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズ 「ルック・アラウンド」

 美しいコーラスとやさしく包み込む陽射しのようなサウンドで、各方面から絶賛されたロジャー・ニコルス&スモール・サークル・オブ・フレンズ、昨年末に発売された約40年ぶりの新作オリジナル・アルバム『フル・サークル』(VICP-64023 \2,520)。

 春らしい陽気になってから店内でかけていると本当に気持ちよいですね。もうちょっと聴きたい、と思うところで終わってしまう収録時間の短さもいいのかも。

 さて、そのロジャ・ニコ新作の限定アナログ盤が入荷しました。(SOLID-1018) ウルトラヴァイヴが制作したLPで、値段が高い(1枚で重量盤でもないのに\3,675!)のですが、限定500枚しかプレスしなかったそうで、うちの店にも少ししか入荷してきませんでした。

 再入荷、再プレスも今のところ未定ですので、アナログ好きの方はチェックしてみてください。森 陽馬

2008年3月18日(火) 大滝 詠一 「真夏の昼の夢」

 『ナイアガラ・カレンダー』30周年記念盤が発売されました。

 今まで出ていたCD(1981年リミックス・ヴァージョンで収録されていた1996年リリース“SRCL-3501”の規格番号のもの)の音に馴染んでいた方々には、今回の音はとても新鮮に感じられるのではないでしょうか。1977年12月25日にレコードで発売された際のオリジナル・ミックス。

 「五月雨」の豪快な雨音や、「泳げ!カナヅチ君」及び「真夏の昼の夢」の波音などの効果音入りを始め、いろいろと違って聴こえる曲があるのです。

 1977年と1981年のミックス聴き比べも楽しいのですが、それよりとにかく、収録曲自体がみな粒揃い。楽しいノヴェルティー・タイプと、しっとり名曲バラード、ノリノリ・ロックンロール、そして和モノ・音頭と、ヴァラエティー豊かな楽曲が日本の四季折々の風物詩を交えながら展開される作品なのです。

 その中から今日は、早く来い来い暑い夏、ということで8月の歌。
 大滝バラードの名曲・名唱です。山下達郎による弦アレンジも見事。森 勉

2008年3月19日(水) Vinicius Cantuaria 「Galope」

 雨音が聞こえるか聞こえないかぐらいの春雨。静寂の中で聴きたい1枚。

 ヴィニシウス・カントゥアリアはブラジルはマナウス出身のシンガー・ソングライター。現在はニューヨークに移り住み、コンスタントに良質な作品を発表しているミュージシャンです。

 このコーナーでも2005年4月12月についで3回目の登場となるくらい、個人的に気に入っているアーティストなのですが、今回発売された新作『CYMBALS』(OMCX-1190 \2,625)も、独特な詩世界と音空間がじわじわと沁みる“21世紀のボサノヴァ”を聴かせてくれます。

 その彼の繊細かつ深遠な音響感を演出しているのが、ラウンジ・リザーズのギタリストであった曲者ギタリスト、マーク・リボーと、現在最も旬な若手ジャズ・ピアニストの一人、ブラッド・メルドー。
 ニューヨークの都会的な空気感と、ブラジリアン/ラテンの異国情緒が見事に融合されています。森 陽馬

2008年3月20日(木) Jackson Browne 「Shadow Dream Song」

 名シンガー・ソングライター、ジャクソン・ブラウンのソロ・アコースティック・ライヴ第2集(SICP-1767 \2,520)が発売。

 第1集は1970年代の曲中心でしたが、今作は比較的1980〜2000年代の曲が選曲されており、熱心なファン向けという印象なのですが、実はこの第2弾、ソニーからの新譜案内書には、
“ファン感涙の盟友デヴィッド・リンドレーとのジョイント・ライヴ・ツアーを収録! デヴィッドのあの天にも昇るようなスライド・ギターとジャクソンの心温まるギターとピアノと心のこもった誠実な歌声…。2005年から2006年にかけての世界各国で行なわれたコンサートから厳選!”
 と、書いてあったのです。

 上記のデヴィッド・リンドレーとのジョイント・ライヴは日本では実現しなかったこともあって、これは聴きたいっ!とかなり期待していたのですが、入荷してきてガッカリ・・・。デヴィッド・リンドレーとの共演曲は1曲も入っていなかったのです。
 まあ契約の問題など色々とあったのかもしれませんが、ちょっと残念ですね。

 でもうれしいことに日本のみのボーナス・トラックとして、「Shadow Dream Song」が収録! この曲は、ジャクソン・ブラウンがデビュー前に書いた楽曲で、トム・ラッシュが取り上げていることで知られる隠れた名曲。ジャクソン・ブラウン自身の作品では歌っていないためコア・ファン向けな1曲ですが、2004年日本公演で観客からのリクエストでやったヴァージョンが収録されているので、実際に観に行っていた者としてはうれしいボーナス曲でした。(もうどうせだったら、『ライヴ・イン・ジャパン』も出してもらいたいですね。) 森 陽馬

2008年3月21日(金) マイクロスター 「sweet song」

 当店ペット・サウンズで以前から、ガール・ポップやオールディーズ、フィル・スペクター・サウンドやナイアガラ・ファンにもオススメしてきた“マイクロスター”が遂に1stフル・アルバムを5月21日に発売することが決定!

 佐藤清喜と飯泉裕子によるポップ・ユニット、“マイクロスター”。佐藤清喜氏がほぼ全ての楽曲とサウンド作りを手掛け、Pちゃんこと飯泉裕子さんによるキュートな女性ヴォーカルがのると、まさに“魔法”のようなポップ・ワールドが広がるのです。

 実はすでにアルバムの音の一部を聴かせてもらったのですが、コレ、ホント!今年のガール・ポップスNo.1になること必至の内容! 特に「sweet song」は以前のシングル盤にも収録されていましたが、“ウォール・オブ・サウンド”的なアレンジが更に深まり、素晴らしい名曲に更に箔がついた楽曲となっています。

 心弾むような音世界にスウィートなヴォーカル。ビーチ・ボーイズがカリフォルニアの青い空と海を夢見させてくれたのと同じように、マイクロスターはなんでも叶う魔法と甘い永遠の恋の夢を見させてくれるのです。森 陽

★掲載ジャケットは現在はすでに廃盤ながら、当店ではまだ販売中のマイクロスター、シングル盤『Lovey Dovey』(\1,200)。5/21発売の新作も通販コーナーで予約受付中です。

2008年3月22日(土) 寺尾 紗穂 「MOMO」

 FMラジオ、J-WAVEで深夜やっている番組THE UNIVERSE、水曜日にやっている大貫妙子さんのプログラムが来週26日で最終回となってしまうようです。

 深夜2時から4時の番組とはいえ大貫妙子さんのことなので、大きな労力をこの番組に注ぎ込んでいたのではないかと思います。さりげなくも濃密な2時間、毎週ありがとうございました。

 さて、大貫さん繋がりで、先日ミディ・クリエイティヴから発売されたコンピ『音のブーケ』(CXCA-1225 \2,500)をご紹介。

 インディーズ・アーティストを中心にした大貫妙子さんのカヴァー・アルバムで、モダーン今夜の永山マキ、隠れた名バンド“WATER WATER CAMEL”や、『サニーロック!』のコンピにも参加していた平泉光司率いる“COUCH”などが参加。大貫さんの名曲を独自のアレンジでカヴァーしています。

 中でも寺尾紗穂さんの「MOMO」が出色の出来。もともと、大貫さんに声がソックリ!とよく言われていましたが、この曲では大貫さんのカヴァー、というよりも寺尾さん自身のヴォーカルの色というか空気感が表現されていて、アルバム内でも抜群の存在感を放っています。(大貫さんのオリジナルは、1986年発表『カミング・スーン』に収録)

 ちなみに寺尾紗穂さんは先月末にご出産されたそうで、5月14日にはNEWアルバム『風はびゅうびゅう』(MDCL-1488)の発売も決定。母性をたたえた新作での歌声も楽しみです。森 陽馬

2008年3月23日(日) ロジャー・ジョセフ・マニングJr. 「Drive Thru Girl」

 2006年に素晴らしいアルバム『ソリッド・ステイト・ウォリアー』を突如発表した元ジェリーフィッシュのロジャー・ジョセフ・マニングJr.が、TV EYES、マリブなどの活動を経て、先日待望の新作2ndアルバムをリリース!(『キャットニップ・ダイナマイト』 PCCY-1871 \2,415)
 
 前作よりもハーモニーを充実させたという新作は、前作のカラフルな世界観はそのままに、コロコロ変わる音色に聴くものをワクワクさせる、元気一杯なロック.ナンバーが多い作品となりました。
 「賑やかなアレンジは聴く度に新しい発見をしてほしいから」という彼の言う通り、一度聴いただけでは分からない、色んな音が詰まっています。
 
 今日の1曲は、進行役の紹介から、お客の手拍子、歓声や笑い声などが入り、ライブ音源風に作られた芸が細かい一曲! ほぼキーボードだけで歌われる彼らしい王道ポップ.ソング。

 ちなみに「キャットニップ・ダイナマイト」...この何とも変わったタイトルは、彼の愛猫たちのオモチャ(西洋マタタビが入った布製の玩具)の名が気に入って付けたのだそうです。東尾沙紀

2008年3月24日(月) アル・ウィルソン 「Do What You Gotta Do」

 アル・ウィルソンと言えば、1973〜4年にかけて大ヒットし全米第1位を記録した「ショー・アンド・テル」が有名なR&Bヴォーカリストですが、日本ではほとんど知られることがなかったように思います。いい曲歌っているんですが・・・。

 さて、この曲が収録されたアルバム『サーチング・フォー・ザ・ドルフィンズ』は1968年にジョニー・リヴァースがプロデュースして、ソウル・シティ・レコードより発売になりました。

 「ザ・スネーク」がシングル・チャートでは上昇しましたが、僕はA面ラストに入っていたこの「ドゥ・ウォント・ユー・ゴッタ・ドゥ」が大好きでした。

 残念ながら、ポップ・チャートには入らなかったのですが(R&Bチャートにはチャート・イン)、とにかく、メロディーが素晴らしい。ジミー・ウェッブの隠れた名作と言っていいでしょう。

 演奏もハル・ブレイン、ジョー・オズボーン、ラリー・ネクテル、ジェームス・バートン、と文句なし。アル・ウィルソンのソフトでソウルフルなヴォーカルもいきています。

 なおこの曲はボビー・ヴィーがすぐさまカヴァーし、ちょっとヒットさせました。ボーナス11曲でのうれしいCD化です。(PCD-17171 \2,625) 森 

2008年3月25日(火) 告井 延隆 「In My Life」

 <ビートルズのカヴァー>、というと、またか、という感じで、飽き飽きしている方が多いとは思いますが、これはイイですっ! センチメンタル・シティ・ロマンスの名ギタリスト、告井延隆氏、アコースティック・ギター1本による、ビートルズのインスト・カヴァー・アルバム。(『SGT. TSUGEI'S ONLY ONE CLUB BAND』 TSCS-11 \2,800)

 アコギ1本で、オーヴァーダブなし! 基本的にビートルズのオリジナルに忠実なアレンジで、シンプルながらも原曲の良さが最大限に引き出されたギター・インスト・アルバムに仕上がっています。

 無駄な音や冗長なつま弾きが全く入っていなくて、削ぎ落とされたシンプル・イズ・ベストの素晴らしいギターの音色が心地良く聴ける全16曲。ビートルズ好き、センチ・ファンはもちろん!アコースティック・ギター好きの方から、ビートルズをよく知らない方にも是非聴いてもらいたい1枚。

 ちなみにこのアルバム、当店では先日告井さんからお電話いただいて直接送っていただいたのですが、今のところ一般流通の予定はなし。当店で先行・限定的に一足早く販売しておりますので、興味ある方は是非! ホント、持ってて損なしの1枚ですよ。森 陽馬

2008年3月26日(水) キリンジ 「Shootin' Star」

 春の陽気。そしてこの数日間で一気に桜も咲き始めた。
 武蔵小山と隣駅の不動前の間に、かむろ坂という隠れた桜並木の名所があって、そこで地元民に長年愛されている桜も見事に咲き誇っている。

 桜が人気があるのは、やはり散ってしまうからだろうか? 華々しく散っていく桜に自らの郷愁を重ね合わせるように、日本人(というより人間)は、一瞬の美しさやはかない命を重宝する傾向があるようだ。

 しかし、一瞬の煌きだけが必ずしも素晴らしいとは限らないだろう。その煌きを“継続”することがいかに困難であるか、続けていくことというのがどれほど大変であるか、ということを最近常々考えるようになった。

 ロック/ポップ・ミュージックもそう。活動期間が短いバンドやアーティストももちろんいいかもしれないが、ロックであり続けること、ポップな楽曲を書き続けることこそ、実は非常に難しいことなのだ、ということを音楽ファンはもっと認識すべきなのだ。

 堀込泰行&高樹の二人によるユニット、キリンジも今年でメジャー・デビュー10周年。記念すべき新作7thアルバム『7』(COZA-265 DVD付 \3,465)は、ポップな魅力に溢れた快作。前作のエレクトロニカ的な音作りも悪くはなかったが、やさしさとせつなさが同居したポップな楽曲こそが彼等の魅力と実感。これからも末永く活動していってもらいたいものだ。森 陽馬

2008年3月27日(木) Sam Kininger 「Anthem」

 新世代ジャズ・ファンク・グループ、ソウライヴやレタスなどに参加し、メイシオ・パーカーの後継者として人気の黒人サックス・プレイヤー、サム・キニンジャーの2ndソロ・アルバム『アンセム』(BVCJ-31049 \2,548)が発売。

 2004年に発表した1st『ピーセス』(2005年1月7日でもこのコーナーで取り上げました)は、個人的にすごく気に入っている作品で、当店でもロングセラーとなっているアルバムなのですが、今作もとにかく熱い新世代のファンク・グルーヴを聴かせてくれる1枚に仕上がっています。

 特にタイトル曲となっているC「アンセム」。このドラムが凄いっ!
 誰が叩いているんだ?と思ってクレジットを見たら、ニッキー・グラスピーというまだ22歳の女性ドラマー!

 とにかく存在感がハンパじゃないくらい強烈なドラミングで、ライナーノーツによると彼女はビヨンセのツアー・メンバーとして活動しており、その合間を縫ってスタジオに到着したのが夜23時。ニッキーは入ってくるやいなや、ウォッカの瓶をラッパ飲みし、リハなしで「せーの」で録ったのが、この「アンセム」だというのだ。

 いやーーー、これはまた凄いドラマーだ出てきたものだ。アダム・ダイチ(ジョン・スコフィールド・バンドなどで活躍の超絶若手ドラマー)もうかうかしてられないですな。森 陽馬

2008年3月28日(金) ジェフ・ヒーリー 「Like A Hurricane」

 先月注文書を見ていて、“ジェフ・ヒーリー”の文字を見たとき、思わず「懐かしいー」と声に出してしまった。
 1988年に『SEE THE LIGHT』でデビューし、その後もジョージ・ハリスンがゲスト参加した名作『HELL TO PAY』での「While My Guitar〜」の名カヴァーなど、数多くの名演を聴かせてくれた盲目の白人ブルース・ギタリスト、“ジェフ・ヒーリー”。

 彼の新作が国内仕様で発売になるというので楽しみにしていたのだが、商品が到着してビックリ! なんと、CDに<追悼盤>というシールが貼られているではないか。
 CD発売が決まり注文書に掲載された後、3月初旬にガンのために亡くなってしまったそうだ。享年41歳。合掌。

 結果的にラストとなってしまったこのアルバムはほぼ全曲カヴァーで占められており、@フレディ・キング、B・Bキングで有名なAなど黒人ブルース・ナンバーが中心。しかしながらその中にあって、ザ・バンド「ウェイト」、更にはニール・ヤング「ライク・ア・ハリケーン」をカヴァーしている。

 ほぼオリジナルに忠実なアレンジながら、ジェフ・ヒーリーらしいギター・ソロも存分に聴ける上々の仕上がり。ブルース・ギタリストならば、これから更に脂がのってくる年なだけに残念この上ないが、今夜はこのアルバムを聴きながら、哀悼の意を捧げることにしよう。森 陽馬

2008年3月29日(土) ヴァン・モリソン 「トルバドール」 

 ビーチ・ボーイズ・マニアの方はもうチェック済かもしれませんが、故デニス・ウィルソンの1977年発表ソロ作『Pacific Ocean Blue』の再発がやっと決まりましたね!(海外billboardのHPにも掲載されています。)

 今回は噂ではなくちゃんと出るようで、LegacyRecordingsというレーベ(日本ではソニー配給)から、4月or5月に発売予定。CDはかなり前に廃盤になっていたため、問い合わせも多かったこの作品。ビーチ・ボーイズ・ファンにとっては待望の再発ですね! (更になんと2枚組!で、2枚目のディスクには未発表アルバム『Banboo』が収録されるとのこと! アナログLPも出るとのことです。)

 なんか久々にビーチ・ボーイズの話題が出てうれしいので、寒い冬にも関わらず店内はビーチ・ボーイズ。デニス・ウィルソン作の名曲「Forever」。何度聴いてもいい曲ですね。

 個人的には、2005年1月、折しも当店が一時閉店するときに来日してくれたブライアン・ウィルソンが、来日公演で歌ってくれた「Forever」は特に印象深いです。森 陽馬

ビーチ・ボーイズ情報ページも、古い情報ばかりではありますが更新いたしました。

2008年3月30日(日) ウォーカー・ブラザーズ 「ゼア・ゴーズ・マイ・ベイビー」

 白夜書房からマーク・リボウスキーという人が書いたフィル・スペクター本の増補改訂新装版が発売されました。

 18年前に出た時より200ページ以上も増え、そして巻末のディスコグラフィーや注釈も充実しています。そして序文を書いた朝妻一郎&この本を監修した大瀧詠一の最新対談が掲載されているのもこの新装版の注目ポイント。

 この対談が実にタメになるというか、いろいろなことを教えてくれるもので、さすがスペクター周辺に詳しい二人ならではの内容なのです。その中で、日本で最初に受け入れられたフィル・スペクターのサウンドは、それをカヴァーしたウォーカー・ブラザーズによってではないか、という話は実に興味深い事実だと思います。
 日本においては、1960年代にプロデューサーとしてのフィル・スペクターの名はほとんど語られませんでした。

 さてこのウォーカー・ブラザーズ。スコット、ジョン、ゲイリーの3人組で、芸名はみんなウォーカーですが、本当の兄弟ではありません。
 アメリカのグループですが、人気が出たのはイギリスにおいてでした。
と、複雑な説明を要するグループなのですが、サウンドは本当に素晴らしいものがありました。

 この曲はスペクター本の対談で触れられているもので、オリジナルはドリフターズによる1959年のヒットです。いいカヴァーです。スコットのヴォーカル、演奏とも申し分なし! 森 勉

★掲載ジャケットは「There Goes My Baby」収録のウォーカー・ブラザーズ22曲入りベスト盤(UICY-6261 \1,680)。4月16日には2枚組ベスト(UICY-8155 \2,500)も発売予定になっています。

2008年3月31日(月) Karla Bonoff 「All My Life」

 夜、店を抜け出して六本木にあるビルボード・ライヴ東京へ。カーラ・ボノフのライヴ(2ndショウ 21時半の回)を見てきました。

 10年以上前にブリンドル名義(アンドリュー・ゴールド、ケニー・エドワーズ、カーラ・ボノフ、ウェンディ・ウォルドマン)で来日した時、カーラ・ボノフの変わらぬ美しい歌声に感動したことがあったものの、さすがにあれから年月が経っているだけに、あまり期待しないで観に行ったのですが・・・。いやー、これがホント素晴らしいライヴでした。

 やさしくも力強い歌声で、ステージ上の彼女ももちろん年はとったものの太ったりしておらず雰囲気はそのまま。バックのケニー・エドワーズのマンドリン&ベース&ギター、そしてNina Gerberという女性ギタリストがすごくいい味を出していて、ツボを心得た音色のギターを聴かせてくれました。

 短い時間の中、ソロからブリンドル時代のナンバーも含め、やる曲どれも感動的でしたが、個人的にはリンダ・ロンシュタットとアーロン・ネヴィルのデュエット名曲としても有名な「All My Life」をやってくれたのがうれしかったです。終演後にはCD購入者にサイン会もあって、ちゃっかりサインももらっしゃいました。

 ひとつ苦言を呈すとすれば、会場のPAエンジニア(ステージの脇で各楽器の音を調整している人)がいいかげんで、カーラがピアノで歌う時のマイクがONになっていなくて、途中から曲の途中からあわててスイッチ入れていたり、ギターの音をもっと上げなければいけない曲でそのままだったり、と非常にお粗末だったのが残念。
 客席もガラガラで、お客さんも非常に少なかったです。もし気になっている方いらっしゃったら、当日でも余裕で入れると思いますので是非観に行ってみてください。森 陽馬




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